―実写版セーラームーンを検証する―


Act.45:ジュピターvsメタリア妖魔編――

 

       本稿は、2004年8月21日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第45話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       セーラー解説は人型ルナ…。

       「なぜか前世を嫌っているレイちゃんが、まこちゃんやヴィーナスと対立」(←ルナ目線でも、自分と亜美ちゃんはレイちゃんとは「対立」してない…「対立」はしてないが、「なぜか」と言う疑問は抱いている…それが「まこちゃん「や」にニュアンスとして込められている…)…「ついにレイちゃんがクラウンを出て行くコトになってしまったの…」

       「…あたしが前世を受け止めてないなら…、あなたは…、今を受け止めてないんじゃない?」「!……」

       レイちゃんが出て行き、がちゃん…とドアを閉める音だけが鳴り響く中…、人型ルナ、まこちゃん、亜美ちゃんが、おもむろに美奈子に向かってとした視線を投げかけます…

       「残ったあたし達が、ヴィーナスと一緒に戦うコトになったんだけど…」

       「早くプリンセスをっ!」。ヴィーナスはそう言ってセーラームーンの援護に走りますが、ところが次の瞬間、突然いつもの片頭痛に襲われて、左手で頭を押さえながら、「うっ…!」と立ち止り、その場に倒れ込んでしまいます…

       「ヴィーナスが…」

       「うっ、…うっ…」

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       ここから今回のエピソードに入ります…。場所はAct.11〜12でも入院した「港区立 十番病院」…。

       まこちゃんが病院の廊下にいます…美奈子が入院してる病室のドアの前で、そのドアをじっと見つめながら立ち尽くしてます…「…………」(←この服は、前回クラウンに美奈子が初登場した時に着てた服ですから、あれから日付が変わってません)。

       ちなみに、美奈子は芸能人でトップアイドルですから、当然、いつも個室にしか入院しません。で、この個室のドアの横の名札なんですが、これ、ちょっとハッキリとは読み取れないんですけど、ナンとなく「斉藤菅生」って書いてあるような気がするんですよねぇ…(←漢字4文字であるコトは間違いないので、少なくとも「愛野美奈子」でないコトだけは間違いありません)。Act.11の時も、騒ぎを避けるためにここの病院名を伏せてた位なのですから、まさか、病室の名札に堂々と「愛野美奈子」と入れる訳にはいかんでしょうからね。

       そこへ、亜美ちゃんがあとから駆けつけて来ました…「まこちゃんっ、美奈子ちゃんは!?」(←亜美ちゃんの服も同じです)(←亜美ちゃんは、このシーンでは単にTPOをわきまえてるだけなのかもしれませんが、変身してない時はあくまでも「美奈子ちゃん」と呼ぶようですな)。

       て言うかその前に…、あ…、あ…、亜美ちゃんの…、亜美ちゃんの髪型が元に戻ってるっ!(←いつものように後ろも結わいているっ!)。

       「いま診てもらってるんだけど、ちょっと普通じゃないっぽいんだよね…」「ええ?!……」

       するとそこへ、看護婦さんが二人、医療用のワゴンを押して美奈子の病室に入って行きます…。「!…」。一人目のワゴンには、点滴の道具やら医療器具の箱やら薬のビンやらがたくさん乗ってて、もう一人の方は、これは「心電図」か、もしくは、「超音波画像診断装置」とか言うやつでしょうか? ちょっと分かりませんが、そのような物を運び込んでおります。

       亜美ちゃんはそれを見送ると、「そうみたいだね…」(←さすが将来は「ママみたいなドクターになる」事を目指してるだけあって、これを見ただけであらまし事態の察しがつくんでしょうなぁ…)。

       「前も倒れたコトあったし…」(←これは、Act.35の「MINAKO AINO RAIMBOW TOUR 2004 SUMMER」「緊急ライブ」での一件ですね)。

       「……あ、でもうさぎちゃんには、一応大丈夫って連絡しておくね」「その方がいいか…、心配しすぎるだろうし…」「……うさぎちゃんは、他に大変なコトがあるから…」

       うさぎちゃんは、Act.41では自分のせいでなるちゃに怪我をさせてしまい、さらにAct.42では、それで入院したせいでなるちゃんまで「抜け殻」みたいにされちゃって、おまけに、Act.43で亜美ちゃんも言ってたように、(「やっぱり、エンディミオンのことがあるせいだよね…」「う〜ん…命が危ない訳だから…」)なんてコトにまでなっちゃってて…、そんな状況なのに、その上さらに、大ファンでもある美奈子が「ちょっと普通じゃないっぽい」なんて言ったら、確かにその精神的負担は大きすぎるでしょうなぁ…)。うさぎちゃんにとっての「大切なもの」が、三つも命の危険にさらされてて、しかもそれが、みんな自分のせいだなんて…。

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       こちらは、その「うさぎちゃん」…。

       道を歩いております…ケータイで、亜美ちゃんからの「連絡」を受けているようです…「疲れ?…じゃあ、前と一緒なんだ…」(←うさぎちゃんも前回と服が一緒ですから、これはゾイサイトを看取ったあとの帰り道ですね)(←しかし、なぜかバッグには、ぬいぐるみルナが入ってますな…)(←てコトは?…前回ルナとアルテミィ〜スはバトル現場には姿を見せてませんでしたが、おそらくルナの方は、セーラームーンがゾイサイトを看取った現場の方へ駆けつけて、あのあとセーラームーンが、ヴィーナスが倒れた現場に戻らないで済むように、取り計らってたんでしょうな…)。

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       こちらは亜美ちゃん…病院の外に出て、ケータイをかけてます…「うん、休めば、大丈夫みたい…」

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       「そっかぁ…でも、私も行くよ? どこの病院?」

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       「…あ、今日は、静かにしてあげた方がいいみたい…。私たちも帰るから…」

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       「…そうなの…?」

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       「うん♪…じゃ、」

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       「…うん……あ♪、あした」ぷつっ!(←いきなり電話が切られる…)「!………」ぷー、ぷー、ぷー、…うさぎちゃんは、ちょっと驚いたようにケータイを見つめます…。

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       「……」…亜美ちゃんが、このタイミングでケータイを耳から離してます…つまりこれは、うさぎちゃんが何かを言おうとしたのを知ってて、わざと気付かない振りして、電話を切ったんですね…「…………」

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       「…………」。うさぎちゃんは、しばらくしてからぴるんっ!とケータイを切ります…。すると、ぬいぐるみルナが、「ヴィーナス、大丈夫だって?」「…うん……でも…、…ナンか…『亜美ちゃんの様子が…』

       このケータイでのやり取りの中に、普段、うさぎちゃんと亜美ちゃんが、日常的にどう言う電話のやり取りの仕方をしてるのかが垣間見えますな…。 

1.       つまり、緊急のセーラー業務でのやり取りは別にして、この2人が日常的に電話のやり取りをする時、亜美ちゃんは、決して自分からは先に電話を切らないタイプなんです。

        ワシもかつてそうだったのですが、特に、「好きな人と電話した時、相手が先に切るまで、自分からは絶対に切らない…」…で、もしも双方がそう言うタイプだと、「そっちが先に切れよ…!」、「そっちこそ…!」と、延々アホみたいにイチャついてしまい、結局、「じゃあ、同時に切ろうか? いっせーのぉ、せっ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ナンで切んないんだよっ!」、「そっちこそっ!」(←ってオマエら死んでしまえ〜っ!)…などと言う経験すらある…(←ってそれはどーでもいいか…)。

2.       Act.14で、亜美ちゃんが月野家のうさママに電話した時もそうでした。うさママは用件が済んだらさっさと先に電話を切るタイプで、亜美ちゃんはそれを確認してから電話を切るタイプなんです。

3.       おそらく、うさぎちゃんと亜美ちゃんの電話のやり取りも、基本的にはそうなんですね。だから、このシーンでも、亜美ちゃんはいつものように、「うん♪…じゃ、」と言ってから、うさぎちゃんが「…うん……」と答えて先に切るのを待ってたんです。ところが、その直後にうさぎちゃんがいきなり「あ♪、あした」と続けて来たので、思わずそこで、慌てて先に切っちゃったんですね(←その「あした」と言うのは、実は登校日のコトなんですな)。だから、うさぎちゃんは、そんな亜美ちゃんの態度を『アレ?』と思う訳で、逆に亜美ちゃんの方も、『やっちゃった…』と思う訳です。

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       美奈子の病室の中…。

       美奈子は点滴を受けながら、静かに眠っており、苦しんでる様子はないようです…。

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       そのドアの外では、まこちゃんがさっきと同じように、一人でドアの前に立ち尽くし、じっとドアを見つめております…「…………」(←現世組のうさぎちゃんと亜美ちゃんが距離を離していくのに対して、前世組のまこちゃんと美奈子が距離を縮めていく…と言う、そんなコントラストが浮かび上がってきます…)。 

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       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

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       オープニング開けは、ダーク・キングダム(←一応データ的にメモっておくと、お城にカラスが飛んでおりました…)

       ゾイサイトのピアノ部屋に、ジェダイトくんがやって来て、『弾き手』を失ったピアノのフタを開け、鍵盤を一つ、ぽ〜ん♪と鳴らします…。そのあとジェダイトくんは、ゾイサイトばりに「月光の曲」を弾き始め…(←って違うか…)…、すると、前回ゾイサイトが『メタリア妖魔U』に串刺しにされたシーンが挿入されます…

1.       ぐさっ! ゾイサイトの表情が急変します…「アァッ……!!」

2.       見ると、『メタリア妖魔U』の胸から6本もの剣が飛び出し、ナンと、ゾイサイトの上半身を串刺しにっ!! 『メタリア妖魔U』剣をシャキンッ!と引き抜くと、ゾイサイトは「う、…う…!」その場に倒れ込みます…

3.       …ゾイサイトは、白い光に包まれて…

       「クンツァイト…、ネフライト…、ジェダイト…」

4.       …やがて石となって宙に浮き、セーラームーンが両手を差し出すと、その手の上に落ちます…

       「…もう一度…マスターの、もとへ…」

5.       …それから真っ二つに割れると、粉々に砕け散って、きらきらと光の粒になりながら、消えて行きます…。

       ジェダイトくんは、そっとピアノのフタを閉めます…「……『結局、オレのネコふんじゃったは聴いてもらえなかったな…』。ジェダイトくんはその場から立ち去ろうとしますが、ふいに前を見て立ち止まります…「!……マスター…!」

       そこに、地場衛が胸を押さえながら、ヨロヨロと入って来ました。地場衛はピアノに手を触れながら、「…ゾイサイト……『こんな姿になっちゃって…』「…『マスター、それゾイサイトじゃなくて、ピアノですよ?』。ジェダイトくんがそう言い残してまた去って行こうとすると、地場衛が「ジェダイト!…『どうりで黒すぎると思ったよ…』…ジェダイトくんが立ち止まると、「お前も…ゾイサイトの最期の声を聞いたのか?」「でもオレは!」「わかってる……『童貞なんだろ?』「…『ゲッ、なぜそれを…』「ネフライトも『バカだから』記憶は戻っていないし…」(←おおっ! やっぱりかっ!)…「クンツァイトは…………ベリルの手から離れるために……」…ここで、前回のクンツァイトの切腹シーンが挿入されます…

1.       クンツァイトが剣先を自分の腹に当て、一気に突き刺します…「…クッ…うっ…うぅ…う゛あ゛ああああああああああああああああっっっっ…………!!!!」

2.       …その傷口から、「ベリルの呪縛」を意味する黒紫の花びらが吹き出します…

3.       …その後、儀式の祭壇の周りには、黒紫の花びらが落ちているだけで、クンツァイトの姿はどこにも見えません…(←やっぱり、『プリンセスのハープ』が聞こえないんで、失敗したか?)…

       …地場衛が「うぅっ…!」と胸を押さえると、ジェダイトくんは「!…『やべ、オレが埋め込んだ石が…!』みたいに地場衛を見ますが、ところが、地場衛の口から出てきた言葉は、「…辛いのは…お前たちの方だな…」。しかしそれを聞いてジェダイトくんは、「……『もうそんな言葉には惑わされないぞ…!』みたいに、さっさと部屋を出て行きます。すると、地場衛は急に痛そうにして胸を押さえながら、「うわぁぁぁぁ…!」とその場に膝をついてしまいました(←ナンですか? いきなりうさぎちゃんのコト考え始めちゃったんでしょうか?)。

       ところで、やっぱり地場衛は、Act.40でクラウンのネフライトに会いに行った時、『ネフライトの記憶が戻ってるかどうか』を確かめに行ってたんですな。で、もしも記憶が戻っていて、マスターに対する忠誠心も戻っていたなら、もう四天王時代の力はないとしても、ちょうどクラウンにいる事だし、うさぎちゃんを守るための何らかの手助けをして欲しかったんじゃないでしょうか? そうすれば、少なくともネフリンは、『ベリルへの復讐』などと言う私怨にとらわれて生きていかなくても済んだはずだからです。

       つまり、「辛いのは…お前たちの方だな…」と言うのは、ジェダイトくんにせよ、ネフリンにせよ、あるいはクンツァイトにせよ、彼らが考えてるのはそれぞれ自分個人の自己満足だけなんですね。人は決して、自己満足だけで完結するような人生を生きてはいけないんです。ジェダイトくんは記憶が戻ってるとは言え、おそらくそれは完全なものではないはずです。だからこそ『二人の「あるじ」の間で揺れ動いてた訳で、それで、結局は「ベリルについた」はずだったのに、こうして、ゾイサイトの死に対しても感傷的になったりする訳ですからね。そんなジェダイトくん達に比べれば、地場衛も、ゾイサイトも、『本当に守るべきもの(=本当に愛する他者)』のために一切の迷いがない訳です。迷いがなければ、どんな過酷な状況下に置かれていても、決して『辛く』はないんですな。

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       こちらは『エンディミオンの部屋』…。

       地場衛の寝室の壁の絵に、ナニやら、白い幽霊の影のようなものが浮き出てきましたが…(←穴じゃなかったのね…)。それを見て、黒木ミオがタメ息まじりに、「衛くんももうダメかぁ…」と言ってベッドにバン!と腰を下ろし、脚を前に伸ばしてバタつかせながら、「ナンか面白くなくなっちゃったなあ…」と言ってます。で、そのあと、「♪…『あ…♪そうだっ』と、ナンかロクでもないコトを思いついちゃったみたいで、悪戯っぽくニヤリと笑います…(←ヒマなんだろうなぁ…)。

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       こちらは「メタリアの部屋」…。

       いきなりメタリアが異様に光を放ち始めます…(←うさぎちゃんがナニかした訳でもないのに…)。これは、いよいよクイン・メタリアが目覚めようとしているのでしょうか? ベリル様はその異変に気付いて振り向くと、メタリアに向かって、「クイン・メタリア!…この星はわらわのもの! 滅ぼすことは許さぬ!!」と言います…。

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       こちらは『メタリア妖魔U』…。

       月夜の晩に、どこだかの森か林の中で、『メタリア妖魔U』が雄叫びを上げております…。どうやら、ダーク・キングダムのクイン・メタリア本体が目覚め始めたのと反応し合ってるようですな…。

       う〜む…、それにしても分からん…、そもそも「クイン・メタリア」が一体ナニを考えてこの世に存在しておるのか?…全くもって分からん…。いくら「大いなる悪」だからって、星を滅ぼしちゃって一体ナンの得があると言うんでしょうか? 「悪」なら「悪」らしく、オーソドックスに『世界征服』と言う野望を最終目標に精進すべきではないのか? 星ごと滅ぼしちゃったら、ナンも残らんじゃないか?! 「クイン・メタリア」だって、曲がりなりにも女なら、世界中のイケメンをはべらして、ウハウハな女王様人生を送りたいとは思わんのか? それじゃナニが楽しくて「悪」をやってるのか全く分からんじゃないかっ!

       …と言う訳で、ここでちょっと、そもそも「クイン・メタリア」とは何ぞや?と言う問題について、今一度整理し、考察してみたいと思います…。

       ※ まず、原作においては、この「クイン・メタリア」は、当初「わが大いなる支配者」と言う表現のみで語られており、それは早くも、「Act 1において妖魔の口から語られるコトで登場し、さらに、「Act 2においてクイン・ベリルの口から語られるコトによって、『大ボス』としてその存在が明らかにされます。それ以降、毎回必ず、「わが大いなる支配者」と言う表現のみで言及され続けてきました。で、その「わが大いなる支配者」が、初めて「クイン・メタリア」と言う正式名称と共にその姿を現すのは、「Act 7 地場衛―TUXEDO MASKにおいてです。その際、クイン・ベリルとクイン・メタリアの間で、以下のようなやり取りがありました(↓)

―旧版―

―新装版―

クイン・ベリルが『メタリアの部屋』に行き、「わが おおいなる支配者――クイン・メタリアよ めざめよ 至福のエナジー いまここに ひとときの復活を」と、うやうやしくひざまずきながらエナジーを捧げる…。

※ 「めざめよ」「目覚めよ」

すると祭壇の遥か上に、クイン・メタリアがシュウウウと姿を現し(←どす黒い影のような姿で、目も口もある)、「……おおお…… ……はやく… はやく「幻の銀水晶」を……! わたしによこすのだ……! エナジーでは たりぬ……! お おお……」

※ 「たりぬ」「足りぬ」

クイン・ベリル:「クイン・メタリア あなたがおっしゃったとおり TOKYOじゅう さがしております わが配下 四天王を使い 世界じゅう さがさせました しかし いっこうに手がかりは…… ――のこるは TOKYOだけ」

クイン・ベリル:「クイン・メタリア わが配下 四天王を使い 地上のすべてを さがしております しかし いっこうに手がかりは… ――残るは 日本の地のみ――!」

      旧版では「TOKYO」にまで絞り込んでたのに…(←新装版の四天王の方が使えんらしい…)。

クイン・メタリア:「感じる…… この 深い地の底にいても 地上に感じるぞ そのパワーを……」

※ 同じ。

クイン・ベリル:「見つからないのです! それに 戦士が あらわれ ジャマを……!! 「幻の銀水晶」 すでに あやつらが 手にした可能性も……!」

※ 「ジャマ」「邪魔」

クイン・メタリア:「おお…戦士だと!? はるか いにしえに この わたしをほうむった あの いまわしい王国の手の者が…… もしやよみがえったのか いま また このわたしを ふうじこめるために? そんなコトはさせぬ……! あの いまわしい 月の王国をつぐものを 目ざめさせるな! ねじりつぶしてしまえ! 「幻の銀水晶」を うばいとるのだ――! 」

      「いにしえに」「古(いにしえ)の」

      「ほうむった」「葬った」

      「いまわしい」「忌(いまわし)い」

      「よみがえった」「甦った」

      「ふうじこめる」「封じる」

      「つぐ」「継ぐ」

      「目ざめ」「目覚め」

      「うばいとる」「奪い取る」

クイン・メタリア:「このわたしが あの石を 手に入れ 復活するのだ このわたしが復活し 地上をふたたび わが世とするために なんとしても必要なのだ あれが……!」

「こんどこそ…… この星を…… この世のすべてを…… ククク……」

クイン・メタリア:「今度こそ 復活するのだ この星を ふたたび 手にするために 必要なのだ あの石が」

――こんどこそ この星を この世のすべてを…… ククク……」

…等々とメタリアから命令を受けたあと、クイン・ベリルは部屋から出て来てこう言います…「見るたびに どす黒く 巨大になってくる あの お方……」

※ 同じ。

「いまはまだ動けぬ あの方を ほんとうに目覚めさせてしまったら ――この星を くらいつくしてしまうかもしれぬ」

――クイン・メタリアを 真に目覚めさせたなら――この星を くらいつくしてしまうかもしれぬ」

      以上、「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より

 

       このように、原作の「クイン・メタリア」は、どす黒い巨大な影のような姿をしていて、ほとんど顔しか描かれませんが、目も口もあって、ちゃんと言葉をしゃべります。これを見ても分かるように、原作のクイン・ベリルも、自分の『世界征服』の野望のために、あくまでもメタリアの力だけを利用しようとしており、したがって、今の段階で完全にメタリアが目覚めてしまうコトについては懸念してるんですね。

       上記のシーンは、現世に復活してきた「クイン・メタリア」ですが、前世においての「クイン・メタリア」のルーツついては、「クイーン・セレニティ」「Act 10 MOON―月次のように説明してます(↓)

―旧版―

―新装版―

「あの年

「あの年

…… 太陽の活動がやけに活発だった

父なる太陽の活動が 異様な活動期に突入し 太陽は それまで見たこともない 異様な輝きを放った――

あの異様な太陽が 災いを もたらしたにちがいない――

あの異様な太陽が 災いを もたらしたのです――

――地球に いつのまにか入りこみ 地球を わがものにしようとした ――「あいつ」

――地球に進入し 美しいあの星を わがものにしようとした異形の者

あなたたちの敵 あれは まさに 悪魔(サタン)なのです

――あの生物は まさに 人の敵 いいえ すべての敵 悪 そのものなのです

巨大なパワーをもつ「幻の銀水晶」に目をつけ 長寿であるわたしたちにあこがれる 人間の心につけこんだ そして

無限で 神秘の力を秘めた月の聖石「幻の銀水晶」の支配までも もくろみ 人の心の奥底の暗黒を利用し

人々をあやつり 月まで せめてきた」

人々をあやつり 月まで せめてきた――

      以上、「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より

 

       「クイン・メタリア」は、ダーク・キングダム・サイドでは「わが大いなる支配者」と表現されてましたが、月の王国サイドでは、このように、「まさに 悪魔(サタン)」「悪 そのもの」と、兎にも角にも「悪」を強調してます。このような「クイン・メタリア」の基本概念に関しては、アニメ版においても、細かな違いこそあれ、ほぼ同じと言って差し支えありません。

       さて、問題は実写版の「クイン・メタリア」ですが、こちらはAct.19で初めて姿を現しましたが、原作・アニメとは姿かたちが全く違い、生き物を思わせるような要素は一つもなく、何か、『地中から出現した巨大な鉱物の塔』みたいな風貌です。しかも呻き声を上げるだけで言葉は一切しゃべらないので、ベリル様と意思の疎通を図るようなシーンもなく、なので実写版のベリル様は、原作・アニメのクイン・ベリルとは違い、メタリアに対してかしずくような仕草もなければ、敬語も一切使いません。さっきも、「クイン・メタリア!…この星はわらわのもの! 滅ぼすことは許さぬ!!」と、完全に『タメ語』で、上下関係など端から存在してないかのようです(←ナンと言うか、まるで、ティラノサウルスを現代に蘇らせて、飼い馴らそうとして失敗しちゃったジュラシック・パークのオーナーみたいな…)。

   

       原作においては、早くも「Act 1」「わが大いなる支配者」として言及された「クイン・メタリア」ですが、しかし実写版においては、「クイン・メタリア」について初めて言及されるのはAct.6と遅く、つまり、ここに至って初めて、ベリル様の上に『大ボス』らしき存在がいるコトが明かされる訳です。しかも実写版では、その言い方も「わが大いなる支配者」ではなく、「大いなる悪」とだけでずっと表現されてました。この「大いなる悪」と言う言い方は、まさに、原作におけるダーク・キングダム・サイドの「わが大いなる支配者」と、月の王国サイドの「悪 そのもの」を、ちょうど足して2で割った言い方であり、いかにも実写版らしくて意味深です。つまり実写版では、ダーク・キングダム・サイドですら、「クイン・メタリア」を最初から「支配者」として崇めてはおらず、相手は知的生命体と言うよりは、単に『悪意を持った破壊物質』、あるいは、『星に巣食う巨大ウィルス』のようなモノととらえており、だからベリル様は、メタリアに対してかしずきもしなければ敬語も使わないんです(↓)

―Act.6の再現VTR―

       ベリル様:「やはりそう簡単には見つからぬか……幻の銀水晶は…」。ネフライト:「はい、ですがっ、クイン・ベリル様のため、私の命に代えても、探し出すつもりでおります!」ベリル様:「…愛おしいことを……それまではジェダイトが集める人間どものエナジーを…大いなる悪に捧げるとしよう…」(←全編を通じて、この「捧げる」が唯一の敬語だったと言える)

       次に出てくるのはAct.10ですが、ちょっと表現がひねってあります(↓)

―Act.10の再現VTR―

       「フッ…我が名はクイン・ベリル…。闇の王国、ダーク・キングダムの女王!」「クイン…ベリル…」「セーラー戦士ども…、お前達など滅びた月の王国の残影に過ぎん。プリンセス共々、大人しく月で眠っておればよいものを…。…だがもう遅い。お前達のプリンセスに、大いなる闇の祝福を与えよう…。…破滅だ!…ンフフフフフフ…アハハハハハ…ア〜ッハハハハハハハ…………」

       次はAct.13です(↓)

―Act.13の再現VTR―

       ネフライト:「ベリル様、ゾイサイトが間際に、妙なコトを…」「妙なコト?」「はい、エンディミオンと…」「!!」「あのタキシード仮面とか名乗る男に何か…」「忘れよ! 二度とその名を口にしてはならんっ!!」。ベリル様はそう言うと、ネフライトにナニやら術をかけてしまいます…すると、ネフライトは、どうやらその記憶を消されてしまったようです…「はっ…」「ネフライト…、幻の銀水晶がプリンセスの許にあると分かったのだ。お前は今まで通り、銀水晶を追えっ!」「はい!」

       ネフライトが去って行ったあと、ベリル様は、ナニやらぶつぶつと独り言をおっしゃいます…「エンディミオン…まさか…、…だとしても、全ては大いなる悪を目覚めさせてからのこと…」

       次はAct.14(↓)

―Act.14の再現VTR―

       クンツァイト:「ベリル様、大いなる悪の復活に、セーラー戦士どものエナジーはいかがか…」「なに?」…クンツァイトは、そのまま、ナンと男子禁制のお立ち台の上にまで上がってしまい、偉大なる悪の復活は、私がお引き受けしましょう。…ベリル様はゆっくりお休みを…。少々お疲れのご様子…」

       そして、実写版において「クイン・メタリア」と言う名称が初めて登場するのはAct.16で、しかもそれを口にしたのはクンツァイトでした(↓)

―Act.15の再現VTR―

       ダーク・キングダムにて…。

       その稲妻が、基地のお城に直撃してます。で、御前会議中のベリル様が、ナニげにうろたえております…「これは…!」。クンツァイト:「お分かりにならないか?…復活の兆しですよ。…大いなる悪…クイン・メタリアの!」(←ガッツポーズ)。すると、突然大地震のように基地が揺れ始めます。ベリル様がヨロめいております…「はっ…は…!」。ネフライト:「ベリル様っ!」

       すると、壁の一部が崩れ、そこから、怪しげな赤い光りと共に、「アァ〜〜…」という怪しげな呻き声が聞こえてきます。ベリル様はそれを見て、やっと威厳を取り戻し、「…クイン・メタリア…!」と言います。

       ここで初めて、「大いなる悪」がすなわち「クイン・メタリア」であると明かされます。これ以降はもっぱら「クイン・メタリア」という正式名称で表現されますが、「大いなる悪」と言う表現は、続くAct.17でクンツァイトが1回、Act.18で『神父さん妖魔』が1回、Act.22でクンツァイトが2回、Act.26でルナが1回使ったのを最後に、それ以降は、後半戦に入ってからは一度も使われてません(←※今後においては別で、またその時が来たら触れますが…)。そして、この表現を最後に使ったのがルナだったと言うのは象徴的です。つまり、実写版における「クイン・メタリア」は、月の王国にとっても「大いなる悪」なら、ダーク・キングダムにとっても「大いなる悪」なんですな…。

       実写版における「クイン・メタリア」の基本概念そのものは、原作・アニメと同じだと思われるのですが、ただし、実写版における「クイン・メタリア」のオリジナル設定は、Act.38のベリル様の言葉によれば、プリンセスの力とメタリアの力は同じ…そういうことだ。プリンセスをこのままにしておけば、この星は再び滅びる…」とされており、さらにこの両者は、「幻の銀水晶」「クイン・メタリア」の共鳴反応によって『負の力』を増幅し合っており、つまり、『全く同じ力を持った最終兵器同士が戦えば、そこには勝者も敗者もなく、ただ全てが滅びるのみ』と言う理論によって、今現在はそのパワー・バランスが保たれてるんですな。だからこそ、『うさぎちゃんを戦わせてはならない』と言う発想につながっていく訳なんです。

       そして、この、『何を考えてるのか分からないメタリア』の方に、仮にナニかしらの勝算があるとするなら、メタリアは元々、原作によれば、「異様な太陽が 災いを もたらし」「地球に進入して来た訳ですから、「この星を くらいつくして」しまった暁には、また新しいエナジーを求めて別の星体系へ移動すればいいだけのコト…なのではないでしょうか? それ以外に、「大いなる悪、クイン・メタリア」が地球を滅ぼそうとするコトのメリットなんて、考えられませんからな。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       日付変わって、十番中にて…。

       今日は夏休み中の登校日です(←黒板の日付が遠くて読み取れませんが…)。うさぎちゃんのクラスでは、春菜先生が、「ええ〜、せっかくの登校日ですが、見ての通り来れない人がたくさんいます。みんなも知ってると思うけど、最近突然抜け殻みたいになっちゃう人増えてるでしょう? それのせいなの!」。それを聞いて、生徒達がざわめき始めます…。

       うさぎちゃんは周りを見ながら、「…こんなに…」

       亜美ちゃんもしんみりしちゃってます…「……」

       春菜先生:「はい、はいっ、…みんなも、気をつけてね?」。クラスメイトA:「でも、ナニ気をつければいいか分かんないし…!」。クラスメイトB:「ナンか怖〜いっ」。クラスメイトA:「怖いっ!」春菜先生:「はぁい、はいっ、気持ちは分かるけどぉ、落ち着いてっ!…ねっ?!」。先生は、そうは言ったものの、ふいに腰に手を当てて、「確かに先生もナニ気をつければいいか分かんないけど…」(←ぼそぼそ…)。

       「……(心の声→)なるちゃんだけじゃない…。早く妖魔を倒して、みんなを、元に戻さなきゃ…」

       ちなみに、今日のこのクラスの座席状況は以下のようになっております…(↓)

(空席)

(空席)

(空席)

男子

男子

(空席)

女子

うさぎちゃん

(空席)

(空席)

(空席)

女子

(空席)

(空席)

クラスメイトB

(空席)

男子

(空席)

男子

(空席)

クラスメイトA

男子

(空席)

亜美ちゃん

(空席)

女子

(空席)

女子

女子

(空席)

         春菜先生

       30人中16人も欠席で、ご覧の通り、なるちゃんだけでなく、「ひこえもんくん」もやられちゃったみたいですなぁ…(←でも彼の場合、ひょっとすると、愛するなるちゃんがやられちゃったショックで、寝込んじゃったのかもしれませんが…)。

       あと、黒木ミオもいませんな。しかし黒木ミオは、Act.33の朝の登校シーンを最後に、十番中の制服を着て画面に出て来たコトは一度もないんですな(←※もちろん、このあともずっと…)。で、黒木ミオはAct.34で、ベリル様から、(「ジェダイト…、プリンセスに付けている例の者、プリンセスよりも、まずある男を狙わせたい」「エンディミオン……ですか?…」)と言う新しい指令を受けてますから、おそらく、その時点でもう十番中へ通う理由もなくなってますから、当然、学校にも行ってないはずです。実際彼女は、そのAct,34から35にかけて地場衛に接近し、『狂言の交通事故』で入院し、Act.35では、ついに地場衛に術をかけて彼をさらい、ジェダイトくんに引き渡す所でセーラームーンに邪魔され、「ムーントワイライト・フラッシュ」を避けて空間移動で逃げ去ってますから、黒木ミオは、この時点でうさぎちゃんにも正体がバレ、当然、もう十番中にもいられなくなってしまってるんです。

       黒木ミオが、その時点からすでに、『もう十番中には通ってない』と言うコトを示す映像的状況証拠を、Act.36で確認するコトができます。

1.         この回、初めて黒木ミオがダーク・キングダムにいるシーンが画面上に映されるのですが、その時に彼女が着ていた私服が、その後、日付が変わって休日から平日になったにも関わらず、それと同じ服を着た状態で地場衛の前に現れるんです。

2.         一方のうさぎちゃん達は、それと全く同時刻に、制服姿で放課後クラウンに集まってるんですね。

3.         つまり黒木ミオは、その間ずっとダーク・キングダムにいて、十番中には行ってなかったコトがこれで証明される訳なんですな。

       ただし、その一方で、その後Act.39の「未使用シーン」における進悟の言動によって、黒木ミオが依然としてアイドルとして一般社会には存在し続けてるコトが分かるので、彼女の存在自体が世間の人々の記憶から消されてるのではないコトも分かります。たとえば最初の頃のダーク・キングダムは、何か事件を起こすたびに、世間の人々からその記憶を消していたのですが、黒木ミオの存在に関しては、それを適用するつもりはないようです(←今やダーク・キングダムの財政は、きっと彼女の芸能活動だけで支えてるんでしょうなぁ…)。

       ※ ワシは本稿のAct.35の時に、『黒木ミオ・クローン説』を提唱したのですが、その元ネタになったと思われる「コードネームはセーラーV」「Vol.5 ダーク・エージェンシーの陰謀編」と言うエピソードの中で、自分のクローンをアイドルに仕立て上げた女幹部も、「アイドル タレント 人々を洗脳するには最高の手段だわ エナジーは山ほど すいとれるし お金はバカスカ入るしと言ってましたからね(←「コードネームはセーラーV (1) (講談社コミックスるんるん)、及び、「コードネームはセーラーV (1新装版 (KCデラックス) より)。

 

       蛇足ながら、うさぎちゃんは、Act.43に至ってようやく、その黒木ミオに向かって、「ミオちゃん…、…ミオちゃんも敵の仲間だったんだね!?」などとボケをかましてましたが、実際は、うさぎちゃんだってそれ以前のAct.35からとっくに分かってたはずなんですけど、黒木ミオはその頃からもう学校には来てない訳だし、だからたまたま本人に向かって言い渡すタイミングがこの時だったってだけに過ぎず、その前のAct.42で黒木ミオが出て来た時のマーキュリーのリアクションから考えても、もはや『黒木ミオが敵の仲間だった』と言うのを、セーラー戦士サイドが共通認識として持っていたコトは間違いありません。

        ★  ★  ★  ★  

       ♪きーん、こーん、かーん、こーん…♪と終業ベルが鳴り渡り、「2年1組」の表札のかかった教室から、亜美ちゃんが学生カバンを肘に掛けて出て来ました。それを追いかけるようにして、うさぎちゃんも出て来て、亜美ちゃんを廊下で呼び止めます…「亜美ちゃんっ♪」「!」

       「美奈子ちゃんのお見舞い行こうよ♪」「あぁ、そっちはまこちゃんが…」「?」「大勢で行くと疲れさせちゃうし…」

       亜美ちゃんは昨日、病院からうさぎちゃんに連絡した時、うさぎちゃんが「あ♪、あした」と言いかけた瞬間わざと電話を切ってしまいましたが、「あした」と言うのはつまり今日の夏期登校日の事で、うさぎちゃんは、『あ♪、あした登校日だから、その帰りに一緒にお見舞いに行こうよ』と言いかけたんですね。で、うさぎちゃんがそう言い出すのは亜美ちゃんも分かってたので、昨日はわざと途中で電話を切り、今日もこうして、その話を避けるようにそそくさと先に帰ろうとしたんですね。

       「そっかぁ…」。すると、亜美ちゃんはそのまますっと行ってしまいます…。「あっ♪じゃあさっ、一緒にクラウン行こうっ♪」「今日ちょっと寄るところがあって…、さき行っててくれる?」「いいけどぉ…」。亜美ちゃんはニコッと笑って、先に行こうと歩き出します。するとうさぎちゃんは、「あ、そう言えばさ、レイちゃんって…『最近会ってないけど』「神社が忙しいみたい…」「…ふ〜ん…」「じゃあ♪…」

       亜美ちゃんは背を向けて歩き去りますが、それを見送るうさぎちゃんの表情は、明らかに、何かいつもと違うものを感じ取って戸惑ってます…「……」。亜美ちゃんも、それを見透かされるのを恐れるように、そして、そうせざるを得ない自分の辛さを押し殺すように、複雑な表情を浮かべてます…「……」

       亜美ちゃんは、美奈子の容態が「ちょっと普通じゃないっぽい」と言うだけでなく、その美奈子がレイちゃんをクラウンから追い出したと言う衝撃的事実も、うさぎちゃんには伝えないつもりなんですね。むしろ、不確定な美奈子の病状なんかより、そっちの方がうさぎちゃんにはショックかもしれないと、そう考えてるんでしょうな…。つまり、今うさぎちゃんを美奈子に会わせると言うコトは、その二つの問題が、抱き合わせでうさぎちゃんに知らされると言うコトでもある訳です。今の美奈子には、『前世の使命を果たそうとしないマーズをクラウンから追い出した』なんて程度の事は、もはやリーダーとして正当な処置であり、それが『現世のプリンセス』の気持ちにどれほどの動揺を与えるかなんて、とうてい思いも至らないはずだからです(←なぜなら、たとえばこれが前世であれば、『前世のプリンセス』は間違いなく、そんなヴィーナスの事務的なやり方に賛同するはずだからです)。

       「…………」。うさぎちゃんは、廊下で立ち尽くしたまま、寂しそうにうつむいてしまいます…。

        ★  ★  ★  ★  

       美奈子の病室にて…。

       美奈子は目を覚ましたようで、ベッドに横になりながら、アルテミィ〜スに話しかけてます…「ジュピター達に怪しまれちゃったかな…」。しかしアルテミィ〜スは、台の上を歩きながら、「みんなにも、本当の事を言えばいいんだ…仲間なんだから…。あの時…、一緒に…」(←困ったバージョン)。ここでアルテミィ〜スは、Act.40での「リーダー対決、風船割りバトル」で、みんなではしゃぎまわった時のシーンを回想します…

       美奈子とレイちゃんが、お互いに顔を見合わせて笑い合っております…「うふふっ♪」「あははっ♪」「あははっ♪」「あははっ♪」「あははっ♪」あははっ♪

       「あれは…、マーズに乗せられただけ…」。するとアルテミィ〜スは美奈子の方を振り向き、「美奈子っ、手術を受けよう?」(←真顔バージョン)。

       「アルテミィ〜ス?」「ボクはもう、こんなキミは見ていられないっ…。キミが、このままいなくなってしまうのも……」(←困ったバージョン)。

       すると美奈子は微笑み、ベッドから上体を起こします…「…ナンだか、告白されてるみたい…♪」「ボクは真面目なんだっ、もう前世の使命じゃなくて、今のキミを大切にする時だと思うっ」(←必死バージョン)。

       すると美奈子は、急に真顔になり…「今のあたしなんて、もうすぐ消えちゃうんだよ…?」「だから…、手術をすれば…!」

       「成功する可能性なんて…、ほとんどないのに?…」。そう言って美奈子は、ベッドから降りて立ち上がり、窓のブラインドの外に目をやります…。するとアルテミィ〜スは、「えいっ」と台からベッドに飛び降り、「でも、ゼロじゃないっ、…それに賭けるのは、怖いと思うけど…」(←真顔バージョン)。

       「怖いんじゃないよ。そんな賭けまでする必要ないってだけ…」「どうしてぇ?!」(←困ったバージョン)。

       「アルテミィ〜ス? 前世の使命を果たすつもりがないのなら、アナタもマーズと同じよ。一緒にはいられない」「ええっ?!」(←ビックリまなこバージョン)。

       「…出てって…!」「ナンでキミはそう頑固なんだっ、ヴィーナスじゃなくて、愛野美奈子として話してくれぇっ」(←真顔バージョン)。

       「…愛野美奈子なんて、あしたにでも消えちゃうような存在だよ…。でも…、ヴィーナスは消えない…」「ええ?!」(←困ったバージョン)。

       【通訳】⇒『現世を生きてる愛野美奈子なんて、所詮人気商売のアイドルなんだから、どうせ生きてたって、人気がなくなればあしたにでも消えちゃうような存在だよ…。でも…、金星の守護を受けてるセーラーヴィーナスは、何度でもまた転生できるから永遠に消えるコトはない…。だから死ぬのはちっとも怖くないし、「今」にこだわって、そんな賭けまでする必要なんかないのよ…』『マジっすか?!』(←困ったバージョン)。

       「…残念だわアルテミス…。アナタが前世の使命を放り出すなんて…。…さよなら…!」「美奈子ぉ…」(←困ったバージョン)。

       「……」(←冷たい視線で見下ろすのみ…)。アルテミィ〜スは、美奈子に背を向け、ぴょこんっ!とベッドから飛び降ります…が、その瞬間、美奈子は、ちょっと驚いたような表情をします…「!…『えっ?! うそ、ホントに出て行く気?』(←みたいな…)。

       アルテミィ〜スは、寂しげにドアの方へ向かいます…。美奈子は、その後ろ姿を最後まで目で追うコトができずに、目を伏せてしまいます…「……『また…、やっちゃった…』(←みたいな…?)。

       美奈子は、Act.17の『教会の体育館』でマーズの前で変身してしまったあと、Act.18において、その帰り道のタクシーの中で、アルテミィ〜スと次のような会話を交わしてるんですな(↓)

―Act.18の再現VTR―

       「美奈子、セーラー戦士達と友達にならないように正体をかくしてたのに、バレてしまったねぇ…」「失敗しちゃった…つい…」「必要以上に厳しかったのはそのせいだね」うん…でも…「あなたを守るのが使命だって聞いてたけど、お守りだっていうのは聞いてなかったし」を回想して)…あれは本気でムカついた。…言ってくれるじゃない…

       そのあと美奈子は、急に片頭痛に襲われた模様で、「美奈子…美奈子!」。やはり体調が思わしくないようです。

       つまり、美奈子と言うのは、こう言う時、つい気持ちとは裏腹に『必要以上に厳しくしてしまう』ところがあるんですね。だから、前回レイちゃんを追い出してしまった一件にしても、やはり、「セーラー戦士と友達にならないように」と言う気持ちがいまだに働いていたからでもあったんです。なので、今回のこのアルテミィ〜スとの一件に関しても、こう言った美奈子の言動を、そのまま言葉通り受け取ってはいけないんじゃないでしょうか…。

       つまり、なぜここで美奈子がアルテミィ〜スを追い出したのか、それは、アルテミィ〜スが、「ボクはもう、こんなキミは見ていられないっ…。キミが、このままいなくなってしまうのも……」と言ったコトに対して、『あたしも、自分が死ぬところをアナタに見せたくない』と言う気持ちが、心のどこかで働いていたからでもあるんじゃないでしょうか(←※結果的に、このあと美奈子は、自分の一番みじめな姿をアルテミィ〜スに見せずに済むコトになります)。

       アルテミィ〜スは、「うっ…!」と病室のドアを開け(←アルテミィ〜スはスタジオの重いドアすら開けちゃうほどですから、病院の引き戸なんて簡単に開けられます…)、病室の外へ出て行きます…が…ドアの外に、ナニげに誰かが立ってたのですが、アルテミィ〜スは、あまりの気落ちに、それにすら気付かない様子です…。

       一方、その立っていた人物も、ぬいぐるみが自分でドアを開けて足元を通り過ぎて行ったコトにすら、気付いていない様子です…。

        ★  ★  ★  ★  

       立っていたのは、花を持ってお見舞いに来たまこちゃんでした…「……」。まこちゃんは、美奈子とアルテミィ〜スの会話を聞いてしまっていたようで、じっと前を見たまま固まってしまってます…。

       さっき、うさぎちゃんが学校で亜美ちゃんに、「美奈子ちゃんのお見舞い行こうよ♪」と言った時、亜美ちゃんは、「あぁ、そっちはまこちゃんが…」と言ってましたが、亜美ちゃんはそれについては、うそはついてはいなかった訳ですな。

       目を伏せてた美奈子が、そのまこちゃんに気付きます…「!……」。まこちゃんは、アルテミィ〜スが半開きにして行ったドアを開いて、おずおずと中に入ります…「……」

       「……」「…今の話…」「…聞いてたの?…」「…ホントなんだ…」「…………」。美奈子は、否定も肯定もせず、ただ目をそらします…。「…………」

       ★  ★  ★  ★  

       こちらは火川神社…。

       亜美ちゃんが、レイちゃんに会いに来ました…「そっか…、やっぱりレイちゃん知ってたんだ…美奈子ちゃんのコト…」(←私服姿で、バッグにはぬいぐるみルナが入ってます)。「……」(←久々の巫女さん姿です。竹箒で神社の境内を掃いてます)。「ん〜、アルテミスったら、ナンにも言ってくれないで…」(←困ったバージョン)。

       さっき、うさぎちゃんが学校で亜美ちゃんに、「あっ♪じゃあさっ、一緒にクラウン行こうっ♪」と言った時、亜美ちゃんは、「今日ちょっと寄るところがあって…」と言ってましたが、今日は最初からレイちゃんに会いに行くつもりだったんですね。なので亜美ちゃんは、これについても、うさぎちゃんに『どこへ行く』とは言ってないだけで、別にうそは言ってない訳ですな。

       で、亜美ちゃんがこうしてルナと一緒に来てると言う事は、ルナもうさぎちゃんに、美奈子の病気のコトはもちろん、『ヴィーナスが、レイちゃんをクラウンから追い出した』と言うコトも話してない訳です。レイちゃんは前回(=昨日)クラウンを出る時、亜美ちゃんに、「うさぎの事は…よろしくね…」と言ってましたが、この2人の間には、こう言った「あ、うん」の呼吸が成立してるので、美奈子の病気のコトはもちろん、『ヴィーナスが、レイちゃんをクラウンから追い出した』と言うコトもうさぎちゃんに悟らせないよう、『うさぎを火川神社には連れて来ないでね』と言ってたんですね。

       「前世しか見てないのよ…。前世の使命しか見ようとしないの…。…早く手術しなきゃ、間に合わないかもしれないのに…、バカよ…!」

       するとそこに、突然アルテミィ〜スがやって来て、「ボクも、そう思う…」(←困ったバージョン)

       「!…」「アルテミス!」「どうしたの!?…美奈子ちゃんは?」

       「えへ、…手術を勧めたら、追い出されたんだ…」…そう言うとアルテミィ〜スは、切なそうに、道端の石ころをコロンっ、と前足で蹴ります。

       それを聞いてレイちゃんは、思わず竹箒を握る手に力が入り、それでばさっ!と地面を叩きます…「ホンっトにバカっ! 前世なんて関係ないわっ! 無視すればいいのよ…!」。すると亜美ちゃんは、「……無視は、できないんじゃないかな…、…私たちも……」「…………」

       レイちゃんは、亜美ちゃんが言うと、なぜか反論しませんね…。

1.       同じコトを言ってるようで、亜美ちゃんの言葉には、まこちゃんや美奈子が言うのとは違う、何か大事な、もっと別のニュアンスを感じ取るからでしょうね。

2.       おそらくレイちゃんは、あまりにも美奈子と深く関わってしまったために、物を考える尺度が美奈子中心になってしまってるんです。なぜなら、今、誰よりも一番命の危険にさらされてるのは美奈子だと、ずっと前から知っていたからです。

3.       一方の亜美ちゃんは、物を考える尺度が、一貫して『現世のうさぎちゃん』中心です。そしてその事をレイちゃんもよく知ってます。『現世のうさぎちゃん』中心と言う事は、ことセーラー業務に関しては、亜美ちゃんの考えには、地場衛と同様に、一切の迷いもブレもないんです。なので、亜美ちゃんの言葉と言うのは、レイちゃんに、その大事な事を思い出させてくれるんですね。だからレイちゃんは、亜美ちゃんの言葉には反論しないんです。

4.       つまり、レイちゃんだって、当然、「前世なんて関係ない」はずないコトぐらい、よく分かってる訳です。ただ、その「前世の使命」に従うためには、何をもってその動機とすべきなのか? そこが問題なんですね。『星を滅ぼさない』と言う最終目的に関しては、みんな誰もが思いは同じなんです。それに関しては、ベリル様とて同じなんですから。しかし、肝心なのは、『なぜ星を滅ぼさないのか?』、その動機です。その動機において、セーラー戦士とベリル様は相容れないからこそ戦ってる訳です。であれば、レイちゃんと美奈子もそれと同じコトで、その動機に賛同できなければ、やはりお互いを認めるコトはできない訳です。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、美奈子の病室…。

       「アナタが落ち込むコトないわ…」(←ベッドに腰掛けてます)。「でも…、ホントにあともう少ししか…」(←美奈子に背を向ける形でソファに腰掛けてます)。

       「そうね…。でも…、最後までセーラーヴィーナスとして戦うつもりよ…」。その言葉を聞いて、まこちゃんは美奈子の方に振り向きます…「……」(←まこちゃんは、涙を流しながら美奈子を見つめます)。

       「……なに?…」。まこちゃんはソファから立ち上がり、「すごい…、すごい強いよ!…、やっぱり、リーダーなんだ…」

       美奈子はベッドから立ち上がり、「戦士として生まれてきたんだから当然よ…。たとえ命を捨てても、前世の使命を果たさなきゃ…『しめしめ…体育会系は単純だから楽でいいわ♪』。まこちゃんはそれを聞いてうなずくと、「…私も(←え?! わたし?)、ちゃんと分かってたつもりだけど…。…ずっと一人だったのも、前世から決まってたって思えば納得できたし…。これからもそれでいいんだって…」。ここでまこちゃんは、Act.41で元基に正体がバレてしまった時のコトを回想します…

1.       「…びっくりしたっ……なんか…正義の味方みたい…」

2.       「…今みたいな敵と戦わなくちゃいけなくて…」

3.       「…そうなんだ……ふふ…」

4.       その後、ジュピターが無言で走り去る

       「…………」。そんなまこちゃんを見て、美奈子は少し不思議そうな顔をします…「?…『どうかした?』。まこちゃんはキッと顔を上げると、美奈子に歩み寄りながら、、「…私(←え?! わたし?)、まだ覚悟が足りなかったと思う…。前世の使命を果たすために自分がいるんだってコトに…」

       前回も書いた通り、まこちゃんがこの元基とのシーンを回想しながら「覚悟が足りなかった」と言ってるというコトは、前回レイちゃんから「じゃあ元基くんのコトは?! 一人でいい、なんてとらわれてる証拠じゃないっ」とツッコまれて、「違うって!…それはぁ…つまり……」と言葉に詰まったコトの意味が、まこちゃんが元基に対して好意を持ち始めていたコトを、半ば認めてたと言うコトだった訳なんです。まこちゃんは、あの『正体バレの一件』の直前の段階では、うさぎちゃんに対しては、「元基くんのコトは別に好きってわけじゃ…」と、言葉上はハッキリ否定できてたのに、その後、レイちゃんに対しては同じコトが言えなくなってしまってた訳ですから…。つまりまこちゃんは、自分には「まだ覚悟が足りなかった」から、そんな浮ついた感情が起きてしまうんだと思っちゃってるんですね。

       どうでもいいですけど、ナンでこのシーンでのまこちゃんの一人称が「わたし」なんでしょうか? 普段まこちゃんは「あたし」で、複数形の時は「わたし達」です。さすが体育会系だけあって、ついに『リーダー様』に恐れ入っちゃって、言葉使いを若干丁寧にしてるんでしょうか?

        ★  ★  ★  ★  

       場面はガラッと変わって…。

       元基とネフリンが、お店の買出しに行ったようで、二人で荷物を持って歩道を歩いております…。元基:「いや〜〜っ、ネフリンが来てくれると助かるよ♪」。元基は、両手に買い物袋を一つずつ下げており、隣のネフリンを見ながら、「見た目より力あるよな?」

       そのネフリンは、右手に買い物袋を三つと、左手に買い物袋二つと段ボール箱一つ、さらにその上にトイレットペーパーを乗せて、楽々と持ち上げながら、自分でも、そんな自分の力を不思議そうに感じてるようです…「……『やはり、力が戻ってるようだが…』

       すると、元基がふと、道端の露店のアクセサリー屋さんの前で立ち止まり、ナニか見始めます…。元基はネフリンを呼び止めます…「ちょっと悪いっ!」。ネフリンは立ち止まって振り返ります。

       露天のお兄さん(←レゲエ・ファッション?)が、扇子を扇ぎながら、「○×△□…」(←ナンつってんのか分からん…)…「ナニ? ブレスかナンか?…気に入ったのあるかな?」。すると元基は、「福亀 お守 にも」と書かれた紙の横に置いてある、鈴のついたカメのお守りを取り、「これって、怪我とかそういうのに効く?」露天のお兄さん:「効くよナンでも効いちゃうよぉコレ〜、カノジョにプレゼントか? いいなぁ若いのはまったくぅ、ええ?!」(←めっちゃお調子者…)。「いやいや、そういうんじゃないけど…『正義の味方なんで、生傷が絶えないだろうから…』「八百円…!」「…コレください…」「はい、ありがとうっ!」

       するとその横では、ネフリンがナニやら指輪を手に取って、「……『ナンだコレは? 人間の作るモノはいちいちよく分からんな…』みたいに見ております…。

       元基はお尻のポケットから財布を取り出し、中から千円札を抜き取ると、「はいっ」と露天のお兄さんに渡します。「はいっ、じゃあ、おつりとぉカメねっ」「ありがとうございます」

       すると、ネフリンは、どうやら、『モノをおカネで買う』と言う、『現世の人間界の貨幣システム』を、まだイマイチよく把握してないらしく、二人のやり取りを不思議そうに観察してます…「……『ヤツはさっきからナニをしてるんだ? ダーク・キングダム時代は、ンなモン勝手に略奪してりゃそれで良かったのに…』(←これを見ると、ネフリンは、まだクラウンのレジは任されてないようですな。しかも、カラオケ店のレジは、直接物々交換をする場ではありませんからね)。

       ネフリンが指輪を二つ手に持って見比べてると、元基が、「お前も買う?…って、そっか…バイト代ゼロだったもんな…」「……」。ネフリンは、指輪を元に戻して顔を背けます。元基:「だから壊しすぎって言ったの」「私の勝手だっ!」「!…ったくもう…」…すると元基は、「…よし…」と言って自分の財布から千円札を一枚抜き出し…「…『って、一枚じゃ少ないかなぁ…?』と、もう一枚抜き出して、ネフリンに差し出します…「来月のバイト代入ったら返して…」

       ネフリンは、黙ってそれを受け取ると、しばし、「……『これがカネと言うやつか…』みたいにまじまじとお札を眺め、横を通り過ぎて行った元基に、「すまん…!」と言います。

       すると元基は「……え?…」と立ち止まり、「今、すまんって言ったの?…………うそぉっ!?と振り返ると、そこにはすでにネフリンの姿はなく、荷物だけが置いてあり、露天のお兄さんが、「…『あっちだよ』と指差します。

       見ると、ネフリンは、隣の露天の小物屋さんの方にいて、ナニやら、バッファローの角(?)みたいな置物(?)みたいな妙なモン(←けっこうデカイ)を持ち上げて、うれしそうな顔をしながらそれを見てます。元基:「そんなのどうすんの?」「このあいだのマズイものの借りを返す」

       「? マズイもの…って、…亜美ちゃんにっ?!…そりゃあどうかなぁ…?!」「借りは返す主義だ」「……返せない…と思うなぁ…、つうか、カネ足りないよ?」

       そう言われてネフリンは、バッファローの角とカネを見比べながら、「……『コレ、気に入ったんだが…、このカネとやらが、あと何枚あれば足りるんだ?』(←みたいな…)。

       このシーンでネフリンは、前回の亜美ちゃんのクッキーを、「マズイもの」と表現しましたね。

1.       つまり彼は、『アレ』が、この人間界では『クッキー』と呼ばれてるお菓子だと言う事を、知らない訳です。

2.       実は、前回のあのシーンを振り返ってみると、亜美ちゃんも元基も、『アレ』を指して『クッキー』だとは一度も言ってないんですな。今回の元基も、ネフリンから「マズイもの」と言われて、『ああ、あのクッキーか』とは言ってません。普通の人は言わなくたって見りゃ分かりますからね。

3.       ところが、ネフリンは知らなかったんですよ。と言うより、元々四天王は、去年の秋頃になって、いきなりベリル様から現世に蘇生されて来た訳ですから、現代の人間界の仕組みや社会について、細かく知ってる訳がないんです(←「シン」時代のあるクンツァイトは別にして)。要するに、彼らは、太古の世界からいきなりタイム・マシンで連れて来られて、ここで無理やり働かされてるようなモノなんですからね。ただし、クンツァイト、ゾイサイトの2人は知力が高いし、ジェダイトくんは地道な努力家ですから、すぐに適応しましたが、ネフライトは、プライドだけ高い『おバカ』キャラなので、人間を見下すが故にその点を怠ってきた訳です(←Act.1におけるジェダイトくんの変装と、Act.4におけるネフライトの変装を比べれば、その違いは一目瞭然です)。その結果、そのツケを、今ここで払わされてるんですね。

4.       この、「敢えてネフリンの前で『アレ』『クッキー』だと言ってない」と言う事実こそが、すなわちネフリンが『アレ』をナンだか知らずに食べていた事を意味してるんです。なので、今回もネフリンは、元基の前で『アレ』「マズイもの」としか言いようがない訳で、当然『クッキー』なんて正式名称は、彼の口からは絶対に出てこない訳です。

5.       一方の元基は、当然『クッキー』と言うものの本当の味を知ってますから、亜美ちゃんの作った『失敗クッキー』がお世辞にもうまいとは思えず、でも、馴染みのお客さんから頂いた行為に対して、『焦げてる割には、「けっこう…おいしい♪」と、当たり障りのない事を言った訳ですが、ネフリンは、生まれて初めて『クッキー』と言うモノを見たのですから、元基とは違い、ネフリンには、それが焦げてるとか失敗してるとかなんて、そんな概念自体が全くない訳です(←なので、元基が袋の中を見た瞬間『げっ!』となったのに対して、ネフリンの方は全く驚いてない訳です)。だからわざと、亜美ちゃんと元基の会話の中でも、『アレ』『失敗作』だとは、口では一言も言わせなかったんです(←言ってしまうと、その時点で、ネフリンにその食べ物の『成否』に関する予備知識を与えてしまい、あの絶妙なリアクションを引き出せなくなってしまうからです)。だからそんなネフリンにとっては、『アレ』『失敗作』だとも知らずに、しかもそんなコトは無関係に、純粋に、『コレは今まで食べた事ない味で、明らかにうまいっ』と感じたんですね。最初に一口食べた瞬間の彼の表情は、明らかに『うまいっ』と言ってて、あの瞬間の彼の表情に、『マズイ』と言うアフレコは絶対につきませんからね。

6.       つまり、口では「マズイ、マズイ」と言ってはいましたが、本当は『めちゃめちゃうまくて感動してた』んです。だからこそ、その「借りを返す」と言う発想につながる訳で、本当にマズかったら、『アレ』「借り」を作ったコトになんか絶対なりませんからね。ダーク・キングダムのゲテモノ料理に慣れていたネフリンにとって、『あの手作りの味』は、色々な意味で衝撃的だった訳です。彼はそのようにして、『人間界も、なかなか捨てたモンじゃないな…』と…、そう言ったコトを、少しずつ感じ始め、学んでいってる訳です。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       火川神社から、うさぎちゃんの待つクラウンへ向かって歩いております。ぬいぐるみルナ:「ヴィーナスのコト、うさぎちゃんにも言った方がいいんじゃないかしら?」「やめた方がいいと思う…。うさぎちゃん、地場くんの事だってすごい我慢して普通にしてるんだもん…。これ以上負担になるような事言えないよ…」

       亜美ちゃんは、ここでは「地場くん」と言ってますね。

1.       亜美ちゃんは前々回Act.43では、「やっぱり、エンディミオンのことがあるせいだよね…」と、地場衛のコトを「エンディミオン」と言ってたんですよね。しかしあの時は、その前のAct.42で、マーキュリーがまさにその「エンディミオン」と初めて会っており、その時の事についてコメントしてた訳だから、だからあれは、あくまでも「エンディミオン」なんですね。

2.       ところが、今回のここでのルナとの会話では、その後、今度はAct.43で「地場衛」がうさぎちゃんに会いに来て、それを受けて前回、ルナとうさぎちゃんの間で、(「そう…地場衛と会ったの…」「…うん…、また敵の所に戻っちゃったけど、でも、会えてよかった…」)と言うやり取りがありましたから、その一件を経由した上での今回のこの会話だったので、亜美ちゃんの中でも、Act.42の時の「エンディミオン」が、今回は、Act.43の時の「地場くん」に戻ってるんです。

3.       このように、亜美ちゃんの中では、Act.36の『プリンセス・セーラームーンA』登場当初、「うさぎちゃん」「プリンセス」「別人みたい」と感じていたように、「エンディミオン」「地場くん」もまた、「別人みたい」なのではないか?と、分けて考えていたフシが見受けられますね。

4.       ところが、時間が経って色々と見てきた中で、おそらくそれが亜美ちゃんの中で、徐々に一つのものとしてつながりつつある…と言うコトなんじゃないでしょうか?

5.       つまり、たとえば、Act.36の頃に感じていたように、仮に「うさぎちゃん」「プリンセス」が完全に「別人」であるならば、「うさぎちゃん」が頑張って「プリンセス」を抑えていればそれで済むし、亜美ちゃんの知ってた今までの「うさぎちゃん」であれば、それはきっとできるに違いない(←Act.43でも、「でも、プリンセスを抑えることは、うまくいってるみたい」と言ってましたからね)…、でも…、もしそうじゃなかったら?…「うさぎちゃん」「プリンセス」が、「別人」なんかじゃなかったとしたら?…(←マーキュリーはAct.43で、セーラームーンが『水妖魔』を相手に、「怒りや憎しみの感情」を持って『鬼の形相』で戦ってる姿を見てしまってますからね…)。

6.       亜美ちゃんはそう考えているからこそ、最近の亜美ちゃんは、うさぎちゃんに対して、他の誰よりも過敏に、まるで『腫れ物に触るかのように』色々と心配してるんじゃないでしょうか。そしてそれは、うさぎちゃんのそばにずっとい続けてる亜美ちゃんだからこそ気付ける、何か漠然とした、そんな不安要素のなせる業なのではないでしょうか…。

        ★  ★  ★  ★  

       そのうさぎちゃんは、私服に着替えて先にクラウンに来てます…。

       うさぎちゃんは、ナニげにルナカラに置いてある小物を手に取って眺めたりしながら、寂しそうな表情を浮かべております…。

        ★  ★  ★  ★  

       そのうさぎちゃんの映像に被せて、ぬぐるみルナが続けます…「そうねぇ…。幻の銀水晶のこともあるものねぇ……」

        ★  ★  ★  ★  

       火川神社のレイちゃん…。

       巫女さん姿のレイちゃんが、境内の掃除が終わったのか、本堂の方へ戻ろうと歩いております。すると、ナニやら「えっ、…えっ、…」と言う子供のすすり泣く声が聞こえてきます…。「?……」(←おおっ! レイちゃんがアルテミィ〜スを小脇に抱えております)。「ン?…」(←うらやましいぞコノォ〜っ!)(←ルナはメスですから誰とどうしようが関係ありませんが、アルテミィ〜スはオスですからねぇ…)。

       レイちゃんは振り向くと、声のする方へ駆け出します。すると、小さな女の子が泣いております。「ナナちゃんっ、どうしたの?!」(←おおっ! アルテミィ〜スが、レイちゃんの腕の中で昇天の図…)(←さば折り状態でひっくり返っちゃってます…)(←生きてるかぁ〜っ!?)。

       この「ナナちゃん」と言えば、Act.23の『マーズれい子登場編』で、非公式のはずの『愛野美奈子情報』をレイちゃんにもたらしてくれた女の子じゃないか?…(←ナニかと美奈子に縁がありますな…)。

       で、ナナちゃんは泣きながら後ろを指差し、「ママが…!」。見ると、ナナちゃんのお母さんが「抜け殻」みたいになっちゃって、目を見開いたまま地面に倒れてます。「!!……」

       すると、もう一人、男の子の声が聞こえてきます…「ママどうしたの?!」

       見ると、男の子を連れて神社にお参りに来たお母さんが、神社の階段を登りきった辺りで、急に「抜け殻」になったように倒れ込んでしまいました。男の子が「ママどうしたの? 起きてよママァ、マァマァ…!」と体を揺すりますが、全く反応がありません。「…………」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、どこだかの大きな建物の中…(←またお馴染みの「さいたまスーパーアリーナ」か?)。

       『メタリア妖魔U』が白い煙のようなものを発生させて雄叫びを上げております…。周りの人々がバタバタと倒れていきます…。

        ★  ★  ★  ★  

       美奈子の病室…。

       その気配を察知した美奈子とまこちゃんが、窓のブラインド越しに外の様子を見ます。「!…」「!…妖魔だっ」

       まこちゃんがすぐに一人で部屋を出て行こうとすると、美奈子は、「近くにいるかもしれないわ、行きましょう!」「でも…!」「あたしの覚悟は言ったはずよ」「…………」。まこちゃんは少し考えますが、すぐにうなずきます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらレイちゃん…。

       レイちゃんも妖魔の気配を感じたらしく、洋服にチェンジし(←巫女さん姿じゃ走りにくいんだろうなぁ…)、アルテミィ〜スも置いて、現場へ駆けつけようと走っております。

       実は、レイちゃんが火川神社で妖魔の気配を察知するシーンが、DVD第12巻の「未使用シーン」に収録されてましたね(↓)

1.       神社で倒れた二人のお母さんが救急車で運ばれて行きます…パ〜ポ〜パ〜ポ〜♪

2.       レイちゃんは、残されたナナちゃんと男の子に、「中に、入ってようか?」と言って、二人を神社の建物の方へ連れて行こうとします…(←って、ナンでだ?!)(←てコトは、ひょっとして、この子達は二人とも母子家庭なのか?)(←そうだっ、きっとそうに違いないっ!)。

3.       すると突然、レイちゃんが何かの気配に気付き、「!…」とします。

4.       すると、アルテミィ〜スが足元の草陰から出て来て、「マーズ」とフキダシ文字で言います。

5.       レイちゃんはそのアルテミィ〜スに向かって、「あの子達をお願いっ!」(←って、ナニをどうお願いするんだ?)と言い残して駆け出します。

6.       するとアルテミィ〜スは、「わかった」(←って、ナニがどう分かったんだ?!)とフキダシ文字で答えます…。

       すると、そのレイちゃんの目の前に、ナンと、突然黒木ミオが現れて、レイちゃんの行く手をさえぎります。レイちゃんは黒木ミオを見るなり立ち止まります…「!…」。すると黒木ミオは、思いっきり笑顔で「ハローっ♪」と手を振ります。レイちゃんはセーラー・ファイティング・ポーズを取りかけて、「…アナタ…確か…!」「黒木ミオで〜すっ♪」「…ナンなの?!…『その超ブリッコは?!』

       それはそうと、レイちゃんは十番中ではないので、レイちゃんが黒木ミオに会うのは、かれこれ、黒木ミオが初登場したAct.29以来で、つまり今回でたったの二回目なんですな(←てコトは、ナンと16話ぶりです…)。これじゃ、「あたし、テレビとかあんまり見ないから…」と言うレイちゃんが、黒木ミオをうろ覚えなのも当然でしょうな。ただし、レイちゃんは彼女を見てファイティング・ポーズを取りかけてますから、もちろん『黒木ミオが敵の仲間だった』と言う業務連絡についてはちゃんと分かってる訳です。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、まこちゃんと美奈子…。

       二人は『メタリア妖魔U』のいる現場に到着し、セーラー・ファイティング・ポーズをキメたあと、お互いに「うん!」「うん!」とうなずき合って変身します。「じゅぴたーぱわーっ」「ヴィーナスパワ〜、メーイク・アップ!……」…ところが、「……!?…………!!」…(←ありゃりゃあ〜〜っ、ヴィーナスが変身できませんっ!)。

       で、その間に、いつの間にか音もなく変身し終わったジュピターが「フッ」と構えて臨戦態勢に入り、ナニげに横にいる『素』の美奈子を見て、「え!?」「…………そんな……」

       すると『メタリア妖魔U』は、今まではセーラームーン以外相手にしようとしなかったのに、こんな時に限って、自分からこちらへ向かって突進して来ます。それを見てジュピターは、「あっ、あぶない!!」と、美奈子を後ろに下げて妖魔から遠ざけ、その後、体を入れ替えて『メタリア妖魔U』を引き付け、一人で妖魔と戦います。

       こう言う時のジュピターは、本当にジュピターらしいですな…。Act.24の「科学館」で、自分の劣勢をも省みず、うさぎちゃんのために一人で『サスマタ妖魔』に向かって行った時のコトを思い出します…(涙)。

       ジュピターは『メタリア妖魔U』の腹に蹴りを入れますが、その足をつかまれて振り払われ、床に倒れたところを相手に首をつかまれ、そのまま締め上げられてしまいます。「うっ…!」

       それから『メタリア妖魔U』はジュピターを壁に叩きつけ、ばんっ!…そしてすかさず剣を振り下ろしてきますが、これはナンとかかわします。しかし案の定大苦戦です。その様子を、美奈子は茫然自失でただ見守るばかり…得意の『美奈子キック』を食らわしてやろうと言う気すら起こらないようです。美奈子は自分の両手を見つめながら、「……もう……戦う力さえ残ってないの?……」

       ※ 実は、『美奈子が変身できない』と言うエピソードは、原作にもあるんですね(↓)

1.       それは、原作の第4シーズンにあたる『デッド・ムーン編』が始まってから、亜美、レイ、まことが、それぞれ順に、外部太陽系戦士に励まされながら新しいパワーを得て、――クリスタルパワー・メイク・アップ』で新しい変身をしてるのに、美奈子一人が取り残されて、「どうしてあたしだけ 変身できないの?」と思い悩む…と言うエピソードなんですな。

2.       これはまさに、実写版の『覚醒エピソード』に相通ずるものがあるのですが、その「Act 37 夢5―ヴィーナス・ドリーム」(←新装版では「Act 43」)において、美奈子は試しに、一人でいる時に変身してみるのですが、「ヴィーナス・プラネットパワー メイク アーッップ!」…し〜〜ん…「……そう みんなには いってないけど 変身できないんだ あたしだけ……」

3.       そのせいで、みんなと一緒にいる時に、何気ないみんなの会話にも突っかかって当り散らしちゃうんですな…「どーせ あたしは たよれないリーダーよ!」「そんなコト いってないじゃない」「美奈 ヘンよ きょう」「美奈?」「……どーせヘンよ ヘンでケッコー! コケコッコー!!」(←と言って駆け出す)。

4.       で、走り去りながら、「……これじゃリーダー失格だわ☆ …ぐすっ ――ああ サイテーッ! ああ どうしてこんなにイライラするの? どうしちゃったの? あたしの力 なんで 変身できないの? こんなんじゃ 敵があらわれたって どーやって戦えってゆーのっ!?」

5.       で、その後、デッド・ムーンの罠と分かっていながら、「これは あたしの力を発揮するチャンスなのよ! あたしはリーダーよ!」と、アルテミスやみんなの制止も振り切って、「デッド・ムーン アイドル・オーディション会場」に単身乗り込んで行くんですな。

6.       もちろん、このエピソードの顛末は実写版と全く同じと言う訳ではないのですが(←※一番最後に背中を押すのがアルテミスである点は同じ)、ただ、実写版の美奈子は、とかく原作・アニメと全然キャラが違うなどと言われがちですが、このエピソードなんか読んでると、『リーダーであるが故の責任感の強さ』とか、『それで却って一人で頑張りすぎて空回りしちゃう』ところなんか、まさにそっくりだと思うんですけどね(←「美少女戦士セーラームーン (13) (講談社コミックスなかよし)、及び、「美少女戦士セーラームーン 9 新装版 (KCデラックス)より)。

 

7.       そう言えばアニメ版では、第3シーズンの『デス・バスターズ編』で、美奈子だけダイモーンからピュアな心を狙われてないコトを気にして思い悩み、一人で空回りする…と言うエピソードがありましたっけねぇ…(↓)

      「ねえ? アルテミス?」「ん?」「あたしって、どうしてダイモーンから狙われないのかなぁ…」「え?」「あたし以外は全員ピュアな心の結晶を狙われたのに…」「ん〜…ピュアじゃないのかなぁ…」「!…『ギロッ!』「い゛や゛っ! そんなはずないしねぇ!」「でしょーお!?」(←アニメ版・第109話「衝撃の刻(とき)! 明かされた互いの正体」より)。

       とにかく、どうも『一途さや真面目さが妙な方向に転がってしまう…』と言うのが、各版共通の美奈子キャラだと言えるのではないでしょうか…。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       ジュピターが妖魔に吹っ飛ばされ、床の上を転がって行きます…「うっ、…うっ、…」…ジュピターが立てません。

       「あっ…!」『メタリア妖魔U』が、ジュピターにトドメを刺さんと近付いて来ます。

       するとそこへ、マーキュリーとセーラールナが駆けつけてきました…「まこちゃんっ!」

       すると、『メタリア妖魔U』は立ち止まり、2人の方に向きます。すると、マーキュリーとセーラールナはうなずき合い、マーキュリーが側転で妖魔に向かって行き、そこからバク転に移行して妖魔の頭にキックを食らわします…ばきっ!(←おおっ! 久々にマーキュリーの攻撃がヒットしたっ!)。

       それを見てセーラールナがジュピターに駆け寄り、「まこちゃんっ!」と声をかけます。ジュピターはようやく、「ルナ…、亜美ちゃん…」と言ってヨロヨロと立ち上がります。

       それを見てマーキュリーはうなずき、じゃりんっ!とタンバリンを取り出します。するとジュピターもタンバリンを取り出して、いつものようにじゃん、じゃん、じゃん…とタンバリンを振ります。

       マーキュリーもいつものようにぱん、ぱん、ぱん…と頭上でタンバリンを叩きながら回り、セーラールナがスティックを取り出してブンブン振り回し、3人で一斉に同時攻撃をお見舞いします…ばばばばばばばば…!(←おおっ? 効いてるのか?!)。3人は攻撃し終わると、ナニやらみたいに笑みを浮かべて武器を下ろします…それを見て美奈子もニッコリです…。

       …かと思いきや…「!?」『メタリア妖魔U』は、ナンだカンだ倒れそうで倒れず、ヨロめきながらも歩き出しました…。

        ★  ★  ★  ★  

       『メタリア妖魔U』は、今にも倒れそうな足取りで、建物の外へ出て来ました。

       セーラー戦士達も追って来て、取り敢えずファイティング・ポーズを取って妖魔の様子を静観します。

       『メタリア妖魔U』は、体から電流みたいなモノをバリバリと出したかと思うと、突然姿勢を正して上空を見上げます。

       それを見て、ジュピター、マーキュリー、セーラールナの3人は、と手を下ろし、後ろの美奈子も「えっ?!」となります。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらダーク・キングダムの「メタリアの部屋」…。

       突然、メタリアが今までにないほど異様な光を放ち始めます。それを見てベリル様は、「!…これはっ!」と言います。

       すると、そのメタリアから、何かエネルギーの塊みたいなモノがロケット花火のように飛び出して、ダークー・キングダムのお城から出て行きます…しゅぼ〜〜んっ!

        ★  ★  ★  ★  

       で、それが『メタリア妖魔U』の所へ飛んで来て、ナンと、『メタリア妖魔U』に直撃します…どっかーんっ!

       さらにゴゴゴゴゴ…!と地響きのような音がして、セーラー戦士達も動揺します。「うっ!」「うっ…!」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはクラウンのうさぎちゃん…。

       うさぎちゃんはルナカラのお菓子カウンターの所にいましたが、突然ナニかを感じます…「!…ナンかヘンな感じ…」。うさぎちゃんはペンダントに目をやり、「…幻の銀水晶?……でも、…ナンにもしてないのに……」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは『メタリア妖魔U』…。

       『メタリア妖魔U』はしばらくそのままじっと立ち尽くしてましたが、突然全身が光り始め、体中の各パーツが、更なる変貌を遂げ始めました…しゃきんっ、しゃきーんっ!(←おおっ! コイツは『メタリア妖魔V』と名付けよう)

       「あ…!」「!…」

       で、『メタリア妖魔V』は、ナニか、「ハ………、メ………、ツ………」とかナンとか言い出します。

       「!…『妖魔がしゃべった!』「!…『妖魔がしゃべった!』「!…『妖魔がしゃべった!』「えっ!?…『妖魔がしゃべった!?』

       「ハメツ…」

       「メタリアよっ!」「!…」「!…」「この妖魔、メタリアが乗り移ってるっ!」(←おおっ! そうなのかっ!)。3人は、とファイティング・ポーズを取ります。美奈子はその後方で、ただ状況を見守るばかりです…「…………」(←どうでもいいけど、マーキュリーとセーラールナは、さっきからこの美奈子の存在に気付いてるんでしょうか?!)。

       で、『メタリア妖魔V』が軽く手を振り上げると、ものすごいビームが飛んで来て、3人を軽く吹っ飛ばしてしまいます。「う゛っ!」「!…」「きゃっ!」

       3人は地面に倒れてしまい、美奈子が思わず「みんなっ!」と駆け寄りますが、みんな息も絶え絶えで返事ができません。ここで美奈子は、意を決したようにうなずくと、もう一度「ヴィーナスパワ〜!」と変身を試みますが、やはりダメです…「!…………」。美奈子は、ナンの変化も起きない自分の体を見下ろし、「どうして…」とつぶやきます…。

       すると、それをマーキュリーが倒れながら顔を上げて見て、「美奈子ちゃん…!?」と言います(←やっぱり変身してない時は「美奈子ちゃん」と呼びますな)。するとジュピターが懸命に起き上がろうとしながら、マーキュリーに、「変身…できないんだ…」と教えます。

       「…………」。美奈子は顔を上げて前を見ます。『メタリア妖魔V』がゆっくりとこちらへ向かって来ます…「ハメツ……、ホシノ…」『メタリア妖魔V』はそう言いながら右手を前にかざすと、手のひらが光り始めます。そして3人がヨロヨロと立ち上がると、『メタリア妖魔V』は、その手を握り締めて一振りします。すると、まるで『空気投げ』されるみたいに3人は吹っ飛ばされてしまいます。

       3人はまた地面に転がされますが、今度は、比較的すぐにマーキュリーが起き上がり、セーラールナがそれに続きます。しかし『メタリア妖魔V』は、その2人に向かって、手のひらからビームを放って再び吹っ飛ばしてしまいます。「きゃっ!」「きゃっ!」

       マーキュリーはみたび地面に転がされ、とうとう変身が解けてしまいます。

       するとセーラールナも、同じく変身が解けて人型ルナになってしまいました(←って、キミの場合、どっちでも同じような気もしないでもないけど…)。

       「亜美ちゃんっ! ルナっ!」

       「……」「……」亜美ちゃんと人型ルナは全身傷だらけで、倒れたまま肩で息をして、もう動けません…。

       『メタリア妖魔V』は、一人残ったジュピターの方に近付いて来ます…。

       「…ダメだ…このままじゃ…」。美奈子が「ジュピター!?」と駆け寄りますが、ジュピターは「来ちゃダメだっ!」と制止します。「……」。美奈子が立ち止まると、ジュピターは後ろを振り返って美奈子に、「……うん……」とうなずいて起き上がります。

       ちなみに美奈子は、Act.40の「リーダー対決、風船割りバトルっ!」の中では、まこちゃんのコトを思わず「まことっ!」と呼んでしまっていたのですが、ここでは、ジュピターのコトを、あくまでも「ジュピター」と呼んでますね。

       ジュピターは立ち上がると、さっき美奈子が病院で言ってた言葉を回想します…

       「たとえ命を捨てても、前世の使命を果たさなきゃ…」

       そしてジュピターは、そんな美奈子の意志を継ぐかのように、「…たとえ命を捨てても…、前世の使命を果たす…」と復唱してみせます…。「…………」。ナンでしょうか…ナンか嫌な予感がしてきましたよ…。

       ジュピターが両手のひらを胸の前で交差させ、『メタリア妖魔V』を睨みつけていると、ジュピターのティアラの緑の宝石がきらりんっ!と輝きます。すると、『覚醒パワー』のための雷雲を呼んで、ピカッ! ゴロゴロゴロ…! 辺りがたちまち夜のように真っ暗に!…(←て言うか、街灯とか思いっきり点いちゃってますけど…)。

       ジュピターは、『メタリア妖魔V』に向かって走り出し、『ジュピター・ジャンプ』で妖魔の頭上を飛び越えて背後に回り、すかさず後ろから羽交い絞めにして『メタリア妖魔V』の動きを封じます…(←おおっ! 故意か偶然か分かりませんが、これは大正解です。もしもこれが前からだと、ゾイサイトの二の舞で串刺しにされちゃうところでしたっ)。

       「ナニするの!?」

       「!……」「!……」

       ジュピターは、自分の体に次々と雷を集めて、パワーを溜め込んでるようです…ピカーッ! ゴロゴロ…ピカーッ! ゴロゴロ…(←雷の集まる音)。

       「!…………」

       「まさかそのまま…!」

       「…(心の声→)コイツさえ倒せば……メタリアさえ倒せば…!」…そして、ついに、ジュピターの体が光り始めます…。

       「やめなさいっ! そんな事したら一緒にっ…!」

       「……大丈夫!(心の声→)たとえ命を捨てても、前世の使命を果たす…!」(←マジでナニする気でしょう?! ひょっとして、自爆攻撃』かナンかでしょうか!?)。ジュピターの体から、リング状の光が放射され、それがジュピターと『メタリア妖魔V』を包みます…。

        ★  ★  ★  ★  

       すると、画面はクラウンの受付に切り替わり…。

       元基が水槽のカメに、「ほら、カメキチっ♪」と、例の『カメのお守り』を見せようとして、カウンターの縁にぶつけて床に落としてしまいます…ちゃりんっ!「!!…あぁ…」(←ってコラッ! 縁起わりぃコトしてんじゃねーっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       すると、今度は画面がルナカラのうさぎちゃんに切り替わり…。

       「…!?…まこちゃん?!」…ナニか胸騒ぎがするのか、急に変身ペンダントが光を放ち始めます…(←こっちもメチャメチャ縁起悪そう…!)。

        ★  ★  ★  ★  

       そして、ジュピターはついに…「うわあ〜〜〜っっっ!!!」

       どか〜〜んっっっっ!!!!(←マジっすかーっ!)(←やっぱまこちゃん、アンタ最高だ〜っ、カッコよすぎる〜っ!)(←ワシ、号泣の図…)。

       「まことーーっ!!」

       美奈子は、ついさっきは、ジュピターのコトをあくまでも「ジュピター」と呼んでたのに、ここでは、とうとう美奈子の本心が出て、Act.40の時のように「まこと」と呼びました…。

       本稿のAct.40の時にも書きましたが、あの場面では、美奈子は本当はまこちゃんのコトを「まこと」と呼んではいけない場面だったんです。なぜなら、あの時の「特別企画、新曲争奪、愛野美奈子バーサス新人、マーズれい子、バトル大会」では、その番組上の設定では、「トップ・アイドルとド新人が友人を引き連れて」と言うコトになってますから、あの時の「愛野美奈子」にとって、「木野まこと」はあくまでも『相手チームの友人』なのですから、たとえ以前に面識があったにせよ、それに対していきなり「まこと」呼ばわりはありえない訳です。

       つまり美奈子は、あの時、これが番組収録だと言うコトをつい忘れて、自然にみんなと打ち解け合い、笑い合っていたんですね。だからこそ、Act.40のラスト・シーンでは、『このまま現世で生き続けて、ずっとみんなと一緒にいたい』と言う感情を抑えらなくなって、涙を流していたんです。

       で、今回アルテミィ〜スがその時のコトを美奈子に話した時、美奈子は、「あれは…、マーズに乗せられただけ…」と言いましたが、やっぱりそれは本心ではなく、あくまでもいつもの『強がり』だったんですね。そうやって、『前世の使命のために、自分の心にうそをつき続けてきた』コトが、すべてこの瞬間に、ジュピターの自爆行為を見せられた瞬間に、粉々に吹っ飛んでしまったんですな…。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、ナンかあっちこっちで色々とすごいコトになってるみたいですが…(←でも、次回予告の中に、ナニげにまこちゃんの姿が出てきませんっ!)(←うぇ〜〜ん、えん、えん…まこちゅわ〜〜ん…!)。

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

 [2009年8月23日(日)初稿 トモロー]


Act.46:ヴィーナス覚醒編

 

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     今回レビューしたAct.45は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第12巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第12巻 作品本編(5話収録)

 

Act.45 Act.46 Act.47 Act.48 Final Act

毎回映像特典(12分)

 

「セーラームーン」におしおきよ

スペシャル座談会

@小林靖子インタビュー

Aセーラー戦士座談会〜1年間を振り返って〜その4

Act.45 ゲストキャスト

 

黒木ミオ:

露店の男:

ナナ:

コウタ:

木村桃子:

安部香奈実:

有紗

大森ヒロシ

山口 愛

依田悠希

夏浦清実

平井愛子

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公式ブログ「大森ヒロシの日々是笑進」▼

 

ジュネスグラフィ織田悠希▼

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アクション:

古浜愛梨

野貴 葵

佐野弥生

藤榮史哉

金田進一

伊藤由紀子

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