―実写版セーラームーンを検証する―


Act.48:メタリア・エンディミオン登場編――

 

       本稿は、2004年9月18日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第48話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

       ちなみに、テレビの本放送では、前回の次回予告に、「来週は「全米オープンテニス」のため お休みします 次回は9月18日(土)に お送りします」と言うテロップが出てて、『2004年9月11日(土)』の放送はお休みでした。なので、ワシもそれに倣って、先週はお休みして更新しませんでした

       余談ですが、ワシは昔から、テニスが好きでよくテレビ観戦していたのですが(←やった事はないのだが…)、そう言えばTBSでは、この時期になると毎年必ず「全米オープンテニス」の中継をやってて、ナニげにワシは毎年それを見ていたコトを思い出しましたなぁ…(←ただし、2004年当時はもう見ていませんでしたが…)(←※好きな選手がみんな引退してしまったので…)。ちなみに「全米オープンテニス」と言うのは、歴史と伝統ある世界テニス4大大会の一つで、TBSでは毎年、男子の準々決勝が行われる金曜あたりから、この辺の時間帯にその中継が入るんですな(←アメリカとの時差の関係で)。

       たとえば実写版では、もう一つ、Act.26と27の間の週が「2004マスターズゴルフ」でお休みになってましたが、これも同じコトです。「マスターズゴルフ」と言うのも、「全米オープンテニス」同様、歴史と伝統ある世界ゴルフ4大メジャー・トーナメント大会の一つで、これも毎年必ずTBSが中継してます(←これも現地はアメリカです)(←ゴルフは必ず日曜が最終日なので、当然それに合わせて土曜も中継があります)。

       つまり、実写版がこの2つの週でお休みになる事は、Act.13と14の間の正月特番の時期と同じように、TBSの毎年恒例の年中行事ですから、この日程自体は最初から決定事項なんですね。

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       今回のセーラー解説(?)は美奈子(?)…。

       「ずっとリーダーとして戦ってきた私だけど、突然みんなと別れなきゃいけなくなったの」

       …ここで、白いドレス姿の美奈子(←天使バージョン)が、病院のベッドから腰を上げて去って行く映像が回想されます…

       …そして、空っぽのベッド…

       「後悔する事は何もないけど…、ナンだか、残してきたみんなのコトが心配…」(←天使バージョン)…

       「特に…プリンセスである……うさぎ…」…ここで、場面が、うさぎちゃんの部屋のうさぎちゃんに切り替わります(←前回とは違う私服を着てますから、日付が変わってます。外も明るいです)…うさぎちゃんは、ベッドに腰掛け、美奈子からプレゼントされた(?)新譜のCDを手に、それをじっと見つめています…「…………」

       「クイン・メタリアの事も戦いも、まだまだ続いてるのよ?…」

      そして、うさぎちゃんはムーンフェイズの懐中時計を握り締めると

      Act.43で地場衛に言われた「どんな時も笑ってればいいんだ」を思い出してます…

      …さらに、美奈子の手紙にあった言葉も回想されます…「うさぎ、星の運命を変えて」「きっと変えてくれるって、信じてるから」

       ※ 美奈子は前回、あの最後の手紙の中ですら、「プリンセス、うさぎ」と、この2つの呼び方を併記してました。そして今回ここでも、やはり「プリンセスである……うさぎ…」と、この2つの呼び方を切り離せていません。これは、亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんの3人とは違って、美奈子には、前世の記憶がある限り、どんなに美奈子がうさぎちゃんと親密になろうとも、この絶対的な『前世の主従関係』から彼女が解放されるコトは、基本的な問題としてありえないからです。

     この事を念頭に置いて、これから始まる最終2話を見ていけば、なぜ、美奈子が最終決戦を前にして、ここから先の物語で、その存在そのものが消されてしまったのか、その本当の意味が見えてくるのではないでしょうか…。

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       そしてそのまま夜のシーンに切り替わり、うさぎちゃんが、いきなり浴衣に着替えて出て来ます。

       そして窓辺に行って、夜空の月を見上げながら、「……(心の声→)まもる?…こういう時は、どうやって笑うわけ?……わかんないよ…」と心の中でつぶやき、目を潤ませながらも、泣くのを我慢しております…(←て言うか、前回クラウンで、思いっきり泣いちゃってましたけどね…)。

       ※ うさぎちゃんにとって、愛野美奈子はずっと大好きだったアイドルですから、そう言う意味では、うさぎちゃんは、亜美ちゃん達と過ごした時間よりも、愛野美奈子と過ごしてきた時間の方がずっと長い訳です(←「アクト・ゼロ」によれば、美奈子のファースト・アルバム発売は2002年のクリスマス前で、デビューはそれよりも前ですから、その当時からファンだったとすれば、もう2年近くになりますから、ちょうど亜美ちゃん達との倍くらいになります)。その愛野美奈子が、実は自分達と同じ仲間で、それで、個人的にも親しくなれたと思ったら、その矢先の、突然の死に別れですからねぇ…。

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       日付は変わって、クラウン…。

       私服姿のまこちゃんが、ハンカチで口を押さえながら、前回よりも激しく泣いちゃっております…「ひっく、ひっく、えっ、えっ…!」。パーティーの飾りつけは、もうすっかり取り外されてます。

       まこちゃんは、ずっと愛野美奈子の隠れファンを通してきたので、うさぎちゃんほど美奈子のファンだったと言う印象は薄いのですが、それでも実際は、やはり、まこちゃんの悲しみも、うさぎちゃんと同等のものであるはずです。ただ、まこちゃんの場合は、美奈子の死に対して、少なくとも心の準備があったと言う意味においては、うさぎちゃんよりもまだ、ショックと言う点では救われてるのかもしれません。逆にまこちゃんの場合は、うさぎちゃんとは違って、このように、思う存分泣く事が許されている…と言う事なんでしょうね…。

       一方のレイちゃんは、もう泣いておりません…悲しみの表情すら浮かべておりません…。まじめで読書好きなレイちゃんは、美奈子の手紙を繰り返し熟読しておるようでございます…(←たぶん、もう百回くらいは読み返してるものと思われます)。

       …で、その中の、「私達が前世の運命を持って生まれてきたのは事実よ。それを乗り越えたとき、本当の自分になれると思う。私が、私になれたように」(←天使バージョンによる朗読付き)

       …を読み終えると、レイちゃんは、ナニかを悟ったかのように顔を上げ、乾いた目で、まっすぐ前を見ます…。

       レイちゃんの中では、美奈子のこの言葉が、おそらく、前々回ダーク・キングダムで地場衛に言われた言葉…(「前世は無視して消えるものじゃない…。オレたちは、確かに前世を背負ってる…」「オレは背負った前世に決着をつける…。前世に囚われてるからじゃない、今を生きてくためだ!)と、同じ意味に響いてるのではないでしょうか…。

       あと、このシーンですが、テーブルの上に、ナニやら白い物体が置いてありますよね? これ、後ろ側しか映ってませんけど、実はCDラジカセなんですな。これは、Act.41でレイちゃんと人型ルナが、美奈子の「新曲(=Kiss2 Bang2を聴いてた時のCDラジカセと同じモノなんです。てコトは、前回、美奈子の新譜は「来週」発売と言ってましたから、おそらく週も明けて、もう発売されたんじゃないでしょうかね?(←実は、この後のシーンを見ても分かる通り、この時点ですでに週が明けてるんですな)。それで、こうしてみんなの手元にCDが行き渡ってるんですね。で、このCDラジカセは、まこちゃんの方に向けて置いてありますから、まこちゃんは、レイちゃんが美奈子の手紙を読んでる横で、ずっとこれで美奈子の新譜を聴きながら泣いてたんですね…「ひっく、ひっく、えっ、えっ…『ナンでうさぎにはCDプレゼントして、あたしは自腹で買わされてんだよっ…びぇ〜〜ん』(←みたいな…)。

       ※ ちなみに、このシーンでは、亜美ちゃんのイスのあるポジションが画面上に映らなかったので、この場に亜美ちゃんがいたのかどうか確認できませんが、レイちゃんとまこちゃんはこのすぐあとのシーンでも、この服のままクラウンから駆け出しており、外を走ってる時には亜美ちゃんも一緒でした。亜美ちゃんが外で合流したのではないとすれば、ひょっとすると、亜美ちゃんはこの時、奥でお茶でも入れてたのかもしれません。いずれにせよ、美奈子の死から日付も変わり(←週が明けてるので最低でも2日以上経っている)、うさぎちゃんとまこちゃんが未だに悲しみに暮れ、レイちゃんが遺書を熟読してる場面で、亜美ちゃん一人が、その喪に服してる輪から完全に消されています。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃うさぎちゃんは、下校の途中でありました…。

       うさぎちゃんが一人で、いつもの歩道橋を歩いております…。

       ちなみに、この歩道橋のシーンが下校シーンか登校シーンかと言うのは、言うまでもなく、その歩道橋をどっちの方向に向かって歩いてるのかで分かります。下校シーンの時には、このシーンのように、背景の左側に4階建て(?)の建物が見えるんですな(←もしかすると、これが校舎ってコトなのかも…)。で、登校シーンでは、背景一面に木が生い茂ってるんですな。

       うさぎちゃんの表情は、めちゃめちゃ曇っております…。

       すると、突然、そのうさぎちゃんの前に地場衛が現れます…「……うさぎ…!」「!……『どうしてここに…!?』(←うさぎちゃんに笑顔はありません)

       「ヴィーナスのコト…聞いた…」(←って誰に聞いたの?)。

       て言うか、ナンたって現役バリバリのトップ・アイドルが夭折したんですから、普通なら、『愛野美奈子、急死!!』とかナンとか、テレビとかでもとっくに速報が流れ、日本中が大騒ぎになってるはずですよね?(←だとすれば、地場衛はそのニュースをどこからでも聞き得る訳ですが、しかし世間にそのような様子が全く見られないのが、チト気になりますなぁ…)しかも地場衛は、ここで、『愛野美奈子』ではなく、「ヴィーナス」と言ってるんですよねぇ…。つまり、彼がその情報を、一般社会に流れるニュースや元基から聞いたのであれば、「ヴィーナス」とは言わず、そのままストレートに『愛野美奈子』と言うのではないでしょうか? しかし、美奈子の死が、まだ世間の知れるところではなく、セーラー関係者しか知らないのだとしたら、逆に、じゃあ彼は、「ヴィーナスのコト」を一体誰から聞き得るのか?と言う疑問が残ってしまいますしねぇ…。

       うさぎちゃんは、「……うん…」とうなずくと、地場衛に向かって、泣きたいんだか笑いたいんだか分からないような表情で、懸命に微笑みかけようとします…。それを見て地場衛は、「お前…!」と、思わず駆け寄り、うさぎちゃんをぎゅっと抱きしめます…「バカっ、泣けっ、…オレが一緒にいる時は我慢しなくたっていいっ…!」

       うさぎちゃんは、地場衛の胸でその言葉を聞きながら、涙を流し始め…それから、思い切り泣き出します…(←う〜む…、ワシが思うに、やっぱり前回のクラウンの「いってらっしゃいパーティー」の場では、うさぎちゃんは亜美ちゃん同様、本当は泣いちゃいけなかったんじゃないのかなぁ…)(←それなのに、たぶんレイちゃんの熱演に釣られて泣いちゃって、『それもありかな』って担当監督さんの判断でOKテイクにされちゃったんじゃ…)(←で、実はそのお陰で、亜美ちゃん一人が薄情者みたいになっちゃったんじゃ…)。

       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニング・テーマが流れ、地場衛がうさぎちゃんを抱きしめるシーンは、そのまま続きます)

 

       そのあと、番組タイトルのCGだけが挿入され、オープニング・テーマはBGMとしてそのまま流れ続け、すぐに劇に戻ります…。

       引き続きオープニング・テーマが流れる中、二人は海の見える海岸沿いの場所に移動しております…。「え?! メタリアを?…まもるが?…」。すると地場衛は、海の方を見つめたまま「…ああ…」と答えます。するとうさぎちゃんは、地場衛の体を上から下へ舐めるように見回します。すると地場衛は笑みを浮かべ、「別に怪物になった訳じゃない。オレの中に封じ込めてるんだ」

       うさぎちゃんは心配そうに、「…だいじょぶなの?」。地場衛はあくまでも爽やかに「ああ…」と答えると、今度は真顔になって、「うさぎ、お前はもうナニも我慢しなくていいぞ」「え?」「幻の銀水晶をどんなに使ったって大丈夫ってコトだ。…メタリアは…オレが抑えてるから…」「……」(←のーこめんと…)

       地場衛に埋め込まれた「命を吸い取られる石」と言うのは、どうやら、命を吸い取ってる瞬間だけ、地場衛に肉体的苦痛を与えてるようなんですな。なので、その吸い取られる命が少なくなるに従って、与えられる肉体的苦痛も弱まってるんじゃないでしょうかね? つまり、彼が前々回に言ってたように、「完全に命がなくなるまでに、メタリアをつぶせればいい…。オレに勝算があるとしたら…」と言うその「勝算」が、実は前回のベリル様の言葉の中にヒントがあって、それが、「クイン・メタリアを、我が力として取り込めば、地上の支配などたやすいが…」だったんですね。つまり彼は、ほとんど命が吸い取られて、肉体的苦痛から開放された頃を見計らって、その空っぽになった自分の体に、逆にメタリアを取り込んでしまおうと考えたんですね。しかし、ベリル様も自分自身で危惧していたように、たとえ取り込んでも、「この強さでは、逆にわらわがメタリアに支配されてしまう」可能性もある訳ですから、そこで彼は、「オレは地球の王子だ。月のプリンセスにできて、オレにできないはずはない!…。…メタリアは必ず抑え込む…!」と…つまり、自分自身に賭けたんですな。

       「…ナンだよ、信用してないのか?」「そうじゃないけど…じゃあ、もう星は滅びないの?」「…ああ…、クイン・ベリルにも、もう星を支配する力はない」。ここでやっと、うさぎちゃんに笑みがこぼれます…「そっか…良かった♪…」。地場衛も、そんなうさぎちゃんを見て微笑みます。「じゃあ衛ももう敵の所に戻らなくていいんだね?」「…………(←おいおい、ちょっと間が空きすぎじゃねーか?)…ああ…『どうせジェダ公しか残ってねーし…。もういいや、あんなヤツ…』…あしたから好きなだけ会えるから…」(←ホンニえがっだの〜〜う……うっ、うっ(涙)…

       ※ ここで地場衛は、「じゃあ衛ももう敵の所に戻らなくていいんだね?」と聞かれて、かなり『間』を空けましたね…。これは、彼はこの時、このあとクンツァイトと決闘するために「敵の所に戻」る事を考えていたからなんですね。うさぎちゃんの言う『戻る』とは意味の違う『戻る』ではありますが、いずれにせよ、だから、「ああ」と言うのは半分ウソな訳です。この『間』の意味は、つまりそう言うコトだったんですね…。

       ここで、オープニング・テーマが2番に入って、それと同時にオープニング・ムービーも始まります…(←ナンか…まるで最終回みたいな演出だなぁ…)(←つまり今回と次回の2話で、一つの最終回と言う感じみたいですな…)(←と思ったら、おおっ!美奈子のキャスト紹介が天使バージョンになってるっ!)(←さらに、おおっ!ヴィーナスの映像がモノクロにっ!)(←しかも、ああっ!…ドサクサに紛れてセーラールナが、回転台に上ってヴィーナスのポジションで歌ってる〜っ!)(←…偉く…なったなぁ…)(←あのぉ…ちなみにアルテミィ〜スは……)。

 

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       オープニング開けは、バイクで道路をかっ飛ばす二人…ぶろろろろぉぉぉぉ…!

       走りながら、地場衛が後ろのうさぎちゃんに話しかけます…「うさぎ?……、もしまた、星を滅ぼそうとするヤツが現れたら、お前が倒すんだからな」「…え?…うん、幻の銀水晶使えるなら、大丈夫っ♪『五芒星ビームもガンガン撃ちまくっちゃお♪』(←どーでもいいけど、フルフェイスのヘルメット同士でバイク乗ってて、よくこんな普通の声で会話できんな…普通ならコレ…(↓)

       ぶろろろろぉぉぉぉ…!「うさぎ?……、もしまた、星を滅ぼそうとするヤツが現れたら、お前が倒すんだからな」『…えっ?!ナニぃ?!聞こえないよぉっ!もっかい言って〜っ!』『もしまたぁ!…星を滅ぼそうとするヤツが現れたらぁ!…お前が倒すんだからなぁ〜っ!』『うんっ!幻の銀水晶使えるならぁ!大丈夫〜っっ♪♪』ぶろろろろぉぉぉぉ…!(←みたいな…)。

       うさぎちゃんは、地場衛にぎゅっとつかまり、そしてバイクは走り去って行きます…ぶろろろろぉぉぉぉ…!(←地場衛は、この言葉を、さっき直接うさぎちゃんの顔を見ながらでは、言いづらかったんでしょうなぁ…「もしまた、星を滅ぼそうとするヤツが現れたら、お前が倒すんだからな…『たとえそれが、オレであっても…』と言ってる訳ですから…)。

       ※ 自分の死期を悟った人間が、最後に、最も親しい人の許を訪れ、『さよならを言わない別れの挨拶』をする…。この地場衛の行動は、前回の美奈子と全く同じなんじゃないでしょうかねぇ…。

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       場面は変わって、『ダーク・キングダムの森』…。

       クンツァイトが、木の根元に腰掛けて、じっとしております…「……『あぁ…腹減ったなぁ…』(←みたいな…)。すると、急に何かに気付いて顔を上げます…「!…『ギロッ!』

       見ると、クンツァイトの許へ、地場衛がやって来ました(←って早っ!)(←うさぎちゃんはどーしたんだよっ!?)(←さっきの服と同じなので、これは、うさぎちゃんをバイクで家に送り届けた直後ですな…)。

       するとクンツァイトは、おもむろに立ち上がります。一方の地場衛も、歩きながら、瞬時にエンディミオンに変身します。

       両者は対峙すると、クンツァイトが剣を抜き、鞘を地面に放り投げます…ばさっ!

       クンツァイトは剣を抜いたあと、鞘を投げ捨てましたね。そしてその投げ捨てられた鞘を、カメラがアップでとらえました。ご存知の方も多いかと思いますが、あの有名な剣豪、宮本武蔵が巌流島の決闘に遅れてやって来た時、それに対して怒った小次郎は、今のクンツァイトと同じように、剣を抜いて鞘を投げ捨てたんですな。そしてそれを見て、武蔵はこう言ったそうです⇒「小次郎敗れたり。勝つつもりなら大事な鞘を捨てたりしないはずだ」と…。つまり、勝てば再び剣を鞘に収められるが、負ければ死ぬ訳だから、もう二度と剣を鞘に収める事はできない、だからお前の負けだ、と…そう言う意味なんですね。つまりクンツァイトは、この時点で、既に負けている事になります…。…果たしてその意図は…?

       クンツァイトはいきなり「や゛ぁっ!」と斬りかかり、エンディミオンはすかさず剣を抜いてそれを受け止めます…かきんっ!

       その後、両者は互角に剣を交えて戦ってます。決して、クンツァイトが一方的に攻めて、それをエンディミオンが受け止めてるだけなのではありません。つまり、どちらも本気です。

       すると、その二人が戦っている様子を、ジェダイトくんが木の陰から覗き見しております。ジェダイトくんは、ベリル様から言い渡された言葉を回想しております…「ジェダイト、エンディミオンを必ず仕留めよ。メタリアがエンディミオンに根付く前に…!」…彼は、そう指示されてやって来たようです。手には、ナニやら剣を持ってますが、これ、普段ジェダイトくんが使ってる二刀流の短剣ではありませんな。

       ※ 実はこの剣は、「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)によると、「ベリルの剣」だとのコトです

 

       で、このシーンのベリル様のセリフなんですが、「エンディミオンを必ず仕留めよ。メタリアがエンディミオンに根付く前に…!」と言ってますね。この「根付く前」と言うのがポイントで、これは要するに、メタリアがエンディミオンに「根付く前に」エンディミオンを殺せば、まだ、『メタリアをエンディミオンから取り返せる』と言う意味なんですね。

     てコトは、逆に言えば、メタリアがエンディミオンに「根付く前」であれば、エンディミオンはまだ『メタリア妖魔V』と同じような状態にあると言う事であり、そうであるなら、Act.46の『対・メタリア妖魔V戦』の時と同じように、ヴィーナスの「ローリング・ハート・バイブレーション」で、メタリアだけ吹っ飛ばす事もできたかもしれない…と言う事でもある訳ですな。

       結局ベリル様は、最後の最後までメタリアにこだわり、前回はエンディミオンに向かって、「メタリアはわらわのモノ!」と言って攻撃すら仕掛けてましたから、つまりベリル様にとっては、とにかく絶対的に『まずメタリアありき』なんですな。なぜなら、「幻の銀水晶」が手に入らないと分かった今、もはやメタリアがなければ「地上の支配」もなく、そして「地上の支配」がなければ、エンディミオンだって手に入らない訳ですから、この優先順位だけは、たとえ天地がひっくり返っても変わらない訳です。つまり、『メタリアとエンディミオンのどちらを取るか?』と聞かれれば、迷う事なく『メタリア』と答えるのが、すなわちベリル様なんです。だからジェダイトくんに、「メタリアがエンディミオンに根付く前に」「エンディミオンを仕留め」、そして『メタリアを取り戻せ!』と命令してるんですな。だからこれは、決して、『エンディミオンを殺して、エンディミオン共々メタリアを消滅させ、星の破滅を阻止せよ!』と言う意味ではありえません(←※もしそうであるなら、このあとセーラームーンがやったように、「根付く前」も後も関係ないからです)。

       ※ つまり、実写版のメタリアと言うのは、原作やアニメ版のメタリアとは違って、それそのものでは何もできないんです。ベリル様に力を与えたり、妖魔に乗り移ったりしなければ、メタリア単体では星を滅ぼせないんですな(←アニメ版のメタリアは、若干それっぽいと言えるかも…)。「幻の銀水晶」が、それそのものでは何もできないのと同じ事です。だから、取り敢えずエンディミオンを殺して彼の体からメタリアを取り出し、メタリアの塔に戻しておきさえすれば、何とかしようもあると言う事なんですね。したがって、逆にもしも『根付いて』しまったら、そのエンディミオンを殺せばメタリアも一緒に消えてしまうし、そのエンディミオンを殺さなければ、エンディミオンを飲み込んだメタリアが星を滅ぼしてしまう…、しかし、かと言って『エンディミオンを飲み込んだメタリア』を倒せるような力はベリル様にはない…、つまりどっちにしろ、もしも『根付いて』しまったら、その時点で、ベリル様にとっては全てが終わりと言う事です。

       で、エンディミオンとクンツァイトが戦ってる所を、黒木ミオも木の陰から覗き見してます…。こちらは、またしても小悪魔的な笑みを浮かべながら、「ふ〜ん…」と、ナニか意味ありげにうなずいちゃっております。

       さて、あまりにも唐突に始まった、この、『エンディミオンとクンツァイトの決闘』ですが、地場衛はなぜここで、こうして自ら決闘の地に赴いたのでしょうか? それを考えるためには、この両者が劇中で辿ってきた経緯を、過去に遡って少しおさらいしなければなりません(↓)

―Act.24の再現VTR―

       科学館の前にて…。

       クンツァイトは、丸腰の地場衛に斬りかかり、地場衛は、ナンとかそれをかわします。

       地場衛は、科学館の建物に逃げ込みます…。しかし地場衛は、ロビーでクンツァイトに追い詰められてしまいます…「ゾイサイトが変な気を起こさなければ、破滅の日までそのままにしておくつもりだったが…」「……」。クンツァイトは再び斬りかかり、地場衛はとっさに吸殻入れを手に取って応戦します…。地場衛は階段を駆け上って建物の中に逃げ、クンツァイトは余裕の表情で歩いて跡を追います…。するといきなり、タキシード仮面がトイレ(?)から飛び出して来て、クンツァイトにステッキを振り下ろします。クンツァイトはステッキをかわし、両者はしばし剣を交えるも、タキシード仮面はクンツァイトに弾き飛ばされてしまい、腰をついて倒れながら後ずさりします…。「悲しいなぁ…! かつてのマスター・エンディミオンが、ここまで非力なのは…」「……」。タキシード仮面はやっと立ち上がりますが、クンツァイトが剣波攻撃を食らわすと、「うわぁっ!」と階下に突き落とされてしまいます。タキシード仮面は床に倒れ、しこたま腰を打ったのか、全く起き上がれません。

        ★  ★  ★  ★  

       タキシード仮面は、床に倒れたまま、ステッキだけを構えて、クンツァイトと対峙しております。クンツァイトはゆっくりと歩み寄りながら、「…いつか…、お前は、自分を追っていると言ったな…」「……」「知るのは怖くないと…」「お前は、怖れていた通りの自分になったな…!」「……お前のせいだよ。…お前は我らを裏切り…、…そしてこの星は滅んだ…」「!!……」「私は全てに対して復讐する…。…最初はマスター……お前だ…!」

       まず最初に、「ゾイサイトが変な気を起こさなければ、破滅の日までそのままにしておくつもりだったが…」と言ってる点に注目してください。つまりクンツァイトは、当初はマスター個人を「復讐」の対象として付け狙ってた訳ではありません。もちろん、マスターはその「復讐」の最も根本となる原因ではありますが、しかしそれが全てではないんです。クンツァイトは「全てに対して復讐する」ために、自らの手で星を「破滅の日」に導こうとしてるんです。クンツァイトがその目的を持って動いてる事は、次のゾイサイトのセリフによっても説明されてます(↓)

―Act.25の再現VTR―

       いきなり、ガ〜ンっ!と、ピアノの鍵盤に体を叩きつけられるゾイサイト。クンツァイト:「なぜ今更マスターなどにかまう?! 消えて当然の男だ…。二度と手を出すな。いいな…?」。そう言ってクンツァイトがつかつかと去って行こうとすると、ゾイサイトは、「できない相談だな…!「!……」。ゾイサイトはマントばさぁっ!と立ち上がり、特に…お前が破滅へ進もうと言うのであればっ!」。するとクンツァイトは振り返り、「……かつてこの星を破滅させたのはマスターだ」「違うっ!…………プリンセスだ…。…彼女さえいなければ…」「プリンセスも私がカタをつける…。お前は動くな…。聞けないと言うのであれば…」…クンツァイトはサッ!と剣を抜き、それをゾイサイトの首に突き付けます…「本気だというのは分かるな…?」。ゾイサイトは小さく首を横に振り、「クンツァイト…、変わったな…」「……」。クンツァイトは、剣を収めて部屋を出て行きます。

       つまり、「破滅へ進もう」と言う、これこそがクンツァイトの目的であり、そのために彼は、ベリル様の思惑とは別のところで、「幻の銀水晶」を奪う事を画策したり(←そのためにマーキュリーを捕らえ、殺そうともした)、「クイン・メタリア」を手に入れる事を画策してきた訳です(←そのためにマスターを捕らえようともした)。その事は、ネフライトですら、Act.17で、「ベリル様を押しのけ、クイン・メタリアの力を我が物にするつもりかもしれんっ!」と感付いていたくらいで、クンツァイトはAct.33で、ベリル様の「やはり、何故かは分からぬが、クイン・メタリアの力が動いている…」と言う独り言を盗み聞きした際、「このままではメタリアの力はベリルのものに…」「手を考えねばなっ」とハッキリ言ってましたからね。

       ところが、

1.         Act.35で、ついに、「ようやく対抗できる手が見つかった」と言って、「マスターを手に入れれば、ベリルへの切り札になる」と立てた計略も、セーラームーンとヴィーナスによって阻止され、

2.         続くAct.36では、そのマスターをベリル様に拉致されてしまった訳ですから、

       さすがのクンツァイトも、もはや万策尽きていたんですね。そしてその後…(↓)

―Act.37の再現VTR―

       ダーク・キングダムのゾイサイトの部屋…。

       ゾイサイト:「マスター、我らのためにここにいる必要はない。すぐに脱出を!」。地場衛:「見捨てるつもりなら、最初からベリルに従わない」

       クンツァイト:「…」

       ジェダイトくん:「…」

       ゾイサイト:「マスター…

       クンツァイトは、いかにも皮肉っぽく、「……ありがたきご温情と言ったところか?」。ゾイサイト:「クンツァイト!」。ジェダイトくん「!」

       クンツァイト:「私は恩に着るつもりはない」。地場衛:「オレもそんなつもりじゃない…!」

       クンツァイト:「…」。地場衛は、クンツァイトの目の前を横切りながら、「復讐するんだったな?」

       クンツァイト:「…」。地場衛:「お前たちを裏切り、星が滅んだと言うのはどういうコトだ?」

       クンツァイト:「知ってどうする?」。地場衛:「さあな…。…黙って斬られるか…。それとも逆になるか…」

       クンツァイト:「…なるほど?…以前とは違うな…」…そう言うとクンツァイトは剣を抜き、「…ならば…、黙って斬られろ!」と、地場衛に剣を突きつけます。ゾイサイト:「よせっ!」。地場衛は、そんなクンツァイトに対しても、少しも臆するコトなく、精悍な目つきで見つめ返しております…「……」

        ★  ★  ★  ★  

       クンツァイトが、地場衛の喉元に剣を突き付けます…。ゾイサイト:「クンツァイト! マスターは我らのためにベリルの許へ下ったのだぞ!…マスターは昔のままだ…」。地場衛:「……」。クンツァイト:「……」。するとここで、両者の記憶が、前世へフラッシュバックします…(↓)

1.       それは、エンディミオンとクンツァイトが、原っぱで剣の稽古をしてるところです…。

2.       「フッ!」かきんっ!「やっ!」かきんっ!「えいっ!」ひゅんっ!マスターの剣がことごとく防がれたり空を斬ったりして、クンツァイトが、「さぁ、マスター!…」と促すと、今度はエンディミオンは、2度の突きもかわされ、上から思いっきり剣を振り下ろすも、それもあっさり受け止められて弾き返され、後ろに尻餅をついてしまいます。

3.       すると、クンツァイトは、微笑みながら「マスターっ…」と言って歩み寄り、エンディミオンの腕を掴んで起こしてあげます…「何度言ったら分かるんです?」

4.       クンツァイトは、エンディミオンの腰の葉っぱを払いながら、「そういう乱暴な剣は、王家にふさわしくありません。それでは、敵と刺し違えるコトさえもありうる」「どこが悪い? 敵は倒せるだろう…!」

5.       「いえっ、マスターの剣はまず、生き延びる剣でなければ…」

6.       「はぁ、またお前の講釈か…。で? お前のはオレを守るための剣か?」。するとクンツァイトは微笑み、我らの剣は、あるじのために死する剣です」

7.       エンディミオン:「…ふっ(笑)…」。クンツァイト:「…ふっ(笑)…」。エンディミオンはクンツァイトの肩をポンと叩き、「もう一回だ…」

       で、場面は戻って、睨み合う地場衛とクンツァイト…。ジェダイトくんは、ナニやら混乱してアタマを抱えております…「…マスター…」

       クンツァイト:『そんな』過去は…、…あの滅びの日にすべて消えた…!」。するとここで、クンツァイトの記憶が、その「滅びの日」にフラッシュバックします…

     …城の瓦礫の下敷きになって死んでる、ゾイサイト、ジェダイトくん、ネフライトの横で、「う゛わ゛あ゛ああああああああああ〜〜〜っっっ!!!」と雄叫びを上げるクンツァイト…

       クンツァイト:「私はそれに関わった者すべてを消す…」「……」「当然…、私自身もだ…」「!…」

       このあと黒木ミオが「ナニしてるの!」と入って来て、地場衛を「メタリアの部屋」のベリル様の所へ連れて行きます。そこで地場衛はベリル様から、前世でなぜ星が滅んだのか、つまり、『星を滅ぼしたのはプリンセスだった』と言う衝撃的事実を聞かされます。そのあと彼は、Act.32で『エンディミオン覚醒』を経て帰国した際に、海岸でうさぎちゃんに誓った言葉、(「オレとお前の関係は、星を滅ぼす…。前世を繰り返したくない者にとって、オレたちは不吉な存在だ」「…うん…」「…信じるか?」「だって!」「オレは信じない!…そう決めた。だから帰って来たんだ……お前と一緒に証明するために…!」「……絶対、星なんか滅びない…!」)を、「そうだ!…あの時オレは…」と、当時の決意を思い出し、再び前を向きます。

―Act.38の再現VTR―

       するとそこへ、クンツァイトがやって来て、剣を抜きますしゃきんっ!「……」そのクンツァイトに向かって、地場衛が言います…「クンツァイト、そんなに復讐したければ、オレは斬られてもいい…」「…」「だが時間をくれ…」「…時間…?」「もしオレが剣の勝負でお前に勝ったら、しばらくオレに協力してもらう…」「……なに?!」「お前にも興味あるコトのはずだ」「…いいだろう…。…ただし剣では私に分があったことを…、覚えているか?」。地場衛は、かすかにニヤリとし、「…いや?……五分五分だった…」と言うと、一瞬のうちにエンディミオンに変身して、剣を抜きます。

       ここで地場衛は、「オレは斬られてもいい」と言ってますが、それはあくまでも、クンツァイトを「剣の勝負」(←真剣勝負ではないと言う点に注意)に誘うための『言葉の綾』です。彼が最初から斬られるつもりなどない事は、予め自分が心理戦で優位に立つために、「お前にも興味あるコトのはず」と言うエサを撒いてみせた事からも明らかです。地場衛は、クンツァイトに向かって、「黙って斬られるか…。それとも逆になるか」と言ってたくらいですから、場合によっては、自分がクンツァイトを斬る心積もりだってあるんです。で、クンツァイトはこの「剣の勝負」に負けた事によって、「ヤツがナニをするのか興味がある……それだけだ」と負け惜しみを言いながらも、その後しばらくは鳴りを潜め、続くAct.39では、「やってもらいたいコトがある…。プリンセスに攻撃を仕掛けろ…」と言う『狂言攻撃』の指示にも、素直に従っていた訳です。そんなクンツァイトを見て、ゾイサイトは、Act.42で、クンツァイトに次のような話を持ちかけます…(↓)

―Act.42の再現VTR―

       こちらは『ダーク・キングダムの森』…。

       クンツァイトが、一人で剣の稽古をしております…。するとそこへ、ゾイサイトがやって来ました…。クンツァイト:「なんだ?」。ゾイサイト:「ジェダイトが結局、ベリルについた…」「ヤツは素直だからな…ベリルの呪縛も面白いようにかかる…」「お前もその呪縛を解くつもりはないのか? 私一人でマスターを守るのは…無理だ…」「私の呪縛だと…?」マスターと、星を滅ぼした者への復讐という、呪縛だ」「呪縛ではないっ、私の意志だ」「ならば何故、今すぐにマスターの命を奪わない? お前の中に本当のお前が目覚めているからではないのか?!」。するとクンツァイトは、さっ!とゾイサイトに剣を向けます…

       ここでも、「マスター」と、その他の「星を滅ぼした者」が、「復讐」の対象として、あくまでも同列に語られてる点に注意してください。本稿のAct.38の時にも書いた通り、四天王目線での『星の破滅』とは、プリンセスの手による『最終的な星の破滅』を意味するのではなく、その直前にベリルが起こした反乱戦争による『地球国の破滅』を意味してます。つまりゾイサイトがここで言ってる「星(=地球国)を滅ぼした者」とは、『前世のベリル』の事を指してるのです。ゾイサイトがクンツァイトに望んでいたのは、そう言った、「マスターと、星を滅ぼした者(=ベリル)への復讐という呪縛」を解き、二人で協力して「マスターを守る」事です。しかしクンツァイトは、ゾイサイトの「ならば何故、今すぐにマスターの命を奪わない? お前の中に本当のお前が目覚めているからではないのか?!」と言う言葉に対して、全く心を乱す事なく否定してのけます。しかし、現状では「ベリルの呪縛」によって自由に身動きが取れないため、これではクンツァイトは、誰に対しても「復讐」など到底叶いません。で、それが、Act.43の一件で、状況が変わります…(↓)

―Act.43の再現VTR―

       うさぎちゃんと地場衛は、完全に夜になってしまった砂浜で、素足になって、波打ち際で水遊びに興じております…「あははは…………」「あははは…………」

       で、この様子を、ゾイサイトがいつものように覗き見してます…「……マスタァっ……」(←思わず天を仰ぐゾイサイト…)。すると、その横にクンツァイトもいて、「…二度目だな…プリンセスのために命を捨てるのは…」。ゾイサイト:「……」

       「きゃぁっ…あはは…」「あははは…………」(←地場衛が、うさぎちゃんを抱き上げてぐるぐる回る…)。

       クンツァイト:「何も変わってない…。次にヤツは星を捨てる…」。ゾイサイト:「……」

       クンツァイトはこれを見て、Act.38でのマスターとの約束⇒(「もしオレが剣の勝負でお前に勝ったら、しばらくオレに協力してもらう…」)の「しばらく」の期限はもう過ぎたと、そう判断したんですね。つまり、「ヤツがナニをするのか興味がある…」と言っていながら、どうやらクンツァイトの目には、結局、こういった地場衛の一連の行動が、『すべては星を滅ぼさないために』やっているのだと言うコトが、分からなかったんですな。それに、何よりも、この時点でマスターの命が秒読み状態に入ってしまったため、もはや一刻の猶予もなくなってしまった訳ですからね。マスターを殺すのはあくまでも自分であって、ベリル様に先を越される訳にはいかないのですから。その結果、クンツァイトは、続くAct.44で、ついに最後の賭けに出ます(↓)

―Act.44の再現VTR―

       ダーク・キングダムにて…。

       洞窟の通路を、ゾイサイトがうつむきながらトボトボと歩いて来ました…。ゾイサイトはふと立ち止まると顔を上げ、「プリンセスの命…か…」とつぶやきます…。するとそこへ、クンツァイトがやって来ました…「ゾイサイト、…私はダーク・キングダムを出るぞ…」「ナニィ!?」「ベリルの気が散っている今がチャンスだ。私はヤツの呪縛を解く…」「本気か?」「イチかバチか…命が尽きればそれまでだ…」。そう言ってクンツァイトが行き過ぎようとすると、ゾイサイトは呼び止めるように「復讐のためか!?」。クンツァイトは立ち止まり、「……私にはそれしかない…」と言って去って行きました。「……マスターを守れるのは…、やはり私一人か…」

        ★  ★  ★  ★  

       一方こちらは、マスターのお見舞いに駆けつけたゾイサイト…。ところが、地場衛はベッドから起き上がってて、ナニやら真顔で窓の外を眺めております…。「マスター!?…」「……クンツァイトが出て行ったな…」「わかるのですか?」「ここに来た影響かもな…。時々感じる…」「ベリルの呪縛を、逃れるつもりです…」オレへの復讐のためか?」「そういうものを全て、クンツァイトは背負ったのかもしれません…」

       このあとゾイサイトは、前世のクンツァイトが言っていた、我らの剣は、あるじのために死する剣です」と言う、その、まさに「あるじのために死する剣」で命を落とし、一方のクンツァイトは、それと時を同じくして、『ダーク・キングダムの森』で自らの腹に剣を突き刺します。

       何よりも、ここで忘れてはならないのは、クンツァイトの「復讐」の目的です。

       何度も言うように、彼は、一人マスターだけをその復讐のターゲットにしてる訳ではありません。ここでも、地場衛がオレへの復讐のためか?」と聞いたのに対して、ゾイサイトは「そういうものを全てと答えてます。クンツァイトは、全てに対して復讐する」ために、自らの手で星を滅ぼさんとメタリアを手に入れようとまでしてたんです。何故なら、大本命のもう一人であるベリルに対しては、メタリアの力なしには実力ではとうてい敵わないからです。であるなら、クンツァイトがその目的を捨てない限り、地場衛は、決してクンツァイトに斬られる訳にいかないんですよ。自分一人が斬られて、それで全てが済むのであれば喜んで斬られもしましょうが、そうじゃない。自分が斬られれば、それによってクンツァイトを「星の破滅」へ進ませる事になるのですから、そんな事は絶対にさせられるはずがないんです。つまり地場衛は、あくまでもクンツァイトが「破滅へ進もうとするのであれば」、自分は星を救うために、家臣のクンツァイトと戦ってもそれを阻止しなければならないんです…(「黙って斬られるか…。それとも逆になるか」)…それが、「地球の王子」としての当然の勤めです。

       地場衛は、自らこのクンツァイトとの決闘に出向く前に、うさぎちゃんに向かって、「うさぎ?……、もしまた、星を滅ぼそうとするヤツが現れたら、お前が倒すんだからな…『たとえそれが、オレであっても…』と言ってます。つまりそれは、彼自身もまた、うさぎちゃんに告げたのと同じ決意を持って、『オレも今から、「星を滅ぼそうとするヤツ」を倒しに行くから…。たとえそれが、家臣のクンツァイトであっても…』と言う意味なんです。それが、この、『エンディミオンとクンツァイトの決闘』の意味です。地場衛が、最初からクンツァイトに斬られるつもりなら、わざわざうさぎちゃんに『オレを倒せ』などとは言いません。

       地場衛は、前々回Act.46で、レイちゃんが黒木ミオに連れられてダーク・キングダムに来た時、「オレは背負った前世に決着をつける…。前世に囚われてるからじゃない、今を生きてくためだ!と言いましたが、彼にとっては、このクンツァイトとの事もまた、「今を生きてくため」「決着」をつけなければならない「前世」の一つなんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       月野邸にて…。

       うさママが、キッチンでフライパン片手にお料理をしてます…「うさぎってば食欲出たみたいで良かったわぁ。この納豆オムレツで、元気アップよぉっ♪」(←ちなみにワシは、この「納豆オムレツ」を作ったコトありますが、普通においしいです)。

       これは、うさぎちゃんが地場衛にバイクで送られて帰宅した直後になりますから、うさぎちゃんは、家族の前で、ようやく元通りの明るく元気な姿を見せていた事が分かります。

       するとその時、玄関のチャイムがぴんぽーん♪ ぴんぽーん♪と鳴ります…「ん? 進悟ぉ? ちょっと出てぇ…!」。居間でテレビを見てた進悟は、「うん」と言って席を立ちます。進悟が部屋を出て行った時、テレビの中では、ちょうど黒木ミオのCMが流れてました。

       ――黒木ミオ:「カラダ、うるおうモーニング・ティー、GOO♪」(←Act.29の時と同じヤツです)(←もう十番中には行ってないけど、アイドルとしてのお仕事はしっかり継続中なんですな)。

        ★  ★  ★  ★  

       で、進悟がドアを開けると、な、ナンとっ、そこには黒木ミオがっ!…「こんにちは。うさぎちゃん、いますか?」

        ★  ★  ★  ★  

       で、進悟が唖然とした表情で居間に戻って来たので、うさママは振り返って進悟を見るなり、「ナニよ? 誰だったのぉ?!」。すると進悟は、ナニも言わずにいきなり自分のシャツをまくり上げます…ばっ!…すると進悟のお腹には、「Mi Kurokiと言うサインが書いてあります。うさママ:「!?…ナニそれぇ?!」。進悟:「……黒木……ミオ…!…『て言うか、これじゃ一生風呂に入れないじゃんっ!』

        ★  ★  ★  ★  

       すると、突然、2階のうさぎちゃんの部屋からどたっ!と大きな物音がします。

       見ると、部屋の中は、まるで家捜しされたみたいにめちゃくちゃに荒らされていて、黒紫の花びらが散乱してます。

       アルテミィ〜スが仰向けになって、バンザイ状態でひっくり返っております…「んぎゅ、んん…むむ…」(←虫の息バージョン)。

       ぬいぐるみルナは、懸命にケータイで電話しております…「みんな……うさぎちゃんが…!」(←必死バージョン)。

       ナンでしょうか? 黒木ミオがうさぎちゃんをさらおうとしたのに対して、ぬいぐるみ2匹が必死で抵抗したため、こんな目に合わされちゃったんでしょうか? これはおそらく、Act.14で、クンツァイトが亜美ちゃん宅からうさぎちゃんを連れ去った時の、名付けて『黒紫の花びら付き・竜巻型空間移動』と同じパターンですな(←この時、亜美ちゃんは吹っ飛ばされてましたしね)。これらに共通してるのは、いずれも、『民家からの空間移動』だと言う点です。つまり、民家から空間移動する時は、この『黒紫の花びら付き・竜巻型空間移動』でないとダメみたいなんですな(←ってナンでかは知らんけど…)(←たぶん、民家って言うのは、それ自体が『悪』にとって結界が張られてるようなモンなので、それなりの気合が必要なんじゃないかと…)。そう言えば、Act.13で、「シン」が自宅に使ってた屋敷で、地場衛の目の前でクンツァイトに覚醒した時もこれと似たような現象が起きてましたね(←この時も、やはり部屋中のモノが散乱し、地場衛も吹っ飛ばされてました)。

       ところで、アルテミィ〜スは、美奈子亡きあと、火川神社じゃなくて月野家に厄介になる事にしたんですかね?(←たぶん、Act.44でレイちゃんにサバ折りされて死にかけたので、『こりゃたまらん』と思ってお暇を頂いたんでしょうなぁ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       クラウンで、レイちゃんがその連絡を受けます…「うさぎがっ!?」

       「敵の所に…連れてかれたみたい…。地場衛が…四天王と、決闘してるからって…!」(←そんな理由でかよっ!?)

        ★  ★  ★  ★  

       レイちゃんを先頭に、亜美ちゃん、まこちゃんの3人が駆けて来ます。

       この時、レイちゃんとまこちゃんの着てる服がさっきのクラウンと同じですから、うさぎちゃんの浴衣シーンの直後から日付が変わっており、そこからずっと放課後が継続してる事が分かります。『うさぎちゃんの浴衣シーン』がなかったら、日付がどこで変わったのかが、ちょっと分かりにくかったでしょうね。

       レイちゃんが橋の途中で立ち止まると、亜美ちゃんは、「この橋…、何か関係あるの?」。するとレイちゃんは、肩で息をしながら、「ええ、前に私が連れて行かれた時、ここから行ったの」

       レイちゃんは振り向くと、2人に向かってうなずきます…。すると、亜美ちゃんとまこちゃんも、それに応えるようにうなずき返します…。

       「マーズパワ〜!」「マーキュリーパワ〜!」「じゅぴたーぱわー!」

        ★  ★  ★  ★  

       再び『ダーク・キングダムの森』…。

       あれ? クンツァイトは、まだお腹の傷が癒えてないんでしょうかね? まるで、前世の『雄叫び映像』のように膝を折った体勢から、「う゛わ゛あ゛ああああああああああ〜〜〜っっっ!!!」と叫びながら、エンディミオン目掛けて突進して行き、そして斬りかかります…かきんっ!(←エンディミオンは、クンツァイトの剣をことごとく受け止めております)。

       エンディミオンはクンツァイトと戦いながら、「…(心の声→)クンツァイト! お前を変えたのはオレだ。前世で星(=『地球国』を救えなかったオレが!…『だがオレは、お前が復讐のために星を滅ぼそうとする限り、お前と戦っても星を守らねばならない。だから今ここで、オレはお前を斬る…!』

       しかし、ここで、クンツァイトの懇親の一撃がエンディミオンの剣を弾き飛ばし…かきーんっ! 剣がヒュンヒュンと飛んで行ってしまい、離れた場所に落ちて地面に突き刺さります…ぐさっ!

       クンツァイトが、丸腰になったエンディミオンの眼前に剣を突きつけると、エンディミオンはクンツァイトに向かって、「…『くそっ! ここで斬られる訳には…!』と言わんばかりに睨み付けます。

       さっきベリル様がジェダイトくんに命令したように、メタリアがエンディミオンに「根付く前に」エンディミオンを仕留めれば、まだメタリアを奪うチャンスが残っている以上、エンディミオンは、尚更ここで、おめおめとクンツァイトに斬られる訳にはいかないんですな。つまり、メタリアがエンディミオンに根付き、その上でエンディミオンを殺さない限り、メタリア共々殺す事はできないのですから、ここで斬られてしまったら、エンディミオンにとっては単なる犬死と言う事です。エンディミオン自身は、あくまでも自分が生き続けてメタリアを封じ込めるか、さもなくば、メタリアに乗っ取られた上でセーラームーンに倒してもらうか、この二つに一つしかあり得ないんですよ。

       するとその時、片膝ついたエンディミオンの全身から、紫色のエナジーのようなモノがメラメラと立ち上がります…。それを見てクンツァイトは、思わず剣を引いて後ずさりし、「!……今のは!?……まさかメタリアをっ!…『あの時のメタリアの慟哭は、そう言うコトだったのか!』

       エンディミオンは、自分の胸を押さえて立ち上がります…「…」。クンツァイト:「マスター、封じ込めたメタリア共々、死ぬつもりか!?…『それで、わざと斬られに来たとでも言うのか!?』……そこまで覚悟した訳じゃない『メタリアを抑える自信はあるからな。それに、オレは黙って斬られに来たつもりもない』ただ、最悪の場合はそれもありだ「!……」…ここでクンツァイトは、前世での剣の稽古のシーンを回想します…

       …クンツァイト:「そういう乱暴な剣は王家にふさわしくありません。それでは、敵と刺し違えるコトさえもありうる」

       …エンディミオン:「どこが悪い、敵は倒せるだろう…」

       クンツァイトは、あきれたような、はたまた苦虫を噛み潰したような、ナンとも言えない表情で下を向くと、「……変わらんな…」と言い、さっとエンディミオンに剣を向けます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、橋の上の3人…。

       3人が変身し終わると、マーズが言います…「私…、決めたわ。前世の使命のために戦う…。使命を果たして、前世を終わらせるために…」

       すると、ジュピターが、「うん、それが星の運命を変えるコトかもね…『やっとレイと意見が合った♪』

       さらにマーキュリーも、「そのためにも、うさぎちゃんを助けなきゃ」

       3人は向かい合い、マーズが右手を差し出すと、その手の甲にジュピターが右手を重ね、マーキュリーも右手を重ねます…。それから、3人が目を閉じて集中すると、重ねた手から金色の光が放射され、3人を包むと、その光が上空に向かって放射されます(←おおっ! これはまさしく、「セーラーテレポート」じゃないかっ!)。

       ちなみに「セーラーテレポート」は、アニメ版においても、『ダーク・キングダム編』の最終回前の第45話セーラー戦士死す! 悲壮なる最終戦で、5人が敵地に乗り込むために使っていた技です)。

  

       ※ ちなみに原作では、このシーンに相当する場面は「Act 11 再会―ENDYMION」に出てきますが、そこでは、マーズ、マーキュリー、ジュピターの3人が、ナンと、普通に空を飛んでダーク・キングダムに乗り込んで行ってました…(←これって、どっちがスゴイんだろ…?)。

 

        ★  ★  ★  ★  

       クンツァイトは、エンディミオンの喉もとに剣を突きつけながら、「ならば望みどおりに!…『そしてそのメタリアは私がもらう!』と言って、エンディミオンの胸ぐらをつかんで一気に斬りつけようとします…ところが、次の瞬間、クンツァイトはナニかに「ハッ!」と気付くと、突然エンディミオンを振り回すようにして体を入れ替えます。

       すると、ぐさっ!と言う鈍い音がしたかと思うと、ナンと、背後からエンディミオンを斬りに来たジェダイトくんの剣に、自らが貫かれます…「!……」

       ジェダイトくんは、剣を引き抜くと、「…なぜ…!?」と言いながら後ずさりします…。エンディミオンは、そんなジェダイトくんに向かって、「ジェダイト!……お前っ…!」。ジェダイトくん:「……『えぇっ!?…だってだってっ、クンツァイトが急にっ…ボクのせいじゃないやいっ!』(←みたいな…)

       クンツァイトが地面に崩れ落ちると、すかさずエンディミオンが駆け寄って助け起こします…「しっかりしろ! どうしてオレを…!」

       どうしてなのか? それは、クンツァイトが、ジェダイトくんにマスターを斬らせる事で、メタリアをベリルに渡す訳にはいかなかったからです。当然ジェダイトくんの方では、クンツァイトに斬らせる事で、メタリアをクンツァイトに渡す訳にはいきませんから、そのタイミングで出て来てます。だからクンツァイトの剣は一歩遅れ、クンツァイトはマスターと体を入れ替えるしか、それを避ける方法がなかったんです。ところが、ジェダイトくんにしてみれば、クンツァイトがマスターを庇ったとしか思えないので、「なぜ…!?とうろたえてるんですね。ジェダイトくんにしてみれば、もはや、このままマスターを放っておいたら、『マスターはメタリアに飲み込まれて星を滅ぼしてしまう』と言う大前提がある訳です。だからこそ彼は、ベリル様の命令に従ってマスターを殺す事ができるんです。たとえかつてのあるじとは言え、この時のジェダイトくんに選択の余地などありません。

        ★  ★  ★  ★  

       するとそこへ、黒木ミオがうさぎちゃんを連れてやって来て、少し離れた所から様子を伺い、「あれぇ〜? 遅かったかぁ…もう終わっちゃってるよ…!」(←しかめっ面)。「!…まもる…!」

        ★  ★  ★  ★  

       エンディミオンは、クンツァイトを抱き起こすようにしながら、「クンツァイト!」と呼びかけます。

       するとクンツァイトは、静かに語り始めます…「……かつて…、プリンセスのために星(=『地球国』を捨てた男が…、星(=『現世の地球』のために命を捨てるか…。…メタリアを道連れに……『変わらんな…と思ったのは、どうやら私の見込み違いだったようだな……。…私は前世でもこのように、「あるじのために死する剣」で、四天王として誇り高く死にたかった…。しかしマスターをそのように導けなかったのは、すべて私の不徳ゆえ…。だから私は、自分も含めたその全てに復讐をと……。…だが、今のマスターなら、きっと星を救えるだろう…。それでこそ、私が望んでいた、我らがあるじ…』

        ★  ★  ★  ★  

       それを聞いて黒木ミオは、「そっかぁ、まもるくん、自分の中にいるメタリアと一緒に死んじゃうつもりだったんだね?」(←このように黒木ミオには、いちいち、地場衛に対する愛情のカケラもないと言うのが分かりますね)。それを聞いて、うさぎちゃんは思わずその場にしゃがみ込んでしまいます…「…そんな…、…そんなのって……」

        ★  ★  ★  ★  

       ジェダイトくんが、オロオロと後ずさりしてその場から立ち去ろうかとしたその時、クンツァイトが虚空を見据えながら「ジェダイト!」と呼び止めます。ジェダイトくんが立ち止まると、クンツァイトは、「お前のあるじはベリルではない…。…我らがあるじは……、目の前に……いる……」。エンディミオン:「!……」。ジェダイトくん:「!…」

       そしてクンツァイトが静かに目を閉じると、彼の脳裏に、「シン」だった頃の思い出が甦ります…

      …例のお屋敷の窓辺に立って、晴れ渡った外の景色を眺めるために窓を開け、清々しい表情でいる自分の姿…

      …そしてその姿が、すうっと消え去るのと同時に、クンツァイト自身も息を引き取ります…

       クンツァイトは、エンディミオンに「クンツァイトっ!!」と看取られながら、石になって地面に落ちます(←って、キャッチしてやれよっ! ゾイサイトの時のセーラームーンみたく…)。

       その直後、ナニやらエンディミオンが「うぇっ!…げっ…!」と、ヘンな呻き声を上げ始めると、ジェダイトくんは、「!…『やべっ、メタリアが根付いちゃったかも…!』と、スタコラさっさと逃げてってしまいました…。

       そんなエンディミオンを見て黒木ミオは、「あれ? まもるくん、ナンかヘンだよ?…」。うさぎちゃんはそれを聞いて、「!?…『えっ!?ナニ?!』みたいに立ち上がってエンディミオンを見ます。

       見ると、もがき苦しむエンディミオンの全身から紫色のエナジーのようなモノがメラメラと立ち上がってます。「!!……」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはベリル様…。

       手の上の水晶から、そのエンディミオンの様子が映し出され、ベリル様はそれを呆然と見つめながら、「…やはりメタリアの力が動き始めた……」…ベリル様の手から水晶が落ち、地面で砕けます…かちゃんっ!「もう、止められぬ……」

       するとそこへ、マーズ、マーキュリー、ジュピターの3人が駆け込んで来ました…「クイン・ベリル!」

       しかし、ベリル様は静かに振り向くと、もはやナンの動揺もない様子で、「…セーラー戦士…。…今更ナニをしに来た?」

       「プリンセスを返してもらいに来た!」(←これは、「プリンセス」って言わないと相手に通じないと思ってるからでしょうか?)

       するとベリル様は、「もうプリンセスなどどうでもよい。守っても意味はないぞ…。…この星は終わるのだからな…」

       「どういう意味?!」

       「エンディミオンがメタリアに飲み込まれた…!」

       「!…『え?』「!…『え?』「!…『え?』

       「プリンセスの幻の銀水晶と同じ…。もうナニをしても、絶対に元には戻せぬ」…そう言いながらベリル様は、無防備にもセーラー戦士達に背を向けてしまいます…(←今だっ! ヤッテしまえ〜〜っ!)…星を破滅させる…!

       それを聞いてマーキュリーは、半歩前に出て、「そんな……!」(←って、思いっきり敵の話に聞き入っちゃってるよ…)

       ベリル様もすっかり黄昏ちゃって、「もうナニもかも…、…終わりだ……」

       ここでベリル様は、「エンディミオンがメタリアに飲み込まれた」状態を指して、「プリンセスの幻の銀水晶と同じ…。もうナニをしても、絶対に元には戻せぬ」と言ってますね。これはつまり、本稿のAct.38の時にも書きましたが、実写版における「幻の銀水晶」の定義が、『王家の血を引く者が体内に宿す物』と言う解釈になってる事を裏付けるものです。つまり、原作やアニメ版とは違って、実写版の「幻の銀水晶」は、単体の宝石として体外に取り出せるような類のシロモノではない訳です。それはなぜか? 理由は簡単です。もしも取り出せてしまえるのなら、今すぐにでも取り出してしまって、うさぎちゃんに持たせさえしなければ、星は絶対に滅びずに済むからです。それが避けられない運命であるためには、うさぎちゃんと「幻の銀水晶」が運命共同体でなければ、そもそもの話が成立しません。

        ★  ★  ★  ★  

       再び『ダーク・キングダムの森』…。

       エンディミオンは「う゛ぅっ…!」と懸命に堪えてましたが、ついに「限界かっ…!」と言って立ち上がり、地面に突き刺さった自分の剣に向かって駆け寄ります。

       それを見てうさぎちゃんが、「まもるっ!」と呼び止めます。

       「!…うさぎ…!」

       うさぎちゃんがエンディミオンに向かって駆け出すと、エンディミオンは「来るなぁっ!」と叫びます。

       「!…」その声に、うさぎちゃんが思わず立ち止まると、エンディミオンは剣を地面から引き抜き、ナンとっ、それを自分の腹に向けて突き立てようとします。

       「ダメぇっ!」

       ところが、エンディミオンの剣が腹に刺さったのか刺さってないのか分からん状態で、突然エンディミオンが「!?…『あれ?!』みたいになって止まっちゃって、ちょうど刺し傷になる辺りから強い光が放射されて、エンディミオンは「うわぁっ!!」と万歳状態で剣を放っぽり投げてしまいました(←『リフレーシュ!』みたいな…)

       先ほども書きましたが、メタリアが根付かない限り、エンディミオンを殺してもメタリアは一緒に死にません。なので、メタリアが根付く前にエンディミオンが自害したり、クンツァイトに斬られたりしても、それでは単にエンディミオンが犬死するだけです。しかし、メタリアが根付いてしまったら、エンディミオンの意志もメタリアに乗っ取られてしまいますから、当然、エンディミオンは自害したくてもできなくなってしまうんですな。つまり、どう転んでも、「エンディミオンがメタリアに飲み込まれた」状態で彼を殺さない限り、ナンの意味もありませんから、彼自身がメタリアを封じ込めないのであれば、結局それしか、方法は残されていないんです。だから彼は、それをうさぎちゃんに託すため、「お前が倒すんだからな」と告げた訳です…。

       すると、その衝撃で『ダーク・キングダムの森』が崩れ落ちるような感じになり、うさぎちゃんと黒木ミオが吹っ飛ばされてしまいます…「きゃぁっ!」「きゃぁっ!」

        ★  ★  ★  ★  

       二人は、原っぱみたいな所に出て来て倒れ込みます…ばたっ!「うっ…!」ばたっ!「いった〜い…!」かちゃっ!エンディミオンの剣もその近くに落ちます。

       ※ ここはアレですねぇ…Act.36の『プリンセス・セーラームーン爆誕』の原っぱですねぇ…。でも、ロケ地的には確かにそうなのですが、それはあくまでも爆破撮影上の都合でしょうね。次回のコトを考え合わせると、ここが依然としてダーク・キングダムの敷地内である事は間違いないので、おそらく劇中の設定では、この場所は、さっきの衝撃で『ダーク・キングダムの森』が吹っ飛んだと言う解釈でしょうな。なので本稿では、便宜上この場所を、『ダーク・キングダムの原っぱ』と言うコトにさせて頂きます。

       すると、ナニやら、真っ黒な衣装に身を包んだ恐ろしげな人物が、こちらに向かって歩いてきます…「ウ〜〜…!」(←声はメタリアの声です)

       うさぎちゃんと黒木ミオは、それぞれ上体を起こすと、そちらに目を向けます…「!…」「!…」

       その顔は、まさしく地場衛と言うかエンディミオンと言うか、『めっちゃ肩幅の広いカッコいい白いエンディミオン』よりも『もっと肩幅の広いカッコいい黒いエンディミオン』ですっ! うさぎちゃんは、「!……まもる…?!」(←おおっ! ちゃんと見分けが付く設定なのですなっ!)

       ※ ちなみに、この黒いエンディミオンは、スタッフさんの間では「M(=メタリア)エンディミオン」と呼んでいたそうなので、本稿でもその慣例に従い、本稿では『メタリア・エンディミオン』と表記したいと思います(←『ダーク・エンディミオン』も捨てがたかったのですが、それだと『ダーキュリー』のエンディミオン版みたいで、原作やアニメ版の『ダーク・エンディミオン』と意味が同じになってしまいますし、いまいちラスボスっぽくないですからね)。そうなんです…実写版の『表向きのラスボス』は、この『メタリア・エンディミオン』なんですな。ちなみにアニメ版におけるラスボスは、クイン・ベリルとクイン・メタリアが合体した、『メタリア・ベリル』とでも言うべき『巨大クイン・ベリル』でした。

       ※ ちなみに原作では、ストレートに「クイン・メタリア」そのものがラスボスでした。クイン・ベリルは、その前にヴィーナスに倒されてましたね(←原作のクライマックスでは、とにかくヴィーナスがリーダーとして大活躍してて、マーキュリー、マーズ、ジュピターの3人は、ほとんどその他大勢でした)。

       『メタリア・エンディミオン』は、二人の前で立ち止まると、「…ホシノ…、ハメツ…」と、相変わらずボキャブラリーの貧しいメタリア語を話します。

       うさぎちゃんは立ち上がり、「!…どうしちゃったの?…まもる…」。すると黒木ミオも立ち上がり、「メタリアに乗っ取られちゃったんだよ…」「え!?」

       すると『メタリア・エンディミオン』は、全身から黒紫のガスを噴出したかと思うと、それを右手に集めて『メタリア・エンディミオンの剣』を作ります(←おおっ! これは正しく、キューティーハニーの空中元素固定装置の要領じゃないかっ!?)。

       それを見て黒木ミオは、思わず後ずさりを始め、「…ちょっとマズイかもぉ……帰ろぉっと…」と言うと、後ろを向いて一目散に逃げ出します(←って、どうでもいいけど、なぜ黒木ミオは自分が「マズイ」と思ったんでしょうか? もしもメタリアが原作やアニメと同じ設定の生命体だったら、自分の部下であるダーク・キングダム・サイドの人間には、理由もなく危害を加えたりはしないはずです)。

       ところが、『メタリア・エンディミオン』は逃げ去る黒木ミオを見て眉をピクッとさせると、しゅわんっ!と真横に瞬間移動して消えたかと思うと、しゅわんっ!と黒木ミオの前に真横から瞬間移動して現れます(←おおっ! ナンか知らんけどカッコよかったぞ)。

       そして『メタリア・エンディミオン』は、黒木ミオに剣を向けます。「まもるくん…、ちょっと待って…。ねぇ、お願い…!」…黒木ミオは哀願しますが、『メタリア・エンディミオン』は剣をゆっくり振り上げながら気を溜めます…びりびりしゅばっ!

       「!…」(←ビビる黒木ミオ…)。うさぎちゃんも思わず「やめてっ!」と叫びます(←って、ナンで黒木ミオを庇うんだ?)。すると、黒木ミオは、今度はうさぎちゃんの方に駆け戻り、「うさぎちゃん、助けてっ!」と叫びます。

       う〜む…、どうやら黒木ミオ目線では、地場衛はあくまでも地場衛なので、つまり、結局はダーク・キングダムの敵な訳だから、それが悪い心に乗っ取られたら、真っ先に自分が殺されると思ったようですなぁ…。で、その次には、やっぱり地場衛はあくまでも地場衛だから、ひょっとすると、うさぎちゃんには攻撃しないかもしれないと、そう言う一縷の望みを賭けて、うさぎちゃんに助けを求めたのかもしれませんなぁ…。そもそも、仮に黒木ミオが『ベリル様のクローン』であれば、成り行き上はダーク・キングダムの配下として働いてはいるけど、元々の素質は、ベリル様同様に野心家で、誰にも指図されたくはないタイプのはずです。しかし、かと言って、自分にそれほどの力も与えられていない以上、その時その時の状況を冷静に見極めて、けっこう日和見的に立ち回ろうとしてたのかもしれませんなぁ…。

       つまり、黒木ミオは、ダーク・キングダムの野望が叶えば叶ったでOKなように振舞いつつも、ひょっとしたら、その野望が打ち砕かれたら打ち砕かれたでもOKなように、セーラー戦士側にも『貸し』を作るように振舞っていたとしか思えんのですな。つまりそれが、レイちゃんをお城に連れて来ちゃったり、うさぎちゃんを決闘の現場に連れて来ちゃったりと言う、一見『小悪魔的な行為』となって表れてたんじゃないでしょうか。なぜなら、これらは明らかにダーク・キングダムに対する反逆行為であり、逆に、セーラー戦士側には利益をもたらしてる訳ですからね。レイちゃんをお城に連れて来た時なんか、「ナ〜ンか最近つまんないからぁ…お客さん連れて来ちゃったっ♪…本当は、うさぎちゃんが良かったんだけどぉ、それはぁ…マズイでしょ?」と言ってたのに、今回はその「マズイ」うさぎちゃんを連れて来ちゃってますし、レイちゃんは、あの時黒木ミオに誘われたお陰で、今回ダーク・キングダムへ『セーラーテレポート』する方法を得る事ができてる訳ですから。要するに、それが単なる小悪魔的ないたずらに過ぎないのだとしても、いずれにせよ、黒木ミオにそう言うコトができてしまうくらい、ダーク・キングダム内では、日増しに「ベリルの気が散ってる」状態で、悪の組織としての方向性も見失ってると、彼女がそう判断していた証拠なんですな。自分にきちんと指令が下されてた頃は、そんな謀反など起こさなかったのですから。

       しかし、『メタリア・エンディミオン』は容赦なく剣を振り下ろし、黒木ミオに剣波を浴びせます…「きゃあっ!!」黒木ミオは一瞬で黒い花びらとなって散っていき、「はっ!」地面に落ちると消えてしまいました(←これは、死んだのか?!)

       『メタリア・エンディミオン』は、今度はうさぎちゃんを見据えます…。「!…そんな…!」(←この「そんな」は、『仲間のはずのミオちゃんを殺しちゃうなんて…!』の意味なのか、それとも、『次は私の番だって言うの?!』の意味なのか?『メタリア・エンディミオン』は、ゆっくりと剣を振り上げながら気を溜めます…ばりばり…!「はっ…!」。そこから一気に剣を振り下ろし、放った剣波がうさぎちゃんの手前に着弾して大爆発を起こします…どかーんっ!「きゃあっ!!」

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       『メタリア・エンディミオン』一気に剣を振り下ろし、「はっ…!」放った剣波がうさぎちゃんの手前に着弾して大爆発を起こします…どかーんっ!(←しかし、今度は「きゃあっ!!」と言う悲鳴はなく、その代わりにきらりんっ!と言う効果音が聞こえます

       爆発の炎が収まると、そこにはセーラームーンに変身したうさぎちゃんの姿が!

       ※ 原作でもアニメ版でも、セーラームーンは、エンディミオンと戦う事を余儀なくされてます。

―旧版―

―新装版―

セーラームーン:――うそよ こっちを見て! タキシード仮面! まもちゃん!?」

マーキュリー:「うさぎちゃん おちつくのよ! 彼は 一時的にあやつられてるだけよ クイン・ベリルをたおせば……!」

セーラームーン:うそよ! こっちを見て! タキシード仮面! まもちゃん!?」

マーキュリー:「うさぎちゃん おちつくのよ! 彼は 一時的にあやつられてるだけよ クイン・ベリルをたおせば……!」

クイン・ベリル:「プリンセス おまえの知る王子は もういない」

「死んだ王子の体に 「幻の銀水晶」の力(ちから)をふきこんだようだが めざめは こなかった むだだったようだな

「王子エンディミオンは わが おおいなる支配者 クイン・メタリアの力で よみがえったのだ!」

「この わたしと おなじように力を授かり ダーク・キングダム最強の戦士として!」

クイン・ベリル:「プリンセス おまえの知る王子は もういない」

「死んだ王子の体に 「幻の銀水晶」の力(パワー)をふきこんだようだが ムダだ 死んだのだ

「王子エンディミオンは わが おおいなる支配者 クイン・メタリアの力で よみがえったのだ!」

「この わたしと おなじように力を授かり ダーク・キングダム最強の戦士として!」

      以上、「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 3 新装版 (KCデラックス)より

 

―アニメ版・第46話「うさぎの想いは永遠に! 新しき転生」

       セーラームーン:「ムーン・ヒーリング〜・エスカレーショ〜〜ン!」。しかしエンディミオンにナンの変化も起こらず…「え…!」

       クイン・ベリル:「ムダだ、プリンセスとしてはまだ未熟なお前が銀水晶を使ったところで、エンディミオンの体からメタリア様の暗黒のエナジーを追い払うことはできん、フッ、ムダな事はやめ、素直に銀水晶を渡せ!」

       エンディミオンは剣でセーラームーンのスティックを弾き飛ばしてしまうと、黒いバラを取り出し、「セーラームーン……、死ね…」と言って投げ、それが何本ものロープとなってセーラームーンを縛り、電撃を流します…バリバリバリ…!「うあぁ〜っ!!」

  

       どちらのエンディミオンも、『真のプリンセス覚醒』のエピソードにおいて、セーラームーンを庇って瀕死の重症を負い(←原作では、ベリルは「死んだ」と言ってるが…)、その際、クンツァイトによってダーク・キングダムへ連れ去られてます。そしてメタリアの力で蘇生され、クイン・ベリルに洗脳され、その後は、ダーク・キングダムの手先となってセーラー戦士の敵となります(←そう言う意味では、実写版のマーキュリーが、「セーラーマーキュリーは、大いなる悪の力のかけらを受け、生まれ変わったのだ…」と言うのと同じで、ちょっとだけ実写版の『ダーク・マーキュリー』っぽいと言えなくもないので、『ダーク・エンディミオン』とでも言うべき設定です)。なので、メタリアはエンディミオンに力を吹き込んだだけで、自らがエンディミオンに乗り移ったのでもなければ、エンディミオンを飲み込んだ訳でもありません。つまり、実写版とは違って、メタリアとエンディミオンは、合体してはいない訳です。原作においては、メタリアは誰とも合体せず、単独でセーラームーンとの最終決戦を迎えます。メタリアが合体するのは、アニメ版におけるクイン・ベリルであり、そしてそれが、プリンセス・セレニティとの最終決戦の相手となります。

       つまり、メタリアが誰かと合体してラスボス化すると言う設定自体は、アニメ版から採用されてる訳です。実写版ではそれを、ベリル様ではなく、エンディミオンに変更する事で、エンディミオンとセーラームーンの戦いを避けられないものにしてるんですね。と言うのも、実写版のエンディミオンは原作・アニメのような洗脳は受けてませんし、常に自分の意思で動いてきてますから、それが最後セーラームーンと戦うとなると、Act.39の『狂言攻撃』と同じような感じになってしまい、それこそ見え見えの展開になりかねませんからね。

       『メタリア・エンディミオン』はセーラームーンを見て、ナニか怪訝そうな表情を浮かべて睨みつけます(←メタリアの知能がどの程度なのか不明なので、目の前の相手がどこの誰かと言うのを把握してるのかどうか定かではありません)(←もはや、ンなこたどーでもいいレベルの脳みそなのかもしれませんが…)。

       セーラームーンは、「まもる今助けるから…!」と言ってスティックを取り出します。そして、胸の前に構えて目を閉じると、スティックが光り始めます。

       すると『メタリア・エンディミオン』は、憎々しげな顔をして剣を突き出し、その刃先から紫のビーム状の触手(?)みたいなモノを放って、セーラームーンのスティックからエナジーを吸い取ってしまってるようです(←たぶん…)。『メタリア・エンディミオン』がビーム状の触手を引き戻すと、「あっ…!」、それが『メタリア・エンディミオンの剣』の真ん中で黒い球体となり、『メタリア・エンディミオン』は、その球体をセーラームーン目掛けて放ちます。

       「きゃあっ!」…セーラームーンは、スティックを盾にしてそれを防御しますが、スティックが砕け散ってしまい、その勢いでセーラームーンも地面に倒れてしまいます…「あぁっ…!」。砕けたスティックは、地面の上で消えてしまいました…「…!…」(←やばっ、これじゃ丸腰じゃないかっ!)

       ※ ちなみに、原作でもアニメ版でも、ダーク・キングダムの手先となった『ダーク・エンディミオン』には、「ムーン・ヒーリング・エスカレーション」は通用しませんでした。しかし、スティックはそれぞれ最後の場面で重要な働きをするので、砕かれたり消されたりする事はありませんでした。しかし実写版では、この時点でスティックを砕いて消してしまいましたね。これは、前半戦のクライマックスであるAct.27、28の時と似てますね。あの時は、セーラームーンを完全に丸腰にして、『ダーク・キングダムの森』で変身できなくさせるために、スティックとティアラを砕いてしまってました。

       この大ピンチに、ルナもアルテミィ〜スも駆けつけて来られないのですから、やはりここは『ダーク・キングダムの原っぱ』なんですな。

       で、相手がエンディミオンですから、当然『プリンセス・セーラームーンA』に2段変身なんてコトもありえません。なぜなら、『前世のプリンセス』がエンディミオンと戦おうとするはずがありませんからね。

       『メタリア・エンディミオン』がセーラームーンに歩み寄ると、セーラームーンは立ち上がります。『メタリア・エンディミオン』は、歩きながら全身からメラメラと紫のエナジーを沸き立たせ、再び剣波の構えに入り、それをセーラームーン目掛けて放ちます。セーラームーンは素手で防御の体勢を取りますが…

       するとっ! その剣波を、とつぜん真横から飛んで来たビームの塊が弾き飛ばします…ちゅどーんっ!(←おおっ! ナニげにこのビームの塊をコマ送り再生で確認すると、マーキュリーの水流、マーズの火炎放射、ジュピターの雷、の順で飛んで来てるぞっ!)(←そして、命中する瞬間に、その3つが同時に揃って到達しているっ!)(←これは正しく、Act.4で見せた、「セラビー」のリズムに合わせて『各自の技の到達時間を逆算して同時に命中させる』と言う、セーラーチーム初の同時攻撃の極意ではないかっ!)

       『メタリア・エンディミオン』は、ビームの飛んで来た方を憎々しげに見て、セーラームーンも振り返ります…「あっ、みんなっ!」

       ジュピター、マーキュリー、マーズの3人が駆け付けて来ました。「うさぎちゃんっ、大丈夫?!」「うん、それより衛が!」わかってる……。すると、マーズが言いづらそうに、「……うさぎ…!」「?…」「もう彼は……、……元に戻らない……

       レイちゃんは、前々回、単身ダーク・キングダムに乗り込んで行って、そこで地場衛から、「オレは背負った前世に決着をつける…。前世に囚われてるからじゃない、今を生きてくためだ!「うさぎを頼む!」と言われて、思わず『ポッとなっちゃってましたから(←って意味が違うとは思うけど)、その地場衛が、今、自分の目の前でこんな姿になってしまってるコトが、やり切れなくて仕方がないんでしょうね。たとえば、マーキュリーもAct.42でエンディミオンと遭遇してはいますが、直接コミュニケーションは取ってません(←その意味では、Act.35のヴィーナスも同じです)。つまり、セーラー戦士の中で、タキシード仮面時代の『自己の確立してない地場衛』ではなく、エンディミオン時代の『自己の確立した地場衛』と直接コミュニケーションを取って心を通わせた事があるのは、うさぎちゃん以外では、実はAct.46におけるレイちゃんが唯一なんです。ここでのマーズ(=レイちゃん)の表情は、そんな個人的な経緯と感情を物語ってるんですね(←そう言えば、アニメ版の『ダーク・キングダム編』の火野レイは、地場衛に『ホの字』で、積極的にデートに誘ったりなんかしてましたなぁ…)(←アニメ版・第15話「うさぎアセる! レイちゃん初デート」、第18話「進悟の純情! 哀しみのフランス人形」、第27話「亜美ちゃんへの恋!? 未来予知の少年」、第31話「恋されて追われて! ルナの最悪の日」等々…)。

    

       「え…?」…セーラームーンが見ると、『メタリア・エンディミオン』が迫って来ます。

       「見たでしょ、幻の銀水晶も効かないの。…星を滅ぼさないためには…、もう…」(←そんなマーズとは対照的に、マーキュリーの方は至って冷静です)「……『もう…ナニ…?!』

       「うさぎは戦うな。私達3人でやるから…!」(←ジュピターは、この人は、至っていつも通りです)(←いい意味で…)。セーラームーンは、マーキュリーの言葉の意味が理解できず、じっとマーキュリーを見つめたまま、ジュピターの方を見ません。ジュピターの言葉にマーキュリーとマーズがうなずき、3人はセーラームーンを置いて駆け出します。

       3人が『メタリア・エンディミオン』に向かって行く中、セーラームーンは、ただ呆然とその場に立ち尽くします…「……」

       3人は『メタリア・エンディミオン』を取り囲むように三方向に散り、対峙します。セーラームーンは、その様子を眺めながら…「……星を滅ぼさないためには…、…もう……?

       「妖魔〜退散っ!」。マーズの「妖魔退散」を、『メタリア・エンディミオン』は剣で防御すると、そのまま剣を松明のように燃え盛らせて、マーズに迫って行きます。「はっ…!」「…ホシノ…、ハメツ…!」

       それを見てマーキュリーは、「!…シャイン・アクア〜・イリュージョン!!」を放ちますが、『メタリア・エンディミオン』は振り向きざまにそれも剣で吸収してしまいます。

       続いてジュピターが「しゅーぷりーむ…さんだーっ!」を放ちますが、結果は同じで、『メタリア・エンディミオン』に返し技を食らって、どかん!どかん!どかん!「きゃっ!」「うわっ!」「あっ!」…3人は地面に倒されてしまいます。「うっ…!」「うっ…!」「うっ…!」

       その様子を見ていたセーラームーンは、「やめて……、戦わないで!」と駆け出します。すると、『メタリア・エンディミオン』が手のひらから爆撃を放ち、セーラームーンの足元に着弾します…どかん!どかん!「きゃあっ!」

       「うさぎっ!」

       「…あぁっ…!」

       「…あっ…!」

       「うっ…!」と地面に突っ伏すセーラームーン…。そのセーラームーンに向かって、『メタリア・エンディミオン』が迫って行きます。

       それを見てマーズは懸命に起き上がり、「バーニング〜〜マンダラ〜っ!」(←おおっ! これは原作・アニメでも使ってた新技じゃないかっ!)

       それが『メタリア・エンディミオン』の背後を捉え、『メタリア・エンディミオン』が燃え上がります(←おおっ! 効いてるみたいだぞっ!?)。マーズも手応えを感じたかのように見てますが…と思いきや、『メタリア・エンディミオン』は、全身を包む炎を剣に集め、それでマーズに返し技を食らわしてしまいます…ぼかーんっ!「あ゛っ!」

       「レイっ!」…ジュピターはタンバリンを取り出すと、「じゅぴたー、さんだー、ぼると!」(←おおっ! これは新技じゃないじゃないかっ!)

       『メタリア・エンディミオン』はそれをあっさり剣で受け止め、ジュピターに返し技を食らわします…ばばばばば…!「う゛っ!」。ジュピターはタンバリンを後方に投げてその場に倒れてしまいます。

       「マーキュリー・アクア〜・ブリザード!」(←おおっ! これも新技だっ!『ってナンでだよっ!』『メタリア・エンディミオン』の全身が凍りつきます(←おおっ! 効いてるのかっ!?)…と思いきや、すぐにぱりんっ!と割れてしまい、こちらは返し技じゃないのかもしれませんが、とにかく攻撃を食らわされてしまいます…どかんっ!「きゃっ!」

       ところで、ナニげにマーキュリーだけ、やけに新技が多いような気がしたので、ちょっと調べてみましたところ(↓)

―マーキュリーの必殺技―

初出Act.

実写版オリジナル

1.マーキュリー・アクア・ミスト

Act.2

2.シャイン・アクア・イリュージョン

Act.9

×

3.マーキュリー・アクア・ストーム

Act.42

4.マーキュリー・アクア・サイクロン

Act.43

5.マーキュリー・アクア・ブリザード

Act.48

       ※ マーキュリーの場合、「シャイン・アクア・イリュージョン」以外は、全部これ実写版オリジナルなんですな。初期の必殺技の「マーキュリー・アクア・ミスト」は、実は原作の新装版において加筆修正で登場した技名で、原作の旧版には正式な技名自体が一切出てこないんです。で、原作における「マーキュリー・アクア・ミスト」は、アニメ版における「シャボンスプレー」と全く同じ働きで、敵の視界を遮り、動きを鈍らせるためのもので、実写版とは違って攻撃系の技ではありません。初登場の「Act 2 亜美―SAILORMERCURYでも、変身直後に、技名も言わずに、自然発生的に冷たい霧を発生させて妖魔の視界を封じ、動きを鈍らせただけで、妖魔を倒したのはセーラームーンでした。このパターンは、アニメ版における「シャボンスプレー」から「ムーンティアラ・アクション」への連携パターンと同じものです。

1.         アニメ版においては、敵にトドメを刺すのは必ずセーラームーンの役どころとなっており、他の戦士がそれをする事はほとんどありませんでした(←全くない事もなく、たとえば『ダーク・キングダム編』では、マーズ登場編や最終決戦などが例外)。しかし、原作では他の戦士達も、満遍なくしっかり敵を倒してるんですな。

2.         で、今回改めて原作を読み返してみたら、ナンとっ、それにも関わらず、『ダーク・キングダム編』における原作のマーキュリーは、単独では、ただの一度も敵を攻撃していないじゃありませんかっ!(←敵を倒してないどころの騒ぎじゃなくて、それ以前に、全く攻撃自体をしておりませんっ!)。要するに、セーラームーン以外の戦士が普通に敵を倒す原作においてすら、マーキュリーはアニメ版同様、『ダーク・キングダム編』においては、攻撃系の技を持ってなかったんですな。

3.         なので、原作のマーキュリーは、セーラームーンを除いた4戦士による「セーラー・プラネット・アタック」で合体技を放つ以外に、攻撃参加するシーンは一つもなく、「シールドを作るわ! このままじゃ このへん 一帯 ふっとんじゃう! ――超次元空間 現出!!」と言うような守備的役割と、ひたすらブレーン的な役割に徹してるんです(←「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)、及び、「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       そこで、ついでに、実写版における他の戦士達の必殺技の一覧表を作ってみましたところ、以下のようになりました(←ただし、劇中で正式な技名が出てこない牽制技その他に関しては、割愛させて頂きました)(↓)

―マーズの必殺技―

初出Act.

実写版オリジナル

1.妖魔退散

Act.3

2.悪霊退散

Act.4

×

3.バーニング・マンダラー

Act.48

×

―ジュピターの必殺技―

初出Act.

実写版オリジナル

1.しゅーぷりーむ・さんだー

Act.6

×

2.ふらわー・はりけーん

Act.8

×

3.じゅぴたー・さんだー・ぼると

Act.26

―ヴィーナスの必殺技―

初出Act.

実写版オリジナル

1.ヴィーナス・ビーム(←これは外せん…)

Act.12

2.ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン

Act.18

×

3.ローリング・ハート・バイブレーション

Act.46

×

―セーラームーンの必殺技―

初出Act.

実写版オリジナル

1.ムーンティアラ・ブーメラン

Act.1

2.ムーン・ヒーリング・エスカレーション

Act.1

×

3.ムーントワイライト・フラッシュ

Act.2

×

       ※ これらの実写版の全必殺技の中で、原作の『ダーク・キングダム編』以降のものから採用されたのは、「シャイン・アクア・イリュージョン」「バーニング・マンダラー」だけです。

       ※ 実写版の「ヴィーナス・ビーム」は、関連書籍で公開されてる正式名称ですし、ナンと言ってもゾイサイトを秒殺した必殺技ですからな…。

       これを見ても分かる通り、マーキュリーの5つ(←しかもほとんど実写版オリジナル)と言うのが、いかに例外的な扱いであるかが分かりますな…しかしそれにも関わらず、やっぱりマーキュリーは、接近戦も含めて攻撃力が一番劣ってるような描かれ方をしてたシーンが、随所で見られましたね(←ナンか…、実は実写版のマーキュリーも、原作・アニメの『ダーク・キングダム編』同様、実際は攻撃力はないんだけど、でも、『アニメ版のマーキュリー信者』対策で、そう見えないようにカモフラージュしなきゃならなかったかのような…)。

       セーラームーンは倒れながら、「みんなっ!…」と叫びます。

       「うっ…!」…マーズは立てず…、

       「うっ…!」…マーキュリーも立てず…、

       「うっ…!」…ジュピターも立てません…。

       「……まもる…、ホントに、もう……。エンディミオンが、再びセーラームーンの方に向き直り、ゆっくりと歩を進めます。

       セーラームーンが横座りの状態から起き上がろうとしたその時、セーラームーンの手に、エンディミオンの剣が触れます…「!…」「!…」「!…」…その瞬間、セーラームーンの中で、地場衛の言葉がフラッシュ・バックします…

      「うさぎ?……、もしまた、星を滅ぼそうとするヤツが現れたら、お前が倒すんだからな」

       「はっ…! …まもるは…、最初から…、そのつもりで……」…セーラームーンは、手に触れたエンディミオンの剣を見つめます…「無理だよ…! できる訳ないじゃん!」…セーラームーンは、ばっ!と両手で地面を叩きます。

       セーラームーンがゆっくり顔を上げると、その視線の先には、尚も立ち上がって『メタリア・エンディミオン』を阻止しようと戦いを挑むマーキュリー、マーズ、ジュピター達の姿が……しかし3人は、接近戦でもボッコボコに返り討ちにあっております。

       ジュピターのパンチが空を切り、しゅっ!…キックは当たるものの、ばしっ!…全く効かずにカウンターパンチを食らい…ばきっ!「あ゛っ!」…、

       マーキュリーがケリを食らった上に殴られ…どかっ!ばしっ!「あっ!」…、

       マーズが首根っこつかまれてぶん殴られ…ばしっ!「うっ!」…。

       「あっ…!」。…その時、セーラームーンの心の中で、地場衛が語りかけます…

      「うさぎ、…やるんだ…!」

       セーラームーンは首を横に振ります…。

      「うさぎっ、忘れたのか…!」

       その時、セーラームーンの横に、地場衛の幻影が現れます…「!…」

      「オレ達は星を滅ぼす訳にはいかない…!」

       「だけど……!」。そう言ってセーラームーンが『メタリア・エンディミオン』の方に視線を移すと、『メタリア・エンディミオン』が剣波を放ち、どかーんっ!「あっ!」…それを食らったマーキュリーが吹っ飛ばされ、変身が解けて地面に倒れてしまいます…ばたっ!「あぁっ、…うっ…!」

       「亜美ちゃんっ!」

       続いて、同じようにマーズとジュピターも剣波を食らって、どかーんっ!「あっ!」どかーんっ!「あっ!」変身が解けて地面に倒れます…ばたっ!「うっ…!」ばたっ!「うっ…!」…みんな顔中が泥だらけの傷だらけです…。

       「レイちゃんっ、まこちゃんっ!」

       「仲間を…、この星を守れ!…」…そう言うと、地場衛の幻影が消えます…。

       「…………」。セーラームーンの視線の先では、『メタリア・エンディミオン』を三角形に囲むような位置で、亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんが倒れてます。すると、『メタリア・エンディミオン』は、その3人の中から、まず最初に、亜美ちゃんにトドメを刺さんと歩み寄って行きます。

       ワシはこの時、どうしても、『メタリア・エンディミオン』の中の地場衛が、わざと亜美ちゃんを選ばせたのではないかと思えて仕方がないんですな…『うさぎっ、ナニをしているっ、早くコイツ(オレ)を倒せ!』と言おうとして…。

       その気配を感じて、亜美ちゃんがゆっくりと顔を上げ、『メタリア・エンディミオン』に向けて、恐怖を抑えようとするようなまなざしで見据えます…「!……『私が怖がってる姿を、うさぎちゃんに見せちゃいけない…!』

       『メタリア・エンディミオン』が立ち止まって剣を振りかざしたその時、「だめっ!!」というセーラームーンの叫び声が、『メタリア・エンディミオン』の動きを止めます。

       『メタリア・エンディミオン』が振り向くと、その視線の先には、セーラームーンがエンディミオンの剣を持って立ってます(←剣先は地面についたまま…)。しかし、セーラームーンは泣いていて、手で涙を拭うと、「…どうして……!」

       『メタリア・エンディミオン』は、そんなセーラームーンを憎々しげに見やると、亜美ちゃんに向けて振りかざしていた剣を下ろし、セーラームーンの方に向きを変えます。

       セーラームーンは、手にしたエンディミオンの剣に視線を向けながら、「…ひどいよ…、もう我慢しなくていいって…言ったじゃん……

       セーラームーンは、エンディミオンの剣を握る手に力を込め、また前を向くと、「明日から…、好きなだけ会えるって、言ったじゃない…!」

       すると、『メタリア・エンディミオン』がゆっくりとセーラームーンに向かって歩き出します(←ちょっとガニ股ぎみに…)。

       するとセーラームーンも、『メタリア・エンディミオン』に向かって、一歩一歩、ヨロヨロとした足取りで、ゆっくりと歩き始めます…エンディミオンの剣先を、地面に引きずったまま…泣き続けながら…。

       それを見て亜美ちゃんが、うさぎちゃん、ダメっ!…今のうさぎちゃんには耐えられないよっ!…壊れちゃうよ……と叫びますが、もう、そう言うのが精一杯で、起き上がるコトもできません。

       まこちゃんとレイちゃんも、声すら出せないような状態で、ただ苦しそうに見守るばかりです…。

       セーラームーンは、泣きべそをかきながらもゆっくりと歩を進めます…。

       一方の『メタリア・エンディミオン』は、歩く速度が速くなってます…。

       両者の距離が徐々に縮まっていきます…。

       「…まもる……」。…ここで、Act.36のデート・シーンが回想されます…

      …二人が手をつないで楽しそうに商店街を歩いてるところ…

      …ベンチに並んで座って、うさぎちゃんが地場衛の肩に頭をもたれて甘えてるところ(←ムーンフェイズの懐中時計をもらった直後ですな…うさぎちゃんが一番幸せだった時です…)…

       …セーラームーンは依然としてゆっくり歩き…「…私達……」

       『メタリア・エンディミオン』がうなり声を上げながら剣に気を溜めます…

       「最初から……」

       『メタリア・エンディミオン』が剣波攻撃を放ちます…

       …それがセーラームーンの背後に着弾し、どかーんっ!ばーんっ!どかーんっ!…前方にも、どかーんっ!ちゅどーんっ!…しかしセーラームーンは、泣きはらしつつも、まるで何事もないかのように、歩みを止める事なく進んでます…。

       セーラームーンは一度立ち止まると、片手で引きずってたエンディミオンの剣を両手で持ち、『メタリア・エンディミオン』に向けて振り上げようとしますが、やはりためらってしまい、剣を持ち上げる事ができません…。

       すると、そこへ、またしても地場衛の幻影が現れ(←って、今度の幻影はめちゃめちゃ実体ですが…)、セーラームーンの手に自分の手を添えて、優しく微笑みかけます…。

       セーラームーンは、そんな地場衛を見上げると、悲壮な表情でうなずきます…。

       ※ アニメ版の『ダーク・キングダム編』の最終決戦は、『プリンセス・セレニティ』『メタリア・ベリル』の一騎打ちでした。その時も、『メタリア・ベリル』に向けてスティックを構える『プリンセス・セレニティ』に、4人のセーラー戦士の幻影が手を重ね合わせて力を与えてるんですね。一方原作では、4人は変身ペンを投げ出す事で「命のパワーすべて ささげ」、その結果絶命してましたし(←※ただし、はっきり死んだとは表現されておらず、それに等しいような描き方に留めてたようでしたけど…)、エンディミオンの方は、心身ともに生き返ってセーラームーンに力を与えてました。

       実写版は、このように、大筋では原作をベースにしながら、そこに、アニメ版のオリジナル要素も巧みに融合しつつ、独自の設定と解釈を加味してまとめ上げてるシーンが多いですね。

       二人は『メタリア・エンディミオン』に向けて、剣を真っ直ぐに構えます…。

      …ここで、セーラーヴィーナスの天使バージョンが出て来て、セーラームーンに語りかけます…「星の運命を変えて…」

       もしもヴィーナスが生きていて、この戦いの場にいたら、もしかしたら、前々回に完成した合体技「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」で、『メタリア・エンディミオン』を倒せてた可能性もあったんじゃないでしょうか?

       ただし、ここでは、3人が駆け付けた時には、すでにセーラームーンのスティックは砕かれて消えてしまってますから、仮にヴィーナスがいたとしても、「ムーンライト・アトラクティブ・アタック」の発動は不可能な展開にはなってる訳ですが、いずれにせよ、このシーンにおけるヴィーナスの不在は、マーキュリー、マーズ、ジュピターの3人の意識を、『セーラームーンをエンディミオンと戦わせない』事に向けて統一させると言う意味では、必要不可欠な不在だった事は間違いないでしょう。なぜなら、ヴィーナスなら、他の3人とは違って、セーラームーンに『エンディミオンと戦うのよっ!』と指示してるはずだからです。かつて、ダーキュリーを相手に「戦いなさいっ!」と言ったように…。つまりそれが、このシーンに挿入された「星の運命を変えて…」の語りかけになってる訳ですから、このヴィーナスがこの場にいたら、明らかに3人の行動とは意思統一が図れない訳です。

       そう言ったところが、あくまでもうさぎちゃんをうさぎちゃんと考える3人と、前世の記憶ゆえに、どうしても「プリンセス、うさぎ」「プリンセスである…うさぎ」と、この両者を切り離せないヴィーナスとの違いとして、浮き彫りになってくるのではないでしょうか。

       …地場衛の幻影も消え、一人で剣を真っ直ぐ構えて立ち尽くすセーラームーン…。その瞳から流れる涙が、エンディミオンの剣に落ちて、きらりんっ!と弾けて輝きます。

       『メタリア・エンディミオン』がセーラームーンを睨みつけます…。

       レイちゃんは、『ダメっ!』と言わんばかりに首を横に振りますが、やはり声も出せないほど、もはや起き上がる力も残ってません。

       まこちゃんは、懸命に起き上がろうとしてますが、やはり起き上がれません。

       亜美ちゃんは、半ば観念したかのように、目を見開いて、目の前の状況を凝視してます…「!……」

       セーラームーンの構える剣が、涙を弾いて光り続けてたのがようやく収まると、『メタリア・エンディミオン』が剣を振り上げて構えます。

       「まもる…」。…ここで、Act.43のデート・シーンが回想されます…

      …夜の砂浜に並んで腰を下ろし、笑みを湛えて海を見つめてる地場衛の顔に、うさぎちゃんが微笑みかけてるところ(←この時は、二人の笑顔とは裏腹に、悲しい決意の始まりでしたなぁ…)…

       「…………」

       『メタリア・エンディミオン』が、振り上げた剣に力をみなぎらせて振り下ろそうとしますが……

       ワシはこの時、どうしても、『メタリア・エンディミオン』の中の地場衛が、懸命に『メタリア・エンディミオン』の動きを封じ込めるように働きかけていたのではないか?と思えて仕方がないんですな…『うさぎっ、今だっ、やれっ!』と…。

       …するとセーラームーンは、「まもるっ!」と叫んで駆け出します…。

       そしてその間、『メタリア・エンディミオン』は、振り上げた剣を、何度も振り下ろそうとしたり、また振り上げようとしたり……

       そしてついに、セーラームーンが『メタリア・エンディミオン』の目の前まで来た時、『メタリア・エンディミオン』も、今度こそ剣を振り下ろそうとしますが……

       「やめろっ!」。…まこちゃんは最後の力を振り絞って叫びます…(←しかしこれは、セーラームーンに言ったのか、それとも、剣を振り下ろそうとした『メタリア・エンディミオン』に言ったのか?)…

       「!……」。…亜美ちゃんは呆然と見守るばかりです…

       「!……」。…レイちゃんは思わず目を伏せてしまいます…

       セーラームーンは『メタリア・エンディミオン』目掛けて突き進み、ついに彼の腹に剣を突き刺します…

       「!!…」ぐさっ…!!

       『メタリア・エンディミオン』の剣は、最後まで振り下ろされる事はなく、彼の手から離れて地面に落ちます。

       『メタリア・エンディミオン』の腹から、ピンク色とオレンジ色の光が左右に放出され、そのまますべてが真っ白に包まれていきます…………

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、いよいよ最終回だっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2009年9月19日(土)初稿 トモロー]


Final Act:最終回

 

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     今回レビューしたAct.48は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第12巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第12巻 作品本編(5話収録)

 

Act.45 Act.46 Act.47 Act.48 Final Act

毎回映像特典(12分)

 

「セーラームーン」におしおきよ

スペシャル座談会

@小林靖子インタビュー

Aセーラー戦士座談会〜1年間を振り返って〜その4

Act.48 ゲストキャスト

 

黒木ミオ:

有紗

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アクション:

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