―実写版セーラームーンを検証する―


Act.50:スペシャル・アクト編――

 

       本稿は、2004年11月26日(金)にバンダイビジュアルより発売されたオリジナルビデオ/DVD作品、「美少女戦士 セーラームーン」(実写版)「Special Act.(スペシャル アクト)」の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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1.       【T.私たち結婚します!▼】

2.       【U.新たな敵▼】

3.       【V.うさぎが!?▼】

4.       【W.伝説の剣▼】

5.       【X.絶対助ける!▼】

6.       【Y.巨大な敵▼】

7.       【Z.いつまでも…▼】

 

 

 ★  ★  ★  ★   【このページの頭▲】【T.私たち結婚します!】【次のチャプター▼】 ★  ★  ★  ★  

 

       月野邸にて…。

       鳥達のさえずりが聞こえる、そんな爽やかな朝…。居間にはテレビの音が流れ、キッチンでは、やかんでお湯を沸かし、まな板で玉ネギをきざむ音…。

       …テレビの中の女子アナさん:「…次は、旬のスポーツを紹介する、朝いち情報局〜っ!のコーナーです。今朝は池袋に先週オープンした、ファンシー・ショップ丸高にいる、小峰さんと中継がつながってます」

       その朝ごはんの支度をしてるのは、ナンと、うさぎちゃんです(←赤いエプロンをして、台所に立っております)。

       ここでテレビ画面が映され、そこでは、「HOT も〜にんぐ」と言う番組が流れており、時刻表示が「7:32」になってます(←テレビ・シリーズが放映されていた時間に合わせて劇中時間が始まると言うのは、ナニげにAct.1を彷彿とさせますな…)(←※あの時は学校に遅刻しそうだったから、もっと遅い時間帯でしたが、今回は、本来うさママが早起きして支度してるはずの事を、うさぎちゃんがやってる事に意味がある訳ですね)。

       テレビの中の女子アナさんが、「…小峰さん、おっはよーございまーすっ!」と言います

       すると、ちょうどそこに、居間のドアがガチャリと開いて、うさママと人型ルナが、「あぁ〜」「あぁ〜」と大あくびをしながら入って来て(←ってキミ、完全に居候化しちゃってるじゃないかっ!)、「おはようっ♪」「おはようっ♪」とうさぎちゃんに声をかけます。

       すると、うさぎちゃんも振り返り、「おはようっ♪」と答えます(←おおっ、玉ネギをきざんでたのに全然泣いてない…)(←さすがだ…)(←て言うか、まさか玉ネギきざんでたのはスタントのお姉さんだったんじゃないだろうな…)。

       ここでうさぎちゃんのナレーションが入ります…

       「月野うさぎです」(←うさぎちゃんは、フライパンに卵を落として、菜箸でかき混ぜてます…)「あの戦いから4年。戦士だった私達も、今は普通の女の子してますっ。あ、やってるコトは普通じゃない人もいるけど…」

       うさぎちゃんは、遠くを見るような目をしながら顔を上げます…。

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       場面は変わって…、ここは大学病院かなんかの手術室でしょうか?…がちゃんっ!と扉が開くと、中から白い煙(←冷凍室か?)がモクモクと流れ出てきて、まるで宇宙服みたいな化学防護服に全身を包んだ人が、3人ほど出てまいりました。

       で、そのうちの一人が亜美ちゃんで、亜美ちゃんは、防護服の頭部を脱ぐと、満足げな笑顔で「あぁっ♪……ふぅ…♪」と一息ついております。

       …うさぎちゃんのナレーション:「たとえば、亜美ちゃん。高校の途中から、アメリカの大学に留学。どんどん試験をクリアして、史上最年少のドクターになるんじゃないかって噂です…」(←ほ〜う…そりゃスゴイですな…、でもまあ、確かに「やってるコトは普通じゃない」ですけど、でも、セーラー戦士に変身して戦ってたコトを思えば、「史上最年少のドクター」なんて、至って「普通」ですよねぇ…)(←ちなみに、ギネスブックに載ってる最年少記録の医者は、17歳だそうです)(←確認はしてませんが、たぶんコイツは男だろうから、女医さんなら「史上最年少」になれるのかもしれませんな)…

 

       で、その亜美ちゃんは、白衣に着替えて、さっき一緒に出て来た2人の外人さんのドクターさんと、病院だか大学だかの廊下を歩いております。亜美ちゃんは、外人さんのドクターさんに、Congratulations on success of your operation.(←ヒアリングてきとー)(手術の成功 おめでとうございます)…『これで、UFOの墜落事故で死んだ宇宙人も生き返りそうですね?』

       すると外人さんのドクターさんは、前を見ながら淡々と、Thank you for your advice. It was very helping.(←ヒアリングてきとー)(有益なアドバイスありがとう じつに助かったよ)…『あとは、あのまま冷凍保存してNASAに送り返すだけだ』 But lets just keep a secret between you and me.(←ヒアリングてきとー)(でも その事は我々の間の秘密にしといてくれたまえ)」(←おいコラ、アンタ手柄を独り占めする気かっ!?)と言って、最後に亜美ちゃんに微笑みかけます。

       で、亜美ちゃんは、そんなアメリカン・ジョークに対して、とびっきりの亜美ちゃんスマイルで応えております…「♪…『その代わり、晩御飯一年間おごってね♪』

       亜美ちゃんは、「高校の途中から、アメリカの大学に留学」したと言うコトは、これ、原作・アニメとは違って、うさぎちゃんと一緒の十番高校には行かなかった可能性がありますな…。亜美ちゃんはAct.34で、亜美ママにこう言ってましたからね(↓)

       「私、今やってるコトが終わったら、やっぱりドクター目指すと思う!」

       おそらく、Act.33〜34以前の亜美ちゃんであれば、うさぎちゃんとの友情にこだわって十番高校に進学し、そのまま三年間の高校生活を全うするはずです。しかし亜美ちゃんは、前回の「Final Act」で前世の使命を果たし、「今やってるコトが終わった」ので、今度はAct.34でのママとの約束を果たすべく、学業に本腰を入れて、それなりの高校に入ったんじゃないでしょうか? 亜美ちゃんは、あの1年間を通して、いい意味でのうさぎちゃんからの自立も果たしていたのですからね。また、仮に十番高校に行ってたとしても、途中からみんなと別れて「アメリカの大学に留学」してるのですから、いずれにせよ、亜美ちゃんが『友達ごっこ』に囚われて自分の進路を誤る人ではなくなってる事だけは間違いない訳です。

       そう言えば、アニメ版の第2シーズン「セーラームーンR」『エイルとアン&ブラック・ムーン編』)には、亜美がドイツへ留学するかどうかで悩むと言うエピソードがありましたが、あの時は、『ブラック・ムーン』と戦ってる仲間を放っておけず、結局空港から戻って来ちゃってましたっけね(←第62話「戦士の友情! さよなら亜美ちゃん」)。実写版では、『ダーク・キングダム』を倒して以降、もうそのような敵は現れなかったので、亜美ちゃんは心置きなく留学できたと言う訳なんですな。

 

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       …うさぎちゃんのナレーション:「小さい頃から不思議な力を持っていたレイちゃんは、京都の山で、その力を磨いてます…」

       そのレイちゃんは、硯に墨を磨っております…しゃっか…しゃっか…

       ここは、どこだかの神社の中の一室みたいですね。畳の上で、机の前に正座して、お習字をしております。レイちゃんは、黒い袴をはいていて、上はいつもの巫女さん姿と同じ白です。

       レイちゃんは筆に墨をなじませると、御札(おふだ?)に、さささっと呪文の文字(?)を書くと、それを持って、いきなりばっ!と立ち上がります。すると、神棚の前に並べられていた無数のろうそくに、一斉にぼわっ!と灯がともります(←おおっ!)(←て言うかマジシャンの修行かよっ!)。

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       うさぎちゃんは、どうやらオムレツを作ってるみたいですね(←うさママに作り方を教わったのでしょうか?)。

       …うさぎちゃんのナレーション:「あと、顔は見れるけど、会えない人も…」

       テーブルでは、人型ルナがコップに牛乳を、うさママがカップに紅茶を注いでます。するとその時、テレビから美奈子の歌声が聴こえてきます…「♪はっぴたい、キス し て永遠…♪」…人型ルナとうさママは振り返り、「あっ、美奈子ちゃん♪」「相変わらず可愛いわねぇ〜っ!」

       …テレビの中の女子アナさん:「流れてきたこの曲は、愛野美奈子さんが、イギリスでも最も優秀なアーティストに贈られる、グリッター賞を、日本人として初めて受賞しましたっ」(←※この曲「Happy time,Happy life」は、ちょうど「スペシャル アクト」の一日前に合わせて発売された、現時点での実写版の最新CD「美少女戦士セーラームーン全曲集」にのみ収録されている、まさに新曲中の新曲で、この「全曲集」のラストを飾ってもおります(←CDの裏ジャケには「スペシャル アクト」の婚礼写真があしらわれてます)。なるほど、「Happy time,Happy life」と言う曲名が示しているように、イントロがまさに結婚式をイメージしてますし、歌詞の内容を見ても、今回の「スペシャル アクト」でめでたく結婚するうさぎちゃんの気持ちを、そのまま美奈子が代弁してくれてるコトが分かりますね…)…

 

       …うさぎちゃんのナレーション:「美奈子ちゃんの人気は、今や世界的。今もロンドンで新曲のレコーディング中です。あ、アルテミスも、当然いっしょっ。うふふ♪」(←美奈子の小脇に抱えられたアルテミィ〜スが、アップで抜かれます)(←公式の場なので、ぬいぐるみのフリをしてるため、ノーマル・バージョンです)…

       そこへ、ケータイのベルが鳴ります…ぴぴぴぴ…「あ、まこちゃん♪」…ぴっ♪(←ご覧の通り、もうセーラーケータイではありません…)…「もしもし…?」

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       「うん、こっちは大丈夫。ちゃんと可愛いの作ってるから安心しなさいって。…うん…」(←もちろん、まこちゃんの携帯も…)。

       …うさぎちゃんのナレーション:「まこちゃんは、あこがれのフラワー・アレンジメントの仕事に就けるように、猛勉強中ですっ」(←やはりと言うか、まこちゃんだけ、この人マジで「普通」だ…)…

       まこちゃんは、優雅にソファに横に座ってふんぞり返りながら、スケッチ・ブックに、ナニやらデッサンを描いております(←ブーケのデザインをしてるようですね)。おや?…ソファの上に立てかけてあるこの『カメのぬいぐるみだかクッションだか』は、元基がクラウンに置いてたやつですな…これがまこちゃんちにあると言うコトは、もう元基はクラウンでは働いていないコトになりますな…(←そう言えば、元基は「Final Act」の時点では、地場衛と同様に高校を卒業してたはずですから、仮にその後大学に行ってたとすると、今年はちょうどそれも卒業して就職1年目になってるはずですからな…)(←まさか2人は同棲でもしてるんでしょうか?)(←2人とも一人暮らしだった訳だしなぁ…)。

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       「うん、わかった♪ じゃあね♪」。ぴっ、ぱたんっ。うさぎちゃんは携帯をしまい、ふと壁の時計を見ます。時間は「7時52分」くらいです(←て言うか、すでにあれから20分が経過しておりますが、さっきフライパンに落とした卵は今頃…?)。それを見てうさぎちゃんは、「やだっ! 遅れちゃうっ!」とエプロンを脱ぎ、「ママぁっ、後片付け、お願いっ」と言いながら、自分で作った朝食の皿をテーブルに置いて急いで出て行きます。

       そのお皿をギョッと覗き込むうさママと人型ルナ…「!……」「……」「これは…、うさぎを鍛えるより、慣れさせた方が早いわね…。…彼に…!」「確かに…」(←顔を見合わせてうなずき合う2人…)。見ると、お皿の上には、見るも無残なオムレツらしき物体が…(←これ、一人前ずつ作っていたとして、一皿につき10分か…)(←10分も卵焼いてんなーっ!)。

       ※ さて、なぜ今回の「スペシャル アクト」では、その舞台が、「あの戦いから4年」後に設定されたのでしょうか? もちろんそれには、きちんとした理由があります。まず最初に、この「スペシャル アクト」が、原作の最終回のラスト・シ−ンに呼応した作品だからなんですね。その原作の最終回のラスト・シーンと言うのは、うさぎと衛の結婚式で終わってて、それがまさに、『ダーク・キングダム編』終了から『4シーズン後』にあたるからです(←ちなみに、アニメ版の最後では、この2人の結婚は描かれませんでした…)(←※ただし、第2シーズン「セーラームーンR」の中で、『未来目線の回想』としてなら、ちょっとだけ結婚式のシーンは出てきます)。

  

       前回も徹底検証したように、「セーラームーン」作品は季節の推移が『サザエさん方式』で進んでるため、うさぎ達の年齢そのものは2つしか歳を取っていない訳なのですが、しかしながら、その間に費やされた実時間はきちんと5シーズンが経過してます。つまり、実写版もそれに倣って、劇中のトータルの実時間を『5年間』に設定した訳です(←「セーラームーン」前史に相当する「コードネームはセーラーV」、及び「アクト ゼロ」はもちろん除く)。で、その間、原作・アニメでは、『ダーク・キングダム編』終了後、「あの戦いから4年」の間に一体ナニが起こっていたかと言えば、新しい敵が次々と現れ、千年後の未来から900歳の「ちびうさ」がやって来たり(←※実は、ちびうさの年齢設定が原作とアニメでは全く違ってた事に今更ながら気付きました…が、これについてはまた機会をあらためて説明したいと思います)、「外部太陽系戦士」が登場して宝塚チックになったり、「スターライツ」が登場して腐女子チックになったり、「セーラーギャラクシア」が登場して戦いの舞台が宇宙にまで及んだりなんかしちゃったりして、そりゃぁもう大騒ぎっ!…だった訳で御座います。

       …がしかしっ!ところが実写版の物語世界においては、『ダーク・キングダム編』終了後の『4年間』、そんな騒ぎなど一切起こってはいなかった訳なんですな。つまり今回の冒頭のセリフ「あの戦いから4年」と言う言葉の中には、その事実を、言外にハッキリと宣言すると言う、そんな重要な意味も含まれているんです。本稿で再三に渡って書いてきた通り、だから実写版には「ちびうさ」なる人物は存在しなかったし、「外部太陽系戦士」も現れる事なく、その「セーラームーン」世界は5年の幕を閉じたんです(←だから亜美ちゃんも、心置きなくアメリカに留学できてた訳です)。そもそも、「セーラームーン」世界における『戦い』とは何かと言えば、それはすなわち『幻の銀水晶の奪い合い』な訳です。だから言い方を変えると、「幻の銀水晶」は諸悪の根源だとも言える訳で、その「幻の銀水晶は砕け散った」今、それを求めて新しい敵がやって来る事もない訳ですから、「ちびうさ」「外部太陽系戦士」も出て来ようがなかった訳です。だから、「幻の銀水晶は砕け散った」実写版の「セーラームーン」世界では、うさぎちゃん達がこの先1000年も長生きするなんてコトにもなりません。だから実写版のうさぎちゃんは、未来のクリスタル・トーキョーで「ネオ・クイーン・セレニティ」に即位するなんてコトもありえません。前回も書いた通り、実写版は「竹取物語(かぐや姫)」の古典原文の思想を根底に置いてるため、『不老不死』『長寿の生命体』に憧れるなどと言う考え方を最初から否定してるからです。そしてそれはそのまま、前世にこだわる事の不毛を説き、あくまでも「今を見るべき」とした実写版の結論と、地続きの思想でもある訳です。

       さらにっ!もう一つ、「あの戦いから4年」と言うセリフについて言及しておかなければならない点があります。と言うのは、前回の「Final Act」終了時点の劇中カレンダーは、『平成16年(2004年)9月』で、その時うさぎちゃん達は中二でしたから、みんなはその年『14歳』だった訳です。と言う事は、その4年後である今年は、当然『平成20年(2008年)』となり、うさぎちゃん達は『高三で18歳』になるはずですよね? すなわちそれが、「スペシャル アクト」の劇中カレンダーになるはずです。

       ところがっ!これはもちろん後述しますが、この先の展開を見れば分かるように、実はそうなってないんですよねぇ…。そしてこれが、2つ目の理由でもある訳です。

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       さて、うさぎちゃんは、今日はデートだったようです。で、毎度の事ながら遅刻魔のうさぎちゃんは、待ち合わせ場所へ走って来ます…「まもる〜っ♪」で、毎度の事ながら時間に正確な地場衛(←A型)が、バイクにまたがって待っており、爽やかな笑顔で手を上げます。

       うさぎちゃんのナレーション:「彼っ、…地場衛っ♪」

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       二人乗りでバイクをかっ飛ばします…ぶろろろろぉぉぉぉ…!

       うさぎちゃんのナレーション:「話せば長い、あんなコトとか、こんなコトとか…、まあ、色々あったりしましたが、ついに来週…」…ここで、うさぎちゃんの左手の薬指の指輪がアップで抜かれ、「私たち、結婚しますっ♪」(←おおっ、そうなんですかっっ)。

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       ここで、今回限りのオープニング・テーマとして「Here We Go 〜信じる力」がBGMに流れ、「スペシャル アクト」のタイトルCGが出ます。で、二人が、これはデートと言うより、『うさぎちゃんの買い物に地場衛がつき合わされてるの図』…と言った様相を呈しておりますな…。

 

       まずは、ここはブライダルショップと言う所でしょうか? うさぎちゃんは、真っ赤なウェディングドレスを取って、「♪…『これどう?!』みたいに地場衛に見せております。しかし地場くんは、「…『う〜ん…ちょっと派手すぎじゃないかぁ?…』みたいに首をひねります…。するとうさぎちゃんは、「…『ん〜もうっ!』みたいにふくれっ面になります。

       うさぎちゃんは、今度は白いウェディングドレスを取り、「♪…『これは?!』みたいに地場衛に見せます。すると地場くんは、今度は「…『うん…やっぱり白だろう…』みたいにうなずきます(←地場くんらしい趣味ですな…彼はA型ですから、基本的にオーソドックスなのがいいんです)。

       で、その様子を背景に、キャスト表示が映し出されていきます。

       亜美ちゃんのキャスト表示が、「水野亜美 梨華」になっております(←ちなみに、この「梨華」さんのコトを、「浜千咲」さんのそっくりさんだと思ってた方もいらっしゃるようです…(←でも、ワシも知らないで見てたら、きっとそう思っていたかもしれません…)(←それにしてもよく似てるよなぁ…)。

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       で、色々と回ったあと、2人は再びバイクで移動して、今度は、毎度お馴染みの商店街の中を歩いております。

      ここで「Here We Go 〜信じる力」のBGMがフェード・アウトします…

       うさぎちゃんはもうルンルンな感じで、「結婚式ね、亜美ちゃんも美奈子ちゃんも間に合うってっ♪ 仕事キャンセルしたりしてくれたみたい」「…」(←地場くんは何故か渋い表情に…)(←彼は、美奈子にはセーラーV時代にいじめられてるので、未だにそれで根に持ってるんでしょうか?)。「レイちゃんとまこちゃんは大丈夫だし、みんな揃うの久しぶりでスッゴイ楽しみっ♪ 早く会いたいなぁ〜っ♪」「……『オレは基本的に、アイツらにあんまいい思い出ないからなぁ…』(←みたいな…)。

       ここでうさぎちゃんは、いきなり「あっ! アレ可愛いっっ!」と、ナンか見つけたらしく、大はしゃぎで駆け出します。さすがの地場くんも、そんなうさぎちゃんに呆れ顔です。

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       オープン・カフェにて…。

       ちなみにここは、Act.33でうさぎちゃんが地場衛にマフラーを渡した時と同じお店ですね。当時は屋根に書いてあるお店の名前が「Hibiya Saroh」とローマ字表記になっておったのですが、今回は「日比谷茶廊」と漢字表記に変わってます。でも、表記が変わってるだけで、同じお店です(←実際のお店はオープン・カフェではなく、テラス・レストランと言うコトだそうです)。

       二人はテーブルに向かい合って座り、「見て見てっ、このカード、可愛くない? でねっ、これをね、付けてぇ…。それでね、来てくれた人一人ひとりに、メッセージ書いて渡すのっ♪」(←すでに、うさぎちゃんの前にはアイス・ティー、地場衛の前にはホット・コーヒーが来ております「あと、小さいプレゼントと、お花も付けたいかなっ。それを、ぜんぶ2人で準備したいから、あしたからやらないとっ」「…『ゲッ、マジかよぉ…』(←みたいな…)。「人にやってもらったんじゃ心がこもってないし…。あと、パーティーの時の音楽はぁ……」(←どうやら今日の買い物は、結婚式の準備関連のモノだったようですな)。

       ここでうさぎちゃんは、地場衛が下を向いてつまんなそうに自分の指先をいじくってるのに気付くと、「ん、ねぇ? 聞いてる?」「……ん? ……あぁ…、全部お前の好きにしていいよ…」「ン、そうじゃなくてっ、2人でやらなきゃっ」

       すると地場衛はタメ息をついて、「お前なぁ、結婚式するために結婚するんじゃないぞ」「!…ン、…そんなの分かってるよぉ…!」(←ホントにぃ?)。うさぎちゃんは、すっかりふくれっ面に…。

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       花屋さんにて…。

       まこちゃんが、さっき部屋でデザインしてたブーケのスケッチ・ブックを片手に、実際の花と照らし合わせてコーディネートを考えてるようです。鉛筆で、「…デ、ン、ベ、ラー…」とつぶやきながら書き込んでおります(←そう言う名前の花があるらしい…)。

       すると、その背後に元基がいて、いきなり「さっすがぁ、まこちゃんセンスいいよ、うさぎちゃんのイメージにピッタリ♪」とか話しかけます(←ナニげに荷物持ち要員と化している元基の図…)。まこちゃんは「うん…」と受け流すように返事だけして、さっさと次の花を物色し始めます。すると元基が荷物を抱えたままお尻に引っ付いて来て、「ウェディング・ケーキも作るって言ってなかった?」「うん、お祝い代わりにね」「はぁ〜、かぁ〜」(←感心したように大きくうなずく…)。

       「しっかしこんなに早く結婚するとはね?」「ちょっと早いよね?」(←話半分に聞きながら)。「やっぱ、まこちゃん的にも早すぎって感じ?」「うん……バーゼリア…」(←そう言う名前の花があるらしい…)。

       元基は、まこちゃんが結婚話にちっとも乗ってこないので、ナンか肩透かしを食ったように、「…はぁ…」としょんぼりしてしまいます。

       するとここで、まこちゃんの携帯がぴりりり…♪と鳴ります。「…あ、…うさぎだ…。もしもし…『まこちゃん?…あのね』、うん…」。その間、横で元基がしょげ返っちゃっております…「…『てコトは、まこちゃんはまだ、結婚なんて全然考えてないのかぁ…。がっくし…』(←だからキミ、前から言ってるだろうがっ、まこちゃんに遠回しな言い方は通じないってっ!)。

       『頼んでおいた結婚式の準備って、進んじゃってる?』…ちょうど今ブーケ…『それがね、実は、結婚式中止しようかと思って…』…はぁっ!?…結婚式中止?!」

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       レストランにて…。

       おおっ、ここは美奈子御用達のフランス・レストラン「シャンソニエ」じゃありませんか(←ただし、さすがに美奈子御用達の個室までは使えないようですな…)。

       「ナァンでここにきてケンカなんかするわけ?」「衛が悪いのっ!」。 

       「スーパー・グレード・シュー・マウンテンお待たせしましたぁ!」どんっ!(←ナンか、エライもんが出て来ましたな…)。「わぁ〜〜おいしそうっ。もうウェディング・ドレス着るためにダイエットしなくていんだもんねっ。いただきまーすっ!」(←コレ、全部一人で食う気か!?)。「ホンっトにいいの? ちょっと話し合ってみれば?」(←一方のまこちゃんは、コレ、ナニを頼んだんでしょうか?…まこちゃんの前にある器の中身は、茶色っぽいスープにしか見えませんでしたが…)。

       すると、「スーパー・グレード・シュー・マウンテン」をパクついてたうさぎちゃんの動きが急に止まり、「……ん゛…………トイレ…」と言って席を立ちます。「……」

       このシーンのうさぎちゃんとまこちゃんのやり取りは、Act.17での2人のやり取りと全く一緒ですね。あの時も、まこちゃんが「だからぁ…タキシード仮面はやめときなって!」と親身になって忠告するのを、うさぎちゃんは話半分に聞き流しなら、「あ〜っ! お腹空いちゃったっ!」とか言って一人でさっさと駆け出したりとかしてたんですよね。何か嫌な事があった時に、それと正面から向き合おうとせず、その場をごまかすように明るく振舞おうとする(←その際、必ずヤケ食いする)、そんなうさぎちゃんのクセが出ております。

       うさぎちゃんは、「ん゛、ん゛、ん゛…!」と店内を駆け抜けて行きます(←これは、今朝自分で作ったオムレツを食って当たったんだな…)(←てコトは、今頃うさママと人型ルナも…)。

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       で、うさぎちゃんが通り過ぎた別室に、元基と地場衛がいて、元基が地場衛に説教しております…。

       元基:「そりゃぁお前の方が悪いって」。地場衛:「……」(←ふてくされ…)。「結婚式って言ったら女の子にとって一生の夢なんだからさ」「だから好きにしていいって言ったんだっ、十分だろ?」「う〜ん…」「それ以外だって、オレがアイツに花束渡す儀式だとか、色々やらされるんだからな。正直キツイぞ…」(←タメ息まじりに…)。「分かってないなぁ…。そう言うのが思い出なんだよ。いいから謝っちゃえって。結婚式どころか(←指輪をはずしてテーブルに置く仕草をしながら)、結婚やめるっ!…って言い出したらどうすんの?」「…別に、やめたきゃやめればいい…!『お前の言い分は、一生尻に敷かれたいヤツにとっちゃ正論だろうがな』(←きっぱり…)(←要するに、この時点ではまだ痴話ゲンカの段階だったので、やめるのは結婚式だけで、結婚そのものはするって話だったんですな)。

       「あっそ…!」。地場衛:「?…」。元基:「あっ…!」

       いきなり、うさぎちゃんが2人のテーブルの横に仁王立ちしており、「衛がその程度だったんなら、私もお断りっ!」と言って、指輪をさっと引き抜きます。地場衛は呆れたように、「おい、バカなコトするなよ…!」「バカってナニよぉ!」(←出たっ、久しぶり)(←どうやらこのセリフは、2人の心が通じ合ってない時にしか出ないようですな)。

       うさぎちゃんは元基がやったのを真似して、「結婚やめるっ!」と言うと、指輪をテーブルの上に叩きつけるように置いてしまいました…ばんっ!

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       その晩の月野邸にて…。

       うさぎちゃんの部屋の中が、すっかり模様替えされてますね。ベッドの位置自体は同じなのですが、向きが変わってます。それ以外は、勉強机から何から、全て場所が変わってます。で、いつもカレンダーが貼ってあった壁にはもうカレンダーが貼られてないので、今回の劇中カレンダーも、詳しいコトまではちょっと特定できません。

       うさぎちゃんがベッドですやすやと眠っている横で、ぬいぐるみルナがテーブルの上に乗って、窓から夜空の月を見上げております。

       テーブルの上には、「Happy Wedding」と言う結婚に関する雑誌が置いてありますね(←「結婚やめるっ!」とか啖呵切ってたくせに、このようなモノが捨てずに取ってあると言う事は、昼間の一件について、ちょっと後悔の念があるんでしょうか…)。

       ぬいぐるみルナ(←ノーマル・バージョン)は、夜空の月に向かって、「……聞こえますか……………クイーン…、セレニティ…」と言います(←って、えぇっ!? クイーンいるの?!)。

        ★  ★  ★  ★  

       すると、月の表面に、巨大なガラス張りのドームに覆われたムーン・キャッスルが映し出され、お城の天辺から光が放射されます。

       ※ ちなみに原作の設定では、『ダーク・キングダム編』の最終回で、セーラームーンがメタリアを封印した際、「幻の銀水晶」の力を解放した事によって、その影響でシルバー・ミレニアムが復活し、瓦礫となっていたムーン・キャッスルが再生されてるんですね。なので、これはおそらく、実写版でもそれと同じ現象が起きていたと言う設定なのかもしれません(←ちなみにアニメ版では、そのような現象は起きておりませんでした)。だとすると、前回の「Final Act」以前には、ルナもアルテミィ〜スも、おそらく直接月に行かない限りは、このように、地球にいながらにしてクイーンと交信する事はできなかったはずです(←できるモンならやってるはずですからな…)(←たとえば、じゃじゃ馬の『プリンセス・セーラームーンA』を直接叱ってもらうとか…)。

        ★  ★  ★  ★  

       その光がうさぎちゃんの部屋まで届くと、テーブルの上に、な、ナンと、クイーン・セレニティの幻影が現れたではありませんかっ!(←おおっ! いらっしゃったんですかっ!)(←て言うか、これもおそらく原作と同じ設定で、月の宮殿のコンピューターが作り出してるホログラムで、肉体はすでに滅んでしまってるんでしょうな…)。

       で、このクイーン・セレニティはエライ美人で、ワシは最初、「高木美保さんか?」と思ってしまったのですが、よく見ると、うさぎちゃんの中の人が演じてるようですな(←確かに、原作もアニメ版も、クイーン・セレニティはプリンセス・セレニティをそのまま大人っぽくしたような感じで、容姿はそっくりでしたからね)。ただし、エンディングのキャスト表示には、声のアフレコがうさぎちゃんの中の人とは別の方になっておりました(←アニメ版でも、もちろん声は違う人でした)。これはおそらく、うさぎちゃんの中の人が自ら声まで担当してしまうと、『プリンセス・セーラームーン(=前世のプリンセス)』と区別が付かなくなっちゃうので、わざと変えてるんですね。原作・アニメでも「クイーン」「プリンセス」はよく似てましたから、実写版ではいっそのコト一人二役で演じてもらい、その代わり、完全に別人である事を示すために、声だけ別の声優さんを当てたんですね。

       クイーン・セレニティ:「ルナ…、プリンセスのお目付け、ご苦労様…。なにかあったようですね…」「クイーン、大変なんですっ。プリンセスがエンディミオンとの結婚をやめるなんて…。せっかく前世の運命を乗り越えて結ばれたのに、うさぎちゃんったらもぉ…」

       「見守りましょう…。こういう事は、なるようになります」(←さすが…達観してらっしゃる…)。「そ、そんなぁ…!」「2人の幸せを、前世からずっと待っていたんですもの。今さら焦ってはいけません」「は、はぁ…」(←とほほバージョン)。

       「それより、ルナ。本当に大変な事が起こるかもしれませんよ。…邪悪な力を感じます…。なにかが目覚めようとしているような…」「ええっ! そんなぁ…!」(←真顔バージョン)。

       するとその時、ベッドで寝ていたうさぎちゃんが、ルナのその声が聞こえたのか、寝ながら片手で目をこすり始めました。

       「幻の銀水晶が、砕けてしまった今、うさぎちゃん達は、変身できないのに…!」(←あれ?…それはそうと、だったらルナは、なぜ未だに人型化していられるんだ?…ルナのあの人型化も、元を正せば「幻の銀水晶」の力ゆえだったんじゃ…?)。クイーン・セレニティはうなずくと、「くれぐれも気をつけなさい」「はい…」

       ここで、うさぎちゃんが目を覚まして上体を起こし、「…ルナぁ…?」と言います。するとクイーン・セレニティは、そのうさぎちゃんにちらっと目をやったかと思うと、すかさずその場から消え去ってしまいました。

       ぬいぐるみルナはうさぎちゃんの方を向くと、「うさぎちゃん…」「…ん…?」

       さて、前回までのテレビ・シリーズでは完全に封印されていた「クイーン・セレニティ」ですが、この「スペシャル アクト」ではついに出て来ましたね。もう『前世のプリンセス』『プリンセス・セーラームーン』もいなくなりましたから、このように、『神のポジション的な役割』を果たす人がいない訳ですからね。しかし、原作やアニメとは違い、実写版のクイーンは、決してうさぎちゃんと会おうとはせず、うさぎちゃんが目を覚まして起きだしたの見て、すぐにその姿を消してしまい、ルナもクイーンの出現については、うさぎちゃんに何も話しませんでした。なぜクイーン・セレニティは、うさぎちゃんと目も会わそうともせず、まるで逃げるようにして消え去ってしまったのでしょうか? これは、うさぎちゃんに『前世の記憶』が戻っていない以上、現世の「月野うさぎ」の母親は、断じて「月野育子」一人でなくてはならないからです。だからこそ、「スペシャル アクト」における実写版のクイーンは、自分が『プリンセスの母親』として名乗り出る事を良しとせず、その感情を押し殺すようにして、その姿すら、うさぎちゃんに見せようともしないんですね(←その心中やいかに…)。うさぎちゃんは、Act.10において、火川神社の子供会のかぐや姫の紙芝居の最中に、「あのさぁ…私達も、ルナみたいに、月から来たのかなぁ…あたし…ママの本当の子供じゃなかったりする?」と言って泣き出してしまったくらいですからね。

 

 

 ★  ★  ★  ★   【前のチャプター▲】【U.新たな敵】【次のチャプター▼】 ★  ★  ★  ★  

 

       翌日…。とある廃屋にて…。

       ここは、ナンかの倉庫だったんでしょうか…。ドラム缶やらタイヤやら、大きな木箱やらが雑然とあちこちに転がっております。すると、部屋の一角の物陰から、ナニやら怪しげな光が立ち込め、それが点滅を繰り返します…(←ナンか、かつてのメタリアの塔の点滅を思わせますな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       その建物の外は、林や草むらに覆われてて、そこへ人型ルナが、何か不安そうな面持ちで、恐る恐る歩を進めております。人型ルナは、「…『ナンか、嫌〜な感じ…』みたいな顔をして建物の中を覗き込み、中に入ります(←おや? この天井の感じからして、ここは、Act.6やAct.21でもダーク・キングダムの隠れ家的な廃屋として使われてた場所みたいですな)。

       人型ルナは立ち止まって中を見回します…「…クイーンが言ってた通り、確かにナニか感じるわ…。メタリアが消えてから、何もなかったのに…」

       すると、人型ルナの背後に、ナニやら怪しげな気配が忍び寄り、人型ルナはさっと振り返ります…「!…誰かいる…!」

       すると、コッ…、コッ…、コッ…と靴音が近付いてきます…「誰っ!?」

       黒い人影が光の前に出ると、それはナンとレイちゃんじゃありませんかっ!(←どことなく、OLチックな私服姿ですな)。「……レイちゃん?…」

       ところが、なぜかレイちゃんはニコリともせず、終始無表情のまま、「……久しぶりね…」と言います(←ナンか怖いっス…)(←レイちゃんは、ここにルナがいた事によって自分の『悪い予感』が当たってしまったと分かったために、この「久しぶり」を歓迎できない気持ちがあったんですね)。で、その直後に、やっとかすかに笑みを浮かべてくれて、人型ルナがレイちゃんのところへ駆け寄ります…「どうしてこんな所に?」「たぶん、ルナと同じ理由よ」(←てコトは、昨日の朝の段階で、あのろうそくの炎でそれを察知してたんですな)(←すごいぞっ、クイーン・セレニティよりも危機察知が早いっ!)。「感じたの? レイちゃんも?」。レイちゃんは黙ってうなずき…「…この気配…普通じゃないわね。…邪悪で…、強い…『しかも…、日本人離れしている…』(←で、あまりの胸騒ぎに居ても立ってもいられなくなり、今朝、朝一番で京都からこの現場に駆けつけたんですな)。「…うん…」

       するとその時、ナニやら怪しげな音が響いてきて、レイちゃんは、人型ルナに静かにするよう手で合図しながら振り返ります。見ると、床の一部が、ナニやら赤く光り始めたではありませんか。「!…」「はっ!…ナニか来るっ!」レイちゃんはそう言うと、いきなりばっ!と上着を剥ぎ取るようにして、結わいていた髪を振りほどきながら回転し、上着を空高く放り投げると、な、ナンとっ!一瞬にして『巫女さんレイちゃん』に変身しちゃったではありませんかっ!(←ってロボット刑事かよっ!)(←この変身シーンを際立たせるために、京都のシーンではわざと黒い袴をはかせてたんですね)(←レイちゃんは、Act.3でセーラーマーズに覚醒する前から、巫女さんとして、こうやって「もののけ」事件を解決しようとしてましたからね)。

       そして『巫女さんレイちゃん』は、赤く光る地面を見据え、人型ルナが『巫女さんレイちゃん』の横に並び立ちます。しかし『巫女さんレイちゃん』は人型ルナに、「下がって…『この手のもののけは、あたしの専門分野よ…』と言って下がらせます。

       すると次の瞬間、その赤い光が、強く黄色い光を一気に天井に向かって放射させ、その勢いで『巫女さんレイちゃん』「う゛っ!」と弾き飛ばされてしまいます。「レイちゃんっ!」

       すると、そこから姿を現したのは、な、ナンと…黒木ミオ?…じゃないですかコレ…? その横顔の口元のアップが映し出され、その口がニヤリと笑うと、そのまま画面が暗転してしまいました…。

        ★  ★  ★  ★  

       その夜…。

       ここは、どうやら遊園地の跡地みたいですな。南京錠で閉じられた入り口の金網に、「この度を持ちまして営業を終了する事となりました。永年のご愛顧まことに、ありがとうございました。 ピエロの王国」と言う看板が掛けられており、それが雨風にさらされて汚れております。あれ?…ここはもしかして、Act.41で『メタリア妖魔』が登場した「小山ゆうえんち」じゃないですかね?(←※実は、ここは親会社の倒産を期に経営が苦しくなり、実写版の放映終了後の2005年3月に、ついに閉園されてしまったそうな…。今では、その跡地にはもうメリーゴーランドとコーヒーカップしか残っていないそうな…)。

       その跡地内に、お城のような建物があり、そこも廃屋になってますが、そこに、先ほどの黒木ミオが現れます…「ちょっと狭いけど、新しいダーク・キングダムが出来るまでは仕方ないか…」(←おいっ、レイちゃんはどうしたんだよ!?)…そう言って、床に転がっていた犬のぬいぐるみ(←ボロボロに破けてて、中の綿が飛び出しちゃってます)を拾い上げ、「ねぇ〜チャッピー♪」と話しかけます(←黒木ミオは、Act.32でも、自分の車の中に犬のぬいぐるみを一杯置いていたんですよね。なので、彼女が犬のぬいぐるみが好きなのは分かっておりましたが…)。

       黒木ミオは、ここで振り返って笑顔を見せると、真っ暗でボロボロだったお城の内装が、一瞬のうちにしてポップで豪華なサロン風の内装に早変わりします(←おおっ、ベリル様仕込の魔力は健在なんですな)。すると、ズタズタだった犬のぬいぐるみ「チャッピー」も新品に…。

       そして、黒木ミオがパチンっ!と指を鳴らすと、ピエロさん達がわんさか出て来て、ラッパを吹いたり、アクロバチックな踊りを見せたりして、ほとんどミュージカル状態で大騒ぎとなり、黒木ミオも満足そうです。

       で、ピエロさん達はひとしきり騒いだ後、全員が整列して跪き、黒木ミオを仰ぎ見ます。すると黒木ミオは、笑顔でもう一度指をパチンっ!と鳴らします。すると今度は妖魔が一匹出てきて、「ソ〜〜ド…」(←コイツは『ソード妖魔』と名付けよう)、もう一匹出て来て「シ〜〜ルド…」(←同じく、コイツは『シールド妖魔』と名付けよう)とそれぞれ言っておりました。で、さらにもう一度黒木ミオが指をパチンっ!と鳴らすと、ナンと黒木ミオが、『クイン・黒木ミオ』(←勝手に命名)に変身したではありませんかっ!

        ★  ★  ★  ★  

       日付変わって、お馴染み、「港区立 十番病院」にて…。

       病室のベッドに、ナンとレイちゃんが寝ております。両腕と頭に包帯を巻いて、左目もガーゼで塞がれちゃっております(←って、いったい黒木ミオのヤローにナニされたんだ!?)。ベッドの脇には、点滴の器具も置いてあります(←それにしても、セーラーマーズ時代はヴィーナスに次ぐ最強の戦士だったのに…ナンで黒木ミオごときに…)…「うっ…、うっ…」(←しかも、うなされちゃっております)。

       ベッドの脇には、丸イスが一つ置いてありますから、これは、人型ルナが付きっ切りで看病してたってコトなんでしょうけど、昨日、黒木ミオがレイちゃん達の前に現れた時、それは、まだ明るい時間帯でした。しかし、その直後に黒木ミオが「ピエロの王国」に現れた時には、すでに夜になってましたから、てコトは、あのあと、『黒木ミオ』『巫女さんレイちゃん』の間で、おそらく、毎度お馴染みの長時間に渡る壮絶なバトルが展開されてて(←ナンたって『巫女さんレイちゃん』は、『素』の状態でも『御札(おふだ)攻撃』が使えますからね)、その結果、『巫女さんレイちゃん』が完膚なきまでに叩きのめされちゃったに違いありません。で、そのあと、人型ルナが救急車で病院に担ぎ込んだものの、すでに病院の面会時間も過ぎてたため(←こんな重体では面会謝絶でしょうし)、だからうさぎちゃんは翌日になってから駆けつけるんですね。ルナは、ぬいぐるみ化すれば、いつでもどこでも神出鬼没なので、面会時間も面会謝絶も関係なくレイちゃんに付き添える訳ですからね。

        ★  ★  ★  ★  

       商店街にて…。

       うさぎちゃんが走っております…「…(心の声→)どういうコト?! どうしてレイちゃんが…」(←病院に向かってるようです)。

       で、ナニげにビルの一角の大型街頭ビジョンには、「ジャパネットたかた」みたいなテレビショッピングが映ってて、商品の宣伝をしております…「あ〜んな健康グッズ、こ〜んな健康グッズを使ったけどもぉ、ナンのこったっ、やっちまったぁっ!とお嘆きの皆様にお送りする商品はっ!…コレぇ〜っ!」。さくらのみなさん:「おおぉ…!」。するとその時、いきなり画面が電波ジャックされ、『クイン・黒木ミオ』が、マイクの前で、「チャッピー」を片手に歌っております。

       「♪やーりきーれなーいー、朝もーやの午ぜーんー5時、おーなじ、ストーリーくーりかーえしーてぇ〜、だーれかとたぁだぁ〜よりそってー、いたいだけ〜、もっとー、自由にー、感じーたい〜、チェンジョオペ〜〜♪」(←「Change of pace / 黒木ミオ (有紗)」)(←ナニげにこの歌詞は、黒木ミオの心理を代弁でもしてるのでしょうか…)。    

   

       それを聴いて、うさぎちゃんが急に立ち止まって振り返り、街頭ビジョンを見上げます…「ナニ、これ?……うそ…、ミオちゃん?…『確かメタリア・エンディミオンに殺されたはずじゃ…』

       すると、『クイン・黒木ミオ』がマイクの前から飛び降りてカメラの前に出て来てます…「みなさんお久しぶりっ、黒木ミオでぇ〜すっ♪」(←おいおい、どーでもいいけど、それじゃ口パクで歌ってたのがバレバレだぞ…)(←BGMのCD止めないと…)。「スーパーアイドルだったミオだけど、今度っ、地球のクインとしてデビューするコトになりましたぁ〜っ♪」(←今、「クイン」って言ったよね?)。

       「…『はぁ?!ナニ寝ぼけたコトぬかしとんじゃワレ…』(←みたいな…)。

       「でも、そのためにはみんなのエナジーが必要なんだよね〜〜。ねぇチャッピー? うんっ」(←モロに腹話術?)。「協力してくれるよね? 今から、可愛いピエロくん達が、みんなのエナジーを、集めに行っちゃいますっ。抵抗なんかしちゃダメだよ? よろしくっ♪」

       「ナンでミオちゃんが…『そんな大それた野望を…』(←だって、元を正せば、『前世の若き日のベリル』と同じDNAだもんね…)。

       ここで黒木ミオは、「みなさんお久しぶりっ、黒木ミオでぇ〜すっ♪ スーパーアイドルだったミオだけど」と言いましたね。これはつまり、黒木ミオがアイドルとして芸能活動をしていた時期が過去に存在し、その時の記憶が「みなさん」の中にあると言う事ですから、前回の「Final Act」において、やはり『時間の逆戻り現象』など起こってなかったのだと言う事がここからも分かる訳です。もしも「Final Act」で時間が1年前に戻ったのなら、『黒木ミオがアイドルとして存在していた事実』もきれいに消えてしまってる訳ですから、そうなると黒木ミオは、ここで、世間の人々に向かってこのような挨拶などできるはずがないからです。もしも仮に、『時間の逆戻り現象』が起きて1年前に戻り、その時点からパラレル・ワールドに突入したと言うのなら、黒木ミオは、この復活後にまた最初からデビューし直さなければならないんです(←※それ以前に、『時間の逆戻り現象』が起きたら、始めから黒木ミオ自体が存在し得ない事にもなる)。つまり、何度でも言いますが、実写版の時間軸に一切変化は起きておらず、時間はそのままずっと継続して流れ続けているんです。

        ★  ★  ★  ★  

       で、早速その「可愛いピエロくん達」がお出ましです。

       ところが、その「ピエロくん達」は最初、周りにいた人々に花を差し出したりして喜ばせ、危害を加えるような素振りは見せません。しかし、そうやってみんなを安心させてる隙に全員で人々を取り囲み、一気に本性をむき出しにして襲い掛かり、エナジーを吸い取り始め、それを風船に溜め込んでおります(←こう言うやり口は、いかにも『黒木ミオ的』ですな)。

       「!…妖魔…!」。うさぎちゃんは、以前ならすぐに変身してるところですが、しかしもはや「幻の銀水晶」も消えてその能力は失われており、思わず自分の胸に手を当てて変身ブローチのない事を確認してしまいます(←あれ? 地場衛とケンカしたあとなので、今日は「ムーンフェイズ」の懐中時計も下げてませんね)。それでもうさぎちゃんは、人々がバタバタと倒れていくのを見て放っておけず、「みんなっ、こっちへっ! 逃げてっ!」と叫んで連中から逃がそうとします。

       すると、小さい女の子が「ママっ、ママっ…!」と、お母さんとはぐれて泣いてるのを見つけ、うさぎちゃんは、その子が「ピエロくん」に襲われそうになってる所へ走って行き、ソイツに体当たりするように両手で突き飛ばします…「えいっ!」。うさぎちゃんは、女の子に「逃げてっ!」「うんっ」と言って逃がしますが、今度は、その突き飛ばされた「ピエロくん」が剣を出して、うさぎちゃんに襲い掛かってきます。

       で、その「ピエロくん」がうさぎちゃん目掛けて剣を振り下ろしてきたその時っ!

       かきんっ! 「あっ」。いきなり横からステッキが出て来て「ピエロくん」の剣を受け止め、そのまま剣を弾き飛ばしてしまいます(←おおっ! タキシード仮面じゃないかっ!)(←♪ちゃららちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃらぁ〜〜っ♪)。

 

       「まもる…!」タキシード仮面は、「ピエロくん達」を2匹ほど蹴散らすと、「うさぎっ、下がってろっ!…『て言うか、この格好してる時に「まもる」って言うなっ!基本ドロボーなんだからっ!』と声をかけます。

       するとうさぎちゃんは、急にふくれっ面になり、「命令しないでよっ!私だって…『生身でもそこそこやれるんだからっ!』と辺りを見回し…「…『えっと、バスケのボールでも落ちてないかなぁ…』「!」と、下に落ちてた木の枝を拾うと、それを構えて戦う姿勢を見せます(←う〜ん…)。

       するとタキシード仮面は、「バカっ、お前はもうセーラームーンじゃないんだぞ!」(←ちなみに、なぜここでタキシード仮面が出てきたのかと言うと、うさぎちゃんが「もうセーラームーンじゃない」ように、一方の地場衛も、『もう、めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオンには変身できない』と言うコトを言外に示すためですね)。「バカってナニよっ!『て言うか、「素」の格好してる時に「セーラームーン」って言わないでよっ!』(←また出たっ!今回2発目)…そう言ってうさぎちゃんがタキシード仮面に詰め寄った瞬間、どかーんっ!…2人は、何者かに爆撃を食らわされます…「きゃっ!」「うっ!」

       するとそこに、ナンと四天王が登場します。まずクンツァイト…、それをタキシード仮面が「…『ナニ…!?』みたいに見やります…それからゾイサイト…、それをタキシード仮面が「!…『お前も!?』みたいに見やります…2人は並んで、剣を携えてゆっくりと歩み寄って来ます。

       すると今度は、反対方向からネフライトとジェダイトくんもやって来ます(←みんな無表情で、まるでナニかに操られてるような…)。「え…!?」うさぎちゃんとタキシード仮面は、四天王に取り囲まれます…「……お前達…」

       するとクンツァイトが、普通の砕けた表情で、「久しぶりだな…。マスター…」と言います(←前回の「Final Act」では、最後、天使バージョンのクンツァイトはマスターに対して敬語を使ってたのに、また元に戻っちゃってますな…)。「四天王…、どうして…!?」

       クンツァイト:「我らの新しい女王がお呼びだ…。一緒に来てもらおう」。タキシード仮面:「新しい女王?…どういうコトだ?…」。するとクンツァイトはニヤリと笑い、「来ればわかる…」

       四天王は一斉に剣を突き出して、その剣先から『捕獲ビーム』(←勝手に命名)を放って2人に浴びせます。

       と、その時、その現場にセーラールナが駆けつけて来て(←ってええっ!? ナンでキミは変身できんのぉ?!)「!…うさぎちゃんっ!」

       さて、前回の「Final Act」までの本編においても謎の多かった実写版ですが、今回の「スペシャル アクト」においては、それに輪をかけて謎だらけです。しかも、その謎には一切謎解きのヒントが見出せないため、検証不能な事ばかりで、この、『なぜルナは人型でい続けられるのか?』に続いて、『なぜルナは変身できるのか?』についても、ワシには全く解釈のしようがありません…(←とほほ…)。要するに(↓)

       クンツァイト:『どうしてお前がここにいる!? 幻の銀水晶は砕け散ったはずだろう!?』

       セーラールナ:『このテレビの前に集まった、よいこのみんなのために帰ってきたのよっ』

       クンツァイト:『答えになっていないっ! お前は設定はぬいぐるみに戻ったはずだっ!』

       セーラールナ:『もう一度言うわよ、このテレビの前に集まったよいこのみんなのために帰ってきたのよっ!』

       テレビの前のよいこのみんな:『わーい、わーいっ♪』(←ぱちぱちぱち…!)。

       クンツァイト:『少し動揺が隠せないでいるな? まあいい。お前は大人の世界に入ったと言う事にしよう。大人の都合でお前はそうなっているんだな?』

       セーラールナ:『……』(←苦笑い…)。

       四天王は、2人を連れ去って消えてしまいます。「うさぎちゃんっ! まもるくんっ!」(←さすがにもう、本人に向かって「地場衛」とか「エンディミオン」とは呼ばないみたいですな…)。

 

 

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       こちらはまこちゃん…。

       また今日も、このあいだのお花屋さんにいて、そこでルナからの連絡を携帯で受けます…「えっ! うさぎがっ!?」

       まこちゃんがこのお花屋さんにいると言う事は、まこちゃんは、うさぎちゃんと地場衛のケンカを『どうせ一時的なコト』と考えて、自分は、最初にうさぎちゃんから頼まれていた『結婚式の準備』を、こうして着々と進めている…と言う事なんですね(←さすがまこちゃんだ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       「TREATMENT」(←診療室ってコトですかね?)と書かれた部屋のドアをがちゃっ!と開け、白衣姿のまま血相変えて飛び出してきました。

       亜美ちゃんが廊下を走ってると、すれ違った外人さんのドクターさんが、「Ami,Your operating room is this way!(←ヒアリングてきとー)(亜美 手術室はこっちだ)」すると亜美ちゃんは走りながら振り返りもせず、「This is a way to Japan!(←ヒアリングてきとー)(日本はこっちなんです!)と答えて走り去って行きます(←亜美ちゃんもルナから連絡を受けたようです)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは美奈子…。

       車で移動中のようです。後部座席の左側に座り、革ジャン姿で、アルテミィ〜スを小脇に抱えております。美奈子は運転手兼ボディガードAに、「道を変えてっ、ヒースロー空港よ、急いで!」。助手席のボディガードB:「え?! しかし、レコーディングが…」「キャンセルして!」。美奈子はシートに背をもたれると、ボソッと、「…日本に…、行かなきゃ…『運命は…、変えられないの…』(←みたいな…)。「大変なコトに……お、おおっ!」(←ここで車が急に方向転換のスピンをします)…きききぃ〜〜っ!(←車はやっぱりベンツですね)(←おおっ、さすがロンドン、トンネルの外は雨が降っております)。車は再びトンネルの中へ戻って走って行きます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、「ピエロの王国」跡地…。

       お城の中の『クイン・黒木ミオ』のサロンには、人々から吸い取ったエナジーの風船がたくさん並べられ、そこから人々のうめき声が漏れ聞こえて来ます…。

       で、『クイン・黒木ミオ』がそれを満足そうに眺めたあと、ひゅいっと振り返り、「ようこそ、あたしのお城へっ♪」。その横には、四天王が整列してボケッと突っ立ております。

       うさぎちゃんと地場衛が、両手首に、中世ヨーロッパの手錠みたいなゴツイのをはめられて、仏頂面して立っております…(←地場くんは、『タキシード仮面・変装グッズ一式』を身包み没収されてしまい、パワースーツと武器のステッキも奪われてしまったんですね)

       「うさぎちゃん、久しぶり♪ まもるくん、元気そうだね?」「いったいナンの真似だ…」。すると『クイン・黒木ミオ』は、2人に歩み寄りながら、「放送見てくれなかったぁ? あたし、地球を支配するコトに決めちゃったっ、 女王になるのっ♪」(←えらい簡単に言ってくれちゃってますな…)(←まあ、もっとも、「メタリア」「幻の銀水晶」も消えた今となっちゃ、黒木ミオぐらいの力でも、じゅうぶん世界征服は可能なのかもしれませんなぁ…)。

       「どうしてそんなコト…、みんなのエナジー返してっ」「ダ〜〜メっ。…で、エナジーの方はいんだけどぉ…」(←ここで地場衛の方を向き)、「もう一つっ、足りないモノがあるんだよねぇ〜。ほら、女王様の隣にっ」と言って後ろを指し示すと、いつの間にか『クイン・黒木ミオ』の実物大パネルが置いてあり、それが腕組みをしながら困った顔で首をかしげております。「さて(←実物大パネルA)、ナンで(←実物大パネルB)、しょー(←実物大パネルC)、かっ?(←実物大パネルD)仏頂面の地場くん曰く…「お前はクイズをやりたくてオレ達を連れて来たのか…!」「もぉ〜〜、鈍いなぁ…、王様だよ王様っ。まもるくんに、なってもらおうと思ってっ。…つまり、あたしと結婚するのっ♪」「……えっ!?」「…『けっ、また結婚かよ…』(←みたいな…)。「ごめんねぇ、うさぎちゃん…。うさぎちゃんのエナジーは、結婚式が終わったらもらうね? 私達へのお祝いとしてっ」「……ミオちゃん…!」「それまでちょっと待ってて。準備が大変なんだよね?」…そう言うと『クイン・黒木ミオ』は、杖を一振りして2人をどこかへすっ飛ばして消してしまいました(←おおっ、ベリル様並みの力ですな…)。「あぁ〜楽しみっ♪ ねぇチャッピー? うん♪」(←「チャッピー」は、「うん」しか言えないらしい…)…『クイン・黒木ミオ』はその場を立ち去ります。

       そのあと、ぼーっと突っ立ってる四天王が、左からジェダイトくん、ネフライト、ゾイサイト、クンツァイトと順にアップで映されますが、みんなさっきから人形のような表情をしたまま、ナンのリアクションもありません…。

       さて、この黒木ミオですが、本稿では再三に渡って書いてまいりましたが、本稿の解釈(=妄想)では、黒木ミオは『前世のベリルが14歳だった時のクローン』です(←勝手に断言)。そう仮定した場合、彼女は、ジェダイトくんがどうやって作ったにせよ、前世のベリルがメタリアに魂を売り渡す以前の「普通の人間」がクローン化されたものであり、そこに、現世のベリル様が、後付で「わらわの力」を加えた存在です。ですから、彼女はベリル様とは違ってメタリアに魂を売り渡してはおらず、しかも彼女は彼女で固有の人格を有してますから、ゾイサイトが表現した「あれはクイン・ベリルの影」と言うのも、彼女のほんの一面だけを捉えているに過ぎず、厳密には正確とは言えません。で、本稿のAct.36の時にも書きましたが、この、『メタリアに魂を売り渡すか』と言うのを根拠に、ベリル様と黒木ミオは、前回の「Final Act」における、「幻の銀水晶の力を全部開放」した事による『地球再生』の恩恵を受けられたか受けられなかったかの明暗が分かれた…と言うのが本稿の解釈になります。

       ところが、それだと、彼女の復活した時期が、なぜみんなとは違って「あの戦いから4年」後になったのか?と言う疑問が残ってしまいます。しかし、その疑問を解く鍵は、実は『Act.48における、黒木ミオのあの死に様』にあったんですな…。

       まず、黒木ミオの復活が「あの戦いから4年」後であると言う事は、彼女だけ、他のみんなとは違って、Act.48で『メタリア・エンディミオン』に殺された時点から全く歳も取っておらず、未だに「あの戦い」から一人取り残されたまま、精神的な意味でも全く成長していないと言うコトです。そして、思い出して欲しいのは、黒木ミオが初めてAct.29で登場した時、あのレイちゃんですら、彼女に対してナンの霊感も働かなかったと言う点です。それなのに今回は、レイちゃんは、クイーン・セレニティをも凌駕する危機察知能力で、黒木ミオの復活に対して霊感が働いているんですね「この気配…普通じゃないわね。…邪悪で…、強い…」と…。仮に黒木ミオが最初からそのような存在だったのであれば、レイちゃんがAct.29の時点でそれを感じないはずありませんから、そうなると、黒木ミオは、Act.48以前と以後では、全く違う存在になってる事が分かる訳です。つまりそれこそが、黒木ミオとみんなの復活に「4年」のギャップを生じさせた要因になる訳です。それでは、黒木ミオをこのように変えてしまったモノとは、一体ナンだったのでしょうか?

       つまり、それを説明してくれるのが、『Act.48における、黒木ミオのあの死に様』だったんですね。つまり、あの時彼女は、『メタリア・エンディミオン』となった「まもるくん」に対して、個人的にナンの愛憎も抱いていなかったにも関わらず、その「まもるくん」に殺されてしまった訳です(←たとえ彼の意識がメタリアに乗っ取られていたのだとしてもです)。ですから彼女には、当然、その事に対する怨みの念がある訳です。そして、その際、うさぎちゃんに「助けてっ!」と助けを求めたのに、それにも関わらず、うさぎちゃんは助けてくれなかった訳ですから、当然、その事への怨みの念がある訳です(←当時の黒木ミオは、すでにダーク・キングダムの野望とは完全に遊離しており、日和見的とも言える行動を取っていたのですから、この2人に対して個人的な恨みも抱いておらず、危害を加えるような真似も一切してなかった訳ですからね)。で、それが『死者の怨念』となり、星の破滅と共に行き場を失って、それがそのまま、『地球再生』後もずっと地中でくすぶり続け、その『怨念』を晴らすのに、最も打って付けのタイミングを待ち続けていた訳です。そのタイミングとは?…言うまでもなく、この2人がもっとも幸福になる時、つまりそれが、2人が結婚しようとしている今だった訳です。

       つまり、その『死者の怨念』が、すなわち今回の黒木ミオの存在そのものだとすれば、それはもう完全に、『火野レイのテリトリーに属する霊的存在』な訳です。だからこそレイちゃんは、Act.29の時とは違って、黒木ミオに対して「この気配…普通じゃないわね。…邪悪で…、強い…」と感じるコトができたんです。であれば、今回の黒木ミオにとって、レイちゃんと言う存在は、まさに、『コイツだけは絶対に潰しておかねばならない存在』と言う事になり、レイちゃんが変身できないうちに、ここでレイちゃんを再起不能にしておく必要があった…と、そう言うコトにもなる訳ですな。その証拠に、黒木ミオは、『変身できないレイちゃん』は半殺しにしたのに、その時一緒にいた『変身できる人型ルナ』には、全く手を出してませんからね。だからルナは、今回の黒木ミオにとって全く無害だったからこそ攻撃もされず、そのお陰で全くの無傷だったんです。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、牢屋に入れられてしまった2人…(←鉄格子がピンクの花柄です)。

       地場衛は端っこにもたれて片ヒザを抱えて座り込んでおり、ナニやらぼうっとしちゃっております…。

       うさぎちゃんは、そんな地場衛に背を向けてしゃがみ込んでおり、ゴツイ手錠をはずそうとガチャガチャやってましたが、おもむろに後ろを振り返って地場衛を見ると、「……(心の声→)まもる……四天王がまた敵になっちゃって…辛いよね……」

       すると、その地場くんがボソッと、「…同じだな…」とつぶやきます…。「?……え?…」

       「女って、どんな風になっても、結婚式には色々やりたがるんだと思ってさ…」。それを聞いてうさぎちゃんは「一緒にしないでよっ!…『あんなのとっ!』と立ち上がり、「ナニよっ、こんな時まで嫌味言わなくたっていいでしょぉっ!」「別に嫌味じゃ…『マジで言ってんだよ』「いーよ、私とはどうせ結婚しないんだし? ミオちゃんと結婚しちゃえばいいよっ…『ぷいっ』「はぁ…『まだそんなコト言ってんのか?』(←ため息ついてそっぽ向いちゃいます)。

       「あ〜あ…、前なら変身して、こんなトコすぐ逃げられたのに…。みんなとも一緒だったし…。まもるだって、もうちょっと優しかったよっ」(←コッチも嫌味でやり返しております)(←でも、ワシが思うに、地場くんは昔からこうで、彼はちっとも変わってないような気がするけどなぁ…)。「おいっ、…怒ると体力無駄にするだけだぞ…『いざって時は必ず来る…!』「ほっといてよっ!」

       うさぎちゃんはふてくされてドスンっ!と床に腰を下ろします…が、その直後に、「ぐぅ〜…」とお腹が鳴ってしまい…「!…『げっ、やば…!』。で、それを地場衛に茶化される前に、「…ナニよっ…『お腹が鳴って悪いっ?!』。しかし地場衛は、「ナニも言ってないだろ!?」「…」「ホンっトお前子供だな…」「!…どうせそうですぅっ!…『ぷいっ』…………ぐぅ〜…あっ…」

       うさぎちゃんはここで、「前なら変身して、こんなトコすぐ逃げられたのに…」と言いましたが、それは一方の地場衛にしても同じ事で、もしも彼がエンディミオンに変身できるのであれば、さっきだって、わざわざエンディミオンよりスキルの劣るタキシード仮面になんぞならない訳ですからね。先述したように、彼もうさぎちゃん同様、もうエンディミオンには変身できないんですな。もしできるのなら、空間移動だって自由自在なのですから、それこそ「こんなトコすぐ逃げられ」る訳ですからね。つまり、今回のエピソードの前半は、『変身できない状況で生身の2人が共闘する』と言う意味では、Act.15の『窃盗団事件』に少し似ているとも言える訳ですな。

        ★  ★  ★  ★  

       その夜、まこちゃん宅にて…。

       ぬいぐるみルナとまこちゃんがいます…が、なぜか部屋を暗くしてて、まこちゃんが落ち着かなげに部屋の中をウロウロと歩き回りながら、「うさぎ達早く助けないと…!」。すると、さっきからナニやら窓の外を見上げてるらしきルナが、真顔バージョンで、「ちょっと落ち着いて…静かにして…」「ナンで落ち着けるわけ? 今だって街の人達が襲われてるのに!」「……」

       「やっぱりじっとしてられないっ」…まこちゃんはそう言うと、いきなり駆け出して部屋を出て行こうとします(←相変わらず、考えるよりも先に行動に出る人ですな…)。するとその時、ナニやらしゅ〜〜〜〜…と言う音が聞こえて来て、まこちゃんは部屋のドアを開けかけて立ち止まり、振り返ります。

       すると、窓の外から金色の光のシャワーのようなものが流れ込んできました。そしてそれが、ガラス・テーブルの上に降り注がれます。「?……」。するとそこに、クイーン・セレニティのホログラムが現れました(←そうかっ、部屋を暗くしないと、ホログラムが見えないんだな)。「うわっ…ナニこれ?!」

       ぬいぐるみルナは、テーブルの上に乗ると、「まこちゃん、失礼よ…!」。クイーン:「……『ジュピターの言葉遣いの悪さは、前世からちっとも変わってませんねぇ…』(←クイーン・セレニティはまこちゃんを見ますが、特に声をかけるでもなければ、微笑みかけるでもなし…)。

       「クイーン…」「?…『く、クイーン?!……ちっちゃ…』(←みたいな…)。「プリンセスと、エンディミオンが…」「…わかっています…」。まこちゃんは、腰をかがめるようにして、恐る恐る近付いてきます(←これが美奈子だったら、うやうやしく片ひざ着いて控えてるところでしょうな…)。

       クイーンは続けます…「ここまでひどい事になるなんて…。それに、プリンセスの心がとても乱れていますね…」「うさぎちゃんが…?!」「ええ…でもそれは、プリンセスが自分で解決する問題です…。今は戦士達に頑張ってもらわなければ…」

       まこちゃんはクイーンを覗き込むように、「でも、変身が…」。するとクイーンは、まこちゃんの方を向き、「……それなら私がなんとかします…『て言うか、クイーンに向かって上からモノ言うとは、相変わらずいい度胸してんな…』(←クイーンは終始真顔で、まこちゃんに笑みは見せず…)。

       クイーンは、うさぎちゃんとは顔を会わそうとすらしなかったのに、まこちゃんとは、きちんと目を見て会話も交わしましたね。ここからも分かるように、クイーンは、娘に『前世の記憶』が全くない以上、そのような状態では、そんな娘とだけは、決して会う訳にはいかないんですな。Act.10の時のように、単に娘を混乱させてしまうだけですからね(←クイーンにすれば、さぞ、お辛いでしょうが…)。そして、この、まこちゃんに語りかけるクイーンの、どこか冷たくもある毅然とした態度は、つまり、あの『プリンセス・セーラームンA』たる『前世のプリンセス』『あの人格』を育んだところの、『前世における月の王国の封建社会の縮図』そのものな訳です。だから、『前世のプリンセス』が正にそうだったように、このクイーンにとっても、セーラー戦士はあくまでも単なる家臣に過ぎないんですな。それと同時に、このクイーンはあくまでも、あの『前世のプリンセス』の母親なのであって、決して『現世のうさぎちゃん』の母親ではないし、また、そうあってはならないんです。『現世のうさぎちゃん』『あの人格』を育んだのは、あくまでも、『現世のうさママ(月野育子)』なのですからね。そしてそれがなかったら、決して前世は終わらせられなかったのですから、むしろクイーンは、うさママに足を向けて寝られない位なんです。

        ★  ★  ★  ★  

       まこちゃんと人型ルナが、マンションを飛びだして来ました。

       2人は車に乗り込みます(←って、コレ、元基のカメ自動車じゃないのか?!)(←これはますます怪しいですな…やはり2人は、同棲でもしてるんでしょうか?)。

       まこちゃんと人型ルナは顔を見合わせてうなずき合い、シートベルトを締めます。

      クイーンの声:「月の王宮にある、伝説の剣(つるぎ)を送りましょう…」

       まこちゃんは車を出します…ぶおおぉぉぉ…!(←車のナンバーも、細かい所までは分かりませんが、「10−06」で一緒ですから、これは間違いなく元基の車です。それがまこちゃんのマンションの駐車場に停めてあって、しかもそれを勝手に乗り回してると言うコトは…?)。

      クイーンの声:「戦士の魂と言われる、強い力を秘めた剣(つるぎ)です。この剣(つるぎ)はきっと、みんなに力を与えてくれるはずです…。心を一つにすれば…」

        ★  ★  ★  ★  

       翌朝…「ピエロの王国」跡地にて…。

       牢屋の中のうさぎちゃんと地場衛は、どうやら、あれから一睡もしなかったのでしょうか?…昨夜の状態のまま、地場衛は胡坐をかいており、うさぎちゃんはそれに背を向けてへたり込んでおります…。

       と、そこへ、突然牢屋の扉が開けられ、ジェダイトくんとネフライトが入って来ました。ネフライト:「花婿を迎えに来た…」「えっ!?」…うさぎちゃんは急にうろたえますが、地場衛はネフライトをじっと睨みつけております。

       「……(心の声→)ダメだよ…ケンカなんかしてる場合じゃない…。ナンとかして…」(←おおっ、あの1年間での成長はダテじゃなかったんですね…)。うさぎちゃんはキッと目つきが変わったかと思うと、いきなりジェダイトくんに体当たりをかましてぶっ倒し、どかっ!…地場衛に向かって「逃げてっ!」と叫びます。

       すると、一方の地場衛も同じ事を考えてて、ネフライトの腕を掴んで「逃げろっ!」と叫んでます…地場衛は、うさぎちゃんが自分と同じ事をしてるのに気付くと、「!…」。うさぎちゃんもうさぎちゃんで、「!…ちょっとぉ、逃げてよ…!」「バカっ、お前が逃げろっ」…などと揉めてるうちに、ジェダイトくんが起き上がっちゃって、「キ、サ、マらぁ〜…!」「あっ…!」

       すると地場衛はそれを見て、ネフライトをぶん回してジェダイトくんにぶつけます…どかっ! ジェダイトくんとネフライトが倒れ、地場衛はその上にのしかかって2人を押さえつけ、「早くしろっ! 一人逃げればナンとかなるっ!」…地場衛はネフライト達をぶん殴ってから立ち上がると、躊躇してるうさぎちゃんを突き飛ばすようにして「行けっ!」と扉の方に向かわせ、うなずきます。するとうさぎちゃんも、断腸の思いでうなずき返し、その場から駆け去ります。

       その後、地場衛は、起き上がったジェダイトくんに後ろから取り押さえられ、ネフライトにぼかっ!とボディ・ブローを食らわされてその場に倒れ込みます…「う゛っ…!」

        ★  ★  ★  ★  

       場面は変わって、まこちゃんと人型ルナ…。

       どこだかの林の中の草原(?)を走っております。二人は肩で息をしながら立ち止まり、断崖絶壁の丘を見上げます…「はっ…この上か!…『ってアタシ、スペシャル版でも走らされてるよ…』「亜美ちゃんと美奈子ちゃんも、こっちに向かってるわ…!」「急ごうっ!」

       この場所はアレですね…Act.36の『プリンセス・セーラームーン爆誕の地』にして、Act.48の『対・メタリア・エンディミオン戦の地』でもある、要するに『爆破撮影用ロケ地』ですね(←てコトは、またどっかんどっかんやるんでしょうか?)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       もう日本に着いたらしく、空港からタクシーで現場に向かってる模様です(←亜美ちゃんは、アメリカの病院を駆け出した時はピンクの服に白衣をまとっていたのですが、ここでは水色の服に着替えられてますな…)。

       ところが、そのタクシーがいきなり急ブレーキをかけて止まります…ききぃ〜〜っ!

       「!……どうしたんですか!?」。するとタクシーの運転手さんは、前方を指差しながら「あ、あぁっ…!」とアワアワ状態です。亜美ちゃんがその方向を見ると、そこには、タクシーの行く手を遮るように、例の「ピエロくん達」が立ち塞がっております…「はっ…!」(←おや?…「ピエロくん達」の中に、一人女の子が混じってますね…)。

       すると、ナンと、タクシーの運転手さんは、ドアを開けて外へ飛び出し、そのまま車を捨てて走って逃げてってしまいました…「あぁっ…うわぁ〜〜っ!」(←この運転手さんのリアクションなのですが、これ、昨夜まこちゃんは「今だって街の人達が襲われてる」と言ってましたから、この「ピエロくん達」が、『クイン・黒木ミオ』の電波ジャック以来、ずっと人々を襲い続けてると言うのが、もう世間中に知れ渡ってるってコトですな)。

       「ちょっとぉっ!」亜美ちゃんは後部座席に一人取り残されてしまいます…「どうしよう…!」

       「ピエロくん達」は、亜美ちゃんの乗ってるタクシー目掛けて走り出します(←ところでコイツらは、最初からそれが亜美ちゃんだと分かった上で、こうしてここで待ち構えていたんでしょうか? だとすれば、『クイン・黒木ミオ』は、セーラー戦士の動きを見越して直々にそう指令を出してた事になる訳ですから、そうとすると、やはり黒木ミオは、ナニげに抜け目がないですな…)。

       亜美ちゃんは、しばし困り顔で考えたあと、意を決したように顔を上げます。

       すると、運転席に移動してシートベルトを締め、メガネをかけ、ハンドルを握ります。それから、「あっ…!」とナニかに気付くと、自分の免許証を、さっき逃げていった運転手さん(←「牧 四郎」)のプレートの所に差し挟みます(←おおっ、亜美ちゃんが一瞬にして、『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』にっ!)。…でも、ちょっと待てよ…、この『運転免許証』…ナニげにおかしくないか??(↓)

氏名

水 野 亜 美

平成 元年(1989年) 9月 10日生

本籍

東京都港区麻布十番町6−3−17

住所

東京都港区麻布十番町6−3−17

交付

平成20年(2008年) 3月 10日   50367

 写真

平成23年(2011年) 10月 10日まで有効

免許の

条件等

眼鏡等

※ 以下、省略

       さて、最初の方でも書いた通り、前回の「Final Act」の劇中カレンダー『平成16年(2004年)9月』だった事はハッキリしてるので、したがって、「あの戦いから4年」と言う今回の「スペシャル アクト」の劇中カレンダーの年号は『平成20年(2008年)』です(←※何月かまではハッキリ特定できませんが、みんなの着てる服装から、春か秋である事は間違いありません。しかし、仮に春であるなら、厳密には『あの戦いから3年半』ですから、単純に考えれば、「Final Act」『9月』なのですから、ちょうどその「4年」後なら『9月』だろうし、だいたいその辺の時期と考えるのが無難でしょうか)。そこで問題になるのは、亜美ちゃんのこの『運転免許証』です。先述した通り、前回の「Final Act」の時点では、うさぎちゃん達は『中二で14歳』でした。したがって、今回の「スペシャル アクト」は、「あの戦いから4年」ですから、うさぎちゃん達は『高三で18歳』になる年であるはずです。

       ところがだっ!この『運転免許証』では、亜美ちゃんの生まれた年が「平成元年(1989年)になってるじゃありませんかっ! と言うコトは、つまり、この『運転免許証』が交付された「平成20年(2008年)と言うのは、みんながちょうど、普通に高校を卒業して『19歳』になる年な訳ですよ。つまり、今回のこの「スペシャル アクト」は、みんなが『高卒で19歳』と言う設定だったんです。しかしそうすると、逆に、その4年前の「Final Act」では、彼女達は『中三で15歳』だった事になってしまう訳ですよ? これは一体どういうコトなのでしょうか?! 要するに彼女達は、なぜか1歳多く歳を取っているっ!コトになるのである。本稿のAct.29でも書いた通り、実写版は『サザエさん方式』を採用した事によって、本来進級すべき時期に進級せず、そのまま中二を2年間継続してます。ところが、彼女達は、進級しなかったにも関わらず、しっかり歳だけは取っていた事になる訳です。それ以外に、この矛盾を説明する事はできません。

       たとえばこれが、もしも仮に、前回の「Final Act」において『時間の逆戻り現象』が起きていたのだとしたら、彼女達は『平成15年(2003年)』に戻って逆に1歳若返ってなければならないのですから、その「4年」後である今年は、彼女達が『18歳』を迎える年、つまり『平成19年(2007年)』でなければならないはずです。しかし、ここでは亜美ちゃんの免許取得が「平成20年(2008年)になってるのですから、もしも『時間の逆戻り』が起きてたのなら、今年は「あの戦いから4年」ではなく、『あの戦いから5年』にならなければならない訳です。なので、これはもう完全に、「Final Act」において『時間の逆戻り現象』など起きていなかった事を証明する、決定的証拠になる訳です(↓)

―実写版セーラー戦士年表―

平成

西暦

年齢

学歴

備考

元年

1989

0歳

 

セーラー戦士、現世に転生

1990

1歳

 

 

1991

2歳

 

 

1992

3歳

 

 

1993

4歳

幼一

 

1994

5歳

幼二

 

1995

6歳

幼三

レイママ没(享年32歳)

1996

7歳

小一

 

1997

8歳

小二

 

10

1998

9歳

小三

 

11

1999

10歳

小四

 

12

2000

11歳

小五

 

13

2001

12歳

小六

 

14

2002

13歳

中一

12月 セーラーV誕生

15

2003

14歳

中二

10〜11月 セーラー戦士誕生

※時間が戻った場合、「Final Act」終了時点はこの年になり〜

16

2004

15歳

中二(中三)

9月 「Final Act」

17

2005

16歳

高一

※亜美ちゃんだけ途中からアメリカの大学に留学

18

2006

17歳

高二

19

2007

18歳

高三

20

2008

19歳

高卒

3月 亜美ちゃん免許取得
某月 「スペシャル アクト」

「スペシャル アクト」は、
『あの戦いから5年』にならなければならない

       つまり、今回のこの「スペシャル アクト」は、みんなが『19歳』を迎える年なのですから、みんなは、この春にもう高校を卒業したと言う設定だったんですね(←きっと、中二を2回やったあと、そのまま何食わぬ顔で中学を卒業しちゃったに違いない)(←このシステムは、『新・サザエさん方式』とでも名付けるしかない…)。なので、5人の今現在のプロフィールは、以下のようになる訳です(↓)

うさぎちゃん

家事手伝い

結婚を目前に控えて花嫁修業中。

亜美ちゃん

大学生

史上最年少の女医さんを目指して勉強中。

レイちゃん

プロの巫女さん

T・A女学院の短大には進学せず、京都の山にこもって修行中。

まこちゃん

専門学校生

フラワー・アレンジメントの仕事に就くべく猛勉強中。

美奈子

プロのアーティスト

高校卒業後、世界進出を展開中。

       5人とも、正に劇中で描かれてるそのまんまだった訳で、誰がどう見たって、誰一人として『高校三年生』には見えなかった訳です(←納得、納得…)。

       で、『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』は、「うんっ…『これでよしと…!』とうなずくと、「ピエロくん達」に向かって「どいてっ!」と叫んで車を発車させます(←この一言は、前回の「Final Act」で、マーキュリーが「月の従者」に向かって言ったのと同じセリフですね。決して好戦的ではない、いかにもマーキュリーらしいセリフです)。

       『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』は、『おらおら、どけどけ〜っ!』みたいに車を蛇行運転させながら、「ピエロくん達」を轢かないように蹴散らして行きます(←さすが亜美ちゃん、やさし〜っ!)。

       『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』は連中の間を潜り抜けると、バックミラーで後方確認し、安どの表情を見せます。…で、ふと視線を前方に戻すと、ナンとそこには、金色ボディーの『ソード妖魔』が待ち構えてるじゃありませんかっ!「!!…」

       『ソード妖魔』は、亜美ちゃんに向かってナニか攻撃を仕掛けようとしたのか、指先からビームを放つようなポーズを取ります。それを見て『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』は、とっさにハンドルを切って避けます…きき〜〜っ! すると、車はどこだかの倉庫が並ぶ敷地内に入ってしまい、正面が行き止まりにっ!

       『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』は慌てて急ブレーキを掛けます…きーーーーっっ!!

       車が止まり、『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』が顔を上げると、ナンと、車は倉庫の扉にぶつかる寸前で、あと10センチと言う位置で止まってくれました…(←ちなみにこのタクシーは、「牧 タクシー」と言う個人タクシーなんですな)。

       『タクシーの運ちゃん亜美ちゃん』はホッとしますが、しかしそれも束の間、さっき蹴散らした「ピエロくん達」が起き上がって来ちゃいました…「はっ…!」(←亜美ちゃんピ〜〜ンチっ!)

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは美奈子…。

       たった今、日本に着いたようで、空港のロビー(?)から地下駐車場(?)に出てまいりました。美奈子は従えたボディガード2人に、「急ぎましょうっ」と言って駆け出します(←美奈子の方は、ロンドンでレコーディングに向かってた時に着てた服のままです…て言うか、コレってひょっとして、本編で地場衛がよく着てた『ライダース・ジャケット』と言うシロモノでは…?)。

       すると、走りながらボディガードBが、インカムの無線マイクに向かって、「美奈子さん到着、移動スタンバイっ」とか指示を送っております(←さすが、VIP扱いですな)(←※でも、外で待ってるのは何故かバイクなんだよなぁ…)。

       ところが、そんな彼らのあとを付け回すように、バイクに乗った「ピエロくん達」の影が忍び寄ります…。

       一つ角を曲った所で、今度はボディガードAが、マイクに向かって「B地点通過、B地点通過…」とか言っております(←ぼちぼち、美奈子さんのバイクにキーを挿してエンジン吹かしとけってコトでしょうか?)。

       ここで、そうはさせじと、3人の行く手に、バイクに乗った「ピエロくん達」が立ち塞がります…「!!…」連中は3人を取り囲んでぐるぐると旋回し始めます。それから、いきなりそのバイクの背後からも「ピエロくん達」が飛び出てきて、一気に3人に襲い掛かります。

       で、ボディガード2人はボッコボコにやられちゃっております(←ヨワっ…)。ボディガードBは地面に手を着きながらも、美奈子に向かって「逃げてくださいっ! いったん、空港ロビーへっ!」

       美奈子は「ピエロくん達」の攻撃をかわしながら、「そういう訳にはいかないのよ!」

       で、さらにボディガードBが殴る蹴るされてぶっ倒れると、「しっかりしてっ! それでもボディガードっ!?」

     するとその時、1匹の「ピエロくん」が、二刀流の剣を構えて美奈子に向かってきます。しかし美奈子は、少しも臆するコトなく相手を見据え、敵が飛び掛ってきた瞬間、右足を振り上げ、「フッ!…『美奈子キーックっっ!!』。どかっ!(←「ピエロくん」は後ろの壁に激突して壁を大破っ!)(←哀れ、Act.12の『社長さん妖魔』の二の舞に…!)。

       美奈子は振り返ると、「ピエロくん達」「どきなさいっ!」と恫喝します。コレを見せられた「ピエロくん達」は、全員びびって後ずさりを始め、美奈子はボディガードに「行くわよ…!」と声をかけて立たせると、無人の荒野を行くが如く、「ピエロくん達」の間を素通りして行きます。

       「み…美奈子…、さすがだな…」(←たじたじバージョン)。美奈子は軽く微笑みながら、「勢いよっ!」

       ところが、その前方に、今度は銀色ボディーの『シールド妖魔』が現れ、美奈子達の前に立ちはだかります…「ハッ!…『コイツは他のピエロ達とは違う…!』(←って見りゃわかるか…。美奈子ピ〜〜ンチっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、まこちゃんと人型ルナ…。

       人型ルナは、いつの間にかセーラールナに変身しており、ハリセンで「ピエロくん達」と応戦しております。しかし一気に4匹に取り囲まれ、掴み掛かられそうになると、「きゃっ!」としゃがみ込んで避け、4匹が互いに頭をぶつけ合って自滅してくれました(←得意のパターンですな…)。まこちゃんは、素手で応戦しております。こちらも元々『素』でも強い人とは言え、肘鉄だのパンチだのを食らわして、ナンと、一人で10匹も片付けてしまいました(←こちらも、さすがだ…)。

       そこにセーラールナが駆け寄って来て、「まこちゃんっ!」と声を掛けると、まこちゃんは「うんっ!」とうなずき、2人はまた走り出します。

 

 

 ★  ★  ★  ★   【前のチャプター▲】【W.伝説の剣】【次のチャプター▼】 ★  ★  ★  ★  

 

       そして、小高い丘の前で立ち止まると、セーラールナが丘の上の「伝説の剣(つるぎ)」を見つけ、「あれよっ!」と指差します。

       2人は丘の上まで登り、その前に立つと、「これが、伝説の剣(つるぎ)…」2人は顔を見合わせてうなずき合うと、まこちゃんが近付いて行って、右手で柄を掴み、それを台から引き抜こうとします…が、「あれ…?」。まこちゃんは今度は両手を添えて引っ張りますが、抜けません。

       それを見てセーラールナも手を貸しに寄って来ます(←キミが加わったところで、ナンかの足しになるのかい?)(←『ネコの手を借りる』とは正にこのコトですな…)。「もう一回、せーのっ!」。しかし、やはり抜けず、それどころか、「伝説の剣(つるぎ)」ぴかっ!と光って2人を弾き飛ばしてしまいます(←おいおい、そこまでするこたぁねーだろうに…)。

       「…だめだ…!」。その時、セーラールナが、昨夜クイーンの言った、「心を、一つにすれば…」を思い出し、「もしかして、戦士が揃わないとダメなのかもっ!」「…うんっ…『って、それ先に言えよクイーンっ!走って損したじゃねーかっ!』

       すると、またしても「ピエロくん達」がウヨウヨと出て来てしまい、すっかりへたり込んでる2人を取り囲みます(←まこちゃん、セーラールナ、ピ〜〜ンチっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       「ピエロの王国」跡地にて…。

       地場衛がタキシードを着せられ、ジェダイトくんとネフライトに両腕を捕まれながら、引きずられるように連れて来られました…「放せっ!」(←この地場衛は、マスクもハットもなしのタキシード姿なので、本稿の慣例では『タキシード地場衛』となります)。

       そして、『クイン・黒木ミオ』の前に投げ出すようにして立たせます。『クイン・黒木ミオ』はニッコリと微笑んで『タキシード地場衛』に歩み寄り、「まもるくん♪」と声を掛けます。「…オレはもう結婚式はウンザリなんだけどな…」。すると『クイン・黒木ミオ』「あたしとなら楽しいよ♪」と言うと、杖を一振りして、地場衛に催眠術みたいな術を掛けてしまいました。

       このようなやり口は、原作・アニメのクイン・ベリルと同じですな。実写版のベリル様は、エンディミオンに対してちゃんとした恋愛感情があったので、このように相手の自意識を奪う事の無意味さをよく分かってました。だから決してこのようなマネはせず、ベリル様なりの真っ向勝負で挑んでいたのです。なので、コレを見ても、黒木ミオが当初から、地場衛に対してナンの恋愛感情も抱いてないコトが分かる訳ですな。

       『クイン・黒木ミオ』『タキシード地場衛』の腕を掴むと、「行こ? あの祭壇で永遠の愛を誓い合うんだよ?」と言い、『タキシード地場衛』は黙ってうなずきます。そして2人は祭壇に向かってゆっくりと歩き始め、横に控えていた四天王が一斉に敬礼します。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、うさぎちゃんは…。

       お城の外へ抜け出したものの、まだ「ピエロの王国」跡地の敷地内で、周りの様子を警戒しながら、敵がいないのを確認すると、メリーゴーランドの傍の物陰に隠れて一息つきます。で、手錠を外そうとガチャガチャやりながら、先ほどの地場衛の言葉を思い出します…

       「逃げろっ!」「早くしろっ! 一人逃げればナンとかなるっ!」

       「ナニよっ、簡単に言ってくれちゃって!…『変身もできないのに、どうしろって言うのよ…!』。うさぎちゃんは、なおも手錠をはずそうとして、「ナニかはずせるモノ…」と、自分のポケットを探ります…。すると…「!…」…まさかと思って恐る恐る取り出すと、それは、地場衛に突き返したはずの結婚指輪でした。うさぎちゃんは、さっき地場衛が「行けっ!」と背中を押した時に、彼がこれをポケットに忍ばせたのだと思い当たります…「…………」

       ここでうさぎちゃんは、この指輪をもらった時のコトを回想します…

      …ここは海なのか大きな河なのかよく分かりませんが、それに面した公園みたいな所にバイクを止めて、2人が黙って景色を眺めております(←Act.48で、地場衛がクンツァイトとの決闘直前にうさぎちゃんを連れて来た場所と同じようですが、全く同じ所ではなく、そこに面した違う場所のようですな…)…

      …すると、バイクにもたれていた地場衛が、ふいにうさぎちゃんの手を取って、何も言わずにナニかを手渡して握らせると、そのまま黙って岸の方へ一人で歩いて行ってしまいます…。うさぎちゃんは、「?…」と一瞬怪訝そうな顔で、そんな地場衛を見やりますが、握らされた手のひらを開いて見ると、そこには、ナンと指輪が…「!…」。うさぎちゃんは一気に顔をほころばせ、地場衛の背中を見てから、喜び勇んで彼に駆け寄り、その腕にしがみつきます

       地場衛と言う男は、プロポーズでさえこんな調子な訳ですから、うさぎちゃんが嬉々として企画するようなイベント的な結婚式を喜ぶはずがないコトくらい、察しがついても良さそうなモンですよねぇ…(←オープニングのシーンでも、うさぎちゃんが最初に選んだド派手な赤いウェディングドレスよりも、オーソドックスな白いのを好んでたくらいですからね)。それでも彼は、「正直キツイぞ」と思うような事ですら、「全部お前の好きにしていいよ」と言ってくれてるのに、一方のうさぎちゃんの方は、相手の気持ちも考えずに、ただひたすら自分のやりたい事を羅列するだけ…。それで彼が乗り気じゃないと、相手の真意も問いたださずに思いっきりヘソを曲げてしまう…まあ、うさぎちゃん一人だけが一方的に悪いとは言いませんが、これでは、「ホンっトお前子供だな…」と言われても仕方ないのではないでしょうかねぇ…。それにも関わらず地場衛は、一度突き返された結婚指輪を、もう一度、あの時と全く同じように、うさぎちゃんに黙って渡して、もう一度プロポーズし直してくれた訳ですから、これでうさぎちゃんが地場衛の気持ちが分からないようなら、結婚なんて本当にやめてしまった方がいい事になってしまいます。

       「…(心の声→)これから、ずっと2人で暮らせるコトが、うれしくて…。……昔を忘れてたのは、私の方かも……」

       うさぎちゃんは指輪を握り締め、キッと顔を上げて立ち上がります。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、まこちゃんとセーラールナは…。

       依然、「ピエロくん達」と応戦中ですが、倒しても倒しても沸いて出て来る敵に(←コイツら、『泥妖魔』よりしつこいな…)、さすがに2人ともへばってきております…。2人はもう顔中ドロだらけで、肩で息をしております…「はぁ、はぁ…、もう、ダメかも…」「大丈夫…、みんな来る…。ゼッタイ来る…!」

       そこへ、いきなり「ピエロくん達」に向かってしゅわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!と白い炭酸ガスみたいなモノが吹きかけられ、ガスボンベ(←消火器?)を持った『女ピエロくん』が現れます(←さっき亜美ちゃんの所に派遣されてたヤツか?)。

       しかし、イマイチ敵か味方か判断しかねてるまこちゃんと人型ルナ…「!…」「!…」

       すると、その『女ピエロくん』が仮面を取ると、それはやっぱり亜美ちゃんだったのでした…「まこちゃんっ♪ ルナっ♪」

       「亜美ちゃんっ!」※ちなみに、亜美ちゃんがなぜ「ピエロくん」に変装してたのかと言えば、せっかく脱した危機を、また新たな追っ手に遮られたくなかったので、『女ピエロくん』をとっ捕まえて身包みを剥ぎ、それで変装して『タクシーの運ちゃん女ピエロくん亜美ちゃん』と化し、敵の目を欺きながらここまで来たからですね(←さすがアッタマいい〜っ!)。

       するとそこへ、今度はぶろろろろぉぉぉぉ…!と美奈子がバイクで到着です。美奈子はバイクで「ピエロくん達」を蹴散らすと、ヘルメットを脱いで顔を見せ、「遅くなってゴメンっ♪」「お待たせぇっ!」

       「美奈子ちゃんっ、アルテミスっ!」

        ★  ★  ★  ★  

       3人は、「伝説の剣(つるぎ)」を囲むように並び立ち、セーラールナとアルテミィ〜スがそれを見守ります。

       そして、まこちゃん、美奈子、亜美ちゃんの3人が、「伝説の剣(つるぎ)」に歩み寄ります。

       「レイちゃんがいなくても、平気かしら…」

       すると美奈子が、「伝説の剣(つるぎ)」を見つめながら、静かに答えます…「レイならいるわ…。心は私達と一緒よ…」(←おおっ、ここに至って、やっと「レイ」って言いましたなっ!)。

       ナンたって「あの戦いから4年」、もはや「セーラーマーズ」でもなければ、「マーズれい子」でもなくなってた訳ですからね。

       すると亜美ちゃんが続けて、「うさぎちゃんもね…」と言います。

       亜美ちゃんにとっては、やっぱり、「うさぎちゃん」「うさぎちゃん」であって、決して「プリンセス」ではないんですね。だから、たとえクイーンが出てきて今更ナンと言おうが、うさぎちゃんはあくまでも、自分達と同じ「戦士」なんです…。

       「…『うん…』(←黙ってうなずく、一人だけクイーンに会っちゃった人…)。

       美奈子が柄の部分を両手で掴むと、まこちゃんと亜美ちゃんがそれぞれ左右から鍔の部分を持ちます。すると、「伝説の剣(つるぎ)」が金色の光を放射させ始めます…。

        ★  ★  ★  ★  

       その時、病院のベッドで寝ていたレイちゃんが、その光を感じたのか、ゆっくりと目を覚まし…、「!…」と上体を起こします。

       すると、レイちゃんの視線の先に、「伝説の剣(つるぎ)」に手をかけた3人の姿が浮かんできました(←さすが霊感少女…)。レイちゃんはその幻影に向かって、自分も参加しようと懸命に右手を差し伸べます…。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃うさぎちゃんは、どこへ向かっているのか分かりませんが、まだ「ピエロの王国」跡地の敷地内を走っておりました。

       すると、こちらもふいにナニかを感じて立ち止まり、後ろを振り返ります…「!……みんな…!」。ここでうさぎちゃんは、地場衛からあらためてもらい直した結婚指輪を左手の薬指にはめ、再び進行方向に向き直って、「ゼッタイ助けるっ!」と駆け出します(←これはどうやら、どっかで手錠を外して戻って来たところみたいですな)(←どこでどうやって外したのかは謎ですが…)

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは丘の上の3人…。

       最初にまこちゃんとセーラールナが引き抜こうとした時は、いくら力を込めてもビクともしなかった「伝説の剣(つるぎ)」が、この3人だと、ほとんど力を込めてる様子もなく、すうーっと抜けていきます。

       3人は「伝説の剣(つるぎ)」を台から抜ききると、それを高々と天にかざします。すると、それが避雷針となって、ぴかーっ!ごろごろっ!と、雷が落ち、これが「みんなに力を与えてくれ」たようです。

       ※ ちなみにこの「伝説の剣(つるぎ)」って、原作では、『ダーク・キングダム編』の後半に入ったあたりでこれと同じデザインの剣が出てくるんですが、原作では、その名も「伝説の プリンセスを守る 聖剣」と言う長い名称で、原作では、5人と2匹が月の宮殿の廃墟に行った際に、その時はまだムーン・キャッスルも復活してなかったので、最初「石化」した状態で出てくるんですね。で、原作では、単に「石化」してるせいで抜けないだけで、「心を、一つにすれば…」なんてカッコいいモンじゃなくて、一人ずつ順番で抜こうとして、まずジュピターが抜こうとして抜けなくて、次にヴィーナスが「よーし!」っつって挑戦して、結局ヴィーナスがそのまま一人で引っこ抜いちゃってるんですな(←ってジュピターより怪力じゃねーかよっ!)。で、その抜いた穴からクイーンのホログラムが出てくる仕組みになってたんですな。で、剣の方は地球に持ち帰って、ダーク・キングダムとの最終決戦で重要な役割を果たすんです(↓)

1.         ヴィーナスがクイン・ベリルを倒すのに使い、

実写版では、ヴィーナスは不在で、ベリル様も戦わない。

2.         「石化」が解けて、メタリアを封印する方法の文字が浮かび、

実写版では、メタリアは実質的なラスボスではない。

3.         セーラームーンが『ダーク・エンディミオン』を倒すのに使い、

実写版では、セーラームーンが『メタリア・エンディミオン』を倒すのに『エンディミオンの剣』を使う。

4.         そしてセーラームーンがその直後に自害するのに使います。

実写版では、現世では自害しない。

       なので、実写版では、剣のデザインと名称を流用してるだけで、その役割や設定が、原作とは全く違ってるんですね(←ちなみにこの剣は、アニメ版には出てきませんでしたね)。

 

 

 

 ★  ★  ★  ★   【前のチャプター▲】【X.絶対助ける!】【次のチャプター▼】 ★  ★  ★  ★  

 

       こちらは地場衛…。

       大きなウェディング・ケーキが映され、そのてっ辺には、『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』『クイン・黒木ミオ』の人形が乗っております(←細かい所まで、よくできた人形ですな…)。

       その向こうに、『タキシード地場衛』『クイン・黒木ミオ』が向かい合って立っており、2人は見つめ合っております…『クイン・黒木ミオ』の方は笑顔ですが、一方の『タキシード地場衛』の方は催眠状態なので無表情です(←先ほど『クイン・黒木ミオ』「あたしとなら楽しいよ♪」とか言っておりましたが、催眠状態じゃ「楽しい」もナニもないと思うのですが…)。

       これ、実物の地場衛はあくまでも『タキシード地場衛』なのですが、ウェディング・ケーキの上に乗ってる人形は『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』なんですよねぇ…。これ、要するに黒木ミオは、『タキシード地場衛』はうさぎちゃんへの当て付けで、『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』はベリル様への当て付け…、と、そう言う意味なんじゃないでしょうかねぇ…。そうやって、「プリンセス」よりも「クイン・ベリル」よりも、我こそが最高の存在なのだと、誇示したいんじゃないでしょうかねぇ…。

       『クイン・黒木ミオ』は、目を閉じて顎を上げ、『タキシード地場衛』に向かって、『誓いのくちづけ』を要求するポーズを取ります(←きゃ〜〜っ!)(←て言うか、『誓いの言葉』『指輪の交換』もすっ飛ばして、いきなりソレかよっ!)(←そら「楽しい」わ…)。

       すると『タキシード地場衛』は、『クイン・黒木ミオ』に歩み寄って彼女の肩に手をかけ、覆いかぶさるように顔を近付けます…(←えぇっ!?やっちゃうの?!やっちゃうの?!)(←て言うか、やってしまえぇ〜〜っ!)。

       するとその時っ、いきなり部屋の扉ががたんっ!と開けられ、そこにうさぎちゃんが駆け込んできます(←ちっ、やっぱりか…)…「!…」

       すると、その音に反応したのか、『タキシード地場衛』の動きが止まります。

       うさぎちゃんは、地場衛が今にもキスしようとしてるその姿に向かって、「まもるっ!『テメ、ドサクサにナニさらしとんじゃボケっ!』と叫びます(←うさぎちゃんは、地場衛が催眠状態なのを知らないはず…)。

       すると、目を閉じて待っていた『クイン・黒木ミオ』が急に顔をしかめて振り返り、「もぉ〜〜、うさぎちゃんっ、ダメだよっ? まもるくんはあたしのモノだしっ♪ ねぇまもるくん?」「……」(←のーりあくしょん…)。『クイン・黒木ミオ』は、紫色の柄の付いた『クイン・黒木ミオの剣』(←勝手に命名)を取り出し、「うさぎちゃんやっつけちゃって?」と、『タキシード地場衛』に命令します(←黒木ミオは、自分で直接手を下さず、それを地場衛にやらせるあたりに、Act.48の報復として、うさぎちゃんを自分と同じ目にあわせてやると言うニュアンスを込めてるんですな…)。

       『タキシード地場衛』は、黙ってそれを受け取ります…。

       「!…『え?…』

       『タキシード地場衛』は、うさぎちゃんの方を向きます…。

       「……『本気…?!』

       『タキシード地場衛』は、うさぎちゃんに向かって体勢を取ります…。

       「……『本気じゃないよね…』

       『タキシード地場衛』は、剣を構えて対峙します…。それから、彼は表情を変えないまま、うさぎちゃんを見据えてうなずきます…。

       「……『これは…』

       『タキシード地場衛』は、剣を振り上げます…。

       「……『本気じゃない…!』

       『タキシード地場衛』は、うさぎちゃん目掛けて剣を投げつけます…ぶんっ!(←おおっ! これはまさしくっ、Act.43の『対・水妖魔戦』で見せた、あの、針の穴をも通すと言われる『エンディミオン投法』ではないかっ!)(←投げ方は違うけど…)。

       その剣は、真っ直ぐうさぎちゃんの頭部目掛けて飛んで来ます…しゃきーんっ!…しかし、うさぎちゃんは微動だにせず、精悍な顔つきでそれを見据えます…すると、その剣は、紙一重でうさぎちゃんの横を通り抜け…ひゅんっ!…背後の壁のロープに命中して…かしんっ!…それを切ります。

       すると、四天王がそれを見て「!?…『えっ?!』みたいに首を突き出し、それから切れたロープの行方を追って天井を見上げます…「……」…それから突然「!!…『げっ!』と口を開けてアホヅラ状態になると、天井に貼られていた白い垂れ幕(?)みたいなのがばばっ!と落ちて来て、四天王におっ被さります…「うわぁぁぁぁ…!」…四天王は後ろにそっくり返って倒れ、足をばたつかせてもがいております(←オマヌケ…)。

       『クイン・黒木ミオ』「!…ナンでぇ!?」『タキシード地場衛』「さっきのアイツの声でな…」(←エライ簡単ですな…)。

       それから『タキシード地場衛』はうさぎちゃんに向かって、「お前少しは避けろよっ、少しビビったぞ…!」と声を掛けます。するとうさぎちゃんは「うふっ」と笑い、「まもるが正気かどうかぐらい、わかるモン♪」と答えます。

       すると『タキシード地場衛』も笑みを浮かべ、「絶対ナンとかして乗り込んで来ると思った…」「うふっ♪」「…逃げるぞっ」『タキシード地場衛』はうさぎちゃんの手を取って走り出します。

       四天王もようやく起き上がり、ネフライトを先頭にして「待てぇ〜っ!」と2人の後を追いかけます。

       一人取り残された『クイン・黒木ミオ』は、悔しさのあまり、「チャッピー」を引きちぎらんばかりの勢いで握り締め、「許さないっ!…こんなコト、絶対に許さないんだからっ!」と、彼女にしては珍しく感情をあらわにします(←本編では、ベリル様の意識と一体化してる瞬間には、それに近いようなコトもありましたが…)。

       黒木ミオは、Act.30で、このようなコトをのたまっておりましたっけね(↓)

       「うさぎちゃん、大丈夫だよ。あたしがいるから。うさぎちゃんのコト大っキライなあたしが…、仲良くしようね…♪」

       大っキライな相手を、あくまでも「ちゃん」付けで呼び、「仲良くしようね…♪」と付きまとい続ける…このような歪んだ心理は、そもそも彼女自身のモノではなく、彼女がクローンとして生み落とされた際に、『ダーク・ミッション』遂行のためにプログラミングされた感情な訳です。黒木ミオ自身には、前世にも現世にも、自己の原体験と言うモノが一切ないのですから、このように「うさぎちゃん」を個人的に嫌わなければならない理由そのものがない訳ですからね。そうすると、やはり、今回の彼女がAct.48以前と違うのは、あの時『メタリア・エンディミオン』に襲われた際に、うさぎちゃんが助けてくれなかった事に対する怨念以外には考えられない訳です。地場衛の方はメタリアに意識を乗っ取られていたため、まだ情状酌量の余地はあるにしても、うさぎちゃんはそうではありませんでしたからね。当時の黒木ミオは、完全にダーク・キングダムの野望とは遊離して、全くの自由意志で好き勝手に行動しており、それこそ、ベリル様の意志に背くような行為で、レイちゃんやうさぎちゃんをダーク・キングダムの敷地内に連れて来ちゃったりして、それでいて彼女自身は、うさぎちゃん達に危害を加えてないどころか、逆に利益をもたらして恩を売るような行動を取っていた訳ですから、黒木ミオ目線では、あの場面でうさぎちゃんに助けを求めるのは至極道理に適ってたんです。

        ★  ★  ★  ★  

       2人がお城を抜け出す瞬間に、『クイン・黒木ミオ』の術が解けたのか、地場衛のタキシードが消えて元通りの私服に戻ります(←なるほどっ、『クイン・黒木ミオ』の術が効力を発揮する範囲外に出ればこのように元に戻るのなら、うさぎちゃんの手錠も、「ピエロの王国」の敷地から外に出た時にでも消えてくれてたのかもしれませんな)。

       2人はお城を出ると、追っ手を気にしながらその場を離れます。

        ★  ★  ★  ★  

       2人は林の中を駆けます。

       ところが、2人の行く手を遮るように、突然爆撃が食らわされます…どかんっ!「きゃあっ!」「!…」

       2人が振り返ると、追っ手の四天王が剣を構えて迫って来ます…ただし、このクンツァイトのニヤケ顔には、彼本来の重みと言うか、深みと言うか、クド味と言うか、イマイチそう言ったモノが感じられず、ナンか妙に軽いです…その隣のゾイサイトなど、剣を担いでチンピラみたいにヘラヘラしてます…(←ただし、その隣のネフライトとジェダイトくんには、特に不審な点は見られません(笑)…)。

       地場衛は、彼らを見据えながら、うさぎちゃんを守るように前に出ます。

       ヘラヘラ四天王は立ち止まると、とても彼ら本人とは思えないアホ丸出しのポーズで剣を構えます…がばっ!

       ところが、次の瞬間、クンツァイトが口をあんぐり開けて「あぁっ!」と恐れおののき、思わずマントを引っかぶってしまいます。

       すると今度は、その四天王が爆撃を食らって後ろへ吹っ飛ばされます…どかんっ!「うわわっっ…!」。へたれクンツァイトが目を凝らして前方を見ると、「……あぁっ…!」

       そこには、精悍な顔つきをした本物のクンツァイト、そしてゾイサイト、さらにネフライト、ジェダイトくんが現れたのでありました。

       彼らは地場衛とうさぎちゃんを守るようにして前に立ちはだかり、そんな彼らを、地場衛がほくそ笑むように見ています。うさぎちゃんはキョトンとしちゃっております。

       ニセ四天王は、あわあわ言いながらも起き上がり、腰の引けた格好で剣を構えます。

       「えっ?!」

       地場衛:「遅いぞ、お前たち…」。クンツァイト:「さすが…、ニセモノだと気付いていましたか」

       地場衛:「いくらお前たちでも、あそこまでマヌケじゃないからな」。ゾイサイト:「マスター、ご冗談を…」

       「うそ!?ニセモノ?!『て言うか、どっちが…?』

       ネフライト:「もう少し上等なニセモノにして欲しかったが!」(←オマエはそのまんまじゃねーかっ!)。

       ジェダイトくん:「…『うん』(←オマエもっ!)。

       そもそもエンディミオンと四天王は地球国の人間ですから、月の王国のセーラー戦士達とは違って、「幻の銀水晶」のある無しとは全く関係ありませんからなぁ…。前回の「Final Act」で、ネフライトは、「ナニかあれば、必ず駆けつけます!」とか簡単に言っちゃってましたが、しかし、死んだはずの四天王が、一体どうやってあの『天国みたいな場所』から地上へ「駆けつけ」られるのか?…復活して生き返ったのか?それともこれは、また例によって、前回の『めちゃめちゃ実体なエンディミオンの幻影』と同じで、『めちゃめちゃ実体な四天王の幻影』とでも解釈すべきなのか?

       ワシが思うに、これはおそらく、ゾイサイトの得意技である『心を飛ばせっ!』による一時的な降臨であって、別に生き返った訳ではないに違いない。実はこの技には2通りあって、『飛ばした心』が幻影として現れるパターンと、実体として現れるパターンと2通りあるんですな。幻影として現れるパターンは、Act.32で、ロンドンの地場衛がダーク・キングダムのゾイサイトの部屋に飛ばされた時のパターンです。この時は、クンツァイトが地場衛を斬ろうとしましたが、それは幻影であるため、剣は地場衛の体をすり抜けてしまいます。で、実体として現れるパターンは、Act.8で、ジェダイトくんが『打倒セーラームーン』に燃えて「ナコナコなりきりコンテスト」会場に現れた時のパターンです。こちらは実体として現れたので、セーラー戦士達と掴み合いの激闘を演じておりました。つまり、今回のパターンもそれと同じで、彼らは、一時的に天国から心を飛ばして来ただけで、肉体が復活した訳でも生き返った訳でもありません(←原作でも、一度肉体の滅んでしまった四天王は実体としては復活できず、幻影の形でエンディミオンの力になってました)。ですから、そう長く地上には留まってもいられないはずです。

       ホンモノを目の前にして、ニセ四天王は腰砕け状態ですが、ホンモノ四天王は容赦なく一斉に攻撃を仕掛けます…『四天王アトラクティブ・アターックっ!』どかんっ!

       それをマトモに食らったニセ四天王は、「ピエロくん達」に戻ってしまいます…それを見てうさぎちゃんは、「!…『あ、今度は四天王がピエロくんに変身した…!』

       するとそこに、今度は『シールド妖魔』『ソード妖魔』がなぜか前後に引っ付いたまま歩いて来ました(←めっちゃ仲いいんだね…)…「シ〜〜ルド…!」「ソ〜〜ド…!」

       すると、その2匹の妖魔の背後に、「ピエロくん達」がまさに戦闘員状態でワンサカと現れます。

       それを見て、地場衛がクンツァイトに目配せすると、クンツァイトは黙ってうなずき、地場衛が四天王の背後の真ん中に移動します。

       すると、ゾイサイトがマントばさぁ〜っ!とやりながら地場衛の前を通り過ぎ、反対方向からネフライトがそれに交差します。それに続いてクンツァイトとジェダイトくんも歩き出し、クンツァイトもマントばさぁ〜っ!とやります。さらにクンツァイトが地場衛を覆い隠すようにマントばさぁ〜っ!と翻すと、ナンと、地場衛が『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』に変身っ…!(←ところが、そんなカッコいい場面だと言うのに、あろうコトか、クンツァイトの翻したマントが、エンディミオン様の顔面に直撃っ!…「…『おい、当たってるよ…』みたいな…)。

       ここで地場衛がエンディミオンに変身できたのも、四天王が一時的に天国から『心を飛ばして』やって来たからで、それがない限り、地場衛は、自分一人では決してエンディミオンに変身できないと言う設定になってるんですね。

       エンディミオンは、剣を携えて四天王の前に出ます(←おおっ、ナニげにこの5人がこうやって並び立つのは、実はこれが初めてだったりする訳ですなっ)。そこでネフライトが一言…「マスターっ、久しぶりに暴れますかっ!」(←って、キミの言うその「久しぶり」って、一体いつの話だよ?!)(←前世で『地球国の反乱軍』にやられちゃって以来か?!)。

       エンディミオン:「…ああ…」

       クンツァイト:「行くぞっ!」。それを合図に、四天王が先陣を切って駆け出します。

       エンディミオンは、後ろにいるうさぎちゃんに、「お前はここにいろっ!」と言ってから剣を抜き、駆け出します。

        ★  ★  ★  ★  

       で、剣豪クンツァイトは、剣術で「ピエロくん達」をばったばったとなぎ倒し…

        ★  ★  ★  ★  

       ゾイサイトは、2匹の「ピエロくん」に術をかけて金縛りにし、念力を使ってごっつんこさせて倒し…

        ★  ★  ★  ★  

       ジェダイトくんは『ジェダイトくんジャーンプっ!』で空中回転して体を入れ替え、相手の背後に回り込むいつもの汚い手で「ピエロくん」を1匹だけ倒し…

        ★  ★  ★  ★  

       ネフライトは、なぜか素手で「ピエロくん」を木に叩きつけ、そいつを両手で持ち上げ、頭上でぶん回してから他の連中に投げつけて倒し…(←て言うかキミ、いつの間に『バカぢからキャラ』に…?)。

        ★  ★  ★  ★  

       エンディミオンはクンツァイト仕込の剣術で、最後の「ピエロくん」にトドメを刺します…。

       そしてエンディミオンが振り返ると、『シールド妖魔』『ソード妖魔』がエンディミオンに向かって手招きするように『サシの勝負』を要求します(←って2対1だけど、コイツらはセットで1匹らしい…)。

       この手招きの仕方は、正しく、Act.44で『メタリア妖魔U』がセーラームーンに対して取った仕草と全く一緒ですな(←やはりアレは手招きだったんだな…)。

       エンディミオンがそれに対してうなずくと、『シールド妖魔』『ソード妖魔』が場所を移動します。

        ★  ★  ★  ★  

       「ピエロの王国」跡地の裏の、駐車場跡みたいな広場に出ます。

       そこで両者は対戦しますが、ところが、エンディミオンの剣は、ことごとく『シールド妖魔』に防御され、その間隙を縫って『ソード妖魔』が攻撃し、ひたすらそのパターンを繰り返してきます(←要するにコイツらは、『シールド(=盾)』『ソード(=矛)』と言う具合に、完全に役割分担が決まってるようですな…)(←めちゃめちゃ分かりやす過ぎるぞっ!)。

       う〜む…そうすると、さっき、『ソード妖魔』が単独で亜美ちゃんの所へ現れ、『シールド妖魔』が単独で美奈子の所へ現れてましたが、要するに、コイツらは完全に見掛け倒しで、1匹じゃそれぞれナンにもできないってコトなんですな。つまり、『ソード妖魔』はもっぱら攻撃専門なので、逆に『防御力はゼロ』のため、だから亜美ちゃんの炭酸ガス(←消火器?)でも十分対処できた訳です。一方、『シールド妖魔』の方はもっぱら守備専門なので、たとえ『美奈子キック』は通じなかったにしても、逆に『自分じゃ何も攻撃できない』ため、美奈子はその隙にさっさと逃げて来られた訳です。そうでなければ、亜美ちゃんと美奈子が、ああも簡単に、さも何事もなかったかのようにまこちゃんの許へ駆けつけ、逆に、『シールド妖魔』『ソード妖魔』が何事もなかったかのようにうさぎちゃん達の所へ来られるはずありませんからな。で、この2匹の妖魔は、それぞれ単独の初陣ではそのような体たらくだったので、それを教訓にして、今度は2匹仲良く、『ボク達、もう決して離れたりしないヨてな感じで、前後にガッチリ引っ付いて出て来たんですなぁ…。

       『シールド妖魔』の鋭い回し蹴りがエンディミオンの顔に当たり、後ろに倒されてしまいます(←おおっ! エンディミオンの頬に傷がっ!)。

       そこへ、四天王が援護に駆けつけます。クンツァイト:「マスターっ!」

       しかしエンディミオンは、彼らに向かって「手を出すなっ!『ヤツらの動きは見切ったっ!』と制止します。

       すると四天王は真っ正直に立ち止まっちゃって、エンディミオンはゆっくりと立ち上がります…「うぅっ…『よくもオレ様の大事な顔に…!』(←メラメラ…)。

       エンディミオンは一気に駆け出して『ソード妖魔』に切り掛かりますが、『ソード妖魔』はそれをかわし(←って、コイツも避けちゃってるよっ!)、またしても防御担当の『シールド妖魔』が割って入るように立ちはだかります。

       その流れから、いきなり『ソード妖魔』『ソード妖魔ジャーンプっ!』してエンディミオンの頭上を越え、彼の背後に回ります。チャンスとばかりに振り向いたエンディミオンでしたが、しかし逆に、その瞬間うしろの『ソード妖魔』に羽交い絞めにされてしまいます…「!…『しまったっ…!』

       『ソード妖魔』がエンディミオンにトドメを刺さんと、指先を揃えて剣先のように尖らせ、それでエンディミオンの胸をえぐろうと突きを入れてきます。

       ところがっ!次の瞬間、エンディミオンの姿が消え、ナンと、『ソード妖魔』の突きが『シールド妖魔』の胸を貫いちゃっております。

       『ソード妖魔』「……『手応えあり…』

       『シールド妖魔』「……オ〜イ…『テメ、ナニやってんだよぉ…』

       『ソード妖魔』「?…『って、アレぇ?!』(←みたいな…)。

       『シールド妖魔』「…ウッ…『いつまで刺してんだテメ、早く抜けよぉ…』…シ〜ルド…『ガクっ…!』(←ひざから崩れ落ちる…)。

       『ソード妖魔』「!!…『あっちゃ〜っ!』(←みたいな…)。

       その隙にエンディミオンは、今度は自分が『ソード妖魔』の背後に回り、盾を失った敵が振り向いた瞬間に、「てやっ!」と一刀両断にします…ずばっ!

       『ソード妖魔』「!…ソ〜〜ド…!…『む…、無念…』(←どたっ…)。

       この妖魔って、すでにアッチコッチで指摘されてるように、要するに『矛盾(むじゅん)』の語源となった中国の故事をヒントにして生まれたみたいなんですけど(←黒木ミオもけっこう学があるじゃないか…)(←十番中にいた時に授業で教わったのか?)、で、『最強の矛(ソード)』『最強の盾(シールド)』を突いたら、ここでは結局、『最強の矛(ソード)』が勝ちましたねぇ…。これはなぜなんでしょうか? ワシが思うに、これはやはり、さっき『シールド妖魔』が単独で美奈子の所へ現れた際に、美奈子から『美奈子キック』を食らわされて、若干ひびが入ってたからなんじゃないでしょうかねぇ…(←そうだっ、きっとそうに違いないっ!)(←「その通りよっ!」)。

       ここで四天王がエンディミオンの許へ歩み寄り、クンツァイトが「お見事っ!」と声をかけます。

       それに応えてエンディミオンが安堵の笑みを浮かべると、ジェダイトくんが両手を上げて「やったぁ〜っ!…イェイっ!」と大喜びしちゃっております(←ガキかっ!)。ネフライトは、「もう終わりか…。手ごたえのない…」(←相変わらず減らず口なヤツですな…)。で、そんなコト言っちゃってるネフライトの背後から、ジェダイトくんがネフライトにひざカックンを食らわします…かっくんっ!「うっ…お゛ま゛え゛っ!」(←この2人って、前世ではこんな調子だったのか?)。

       するとクンツァイトが、おちゃらけてる2人に向かって、「油断するなっ!」と一喝します…「まだ戦いは終わっていない…!」。するとゾイサイトが、「ハッ!……来る…!」と、ナニか気配を察知します(←う〜む…前世の記憶があろうがなかろうが、やっぱり四天王はこの2人だけが頼りなんだなぁ…)(←きっと四天王って、代々世襲制で引き継がれてるだけの身分で、決して能力で選ばれてる訳じゃないんだろうなぁ…)。

 

 

 ★  ★  ★  ★   【前のチャプター▲】【Y.巨大な敵】【次のチャプター▼】 ★  ★  ★  ★  

 

       するとその時、5人の周りを取り囲むように、いきなりどっかーんっ!と大爆発が起こります…「うわっ!」

       すると、燃え盛る炎の先から、『クイン・黒木ミオ』がチャッピーを小脇に抱えてご登場です。『クイン・黒木ミオ』は、倒れている5人の前で立ち止まると、「まもるくん? 残念だけど、ここまでだよ」と言い、指をぱちんっ!と鳴らします。すると、な、ナンと、『クイン・黒木ミオ』がいきなり巨大化し、ナンか、食虫植物の化け物みたいなモンに変身したではありませんかっ!(←コイツは、『クイン・黒木ミオ妖魔』と名付けよう)(←ナンか、いわゆる『スーパー戦隊モノ』みたいな展開になっちゃっておりますが…)。

       黒木ミオは、ベリル様の「わらわの力が加わっている」訳ですから、その「力」によって「ピエロくん達」『ソード妖魔』『シールド妖魔』などを生み出す力が備わってるんですね。おそらく、その「力」で自らに術をかけて、自分をこのように妖魔化して戦闘能力を強大化したんでしょうな。だからこれは、『実は黒木ミオの正体がこのような化け物だった』と言う意味ではないはずです。あと、黒木ミオは4年前、つまりAct.48において、『メタリア・エンディミオン』と化した「まもるくん」に殺されてる訳ですから、『報復好き』な彼女が、今度は逆に、自分が『クイン・黒木ミオ妖魔』と化して彼を殺す、と言う意味合いもあるのかもしれません…。

       エンディミオンと四天王は、『クイン・黒木ミオ妖魔』を見上げるようにして対峙します。

       『クイン・黒木ミオ妖魔』は、のっし、のっしと迫って来ると、根っこ部分の足を触手のように伸ばして来ます。それを、クンツァイトがすかさず前に出て牽制します…「やぁっ!」。その次に、ネフライトも同様に前に出て、相手の触手を払います…「む゛ぅんっ!」

       すると『クイン・黒木ミオ妖魔』は、左右の手に相当する食虫植物の葉っぱから、黒い砲弾のようなモノを放ちます…ひゅんっ!

       それがエンディミオン達の周りに次々と着弾し…どかーんっ!…5人は「うわっ…!」と業火に取り囲まれ、まず最初に四天王があっさりとその場に倒れこんでしまい、やや間を置いてからエンディミオンもゆっくりと倒れ込みます(←おおっ、『クイン・黒木ミオ妖魔』強しっ…!)。

       ゾイサイトはうつ伏せに倒れたまま起き上がれず…、

       クンツァイトもうつ伏せに倒れ、顔だけ上げるのがやっとで…、

       ジェダイトくん(←元ミオパパ)は仰向けにそっくり返って「マスター…!…『て言うか、ミオたん…、ボクだけでも助けて…』と手を伸ばし…、

       ネフライトも仰向けにそっくり返って呻いております…。

       すると今度は、『クイン・黒木ミオ妖魔』が一気に触手を伸ばして来て、エンディミオンを絡め取って持ち上げてしまいます。

       それを見て、ゾイサイトがすかさず「マスターっ!」と起き上がり、駆け寄って来てその触手を剣でぶった切ります…「フッ!」ずさっ!(←エンディミオンは横っ飛びで地面に激突の図…?)。

       すると、すぐに別の触手が伸びて来て、ゾイサイトをぶっ叩きます…ばしっ!「うわっ…!」(←思いっきりすっ飛ばされ、剣を投げ出してしまう)。

       尚も『クイン・黒木ミオ妖魔』は、エンディミオン目掛けて迫って来ます。エンディミオンは、『クイン・黒木ミオ妖魔』を見上げるようにして睨みつけてますが、もはや起き上がる力もないようです。

       すると『クイン・黒木ミオ妖魔』は、「バイバイ、…まもるくん?」と言うと、「しゃあっ!」と食虫植物の葉っぱを伸ばしてきます。

       とそこへっ!「待ちなさいっ!」と、うさぎちゃんが駆けつけて来ます。

       その声を聞いて『クイン・黒木ミオ妖魔』は、「えぇっ!?」と振り向きます。

       うさぎちゃんはエンディミオンを庇うように『クイン・黒木ミオ妖魔』の前に立ちはだかり、「衛から離れてっ!」と相手を見上げて叫びます。それを見てエンディミオンは、「はっ…!」

       『クイン・黒木ミオ妖魔』「うさぎちゃん、変身も出来ないのに一人でどうするつもり?」

       エンディミオンは、「うさぎっ、逃げろ!」と叫びますが、うさぎちゃんは、背中でその声を聞いて顔を横に向けかけただけで、すぐにキッと『クイン・黒木ミオ妖魔』を見据えて睨みつけます。

       すると『クイン・黒木ミオ妖魔』は、突然、取り乱したような声で、「うさぎちゃんっ、あなただけ幸せになんかさせないんだからっ!」と叫び、うさぎちゃん目掛けて食虫植物の葉っぱを伸ばしてきます…びゅ〜んっ!

       やはり、これが今回の黒木ミオのホンネなんですね。このような感情は、単にプログラミングで「うさぎちゃんのコト大っキライなあたし」と言わされてたに過ぎない、Act.48以前の彼女には、決してなかったモノですからね(←※しかもそのプログラミングは、黒木ミオに課せられた指令が『幻の銀水晶略奪』から『エンディミオン拉致』に移行した際にリセットされてるんです)。

       すると、いきなり横から剣が飛び出して来て、それをぶった切って切り落としてしまいます…ずばっ!(←その後、思わず後ずさりする『クイン・黒木ミオ妖魔』…)。

       「!…はっ!」

       それは、「伝説の剣(つるぎ)」を手にした美奈子でした。美奈子は、『クイン・黒木ミオ妖魔』をキッと睨みつけます。

       そしてその右隣には亜美ちゃん、左隣にはまこちゃん、それぞれ、『クイン・黒木ミオ妖魔』を睨みつけます。

       「!……みんなっ!」

       3人は、うさぎちゃんに向かってとうなずくと、美奈子が、「みんなっ、今日だけの変身よっ!」と言って「伝説の剣(つるぎ)」かしゃんっ!と返し、ゆっくり前に突き出すと、天に向かってかざします。すると、剣先から金色の光が放射され、そのまま「伝説の剣(つるぎ)」が光の粒子と化していきます(←この剣(つるぎ)自体も今日限りのモノなんですな…)。

       そして、その光の粒子が、うさぎちゃんの胸元に集まって『変身ペンダント』に変わります…きらりんっ!「…………」…そのペンダントを見るうさぎちゃんの表情は、はたして何を思うのか…。

       そして、亜美ちゃんの左腕にも、『変身ブレスレット』が現れます…きらりんっ!「…………」…そのブレスレットを見る亜美ちゃんの表情は、はたして何を思うのか、亜美ちゃんは、それからキッと『クイン・黒木ミオ妖魔』を睨みつけます。

       そして、まこちゃんの左腕にも『変身ブレスレット』が現れ、それからキッと『クイン・黒木ミオ妖魔』を睨みつけます。

       そして美奈子の左腕にも『変身ブレスレット』が現れ、それからキッと『クイン・黒木ミオ妖魔』を睨みつけます。

       うさぎちゃんは、どこか悲壮な表情を湛えながら、3人に歩み寄り、一瞬ナニかを考えるようにペンダントに触れると、「うん…」とナニかを自分に言い聞かすようにうなずき、それから、みんなの顔を見回しながら、静かに「行くよっ…!」と声をかけます。

       3人がうさぎちゃんにうなずき返すと、4人は顔を上げ、『クイン・黒木ミオ妖魔』を見据えます。

       そうなんですね…、うさぎちゃんはさっき、牢屋の中で地場衛に、「あ〜あ…、前なら変身して、こんなトコすぐ逃げられたのに…」なんて言ってましたけど、あれは単に、地場衛に嫌味を言い返すための前振りで軽口を叩いただけで、決して本心からそう思って言った訳ではないんです。このシーンのみんなの表情を見れば分かるように、本心は、みんな、『もう二度と、セーラー戦士に変身して戦いたくなんかない』んです(←それを望んでるのは、我々視聴者だけです)。

       せっかく前世の使命を果たして、あの煩わしい戦いの日々からも開放され、もうプリンセスでもなければ、セーラー戦士でもなく、リーダーでもサブでもなくなり、みんなが、戦士だから一緒にいるのではなく、本当の意味で真の友情で結ばれ、平和で幸せな毎日を送っていたのに、それを、この黒木ミオがぶち壊してくれた訳ですからね(←これは、たとえるなら、無事に兵役の義務を終えて幸せに暮らしてた元兵士が、ある日突然、実はまだ敵が一人残ってたから、もう一度戦線に復帰しろって命令されるのと同じ事ですからね…ンなモン誰が喜ぶかって話です)。

       だから、ここで美奈子が「みんなっ、今日だけの変身よっ!」と言ったのは、あくまでも『今日だけだから』と言い聞かせる意味で言ってる訳で、それに対して、一人ひとりが自分自身を納得させ、今度こそ『あの頃』にケリをつけるために、再び戦士の心を自らに呼び覚ましてる姿なんですね…。

       すると『クイン・黒木ミオ妖魔』は、ややヒステリックな調子で「ナニよっ!」と言います。

       「ムーンプリズムパワ〜!」「マーキュリーパワ〜!」「じゅぴたーぱわー!」「ヴィーナス、パワー!」

       で、一人ずつ変身シーンが流れたあと…

       「愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラームーン!」「水と知性の戦士、セーラーマーキュリー」「いかずちと、ゆうきのせんし、せーらーじゅぴたー」「愛と美の戦士、セーラーヴィーナス」

       「月にかわってぇ、(だ)(←おおっ!ナニげに背景に地球が…)(←これは、彼女達はあくまでもこの星のために戦うのであって、もはや前世の使命のためではないと言う意味なのでしょうか…)(←ナニげに、ヴィーナスだけ片ひざついてポーズを取っておりますが、これは、いつもなら本来マーズが取っているポーズを、ヴィーナスが代わりにやってるんですね)。

       すると『クイン・黒木ミオ妖魔』は、「ムカツク〜っ!『って言うか変身バンク長すぎっ!いつまで待たせんのよっ!』と首をブルブル振ります。

       で、セーラームーンが「フッ…!」とスティックを構えると(←おおっ、Act.48で『メタリア・エンディミオン』に壊されたのが直ってる)、他の3人もそれぞれ、「Final Act」で登場した『戦士の剣』を携えてセーラームーンの下へ駆け寄り、剣を構えます(←おおっ、今回はヴィーナスが『マーズの剣』を持っているっ!)(←でも、いつ渡したんだ…?)。

       『クイン・黒木ミオ妖魔』どすんっ、どすんっ…と迫って来ると、セーラー戦士達は一斉に向かって行きます。

       で、横からのアングルで対戦状況が映し出されると、さすが、リーダーのヴィーナスが先陣を切って『クイン・黒木ミオ妖魔』に斬りかかり、プリマドンナ・くるくるで一時退却…

       それと入れ替わりにマーキュリーが『クイン・黒木ミオ妖魔』の懐に飛び込んで斬りかかり、側転で一時退却…

       それと入れ替わりに、セーラームーンとジュピターが2人で突っ込んで行きます(←ナンか、の方が、守りに入ってるのか出足が遅いじゃねーか…)。

       すると、『クイン・黒木ミオ妖魔』が、口から吹き矢みたいなモンを飛ばす『吹き矢攻撃』(←勝手に命名)を仕掛け、セーラームーンが左右に体を沈めてそれを避け、スティックで弾きます…かきんっ!

       マーキュリーも剣で弾きつつ避けます…かきんっ!

       ジュピターとヴィーナスも同様に応戦しております…かきんっ、かきんっ!

       で、セーラームーンが弾き返した吹き矢が、『クイン・黒木ミオ妖魔』の顔面に見事ヒットします…ばすんっ、ばすんっ!「きゃっ!」

       それで敵がひるんだのを見て、その隙にセーラームーンが「みんなっ!」と声をかけると、みんなはセーラームーンの許へ駆け寄り、「行くよっ!」と言う合図にとうなずきます。

       そして、「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」をやるのか?と思いきや、「セーラー・プラネット・アタックっ!」(←おおっ!この合体技は、実写版では本邦初公開じゃないかっ!)。「きゃ〜〜〜っ!」

       この「セーラー・プラネット・アタック」と言う合体技は、アニメ版では、第2シーズンの「セーラームーンR」の劇場版映画で出て来た技ですね(←そう言えばここに出て来た「キセニアンの花妖魔」も植物系で、『クイン・黒木ミオ妖魔』に似てるっちゃ似てますな…)。

 

       アニメ版のテレビ・シリーズ本編では、第4シーズンの「セーラームーンS」『デス・バスターズ編』)第102話「奪われた純(ピュア)な心! うさぎ絶体絶命」で出てきてましたが、アニメ版では、いずれも5人全員が揃って放つ技でした。

 

       ※ ちなみに原作では、第1シーズンの『ダーク・キングダム編』で出てきており、これが各版を通じて一番最初になります。ところが原作では、アニメ版と違って、実は元々この技は、『セーラームーンを除いた4戦士で放つ技』と言う設定のものだったんですな。で、よくよく考えると、原作の「セーラー・プラネット・アタック」は、実に興味深い技なんです。と言うのも、そもそも「プラネット」とはすなわち『惑星』のコトですから、『衛星(=サテライト)』である「月(=セーラームーン)」が加わるのは本来おかしい訳で、だから、原作のオリジナル設定は、学術的に言っても正しい訳です。しかも原作では、その場にセーラームーン(=プリンセスに覚醒した後の『三日月マークのセーラームーン』)がいるにも関わらず、ヴィーナスがセーラームーンには参加させず、「セーラームーン! スティックでバリアーを!!」と言って、その隙に4人で放ち、クンツァイトを倒してるんですね。2度目に放った時も、セーラームーンが『ダーク・エンディミオン』を斬って自害した後、クイン・メタリアに「幻の銀水晶」ごと連れ去られ、それを阻止しようとして4戦士が放ってます。つまりこの技は、前世において、セーラームーンと言う戦士が存在しなかった時代から使われていた『4守護戦士の合体技』だった訳なんですな。だからその名も「セーラー・プラネット・アタック」なんですね。

 

       と言うコトは、実写版におけるこの「セーラー・プラネット・アタック」は、セーラームーンも参加してるため、原作の「セーラー・プラネット・アタック」ではなく、アニメ版のそれを採用してる事になる訳ですな。

       ところで、某ウィキペディアの「月野うさぎ」の項目の中に、彼女の存在について、こんなコトが書かれておったのでございますが…(↓)

他のセーラー戦士が惑星由来の中に、なぜ一つだけ衛星が混じっているか、との疑問がしばしば提出されるが、惑星の原義は天動説宇宙観において「恒星天に固定されていない動き回る星」の意であり、これには太陽と月が含まれる。七曜(一週間)の呼称は、多くの言語でこの定義の惑星名にちなんでいる

       …って…コレなんですけどもねぇ…、こう言うコトを書いちゃうってコトは、この執筆者さんはたぶんアニメ版の信者さんなんだと思うんですけど、しかしですねぇ…、そもそも、だいたい『天動説宇宙観』なんてモノは、現世の我々人類の無知が生み出した『誤った考え方』な訳ですから(←地球が丸いコトすら知らなかったんだぞ…)、ンなモン、それ以前の太古の文明である「地球国」「月の王国」では、一切まかり通ってなんぞいないんですけどねぇ…。前世では、「地球国」「月の王国」は互いに交流があった位なのだから、間違いなく、最初から『地動説』が真実である事を知ってるんですな(←月から地球を見れば、地球が球体で太陽の周りを回ってて、その地球の周りを月が回ってるのなんて、全てが一目瞭然ですからな)。だからこそ、「月」と言う『衛星(=サテライト)』は地球と一心同体の特別な天体なのであり、それがすなわち『セレニティとエンディミオンの関係』を象徴しているのであって、それ以外の『惑星(=プラネット)』と同列だなどと認識してるはずがない訳ですよ。つまり、それこそが原作の解釈なのであり、原作の「セーラー・プラネット・アタック」が、あくまでも『4守護戦士(=『惑星』の合体技』に設定されてる事の根拠なんですね。

       セーラームーンが他の守護戦士と同列になるのは、あくまでも現世の一時期に限った話で、本稿のAct.37の時にも書きましたが、元々前世にはセーラームーンと言う戦士が存在しておらず、現世において敵の目を欺くためのの結果として編み出された副産物だからです。アニメ版では、このそのものを不採用にしてしまったため、「セーラー・プラネット・アタック」の解釈も『天動説』で無理やりこじつけちゃって『5人の合体技』にしちゃってるんでしょうけど…。だからこれは、本来であれば、そんなこじつけなどせずとも、実写版がそうしたように、最初から、「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」みたいなオリジナルの『5人の合体技』を作ってれば、ナンの矛盾も生じなかったって話なんですな。

       このように、「セーラームーン」世界では、元々前世から『天動説』を否定しているため、最初から「七曜(一週間)の呼称」も採用してません(←だから順番も「月」「水」「火」「木」「金」なのだ)。セーラー戦士と言うのは、ただ単に、戦隊モノの『5人と言う定員数』を満たすために、『地球』の近くに位置する4つの『惑星』を守護戦士にしてるだけなんです。そしてそこに『月=衛星』が混じっているのは、セーラームーンと言う戦士が、あくまでも、『5人目の影武者戦士』だからです。だから土星以降の他の『惑星』がわざわざ念入りに「外部太陽系」の枠で括られてる訳で、これらは単に、『戦隊モノの定員オーバー』になるから5人の中に入れなかったに過ぎません。また、『天動説』を採用していないからこそ、『恒星』である『太陽を守護に持つセーラー戦士』(←セーラーサン?)だけが、絶対に存在し得ない事にもなってる訳です(←原作の旧版・第15巻(新装版・第10巻)には、エンディミオンを指して「太陽の守護をうけた地球の王子」と書いてある)(←てコトは、彼が『セーラーサン』か?)(←人呼んで、『セーラーさん』…)。

 

       【追記】 ちなみに、これはあとで知ったのですが、この某ウィキペディアの記事は、どうやら「セーラームーンの秘密」(データハウス)という、いわゆる「謎本」からの受け売りのようですね。後日、どんな事が書いてあるのかちょっと興味あったので試しにこの本を入手して読んでみましたところ、そこに同じ事が詳しく書かれてました。でも、いずれにせよその解釈では、「なぜ原作では「セーラー・プラネット・アタック」『4守護戦士(=『惑星』の合体技』に限定されてるのか?」とか、「なぜ『セーラーサン』だけ存在しないのか?」と言った事の意味が説明できませんからね。

 

       ただし、今回実写版で採用された『アニメ版仕様』「セーラー・プラネット・アタック」は、「Final Act」でタンバリンが剣に変わったために、もう「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」が使えなくなった事から、それに代わる合体技として急遽白羽の矢が立ったにすぎないのだろうと、ワシはそのように軽く解釈しております。

       『クイン・黒木ミオ妖魔』は、ドロドロに溶けながら、光の粒子となって天に昇華して行きます…。

       そして、全てが消え去ったあと、最後に「チャッピー」どさっ!と地面に落ち、もう腹話術の主はいないと言うのに、寂しそうな声で「くぅ〜…」と鳴きます…そして、術が解けてボロボロに戻るはずなのに、なぜかそうはなりません…。

       この「チャッピー」は、もちろん言うまでもなく、月の王国サイドの『生きたぬいぐるみネコ』との対比ではあるのですが、その真意は、かつてベリル様が先天的に抱えていた孤独を、そのクローンである黒木ミオも引き継いでおり、つまりその孤独を、『黒木ミオ的に表現していたモノ』だったのかもしれませんな…。なぜなら、黒木ミオが死んだあと、お城の内装とかも元通り廃屋に戻ったと言うのに、この「チャッピー」だけ術が解けないと言う事は、犬のぬいぐるみ好きの彼女が、きちんと、本当に直しておいたからなのではないでしょうか…。

       そろそろ日も沈む頃に差し掛かり、その西日を背景に受けながら、セーラー戦士達は、勝利の笑顔もなく、ただ黙って立ち尽くします…。

        ★  ★  ★  ★  

       お城の中に並べてあった風船が割れて、その中に閉じ込められていた人々のエナジーが、それぞれ宿主の下へ帰って行き、お城の内装も、元の通り廃屋に戻り、明かりも消えます。

        ★  ★  ★  ★  

       いつしか外は夜になり、4人は変身も解いて私服姿に戻っており、人々のエナジーが夜空に消えて行くのを眺めています。

       すると、うさぎちゃんの首に掛けられていた『変身ペンダント』が、その「今日だけ」の刻限が訪れたのか、光の粒子となって砕け散って消えて行きます…。

       そして、亜美ちゃんの左腕に巻かれている『ブレスレット』も、まこちゃんの左腕の『ブレスレット』も、そして美奈子の左腕の『ブレスレット』も、同じようにして消えて行きます…。

       亜美ちゃんは自分の左腕に残ってる『ブレスレット』の感触を確認するかのように右手で触ってます…。

       まこちゃんは、ただその左腕の跡を見つめています…。

       美奈子は、少し左腕に目をやっただけで、すぐに顔を上げます…。

       うさぎちゃんも少し視線を落としただけで、すぐに顔を上げ、「……これで良かったんだよね…」とつぶやくように言います…。

       その言葉に、美奈子だけが「うん…」と答え、まこちゃんは、そんな美奈子を見やってます…。しかし亜美ちゃんは、そのやり取りには目も向けていません…。うさぎちゃんの頬には、涙の雫が見えますが、それは何のための涙なのでしょうか…。

       この、「これで良かったんだよね…」と言うセリフは、色々な意味に取れそうなので、どう解釈したものか非常に悩むのですが、これに関しては、「M14の追憶」と言う素晴らしいブログの中で、筆者のM14様と言う方が以下のように考察なされておりました(『M14の追憶』2006522)(↓)

ところで、このシーンでのうさぎのセリフ「これで良かったんだよね」は何に対して言っているのだろう。

. 黒木ミオをチュボンしたこと

. ふつうの市民として生きていた4人がセーラー戦士になって戦ったこと

. 変身アイテムが消滅し、もうセーラー戦士になれないこと

1ではテーマが重すぎる。ヒーロー物の永遠の課題だ。3が無難だが良かったも何もうさぎ達には選択の余地がない。

       ワシ如きではとてもこれ以上の事は思いつけず、思わず引用させて頂いてしまいましたが(←申し訳御座いません)、M14様がここに書いておられるように、ワシは、あくまでも基本は2で、そこに1と3のニュアンスが少しずつ加味されているのではないか?…と考えております。ただし、M14様も指摘なされてる通り、3は彼女達に「選択の余地がない」のはもちろんですが、本稿で先述したように、「もうセーラー戦士になれないこと」は、実は当の本人達が一番望んでる事であるため、それに対する感傷は、むしろ視聴者の気持ちを番組的に代弁していると受け取るのが、最も自然なのではないかと、そのように解釈しております…。

        ★  ★  ★  ★  

       するとここで、いきなりまこちゃんが、うさぎちゃんの顔を覗き込むように飛び出て来て、まるで冷やかすかのようなイタズラっぽい笑みを浮かべながら、「で!?…結婚式はどうするわけ?」と問い詰めます。

       うさぎちゃんが、もじもじしながら答えを渋ってると、亜美ちゃんと美奈子が、その様子を面白がって、顔を見合わせながら笑ってます…。

       ※ 前回までのテレビシリーズ本編では、この2人は、『前世』『現世』の対立軸に設定され、終始、決して交わる事なく描かれてきました。その2人が、今回のエピソードでは、その出番が、常にこの両者を並列する形で登場させながら描かれ、それがここに至って、初めてこの2人が笑顔を交し合いましたね。おそらく、美奈子を海外で活躍させ、同様に一方の亜美ちゃんをアメリカの大学に留学させたのも、この両者の関係を、このような描き方で浮き彫りにする意図があったものと思われます。ただし、もう一つだけ言及しておくと、美奈子は今回に至っても、結局亜美ちゃんの名前を呼ばずに終わりましたねぇ…しかしながらこれは、今回の美奈子の個人的なテーマが、実は、彼女に「レイ」と言う言葉を口にさせる事にあったからなんですね。だからその一言を際立たせるためにも、今回の美奈子には、レイちゃん以外のメンバーの名前を一切口にさせていないからなんです。

       うさぎちゃんは、まこちゃんに背を向けながら、ボソッと…「……やる…」。まこちゃんは、わざと聞こえない振りをしながら、「んん?」

       うさぎちゃんは、「ンもぉ…『分かってるくせにイジワル…!』……やりますっ!」(←この一言は、カメラ目線で視聴者に向かって宣言するの図…)。

       みんなはと拍手をすると、まこちゃんが駆け出して、後ろに突っ立っていた地場衛の手を無理やり引っ張って来て、背中を押してうさぎちゃんに引っ付けさせます(←地場衛の後方には、四天王が並んで立っており、ジェダイトくんだけが拍手しております)。

       うさぎちゃんと地場衛は照れ笑いを浮かべながら、3人にわいわいと突っつかれながら冷やかされております…。うさぎちゃんは地場衛の腕にしがみついて、「ありがとうっ…『大事なコトを思い出させてくれて…』と言います。すると地場衛が、そんなうさぎちゃんの頭を『よしよし…♪』みたいに撫でております。

       そして夜空には、大きな満月が浮かんでいるのでありました…。

 

 

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       結婚式の日…。

       教会の鐘がカラーン、カラーンと鳴らされ、扉がバタッと開くと、結婚行進曲が流れ、中から新郎新婦が出て来て、外で待っていた出席者一同が声を上げて拍手をし、2人を出迎えます。

       腕を組んで出て来た2人は、みんなに向かってお辞儀をし、階段を下りてきます。すると、人型ルナが2人の前に出て来て(←肩にアルテミィ〜スを乗せてます)、花びらを高々と振り撒きながら、2人を先導するように歩きます。

       亜美ちゃん、まこちゃんも、2人に花びらを振りかけます。その隣で、レイちゃん(←左腕に、まだ包帯が巻かれております)、美奈子が拍手してます。

       反対側の列には、なるちゃん、クラスメイトA、クラスメイトBがいて、それぞれ「おめでとうっ!」と言いながら花びらを振りかけてます。

       進悟は、デジカメを持って写真を撮ってて、うさママは、「うさぎおめでとうっ、うさぎっ、うさぎっ、おめでとうっ!パパっ、ちゃんと見てっ!」。本邦初公開のうさパパは、もうボロ泣きしちゃってて、ハンカチで顔を覆ってしまいます(←さすがに娘の結婚式には出席しましたなぁ…)(←見たところ、いかにもやさしそうな、至って普通のサラリーマンと言った感じのお父さんです。要するに、原作・アニメのうさパパと同じですね)。

       ※ ところで、うさパパでふと思い出したのですが、そう言えば、「セーラームーン」世界の『前世のセレニティ家』って、あそこの一家も、実写版の月野家と同様に、見た目完全に『母子家庭』でしたよね? なので、前世の『月の王国のキング』も、実写版のうさパパと同様に、完全に幽霊家族の扱いでした(←それとも、まさかクイーン・セレニティは『処女懐胎』でもしてたんでしょうか?)。

       元基も泣いております…「うぅ〜っ、まもる〜っ…!」(←って、地場くんのために泣いとんのかっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       おや?…少し離れた所から、四天王もその様子を微笑ましく眺めております(←さすがにその格好では参列できないか…)(←と言うより、やはり彼らは、一時的に天国から心を飛ばして来てるので、あくまでも『あの世の世界の住人』であるため、『この世の世界』と直接関わりを持つ訳にはいかないんでしょうな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       うさぎちゃんと地場衛は、参列者の間を通り抜けると、みんなの方に向き直って、もう一度お辞儀をします。そんな2人の許へ、みんなが口々に「おめでとう」と言いながら集まって来ます。

       空にはお日様が照っており、とってもいいお天気です…。

        ★  ★  ★  ★  

       で、いよいよ結婚式恒例の、「花嫁のブーケ」を投げる場面がやってまいりました…。

       若い独身の女性陣が待ち構える前で(←どうやら脚本家さんは独身ではないらしい…)、うさぎちゃんがみんなに背を向けて立つと、なるちゃん、クラスメイトAB、そして人型ルナが一番大騒ぎして手招きしております。

       すると、レイちゃんが思わず身を乗り出して隣の美奈子にぶつかってしまい、2人は顔を見合わせると、お互いと顔を背け合います(←この2人の関係は相変わらずおもしろいですね。2人とも性格が素直じゃないので、お互いに、相手が目の前にいない時にしか、その友情を素直に示せないんですからね)。

       その後方には、亜美ちゃんとまこちゃんが、みんなとは少し離れた所に並んで立ってて、この2人は、特に物欲しそうな様子は全く見られず、お互いに顔を見合わせて、この儀式を見物人として楽しんでるように微笑み合ってます…「♪…『誰が取るんだろうね?』「♪…『だな?』(←みたいな…)。

       すると、うさぎちゃんが元気よく「いくよ〜っ!」と合図し、「花嫁のブーケ」を真後ろに放り投げます…ぶんっ!

       すると、それが、みんなの頭上を遥か高く超えて行き、ナンと、一番後ろに立っていた元基がキャッチしてしまいます…「やったっ♪やった…」。思わず喜ぶ元基に、振り返った女性陣が唖然として、一斉に「ええっ!?」と言うと、元基は、「あ…」…そこで元基は、急にかしこまった態度でまこちゃんの方を向き、「…そのぉ…、次は、一緒にどうかなナンてっ!」と、まこちゃんに「花嫁のブーケ」を差し出します。「!……えっ!?…」

       元基は、真剣な顔でまこちゃんをじっと見つめ、それから、うなずきます…。

       するとまこちゃんは、驚きの表情から、次第に笑みがこぼれ始め、そして、まるで夢見心地のような声と表情で、「……はい…」と返事をします…。

       すると今度は、そんな2人に向かってみんながわいわいと手を叩きながら集まって来て、祝福します。

       地場衛も遠巻きに、「元基っ、よく言ったっ!」と声をかけ、うさぎちゃんも、「まこちゃんっ、おめでとーっ!」と言います。

       まこちゃんと元基は、そんな2人に、照れ笑いを浮かべて応えております…。

       ワシが思うに、うさぎちゃんは、ナニげに最初からまこちゃんを狙って「花嫁のブーケ」を投げたんじゃないでしょうかねぇ…。なぜなら、このブーケはまこちゃんがデザインしてくれた物だし、それに、うさぎちゃんはバスケの名手なので、たとえ後ろを向いてたって、それがどこに飛んで行くかなんて大体わかるはず…。まこちゃんも元基も背が高い。その元基が右手を高く差し出してキャッチした訳ですから、コレ、その位置に背の高い元基とまこちゃんがいなければ、そのまま、その真後ろにある噴水の池に落ちてる場面なんですな…。

       で、ワシがこのシーンで気になったのは、ナンと言ってもまず、レイちゃんです。これはすでに本稿のAct.33の時に書いてしまいましたが、このシーンで、レイちゃんが「花嫁のブーケ」を欲しそうにしてドキドキしていた、その姿ですね…。このようなコトは、Act.33〜34以前のレイちゃんでは絶対に考えられない訳で、今回のこのシーンによって我々は、かつて「オトコに憧れるなんて時間の無駄!」と言って「男の子好きになったコトない」レイちゃんが、そのように考える原因となっていた『父子関係』を克服して、完全に普通の女の子になったのをこの目で確認する訳なんですね…(←嬉しいような…でも、なぜか寂しいような…)。そう考えると、実写版のレイちゃんは、『原作寄りのキャラクターとして出発して、アニメ版寄りのキャラクターとして帰着した』…とも言える訳ですなぁ…。

       地場衛がまこちゃん達に拍手を送ってる隣で、うさぎちゃんは、ナニか感慨に浸るような、それでいて、少しどこか寂しそうな、そんな複雑な表情をしちゃっております…「……(心の声→)みんな昔と一緒だけど…、でも、みんな昔と違ってる……私も…」

       …ここで、主題歌の「キラリ☆セーラードリーム!」を哀愁漂うピアノ・ソロにアレンジしたApfテーマ曲アレンジ」(←「美少女戦士セーラームーン メモリアルCD-BOX ~MOONLIGHT REAL GIRL~収録)が流れ、それをBGMにして、うさぎちゃんの中で、思い出の日々が走馬灯のように流れていきます…

 

1.       【Act.2】…、下校時の歩道橋で、初めて亜美ちゃんに話しかけた時のこと…(「あのさぁっ、水野さんて…ぬいぐるみに、敬語つかうんだ?」「あ、…あれはぁ…、知らない子だったからっ…」)…

2.       【Act.3】…、火川神社で、レイちゃんが同じ学校の子達に絡まれ、(「いいから返してっ!」「もうやめるって約束しなさいよ! アンタのせいで、みんな行方不明になったんだからっ!」。)と石畳の上に倒されながらも、キッと相手を睨みつけてた時のこと(←このあと、うさぎちゃんが初めてレイちゃんに話しかけます)…

3.       【Act.6】…、転校初日から怖がられて孤立するまこちゃんが、木を見上げてるところに、うさぎちゃんが後ろから肩を叩いて話しかけ、そのあと一緒に下校した時のこと…(「あー、あのうわさ? 私は信じられないな、そんな人に見えないし、あれ、うそでしょ?」)…

       (↑)ここまでが、それぞれ、うさぎちゃんが初めてみんなに話しかけた時のことです。

4.       【Act.12】…、観覧車のある広場で待つ美奈子の許へ、ファンを巻いて来たうさぎちゃんが、無邪気に飛び跳ねながら手を振り、それを見て、美奈子がうさぎちゃんに微笑みかけた時のこと…

       (↑)この時、美奈子が初めてうさぎちゃんに微笑みかけました。

5.       【Act.5】…、亜美ちゃんが、朝、学校の下駄箱の前で、うさぎちゃんにペンギンポーズで、(「うさぎっ!…『お…』おはようっ!」。)と言った時のこと…

6.       【Act.8】…、レイちゃんが、まこちゃんの押す台車に載せられて、(「いけぇ〜〜っ!」。)とホテルの廊下を疾走した時のこと

7.       【Act.6】…、まこちゃんが、ニセ・ラブレターに騙されて、通り雨の中で愕然とさせられた時のこと…

8.       【Act.40】…、美奈子が、戦士になって以来初めて流した自分の涙を見て、思わず自分自身で驚いた時のこと…

       (↑)ここまでが、うさぎちゃん以外の4人が、各自、個人の抱える問題と向き合って苦悩していた時のことです。

9.       【Act.6】…、ジュピターが『タケル妖魔』を倒した直後にみんなが出て来て、噴水の前に並んだ時のこと…(「戦士が四人揃ったわ、力を合わせて、プリンセスと幻の銀水晶を探しましょう!」)…

10.    【Act.28】…、ダーキュリーから元に戻ったマーキュリーが、(「ありがとう!…ただいまっ!」)と言ってみんなに抱きついた時のこと…。そしてそれをヴィーナスが、一人みんなの輪から離れて、アルテミィ〜スと微笑み合いながら見守っていた時のこと…

11.    【Final Act】…、前世の使命を果たした5人が夢の大橋で合流し、初めて5人揃って並んで歩いた時のこと…

       (↑)そして最後の3つが、この5人の『仲間としての物語』の節目々々を綴った記念碑的なシーンです。

       「…(心の声→)あの頃が……、ホントに…、終わる……」…そして今、ウェディング・ドレスを身に纏ったうさぎちゃんは、目に涙を浮かべ、その涙が、頬をつたってぽたりと落ちます…「……」

       隣に立っている地場衛が、ふと、そんなうさぎちゃんの様子に気付くと、「…『フッ、しょうがないなぁ…』みたいに微笑み、そっと、うさぎちゃんの肩を、何も言わずにやさしく抱き寄せます。するとうさぎちゃんは「!…『はっ…!』と我に返って、地場衛の顔を見上げ、2人は微笑み合い、そしてまた前を向きます…(←この時のうさぎちゃんの表情は、至上の美しさを湛えております…)。

        ★  ★  ★  ★  

       地場衛がバイクのエンジンをふかすと、後ろを向いて合図します。

       すると、うさぎちゃんが済ました顔で寄って来て、いきなり、ドレスのスカートを捲り上げたかと思うと、それをばさっ!と脱ぎ捨て、高々と放り投げます(←またロボット刑事かよっ!?)。うさぎちゃんは、「♪…『どーよ?!』と言わんばかりに腰に手を当てて、ウェディング・ドレスが白いワンピース(?)に早代わり?

       当初、この結婚式は、うさぎちゃんの企画段階では、以下のような感じで執り行われる予定でした(↓)

1.       「見て見てっ、このカード、可愛くない? でねっ、これをね、付けてぇ…。それでね、来てくれた人一人ひとりに、メッセージ書いて渡すのっ♪ あと、小さいプレゼントと、お花も付けたいかなっ。それを、ぜんぶ2人で準備したいから、あしたからやらないとっ」「…『ゲッ、マジかよぉ…』(←みたいな…)。「人にやってもらったんじゃ心がこもってないし…。あと、パーティーの時の音楽はぁ……」

2.       「それ以外だって、オレがアイツに花束渡す儀式だとか、色々やらされるんだからな。正直キツイぞ…」

       しかし、今回のケンカと事件解決を経て、また一つ成長したうさぎちゃんは、結局、自分一人の好きにするのはやめて、きちんと2人で話し合って、お互いが気持ちよくできるような、そんなシンプルな結婚式にする事にしたんですね。

       うさぎちゃんは、バイクの後ろにまたがると、みんなに向かって、笑顔で、「みんな、ありがとうっ、行ってきますっ!」と言い、そしてバイクはぶろろろろぉぉぉ…!と走り出します。

       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここで流れる「キラリ☆セーラードリーム!」は、非常に劇的です…)

 

       みんなは、走り去るバイクに向かって手を振ります…そして同時にこれは、美奈子が…、レイちゃんが…、亜美ちゃんが…、人型ルナ(←肩にはニコニコ・アルテミィ〜ス)が…、そしてまこちゃんが…、我々視聴者に向かって、「バイバ〜イっ♪」と別れの挨拶をしてもいるんですね…(涙)。

        ★  ★  ★  ★  

       海岸沿いの道路をかっ飛ばすバイク…。うさぎちゃんは、赤いハーフヘルメットを被ってます…。

       このヘルメットは元々陽菜さん用のモノなんですが、だからと言って、ここに至っても未だに捨てる事なく、うさぎちゃんがそのまま被ってるんですね…。それはおそらく、地場衛にとって、陽菜さんが未だに家族同然の存在であると言う事を、この2人が、決して否定したり、忘れたりしないと言う事の表れなのではないでしょうか…。

       すると、2人のバイクの先に一台のタクシーが見えてきました…。そしてその後部座席には、これからアメリカに帰るために空港へ向かう亜美ちゃんが乗ってて(←あれ?!…て言うか、このタクシーは「牧 四郎」「牧 タクシー」じゃねーかっ!)(←ひょっとするとこのタクシーは、水野家御用達の個人タクシーなのか?)(←で、このあいだ「牧 四郎」は車を捨ててトンズラしやがったから、今回は当然、お詫びの印に無料サービスなんだろうな…)。

       すると、亜美ちゃんが車の窓から「うさぎちゃーんっ♪」(←音は出てませんが、口の動きはそう言ってます)と手を振ります…。

       するとうさぎちゃんがそれを見て、笑顔で応えます…。

        ★  ★  ★  ★  

       次は、まこちゃんと元基が、2人で歩道を歩いてるのが見えて来ました…。

       バイクが2人を追い越す瞬間、「花嫁のブーケ」を持ったまこちゃんと元基が振り返り、くすっと笑うように2人に笑顔を送ります…。

       するとうさぎちゃんがそれを見て、笑顔で応えます…。

        ★  ★  ★  ★  

       次は、一人で家路に着くレイちゃんが歩道を歩いてるのが見えて来ました…。

       バイクがレイちゃんを追い越す瞬間、レイちゃんは2人に気付いて振り返り、笑顔で軽く手を振ります…。

       するとうさぎちゃんがそれを見て、笑顔で応えます…。

        ★  ★  ★  ★  

       次は、黒いベンツが見えて来ました…。

       その後部座席には美奈子が乗ってて、バイクがベンツを追い越す瞬間、窓から顔を出して、『Vサイン♪』を送ります…「♪…『次回はいよいよ、あたしの、あたしによる、あたしのためのエピソードよっ♪』

       するとうさぎちゃんがそれを見て、笑顔で応えます…「…『ついに、マジで主役を奪われる日が来るのね…』

        ★  ★  ★  ★  

       うさぎちゃんは美奈子の車を見やったあと、前を向き、地場衛の背中に頬をつけ、地場衛が、そんなうさぎちゃんに首を向けて応えます…。

       うさぎちゃんは、ぎゅっと、思いっきり地場衛にしがみつき、バイクは、海岸沿いの道路を走り去って行きます……………………

        ★  ★  ★  ★  

       「♪じゃ〜ん…まつげは〜ふせ〜て〜む〜くちに…♪」(←ここで「キラリ☆セーラードリーム!」が2番に入り、その後の5人の生活ぶりの映像が流れ、その横にスタッフ・ロールが出ます…)(←このせいでワシは、「キラリ☆セーラードリーム!」の2番を聴くと条件反射で泣けてきてしまう体質になってしまったのだ…)

 

        ★  ★  ★  ★  

       亜美ちゃんは、史上最年少のドクター(=女医さん)になったのでしょうか…、病院で、小さな男の子を診察してる姿が映し出されます…。

        ★  ★  ★  ★  

       レイちゃんは、祭壇に無数のろうそくを立て、ナニやら呪文の練習をしております…。それが上手く習得できたのでしょうか…、そのあと、縁側から外を眺めながら、充実感に満ちた、爽やかな笑みを浮かべております…。

        ★  ★  ★  ★  

       まこちゃんは、元基とデートしてます…。商店街の中を、いきなり元基の腕をつかんで走り出すと、花屋さんに入って、花を見ております…。で、元基がその花の匂いを嗅いでます…。

        ★  ★  ★  ★  

       美奈子は、プロモーション・ビデオの撮影かなんかしてるのでしょうか…、撮影スタジオで、白いドレスを着て歌っております…。そのあと、休憩中にコーヒーを飲みながら、スタッフさんと談笑してます…。

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       最後に、普通の私服姿のうさぎちゃんが笑顔で走って来て、カメラに向かって元気よく手を振ります…。

       そして、「キラリ☆セーラードリーム!」がフェード・アウトして、画面もブラック・アウトしていきます…。

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       そして、音も消え、画面が真っ暗になったあとで、その向こうから、うさぎちゃんの「バイバーイっ♪」と言う声だけが聞こえてきて、これで「ホントに」、ワシにとっての「あの頃」も終わったので御座います…(←もちろん、ワシ、大号泣の図…)(←ドラマや映画を見終わったあとに、まるで自分も、このみんなと一緒に時を過ごしていたかのような、そしてそれが、「卒業」と言う名の「必然と不条理」によって突然別れを余儀なくされたような、そんな、このような充実感と喪失感を同時に味わった事など、未だかつてありませんでした…)。

        ★  ★  ★  ★  

       さて、この「スペシャル アクト」では、結局レイちゃんはセーラーマーズに変身せずで終わりましたねぇ…。この件に関しては、ネット上のあっちこっちで、様々な『大人の事情』的憶測が飛び交っていたのを目にしたものでしたが、しかしながら、レイちゃんの中の人の名誉のためにも断言いたしますが、決してそのような『大人の事情』なんかではありません。なぜなら今回の「スペシャル アクト」では、『レイちゃんは、最初からセーラーマーズに変身する予定はなかった』からです。もっと言えば、それどころか、今回のエピソードは、『レイちゃんが最初から変身できない事にこそ意味があるエピソード』だからです。これは要するに、前回までの、『最終決戦における美奈子の戦線離脱』と対になってるエピソードでもあるからなんです。

       実写版セーラームーンと言う作品は、本編中でもずっとそうでしたが、変身しようがしまいが関係なく、中の人がそのまま『顔出し』で出演してるのですから、こういう語り口には何の問題も違和感もなかった訳です。それはテレビ版本編でも、「スペシャル アクト」でも、「アクト ゼロ」でも全く同じ事です。

       前回も書きましたが、美奈子は、「戦士のリーダー」と言う重要な立場にありながら、Act.47で病死した事によって、Act.48と「Final Act」の最終決戦において『戦線離脱』を余儀なくされた訳ですが(←※これが原作なら、話が成立しないほどの改変です)、そもそもその意図が何だったのかと言えば、実写版がこの一年間ずっとそうだったように、クラウン組の『現世の友情物語の完結編』を描く上で、『前世の記憶』ゆえに『前世の主従関係』を持ち込まざるを得ない美奈子の存在を、画面上から完全に消してしまわなければならなかったからです。そして、最終的に『現世の友情』『前世の主従関係』に対して勝利を収め、彼女達が前世の使命を果たし、「幻の銀水晶」が砕け散った事で変身能力も失い、心身ともに普通の女の子に戻り、その結果、美奈子が『前世の主従関係』からも解放され、それで初めて、美奈子も本当の意味でクラウン組と『真の友情』で結ばれる事ができた訳です。しかしながら、ようやくそこで、せっかく美奈子が辿り着いた『現世の友情物語』も、あの短いラスト・シーンだけでは、とても、誰の目にも納得するような形で表現しきれていない訳です。つまりそれを、この「スペシャル アクト」で描こうとしてた訳です。

       美奈子の『現世の友情物語』を仲介していたのは、言うまでもなくレイちゃんです。そのレイちゃんは、Act.47における『美奈子の死』と、そして、Act.48と「Final Act」における『美奈子の不在』を通して、美奈子に対する『現世の友情』をハッキリと表現してきました(←2回もの大号泣やダブル・タンバリンその他によって…)。しかし一方の美奈子は、そのレイちゃんに対して、最後の最後までレイちゃんのコトを「マーズ」と呼び続け、レイちゃんに対して『現世の友情』をハッキリとは表現していませんでした。これは、実は、この時すでに企画されていた「スペシャル アクト」でそれを描くために、わざとその課題を残しておいたからなんです。その証拠に、だからこそ、Act.47のあの手紙の中では、美奈子に「マーズ」と言わせたままで死なせ、さらに「Final Act」のラスト・シーンでは、美奈子に「マーズ」とも「レイ」とも言わせないでおいたんです。同様に、Act.48における『黒木ミオのあの死に様』にしても、それ以前の段階で黒木ミオに日和見的な行動を取らせておいて、彼女に『うさぎちゃんと地場衛の事を個人的に憎ませる動機』を与え、それを根拠に『死者の怨念』として復活させ、最初に『巫女さんレイちゃん』と対峙させるべく、ちゃんと「スペシャル アクト」への下準備をしておいた訳です。で、そこで、もしも最初にレイちゃんを再起不能にしておかないとなると、あとでレイちゃんが変身できた時に、属性的にマーズ一人で簡単に『クイン・黒木ミオ妖魔』を倒せてしまう事にもなりかねない訳ですからね。

       このように、『美奈子の死』が単に『お涙頂戴』目的でした事ではなく、きちんとしたストーリー上の必然からであったように、この「スペシャル アクト」における『セーラーマーズの戦線離脱』も、全くそれと同じで、一年間の本編から続いてるストーリーの流れからの必然なんです。だからこれは、すでに本編で『美奈子の死』を描いてる段階で、『美奈子のレイへの友情を、この両者の立場を逆に置き換える形で描く』と言う構想があったんです。

       もう一つ、今回レイちゃん自身がほとんどストーリーに絡まなかったのは、これも本稿で再三に渡って書いてきた事ですが、そもそもレイちゃんの役割が『友情担当』だからです(←亜美ちゃんもそうです。だから今回の亜美ちゃんも印象が弱いんです)。しかもレイちゃんは、亜美ちゃん以上に、このような恋愛絡みのエピソードでは、常に全くと言っていいほど出番がなかった訳ですから、だからたとえば、本編でのレイちゃんは、唯一、陽菜さんと一度も会ってなかったりもする訳です(←レイちゃんは、陽菜さん登場と時を同じくして、美奈子一直線になっていきますからね)。

       それに、もう一人の『友情担当』である亜美ちゃんは、今回、一体ナニをしたと言うのでしょうか? 実はナニもしてないんですよ。ただ単に、マーキュリーに変身して戦っただけなんです。単に戦闘に参加しただけで、ストーリーの根幹には一切絡んでない訳です。なぜなら、何度も言うように、クラウン組の『友情物語』は前回で完結してるのですから、もう亜美ちゃんには、やり残された物語などないからです(←「ネフリン」はすでに『あの世の世界の住人』で、もう『この世の世界』には存在してないのですから、この先どうなりようもありませんし、おそらく「Final Act」の時点で、みんなの記憶からも消されたままになってるはずです。なぜなら彼は、ダーキュリー時代にも彼女の記憶から消されてる訳ですからね(涙)…)。だから、今回の「スペシャル アクト」において、むしろ本当の意味でお休みだったのは亜美ちゃんの方です。一方のレイちゃんは、『セーラーマーズの戦線離脱』と言う形で『美奈子の友情物語』を演出する役割を担っていたのですから、今回『変身した亜美ちゃん』と、今回『変身しなかったレイちゃん』と、どちらが「スペシャル アクト」にとって必要不可欠なピースだったか? それはもはや、言うまでもないコトなのではないでしょうか?

       だから今回は、逆に、『恋愛担当』のまこちゃんが活躍するのが当たり前なエピソードであり、したがってこれは、本編でやり残しておいた『まこちゃん物語の完結編』でもあり、同時に、本編でやり残しておいた『美奈子の友情物語』でもある訳なんです。そのためにレイちゃんは、自らの不在によって『美奈子の友情物語』を描く必然から、このように『戦線離脱』を余儀なくされたんです。このような語り口は、実写版がこの一年間にずっとやって来たコトであり、その手法を、今回もそのまま踏襲しているにすぎません。

       ※ 実は、「美少女戦士セーラームーン(東映公式)」「Special Act.バックナンバー」によると(↓)

企画段階では、「Final Act(仮)」と銘打たれてたストーリー。「これがホントの最終回!」というつもりで、鋭意制作中です。

       …つまり、全てはここに書いてある通りであり、そう言う事なんですね。つまり、テレビシリーズの最終回が『Act.49』として制作されてる時には、すでにこの「スペシャル アクト」Final Act(仮)」として企画されていたと言う事ですからね。決して、急ごしらえの飛び込み企画ではないと言う事です(←たとえば、次の「アクト ゼロ」なんか、すでにAct.35の時点で、それに向けた伏線を張っておいたくらいなんですから)(←前回の「Final Act」で、ネフライトに「ナニかあれば、必ず駆けつけます!」と言わせておいたのも、それらと同じ理由です)。なので、この「スペシャル アクト」をもって、ようやく各メンバー個人のそれぞれの物語もすべて完結し、実写版では、もう何も言い残した事はなくなった訳です(←この、非の打ち所のないシナリオ構成の一体どこに、『大人の事情』の入り込む余地などあると言うのでしょうか?)。

 

        ★  ★  ★  ★  

       さて、次回ですが、本稿では、「アクト ゼロ」をどうするかなのですが…、ちなみに「アクト ゼロ」の発売日は?…えっとぉ…、「2005年3月25日」ですか…。

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(梨華さん=浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

 [2009年11月26日(木)初稿 トモロー]


Act.51:アクト・ゼロ編

 

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     今回レビューした作品は、「美少女戦士セーラームーン DVD(ビデオ) スペシャル アクト」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD(ビデオ) スペシャル アクト (1話収録:60分)

Special Act ゲストキャスト

 

木村桃子:

阿部香奈美:

黒木ミオ:

ドクター:

美奈子SP:

 

キャスター:

クイーン・セレニティの声:

清浦夏実

平井愛子

有紗

ウォルフガング・レルツレ

坂本直季

藤井大督

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沢海陽子

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セーラー戦士アクション:

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佐藤義夫 佐々木義紀

斉藤英長 佐藤賢一

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