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―実写版セーラームーンを検証する―


Final Act:最終回――

 

       本稿は、2004年9月25日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士 セーラームーン」(実写版)第49話・最終回の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

        ★  ★  ★  ★  

       前回のラスト・シーンがモノクロ映像で再現されます(←再編集を加えつつ…)。

       爆風の中からセーラームーンが現れる…

       すると、そこへ、地場衛の幻影が現れ、セーラームーンの手に自分の手を添えて、優しく微笑みかける…

       セーラームーンは、そんな地場衛を見上げる…

       地場衛の幻影も消え、一人で剣を真っ直ぐ構えて立ち尽くすセーラームーン…。その瞳から流れる涙が、エンディミオンの剣に落ちて、きらりんっ!と弾けて輝く…

       「やめろっ!」。…まこちゃんが最後の力を振り絞って叫ぶ…

       「!……」。…亜美ちゃんは呆然と見守るばかり…

       「!……」。…レイちゃんは思わず目を伏せてしまう…

       セーラームーンと『メタリア・エンディミオン』が、しばし向き合ったまま対峙する…(←TVの本放送版では、このシーンに「提供」のテロップと音声が被さるのだが、リアルタイムで見てないワシにとっては、これがあると逆にワクワクと錯覚させられてしまうから不思議だ)…

       セーラームーンが、「まもるっ!」と叫んで駆け出す…

       セーラームーンは『メタリア・エンディミオン』目掛けて突き進み、ついに彼の腹に剣を突き刺す…ぐさっ…!!

      …Act.13の海岸での、『肉まん半分コ』の回想シーン…

      …Act.36で、二人が手をつないで楽しそうに商店街を歩いてる回想シーン…

      …同じく、ベンチに並んで座って、うさぎちゃんが地場衛の肩に頭をもたれて甘えてる回想シーン…

      …Act.43の、セーラームーンとエンディミオンの、夕暮れの砂浜でのキス・シーン…………

        ★  ★  ★  ★  

       ダーク・キングダムの洞窟…。

       天井から地面に、ぽたっ、ぽたっ、と…滴が落ちる音が響いてます…。

       セーラームーンが、エンディミオンの亡骸を膝に乗せるような格好で、地面にへたり込んでます…。

       これは、『メタリア・エンディミオン』が倒された際の衝撃波かナンかで、今度は洞窟に飛ばされた…と言うコトでしょうか…。

       セーラームーンの左手が、ちょうどエンディミオンの心臓のあたりに添えられています…。まるで、何も聞こえてこない心臓の鼓動の音を、確かめているかのように…、そして彼女自身は、心が抜け殻になってしまったような…、そんな虚ろな目をして……。

       ※ 原作においても、セーラームーンはエンディミオンと戦う事を余儀なくされ、彼を剣で斬り殺してしまいます(←アニメ版では、一瞬戦いはしますが、殺しはしてません)。原作の設定では、セーラー戦士達は、エンディミオンの体から「幻の銀水晶」のカケラを取り出して「完全体」に戻すために、ベリルに操られた『ダーク・エンディミオン』と戦って倒さねばならなかったからです。ところが、倒した直後に、ナンとセーラームーンも自害してしまうんですな。原作のプリンセスは、前世でも、エンディミオンがベリルに斬られた直後に自害しちゃってるんですが、要するにこの人は、実写版の『前世のプリンセス』「エンディミオンのいない星はいらない」と言ってしまうのと大して変わらず、『エンディミオンのいない人生はいらない』人なんですね(←これは要するに、少女マンガの基本中の基本である、いわゆる『恋愛至上主義』の考え方なんですな…)

       しかし、少なくとも、実写版の『現世のうさぎちゃん』は、そのように、恋だけのために自害するなど、決してしない人です。なぜなら、「だって、私には大切なものがたくさんあるから…」…だから、自分が死んだら、悲しむ人は地場衛一人ではないのだと、それをよく分かっているからです。なので、実写版においては、『前世のプリンセス』は、前世においては、エンディミオンが斬られた直後に「幻の銀水晶」を暴発させ、そのあと自害してしまいましたが、しかし現世においては、『現世のうさぎちゃん』は、取り敢えずそれはしませんでしたね。

       そこに、亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんがやって来ます…みんな、顔中が泥だらけの傷だらけです……て言うかその前に……なぜか…、あ、亜美ちゃんの…亜美ちゃんの前髪がカットされているっ!(←そ、そこまで壮絶な戦いだったのだなっ!)。

       でも、セーラームーンは無表情のまま、無反応です…。

       すると、今度はそこに、反対側の通路からベリル様がやって来ました…。ベリル様は、悲しそうな表情でエンディミオンの亡骸を見つめながら、ゆっくりと近付いて来ます…。

       「クイン・ベリル!」。3人はセーラームーンに駆け寄り、まこちゃんがベリル様に対して盾になるように立ち、その隙に亜美ちゃんとレイちゃんがセーラームーンの脇を抱えて、エンディミオンの亡骸から引き離し、ベリル様から遠ざけます。

       しかし、ベリル様は、そんなセーラー戦士達になど目もくれず、「…エンディミオン……」とつぶやきます…。

       ベリル様は、エンディミオンの亡骸を見下ろしながら、「クイン・メタリアも……消えたか……」(←どうやら、それを確認するために、こうしてノコノコと出向いて来られたようですな…)。

       すると、ベリル様は視線を上げ、セーラームーンを睨みつけるように見ます…。

       とっさに、まこちゃんがファイティング・ポーズをとります…「!…」

       「プリンセス……、なぜお前は、わらわから何もかも奪おうとするのだ……。前世の昔から…、エンディミオンも…、富も権力も…、そして今度は、クイン・メタリアまで…!」(←前世では、メタリアはベリルの自由になっていたからですね。たとえそれが、ベリルがメタリアに利用されていただけだったのだとしても…)。

       「……」(←しかし、呆然と立ち尽くしたまま、聞いちゃいません…)。

       「お前こそ、災いをなす者……大いなる悪だっ!」

       この「大いなる悪」と言う表現は、本稿のAct.35の時にも書きましたが、Act.6からAct.26にかけて、つまり前半戦においてのみ、「クイン・メタリア」を意味する別称としてずっと使われていた表現です(←※原作では、「クイン・メタリア」「わが大いなる支配者」と表現されてました)。ベリル様は、『前世のプリンセス』がどんな人物だったかを当然知っており、そして、逆に、『現世のうさぎちゃん』がどう言う子かは全く知りません。そのベリル様にとって、「クイン・メタリア」「幻の銀水晶」も同じ最終兵器でしかない訳ですし、実際に、前世で星を滅ぼされた経験上、それは死を持って思い知らされてる訳ですから、この言葉は、まさに、真実以外の何ものでもないですね。そしてそれは、Act.47における亜美ちゃんの言葉⇒(「ずっと気になってたんだけど、このあいだ、大坂さん達を元に戻したことあったよね?…あれ、プリンセスじゃなくて、うさぎちゃんなんじゃないか、って気がしてて…。でも…、幻の銀水晶には、星を滅ぼす力もあって…、…つまり……、うさぎちゃんが…、…メタリアにもなれるってコト…」)と同じ事を言ってるんですね。もちろん、物理的な意味でうさぎちゃんがメタリアそのものになると言う意味ではなく、『メタリアと同じような、大いなる悪にもなれる』と言う意味です。

       「違うっ!…うさぎはっ、アンタやメタリアからこの星を守ったんだっ!」

       …そうなのだ…、うさぎちゃんは、地場衛やみんなと約束した通り、この星を守ったんです…。ただ、無念にも地場衛と言う犠牲は払わねばなりませんでしたが、しかしメタリアも消えた今、ベリル様の野望も打ち砕かれ、もはや戦意すらありません…、したがって本来であれば、これで、全ては一件落着のはずなんです……

       するとベリル様は、静かにタメ息をつくように、「……エンディミオンを殺してな…」(←って、自分だって殺そうとしてたくせに…)。

       このシーンでのベリル様の言動は、ちょっと引っかかりますねぇ…。なぜなら、自分だって、前回、エンディミオンからメタリアを奪い返すために、ジェダイトくんに『エンディミオン抹殺指令』を出してたくせに、それで、セーラームーンに向かって「エンディミオンを殺してな…」はないんじゃないでしょうか? では、ベリル様は、なぜここで、こんなコトを言っちゃってるのでしょうか?

1.       前回も書きましたが、ベリル様と言うのは、とにかく絶対的に『まずメタリアありき』なんです。「幻の銀水晶」が手に入らないと分かった以上、もはやメタリアがなければ「地上の支配」もなく、そして「地上の支配」がなければ、エンディミオンだって手に入らない訳ですから、この優先順位だけは、たとえ天地がひっくり返っても変わらない訳です。だからジェダイトくんに、「メタリアがエンディミオンに根付く前に」「エンディミオンを仕留め」、そして『メタリアを取り戻せ!』と命令したのであって、決して、『エンディミオンを殺して、エンディミオン共々メタリアを消滅させ、星の破滅を阻止せよ!』と言ったのではありません。

2.       しかし、結局、クンツァイトの土壇場の妨害によってジェダイトくんの『エンディミオン抹殺』は失敗に終わり、その結果、メタリアはエンディミオンに『根付いて』しまいました。こうなるともう、そのエンディミオンを殺せばメタリアも一緒に消えてしまうし、そのエンディミオンを殺さなければ、『エンディミオンを飲み込んだメタリア』が星を滅ぼしてしまう…、しかし、かと言って『エンディミオンを飲み込んだメタリア』を倒せるような力はベリル様にはない…、だからその時点で、ベリル様は「地上の支配」の野望も打ち砕かれ、完全に全てが終わっていた訳です。あとはもう、『メタリア・エンディミオン』が星を破滅させ、それで自分が死ぬのを、ただ静かに待っていただけだった訳です。ところが、セーラームーンが『メタリア・エンディミオン』を倒した事によって、「メタリアからこの星を守った」ために、ベリル様は、早い話が、『死に損なってしまった』訳なんですな。しかし、かと言って、このままネフリンみたいに「普通の人間」として生き長らえるなど、恥辱以外の何ものでもない訳です。

       では、そんなベリル様に、最期に残された手段とは…?

       ベリル様は、前世でなぜ星が滅んだか知ってる訳です。前世のプリンセスが、エンディミオンを失った悲しみから「幻の銀水晶」を暴発させて星を滅ぼした事を…。つまりベリル様は、ここでそれを再現させるために、『メタリア・エンディイオン』がやり損なった「星の破滅」を、今度はプリンセスにやらせようとして、こうやってわざとプリンセスを挑発してるんです。そうすれば、今度こそ、自分も星もろとも死ねる訳だし、その上、実力ではとうてい敵わない『憎っくきプリンセス』も、結果的に道連れにできる訳ですからね。プリンセスが「エンディミオンのいない星はいらない」と言うなら、ベリル様は、『自分のモノにならない星などいらない』んですよ。

       するとその時…、無表情なセーラームーンの口がナニかをつぶやくように動きます…(←声には出てませんが、口の動きは、「エンディミオンを…、殺した…」と言ってます)。

       亜美ちゃんがそれに気付いてセーラームーンの唇を見ます…「…?」

       すると今度は、小さな声で、「エンディミオンを…、殺した…」とつぶやきます。「はぁっ…!」

       「私が…、エンディミオンを…、殺した…」「うさぎちゃんっ、だめっ!…」

       「エンディミオンが…、……死んだ…!」「うさぎっ!…」

       今、この瞬間は、姿かたちはセーラームーンなのに、セーラームーンが絶対口にするはずのない「エンディミオン」と言う呼び名を口にしてますね…。これなんですが、前回のラスト・シーンで『メタリア・エンディミオン』を刺したのは、明らかに『現世のうさぎちゃん』であるセーラームーンでした。ところが、今回の冒頭のシーンで、エンディミオンの亡骸と共に座り込んでいたセーラームーンの表情は、すでに、『前世のプリンセス』である『プリンセス・セーラームーンA』のものです。

       実は、このような状態は、すでにAct.36の『プリンセス・セーラームーンA』の初変身の時にもあり、あの時は、セーラームーンのティアラがきらりんっ!と光って顔の表情が一変し、ベリル様に向かって「さわるなっ!」と叫んだ瞬間がそれでした。あの時は、その直ぐあとに2段変身が始まってるので、この『どっちつかず』とも『どちら』とも取れるような状態は、ほとんど数秒間の出来事でした。しかし、今回はかなり長いです。今まで、こんなに長い間、この状態を保っていた事はありませんでした…。つまり、この、『どっちつかず』とも『どちら』とも取れるような状態こそが、まさに、『現世のうさぎちゃん』『前世のプリンセス』が同一人物化してる状態なんです。たとえば仮に、もしもこれが、あくまでも『セーラームーン(=うさぎちゃん)』であるなら、ここのセリフは『私が…、衛を…、殺した…』になるはずであり、逆に、これが『前世のプリンセス』であるなら、彼女がエンディミオンを殺せるはずないので、『私は…、エンディミオンを…、殺してない』になるはずです。つまり、セーラームーンの口から「私が…、エンディミオンを…、殺した…」などと言う矛盾したセリフが出ると言う事は、この両者が同一人物化している以外に、絶対あり得ない事なんですね。

       無表情だったセーラームーンの顔に、みるみる悲しみの感情が沸き起こってきます…そして…ついに…

       「エンディミオーンっ!!」ずばーーんっ!!(←あっちゃ〜っ!!)。

       セーラームーンの全身から、金色の光が放射されます…「あぁっ!」「うわっ!」「!」「!…」

       セーラームーンを包む光が弾けると、そこには、『プリンセス・セーラームーンA』の姿が!(←2段変身だからね)。

       吹っ飛ばされて地面に這いつくばってた3人が、顔を上げて見ます…「!…」「…」「…」

       「…この星を…、…全てを終わらせる……」(←どっひゃ〜っ!!)。

       『プリンセス・セーラームーンA』がそう言ってエンディミオンを見つめると、エンディミオンの亡骸が金色に輝き始め、それが肉体を昇華させて消え去ります…

       「…エンディミオンと共に……」

       この「エンディミオンと共に」の意味がちょっと引っかかるんですが、『エンディミオンの死と共に、全てを終わらせる』なのか、それとも、『エンディミオンと共に力を合わせて、全てを終わらせる』なのか…(←つまり、『前世のプリンセス』目線での『前世のエンディミオン』の人物像が、どのようだったかによって、後者もあり得るのでは?)。

       「うさぎちゃん…!」「!…」「!」、3人は思わず顔を上げます。

       『プリンセス・セーラームーンA』は、いつものように冷たい視線で真っ直ぐ前を見据えながら、ナニか念を込めたのか、次第に地面がゴゴゴゴゴ…!と言う地鳴りと共に揺れ始め、石や岩が宙に浮き始めます。

       するとそこに、ジェダイトくんが空間移動で現れ、「ベリル様っ、危険ですっ!」と駆け寄ります。ベリル様は一瞬洞窟の天井を見回してから、『プリンセス・セーラームーンA』を見据えます…「……」

       すると、『プリンセス・セーラームーンA』も、冷たく見下ろすような視線をベリル様に向けます…「……」。両者は黙って睨み合う格好となり、それから、『プリンセス・セーラームーンA』の額のティアラがきらりんっ!と光り、全身から金色の光が放射され始めます。

       しかしベリル様は動揺する様子もなく、じっと『プリンセス・セーラームーンA』を見据えたまま、「……たかが小娘と思っていた……『少なくとも、前世のお前はそうだった…』

       ジェダイトくんが、「ベリル様っ!」と、ベリル様の盾になるよう前に出ます。

       すると『プリンセス・セーラームーンA』は、宙に浮かせた岩を、念力でベリル様目掛けて飛ばします(←おおっ! そんなコトもできるのかっ!)。するとジェダイトくんは、すんでのところでベリル様共々空間移動させて逃げてしまいます(←って、コラァっ! 戦わねーのかよっ!?)。

       すると、『プリンセス・セーラームーンA』の姿も消えてしまいました(←敵の後を追ったのか?)

        ★  ★  ★  ★  

       地響きが収まり、宙に浮いてた石がぱらぱらと地面に落ち、地面に這いつくばって倒れていた3人も、ようやく起き上がります…「うさぎは?!」。3人は辺りを見回します。レイちゃんが後ろを振り向き、「あそこよっ!」

       見ると、『プリンセス・セーラームーンA』が、右手に『プリンセスの剣』を持って、どこかへ歩き去ろうとしてます…「……『どうせ星ごと滅びるのだ…ベリルのあとなど追うまでもない…』

       亜美ちゃんが、思わず「うさぎちゃんっ!」と走り出します。レイちゃんとまこちゃんは「!…『あっ、だめっ!』みたいにその場に留まってます。

       亜美ちゃんが『プリンセス・セーラームーンA』に追いつきそうになったその瞬間、『プリンセス・セーラームーンA』は、後ろを振り向きもせずに、剣の向きだけを変えて光を放ち、きらっ!…ナンと、それで亜美ちゃんを吹っ飛ばしてしまいます…「きゃあっ!」

       「亜美ちゃん!」「!!…」。二人は急いで亜美ちゃんに駆け寄り、レイちゃんが、倒れた亜美ちゃんの肩に手をかけます。「私達まで、攻撃するなんて…!」「……本当に…、星を滅ぼしてしまうかも……!」

       「……」…亜美ちゃんは、『プリンセス・セーラームーンA』の後ろ姿を見据えながらおもむろに起き上がり、スックと立ち上がると、「…………止めなきゃ……、うさぎちゃん止めなきゃ……、…うさぎちゃんと…、戦っても…!」(←このセリフは、ある意味、Act.27におけるうさぎちゃんのセリフ⇒「今日はゼッタイ亜美ちゃんを連れて帰るっ、お尻叩いてだって連れて帰るつもりだからっ!」に呼応してるとも言える訳ですね)。

       その言葉を聞いて、まこちゃんは、「……!」…一瞬考えてそれを打ち消すように立ち上がり、「そんなコトできないよっ!……うさぎと……戦うなんて……『て言うか、プリムンめちゃめちゃつぇーよ?!ありゃ勝てないって…』

       しかし亜美ちゃんは、静かに、強い決意を持って、そして達観の笑みまで湛えたような表情で、答えます…「…私…、戦えるよ……。ホントはうさぎちゃんが、一番星を滅ぼしたくないはずだから…『そのために、地場くんと戦っても、メタリアを倒してくれたんだから…』…。だから…『その思いを無駄にしないために、私、うさぎちゃんと』戦う!『うさぎちゃんを、絶対「大いなる悪」なんかにさせない!』(←ワシ、号泣の図…)。

       これには、さすがのレイちゃんも言葉をなくして、呆然と立ち上がります…「!……『その発想はなかったヨっ!』

       「…亜美ちゃん…『本気なの…?』

       すると亜美ちゃんは、「……マーキュリーパワー・メーイク・アップ!」と変身します(←悲壮なBGMが流れ続ける中での無音の変身シーンは、非常にドラマチックです…)。

       変身し終わって、強い意思でポーズをとるマーキュリーを目の前にして、レイちゃんも静かにうなずき、あとに続きます…「マーズパワー・メーイク・アップ!」(←これも同じく、悲壮なBGMが流れ続ける中での無音の変身シーンは、非常にドラマチックです…)

       すると、同じく、まこちゃんもうなずいて、それに続きます…「じゅぴたーぱわー、めーいく、あっぷ!」(←以下同文…)。

       3人は並び立ってファイティング・ポーズをとると、一斉に駆け出します。

       普通に考えたら、これは、どうなのでしょうか?…もしもこの場に美奈子がいたら、彼女は、この亜美ちゃんの悲壮な決意に対して、レイちゃん、まこちゃんと同様に賛同し、プリンセスと戦おうとしたでしょうか?ワシには、そんな美奈子はちょっと想像できないんですな…。なぜなら美奈子には、他の3人とは決定的に違って、『前世の記憶』が完全にありますから、そうである以上、プリンセスへの絶対的な忠誠心だけは揺るぎません。だから、たとえどんな理由があろうとも、主君に刃を向けるコトにだけは、どうしても賛成できないのではないでしょうか? 前回の『対・メタリア・エンディミオン戦』においてもそうです。もしもあの場にヴィーナスがいたら、やはり彼女はいつものようにリーダーシップを発揮して、セーラームーンに対しても、一緒に『エンディミオンと戦いなさい』と、そう促してるはずなんです(←実際、あの場面で、天使バージョンのヴィーナスが、「星の運命を変えて」と、『メタリア・エンディミオン』と戦うように語り掛けてましたからね)。そしてそれは、『セーラームーンをエンディミオンとは戦わせない』ように頑張った3人とは、明らかに相反する考え方な訳です(←これは、どっちが正しいとか、そう言う問題ではなく、双方の立場の違いであり、どちらも必要不可欠な働きかけなんです)。

       つまり、前回と今回の2話にまたがる最終決戦の場において、美奈子の存在は、ここに至ってもなお、その時その時におけるセーラーチームの戦術の選択において、やはりクラウン組の意思とは相反する訳です。最終回のこの場面で、仮に美奈子が亜美ちゃんに従うにせよ反対するにせよ、いずれにしても、そこで必ず生じるであろう矛盾や違和感を、『美奈子の存在そのもの』と共に、この場から消してしまわざるを得なかったと言うのが、実は、『美奈子の死の真相』なのではないでしょうか?

       実は、それは、今までだって、ずっとそうだったんです。これは本稿で再三にわたって書いてきた事ですが、たとえば今までも、『美奈子の存在そのもの』が画面上から完全に消されてしまった数々のエピソード(←Act.2、5、14、16、27、33、34、41、42…)において、そこで扱われていたテーマが一体なんだったのか?もう一度よく思い出してみてください。それはすべて、クラウン組の、『現世における友情物語』なんですよ。そのような場に、『前世の記憶』ゆえに『前世の主従関係』を持ち込まざるを得ない美奈子の存在は、やはり、どうしても矛盾や違和感を生じさせないでは済まされない訳です(←唯一の例外はAct.24くらいで、この回も、美奈子はキャスト表示すらされない回だった)。

       つまり、この最終決戦は、それらのエピソードと全く同じ事で、『亜美ちゃん主導の、現世における友情物語の最終決戦』でもあるんです。なので、唯一『現世のうさぎちゃん』のすべてを見抜いてる『亜美ちゃん主導の最終決戦の場』において、唯一『前世の記憶を持つリーダー美奈子』の存在は、敢えて分かりやすく言えば、異分子以外の何ものでもない訳です。美奈子に『前世の記憶』がある限り、彼女の中で、「プリンセス」「うさぎ」は、あくまでも前世目線で同一人物』なんですね、だから美奈子は、悪い意味でこの両者を切り離せないんです。だからヴィーナスは『前世のプリンセス』とは戦えない。しかし、亜美ちゃんは全くその逆で、亜美ちゃんの中では、『前世のプリンセス』『現世のうさぎちゃん』は、あくまでも現世目線で同一人物』なんです、だから、いい意味でこの両者を切り離して考えられるんです。だからマーキュリーは『前世のプリンセス』と戦える(←ダーキュリーがセーラームーンと戦えたように…)。これが、美奈子と亜美ちゃんの間に存在する、『前世 vs 現世』の対立軸の正体です。だから美奈子は、最後の手紙の中ですら、やはり「プリンセス、うさぎ」と、この2つの呼び方を併記しないではいられないんです(←前回のセーラー解説の中でも、やはり「プリンセスである……うさぎ…」と言ってますからね…)。つまり、唯一『前世の記憶』のある美奈子が、本当の意味でみんなと同じ立場になって、『前世の主従関係』から完全に解放されるようになるためには、彼女達が前世の使命を果たし、その結果、変身能力も失い、みんながセーラー戦士であるコトから解放され、本当に、心身ともに「普通の人間」に戻らなければならないんですね。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       依然として、ゆっくりと歩を進める『プリンセス・セーラームーンA』の許へ、マーキュリー、マーズ、ジュピターが辿り着きます。

       すると、突然、『プリンセス・セーラームーンA』の腰のリボンがきらりんっ!と光ったかと思うと、3人の行く手を遮るように、ナニやら白装束の怪しげな連中が、どこからともなく沸いて出て来ました(←ナンじゃコイツらは!?)(←一瞬、「月影のナイト様」か?!と思ったが…)。

       ※ ちなみに、この連中は、エンディングのスタッフ・ロールによりますと、ナンでも「月の従者」と言うコトになっておりましたので、本稿でもその表記を採用したいと思います(←どうやら、額の白い模様は三日月マークのようですな。胸にも三日月マークのブローチみたいのを着けており、ベルトにも三日月マークがあしらわれております)(←ちなみに、中の人は全員スタントのお姉さん達なので、女性の従者です)。ところで…、この連中は、前世においてもこのように存在していたんですかね? 仮にこの「月の従者」なる者どもが、前世においてもプリンセスの護衛として暗躍していたのだとしたら、4人の守護戦士の存在意義とは、いったい如何なるものになると言うのでしょうか?!(←だって、やたら強いし…)。

       それを見て、マーズとジュピターはセーラー・ファイティング・ポーズを取りますが、マーキュリーはそれすらせずに、一人で先に「どいて!」と切り込んで行きます(←おおっ!)。そんなマーキュリーを見て、マーズもジュピターも(←みたいな…)。

       すると、8人ほどいる「月の従者」の中から、一人が瞬間移動を繰り返しながら、いきなりマーキュリーの眼前に現れ、「あっ…!」、そいつが片手を胸の前にかざすと、マーキュリーは空気投げでもされたのか、ナンと、次の瞬間には横っ飛びに吹っ飛ばされており、ぶわんっ!「いやぁっ!」どかっ!と洞窟の壁に激突して地面に落ち、さらにもう一発同じのを食らって地面に転がされ、せっかく変身直後にお色直しされたお顔やコスチュームが、また泥だらけになってしまいます(←ナンか…Act.14の『対・クンツァイト戦』みたいなヤラレようですな…)。

       「はぁ、…はぁ、…」…マーキュリーは肩で息をしながらも、相手を見据えて懸命に起き上がります。そして、タンバリンをちゃっ!と取り出すと、胸の前でクロスさせて構え、「…水よ…、水星よ……」…タンバリンを水平に回してじゃりじゃりさせながら、「…私に力を…!」。そしてタンバリンを高く掲げると、おおっ!…タンバリンが『水の剣』に変わりましたっ!(←かっけーっ!)(←Act.14の時のとか、ダーキュリーの時のよりも、ずっと大きいですな)。マーキュリーは水しぶきを上げながらそれを振り回し、ばっ!と構えると(←かっけーっ!)、「…(心の声→)うさぎちゃん、待って…!」と駆け出します。

        ★  ★  ★  ★  

       その「うさぎちゃん」こと『プリンセス・セーラームーンA』は、洞窟の中の広場を、奥へ奥へと歩いて行きます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはマーズ…。

       「月の従者」4名に囲まれ、相手と睨み合いの格好になってます。

       マーズは『華麗なる跳び蹴り』や、『くるくるパンチ』を繰り出すも、ことごとく空を切り、「月の従者」の変幻自在の動きから繰り出されるパンチや蹴りをマトモに食らってしまいます…ばきっ!「あっ」どかっ!「う゛っ!」がすっ!「あっ…!」(←相変わらず、やられる時の動きの方がシャープだ…)

       こちらも地面を転がされてホコリまみれになってしまいますが、すぐに起き上がり、ちゃちゃっ!とタンバリンを二つ取り出します(←おおっ! 一個はこれ、ヴィーナスのじゃないかっ!)(←アルテミィ〜スは月野家にうっちゃったけど、これと手紙は形見で引き取ったんだね…(涙)…)。マーズはヴィーナスのタンバリンを見つめてから、視線をキッと相手の方に向けると、『覚醒の舞』と同じ動きを取りながら、「…炎よ…、火星よ……、私に力をっ!」。2つのタンバリンをばっ!と頭上でクロスさせると、二刀流の剣に変わります(←どうやら形は一緒で、色違いになってるようですな…)。マーズは剣をがちんっ!と合わせてからばっ!構えると、「…(心の声→)うさぎを行かせるわけには…!」と駆け出します。

        ★  ★  ★  ★  

       その「うさぎ」こと『プリンセス・セーラームーンA』は、一人、洞窟の中の広場を、奥へ奥へと歩いて行きます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはジュピター…。

       ジュピターは「月の従者」2名と対峙し、マーズ同様繰り出す攻撃がことごとく空を切り、やはり敵の殴る蹴るを食らって壁に叩き付けられます。

       ジュピターもタンバリンを取り出し、「…いかずちよ…、木星よ……、私に力をっ!」。ジュピターがタンバリンを高くかざすと、おおっ! ナンと、ナギナタに変わります(←デカっ、しかも太っ!)。ジュピターは雷を発生させながらそれを振り回し、ばっ!と構えると、「…(心の声→)うさぎっ!…『て言うか、コレ重い…』と駆け出します。

        ★  ★  ★  ★  

       その「うさぎ」こと『プリンセス・セーラームーンA』は、ついに、洞窟の中の広場の最果てへとやって来ました。

       すると、『プリンセス・セーラームーンA』の足元がちゅばんっ!と爆撃を受け、その足が止まります。立ち止まった『プリンセス・セーラームーンA』がゆっくり振り返ると、そこには、「月の従者」達を倒して駆けつけたマーキュリー、マーズ、ジュピターの3人が、剣を構えて立ってます(←おおっ!守護戦士の面目が立ちましたなっ!)。

       しかし、『プリンセス・セーラームーンA』の投げかける冷たい視線に、3人は思わず剣を下ろしてしまい…、「…うさぎ…」

       すると、またしても、『プリンセス・セーラームーンA』の背後に、「月の従者」達が8名ほど現れます…(←ってこりゃ、『泥妖魔』以上にきりがないですな…)。

       そして、『プリンセス・セーラームーンA』は前を向き、石段を上がって円形の石の台に上がると、再びこちら側を向いて立ち尽くします。次の瞬間、『プリンセス・セーラームーンA』の全身が金色に輝き始め、「月の従者」達が一斉に胸を張って整列し、ゴゴゴゴ…!と言う地鳴りと共に、地面がゆれ始めます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらベリル様…。

       『メタリアの部屋』へフラフラと戻って来たベリル様の所でも、大きな地震と共に、天井から岩が崩れ落ち始めます。

       ベリル様は、輝きを失ったメタリアの塔を見つめると、思わず、「…『フッ…』と、落胆と皮肉の入り混じったような笑みを浮かべます。

       すると、後ろに跪いて控えていたジェダイトくんが、「ベリル様っ! ダーク・キングダムが崩れますっ!」と言いながらオロオロとしてます。しかしベリル様の方は、少しも慌てる様子もなく、「……逃げたければ逃げればよい…。わらわはこの城から離れぬ…『どうせ星ごと滅ぶのだ…どこへ行こうと同じこと…』

       するとジェダイトくんはすかさず、「では私もっ!」

       するとベリル様は、「もうよい…。女王様遊びは終わりだ…!」と言って左手を上げると、ジェダイトくんが「うっ…!」とうずくまり、その体から紫色のエナジーの塊のようなモノが抜け出て、ベリル様の手の中に納まります。するとジェダイトくんは、ナニやらキョトンとした様子で、「?…『あれ?…ココはどこ?…私は誰?!』状態で周りの景色や自分の体を見回します。それからベリル様を見上げると、ベリル様は、「……『フッ、分かったであろう?…お前の忠誠など偽りなのだと言うことが…』みたいに、ニヤリと笑みを浮かべて顔を背け、前を向きます。

       ところが、しばらくしても、ジェダイトくんが立ち去るでもなく、恨み言を言うでもない様子なのに気付くと、ベリル様は後ろを振り返ります。そしてそこに、いつもと変わらず、うやうやしく跪いて控えているジェダイトくんを見ると、「何をしておる? 術は解いたはず」。するとジェダイトくんは顔を上げ、「私は、ベリル様をあるじと決めております」「ナニ…?」「絶対にお側を離れません…!」「……」…ベリル様は、しばらくナニか考えるようにした後、かすかに笑みを浮かべながら、「…お前は愚か者だな…」「はっ…!」。すると、ベリル様は、ゆっくりとジェダイトくんに手を差し伸べます(←おおっ! ナンか知らんけど、やっと報われて良かったじゃないかジェダイトくんっ!)。ジェダイトくんは、中腰のままベリル様ににじり寄り、その手に自分の手を重ねようとします(←て言うか、キミ、目が据わっちゃってるぞっ!)。

       しかし、二人の手が触れる寸前に、天井が一気に崩れ落ちてきて、ガラガラガラーっ!…そのまま二人の姿も見えなくなります。

       ベリル様とジェダイトくんの手は、最後の瞬間まで、つながれる事なく終わったようですが、しかしベリル様ほど愛に飢えていた孤独な人もいなかったんじゃないでしょうかね。ベリル様は現世に転生してきてからと言うもの、まず、「前世で叶わなかった思い」を、エンディミオンの家臣達を蘇らせて『恋愛洗脳』する事で、その肩代わりをさせてきた訳ですからね。ところが、大本命のエンディミオンが現世に転生していた事を知るに至って、そんな「女王様遊び」も、ある意味その時点で破綻をきたし、そのとばっちりから役立たずのネフライトがはじき出され、有能なゾイサイトとクンツァイトは結局『かつてのあるじ』を選び、最後に残ったのはジェダイトくんだけ…。しかし、『残り物には福がある』じゃないけど、まさかそんな所に、ベリル様がどんなに求めても得られなかった『真実の愛』(?)が転がっていようとは…。ベリル様は、前回、メタリアがエンディミオンに根付いてしまった時点で野望が打ち砕かれ、全てが終わり、そのまま「星の破滅」をただ待つだけだった訳です。ですから、『メタリア・エンディミオン』に対しても『プリンセス・セーラームーン』に対しても、戦わずして完全に戦意喪失してしまってるんですね。でも、メタリアを失ってしまった以上、実力から言って、そのどちらにも歯が立たない事ぐらい、本人が一番よく分かってますからね。それを、ジェダイトくんの懸命な尽力によって、ほんのひと時の延命を得ていたに過ぎなかった訳です。

       ※ ちなみに、原作における最終決戦はセーラームーンとメタリアの一騎打ちだった訳ですが、原作のクイン・ベリルは、その前の段階でヴィーナスに倒されてしまってるんですな(←前世でも、同様にヴィーナスがベリルを倒してます)。そう考えると、実写版におけるヴィーナスの不在は、この、『ベリル様の最期』を何に委ねるか?と言う余地も残す事になっていた訳ですが、まさか、こんな最期が用意されていようとは…。ただし、このように、『圧倒的な力の差を前にして、戦う前から戦意喪失する』と言う設定自体は、実は、「竹取物語(かぐや姫)」における『月の使者(天人) vs 地上の軍隊』の決戦の顛末と、ちょっと似ているんですな。これについては、「新・講談社の絵本 かぐや姫」では省かれてますが、古典原文には、次のような記述があります(↓)

       「かぐや姫は、地上の軍隊が天人に立ち向かっても、勝つチャンスの全くないことを力説する。絶対的な能力差があるのだという」(←「竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)の解説文より)。

 

        ★  ★  ★  ★  

       一方、こちらはセーラー戦士達…。

       さすがの3人も、『セーラー戦士の剣』(←勝手に命名)を持ってしても、倒しても倒してもきりがない相手では、もはや戦い疲れてしまってボッコボコ状態です(←もう見ちゃおれんよ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       ダーク・キングダムのお城の外観にも、岩がバラバラと崩れ落ちてきてます(←さすがにカラスも飛んでおりません)。

        ★  ★  ★  ★  

       『プリンセス・セーラームーンA』が顔を上げると、やがて天空から白い光が降りて来て、全身から放射されていた金色の光も収まります。

       それを見たジュピターが、「うさぎっ!」と叫びます。

       『プリンセス・セーラームーンA』は、天空からの白い光に導かれるように、体が宙に浮き始めます。

       マーズは、「月の従者」達にボッコボコにされながら、「…(心の声→)止められないっ!」

       ジュピターは、ナギナタを「月の従者」達に取り押さえられながら、「…(心の声→)前世が…、繰り返されるのかっ…!」

       マーキュリーは、「月の従者」達にボッコボコにされながら、「…(心の声→)うさぎちゃん、その向こうに、大切な人達がいっぱいいるんだよ……うさぎちゃん!」

       『プリンセス・セーラームーンA』の腰のリボンから出てるレースのお飾りが横に広がって、まるで翼のようになり、『プリンセス・セーラームーンA』は空高く舞い上がって行きます。

       すると、「月の従者」達も、セーラー戦士3人を足腰立たなくして役目を終え、『プリンセス・セーラームーンA』に向かって敬礼するようなポーズを取りながら、すうっと消えて行きます。

       『プリンセス・セーラームーンA』は、「…エンディミオン……」と、そう一言つぶやきます。

       マーズは倒れながらそれを見上げ、口惜しそうに首を横に振ります。

       ジュピターも、もはや言葉も出ず、起き上がろうとしても体が動きません。

       マーキュリーは、『プリンセス・セーラームーンA』に向かって懸命に手を伸ばし、最後の力を振り絞って、「…………うさぎちゃんっ!」と叫びます…。3人は、「うさぎちゃんと戦う」どころか、『プリンセス・セーラームーンA』に、指一本触れる事すらできませんでした…。

       しかし、そのマーキュリーの声が『プリンセス・セーラームーンA』の心に届く事はなく、『プリンセス・セーラームーンA』は静かに視線を前に向けると、ティアラから輝きを放ち、両手を広げ、全身から、強く白い光を放ちます…。

        ★    ★  ★  

       その光が、地上に突き抜けて、都会の上空で渦を巻く雲に届くと、真っ白な大爆発が起こり…

                        ずっばーんっっ!!(←どっひゃあーっ!)(←うっそーっ!?)(←マジっすかーっ!?)

       白い爆風が、大都会の街並みを破壊しながら、街を飲み込んでいくように一気に広がっていきます…(←のぉぉぉーっっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       …月野邸のうさぎちゃんの部屋では…

       …人型ルナがアルテミィ〜スを抱えて、窓の外の、真っ白に輝く景色を見ながら、「アルテミス……」「同じだ…。…また星が滅ぶ……」

       …そして、2人(←2匹)は、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …1階の居間では…

       …うさママが進悟から、TVゲームのコントローラーを奪い取りながら、「このゲームおもしろいじゃんっ、触らしてっ」「ナニすん…」

       …そして、2人は、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …十番中学では…

       …なるちゃん、クラスメイトA、クラスメイトBの3人が、放課後の掃除をしてます…が、どう言う訳か、3人が雁首並べて一つの机を雑巾で拭いてます(←先生の悪口でも言い合ってるのか?)…で、3人は突然顔を上げると、愛想笑いをして見せます…

       …そして、3人は、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …その3人に愛想笑いをさせた春菜先生が、「…『よし、よし、ちゃんとやってるわね♪』みたいに笑います…

       …そして、先生は、白い光の中に消えて行きます…

       ※ ちなみに、この学校のシーンなんですが、DVD第12巻の「未使用シーン」に、このシーンに先行するシーンが収録されてましたね(↓)

1.       クラスメイトAが、床をモップで拭きながら、不機嫌そうに「あぁっ…!」と言ってます。

2.       それを見て、なるちゃんとクラスメイトBも、モップで床を拭きながら笑ってます。

3.       クラスメイトB:「そう言えばさぁ、なるが罰当番って珍しいじゃんっ」。なるちゃん:「うさぎが元気なかったから代理」。クラスメイトB:「…『ふ〜ん』

4.       そこへ、春菜先生が入ってくるなり、「はーい、やってますかぁ? キチンと出来なかったら、トイレ掃除、追加ですよぉ♪」

5.       みんなは、「うぇ〜っ!?」と、一斉に、慌てて一生懸命掃除を始めます。

6.       すると先生は、腰に手を当てて、満足そうにその様子を見てます。

       で、この学校のシーンなんですが、黒板に、「塵も積もれば 山となる」って諺が書いてあるんですな。これ、Act.5でも同じ諺が黒板に書いてありましたが、この先生はどうも諺を書くのが好きらしく、今回も、このあと朝のホームルームで諺を書いてます。

       で、Act.5の時は、あの時は午前中の授業のシーンでしたから、仮に春菜先生が朝のホームルームでそれを書いたにせよ、英語の授業中に書いたにせよ、『午前中に「英語」のある「月曜」「木曜」「金曜」のどれかだった事が分かる訳です(←「木曜」は1限目が「音楽」で音楽室に移動しますから、朝のホームルームで書いた諺が消されずに残ってたとしてもおかしくはありません)(↓下図参照)。

 

1限

英語

国語

体育

音楽

英語

2限

社会

美術

数学

英語

美術

3限

体育

数学

理科

国語

理科

4限

理科

社会

国語

数学

社会

5限

国語

英語

英語

技/家

数学

6限

数学

 

音楽

 

国語

       さて、それでは、今回の場合はどうでしょうか?

1.       今回のこのシーンでは、教室の時計が「4時28分」を指してますから、普通に考えれば、今日は、まず、6限目まである「月曜」「水曜」「金曜」のどれかと言う事になるでしょう(←普通、6限目が終わるのは3時過ぎぐらいなので、放課後の掃除をこんな時間までやってると言うのも変な話なのですが、これはあくまでもドラマの都合上ですから、今日は特別な「罰当番」だったと言うコトで良しとしましょう…)。

2.       ところが、「月曜」の6限目は「数学」で、「金曜」の6限目は「国語」ですから、春菜先生の担当ではありません。そうすると、春菜先生の書いた諺が放課後まで黒板に残ってるはずがない事になります。となると、消去法でいけば、必然的に、今日は「水曜」である可能性が高い事になります。なぜなら、「水曜」の6限目は「音楽」ですが、「音楽」は当然音楽室に移動しますから、その前の5限目の「英語」の時に書いた諺が、そのまま消されずに残っている可能性があるからです。

       この学校のシーンから分かる事が、もう一つあります。

1.       ここで、なるちゃんは、「うさぎが元気なかったから代理」と言ってますが、これは要するに、前回うさぎちゃんが一人で下校してたシーンが、その「代理」で帰宅したシーンになる訳なんですな。で、そのうさぎちゃんの下校途中に地場衛が待ってて、二人で海岸へ行き、そのあと地場衛がバイクでうさぎちゃんを送って帰宅させ、地場衛はその足でクンツァイトとの決闘に行き、黒木ミオがそれを見てうさぎちゃん宅に押しかけ、そこから『対・メタリア・エンディミオン戦』を経て、そしてついに、『プリンセス・セーラームーンA』が星を破滅させるに至った訳です。

2.       つまり、仮に今日が「水曜」で、うさぎちゃんが6限目の終わった3時過ぎ頃に学校を出たのであれば、そこから、この地球滅亡まで「4時28分」ですから、ナンと、時間にしてたったの『1時間半』ですっ!

3.       ところがだっ! 実際の番組の放映時間から考えると、前回のまるまる1話分の約『26分』(←『うさぎちゃんの下校シーン』「7:31」で、『メタリア・エンディミオン刺殺』で終了するのが「7:57」)と、今回のこのシーンが「7:44」なのでここまで約『14分』、これを足してもまだ『40分』です。さらにここに、劇中で省略されていたバイクでの送り迎え等の時間を考慮すれば、実は、この『1時間半』と言うのは、極めて現実的な時間経過だと言えるんですな。
※ ところで、うさぎちゃんが前回の下校途中で「元気なかった」のは、あの時地場衛も言ってたように、「ヴィーナスのコト」があったからです。ところが、今回なるちゃんはここで、「うさぎが元気なかったから代理」としか言っておらず、この話しっぷりから見ても、なるちゃん達が、その原因が『愛野美奈子の死』によるものだと認識してるようには、とても思えないんですな。前回も書きましたが、やはり『美奈子の死』は、まだセーラー関係者しか知らないのでは?と言う可能性も、あながち捨て切れないのでは…?

        ★  ★  ★  ★  

       …クラウンの受付では…

       …元基が水槽のカメに、嬉しそうにエサをやってます…

       …そして、元基は、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …ネフリンが、例の露店で、『バッファローの角の置物』を両手で持ち上げて、嬉しそうにそれを見てます(←おおっ、置物は在庫が2つあるじゃないか)…

       …そして、ネフリンは、白い光の中に消えて行きます…

       …まるで、前世と現世の狭間で戦っている当事者達以外は、誰一人として、自分と地球が消滅した事にすら、気付いていないかのように…

       ※ ちなみに、この2人のシーンなんですが、DVD第12巻の「未使用シーン」に、このシーンに先行するシーンが収録されてましたね(↓)

1.       クラウンの受付前で、ネフリンが、黙々と床をモップ掛けしてます。

2.       その様子を、カウンターの中の元基が、心配そうな表情で眺めてます。で、元基はネフリンに話しかけます…「ネフリンさ…、最近落ち込んでるけど、もしかして辞めたいとか思ってないよね?」

3.       するとネフリンは、元基に背を向けたままモップをカウンターに立てかけて置き、ナニか考え込むように「……オレは……」と言うと、おもむろにクラウン・エプロンを脱ぎ始めます。

4.       元基はそれを見て、「……『うそ、…やっぱり…?』みたいに寂しそうな顔をします。

5.       ネフリンは脱いだエプロンをカウンターの元基の前に置くと、「……」…やや神妙な表情をしたあと、顔を上げると、今まで決して見せた事のなかった笑顔を見せ、そして言います…「ここで生きていくコトに決めた」(←おおっ! めっちゃ爽やかじゃないかっ!)。

6.       「え゛っ!?」

7.       そして「買出しに行ってくる♪」と言って、晴々とした表情で出掛けて行きました。

8.       その後ろ姿を、元基は唖然とした表情で見送り、「ナンか、変わったよなアイツ……フッ♪」と、嬉しそうな表情を浮かべます。

       つまり、ネフリンはこのあと、「買出し」に行く途中で例の露店の前を通った時に、このあいだカネが足りなくて買えなかった『バッファローの角の置物』を見て、おそらく、『待ってろよぉ、もうすぐバイト代が入るから、そしたらお前を買いに来てやるからなぁ♪』みたいな感じで眺めてたんじゃないでしょうかね?(←それなのに…、ああ、それなのに…)。

       ワシは本稿のAct.31の時、うさぎちゃんと地場衛の関係について、前世から決められてる運命によって加速度的に引き付けられていった、『激しくて、限りなく非現実的な恋愛物語』と書き、それと全く対照的な恋愛として、まこちゃんと元基の関係について、じっくりと時間をかけてお互いを知り、その愛情と絆を確かめ合い、深めていく、『優しくて、限りなく現実的な恋愛物語』と書きました。それでは、亜美ちゃんとネフリンの関係はどうでしょうか?

       うさぎちゃんもまこちゃんも、この恋に辿り着くまでに、色んな男の子を好きになってきてますから、決してこれが初恋なのではありません。そんな中、うさぎちゃんは『うさぎちゃんらしい恋』に巡り合い、まこちゃんは『まこちゃんらしい恋』に巡り合いました。それじゃあ、その2人とは全く違う、亜美ちゃんの『亜美ちゃんらしい初恋』って、一体どんな恋なんでしょう? Act.20で、「私、そういうの、全然ダメだし…」と言ってた亜美ちゃんの、『亜美ちゃんらしい初恋』って? それこそ、まさに、このネフリンとの関係そのものなんじゃないでしょうか? 生まれて初めて、「なんとなく」気になる男の人が現れて、でも、それが恋かどうかすらもよく分からなくて、告白しようとか、付き合いたいとか、そんなコト思いもせずに、ただ心の中にしまっておくだけで、いつしか思春期と共に通り過ぎていく…。普通初恋って、そう言うものなのではないでしょうか?(←今時のガキどもはどーか知らんが…)。そしてそれこそ、いかにも『亜美ちゃんらしい初恋』だと言えるのではないでしょうか? 恋と言うのは、決して、成就する事だけにその価値や意味があるのではないのですからね…。

       そして、ここに至るまでの経緯として忘れてはならないのが、本稿のAct.41の時に書いたように、亜美ちゃんとなるちゃんの友情の進展です。あれが亜美ちゃんにとって重要だったのは、亜美ちゃんがうさぎちゃん以外の、と言うよりも、セーラー戦士以外の誰かと『友達』になる事で、今までは『うさぎちゃんだけがすべて』だった人生が大きく切り開かれ、いい意味での『うさぎちゃんからの自立』が促され、セーラー戦士としてだけじゃない自分の世界が、現世と密接につながり、広がっていったからなんですね。それがなかったら、亜美ちゃんがネフリンのコトを「なんとなく」気にし出すなんてコトにも、きっとならなかったはずです。そして、最も重要な事は、そんな亜美ちゃんだからこそ、最後にマーキュリーが、『プリンセス・セーラームーンA』の中のうさぎちゃんに向かって心の中で叫んだような、「うさぎちゃん、その向こうに、大切な人達がいっぱいいるんだよ」という言葉が言えたのだと言う事です。これが言えるのは亜美ちゃんだけで、これは、レイちゃんにも、まこちゃんにも、もちろん美奈子にも、誰にも、本当の意味での説得力を持っては言えない言葉なんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       …誰もいないルナカラ…

       …そして、ルナカラは、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …セーラーマーズも…

       …ついに力尽きて、バタリと地面に頬をつきます…「……(心の声→)うさぎ……」

       …そして、マーズは、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …セーラージュピターも…

       …ついに力尽きて、バタリと地面に頬をつき、その瞬間、涙が零れ落ちます…「……(心の声→)うさぎ……」

       …そして、ジュピターは、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …セーラーマーキュリーも…

       …やはり力尽きて地面に頬をつき、その閉じられた瞳からは、涙が流れ落ちてます…「……(心の声→)うさぎ…ちゃん…」

       …そして、マーキュリーは、白い光の中に消えて行きます…

        ★  ★  ★  ★  

       …白い爆風は、さらに広がって街を破壊していき……

        ★  ★  ★  ★  

       ……ついに…地球全体を飲み込んでしまいました……………………………………………………………………………………………

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       砂漠にて…。

       プリンセス・セーラームーンが、目を閉じて立ち尽くしております…。

       そして、静かに、そしてゆっくりと、目を開けます…。

       すると、そこは、見渡す限りの砂漠で、それ以外には何もなく、せいぜい、小さな木の枝が一つ落ちているぐらい…。

       プリンセス・セーラームーンは、辺りを見渡すと、なんの感情もない表情で、「…星が……」とつぶやきます…。

       前世でもそうだったのですが、このように、プリンセスが「幻の銀水晶」を暴発させて星を滅ぼしても、滅ぼした本人は、それによっては死なないんですね。前世では、このあと、この世でたった一人の生存者となったプリンセスは、エンディミオンの剣で自害してましたが、果たして、ここでは……

       その時、風が吹いて、砂漠の砂を吹き流し、プリンセス・セーラームーンの髪も揺れます…。聞こえてくるのは、ただ、風の音だけ…。

       すると、プリンセス・セーラームーンは、突然ガクリと膝を落とし、その場に崩れ落ちます…。

       そして、両手を砂に着いて、声を出して泣きじゃくり始めます…。

       ひとしきり泣いたあと、「…私……」

       するとそこに、「うさぎ?」と呼びかける声が……。

       プリンセス・セーラームーンがゆっくり顔を上げると、そこには、白い、昔通りのエンディミオンが、微笑みかけながら立っています。

       このエンディミオンは、前回も出て来た、『めちゃめちゃ実体な地場衛の幻影』と同じ類のモノと考えていいでしょうな…。

       プリンセス・セーラームーンは、「まもるっ!」と言いながら立ち上がり、エンディミオンに駆け寄って抱きつきます。

       ここでは「まもる」と言ってるので、姿かたちはプリンセス・セーラームーンのままですが、心は完全にうさぎちゃんになってますね…。つまりこれは、冒頭のシーンとは全く逆の状態なんです。冒頭のシーンでは、姿かたちはセーラームーンなのに「エンディミオン」と言ってましたから、すなわちそれは、セーラームーンが『プリンセス・セーラームーンA』に2段変身する直前の、『どっちつかず』とも『どちら』とも取れるような状態で、まさに、『現世のうさぎちゃん』『前世のプリンセス』が同一人物化してる状態でした。そしてこのような状態は、逆に、プリンセス・セーラームーンの変身が解ける瞬間においても、全く同じ事が言える訳です。たとえば、Act.43で、「横浜シンボルタワー」『遙かなるもの・横浜(貝)』に腰掛けてハープを弾いていた『プリンセス・セーラームーンB』の口から、「…まもる…」という言葉が漏れ、その直後に変身が解けて普通のうさぎちゃんに戻ってましたが、要するに、あの瞬間がそれです。あの時は、その状態がほとんど一瞬だったのですが、今回は、冒頭のシーンと同様に、その状態がかなり長い訳です。つまり、この、『どっちつかず』とも『どちら』とも取れるような状態こそが、まさに、『現世のうさぎちゃん』『前世のプリンセス』が同一人物化してる状態であり、今のこの状態は、ちょうど冒頭のシーンとは逆のプロセスを踏んでる訳なんですね。

       で、今のこの状態のプリンセス・セーラームーンは、『プリンセス・セーラームーンA』でも『プリンセス・セーラームーンB』でもないので、本稿では便宜上、『プリンセス・セーラームーンC』と名付けたいと思います。

       『プリンセス・セーラームーンC』は、エンディミオンの胸に顔を埋めて泣きながら、「私…、ダメだったんだね…。星を滅ぼさないって、約束、したのに……」

       さて、星を滅ぼしたのは『プリンセス・セーラームーンA』でした。それなのに、ここで『プリンセス・セーラームーンC』は、それは「私」「ダメだった」からなのだと、あくまでも自分の罪として認識してる事に注目してください。これはすなわち、根本的にこの両者が同一人物だからこそ、そうなるんです。もしもそうでないのなら、悪いのは一方的に『プリンセス・セーラームーンA』たる『前世のプリンセス』だけであり、『現世のうさぎちゃん』には何の罪もないはずです。しかしそれでは、決して前世を終わらせる事はできないんですよ…。

       エンディミオンも、それを自分の責任のように感じながら、無言でその言葉を聞いてます。それからエンディミオンは、『プリンセス・セーラームーンC』の肩を抱いて顔を上げさせると、しっかりと目を見つめて、「…でも、まだ終わりじゃない…」と言います。「…えぇ?……」

       「幻の銀水晶の力を全部解放するんだ。今度は…星を救うために…!」『プリンセス・セーラームーンC』は、大きくうなずくと、「やるっ、そんなコトできるならやるよっ…!」

       「…その代わり…、たぶん…、…お前の命は…」

       ※ ちなみに、このように、最後の仕事をやり遂げるために、自分の命と引き換えに「幻の銀水晶」の力を「解放する」と言うのは、アニメ版の設定です。原作にはありません(↓)

―アニメ版・第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

       徐々に暗黒の闇に包まれていく街を、ルナとアルテミスが屋根の上で見つめてます…。

       「…終わりだ…。世界が終わる時が来た…! クイン・メタリアの暗黒のエナジーが開放されたんだ!」

       するとルナが堪りかねて駆け出し、アルテミスが制止します…「待てよルナっ!」「どいてよっ! Dポイントに行くんだからぁっ!」「ムダだ! もうボク達にはどうする事もできない…」

       「分かってるわよそんなコト…。でも、このままじゃうさぎちゃんが…銀水晶の力を解放しちゃうわっ! そうしたらうさぎちゃん、死んじゃうのよ?! クイーン・セレニティみたいに!」「そうだけど…! それしか世界を救う方法は……」

       ルナは遠い空に向かって、願いを届けるように叫びます…「…だめよ、うさぎちゃん…、銀水晶の力を解放しちゃダメっ!…そんなコトしたらうさぎちゃん、あなたは死んじゃうのよーっ!」……

      この事を、うさぎ本人も、第44話「うさぎの覚醒! 超過去のメッセージ」で知らされており、彼女はそれを承知の上で『メタリア・ベリル』との最終決戦に挑むのです。しかし原作には、そのような経緯は一切描かれてません。

 

       実写版のクライマックスは(←これは全編に渡って言える事ではありますが)、原作をベースにして、そこにアニメ版の様々な要素を巧みに融合し、それらを実写版独自の解釈でまとめ上げています(←早い話が『いいトコ取りのパッチワーク』ですな)。そしてその『実写版独自の解釈』の根底にあるのが、追って説明していきますが、実は「竹取物語(かぐや姫)」なんです。

       それを聞いて『プリンセス・セーラームーンC』は、一瞬「!…」となって視線を落として考え込みますが、すぐに顔を上げ、「それでもいいっ、みんなが、助かるなら…!」

       その決意を聞いて、エンディミオンは、辛い気持ちを押し留めるように優しく微笑みかけ、うなずきます…「…たぶんこれが…、オレとお前がやらなきゃいけない事だったんだ…。前世に決着をつけるために……。前世で滅ぼしてしまったもの達のために……」

       本稿のAct.27の時にも書きましたが、このエンディミオンのセリフにおける「前世で滅ぼしてしまったもの達のために」と言う考え方は、すなわち、「新・講談社の絵本 かぐや姫」の巻末の解説にあった、月の都で犯した罪をつぐなうために地上にくだされたかぐや姫」云々と、同じなんです。

 

       つまり、プリンセス・セレニティ達は、なぜ現世に転生してきたのか?…その本当の理由こそが、『前世の月の王国で犯した罪を償うため』だったんです。一人プリンセス・セレニティだけではなく、エンディミオンも、四天王も、セーラー戦士達も、ベリルも、みんな多かれ少なかれ、その同じ罪を背負った者達であり、同じ前世の使命、すなわち『罪滅ぼし』の使命を背負って現世に転生して来た者達なんです。つまりこの戦いは、全て、「前世で滅ぼしてしまったもの達のため」『罪滅ぼし』の長い旅だったんです。そう考えた時、現世において、なぜ、このように「悲劇」が繰り返されなければならなかったのか?その理由も見えてきます。その理由は、本稿で再三書いてきたように、『前世のプリンセス』『現世のうさぎちゃん』は、実際は同一人物なのに、それが、『前世の記憶』が戻らないがために、両者が「別人みたい」な状態になってしまっていたからです。しかし結局は同一人物である以上、過去の「悲劇」は繰り返され、決して避ける事はできません。

       しかし、ここで肝心なのは、その「悲劇」「悲劇」として感じ、自分の犯した罪や失敗を悔いる感情が持てるかどうかなんです。『前世のプリンセス』は、そう言う感情が持てなかったからこそ、現世においても、また同じ「悲劇」を繰り返してしまえた訳です。ところが、『現世のうさぎちゃん』は、その「悲劇」「悲劇」として感じ、自分の犯した失敗を悔いる感情が持てるんですね。だから今、うさぎちゃんはこうして、『現世で滅ぼしてしまったもの達』の痛みを痛切に感じて泣いている訳で、その、うさぎちゃんが感じている痛みを、『前世のプリンセス』にも、同じように感じさせてやらなければならないんです。

       すなわち、今、このシーンで、うさぎちゃんが『プリンセス・セーラームーンC』の状態である事によって(←つまり、両者が同一人物化してる状態である事によって)、うさぎちゃんの感じてる『現世で滅ぼしてしまったもの達』の痛みが、そのまま、『前世のプリンセス』の心にも、「前世で滅ぼしてしまったもの達」の痛みとして伝わっている訳です。だから、この痛みをうさぎちゃん経由で『前世のプリンセス』に思い知らせるためには、どうしても過去の「悲劇」がここで繰り返される以外にない訳で、そうやって、まず『前世のプリンセス』本人に罪の意識を持たせる事ができなければ、絶対に『罪滅ぼし』になどなりませんから、このシーンのうさぎちゃんが、『プリンセス・セーラームーンA』でもなく、かと言って普通のうさぎちゃんでもなく、あくまでも『プリンセス・セーラームーンC』の状態でなければならないのは、つまりそう言う事なんです。両者が同一人物化して、『前世のプリンセス』にもこの痛みを共有させて分からせない限り、たとえ何度生まれ変わったとしても、次の世で、また更に次の世で、何度でも同じ「悲劇」を繰り返すだけだからです。それでは、決して前世は終わりません。つまり、記憶が隔てられてるせいで「別人みたい」に分離してしまってる『前世のプリンセス』を、一人だけ涼しい顔でやり過ごさせる訳には、絶対にいかないんですよ。

       そして、同様に『前世のエンディミオン』もまた、前世においては、プリンセスが星を滅ぼさないように導く言葉を持っていなかったんです。それゆえ、前世では四天王を裏切る形で『地球国』を破滅させてもしまったんです。だから、今ここで、『プリンセス・セーラームーンC』を導いてるエンディミオンの幻影は、『現世の地場衛』が、ずっとうさぎちゃんを導き続けてきた事の結果として現れている幻影なんですね。前回、セーラームーンが『メタリア・エンディミオン』に向かって構えた剣に、自分の手を添えて導いた地場衛の幻影と同じように…。そしてそんな彼自身も、前世では『プリンセス一人のために捨てた命』を、今度は、メタリアと合体して倒される事で『星を救うために』捨て、そうして『前世の罪滅ぼし』をした訳です(←それがクンツァイトの心を『許し』に導いた)。つまりそれを含めて、これら二つの事が、「オレとお前がやらなきゃいけない事」だったんです。

       ※ ちなみに、「竹取物語(かぐや姫)」には、かぐや姫が「月の都で犯した罪」については、古典原文にもその具体的な事までは書かれてません。参考までに、先に紹介した本の中に、次のような解説があるので、ちょっと紹介したいと思います(↓)

「竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)の解説文より

★ かぐや姫の罪状

 貴い血筋をうけた主人公が罪を犯して、都をはなれて地方にさすらうというテーマの物語がある。これを特に「貴種流離(きしゅりゅうり)」の物語と呼んでいる。

 たとえば、『伊勢物語』で昔男(むかしおとこ)が東国へ下る段、『源氏物語』で源氏が須磨・明石へ退居する事件などがそれにあたる。これらの物語の先輩に当たる『竹取物語』にも、同じパターンがみられる。

 しかも、うるわしき姫君が天上界から地上界へと追放され、罪の償いをするというのだからスケールが大きい。だが、肝心の姫の罪状については明らかにされない。

 『伊勢物語』の昔男(むかしおとこ)や『源氏物語』の光源氏のように、禁じられた恋をした罪だったのだろうか。あるいはまた、逆に、恋することができない未熟な心を、男女の愛憎がうずまく地上の国で苦難を経験させることによって、成長させるためだったのではなかろうか。あれこれ想像してみるのも楽しい。

 

       『プリンセス・セーラームーンC』は、エンディミオンの言葉を聞き終わると、静かにうなずきます…。

       そんな『プリンセス・セーラームーンC』を、エンディミオンはいじらしそうに、しっかりと抱き寄せて言います…「……ホントは…、お前を助けたかった…、……ごめん…」『プリンセス・セーラームーンC』は、エンディミオンの胸の中で首を横に振り、「…私こそ……ごめんね…」

       「…うさぎ…!」(←ぎゅ〜〜っ!)。「……」

        ★  ★  ★  ★  

       どこからともなく、ハープの音が流れる中…

       今度は、『白いうさぎちゃんプリンセス』とエンディミオンが、手をつないで歩いております(←まるで巡礼みたいですな…)。

       ※ この、最後の仕事をやり遂げるために『白いうさぎちゃんプリンセス』(=プリンセス・セレニティ)になると言うのは、アニメ版の設定と同じです。原作では、最後までセーラームーンのままでやり遂げており、プリンセス・セレニティになるのは『真のプリンセス覚醒』のエピソードにおけるその一度だけで、それ以外は、プリンセス・セレニティは回想シーンか幻影で出てくるだけです。実写版では、『現世のうさぎちゃん』『白いうさぎちゃんプリンセス』(=プリンセス・セレニティ)になるのは、Act.25の『真のプリンセス覚醒』の時とこの最終回の2回ですから、これもやはり、アニメ版と全く同じになります。この違いは、原作が『真のプリンセス覚醒』と同時に『前世の記憶』が完全に甦るのに対して、アニメ版と実写版が、『真のプリンセス覚醒』と同時には『前世の記憶』が甦らないからです(←※アニメ版では、後に記憶が甦る)。それに伴って、原作では、『真のプリンセス覚醒』以降は、もうセーラームーンの額にはティアラが装着されず、プリンセスの印である『三日月マークのセーラームーン』になりますが(←これは原作における『プリンセス・セーラームーン』である)(←ただし『ダーク・キングダム編』以降はなぜかティアラが戻る)、アニメ版と実写版では記憶が甦らないため両者が同一人物化せず、その結果、依然として『ティアラを装着したセーラームーン』のままなんですね。

       「……(心の声→)亜美ちゃん…、レイちゃん、…まこちゃん…、美奈子ちゃん…、みんな…、私のせいで辛い思いさせて、ごめんね…。いつも助けてもらってばっかりで、それも、ごめんなさい……。…ずっと、一緒にいてくれて…、ありがとう……」

       2人は、石造りの門のような瓦礫の残った丘の上まで来ると、お互いに向かい合って微笑み合います。それから、エンディミオンが『白いうさぎちゃんプリンセス』の左手の薬指に指輪をはめます。

       この指輪はナンでしょうね? ちなみに地場衛は、Act.1の頃から右手の人差し指と左手の薬指に指輪をはめてるんですが、これは、そのどちらでもありませんな(←※ちなみに、「スペシャル アクト」でうさぎちゃんがしてる結婚指輪とも違いますから、この指輪はこのシーン限りのモノです)。前世でプリンセスが自害した時、彼女は指輪をしてませんでしたから、ひょっとするとこれは、前世でプリンセスにはめるはずの指輪だったのかもしれません。

       それから、2人はまた見つめ合い、それから、エンディミオンが『白いうさぎちゃんプリンセス』を抱き寄せて、ぶっちゅ〜〜〜っ

       すると、2人の重ねた唇から光が放たれます…。

        ★  ★  ★  ★  

       そしてその光が、真っ赤な焦土と化した地球全体を包み込み、青く輝く元の地球に戻します…。

        ★  ★  ★  ★  

       その後、2人は、砂漠の砂の上で、手をつないだまま横たわり、息絶えてます(←前世でプリンセスが自害した時とは、逆の並び方をしてます)…。エンディミオンの左手に、『白いうさぎちゃんプリンセス』の右手が重ねられ、その手には、ムーンフェイズの懐中時計が握られています。『白いうさぎちゃんプリンセス』の左手の薬指には指輪がはめられ、胸の上に置かれてます。

       その後、風が運んで来た砂で、2人の亡骸が埋められていきます………………………………………………………………

        ★  ★  ★  ★  

       そして……

       地球上に緑が戻り、草原には一面に花が咲き誇り、鳥達のさえずりも聞こえます…。

        ★  ★  ★  ★  

       十番中学にて…。

       始業のチャイムが鳴り響きます…きーん、こーん、かーん、こーん♪

        ★  ★  ★  ★  

       クラスのみんながわいわいと騒いでます(←制服が夏服なので、まだ9月です)。

       そこへ、春菜先生が入って来ます。クラスメイトBがそれに気付き、自分と会話してて後ろ向きに座ってたクラスメイトAにそれを知らせます。するとクラスメイトAが「あっ」と立ち上がり、「起立っ!」と言います。クラスメイトBは、隣で居眠りしてた男子を起こしてあげてます。

       みんなは一斉に起立して前を向き、クラスメイトA:「おはようございます」。みんな:「おはようございますっ!」。先生:「はい、おはよう」

       黒板には、「始めよければ ()()よし 終わりよければ ()()よし」と書かれてます。

       亜美ちゃんもいつもの席にいて、にこやかに着席します(←亜美ちゃんの左腕には、変身ブレスレットは巻かれておらず、普通の腕時計が巻かれてます。バンドが水色なので、これは、Act.2の時に、戦士に覚醒する以前にしていた腕時計と同じものですね)。

       先生は教卓の前を歩きながら、「…今日もみんなそろ……あらっ?!」…見ると、一つだけ席が空いてます…「ひとり欠けてるわね?」。みんながその席を見ます…そこは、いつもなら、当然うさぎちゃんが座ってるはずの席です…。

       するとその時、誰かが廊下を走って来る足音が聞こえます。

       ガラッとドアが開けられ、生徒が駆け込んで来ました。亜美ちゃんが、それを微笑ましく見やってます。「すいませんっ!」と慌てて入って来たのは、な、ナンとっ、なるちゃんじゃありませんかっ!?

       先生:「大阪さぁん…? 新学期になってちょっとタルんでますよぉ…!」。なるちゃん:「はぁ〜い、ごめんなさい…」。なるちゃんは、当たり前のようにうさぎちゃんの机の上にカバンを置き、それから、亜美ちゃんに向かって、舌を出しながら微笑みかけます。亜美ちゃんも、そんななるちゃんに向かって、当たり前のように微笑み返します…。

       …な、ナンとっ、「幻の銀水晶」の力を全部開放して再生されたこの世界には、うさぎちゃんが存在しておりませんっ! いなくなってしまったのではなく、最初から、誰の記憶からも消え去ってしまってるみたいです。つまり、誰一人、地球が滅んだと言う事実すら知らず、そして、それがまた再生されたのだと言う事も知らず、ただ、それと引き換えに、うさぎちゃんの存在だけが、最初からいなかったものとして、消えてしまってます……。

       ※ つまり、うさぎちゃんの存在が消えてて、亜美ちゃん達がそれを記憶してないと言う事は、自分達がセーラー戦士だった時の記憶がないと言う事です。このように、『新しく生まれ直した世界で、それまでセーラー戦士だった時の記憶を失ってる』と言う設定自体は、アニメ版の最終回から採用されたもので、原作にはありません(←ただしアニメ版では、うさぎも無条件で、みんなと一緒に記憶を失ったまま新しく生まれ直してる点が違いますが…)。

        ★  ★  ★  ★  

       火川神社にて…。

       神社の境内で、巫女さん姿のレイちゃんが、子供達とかくれんぼだか鬼ごっこだかをしております(←レイちゃんの左腕にも、変身ブレスレットも何も巻かれておりません)。鬼になってるレイちゃんが、そろりそろりと様子を窺いながら歩き、「……♪、見ーつけたっ♪」。ガキA:「見つかっちゃったぁっ!」。ガキ全員:「わぁ〜〜っ!」(←なぜか、見つかってないガキどもまで散り散りに逃げ回る…)。それをレイちゃんが追いかけて捕まえようとします(←どっちも楽しそうです)(←て言うか、ナニごっこなんだよコレ?)。

        ★  ★  ★  ★  

       「港公園の広場」にて(←Act.6のストリートバスケのコートです)…。

       男の子達が3on3のストリートバスケをやってます。その中に、一人まこちゃんが女の子で混ざってプレーしてます。

       ゲームは、まこちゃんチームの攻撃中で、男の子Aが右サイドの男の子Bにパスを出し、まこちゃんが左サイドから中央に駆け込みながら、男の子Bに「はい、はいっ!」と手を上げてパスを要求します。男の子Bがまこちゃんにパスすると、まこちゃんはそれを、素人丸出しのシュートフォームでシュートを打ち、別カットによる見事なバンクシュートでボールをリングに通します…「よしっ!」(←右手でガッツポーズ)(←まこちゃんは、長袖を着てるのでよく分かりませんが、やはり変身ブレスレットをしてる様子はありません)。

        ★  ★  ★  ★  

       スタジオ前にて…。

       誰か芸能人のスタジオ入りを待つファンがたむろする中、一台の黒い高級車が入って来て止まります…(←おおっ! これはベンツじゃないかっ!)(←廃車になったベンツまで元通りにしてしまうとは、さすが「幻の銀水晶」…)。

       右側の後部座席のドアが開き、中から誰かが出て来ると、一斉にファンが歓声を上げて駆け寄ります。車から出て来たのは美奈子です(←おおっ! 病気で死んだ美奈子まで生き返っちゃってるじゃないかっ!)(←さすが「幻の銀水晶」…)(←それはいいんだけど、例の病気そのものはどうなったんだろ?)(←それも一緒に治癒されたのか?それとも、生き返った後に手術して成功したのか?)(←ちなみに美奈子も長袖を着てるので、変身ブレスレットをしてるのかどうか確認できません)(←しかも袖がめっちゃ長いっ!)

       ※ ところで、このシーンで美奈子に付き添ってるマネージャーさんは、2代目マネージャーさんの「マツオちゃん」です。これが初代マネージャーさんではないと言う点に注意してください。

        ★  ★  ★  ★  

       スタジオ入りした美奈子が、マイクの前に立って、「セラビー」を歌い始めます…

       「♪どおしよおーもないーしょーどうに、つきうごかーされてーいーまー♪」(←非常に晴れやかな表情です)(←意外なコトに、美奈子本人が劇中で「セラビー」を歌うシーンって、ナニげにコレが初めてだったりするんですな…)(←※と思ったら、Act.23の「南十番総合病院」でのライブで歌ってましたね。ただし、最後の「♪か、け、ぬ、け、て♪」「て♪」しか映されませんでしたけど…)。

       ちなみに、Act.47に出て来た『美奈子のイメージ映像』の中で、このスタジオにマイクがセッティングされてて、美奈子が仕事しに来るのを待っている…と言う映像があったのを覚えてますでしょうか? つまり、今のこのシーンは、あの時やり残した仕事を、ここでやり直してるのだとも考えられる訳ですな。

        ★  ★  ★  ★  

       その美奈子の歌声が、商店街に流れてます(←ラジオのスタジオ・ライブかなんかの仕事だったんですかね?)。

       その中を、私服姿の亜美ちゃんが、一人で、笑みを浮かべながら歩いています(←このような姿は、以前の亜美ちゃんからは考えられない事ですなぁ…)。亜美ちゃんは、塾へ行く途中なのでしょうか? 美奈子の歌が流れるCDショップの前を、そのまま見向きもせずに素通りして行きます。

       さて、ここが、この最終回における唯一の『問題のシーン』です(←もちろん初見時には全く気付かず、きれいに見過ごしてましたが…)。

       このCDショップのウィンドウに、「新譜情報」と書かれたTVモニターがあるのですが、そこに、Cest la vieと言う文字と共に美奈子の映像が映されており、そのモニターの下には、美奈子のセカンド・アルバム「VENUS」の販促用ポスターが、「NEW ALBUM」の文字入りで貼ってあるんですな…。実はこのCDショップはAct.5にも出てくるのですが、その時は、ここはCD、DVD、ゲームを扱う中古屋さんで、当時「VENUS」のポスターは貼ってなくて、「CD・GAME・DVDお売り下さい」等の貼り紙がしてあり、TVモニターには『殺人奥さん』のサスペンス・ドラマが流されてました。コレなんですけどもねぇ…しかしこれだと、あたかも、時間が1年前に巻き戻ってしまったとしか思えないような演出になってしまってるんですな…。しかし、ンなバカなコトは絶対にありえないっ!!訳です。もしも1年前に戻ってしまったのなら、この1年間に彼女達が成し遂げた事や、成長の記録が、すべてなかったコトになってしまうじゃありませんかっ! そのような事は、物語のテーマから考えても絶対にあってはならない事です。ですから、これはただ単に、このCD屋さんだか中古屋さんだかが、大ヒット・アルバムでロング・セラーになってる「VENUS」のポスターを引っ張り出して来て貼ってるだけのコトで、それ以外にナンの意味もなく、美奈子の「新譜情報」Cest la vieになってるのも、ただ単に、サードアルバムの「I’ll be here」にもこれが再収録されてるからに過ぎません。ナンたってこの曲は、美奈子の代表曲なんですからね。

1.       それに、だったら、美奈子のベンツと一緒に、初代マネージャーさんも戻って来なければ理屈が通らないじゃないですか。

2.       美奈子がまたベンツに乗り出したのは、時間が1年前に戻ったからではありません。そもそもなぜ美奈子がベンツに乗るのをやめたのかと言えば、これで二度も敵に襲われて最後には潰されており、ベンツじゃ目立ちすぎてターゲットになりやすいので、危険を避けるために普通の車に乗り換えたからです(←この車では襲われてない)。しかし今の美奈子は、もうそう言う危険からは解放されてるし、その頃の記憶もないからこそ、再びスターらしくベンツに乗ってるだけなんです。

3.       しかも、美奈子が最後の余命を費やして作ったあのサードアルバム「I’ll be here」が、あれが一切なかった事になってしまうじゃないですか。それでいいんですか? いい訳ないでしょう?

4.       それに、Act.1当時はすでに10月で冬服でしたが、今はまだ夏服なので9月のままです。もしもこれが1年前だと言うのなら、そんな時期に、亜美ちゃんとなるちゃんが、あのように仲良しになってるはずがない訳です。したがってこれは、いわゆる『タイム・パラドックスによるパラレル・ワールド』と言う解釈も成り立たない訳です(←未来の事象までそのまま過去に持ち込んでしまってる事になり、それでは時系列上の矛盾が解決できない)。

5.       さらに、亜美ちゃんの左腕には、『変身ブレスレット』に変わってAct.2でしてた『腕時計』が巻かれてましたが、それが『時間の逆戻り』による結果であると言うのであれば、同じようにレイちゃんの左腕にも、Act.3でしてた『数珠タイプ・ブレス』が戻ってなければならないはすです。しかしそれがないと言う事は、つまり時間は逆戻りしていないからです。あの『数珠タイプ・ブレス』は、あの時そのまま『変身ブレスレット』に変わってしまったのですから、亜美ちゃんの『腕時計』とは違って、今回の『星の破滅と再生』に伴う『変身ブレスレット』の消滅と共に消えてしまってるからです。

       もう一度言いますが、このシーンは、時間が1年前に戻った事を表現するために挿入されたのではありません。この時の亜美ちゃんが、もはやAct.2当時の亜美ちゃんとは違うのだと言う対比を表現するために挿入されてるんです。ここで重要なのは、美奈子の「新譜情報」やポスターがナンであるかと言う事などではなく(←ンなこたぁどーでもいいんですよ)、亜美ちゃんがそれを気にも留めず、素通りしてる事にこそ意味があるんです。なぜなら、Act.2の亜美ちゃんは、これと同じようなシチュエーションで、CDショップから流れる「セラビー」に釣られて、それに誘われるように立ち止まり、このポスターを見上げてるんです。そして、その行動が、その時一緒にいたうさぎちゃんに親近感を持たせ、二人が仲良くなっていくきっかけとなっていた訳です。つまり、もしもあの頃に時間が戻っているのなら、亜美ちゃんはここで立ち止まらなくてはいけないはずなんです。それを、立ち止まる事なく素通りしてると言う事は、亜美ちゃんがもはや、その頃のように、『共通の趣味で友達を求める』ような、そんな孤独な少女ではなくなってると言う事なんですね。もしも時間が1年前に戻ってしまったら、その成長の過程が、全てなかったコトになってしまうじゃないですか。そして、それともう一つ、このシーンは、『うさぎちゃんがいない事になってるこの世界』では、亜美ちゃんがアイドル愛野美奈子に興味を持つ事など、あり得なかったのだと言う事を描いてるんです。だから、貼られてるポスターがナンであるかなんて、どうでもいい事なんですよ。

       そもそも根本的な問題として、『時間が過去に戻ればいい』なんて考え方を、この実写版がするはずがないんです。なので、このシーンのこの背景の演出は、この回の担当監督さんの演出ミスと考えて完全に無視しちゃっても全く構わないのですが、それじゃ余りにもアレなので、その事も含めて、このシーンの『問題』について、ここで徹底的に検証しておきたいと、かように思う次第なのでございます。

       ※ まず、原作によれば、『ダーク・キングダム編』終了時には、『時間の逆戻り現象』など一切起こってはおらず、もちろん記憶も消されてはおりません。また、読んでる人にそう誤解させるような描写すら、一コマたりとも描かれてはいませんでした。なので、原作については誰の目にも一目瞭然なので説明の必要はありません。しかしながら、一方のアニメ版では、本稿のAct.29の時にも書きましたが、そう誤解させるような映像がいくつか挿入されていたんですね。しかし実際は、そのアニメ版においても、やはり『時間の逆戻り現象』など起こっていないんです。それにも関わらず、ワシがネット上のセーラームーン関連の個人サイトさん方を閲覧してると、どうも、そのように勘違いしてる方がかなり多いようなんですね。なので、便宜上、まず、その『都市伝説』から先に片付けさせて頂きたいと、かように思う次第なのでございます。

       【追加】 実は、これはあとで知ったのですが、この『勘違い』は、「セーラームーンの秘密」(データハウス)という、いわゆる「謎本」(←後日、どんな事が書いてあるのかちょっと興味あったので読んでみました)にも同じ事が書いてあったので、もしかするとそこから広まってしまったのかもしれませんな⇒「アニメでは、「あたしたち、来年は中学3年生よ」という亜美ちゃんの言葉(第21話A)にもかかわらず、ラストの部分でうさぎちゃんたちの願いによって時間が初めにもどっているので、うさぎちゃんたちは最後に再び中学2年生になっている」⇒しかし、いずれにせよ、その解釈は間違いです。

 

       アニメ版では、『ダーク・キングダム編』の最終回(第46話)で、プリンセス・セレニティが、メタリアと合体した『メタリア・ベリル』を封印する代償として絶命してしまいますが、その際、彼女自身による次のナレーションが流れます(↓)

―アニメ版・第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

       「朝目覚めると、真っ白なレースのカーテンが風にそよいでる…。

       部屋のハト時計が七時を告げて、『いつまでも寝てると遅刻するわよ』って、ママの声…。私はまどろみながら、『もう三分だけ寝かせて』、なんて思うの…。

       毎日同じように遅刻して、先生に廊下に立たされて、テストで赤点なんか取っちゃう…。

       学校帰りにみんなで食べるクレープ…、ショーウィンドーに飾られたパーティ・ドレスにうっとりして…、ちょっとしたことが、楽しくて嬉しい…、そんな…そんな普通の生活に戻りたい…戻りたい…」

       そしてこのあと、場面は、『月野家の朝』のシーンに切り替わる訳なのですが、これ以降のシーンの中に、第1話で使われた映像カットが所々に差し挟まれるんですね。しかし、この第46話の『月野家の朝』は、第1話の『月野家の朝』とは明らかに違う朝です。これは、両者をきちんと見比べれば一目瞭然なんです。それでは、まず、その『月野家の朝』の風景から見比べてみましょう(↓)

―第1話「泣き虫うさぎの華麗なる変身」

―第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

★ うさぎがベッドで寝ていると、階下から「うさぎ! 8時過ぎたわよ!」とママの声がする(←鳥のさえずりが聞こえ、目覚ましは鳴っていない)。

「う〜ん…………ハァっ!」と目を覚ます。

★ 見ると、時計が8時16分を指してる。

★ 月野邸の外観が映し出される(←鳥のさえずりではなく、目覚ましのベルが鳴っている。この音が目覚ましの音である事は、第2話でもハッキリと確認できる)。

※    この映像カットは第1話からの使い回しだが、ここでは、うさぎが目を覚ます前に挿入されている。

★ うさぎがベッドから起き上がる…「いやぁ〜っ、あぁ〜〜っ!」

 

★ うさぎがベッドから起き上がる…「ひやぁ〜っ、うわぁ〜あ〜っ、うふぅ〜っ…!」(←最後は半泣きのような声を出す)。

※    この映像カットも第1話からの使い回しだが、アフレコが違う(←声優さん自体が違う)し、ここではうさぎは、ママに起こされたのではなく、一応、目覚ましの音で目を覚ましている。

★ 月野邸の外観が映し出され、そのうさぎの声が外まで聞こえる(←この映像カットが、最終回では『月野家の朝』の冒頭のシーンに使い回される)。

★ うさぎが慌てて階段を駆け下りる。

★ 居間には、パパも進悟もおらず、ママが新聞広告のチラシを眺めてる。そこへ、制服に着替えたうさぎが歯を磨きながら、「もっと早く起こしてよママのバカっ!」と文句を言って、洗面所へ戻る。ママは広告を見ながら、「何度も起こしたわよぉ? そのたんびにちゃんと返事したじゃない?」「知らないもーんっ!」と玄関へ走る(←この時は手ぶらで、胸のリボンを直しながら走っている)。「あ、うさぎ?」「ナニ?!急いでんのっ!」

★ 「お弁当いらないのぉ?」「…………いる…」(←いじけ顔…)。

★ 階下の居間では、パパとママと進悟がその声を聞いて天井を見上げてる

※    このカットは第1話にはない。しかも、それ以降のエピソードにもなく、この第46話にしか出て来ないので、この第46話の朝が、第1話と同じ朝ではない事は明白である。

★ うさぎが、弁当を片手に、玄関に向かって廊下を走る後ろ姿が映される(←下駄箱の横に、カバンとバッグが立てかけてある)。

★ うさぎはカバンを持って、ドアを開け、出て行く瞬間に「行って来まーすっ!」

★ うさぎが、弁当を片手に、「遅刻だぁ〜っ!」と言いながら玄関に向かって廊下を走る後ろ姿が映される(←下駄箱の横に、カバンとバッグが立てかけてある)。

★ うさぎはカバンを持って、ドアを開け、出て行く瞬間に「行って来まぁ〜す!」

※    この映像カットも第1話から使い回しだが、もちろんアフレコも違うし、ここには、第1話にはなかった「遅刻だぁ〜っ!」のセリフがある。

       これを見ただけでも、明らかに、第1話の朝と第46話の朝が『違う朝』だと言う事が分かりますね。一部映像が第1話から使い回されてるのは、時間が1年前に戻った事を表現してるからなのではありません。これは、先のうさぎのナレーションにあった、「毎日同じように遅刻して」「そんな普通の生活に戻りたい」と言う、そんな、『あの頃のような日々』に戻ったのだと言う事を表現してるだけなんです。なぜなら、うさぎがセーラームーンではない「普通の生活」を過ごしたのは、劇中では第1話の冒頭の朝からその日の帰宅後までしかないからです。だから敢えてそこから映像を引っ張ってきて流用しただけであって、誤解を避けるために、わざわざ第1話とは違う事を示すため、このように、『内容は同じだけど、別の日の朝ですよ』と言う演出を、随所に織り込んである訳です。これに続く全てのシーンでも、これと同じように演出されてます。

       では次に、その直後の登校シーンを見比べてみましょう(↓)

―第1話「泣き虫うさぎの華麗なる変身」

―第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

★ うさぎは、左手にカバンとバッグを持ち、右手であくびの口を押さえながら、「はぁ〜〜朝ってナンで来るの?もぉ〜眠いなぁ…」と言いながら走っている。

★ ここでは、うさぎは、右手にカバンとバッグを持ち、ひたすら「はぁっ、はぁっ、はぁっ…!」と走っており、背景の街並みや壁も違う。

★ この直後に、うさぎは、駐車場でガキどもにいじめられている黒ネコを見かけ、「あっ!こらぁっ!やめなさーいっ!」と怒鳴りつけ、これが、ルナとの運命の出会いとなる。

★ この直後に、走ってるうさぎの後ろから、まことが猛スピードでうさぎを追い抜いて行く。しかし、どちらも、お互いのコトを知ってる様子はない

★ その2人の姿を、ルナとアルテミスが屋根の上から見ながら、「奇跡だ…。太陽の黒点が消えただけでなく、みんなも転生するなんて…」「でも…、少しかわいそう…みんな仲間だった時の記憶まですっかりなくしちゃって…」「大丈夫…」「え?」「みんなこれから、めぐり会えばいいんだ…」「……そうね!…」

   

       言うまでもなく、アニメ版において、木野まことが十番中に転校して来るのは第25話です(←約半年後だ)。仮にこのシーンが1年前に戻ってると言うのであれば、このように、まことがうさぎの通学路を、つまり十番中に向かって、こんな風に朝走ってるはずがない訳です。それに、このルナ達の会話の中にも、時間が巻き戻された事を示唆するものは何もありません。ちなみに、この時のルナとアルテミスの会話は、講談社の「なかよしアニメブックス」(←フィルムコミック)では、次のように置き換えられてます(↓)

―フィルムコミック版・第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

       「幻の銀水晶が、さいごの力でうさぎちゃんの祈りを…そしてクイーンの祈りをかなえてくれたんだわ…」仲間だったときの記憶を封印されて転生するなんて。みんなこれから、ふつうの女の子としてしあわせになるんだね…」

       「みんなは、まだおたがいに見知らぬ人――まわりの人にとってもね。でも、またきっとめぐりあって――そしてこんどこそ、うさぎちゃんの思いはかなうんだわ。こんどこそ……!」

       「美少女戦士セーラームーン (10) (講談社ヒットブックス―なかよしアニメブックス (42))より

 

       やはりここにも、時間が巻き戻された事を示唆するものはありません。あるのは、「転生」「記憶」というキーワードだけです。そもそも「転生」とは、「生まれ変わること」です。時間が第1話まで巻き戻されたのなら、それは単に元に戻っただけなのですから、最初から死んでもいない事になり、それでわざわざ、『死んでもいない人間』をさらに「転生」までさせなければならない必然性などどこにもない訳です。これについては、続くアニメ版・第2シーズンの「セーラームーンR」『エイルとアン編&ブラック・ムーン編』の第1話でも、同じ説明しかされてません(↓)

―アニメ版・第47話「ムーン復活! 謎のエイリアン出現」『エイルとアン編&ブラック・ムーン編・第1話』

       いつものように、うさぎが「遅刻だ、遅刻だぁ〜っ!」と家を飛び出して行くのを、ルナとアルテミスが屋根の上から眺めながら、「うさぎちゃん達がセーラー戦士の記憶をなくしてからもう2ヶ月も経つのねぇ…」「みんな、すっかり普通の女の子になっちゃったなぁ…」「ホ〜ント…」

       その夜、隕石が落ちた現場に野次馬が集まる中、偶然居合わせたうさぎと亜美が後ろから押され、「危ないじゃないっ!」と振り返ると、それはまことで、「げげっ!」「ごめん、ごめん、後ろから押されちゃったんだ」こないだ転校して来た怪力少女…」「怪力だけ余計だよっ!」「こ、怖い…!」

       ここでもハッキリと「記憶をなくしてから」と説明しており、『時間が1年前に戻ってから』とは言ってません。それに、仮に『時間が1年前に戻った』のであれば、その時点からまだ「2ヶ月」しか経ってない時期に、すでにまことがこないだ転校して来」てるはずがない訳です。

  

       みんなは、あくまでも、「仲間だった時の(1年間の)記憶まですっかりなくしちゃって」、あるいは仲間だったときの(1年間の)記憶を封印されて、そうして「転生」されたに過ぎません。つまり『時間が1年前に戻った』のではなく、『記憶が1年分消された』だけだと、そうハッキリと何度も説明されてる訳ですよ。仮に時間が戻されてるのなら、わざわざ「転生」させて「生まれ変わる」必要もなく、原作と同じように『蘇生』で十分な訳です。つまり「転生」という現象が起きている時点で、もはやそれは『時間の逆戻り』ではあり得ないし、そもそも、『時間が戻らなければならない』理由も意味も、何一つ整合性を持ち得てない訳です。それどころか、そのような無用な『都市伝説』が排除される事によって、全てきれいに説明がついてる訳なのですから。

       次に、十番中の校庭に、「全国模擬試験」の順位表が貼り出されるシーンとなり、そこに水野亜美が出て来ますが、言うまでもなく、このようなシーンは第1話にはありません。このようなシーンが出て来るのは、マーキュリー登場編の第8話「天才少女は妖魔なの? 恐怖の洗脳塾」においてです。ただし、その第8話の「全国模擬試験」と、この第46話の「全国模擬試験」もまた、全く『違う模擬試験』です。なぜなら、映像カットそのものが違うだけでなく、1位の「水野亜美」以外は、2位以下の名前もすべて完全に違うからです(↓)…

―第8話「天才少女は妖魔なの? 恐怖の洗脳塾」

―第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

1.      水野亜美

2.      吉田映作

3.      北野 隆

4.      山田百恵

5.      ……

1.      水野亜美

2.      一谷理華

3.      吉田 洋

4.      北山大志

5.      今林三郎

6.      小山 等

7.      伊東一利

8.      ……

★ この直後に、うさぎが、学校の廊下で、大阪なる、海野ぐりお、クラスメイトAと、水野亜美についての噂話をするシーンに切り替わる。

※    この時の会話の内容は、原作とほぼ同じ内容だが、それを水野亜美本人に聞かれて睨まれ、うさぎが笑ってフォローすると言うのは、原作にはない。実写版のAct.2においても、同じシーンでうさぎちゃんがフォローしており、これはむしろアニメ版に近いと言える。

★ この直後に、この表を見ているうさぎと大阪なるの後ろを、水野亜美が、全く興味なさそうに素通りして行き、それを、うさぎ達が振り返って『汗タラーリ』で見送る…。しかしここでも、どちらも、お互いのコトを個人的に知ってる様子はない

※    時間が1年前に戻ってると言うのなら、この模試の順位表は完全に同じでなければならないはずである。

   

       では、最後に、これに続く放課後の下校シーンも見比べてみましょう(↓)

―第1話「泣き虫うさぎの華麗なる変身」

―第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

★ 「十番町 商店街」の看板の塔が映し出される。

★ 「十番町 商店街」の看板の塔が映し出される。

※    この映像カットも第1話からの使い回しだが、厳密に言えば、映されているズームの範囲が微妙に違うので、完全にそのままをリプレイしたものではない。しかもこの映像カットは、実は、第12話、第14話、第31話などでも、若干のアレンジを加えて同様に使い回されてるのである(←夜だったり、バーゲンのお飾りが施してあったりしてるが、いずれも雲の形が一緒である)。

★ この直後に、大阪なるの母の店「ジュエリー OSA・P」のシーンになり、うさぎ、なる、なるママのやり取りがある。

※    第46話では、2人は店には寄らない。

★ うさぎは、店で大阪なると別れ、一人で帰宅の途に着く。

★ うさぎは、店を出ると、ガッカリした様子で、「もう少し勉強しとけばなぁ…」と言って、30点で赤点を取った答案を取り出す。

★ あ〜あ…、もう少し勉強しとけばよかった…」

※    このセリフは、上記の「十番町 商店街」の看板の塔の背景の上に被せられている。

★ 「うぅ…、ええ〜いっ!抹殺ぅ〜っ!」と答案を丸める。

★ 「ええ〜いっ!抹殺ぅ〜っ!」と答案を丸める。

※    この時、第1話ではうさぎ一人だったが、ここでは、大阪なるも一緒にいて、答案を丸めるうさぎをビックリしながら見ている。

★ そしてうさぎは、その答案を後ろに放り投げる。

★ そしてうさぎは、その答案を後ろに放り投げる。

※    第1話からの使い回し。

★ そしてそれが、サングラスをかけた地場衛の頭に当たる。

★ そしてそれが、サングラスをかけた地場衛の頭に当たる。

※    第1話からの使い回し。

★ 歩き去るうさぎの背中に向かって、「痛いじゃないか?オダンゴ頭?」と言うと、うさぎが「え?あぁっ、ゴメンなさい」と振り返る。

★ 投げた直後に右手を上げて立ってるうさぎと、地場衛に当たったのを見て慌ててる大阪なるに向かって、「痛いじゃないかオダンゴ頭」と言うと、うさぎが黙って振り返る。

※    地場衛のアフレコも、すべて新たに録り直されており、同じセリフでも、明らかに、その調子やニュアンスをハッキリと変えてある事が分かる。

★ 地場衛が答案を広げて見ながら、「…30点?」と言う。

★ 地場衛が答案を広げて見ながら、「…30点…?」と言う。

※    映像カットのみ第1話からの使い回し。

★ あぁ〜〜っ!」と慌てるうさぎ。

★ えぇ〜〜っ!」と慌てるうさぎ。

※    映像カットのみ第1話からの使い回し。

★ 地場衛は答案を下ろし、「もっと勉強しろ、オダンゴ頭っ」と言う。

★ 地場衛は答案を下ろし、「もっと勉強しろよ?オダンゴ頭…」と言う。

※    映像カットのみ第1話からの使い回し。第1話では口調がきついが、ここでは柔らかい。なぜなら、第1話では「幻の銀水晶」を探してる最中だったが、ここでは、単なる通りすがりだからである。

★ うさぎがムッとする。

※    第46話には無し。

★ うさぎは、余計なお世話よっと言って答案を引ったくり、「べぇ〜〜だっ!」とやる。

★ うさぎは、失礼ねっと言って答案を引ったくり、「べぇ〜〜だっ!」とやる。

※    映像カットは第1話からの使い回しだが、これもセリフが違ってる。

★ うさぎは背を向け、プンプンと湯気を立てながら、まったくっ、ナンだってのよ、も〜〜っ!と歩き去る。

★ うさぎは背を向け、ナンだってのよ、まったくっと歩き去り、大阪なるが並んで歩きながら、そんなうさぎを笑って見てる。

※    アニメ版の大阪なるが初めて地場衛と遭遇するのは、第3話「謎のねむり病、守れ乙女の恋する心」で、やはりうさぎとの下校シーンにおいてである。その点からも、これが第1話の繰り返しではない事が分かるのである。

★ うさぎがふと立ち止まって振り返ると、地場衛は「ジュエリー OSA・P」を見上げている。それを見てうさぎは、「変なヤツ…!」と言って去って行く。

★ 地場衛は、そんなうさぎの後ろ姿を見ながら、サングラスを外し、「おかしな子だな…フッ…」と微笑んでいる。

       ここでは、両者のリアクションが、第1話と第46話で逆転している。

    

       これは単に、第1話当時の記憶が失われているだけで、彼らはお互いを忘れたまま、ただ同じ日常を繰り返してるだけなんです。うさぎが30点で赤点を取るのも日常茶飯事なら、それを丸めて放り投げてしまうのも日常茶飯事であり、街でばったり地場衛と出くわしてしまうのも日常茶飯事な訳で、これはまさに、「毎日同じように遅刻して、先生に廊下に立たされて、テストで赤点なんか取っちゃう…」「そんな普通の生活…」を描いているのであり、それらが偶然重なって繰り返されたワン・シーンに過ぎません。これらのシーンのどこにも、そしてそれを眺めているルナ達の発言にも、何一つ時間が巻き戻された事を証明するものなどありません。上っ面の映像レトリックだけに目を奪われて、それが語っている内容そのものを見落としてしまったのでは、それこそ本末転倒になってしまいます。同じ映像カットが使われてる事が『主』なのではなく、そこに付け加えられたニュアンスの違いこそが『主』なんです。なぜなら、言うまでもなく、そのニュアンスの中に、彼女達がこの1年間で成し遂げた事の意味が込められているからです(←それは、実写版でも全く同じ事です)。

       さて、時間が1年前に逆戻りしてるかのように誤解させられる要素として挙げられる2つ目の点は、うさぎ達が、続く第2シーズンの「セーラームーンR」『エイルとアン編&ブラック・ムーン編』)において進級していないと言う、紛れもない事実です。しかしこれについても、本稿のAct.29の時にも書いた通り、単に、「セーラームーン」作品が基本的に『サザエさん方式』を採用してるからに他ならず、これがそのまま、時間が逆戻りしてる事の根拠にはなりえません。原作でも、ここではうさぎ達は進級してませんが、原作では、アニメ版のような、時間が逆戻りしたと誤解させるような描写は一切ありませんから、原作が完全に『サザエさん方式』を採用してる事はもはや説明するまでもない事実である事が分かります。アニメ版でも、単に原作のそれを踏襲しているに過ぎないのですが、その根拠を示すには、それ以降の全シーズンにおいても全く同様である事を知れば、容易に分かる事なんです。

       まず、アニメ版では、第3シーズンの「セーラームーンS」『デス・バスターズ編』)において、うさぎ達は中三に進級します。その際のオープニング前のナレーションは、次のようになってます(↓)

―アニメ版・第90話「地球崩壊の予感? 謎の新戦士出現」『デス・バスターズ編・第1話』

       「苦しかった戦いが終わって、平和が戻って来た……と思ったらぁ!? あたし達中学三年生、受験の年じゃないのよぉっ! でもって、この忙しい時に、新しい敵っ!あぁ〜〜っ、もうっ! 月にかわって、おしおきよっ!」

 

       ところが、これに続くアニメ版の第4シーズンの「セーラームーンSuperS」『デッド・ムーン編』)においては、原作ではハッキリと十番高校に進学した事が描かれてるにも関わらず、アニメ版のうさぎ達は、依然としてまだ中三のままで高校に進学してないんです。しかも、前シーズンの『デス・バスターズ編』でやってた受験勉強に関する話題も一切出てきません。で、その矛盾を視聴者の目から逸らすためか、このアニメ版の『デッド・ムーン編』では、十番中のシーンどころか、ナンと、うさぎ達が制服を着てるシーンすら、ただの一度も出てこないんですな(←唯一の例外が、まことが十番中に転校する前の学校での回想シーンのみ)。なので、実のところ、アニメ版『デッド・ムーン編』において、彼女達が進学していない事が確認できる唯一のシーンは、以下のシーンのセリフだけなんです(↓)

―アニメ版・第132話「お似合いの二人! うさぎと衛の愛」『デッド・ムーン編・第5話』

       地場衛宅にて…。

       地場衛の後輩:「うさぎちゃん、いくつ?」。うさぎは差し入れのケーキを頬張りながら、「はい、もう一個いただこうかなぁ〜と思ってますけどぉ…」「歳のコトだよ…」「あ、あははははっ♪…花のぉ、15歳ですぅ〜♪」

 

       そしてアニメ版では、次の第5シーズンの『セーラースターズ編』で高校に進学した事がハッキリと描かれるので、その結果、『デッド・ムーン編』ではやっぱり進学してなかった事が、それによって初めて確実となる訳です(↓)

―アニメ版・第167話「悪夢花を散らす時! 闇の女王復活」『セーラースターズ編・第1話』

       火野レイのみT・A女学院の制服で、他の全員が十番高校の制服を着ての登校シーンにて…。

       「ナンだよ?浮かれちゃって!」「だって、嬉しいんだもーん♪あは、あははは、えへぇ〜、憧れの十番高校の制服が着れるんだもんっ!」

※    原作では、これと同じシーンが、前シーズンの『デッド・ムーン編』が始まる際に出て来てます。ちなみに、原作の「十番高校の制服」は十番中と全く同じにしか見えませんが、アニメ版ではハッキリと違うデザインに変わってますな(←「美少女戦士セーラームーン (12) (講談社コミックスなかよし)、及び、「美少女戦士セーラームーン 8 新装版 (KCデラックス)より)。

  

       これが原作においては、今度は逆に、『セーラースターズ編』になってもうさぎ達は高二には進級しません。その証拠に、スリーライツが十番高校に転校して来た時の、うさぎ達の教室の表札が「1−1」のままになってます(←「美少女戦士セーラームーン (16) (講談社コミックスなかよし)、及び、「美少女戦士セーラームーン 11 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       これによって、『デッド・ムーン編』で一時的に乖離していた原作とアニメ版の年齢設定の違いが整えられ、最後に帳尻が合わされた事になります(←ひょっとすると、予定通りに連載を完結させたかった原作側と、可能な限りTV放映を引き伸ばしたかったアニメ側との間に駆け引きがあったのでは?と勘ぐりたくもなるが…)。これらの経緯を表にまとめると、以下の通りです(↓)

―エピソード:

―アニメ版(放送年月日)

―原作(連載年月)

@『ダーク・キングダム編』:

中二199203/07199302/27

中二199202月号〜199303月号)

A『エイルとアン編&ブラック・ムーン編』:

中二199303/06199403/12

中二199303月号〜199402月号)

B『デス・バスターズ編』:

中三199403/19199502/25

中三199403月号〜199503月号)

C『デッド・ムーン編』:

中三199503/04199603/02

高一199504月号〜199603月号)

D『セーラースターズ編』:

高一199603/09199702/08

高一199604月号〜199704月号)

       このように、原作であれアニメ版であれ、「セーラームーン」世界における『留年』は、時間が1年前に巻き戻った事を示す根拠になど全くならない訳です。それは単なる、ごく一般的なマンガ的手法であって、いわゆる『サザエさん方式』と呼ばれている『ご都合主義』に過ぎないのだと言う事が、これでよくお分かり頂けたかと思います(←これらの各シーズンにおいて、それぞれきちんと衣替えも行われてますから、1年の出来事を2年に引き伸ばして描いてるのでもありません)。たとえば、仮に、『ダーク・キングダム編』から『エイルとアン編&ブラック・ムーン編』の間で進級してなかったのが『時間の逆戻り』によるものだとするのであれば、同じように、『デス・バスターズ編』から『デッド・ムーン編』の間で進学してなかったのも『時間の逆戻り』イベントが発生してた事になるのでしょうか?(←原作では、『デッド・ムーン編』から『セーラースターズ編』の間でも進級してませんでしたが、これも『時間の逆戻り』なのでしょうか?)…しかし、そのような『時間の逆戻り』イベントなど、どの場面においても、断じて発生してなどいないのです。

       それでは、実写版に話を戻しましょう。

       ※ この件については、「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)「パーフェクト エピソードガイド」にも、『時間の逆戻り』が起きたなどとは一切書かれてはおらず、単に、「銀水晶の力で、奇跡がおき、星に平和がもどったわ。そう…、うさぎ、亜美、レイ、まこと、美奈子、みんなの笑顔も!」としか書かれてません。

 

       ※ この件については、「講談社のテレビ絵本 美少女戦士セーラームーン 5 セーラーせんし、さいごの たたかい」でも同様です。この中ではこう書かれています⇒「わたし、プリンセスハープに いのったの。すると、やさしい メロディーが ながれて、ちきゅうは もとに もどって いったわ。やっぱり、「まぼろしのぎんずいしょう」は、ほしを ほろぼす ものなんかじゃ なかったのね!」

 

       ※ 同じく、「小学館のテレビ絵本 美少女戦士セーラームーン 6 セーラーせんし さいごの たたかい のまき」でも⇒「ほしの ためとはいえ、まもるを さした ことに ショックを うける セーラームーン。でも そのとき ぎんずいしょうが かがやき きせきが おこったの。みなこと まもるは よみがえり、ほしには へいわが もどってきたわ」

 

       ※ 同じく、セーラームーンの公式ホームページである「セーラームーンチャンネル」でも⇒「そしてキスする二人から光が溢れ出し、光は地球を包んでいく。その手に懐中時計を握り締め、砂漠に倒れる二人。地球に光が溢れ、平和な日々が戻った。亜美・レイ・まこと・美奈子はそれぞれの日常を送っている」

       もしも、仮に『時間の逆戻り』