―実写版セーラームーンを検証する―


Act.31:ジュピター覚醒編――

 

       本稿は、2004年5月15日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第31話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       セーラー解説はまこちゃん(←お初ですかね?)。

       「うさぎ達のクラスに転校して来た、アイドルの黒木ミオ。ちょっとぉ、クセある子らしくて(←ええ?! やっぱりその程度の認識なんですか?!)、うさぎもひどい目にあったりしたんだけど…」

     ここで、前回のライブの一件がかいつまんで再現されます。

1.         「ごめんなさっ!」「みーなーこっ、だーーせっ!」。黒木ミオ:「あっははは!…あ〜あ」

2.         黒木ミオ:「あたし…、うさぎちゃんを一人だけのものにしたくて…。…うさぎちゃんが好きなのっ…!」「ミオちゃん、バカだなぁ…そんなコトしなくたって私達クラスメイトじゃん、友達だよ」「……『マジっスか?!』

       「なんだかんだでうまくまとまったみたいで(←ええ?! それもやっぱりその程度の認識なんですか?!…たぶんあのあと、うさぎちゃんがオープン・カフェに駆けつけて、みんなにそう言う風に説明したんだろうなぁ…)、学校もクラウンもいつも通り…。ただ…あたしは、それに安心してられないんだよね…」

     ここで、いつもの通学路の歩道橋を、一人で下校して行くまこちゃんが映し出されます。

       「戦士の力に覚醒してないのは、あたし一人…。焦ってる訳じゃないけど、正直、どうしてあたしだけ?…とは、思うかな…」(←やっぱ思うんだ?)。

     ここで、まこちゃんはふと立ち止まり、後ろを振り向きます。

       「どうして?……昔から、あたしの中にある疑問……」

     再びまこちゃんは歩き始めます…(←て言うか、めちゃめちゃスタイルいいぜ…)。※ちなみに、まこちゃんがこの十番中の通学路の歩道橋を歩くシーンと言うのは、実はこれが二度目で、いずれも一人ぼっちなんですよね(←一度目はAct.21で、ズル休みしたうさぎちゃん宅を訪問したあとの登校シーン)。で、この歩道橋をコッチ方面に歩いてると言う事は、このシーンが下校シーンだと言う事を意味しているのですが、まこちゃんはこのあとクラウンへ直行しますから、やっぱりまこちゃんは、普段の通学路では、この歩道橋を渡らない方角に家があるんじゃないでしょうかね(←普段の時は、うさぎちゃんや亜美ちゃんとは絶対に一緒になったコトがありませんからねぇ…)。そうでないと、普段学校では、うさぎちゃん達と行動を共にするのを極力避けてるとしか考えられなくなってしまいますからねぇ…。

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       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

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       オープニング開けは、クラウンの受付…。

       元基:「やっぱアニメじゃなくて実写版だよ」(←ナニげに挑発的な発言ですなぁ…)。元基が、今度は映画のチケットを2枚手にして、それを水槽のカメキチに見せながら、「なあ? これならまこちゃん、来てくれるかな?」(←って、まだマフラーしてるよ…)。チケットには、「カメファイターTURTLEFIGHTER−THEMOVIE−」 「ある日、一匹の亀がチャンピオンに挑戦状を叩き付ける…」…と書かれております。

       ちなみに、前回のアニメ映画は「ファインディング カメ」で、これは「ファインディング ニモ」のパロディですから、元々アニメ作品の映画しか存在しません。一方、今回の「カメファイター」「えびボクサー」のパロディですから、元々実写作品の映画しか存在しません。と言うコトは、この「カメファイター」には、ネタ元の「えびボクサー」同様、その元となる原作マンガやアニメ版と言うモノは存在しない訳ですから、したがって、ここで元基が使ってる「実写と言う表現は本来適切ではありません。「カメファイター」があくまでも「ファインディング カメ」との比較に過ぎないのなら、正しくは単に「実写」であるべきです(←「THEMOVIE」 と言う表記は、テレビシリーズの実写ドラマが元であるコトを示している)。つまり、この楽屋オチ的なセリフの意図は明らかで、これは、一体誰の差し金なんでしょうか?…プロデューサーさんでしょうか? 原作者さんでしょうか? 脚本家さんでしょうか? 監督さんでしょうか?(←でもワシは、その手の問題には一切興味がないので、何も聞かなかったコトにしたいと思いますっ♪)。

       ※ 参考までに、「えびボクサー」の予告編の文句には、「巨大化したえびが―ボクシングチャンピオンに挑戦状を叩き付けた!!と書かれておりました…。

   

       「あ、まこちゃんっ、いらっしゃい」「!…元基くん、どうしたの?!」(←制服姿です。入って来た時の顔の表情からしても、さっきのセーラー解説の下校時からの続きですな)「…あ、ちょっと、引っ越しでやっちゃって…」(←って、どーすりゃそーなんだよ?! それってけっこうな骨折じゃねーのか?!)「大丈夫?」「うんっ」「引っ越しって、自分の?」「うん、一人暮らし始めたんだ」「へぇ〜…」「けどいきなりコレでしょ? うまく自炊もできなくてさぁ。まいったよぉ」「そっかぁ…。…あ、あたし、今日カレー作るから、あしたで良かったら持って来るけど…」「いいのっ!?」「ああゆうの、一人分作っても美味しくないし、いつも大量に作るから」「い、いただきますっ♪」「じゃあ、持って来るね」「うんっっ♪」

       まこちゃんが年間パスを見せて行ってしまうと、元基はカウンターの中で「クゥ〜〜〜〜っっ!」とガッツポーズを繰り返し、再び映画のチケットをカメキチに見せながら、「チャンス!」

       元基は一人暮らしを始めたそうな…。と言うコトは、彼はこの春、「同級生の地場衛」同様、無事に高校を卒業したコトだけは間違いなさそうですな。しかしながら、この「引っ越し」が大学に通うための下宿なのか、それともクラウンの正社員にでもなったコトがきっかけなのか、それについては全く分かりません…。それにしても、ここに至って、Act.19のバレンタイン以来、元基に二度目の追い風が吹きましたな。思えばバレンタインの時も、まこちゃんが元基にマフラーをあげたのは、あの時、元基がたまたま風邪気味でクシャミをしていたのを、まこちゃんが見かけたからでした。で、今回も、「一人暮らしを始めた」と言うのに、その引っ越しでド派手にケガをしてまったのですから、それを、まこちゃんが放っておけるはずがありませんからねぇ…。

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       ルナカラにて…。

       珍しく、うさぎちゃんと亜美ちゃんとレイちゃんの三人が、一緒に談笑しながらルナカラに入って来ます(←しかも、みんな制服姿です。おそらくこれは、うさぎちゃんと亜美ちゃんが受付で元基のケガについて話を聞いてるうちに、たまたまそこにレイちゃんが来て合流したのかもしれませんな)。うさぎちゃんは、先に来てたまこちゃんを見るなり、「ん、ナニやってんの…?」

       テーブルの上には、大皿にテンコ盛りにされたジャガイモと(←蒸かして皮がむいてある)、その横に、醤油、塩、ソース、バター、ケチャップ、マヨネーズ等の調味料が並んでおります。人型ルナ:「まこちゃんが戦士の力に目覚めてないから、特訓」「ジャガイモで?」「まこちゃん、キライなのよ」。まこちゃんはコップの水を飲み干してテーブルの上に置くと、「…コロッケとかならいんだけど、このままって、ナンか、モサモサして、のどに突っかかる感じして…」「そお? 美味しいじゃん♪」。うさぎちゃんはそう言いながら、一番上にあった皮付きのやつを取って食べ始めます(←野菜は皮にも栄養があるから、なるべく皮のままがいいのだ)。「感覚はぁ分かるかな…」。亜美ちゃんも、一つ手に取ります(←こちらは皮をむききったやつ)。

       レイちゃんはジャガイモには手を出さず、イスに腰掛けながら、「でも、それが戦士とナンか関係あるわけ?」「まこちゃんにナニが欠けてるか分からないから、まず、苦手なもの、ぜーんぶ克服してみたらどうかと思ってるの」

       うさぎちゃんはイスに腰掛けながら、「ふ〜ん…」。亜美ちゃんもイスに腰掛けながら、おずおずと、「あのぉ…、ちょっと言いにくいんだけど…、ナンとなくどうかなぁって気が…『て言うか、ルナの特訓全般について…』「……」(←レイちゃんも同意してうなずいてます)。「でも、戦士の力には、心の問題が大きいのよ?」「それはヴィーナスも言ってたけどぉ、それと、好き嫌いは違うと思うわ」「そうかしら…『ンなコトないわよ』(←みたいな…)。するとまこちゃんが立ち上がり、「待ってよっ、今は、ナンでもやってみたいと思ってるから。早く、みんなと同じになりたいし…」

       それを聞いてうさぎちゃんは、「まこちゃん、えらいっ!」と言って立ち上がり、「もっと食べてっ!」とまこちゃんを座らせ、ジャガイモに塩を振ってあげます。まこちゃんはそれを頬張ると、いきなりのどに詰まらせてしまい、「う゛ふっ、…う゛ふっ、う゛ふっ、」とむせてしまいます。「まこちゃんだいじょぶ!?」「水、水っ」「水!? あっ! 亜美ちゃんマーキュリーに変身してっ!」「うんっ、マーキュリーっ!」(←ってすんのかよっ!?)。その間にレイちゃんが素早くコップに水を入れて持って来ます(←さすがだ…)。「あ、レイちゃんっ、あ、だいじょぶ?!」

       Act.29の『マーキュリー覚醒』の時、ルナは、「集中力を高める」と言うコトで、『飛んでる花びらを箸で掴む』と言う特訓をさせました。で、その効果はどうだったかと言うと、意外と当たらずとも遠からずで、その直後にマーキュリーは、『飛んでるタンバリンを水で掴む』コトに成功しました。なので、前回もルナは、「だってぇ、亜美ちゃんには効果あったでしょぉ?」とご満悦だった訳です。で、今回のまこちゃんは、『食べ物の好き嫌いを克服する』特訓(?)をさせられてる訳ですが、ところが、まこちゃんがジャガイモを嫌いだと言うのは、実はジャガイモそのものが嫌いなのではなく、『調理法によりけり』と言う、あくまでも『条件付の好き嫌い』なんですな。ここがちょっと引っかかりますねぇ…。これについては、よいこのみんなが見てる手前、教育的配慮から敢えてそうしてるのかと最初は思ってたんですが、つまり、それぐらいしか好き嫌いがないと言うコトは、まこちゃんには、『それそのものが絶対に食べられないような嫌いな食べ物はない』と言うコトですから、事実上好き嫌いがないのと同じようなものです(←ちなみにワシも好き嫌いはないが、条件付の好き嫌いならないコトもないのだ)(←そう言えばまこちゃんは、Act.17で、うさぎちゃんが「冬はやっぱり焼きイモだよねぇ〜♪」と言って焼きイモを食べてる横で、ポップコーンを食べてましたから、ひょっとすると、イモ全般が同じように嫌いなのかもしれませんな)。

       つまり、今回の『ルナの特訓』は、厳密には『条件付の好き嫌い』の克服な訳です。そこで、それをまこちゃんの心理との関わりで考えてみると、まこちゃんにとって、元基と言う男性は、すなわち『条件付の好き嫌い』の範疇に入るタイプ…と言うコトを示唆してるんじゃないですかね? つまり、ひょっとすると、長い目で見て(←つまり「コロッケとか」に料理して)『結婚するには理想的』なタイプかも知れないけど、今すぐ(←つまり「そのまま」『恋人として付き合うにはぴんと来ない』タイプの男性…と言うコトです。

       ※ たとえば、予め原作・アニメを知ってる人には、まことと「元基お兄さん」との関係については、どうしても、『まことの好みのタイプ』だったと言う先入観があります。アニメ版では、第29話「大混戦! グチャグチャ恋の四角関係」で、「ああ…ホント、元基さんの声って、失恋したセンパイとそっくり…」つって猛アタックかけて失恋してましたし、原作においては、Act.5で、「ゲーセンの――古幡のおにーさん ちょっとにてて さ 失恋したセンパイに」「美少女戦士セーラームーン (1) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 1 新装版 (KCデラックス)より)と、自分が十番町にやって来た理由として誤認するきっかけを作ってたくらいです。

   

       がっ! 実写版においては、まこちゃんを十番町に導いたと誤認していたのは「元基」ではなく、ストリートバスケの「タケル」ですつまり実写版の「元基」は、決して「失恋したセンパイ」にはこれっぽっちも似ておらず、その時点で、まこちゃんにとって「元基」『恋愛の対象』ではないと、一番始めにそうキッパリと宣言してた訳です。それは一方の元基の方も同じです。彼は最初はうさぎちゃんとちょっと絡んだりして、最初からまこちゃんに気があった訳ではありません。

     それでは、なぜ、そもそも、原作・アニメにおいては、誰からも憧れられる『優しくて素敵な元基お兄さん』が、実写版においては、わざわざ真逆の『冴えなくて、勤務態度も悪いカメオタク』に設定変更させられたのか? その理由はナンなのでしょうか? つまり、原作・アニメとは違い、実写版においては、まこちゃんにとって「元基」『恋愛の対象』ではないと言うコトを、ハッキリと強調して断っておくためです。そうなんです…「元基」『恋愛の対象』ではないんです、しかし、その一方で、実は『結婚の対象』ではあったんですな…それはつまり、この二人の関係とは、じっくりと時間をかけてお互いを知り、その愛情と絆を確かめ合い、深めていく関係…つまりこれが、実写版における、まこちゃんと元基の関係であり、この二人の『優しくて、限りなく現実的な恋愛物語』なんです。だから元基は、我々視聴者目線でも、Act.2における「最悪の第一印象」から、回を重ねるごとに、徐々に、「ひょっとして、意外といいやつかも?」に印象が変わっていくように、巧妙かつ慎重に描かれてきたんですね。

       そしてそれは、前世から決められてる運命によって加速度的に引き付けられていった、うさぎちゃんと地場衛の『激しくて、限りなく非現実的な恋愛物語』と、完全に好対照を描いて見せてもいる訳です。

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       ダーク・キングダムにて…(←今日のお城にカラスは飛んでおりません…)。

       ゾイサイトがピアノ部屋で「月光の曲」を弾いていると、そこに誰かが入って来ます…

       …その誰かに向かってゾイサイトが、「前世を思い出す気になったか?」と声をかけ、ピアノを止めます。入って来たのはネフライトです…「その前世とやらを覚えているのは、お前だけか?…『て言うか、まず「前世」って単語の意味から教えてくれる?』「ジェダイトは何も知らん…『その単語すらな』。だがクンツァイトは、目覚めと同時に記憶を取り戻している…」「なるほどな……。私も思い出したら、ベリル様も私を無視はされないかもな…」「そんな事かっ。ネフライト、お前のあるじはベリルではない。マスター・エンディミオンだ…!」「!…自分のあるじはっ!…自分で決める…」(←おいおい、ナンで最後、弱腰なんだよ…)「……いいだろう…、思い出せば分かる…『フッ、迷ってるな…』。ゾイサイトはそう言うと、「幻想即興曲」を引き始めます…「…はるか昔…、我ら四天王は、この星と、この星の王子である、マスターを守護する役目にあった…」。ネフライトはそれを聞きながら、ゆっくりと目を閉じます…。

       それはそうと…ちょっと待てよ?…これ、ネフライトは、Act.28の「お前の…邪魔をしたかった…!」の一件で、ベリル様からはナンのお咎めもなかったみたいですよねぇ…。と言うコトは…あの時、クンツァイトがマーキュリーを斬ろうとしたコトの意図が、ジェダイトくんにもベリル様にも分かってなかったってコトになりますなぁ…。つまり、クンツァイトが幻の銀水晶を手に入れようとしてた事自体は分かってても、その具体的な方法にまでは気付いてなかったんですな。まあ、よくよく考えれば、当然そうでしょうな…。だからこそ今現在、ああして「プリンセス」を泣かすために、黒木ミオを派遣してる訳ですからなぁ…。つまり、ジェダイトくんとベリル様は、やはり、ただ単に「プリンセス」を泣かしさえすればそれでいいとしか思ってないんですな。だから、クンツァイトが、その『涙の理由』こそが肝心なのだとマーキュリーを斬ろうとした意図も見抜けない訳で、だから、ネフライトの妨害行為が、『とんでもない反逆行為』だったとも気付かない訳なんですな。で、そのお陰でネフライトも、こうして無事でいられる訳ですな。ネフライトは、『ダーキュリー』に対して借りを返す感情を持っていたからこそ、あの時、クンツァイトがマーキュリーの命だけを狙ってる事に気付き、だからこそ、ネフライトだけがクンツァイトの意図に気付けた訳なんですな。

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       こちらは愛野邸…。

       学校から帰宅したらしき制服姿の美奈子が、学生カバンをソファの上に置き、電子オルガンの上にいるアルテミィ〜スのところに行きます。「ルナからぁ、ジュピターの力の目覚めがまだうまくいかないと、連絡があった」。美奈子はイスに腰掛け、「確かに遅いけど…、でもきっと目覚める。そのために前世を持って生まれてきたんだから……あたしも…」

       ※ この最後の「あたしも」と言う一言は、てっきり「前世をもって生まれてきた」に掛かってるものとばかり思っていたんですが(←たぶん、誰もがそう思ったはず)、ナンと違ってたんですよねぇ…。でも、それが、実は「きっと目覚める」の方に掛かってたのだと言う衝撃的事実が分かるのは、ナンとAct.43なんですよねぇ…(←って12話も先かよっ! とっくに忘れてるっつーのっ!)。

       ちなみにこの部屋は、Act.15と同じ、愛野邸の美奈子の部屋には違いないんですけど(←ロケに使われてる家自体も、たぶん同じだと思われる)、Act.15では、電子オルガンが置いてある方の壁側は一切映されてませんでしたが、窓のサッシは上下に開閉するタイプのものが左右に2枚並んでますし、壁紙、カーテン、カーテンレール、ベッド脇の小さな机(その上の目覚まし時計とランプ)、勉強机(その上の蛍光灯と鉛筆立て)、イス…等はみんな同じものです。ただし、ベッドが木製からパイプ製のものに買い換えられており、その関係からか、ベッドの頭側の壁に吊るしてある植木鉢(?)の位置も、若干高さが変わってます。あと、勉強机の上の小物入れの形が微妙に違うのと、その上に置いてある写真立てのような物も違ってます。

       ところで、美奈子は幼少の頃、エレクトーンでも習ってたんですかね? ちなみに、「エレクトーン」と言うのはヤマハの登録商標ですから、すなわち「ヤマハ製の電子オルガンの商品名」の事で、厳密には楽器の種類を指す単語ではありません(←なので、いわゆる「エレクトーン教室」と言うのは、「ヤマハ音楽教室」の一つなんです)。で、美奈子の部屋に置いてあるのがヤマハ製かどうかワシには分からないので、本稿では単に「電子オルガン」と書いておきます(←いずれにせよ、この機種は、電子楽器がデジタル化される前の時代の、古い機種の電子オルガンであるコトだけは確かなようなので、デジタル世代の美奈子が小さい頃にエレクトーンを習うために新調してもらった楽器ではないはずです。彼女自身が成功したのちにヴィンテージ物を購入したか、あるいは母親のお下がりである可能性が高いですね)。

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       こちらは月野邸…。

       うさぎちゃんが「ごはん〜、ごはん〜♪」と居間に入って来ます…「うわぁ〜ポテトだらけっ! 大学イモ、コロッケ、○×〜っ、おいしそ〜♪」(←これ、クラウンのを使ったな…大学イモはジャガイモじゃないが…)(←ちなみに時計が7時10分くらいを指してます)。

       そこに電話が掛かってきて、うさママが「はぁ〜い! はいはい〜♪」と出ます…がちゃっ「もしもしぃ? あっ、パァパ〜っ♪」(←Act.14でも書きましたが、うさママがこう言う電話の出方をする時は、すでに相手の目星がついてる証拠なんですな。そうでない時は、きちんと「はい、月野です」って言うからです。これは、普段、月野家がどれほど家族間の連絡が密であるかを、言外に表してるんですね)。「♪…」(←うさぎちゃんも、電話のやり取りに注目します)。「えっ?! また出張?!」「!…『ええっ!?』(←一緒に不満顔)。「ちょっと社長に文句言っちゃうわよ文句っ」「…『うんうんっ!』(←一緒に抗議顔)。「うふっ、うそうそっ、本気にしないでよぉ〜んん〜〜「パパ〜、お土産よろしくねぇ〜っ♪」(←立ち上がって電話に参加)。進悟:「ガキっ…!」(←飯食ってる)。「進悟はいらないってぇ〜♪」「ナンでだよぉっ!」(←いきなり立ち上がる)「○×と、ひつまぶしとねぇ、○△…」「○×△□!」(←姉に食って掛かる)「静かにっ! パパの声聞こえないでしょおっ!」「!…」「…」

       なるほど…そうだったのか…。月野家がほとんど母子家庭だったのは、うさパパの仕事が「記者」なので(←原作・アニメでは雑誌記者だったが…)、やたら出張が多かったからだったのか…。きっと、うさパパの勤務する会社も、原作・アニメの頃と比べて、景気も悪くて人員も削減されたため、めっちゃ人使いも荒くなってるんだろうなぁ…(←実写版のギャラ代も浮くしなぁ…)。

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       こちらは木野邸…。

       こちらは一人暮らしなので、騒々しい月野家の一家団欒とは打って変わって、それはそれは静かなもんです…。

       で、まこちゃんがカレーを作ってます。もちろん市販のカレールーなんか使いません。自分でスパイスを調合しております…本格的です。

       まこちゃんは、小皿に取って「うん…」と味見しながらスパイスの量を調節しております。その表情は、ナニを思いながら作ってるんでしょうか?

       ところで、まこちゃんは元基に、「いつも大量に作るから」と言ってましたが、これ、どう見ても「大量」と言うほどの量でもないですよねぇ…せいぜい三人前か四人前くらいの量です。要するに、元基にああ言う風に言ったのは、『ヘンに気を使わせないため』、または、『ヘンなカン違いをされないため』と言う配慮からなのかもしれなせんなぁ…。

       まこちゃんの部屋の戸棚の上には、両親と写ってる小さい頃の写真が飾ってあります(←これはお花見に行った時のものですね。まこちゃんが花とか好きなのは、両親の影響もあるんでしょうか? それとも、まこちゃんが『連れてって』と頼んだのでしょうか? 三人とも笑顔で、幸せそうです)

       さて、先ほどの月野家のシーンで、なぜ、今回に限って、いつも不在のうさパパを(電話で)登場させ、わざわざ月野家の夫婦まで勢ぞろいさせ、ことさら、この木野家との好対照を描いて見せたのでしょうか? これは明らかに、まこちゃんの『恋愛事情』を、『家庭事情』の延長線上にあるものとして、同列に語ろうとしている事を示すためです(←今回のエピソードのあらゆるモチーフや各人のセリフが、ナニげにそのコトに含みを持たせています)。本稿では、まこちゃんが『恋愛担当』だと言う説明は散々してきましたが、この『恋愛担当』と言うのは、『友情担当』とは違って、それそのものでは完結せず、当然その先がある訳です。友情は友情で完結しますが、恋愛はそれだけでは完結せず、その先に、必ず結婚と言う項目が控えてる訳です。結婚とは、すなわち家庭を、家族を持つコトです。つまり、天涯孤独のまこちゃんが、自分の子供を通して、血縁でつながれた家族を手に入れる唯一の方法、それが結婚な訳です。つまり、そもそもまこちゃんの恋愛体質と言うのは、すなわちそのまま結婚願望であり、要するに家庭や家族への強い憧れでもあるんですな(←その思いが、まこちゃんを花嫁修業的な趣味と実益に向かわせてもいた訳です)。

       ※ ちなみに、この件に関しては、原作に以下のような記述があります(↓)

     ――あたしの夢 ――あたしは 両親が早く死んじゃって ひとり暮らしが長いから 早くケッコンして しあわせな家庭をつくるの」(←「美少女戦士セーラームーン (13) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 9 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       ところが、前にも書きましたが、実写版のまこちゃんはAct.6でセーラー戦士に覚醒して以降、逆に、全くその手のコトから距離を置くようになってしまいました(←最初は、「タケル」にフラレた時のフラレ方が余りにも壮絶だったので、もう懲りたのかと思ってましたが、もちろんそればかりではないようです)。そしてそのエネルギーを、全て「仲間」とのつながりのために費やしてきたんです。つまりそこに、まこちゃんの「心の問題」があった訳です。要するにまこちゃんは、自分の本当の願望を別のものに摩り替えて、ずっと肩代わりさせて来てるんですね。まこちゃんの抱く『仲間意識』が、決して『友達意識』に昇華し得ない理由が正にそれなんですな。これでは当然、「助け合って強くなる」はずなんかありません。

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       翌日、クラウンの受付にて…。

       元基は、カウンターの中をうろうろしながら入り口の方を気にして、まだかまだかとまこちゃんの来客を待ちかねている様子です…(←って、手には既に、ライスと福神漬けを盛ったお皿がスタンバイされてる〜っ!)。元基は水槽のカメキチに向かって、「カメキチっ、今日こそお前に大量リードだからなっ、手作りカレーだぞ♪…」。元基はお皿をカウンターの上に置くと、スプーンを天井にかざして「カレ〜〜っっ!!」と叫びます(←アホです)。そこへお客さんが来たらしく、元基はサッとスプーンを後ろへ隠します。

       入って来たのはまこちゃんです(←私服なので、今日は土曜日ですかな)。「こんにちは」(←さわやかな笑みを浮かべております)。「いらっしゃいっ♪」。まこちゃんは早速、紙袋からカレーの入ったタッパを取り出すと、「はい、好みに合うか分かんないけど…」と言って、それを元基に差し出します。「うわっ、いい匂いっ、ありがとうっ!」。まこちゃんは「じゃあ」と言って年間パスを見せ、あっさりと立ち去って行きます。

       すると元基は、「あっ、ちょっと待って!」と言ってタッパをカウンターに置き、「これぇ、お礼って言うか…」と、例の映画のチケットを差し出します。「そんなぁ、いいよ…」「いやいやっ、それじゃぁ、オレの気が済まないからっ…。ねっ!」「ホントに?」「うんっ」「じゃあ、ありがと」。まこちゃんはチケットを取りますが、なぜか元基はそれを離そうとしません。「?…」「!…」。二人はしばしチケットを引っ張り合い、「ん…?」「あっ…、あのぉ…一枚はぁ…」。元基はケガした方の手で自分を指差します。「あ、あぁ…」「あはっ…!」。まこちゃんは一枚だけチケットを抜き取ると、「あははは…」「あははは…」「…………」「…………」「あははは…」「あははは…」

       う〜む…なるほど…、要するに、まこちゃんは、いつもあっさりと受付を通り過ぎて行ってしまうので、よっぽど何か会話のきっかけがないと、立ち止まってくれないんですね。逆に元基の方でも、まこちゃんのコトをヘンに意識してしまってるので、何か会話のきっかけがないと呼び止めづらいんですな。ところで、まこちゃんが元基に渡したカレーですが、これ、この量から考えて、おそらくまこちゃんは、昨夜夕飯で自分の分を一人前食べただけで、その残りを全部タッパに詰めて持って来たんじゃないでしょうかねぇ? これなら一日や二日は助かりますからね(←やさしいですねぇ…気が利いてますねぇ…)。

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       ルナカラにて…。

       まこちゃんは、元基から受け取った「カメファイター」のチケットをじっと眺めております…「…………『どーでもいいけど…メチャメチャつまんなそぉ…』。テーブルにはレイちゃんと亜美ちゃんが座ってて、まこちゃんは、二人に背を向けるようにして立ったままです。レイちゃんはナンか本を読んでて、亜美ちゃんはお勉強をしております。

       ちなみに、このチケットにも、前回の「ファインディング カメ」と同じ、「2004.4.30」の判が押してありますな…ただし、「5月公開予定」とは書いておらず、「全国一斉公開中」となっております。

       そこへ、少し遅れてやって来たうさぎちゃんが駆け込んで来ます…「まこちゃんっ、これから元基くんとデートなんだってぇ?!」

       「!…『ンだとぉ!?』「!…『ホントに?!』

       まこちゃんは、「!…『やべっ』みたいに、慌てて後ろのレイちゃんの顔色をチラッとうかがい、「違うって! カレーおすそ分けしたからぁ、そのお礼ってだけで…」。うさぎちゃんは、冷やかすように、まこちゃんの手からチケットを取り上げてヒラヒラさせながら、「どうかなぁ…、元基くん、うれしそうだったよ!」「…『あんのバカっ、ぺらぺらと余計なコトを…!』(←みたいにドアの方をチラっと睨む)。「あのカンジ、ゼッタイまこちゃんのコト好きだねっ(←後ろでレイちゃんと亜美ちゃんも、顔を見合わせてニヤけております)。「ちょっとヤメテよっ!」。まこちゃんはうさぎちゃんからチケットを引っ手繰ると、怒ったようにイスに腰掛け、「やっぱり行かないっ。そんな風に言われるんじゃ、元基くんだって迷惑だし」「ムッ!…ナニ言ってんのっ! 元基くんがかわいそうじゃんっ!」「……」「行けば?…あたしは別にナニも言わないわよ…」(←再び本を読み始める…)。「…態度が言ってる…!」

       ちなみに、レイちゃんが読んでるのは、これ、Act.15でも読んでた「99の霊術・霊法」なる本ですな(←元ネタは「66の霊術・霊法―あなたにも今すぐできる」成甲書房。2002年10月発売)。Act.15の時は、ちょうど本の真ん中あたりのページを読んでましたけど、今回も同じところを読んでるようですな…そのページに、よっぽど重要な事が書いてあるんでしょうな…)。

 

       そこへいきなりぴゅうと人型ルナが出て来て、「まこちゃん、これも戦士の修行よっ」(←って、いつも菓子食ってんな…)。「…関係ない」

       そうなのだ…ルナの言うとおり…「これも戦士の修行」なのである…。実はこれは、本稿のAct.27の時に紹介した、「竹取物語」の古典原文に書かれている「かぐや姫」の地上における足跡が、まさにそのコトを示唆しているのである(←「竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)より)。

 

       「待って待ってぇ!…ん〜もうちょっと可愛い格好のがいいよっ!」「…『って、行く前提で話し進めてんなよ!』「そうだっ!…うふっ♪」「?」「?」「?」。うさぎちゃんは、自分のケータイを取り出して、「…『これこれ…♪』みたいに笑みを浮かべます。

        ★  ★  ★  ★  

       で、ステージに上がって、まこちゃんのファッション・ショーの始まりです…。

       ちなみに、Act.23のマーズれい子の衣裳換えのシーンでは、ケータイ画面にその衣裳の写真も出てましたから、衣裳を選ぶ際はその画像を見ながらチェックできるはずです。しかし今回のこのシーンでは、おそらくケータイ画面には画像は出ておらず、『衣裳ストック#01みたいな感じで、本人にしか分からない文字リストで表記されてたんじゃないでしょうか?…てな訳で(↓)

       ぴるんっ!『衣裳ストック#01⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…とにかく上が水色で下が白のスカートだ…(←まこちゃんの反応はいまいち…)

       ぴるんっ!『衣裳ストック#02⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…とにかく緑のカーディガンに水玉のワンピースだ…(←まこちゃんの反応はいまいち…)。

       ぴるんっ!『衣裳ストック#03⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…とにかく見た通りだ…(←でも、まこちゃん自身は「…『これはどう?』みたいな…)

       う〜む…、まこちゃんの中の人は世にも稀なるスタイル抜群のモデルさんだから、ナニを着ても似合っちゃうはずなのに…この微妙な違和感は一体ナンなのでしょうか?…これはおそらく、実写版ならではのイメージギャップなんだろうなぁ…。まこちゃんは普段ボーイッシュなファッションで、髪型もポニーテールだし(←ジュピターもそう)、だから、今まで髪を下ろしたところを一度も見た事がありませんでした(←確か、いつも帽子をかぶっていたと思うのだが…)(←と思ったら、Act.18で、元基をオープン・カフェに呼び出して地場衛情報を探ってた時にも下ろしてましたね。ただし、その時は髪を耳に掛けてたので、またちょっとイメージが違いますが…)…で、髪を下ろしたまこちゃんと言うのはめちゃめちゃ大人っぽいんですなぁ…その時点でまず、実写版的なイメージギャップが生じてるところへ、うさぎちゃんのちょっと幼げな可愛いタイプの服ですからねぇ…。つまりこれは、モデルにも衣裳にも非の打ち所がないのに、『顔の大人っぽさ』『服の子供っぽさ』のミスマッチが、微妙な違和感をかもし出すようにうまいことコーディネートされてるんですな。

       で、うさぎちゃんは腕組みをし、「う〜ん…、私のじゃまこちゃんに似合わないね?」(←横で人型ルナも大きくうなずいております。しかし亜美ちゃんは特にリアクションなし…レイちゃんは『そお?』みたいな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       「レイちゃんのは?」。レイちゃんは一人イスに腰掛けて見てますが、手にはすでにケータイを用意してあります。

       ぴるんっ!『衣裳ストック#01⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…って、こりゃ婦警さんだね…(←まこちゃんは「!?…『ナンで?』みたいな…)。

       ぴるんっ!『衣裳ストック#02』⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…って、こりゃ消防士さんだ…(←まこちゃんは「……『マジ?』みたいな…)。

       「え〜っ!? こんなのばっかぁ?!」「役に立ちそうなモノ以外入れてないのっ…」(←さ、さすがだ…)(←て言うか、『だったら最初からそう言え〜っ!』)。「つまんないのっ」「ふんっ…『マーズれい子の衣裳だって、とっくに消したわよっ』

        ★  ★  ★  ★  

       「亜美ちゃんのは?」

       ぴるんっ!『衣裳ストック#01⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…とにかく白だ…(←まこちゃんは「…『亜美ちゃんこんなの着んの?』みたいな…)。

       ぴるんっ!『衣裳ストック#02⇒ワシに女モノの服の説明はムリ…ってナンぢゃそりゃあっ?!(←ナンかぴろ〜んて出て来たぞっ?! 誰かこの服の仕組みについて説明してくれぇ〜っ!)。

       「……」「……」「……」。…一同唖然…レイちゃんは思わずイスから立ち上がり、人型ルナも亜美ちゃんの方を向いて、三人はドン引きで亜美ちゃんを見ます…。「……あ、…あは、なん、となく…あはぁ♪」「……」「……」「……」「あは…♪」

       「もういいっ!…『どいつもこいつも人をおちょくるのもいい加減にしやがれっ!』ぴるんっ!「自分の服で行く…!」ぱたんっ!(←ケータイを閉じる)。まこちゃんはそう言うとステージを下り、亜美ちゃんのケータイをうさぎちゃんに渡して、さっさと行ってしまいました。「え〜〜っ!」。その後ろで人型ルナが、自分のケータイを持って『まこちゃんっ、私のがまだよ〜っ!』みたいに飛び跳ねてアピールしております(←って、アナタの普段着って、それ一着しか持ってないじゃん…あとは例の幽霊ジャージと…)。

        ★  ★  ★  ★  

       映画館前にて…。

       映画館の入り口の外に、「カメファイター」のポスターが貼ってあります(←その横には「ファインディング カメ」のポスターも…)。元基はそのポスターを見上げながら、「やっぱアニメじゃなかったんだなぁ…」(←また言わされてる…)

       ちなみに、「カメファイター」のポスターには、「もう池には帰れない!」と言うコピー文句が書かれてあり、ナニげにこれを見てワシは、この映画がめちゃめちゃ観たくなりました(←ちなみにこれは、もちろんネタ元の「えびボクサー」の、「もう、海には帰れない!」のパロディです)。

       まこちゃんが、チケットを眺めながら階段をゆっくり上がって来ます。元基は、「まこちゃん、早く早くっ!」と手招きしたあと、「始まっちゃうよっ」と、どさくさにまこちゃんの手をつかみ(←ってコラァ〜っ!)、走って映画館の中に連れて行きます。「……『て言うか、恥ずかしいから、いい加減そのマフラーだけはやめてくれない?!』

        ★  ★  ★  ★  

       館内にて…。

       二人は飲み物を持って、まこちゃんはポップコーンも持って、元基に先導されて席に着きます。

       ここは小さい映画館みたいですな。ちなみにここは、オープニングの「撮影協力」によると、「吉祥寺バウスシアター」と言うところだそうです。公式サイトによると、ここには劇場が三つあって、バウスシアター(1)が218席、(2)が50席、(3)が105席とあります。このサイト内の写真は2009年現在のものでしょうから、どうやら、実写版撮影時とは内装がちょっと違ってるみたいですな(←イスの形がどれも違うようです)。ただし、座席の並び方や画面上の座席数から判断すると、おそらく撮影に使われたのは(3)の105席のところじゃないでしょうかね? で、場内のお客さんはまばらです…。土曜の午後でこの入りじゃ、「カメファイター」は興行的には失敗だったようですな。画面上で確認できる範囲では、まこちゃん達以外では、カップルらしいのは2組だけで、あとはみんな一人で観に来てるようです…男性客が6人、女性客が5人…、どうやら「カメファイター」は子供が観る映画ではないようですな。おそらく、小さなお子さんは、みんな「ファインディング カメ」の方を観に行ってるんでしょうな。

       元基は、先に座ってパンフレットを見てた女性客に、「すいません…、すいません…」と声をかけて真ん中辺に行くと、まこちゃんに「ここら辺にしようか?」と声をかけて席に着きます。その列は真ん中の三つの座席が空いていて、まこちゃんはその女性客の隣に座ります。元基は、最初、反対側の男性客の隣に座ろうとして、まこちゃんが真ん中に座らなかったのを見て、「やっぱ真ん中がいいんだよな…」とか言いながら、まこちゃんの隣に座ります。

       ちなみに、この間に、館内では、映画の本編が上映される前のCMが流れていたのですが、そのCMの音声を必死こいて聞き取ってみましたところ(↓)

     女性:「今夜、あなたがプロポーズする気がする…」(←BGMは、「バッハ作曲 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 第2曲 『エア(G線上のアリア)』」)。

     男性:「女のカンは鋭いからなぁ。悟られず、さり気なく渡すのが理想だ…」(←あれ? ひょっとしてこの声は、アルテミィ〜スの人?)。

     女性:「彼のポケットのふくらみ、たぶん、指輪だと思うの…」(←じゃこっちはルナの人?)。

     男性:「○×△□(←元基のセリフとかぶって聞き取れず)…まさか指輪だと気付いてないだろうな…」

       ここで、まこちゃんが、先ほどのクラウンでのうさぎちゃんの言葉を思い出してます⇒(「あのカンジ、ゼッタイまこちゃんのコト好きだねっ)。するとまこちゃんは、「…(心の声→)そんなコト…『ゼッタイある訳ないよ…』(←これ、うさぎちゃんがあんなコト言ったせいで、まこちゃんは却って、このデートに対して警戒心が芽生えてしまったんですな…『告白とかされちゃったらどーしよう…』みたいに…)。

     男性:「今だ…!」

     男性&女性:「ファッション・ジュエリー…、ジュピター」

       まこちゃんは、CMの「ジュピター」のセリフと同時に、ポップコーンをぽりっ!と食べます。

       ※ ちなみに、これは「アクト・ゼロ」で分かるコトなのですが、この「ファッション・ジュエリー・ジュピター」って、実は、なるちゃんのお母さんのお店のコトだったんですね(←さすが「新作ジュエリーの発表会」をするほどの有名なジュエリー・デザイナーですな、CMまで出してたとは…)。ちなみに、原作・アニメでは、なるママのお店の名前は「ジュエリー OSA・P」でした(←ちなみに『オサピー』とは、原作者さんの担当編集者さんのあだ名ですから、さすがに実写版でコレは使わんだろう…)。

       さて、そこで問題なのは、なぜこのシーンで、このようなCMが流れていたのか?です。このCMは、結婚指輪のための宝石のCMですから、テーマは『恋の告白』ではなく、「プロポーズ」です。しかしながら、まこちゃんと元基は、現時点では恋人でもナンでもありませんから、この二人のデートの背景にこんな「プロポーズ」のCMなど場違いですし、段階的にも早過ぎます(←て言うか、まこちゃんまだ14歳で結婚できないし…)。なので、本来このCMはこの二人とはナンの関係もないはずです。ところが、実は大有りなんですな。なぜなら、結婚願望の強いまこちゃんにとって、始めから、『恋人』はイコール『結婚相手』として見なされるからです。そしてそれは、このすぐ後に分かりますが、元基の方にしても、実はそれと同じ感覚を持っていたんですね。『天涯孤独』のまこちゃんは、要するに、『天涯孤独』ゆえに、実は他の誰よりも家族への憧れが強いんですな。すなわちそれが、早く結婚したいがゆえの『恋愛体質』に結びつき、さらに『料理上手』『植物が好き(=子育て)』という『花嫁修業』的な趣味と実益に直結してもいく訳です。原作・アニメでは、その辺について特に深く掘り下げられてはいませんでしたが、実写版では、まこちゃんが「戦士の力」に目覚める過程を通して、それを深く掘り下げようとしてるんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       映画を見終わって、オープン・カフェにて…。

       元基はパンフレットを見ながら、「いやぁ〜まさかあんな感動映画だったとはねっ」(←泣いてます)。「…うん…『ってどこがじゃっ!』(←セーラー戦士一涙もろいまこちゃんが泣いてませんから、感動してるのは元基だけです)。二人は、緑に囲まれたオープン・カフェで、ジュースを飲んでおります。

       元基:「うぇ…、うぇ〜ん、…うぇっ」(←泣いてます)。まこちゃんはポケットからハンカチを取り出し、元基に「はいっ」と差し出します。元基は、「ありがとう…」と言って受け取ると、それで涙を拭きます。しかしまこちゃんは、すぐに下を向いてパンフレットを見始めます。

       すると元基は、「まこちゃんてさ、ホント女の子らしいよね」「えっ!」「編み物もできるし、子供好きだし(←子供って、人型ルナのコトか?)、料理もうまいしさ、あ、それにやさしいし!」(←まるで、結婚を前提にしたお見合いカップルのような会話の内容です)。「…」「女の子、してるよ」「……」「?…どうかした?」「あ、いや、そんな風に言われたコト、なかったから…」「ホントに?! やっぱ、一人暮らししてる女の子は違うんだと思うけどな。それにさ、オレも一人暮らしして思ったんだけど」

       ここから元基のセリフが、まこちゃんの心の中で響きながら遠ざかって行きます⇒「親がいたらいたでうっとおしいけどさ、いなかったらやっぱ物足りないよね…」「……『いなかったら…やっぱ…物足りない…』(←このように、会話が、終始、家庭関連の話で共鳴し合ってます)。

       「で、まこちゃんの実家って遠いの?」(←これも家の話です)。「…………えっ?……あぁ…『実家は木星にあって…じゃなくて』、両親が、小さい頃に死んじゃってるから…」「ごめんっ!」(←思わず頭を下げる)。「あぁ、ぜんぜんっ、慣れてるから…」。元基は思わず言葉に詰まってしまい、気まずそうにジュースを飲み始めます…「ちゅ〜〜ごくっ、ごくっ…ちゅうっ!」(←もっと静かに飲まんかっ!)。「……『よし…敵のテンションも下がったコトだし…話がヘンな方へ行かないうちに…と…』。まこちゃんも、急にそわそわと辺りを見回し始めます…。

       これ、たとえば、Act.6で、うさぎちゃんが同じ場面に遭遇した時と比べてみましょう…(↓)

―Act.6の再現VTR―

       「引っ越してきたばかりで大変でしょ?」「うん、一人暮らしだから…」「うそっ?! まこちゃん一人暮らしなの?」「うん、両親が小さい頃に死んじゃってるからね」「……そっか……そうだっ! もう一ヶ所案内するよっ、困ったときに、神頼みするトコっ!」。そう言ってカバンを肩にかけ、さっと立ち上がるうさぎちゃん。「…『って、まだ食べ終わってないよっ!』。どんよりムードをあっけらかんと吹っ飛ばしてしまうパワーは、うさぎちゃんならではですな。…て言うか、込み入った話は苦手なだけかもしれませんが…

       (↑)元基っ、これだっ! コレを見習えっ! そんなコトじゃ、『天涯孤独の人』を受け止めて生きてくのはキツイぞっ!(←うさぎちゃんはこうだから、『天涯孤独の地場衛』も受け止められるんだぞっ!)。

       すると、ここでまこちゃんは、「…じゃあ、あたし…」と言って席を立ちます。「えっ…!」「ナニ言ってるのっ!」(←いきなりぴゅうっ!と人型ルナがっ!)。「ルナぁ…!」「まこちゃん、そんなんじゃダメじゃない!」(←パフェ食ってます)。「カメキチさんもっ、しっかりしてくれないと困るわっ」「いや、だからカメキチは…」「ちゃんとデートしてっ!」「はい…!」「……」(←決まり悪そうに、黙ってうなずく…)。

       ※ ちなみに、DVD第8巻収録の「未使用カット」には、さっきの映画館にぬいぐるみルナが忍び込んで来て(←チケット代浮かしたな…)、座席に潜り込んでから人型ルナになり、まこちゃん達の後方に座って二人を監視してる…と言うシーンがありましたな。で、それを踏まえてもう一度オープン・カフェのシーンをよく見ると、隣のテーブルのお客さんの向こうに、人型ルナの『青い頭』だけがちらっと見えてて、密かにテーブルに座ってパフェ食ってるらしい姿が確認できるんですね。で、しばらくするとその姿は消えてて、いきなりここで「ナニ言ってるのっ!」と出て来るんですな(←このシーンもウケたなぁ…)

       ※ さらに、おそらくこのシーンの直前に入る予定だったと思われる「未使用シーン」もここで紹介しておきましょう(↓)

1.         クラウンにて…。まこちゃんが出て行ったあと、うさぎちゃんが、ルナカラの写真ボードに貼ってある、自分とまこちゃんとのツーショット写真を眺めながら、「まこちゃんと、元基くんかぁ…」と言ったあと、みんなの方に振り向いて、「けっこうお似合いだよねっ♪元基くんなら、いい人そうだしっ」「男なんてみんな同じよ…」「うわぁ〜〜レイちゃんってホントこっち方面興味ないんだね?」「別にっ、普通よ」(←これって要するに、自分は男に興味はないが、他人の色恋には普通に関心があると言う意味か?!)

2.         「あ〜あ…、デートか……いいなぁ…」。うさぎちゃんはソファに腰掛け、急にしんみりしてしまいます。それを見た亜美ちゃんが、レイちゃんと顔を見合わせ、とっさにテーブルの上の歌本を手に取ると、「うさぎちゃんっ、カラオケしない?! 私、練習したい曲があって…!」と、うさぎちゃんに駆け寄ります。うさぎちゃんは、「うんっ、やろやろっ♪」と言って、持ってたクッションをソファに置いて立ち上がります。それを見て、レイちゃんは微笑み、おもむろに席を立ちます(←おそらく、紅茶を入れに行ったものと思われる)。

3.         で、この時ルナは、すでにまこちゃんの偵察に出かけてたようで、姿が見えません。

     この「未使用シーン」は、まあ見たまんまなので、特に付け加える事もないのですが、このように、亜美ちゃんとレイちゃんの意志の疎通がスムーズに図られてる様を見るのは、Act.11、12の頃を思い出しますねぇ…。あの頃は、うさぎちゃんとまこちゃんの「ミーハー組」がつるんでて、亜美ちゃんとレイちゃんの「マジメ組」がせっせとお仕事してたんですよね(←※ と思ったら、実は、ナニげにこのシーンは、全くもって、ものすごく重要なシーンだったコトが、次回からAct.33にかけて判明するのであった…)。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       クラウンにて…。

       「へえ〜〜じゃあルナがデート続行させたんだ?」(←カラオケで「セラビー」を歌ってた最中だったようです。レイちゃんのタンバリンを借りてますな)。「そう、見てられないもの…、まこちゃんてば、すぐ帰ろうとして…」「意外だなぁ…、まこちゃん恋愛方面強いと思ったのに…」。亜美ちゃんは自分のタンバリンを持ってて、三人は紅茶を飲んでます(←おそらく、レイちゃんが入れたものと思われる)。

       「たぶん…好かれるのと好きになるのとは違うのよ…きっと…」(←『今まで男に好かれたコトなかった』まこちゃんを、こう分析する、『今まで男を好きになったコトない』)。

       「…『うん』…」(←『どっちも経験なさそう』なのに、大きくうなずいてる人)。

       「う〜ん…よく分かんないけど…とにかくそれじゃダメだよ! みんなでさ、こっそり盛り上げてあげようよ!」(←『一応どっちも経験ある』くせに、根本的に分かってない人)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、まこちゃんと元基…。

       川原の砂利道を、二人でお散歩しております…。元基が先を行き、まこちゃんは、少し斜め後ろから付いて行きます…。しばし無言だったようですが、まこちゃんが口を開きます…「ごめんね、ルナって、ちょっと変わったトコあって…『そもそも人間じゃないし…』「いやぁ、助かったよ。まだ、まこちゃんが帰らないでくれて…」

       すると、その言葉を聞いて、まこちゃんの歩調が遅れ始め、元基の後方に下がります…「……『ナンか、嫌な予感がするなぁ…』「まこちゃんっ」「!…『来たか?!』「そのぉ……もし良かったらだけどっ(←ここでばっ!と振り返る)。「…『やばい』あっ! あぶないっ!」「!?…」

       突然まこちゃんは、元基の近くに落ちてた壊れた傘を拾い上げ、「…落ちそうだったからっ…」(←元基が踏んづけそうだったから?)。「あぁぁっ…、あぶないよね…?」「…『うん』「はっははぁ…♪」「…『うん』。まこちゃんは苦笑いしながら、傘を離れた場所に置いて、「これでぇ…、よしと……」

       すると元基は、意を決したように、「……あのさぁ、オレ…」「あっ、そろそろ」「ごめんっ、……ちょっと聞いて…、ずっと…気になってたって言うか、マフラーもらった時から…いいなって思って……」

       「…『やっぱ来たか…』……ごめんっ(←顔を背ける)、…あたしぃ…全然そんなんじゃないから…女の子らしくなんかないし…ケンカ、けっこう強くて、学校でもぉ、怖がってる子いるって言うかさ…『大阪さんとか』…」「…まこちゃん…」。ここでまこちゃんは元基の方に振り向き、「ぜったいダメだと思うっ、…ガッカリするよっ、…やめた方がいいってっ、…あり得ないし、あたしなんか……」「…まこちゃん…、…わかったから…」「…………」

       「いやぁ〜、まいったなぁ…♪こんな徹底的に断られるの、初めてかも…」(←じゃ今までは、けっこうやんわりと断られて来たんだね?)。「…元基くん…」「でも…スッキリした。それじゃあ…」「…………」。元基は、懸命に笑顔を取り繕って見せてましたが、まこちゃんに背を向けて歩き出すと、すぐに、めちゃめちゃ気落ちした表情になります…。

       元基はしばらくトボトボと歩いてましたが、急に立ち止まって振り向くと、「…あとさぁ…、やっぱりまこちゃんは、女の子らしいと思うよ…『だから、自分のコトをそんな風に思わないで…』。元基は、まこちゃんが余りにも自分自身を卑下するコトばかり言うので、逆に彼女のコンプレックスを気遣ったのか、フラレたあとなのにも関わらず、そう、優しく声をかけてあげます…(←め…、めちゃめちゃいいヤツじゃないかっっ!)。「…………」(←それを聞いて、まこちゃんは何を思う…)。

       ナニげに、元基がまこちゃんを意識しだしたのは、やはり「マフラーもらった時から」だそうです…。そうなんですな…まこちゃんが元基のコトを『恋愛の対象』と見なしてなかったのと同じように、元基もまた、最初はまこちゃんのコトを『恋愛の対象』とは見なしてなかったんです。実は、このコトは、ナニげに重要なんじゃないでしょうか? それではここで、これまでの、まこちゃんと元基の絡みのシーンを、全て書き出してみましょう…題して(↓)

―古幡元基〜その愛の全軌跡・前編―

Act.7:

初邂逅

       遊園地にて…。

       「で…、どーしてあたしまで?!」…待ち合わせ場所の入り口前で、レイちゃんがたいそうご立腹です「だってぇ…亜美ちゃんがしばらくセーラーVの調査したいって言うし…元基くんには、三人で行くって言っちゃったし…」「元基くんねぇ…」「えっ…」「ナニよ? そういうコトなの?!」「いやぁ…そのぉ…」(←頭かきかき…)。するとうさぎちゃんは、ふと目の前に、なぜか地場衛がいるのを発見し、「ああっ!」「!…あぁ…またお前かぁ…」「なんでこんな所まで!」と、二人がケンカ腰になりかけたちょうどその時、そこに元基が、「あれ? うさぎちゃんたち衛のコト知ってたの?」と到着。「えっ?…じゃあ、元基くんの友達って…」「そう、同級生の、地場衛…」「うそぉっ!…」「知り合い?…」。うさぎちゃんは『ぶんぶんっ!』と首を横に振り、「…時々会っちゃう、ムカつくヤツ…」

        ★  ★  ★  ★  

       ペア決めジャンケン。。元基:「え〜とぉ、じゃペアはこうか?」

       ペアその1:【まこちゃん&元基ペア】 元基→嬉しそう。まこちゃん→どーでもよさそう…。

       ペアその2:【レイちゃん&高井くんペア】 高井くん→超嬉しそう。レイちゃん→露骨に不機嫌そう…

       ペアその3:【うさぎちゃん&地場衛ペア】 両者→…。

       「あ〜ぁ…」そんなうさぎちゃんを見てまこちゃんが、「ああ〜、あたし、せっかくだからぁ、初めて会う人にしとく!」と気を利かして自ら地場衛と組み、うさぎちゃんにペア交代を申し出ます…「えへぇ…!」。元基:「いいよっ、じゃあ、うさぎちゃん行こうか?!」(←意外とおおらかだな…それとも、女なら誰でもいいのか?)「うんっ!」(←切り替え早し…)…(心の声→)まこちゃん、感謝!」…まこちゃんも満足げにうなずいております(←お姉さんやね)…。そんな様子を見て、地場衛は他人事のように、「…なるほどね…」「今日はそういうコトらしいよ」「別にどうでも?…無理やり元基に連れ出されただけだし…」…そう言うと、地場衛はさっさと歩き出します…ふと、まこちゃんが付いて来ないのに気付くと、「一応乗れば? 見ててもしょうがないし…」(←とにかくぶっきらぼうなヤツだな…て言うか、実はアンタが乗りたいんだろ?)。「ああ…うん…」(←いざ自分のコトとなると、めっちゃ消極的…さすがに前回の大失恋で、いい加減もう懲りたか?)。

 

      ここでのまこちゃんと元基が、お互いを完全にとは見なしてないコトは誰の目にも一目瞭然です。まこちゃんに至っては、もちろんうさぎちゃんと元基を応援する意味もありますが、元基が眼中にない事を強調するため、むしろ地場衛の方が『異性として意識するタイプ』であるかのように描写されてます。最初に、うさぎちゃんに「知り合い?…」と聞いてじろじろ見てたのにも、そんなニュアンスが感じられなくもありません。

 

        ★  ★  ★  ★  

       「鏡の館」で、その元基は、ナニやら迷路酔いと言うか、鏡酔いと言うか、とにかく気分悪そうで、その場にしゃがみ込んじゃって今にも吐きそうです…。するとそこへ、まこちゃんがバッタリ行き会って、「!…ちょっと、大丈夫?!…」と駆け寄ります。

        ★  ★  ★  ★  

       高井くんがレイちゃんのお腹に触ると、「う゛っ…!」…高井くんのカメリュックがムクムクと…不覚にもエナジーを吸い取られてしまったレイちゃんは、その場に倒れてしまいます。その光景を見て、周りの人々が「きゃ〜っ!」と逃げ出し、高井くんがそれを追いかけます。レイちゃんは必死にケータイを取り出して仲間に連絡します。

        ★  ★  ★  ★  

       まこちゃんは、すでに「鏡の館」から元基を連れ出していて、入り口前の階段に元基を座らせ、介抱してる最中に電話を受けます…。で、「えっ!」と立ち上がり、すぐに駆け出します(←元基なんか放ったらかしだっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは元基…。いまだ回復の見込みなし…「鏡の館」の前の階段の手すりにしがみついて、依然うなされております…。それを遠目に見ながら、女性陣三人が密談中…「え?! 彼がタキシード仮面だと思ってたの?!」「う〜ん…、でもぉ、傷もないし…違うみたい…」「まったく、くだらない勘違いでいい迷惑だわっ…」「くだらないってコトはないだろ!」「くだらないわよっ!」

 

      まこちゃんは、さっきは元基の背中をさすってあげてましたが(←うさぎちゃんが元基を好きだと思ってたからこそ大切にしてくれたんですな)、しかし元基は、ここではもはや、すでに女性陣から放ったらかしにされてます(←もはや、になっちまったからですな…これが原作・アニメの「元基お兄さん」なら、こんなぞんざいな扱いは絶対に受けないでしょう)。その間、元基はずっと、ほとんど死んでましたから、一方の彼自身は、この時誰に介抱してもらったとか、具体的なコトは覚えてないのかもしれません。

Act.9〜17:

空白

      この約三ヶ月間、まこちゃんと元基は、クラウンの受付ですれ違うシーンすらなく、この間に元基が絡むのは、うさぎちゃんと亜美ちゃんと地場衛だけです。

      しかも、Act.11では、元基は、地場衛から詮索された事がきっかけで、ハッキリとうさぎちゃんを意識してました(←放送版ではカットされた、DVD収録の「未使用カット」で裏付けられた事実ですが…)。

Act.18:

バレンタイン前

       こちらはまこちゃん…。どうやら元基を呼び出して、情報収集のようですな(←やはり、考えるコトはなるちゃんと同じです)。湖の上に浮かんでるオープン・カフェにやって来ました。元基がコーヒーとオレンジジュースのトレーを持ち、まこちゃんが食べ物のトレーを持って、席に着こうと歩いております。

       「え? まもるっ?…衛のカノジョ…?」「いるんだよね?」「うん、ひなちゃんね?」「ひな…ちゃん…」「かなりいいトコのお嬢さんなんだよね」「へぇ〜…」「ナニ?…オレさそったのって、その話?」「…うふっ」「はぁ〜っ…なんだ…」(←ふてくされて、イスに腰掛け、そっぽ向いちゃいました)「あ、これ、ぜんぶ食べちゃっていいから!」「……」「食べて食べて!」「…『ぷいっ』「あ、ええと、これ、カメキチくんにもあげちゃう! 超〜高級なやつ」「えっ! あ、ありがとうっ! かぁ〜っ!」「へっ(笑)」。元基はとたんに機嫌を直して、パンを取ってパク付こうとします…「あぁ!…まこちゃんもしかして、衛のコト?」「あっ、違う違う! ちょっと、頼まれたって言うか…」「誰に?」「ぅん…ちょっと…」「だったら諦めるように伝えた方がいいよ、もう婚約してるようなもんだから…」「!…婚約!?」

 

      ここで元基がふてくされたのは、単純に、まこちゃんが自分に好意を持ってると思ったのが違ったからなのか、それとも、自分が声をかけられた理由が、なるちゃんに続いて、またしても地場衛のコトだったからなのか、いずれにせよ、元基がまこちゃんに対してガッカリしたコトだけは確かですから、この時点で、元基がまこちゃんに特別な好意を寄せていたり、何かカン違いを抱いたはずがありません。

Act.19:

バレンタイン当日

       クラウンの受付…。元基がカメキチに、「かめ吉くんへ マリリンより」と書いてあるエサの入れ物を見せて喜んでます。「ほら、お前の彼女からのバレンタインのプレゼント! お前やるなぁ!」。ところが急に「ふぅ…」とため息をつき、「なんでお前に来てオレには何も来ないんだよ…」とふてくされ始めました…。

       するとそこへ、自動ドアがうぃ〜んと開いて、亜美ちゃんが「こんにちは」と笑顔でご来店です(←私服です。編み物グッズの入った袋を抱えてます)。すると元基は、ふてくされたまま顔も見ずに、「…いらっしゃい…」。亜美ちゃんは、バッグに手を入れて、ナニかごそごそと探しております。それを見て元基が、思わずナンか勘違いして期待しちゃってるみたいです…がっ!…亜美ちゃんが取り出したのは『ルナカラ年間パスポート』…亜美ちゃんはいつものように、ニッコリとそれを見せます。元基は、その『年間パス』と、亜美ちゃんが抱えてる編み物グッズの袋を見比べてます…。で、亜美ちゃんがそのまま通り過ぎて行くと、元基:「…義理もなしかぁ…」

 

      この時点で、亜美ちゃんよりも先に、すでにレイちゃんとまこちゃんが受付を通り過ぎてますから、元基はそのそれぞれに対しても、同じように「…義理もなしかぁ…」とやってた訳です。だから元基は、亜美ちゃんが来た時には既に、そのせいでふてくされてた訳です。つまり、この時の元基にとって、亜美ちゃんもレイちゃんもまこちゃんも、単に、「義理」で何かくれても良さそうな常連さんとして、みんな同列に見なしていたコトが分かる訳です。

      元基は、まこちゃんのコトを、「マフラーもらった時から…いいなって思って」いたのですから、つまり元基の方も、まこちゃんと知り合ってから三ヶ月も経つと言うのに、バレンタインのこの日を迎えるまで、まこちゃんを『恋愛の対象』とは見て来なかったんですね。

 

        ★  ★  ★  ★  

       再び受付にて…。ふてくされ元基が、カメにエサをやっております…「いいなぁお前はラブラブで…、はくしゅんっ!…あぁ…グス…」ルナカラから出て来たまこちゃんが、そんな元基を見て、「あのぉ…」「え…?」「これ、家庭科で作ったんだけど、あたしに合わなくて…」と、バッグから深緑色のマフラーを取り出し、「もらってくれると、嬉しんだけど…」と元基に差し出します。「えっ?! いいのぉ!?」「こないだ色々話聞かせてもらったし、じゃ!」「カメキチィ! 見ろ! やったぁ〜っ!! まっふら〜だぁ〜♪わぁ〜ボンボン付いてるっ!」。マフラーを首に巻いて大喜びしてる元基を尻目に、「いいなぁ…悩みがなくて…」と去って行くまこちゃんなのでした…「すっげぇ〜っ!」

 

      この「マフラー」が、まさに元基の運命を変えるコトとなる訳ですが、なぜ、「義理」と分かっているにも関わらず、今まで『恋愛の対象』と見てなかったまこちゃんに対して、この「マフラー」が、あれほどまで元基の気持ちを傾けさせるコトになったのでしょうか? それは、以下の理由によるものです(↓)

1.         Act.7でまこちゃんに介抱されてた時は、元基は今にも死にそうで、心身ともにそれどころではなかった。

2.         しかし今回は、バレンタインをバイトで過ごし、モテない男の独り身の寂しさが身に染みていた。

3.         そんな風に心が冷え切ってる時、体まで冷え切ってクシャミしてるところへ手編みの「マフラー」を差し出されたので、この時初めて、まこちゃんが意外と「女の子らしい」一面を持っていて、優しくて気が利く人だと言うコトに気付いた。

Act.20:

空振り・その一

       クラウンの受付にて…。いつものように、元基が水槽のカメに話しかけております…「ラブラブなのはオマエだけじゃないぞ。ほらっ」と、前回まこちゃんからもらったマフラーを首に巻いて(←屋内で仕事中にマフラーするか?!)、それをカメに見せてます(←思いっきりカン違い野郎だ…)

       するとそこへ、誰か来たようで(←まこちゃんのご来店です)、元基が慌てて直立不動になり、ニヤついております。まこちゃんは、自動ドアを超えるとすぐにポケットから年間パスを出して見せ、軽い笑顔で「こんにちは」とあっさり素通りして行きます。「いらっしゃいっ」(←って、こんなに勤務態度のいい元基を初めて見たな…)。元基は、すたすたと去って行くまこちゃんに向かって、「マフラーあったかいよ! ありがとうっ!」とカウンターに乗り出して懸命に手ぇ振っちゃっております。まこちゃんは、止まりも振り向きもせず、ただ片手を振っただけで返事して、そのまま足早に行ってしまいました…。

        ★  ★  ★  ★  

       ルナカラにて…。ルナが、水色の毛糸玉で遊んでます…「ふいっと、ほいっと、はいっ…。あ、…ごめんね、亜美ちゃん…」先に来てた亜美ちゃんが、一人で編み物をしてます…「ん?…だいじょぶ♪」(←ネコの習性なので、亜美ちゃんも怒ったりしません「えへ、もう、イタズラ、しないから…」そこへまこちゃんが、ガチャンとドアを開けて入って来ます。すると亜美ちゃんは、「まこちゃん! ちょっとこの色見て!」と、今編んでいる緑色の毛糸をまこちゃんに見せますが、「悪いっ、あとにして聞いてよ…」「…」(←しょんぼり…)。まこちゃんは小走りで亜美ちゃんの前に来ると、イスにも座らず、そのまますぐに話し始めます。「あのさぁ、やっぱり、うさぎに言おうかと思って…」「地場くんのコト?」「…婚約してる人好きになっちゃイケナイわけじゃないけど、やっぱり知っておいた方が良くない?」「…」「どう思う?」「…まこちゃんがそう思うなら…。私、そういうの、全然ダメだし…」「わかった! 言って来る!」「…」「あ、あっ…」。まこちゃんは、急いで出て行ってしまいました。

 

      この時のまこちゃんは、受付で普通に元基に笑顔で「こんにちは」と言ってますから、前回「マフラー」をあげたコトで元基がカン違いしないようにと、わざとあっさり素通りしてる訳ではないようです。まこちゃんは、ルナカラに入って来るなり、いきなり亜美ちゃんの話すら遮ってしまったほどですから、今はそれほどうさぎちゃんのコトで頭がいっぱいで、元基のコトなんか、いつも通り眼中にないんですね。ですから、「マフラーあったかいよ! ありがとうっ!」に対しても、文字通り、『喜んでもらえて嬉しいよ』程度のリアクションしかしてません。

      それに対して元基は、まこちゃんの余りにもあっさりした態度に、このあと、自分のカン違いを少し戒めた可能性がありますな。

Act.21:

接近

       亜美ちゃんが一人で「メリーゴーラウンド」に乗ってます…「まこちゃ〜ん!!」と手を振る亜美ちゃんを、まこちゃんが外で見守りながら応えております(←完全にお母さん状態ですな)。で、まこちゃんは、「…(心の声→)うさぎのコト言いそびれちゃったな…」などと考え事をしていると、後ろの方から「まこちゃ〜ん!」と、元基の呼ぶ声が…。「元基くん!」「来てたんだぁ! オレもちょうどカメキチに外の空気吸わせたくてさ。…ひとり?」「うぅんっ、亜美ちゃんと…」。そう言いながらまこちゃんが亜美ちゃんの方を見ると、亜美ちゃんがメリーゴーランドの上で気を失ってうなだれてます。「!! 亜美ちゃんっ! ちょっと止めて!! 止めてくださいっ!!」

 

      ここで元基は、偶然まこちゃんと出っくわした訳なのですが、元基は「マフラー」をきっかけにまこちゃんのコトを意識し始めてますから、そう言う時と言うのは、案外、自分に都合のいいように、こう言うコトに運命的なものを感じて、あらぬ期待を抱いてしまうものです。

 

        ★  ★  ★  ★  

       元基の車にて…。後部座席の右側にまこちゃんが座ってて、亜美ちゃんはそのまこちゃんにもたれかかるようにして眠っております。それを、運転席の元基がバックミラー越しに、「病院、すぐそこだから…。亜美ちゃん大丈夫?」「うん…寝てるみたい…。ごめんね、つき合わせて…」「いいって、いいって!…あぁ…コレ(←マフラー)のお礼…。まこちゃんだけだよ、バレンタインにくれたの…」「そんなのは別に大したモンじゃ…」「ああ! 義理っていうのは分かってるから! それでも嬉しんだよね」「……」

 

      ここで元基は、自分が単なるカン違い野郎ではないコトを宣言しますが、偶然遊園地に居合わせた事で、こうしてまこちゃんの役に立てたと言う喜びが隠し切れません。こう言った偶然の積み重ねが、モテない男の片思いを加速させていくものなのです(←経験者は語る…)。

 

        ★  ★  ★  ★  

       「十番病院」にて…。まこちゃんが、心配そうに佇んで、窓の外を眺めております…。すると、まこちゃんに、「はいっ」と元基が紙コップのコーヒーを差し出します…。まこちゃんはニッコリして「ありがとう…」と受け取ると、それを飲むでもなく、手摺りにひじをかけて、また窓の外の方を向いてしまいます。そんなまこちゃんに、元基は、ナニやら言いたげに間を置いてから、「大丈夫だよ、きっと」と声をかけますが、まこちゃんは「…」と、ただうなずくだけ…。すると元基は慌てて、「ぁ、いやっ! あの、カメキチがそう言ってたからさ!」「?」「けっこう当たるんだ、カメ占い…イチ、ニ、サン、シ…」と、カメの甲羅を指差して数え始めます。「あは…」「…あはっ、…やっと笑った…」「え?…」「……じゃあ、オレ、バイトあるから…」「あ、ごめんね、ホント助かった…」。元基は『うんうん』とうなずきつつも、一向に立ち去る気配がなく、「……あっ! そうだ! 手ぇ出して!」。すると元基は、カメの入れ物を下に置き、コートのポケットから雑誌を取り出して、まこちゃんに渡します…「これと…」…次は反対のポケットからお菓子の袋を取り出して雑誌の上に乗せ…「これと…」…また逆のポケットから別のお菓子の袋を取り出し…「これと…これと…これと…これと…これと…これっ! 検査、長引くみたいだからさ」「ありがとう…」「亜美ちゃんの結果わかったら教えてよ? なんでもないといいけど…」「うん…」「うん…」(←お見合い中…)「…あぁ…じゃあ!」「うふっ…」「…じゃあ!」「あは…」「あぁ…カメキチ忘れちゃった…」「あ、あは…」「…じゃあ!…」。元基は、いかにも『モテない男』の不器用さを振り撒きつつ、ようやくその場を走り去って行きました…(←その間に、2度も振り返って手を振っておりました…)。で、やっと静かになってコーヒーをすするまこちゃん…「アチッ…」

 

      ここでの元基は、さっき「義理っていうのは分かってる」と言ったくせに、けっこうアピールしてますねぇ…。でも、この程度では、まこちゃんにとっては『単なるいい人』でしかないんですよねぇ。て言うか、結局まこちゃんと言うのは、今まで一度も男の人から好きと言われたコトがないので、ハッキリそう言われない限り、何も伝わらない人だと言うコトなんですね。

Act.24:

空振り・その二

       クラウンの受付にて…。元基が、おしぼりでカメの甲羅を拭きながら、「カメキチぃ?…マリリンとのデート用にキレイにしてやるからな。オマエも床屋さん行くか?!ってどこ行くんだよ?」などと、一人漫才してるところへ、自動ドアがうぃ〜ん…と開いて、ご来客です…元基は振り返りながら、「はい、いらっしゃい」。見ると、うさぎちゃんと地場衛が、二人で一緒に入って来ました。「あれ? 珍しい組み合わせ…」。地場衛:「外で一緒になっただけだっ」「ふ〜ん…あっ、でもちょうど良かった! 衛オマエの送別会さあ、うさぎちゃん達にも来てもらおうと思って…」「?!…送別会…?」「あ゛れ゛っ!? 言ってなかったっけ?! 衛イギリスの大学に留学するんだよ」「!…へえ〜、そうなんだ?」(←めっちゃ動揺を隠してます…)「スッゲェよなぁ〜」「……」

       すると、また自動ドアがうぃ〜ん…と開いて、「あっ! まこちゃんいらっしゃいっ♪」…元基は、ちょうどそこへやって来たまこちゃんの目の前をウロチョロしながら、自分の髪を指差して、「どう?! イメチェン! ねぇねぇねぇねぇ! 変わった?! どか〜〜んっ!」(←完全シカトの図…)。しかしまこちゃんは、そんな元基など全く眼中になく、いきなり地場衛に思いっきりガン飛ばしたまま、微動だにしません…「…『このヤロォ〜! 二度と近付くなって言ったのにっ!』「…『偶然会っちゃったんだからしゃーねーだろがっ! ここで殴れるモンなら殴ってみやがれっ!…』(←ガン飛ばし合っちゃってます)。さぎちゃんは、そんなまこちゃんにさえ目もくれず、黙ってルナカラの方へ歩き出します…それに気付いた元基が、「うさぎちゃん、送別会っ、送別会!…」と声をかけますが、聞いちゃいません…。

 

      今にして思うと、実は元基は、『送別会にまこちゃんを呼びたくて』「うさぎちゃん達に来てもらおう」なんて言い出したんでしょうな。

      で、この直後にまこちゃんは、元基に『送別会って?』みたいに聞いて、地場衛の留学の話を聞き、送別会については当然まこちゃんの独断で断ったはずで、それからルナカラに入って来てます。

Act.26:

空振り・その三

       「じゃあ、急ぐから」「うん」「じゃあね」。…三人が家路に着くべくクラウンの受付を通り過ぎてく中、元基が生ける屍のようにうなだれながら…「…まいどどおも…」「…ん、なんかあったの?…」「元基くん、どしたの?…」「……! まこちゃ〜んっ、オレってヤツは、ひどい人間なんだよ〜っ!」(←がつん!がつん!パソコン・モニターに頭をぶつける元基…)。「え?…『て言うか、ナンで私を無視すんのよ…』「陽菜ちゃんにひどいコト言っちゃって…」「陽菜さんに…?」「ああ〜…陽菜ちゃんはオレとのみにくい思い出を抱いたまま…、ぐす、…あさって、ロンドンに行っちゃうんだぁ〜」「あさって?!」「…」「じゃあ、地場くんも?」「うん」「……」「……」(←まこちゃんは、ナニげにうさぎちゃんの横顔を見つめ、その心中を推し量るようにして見てます)。「……」(←うさぎちゃんは、またしてもどんよりムードに…)。

 

      元基はここで、別にまこちゃんの同情を引こうとしてこんな事を言ってた訳ではないと思いますが、結果的に、まこちゃんは、『悲劇の主人公』を演じる元基そのものには全く関心を示してません。ここでもやはり、まこちゃんの頭にあるのは、うさぎちゃんと地場衛のコトだけです。

Act.29:

決定打

       クラウンの受付にて…。人型ルナ:「はい、これっ、年間パスポート。ちゃんと持ってるモンっ!」。元基:「だからね」。元基は、カウンターから出て来て人型ルナの肩を掴むと、「ちっちゃい子だけだと入れないのよ。パパかママが一緒じゃないと!」(←もう春だってのに、まだまこちゃんからもらったマフラーしてるよこの人…それにしても、でかいマフラーだなぁ…)。「ちっちゃくないモン…!」「えっ?!……ちっちゃいじゃん」「ちっちゃくない」

       するとそこへ、自動ドアがうぃーん…と開いて、来客です…「あっ、まこちゃんっ!」。まこちゃんと亜美ちゃんが入って来ました。「ルナぁ…!」「ちょうど良かった!」「あれ? 知り合い?」「うん…まあ…」「どうしたの?」「私もこれ、一度使ってみたかったんだけど、このカメキチさんが、ダメだって…!」「か、か…、カメキチ?!…カメキチはこっち! オレは古幡元基!」(←まこちゃんと亜美ちゃんも大ウケ…)。「とにかく、使ってみたい訳?」「…『うんっ』「じゃあ、はいっ…『あたしがママの代わり!』。まこちゃんは、人型ルナの手を取って、元基に年間パスを見せます。「はいっ!」「…あ、」「…」「……はいっ♪…どうぞ」「元基くん、ごめんね?」「うぅんっ、ぜんぜんっ♪」「うふっ」

 

      元基が繰り返し強調する「女の子らしい」と言うのは、すなわち自分の理想の女性像を意味し、具体的には、「編み物もできるし、子供好きだし、料理もうまいし」、「それにやさしい」女性のコトです。つまり元基は、家庭的な女性が好きで、つまり、まこちゃんに理想のお嫁さん像を見てる訳です。

      そうなのです。だから元基は、ここで完璧にまこちゃんに惚れちゃったんです。まこちゃんがルナの母親代わりになってあげてる姿を見て、もう完全にのぼせ上がっちゃった訳なんですな(←そして、これがAct.31のデートにおける子供好きだしのセリフにつながる訳です)。

      だから元基は、次回から、ついにまこちゃんをデートに誘う行動に出る訳です。つまり、たとえフラレると分かっていたとしても、結果はどうあれ、もはや告白して「スッキリ」しないではいられない状態になるんですね。

Act.30:

空振り・その四

       クラウンの元基…。劇場用アニメのチケットを2枚持って、「ファインディング カメ…。よぉしっ! この映画に誘って雰囲気作って…あとはちょこっと豪華な食事して…そのあと、んんん〜〜〜〜っ。なぜか店の前の商店街の真ん中で、一人で妄想に耽ってる元基…(←で、まだマフラーしてるよ…)。それを、通りがかりの女の子二人が見て引いております。元基:「!…あ、…いや、…」。すると元基は、どうやらまこちゃんが向こうから歩いて来るのを見つけたらしく、「あっ!」と慌てて階段を下りて店に入ります。元基はカウンターに駆け込んで手鏡を取り出し、手に唾をつけて髪を整えます。で、いきなりキザに斜めに構えて、渋い声で「いらっしゃい…」。制服姿のまこちゃんが「こんにちは」と入って来ると、いきなり大声で「ああ〜っと!」と大騒ぎしながらカウンターから飛び出して来て、「映画のチケットだっ、ファインディング・カメ!」「…」「それも超スーパー・リザーブ・シート! しかも2枚もある〜っ! ナンでだろうっ!?」。しかしまこちゃんはあっさりと、「…はい」(←年間パスを見せてそのまま素通り…)。「……超スーパー・リザーブ・シート……席取りまぁす…」(←お相撲さんのようにぽん!とお腹を叩く…)。

        ★  ★  ★  ★  

       まこちゃんはルナカラに入って来るなり、「うさぎ、元気だしなよ。みんなが信じなくたって、あたし達がいるんだし」「うんっ、なるちゃんも信じてくれてるし、平気っ!」。ぬいぐるみルナ:「そうそうっ、元気出してっ! 特訓でもやりましょう!」「またアレぇ?」「だってぇ、亜美ちゃんには効果あったでしょぉ?」「…『う〜ん…でもアレのお陰かなぁ?』(←みたいな…)。「あたしぃ…やろうかな…。あたしだけ…戦士の力、目覚めてないし…」「? ねぇナニナニ?! 私もやりたいっ!」「…やりたい?」(←にこにこバージョン)。

 

      ここでも、やはりまこちゃんは、黒木ミオの一件で落ち込んでるうさぎちゃんを励ますコトで頭がいっぱいなので、そう言う心理状態で受付を通り過ぎてますから、いつも通り、元基など眼中にない訳です(←その上、自分だけ戦士の力に目覚めてないコトも、かなり気にしてますしね)。

      それに、まこちゃんをデートに誘うのに、こんな遠回しな言い方で言ってもダメなんですな。ハッキリちゃんと言わないと伝わらない人なんですから(←つまり、問題は「アニメ」「実写版」かではないんですよ…)。

Act.31:

玉砕・その一

       そして今日に至る…。

 

      後編は、また折を見て…。

       まこちゃんと言うキャラクターは、セーラー戦士五人の中では、たとえば、『「恋人にしたいランキング」では下位に甘んじるとしても、「お嫁さんにしたいランキング」ではぶっちぎりで一位になる』…そういうタイプのキャラクターとして描かれてます。これについては各版共通です。そして実写版の元基も、やはりそれと同じで、彼も、『「恋人にしたいランキング」では問題外にしても、「旦那さんにしたいランキング」では間違いなく(?)一位を獲得するであろう』キャラクターとして描かれてるんですね。なので、まこちゃんと元基にとって、お互いは、基本的にはではないんです。でも、間違いなくではあり、それこそが自分にとっての理想の相手だったんですな(←もちろん、まこちゃんはまだ、すぐに結婚できる歳じゃありませんが…)。元基は、「マフラー」をきっかけに、まこちゃんを知るにつれていち早くそれに気付き、ついに行動に移さないではいられなくなった訳ですが、一方のまこちゃんは、今まで「先輩に似てた」などと言う外見だけのミーハー感覚でしか男を見てこなかった訳ですから、そんなまこちゃんにとって、元基と言うのは、『そう言う内面的なコトを初めて考えさせてくれたタイプの男性』だったんですな。だから、その本当の価値に気付くのも遅くて、OKまで、時間もかかるんです。

        ★  ★  ★  ★  

       元基は、まこちゃんにもらって以来、常に標準装備し続けてきた「マフラー」をついに首から外し、それを手に持って眺めながら、歩道を歩いてます…「……『これでやっとマフラーも脱げる…今まで、春だってのに暑かったなぁ…』

       するとそこへ、「こっそり盛り上げてあげようよ!」と言ってクラウンから出て来た三人が、元基とばったり行き会います。「あれ?! 元基くんっ、デート終わったの? ン、まこちゃんは?」(←バッグにぬいぐるみルナが入ってます)。元基は決まり悪そうに…「…うふっ、…フラレちゃった…」「えっ!?」「!…」「!…」(←思わずレイちゃんと顔を見合わせます)。

       ちなみに、この直後のシーンだと思われますが、ここで、DVD第8巻に収録されてる次の「未使用シーン」が入る予定だったものと思われます(↓)

1.         三人は、元基と別れたあと、横並びでトボトボと歩いております。

2.         「まこちゃん、元基くんって、好みじゃなかったのかな…?」

3.         「分からないけど、ただナンとなく、まこちゃんのそばにいてくれる人が出来たら嬉しいと思ってたから…ちょっと残念かな…」

4.         「そうね…、まことは一人だから…」「私達がいるじゃんっ…!」

5.         ここでレイちゃんは立ち止まり、「…うさぎが家に帰ったら?」「!…『その発想はなかったヨっ!』

6.         すると、レイちゃんは急に「!」とナニか気配を感じ、しゃがみ込んで地面に手をつきます。「どうしたの?」「ナンか今、地面の奥にナニか感じたんだけど…」「えっ!?」

       ここでの亜美ちゃんとレイちゃんも、元基を単なる『恋愛の相手』としてではなく、完全に、その先の『結婚の相手』としての発想で捉えてるんですね。このような発想は、家庭に一切ナンの問題も抱えていないうさぎちゃんには、ちょっと持ち得ない考え方なんですな。亜美ちゃんとレイちゃんは、それぞれの事情は違えども、それぞれが片親なので、両親共にいないまこちゃんの気持ちが、「ナンとなく」分かるんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはまこちゃん…。

       元基が去ったあと、一人で、河原に腰を下ろして、膝を抱え、川を見つめながら、何か考え込んじゃっております…「……どうして……」

       ……さて? この「どうして」は、一体どういう意味の「どうして」なんでしょうか?

1.         仮説その一:「どうして…『せっかくこんなあたしを好きになってくれたのに、素直に応えてあげられないんだろ…』

2.         仮説その二:「どうして…『寄りによってあんなカメ野郎しか好きになってくれないんだろ…』

3.         仮説その三:「どうして…『あたしが主役の話って、こんな地味なんだろ…』

       それにしても、まこちゃんのこの様子は、どう見ても、男をフッたあとのソレではありませんなぁ…。単に、気のない相手から告白されて、それをフッただけなら、こんなに自分の方が落ち込んじゃったりなんかしません。しかしながら、先述した通り、まこちゃんは、最初からずっと、今まで一度として元基を『恋愛の対象』としては見てきてません。これは断じて間違いのない事です。我々は、原作・アニメの先入観や、この先の結果論ではそう言う印象を持ってしまいがちですが、実写版の劇中において、今まで、まこちゃんが元基に対してそのような感情を抱いていたコトを匂わすような描写は一切ありませんし、逆にむしろ、そう言う感情は一切抱いていないのだと言うコトを、ハッキリと徹底して繰り返し描いてきてます。先ほどのレイちゃんの言葉を借りても、「好かれるのと好きになるのとは違う」と言うコトですから、ここでまこちゃんが、「ごめんっ、…あたしぃ…全然そんなんじゃないから…」と言ったのは、まさにそのまま、完全に言葉通りなんです。

       ただし、まこちゃんに心境の変化が現れたのは、皮肉な事に、その、フッた直後なんですな。なぜなら、この、『フラレた直後の元基の身の処し方』、ここにこそ、この古幡元基と言う男の人間性と、まこちゃんに対する本物の誠実さが凝縮されていたコトは、これを見ていた我々視聴者の誰もが感じ入ったコトであり、そしてそれはもちろん、当のまこちゃんにしても同じコトなんです。つまりまこちゃんは、フッた直後に相手の本当の魅力と誠意とその価値に気付き、その瞬間、逆にフラレたような気分になってしまって、落ち込んでしまうんです。

       で、あらためて考え直してみると、どうやらまこちゃんは、やはりAct.6で「タケル」にフラレた時の傷が、まだ癒えてなかったみたいですねぇ…。

     「ごめんっ、…あたしぃ…全然そんなんじゃないから…女の子らしくなんかないし…ケンカ、けっこう強くて、学校でもぉ、怖がってる子いるって言うかさ…」「ぜったいダメだと思うっ、…ガッカリするよっ、…やめた方がいいってっ、…あり得ないし、あたしなんか……」

       この言葉は、Act.6での、まこちゃんとうさぎちゃんのやり取りと、ほとんど一緒ですからねぇ…(↓)

―Act.6の再現VTR―

       「あたしが?! あの高校生を?! ありえないって…」「でも、まこちゃんがあのタケルって人見てる顔、せつなそうだったよ?!」「えっ…『ギクッ…』「隠さないでよっ、私、そういうのには鋭いって言うか(←そういうの「だけ」ね)、まぁ〜相手は違うけど、同じ立場って言うか、だから、協力できるコトがあったら!」…そう言ってまこちゃんの肩に手をかけますが、まこちゃんは「違うって!」と言いながら、もたれていた木から離れてうさぎちゃんに背を向けたまま、「いや、バスケに興味があるだけだよっ、ホラあたしがそういうタイプに見える?」

       するとここで、急に木々がざわめき出します…「ごぉぉぉ…『ウソ言っちゃいかんよぉ〜』(←木の精霊)。

       「う〜ん…それはまこちゃんは男らしいけど…」「でしょ?! あたしに恋愛なんて似合わないって!…」

       この時もまこちゃんは、自分の「女の子らしい」部分を散々否定して、本心とは裏腹に恋愛に対して尻込みしていたんですね。で、この時は、悪ガキ三人組の偽ラブレターにまんまとだまされて、「本気であんな手紙来ると思ったわけぇ? オマエ自分のキャラ分かってねんじゃねぇ?!」と、自分のコンプレックスを丸裸にされた挙句、深く傷つけられてしまいました。その結果、まこちゃんは以下のような態度を取ってます(↓)

―Act.6の再現VTR―

       「まこちゃんっ!」。一本の木をコンクリのベンチ(?)で四角く囲ったところに、まこちゃんが呆然と腰掛けております。うさぎちゃんが駆け寄ってまこちゃんの手を握り、顔を見つめます…。「…あたしさぁ…、前の学校で、先輩に失恋したんだ…」「…」「…」「…」「…そういうのガラじゃないって分かってんのに…、あの人が先輩にちょっと似てたから…。…どうしてこういうコトしちゃうかなぁ…」。まこちゃんは、雨に濡れてグシャグシャになった手提げ袋をつかむと、それを横にあったゴミ箱にドサッと投げ捨てます。「!…」「…」「!…」「…ホントっ…似合わないっつーの!」

       まこちゃんはそう言って立ち上がると、一人で行ってしまいました。その背中に向かってうさぎちゃんは、「…まこちゃんっ、男らしいばかり言ってごめんねっ、まこちゃん女の子だよっ、ぜんぜん似合わなくないよっ!」。まこちゃんは止まりも振り向きもせず、「…『言葉だけありがたく頂いとくよ…じゃあね…』みたいな感じで右手を三回振って応えただけで、そのまま去って行ってしまいました…。

       で、このあと、さらにホンモノの「タケル」には、妖魔絡みで失恋する訳ですが、まこちゃんは、その直後にセーラー戦士に覚醒するコトで、マーズの言葉通り、「もう男に惑わされるのも終わりよ」とばかりに、「失恋したせいじゃない…。仲間に会うためだったんだ…」と、自分の中にある『恋愛願望』を完全に封印して来たんですね。その封印を、元基が最後に言った、「…あとさぁ…、やっぱりまこちゃんは、女の子らしいと思うよ…」が、解いたんでしょうな…。「こんな徹底的に断られるの、初めてかも…」と、完全にあきらめて去って行こうとする男が、今更ウソやお世辞など言うはずがないですから、この誠心誠意『真実の言葉』が、まこちゃんの心を揺り動かさないはずがありません。

       しばらくすると、まこちゃんは立ち上がり、トボトボと歩き出します…。が、ふと、ナニかを感じて振り向くと、ナンと、川原の地面から、ナンかムクムクと湧き出てくるように妖魔が出現します(←って、ナンかいっぱい出て来ましたが…)。ナンか、ボスらしき一匹は鉄クズみたいなので、『鉄クズ妖魔』と名づけよう。あとの4匹いる連中は、これは、戦闘員か??

       ※ コイツらは、先の「未使用シーン」でレイちゃんが、「ナンか今、地面の奥にナニか感じたんだけど…」と言ってたヤツですね。ちなみに、「東映ヒーローネット」によりますと、現場のスタッフさんの間では、この黒マントを羽織った戦闘員みたいな妖魔を『泥妖魔』と呼んでたそうなので、本稿でもその慣例に従うコトにしました。

       で、そいつらが「う〜う〜」言いながら、ゾンビみたいにまこちゃんに迫ってきます。まこちゃんは後ずさりしながらケータイを取り出し、「みんなっ!」と叫びます。

        ★  ★  ★  ★  

       で、ちょうどクラウンに戻ろうと外を歩いていた三人が、一斉にケータイを耳に当てて力強くうなずき、現場に向かって走り出します。

        ★  ★  ★  ★  

       こちら、美奈子の自宅でも、アルテミィ〜スが自分の(?)セーラーケータイでその連絡を受け、「美奈子っ!」と叫びます(←これはまこちゃんから直通で行ったのか? それともルナ経由か?)。いずれにせよ、やっぱりここでも、連絡はアルテミィ〜スを介しており、直接美奈子には行きませんねぇ…やはり、ヴィーナスの正体をうさぎちゃんにだけ内緒にしてあるからなんでしょうかね?

       すると、イスに座って電子オルガンを弾いてたらしい美奈子も、うなずいて部屋を飛び出して行きます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちら再びまこちゃん…。

       「じゅぴたーぱわー、めーいく、あっぷ!」「いかずちと、ゆうきのせんし、せーらーじゅぴたーっ、もくせいにかわって、おしおきだっ!」ジュピターは妖魔に向かって切れ込んで行き、『鉄クズ妖魔』を突き飛ばし、『泥妖魔』を一匹投げ飛ばします。すると…あれ? 四匹の『泥妖魔』は、あっという間に逃げるように、また地中に消えていなくなってしまいましたよ?

       で、そのあとは、『鉄クズ妖魔』との一騎打ちになり、両者が構えて対峙します。

        ★  ★  ★  ★  

       一方、こちらはダーク・キングダム…。

       ジェダイトくんが、ナニやら慌てた様子で、「ベリル様っ」とやって来ます。で、相変わらずメタリアばっか眺めてるベリル様が振り向くと、ジェダイトくんは、「妖魔が勝手に現れて、街で暴れております。ベリル様の方でナニか?」「いや。…もしかすると、クイン・メタリアの力が、この星に影響を与えているのかもしれぬ…」「クイン・メタリアの…、力が…!?」。ベリル様が再びメタリアの方を見ると、メタリアは、まるで心臓が鼓動するような感じで、低い音を立てながら、赤い光を増減させております。

       どうやらあの妖魔達は、クイン・メタリアの影響で勝手に地中から現れた連中だそうで、ダーク・キングダムの配下ではないと言うコトらしいのですが…

        ★  ★  ★  ★  

       こちらジュピター…。

       『鉄クズ妖魔』が林の中を逃げ、ジュピターがそれを追いかけます(←おおっ! こ、これはっ!)…もしかして、ナニげに『ジュピちゃん走り』か?!(←きっと、Act.8のレイちゃん誘拐犯の車も、途中で変身してこれで追走してたに違いありませんっ!)(←今日はとってもイイもんが見れましたっ!

       『鉄クズ妖魔』が立ち止まって振り向き、ジュピターは側転で切れ込んで行って接近戦を開始します。最初のケリは交わされますが、その後、2発ほどケリが入り、これまでのところは互角と言うか、ジュピターがやや優勢に戦いを進めております。で、タイミングよく「しゅーぷりーむ…さんだーっ!」を放ち、それが妖魔に見事命中します。妖魔はそれで体が膨らみ、そのまま砕け散って倒されるかに思われましたが、すぐに元に戻ってしまい、まるでエネルギーを吸収したかのように力強く身構えます。「!…」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは三人…。

       三人が現場に向かって走ってると、急にナニか気配がしたのか、三人は立ち止まります。

       すると、目の前の地面から、さっきまこちゃんの所に現れたのと同じ『泥妖魔』が四匹出て来ました。「妖魔っ!…ナンでこんなに!?」「ちょっと感じが違うわ。妖魔より気配が弱い」(←おおっ! そうなのかっ!)。

       ぬいぐるみルナがうさぎちゃんのバッグから飛び降り、「とにかく、変身よっ!」

       「ムーンプリズムパワ〜」「マーキュリーパワ〜」「マーズパワ〜」、ルナはその場でジャンプして空中回転すると、まず人型ルナに変身し、それから「ルーナ・プリズムパワー〜(←ケータイをぴこっ(6)♪、ぴこっ(7)♪、ぴこっ(2)♪)メイカっ」(←二段変身かっ!?)、と変身します(←で、画面は4分割…)。

       四人は変身し終わってカッコよくポーズを決めると、さっそくいつものように戦闘開始です…が、セーラームーンがスティックを「ハッ!」と構えた瞬間、先ほどのジュピターの時同様、『泥妖魔』は、攻撃を食らう寸前に、とっとと地中に逃げて消えてしまいます…(←ってコラァ〜っ! テメェらやる気あんのかっ!)。「え?!」

       「えいっ(←って、またハリセンかよっ!)…あれ…?」

       マーズもタンバリンでぱんぱんっ!としますが、「ハッ!」とビームを撃とうとした瞬間、地中に逃げられてしまいます…「え?…『きょろきょろ…』

       マーキュリーも、「え?…『きょろきょろ…』

       セーラームーンも辺りをきょろきょろしてますが、すると、今度はセーラームーンの背後の地面から三匹出て来て、ゾンビのように迫って来ます…。「うさぎちゃんっ、うしろっ!」(←志村、うしろっ!)(←ワシの世代の条件反射なので気にしないで下さい…♪きょ〜〜おーはー土ー曜日〜、実写版のじぃかぁん〜♪)。

       するとその時っ! 我らがリーダーのチョーさん、もとい、ヴィーナスが駆けつけ、タンバリン・ビームで先頭の一匹を倒します…ぴろぴろきらりんっ!

       「!…ヴィーナスっ!」。ヴィーナスは『キツネさん(=ウサギさん)ポーズ』きらりんっ♪とウィンクします(←しかしそれにしても、『泥妖魔』って、数だけ多くてメチャヨワですな…これじゃ戦闘員以下ですな…)

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       こちらはジュピター…。

       ジュピターは、『鉄クズ妖魔』に思いっきりブン投げられて、地面をごろごろと転がされてしまいます…「うっ…、コイツ、強い…。あたしだけじゃ…『って、みんなはまだかなぁ…きょろきょろ…』『鉄クズ妖魔』は、『鉄クズ棒』を前に構えながらジュピターに迫って来ます。しかし、今頃みんなは、『泥妖魔』に足止めを食らってて、まだこちらには来そうもありません。「一人でやらなきゃ…!」。ジュピターは立ち上がり、「ハッ!」『鉄クズ棒』を腕で防御し、ケリなどを交えながらしばし戦いますが、今度は完全に力負けしちゃっております(←これなら、ジェダイトくんやネフライトの妖魔よりよっぽど頼りになるんじゃないか?! ダーク・キングダムは、すぐにでもコイツらを雇うべきだっ!⇒求人広告:『妖魔求む! あなたも、愉快な四天王と一緒に、ダーク・キングダムで働いてみませんか? 土曜の朝7:30〜出勤できる方歓迎! 時給(分給)応相談、担当ジェダイト、ネフライトまで』)。

       ジュピターは、妖魔に振り回されて再び地面に倒され、尻餅をついた状態で後ずさりします…そんなジュピターの背中に、一本の木が当たり、ジュピターは、「落ち着け…、大丈夫…、一人でもできる…」と自分に言い聞かせながら、その木を背にしながら立ち上がります…「…(心の声→)今までだって…」

       するとここで、かつてまこちゃんの元を去って行った人々の後ろ姿が次々と現れては消えます…が、さて、この回想シーンなのですが、これ、Act.6の時のをそのまま使い回さず、新たに再編集と追加がなされております…(↓)

1.         で、まず最初はご両親なのですが、今回のご両親は、まこちゃんの部屋の写真立てに写ってたご両親ではありますが、これ、Act.6の時とは違う方々みたいですねぇ…二人の服も身長差も違いますし、お母さんの髪がショートからセミロングに変わってて、お父さんの体格が少し小さくなっておられます…(←って、ンなこたどーでもよかろうがっ!)…問題はそんなコトではなく、それに続く方々です。

2.         で、それに続く方々なのですが、Act.6の時は、憧れの先輩と目される人々と同級生の女の子達でしたが、今回最初に出て来た二人は、Act.6の時には出て来てない二人で、しかもハッキリと年配の方々です…。で、その二人のうち、左側手前のほうの顔がハッキリと見えますが、こちらのかたは、髪も薄くて、太っていて、メガネをかけてます…これは明らかに、両親が亡くなられたあとにまこちゃんを引き取ってくれた親戚の方々ですな…。こう言った方々がまこちゃんを見捨てるとは考えにくいので、おそらく、この人達とも、次々と死に別れてしまったものと思われます。それで身寄りが一人もいなくなり、その結果一人暮らしを余儀なくされたんでしょうな(←要するに、Act.6の回想シーンでは憧れの先輩とか同年代の人々がメインだったのに、今回は、わざわざ(ご両親を変えてまで)変更を加え、ハッキリと家庭の問題をクローズアップしてる点が注目されます)。

3.         で、次に映された二人なのですが、こちらはちょっとプロフィールの識別が困難ですねぇ…しかしいずれにせよ、こちらの二人はAct.6の時の回想シーンにも出ていた二人で、その時の映像と同じものが再編集されて使われてます。左側手前の私服姿の女性のほうは、後ろ姿だけだったAct.6の時とは違って顔が見えるんですが、やはり中学生年代の女の子に見えますなぁ…。しかし右側奥の男性のほうは、Act.6の時とほぼ一緒で、あの時はブレザー系の学生服かと思ったのですが、よく見ると年配のサラリーマン風の人にも見えますなぁ…。

4.         ここで、幼少時代のまこちゃんが、伏し目がちに、彼らに向かって「どうして…」とつぶやきます…。

5.         で、次に、最後に映されるのが、先ほどまこちゃんがフッた元基です…。で、この回想シーンのもう一つの注目点は、オトコ関係では、Act.6の時に出ていた憧れの先輩だの「タケル」だのと目されるような人々が姿を消し、そこにいるのは、この元基ただ一人だけと言う点です(←つまり、彼だけが、今までの誰とも違っていた…と言う意味で一人残されたんです)。で、その元基は、一度立ち止まってこちらを振り向き、それから、また去って行きます…その背中に向かって、今現在のまこちゃんが、「どうして…」とつぶやきます…。

       これ…、いずれにせよ、去って行った人々の立場も理由もまちまちな訳ですから、それを「どうして…」の一言で同列に語ろうとすると、やはりAct.6の回想シーンにかぶされた言葉、「いつも…最後は…一人だ…」と言うセリフを持ち出さなければ、辻褄が合わせられませんなぁ…。冒頭のセーラー解説でも、「戦士の力に覚醒してないのは、あたし一人…。焦ってる訳じゃないけど、正直、どうしてあたしだけ?…とは、思うかな…」と言ってますから、要するに、『どうしてあたしだけ、いつも最後は、一人取り残されてしまうんだろう…』と言ってるコトになる訳ですな。で、まこちゃんは、その、それぞれ理由の違う「どうして?」と言う「昔から、あたしの中にある疑問」に対して、一度として答えを出せたためしがない訳です。だから今回も、どうして自分が元基の告白を拒否したのか、実はその理由も自分で分かってないんですな。この『分かっていない』と言うのがポイントで、つまり、まこちゃんは、自分の意志で自覚的に元基をフッた訳ではなく、おそらく、無意識のうちに、何かがそうしろと自分に命じたままに従った結果でしかないんですな。そう考えた時、初めて、全ての「どうして?……昔から、あたしの中にある疑問」に対して、まこちゃんがその都度、考えるよりも先に行動を起こす事でのみ出して来たそのそれぞれの答えが、全て一つで結ばれる訳です。まこちゃんは、いつでもそうして来た結果、十番中へと流れ流れて来た訳ですからね…。

       すると、ここでジュピターは、風にそよぐ木々のざわめきを耳にします…「はっ…」「ごおおぉぉぉ…『お久しぶりぃ〜、またナンか困ったコトでもできたぁ〜?』(←風の精霊)「ざわざわざわ…『てな訳でぇ〜取り敢えずぅ〜ここで試しに精神統一でもしてみぃ〜?』(←木の精霊)…。ジュピターは辺りを見回しながら、「はぁ、…」…そして、両手を胸の前でクロスさせて静かに目を閉じます…。すると、『鉄クズ妖魔』もそれを見て、「…『むむっ!?』みたいに警戒して立ち止まります。

       すると、みるみる上空に雷雲が立ち込め、その、あまりの雲の厚さに、まるで辺りが夜になってしまったかのごとく真っ暗になります…(←すげえっ!…色々な意味で…)。

       ちょうどそこへ、セーラームーン達が駆けつけてきます…。

       雷がジュピターを直撃しますが、ジュピターはびくともすることなく、その雷を吸収するように『気』をためております。

       「まこちゃんっ!」「まこと!」「まこちゃん…!」。しかしヴィーナスだけは一人冷静にその様子を見つめ、「ジュピターの力が…目覚めるわ…」

       そこへ、ぬいぐるみルナとアルテミィ〜スもやって来ます。

       ジュピターは突然目を開け、両手を高くかざしてそこに雷を呼び込み、自らを避雷針に見立てて、天空の全雷パワーを集中させるかのごとく、「しゅーぷりーむ…さんだーっ!」を放ちます(←って技バンクは一緒かよっ!)。

       それをまともに食らった『鉄クズ妖魔』は、木っ端微塵に吹き飛んで倒され、それと同時に、一気に雷雲も晴れて元のお日様が戻ります。

        ★  ★  ★  ★  

       ジュピターは、自分の両手を見つめております…。そこへ、セーラームーン達が駆け寄ります…「まこちゃんっ…」「やったわね、まこと…」(←マーズは、ジュピター本人と同じように、ずっとこの日が来るコトを気遣って来ましたからなぁ…)。ジュピターは、そんなマーズの顔を見たあと、「…あたし…」

       「何があったの?」「…きっと…一人だったから…」「…」「え?」「え?」「あたし、分かったよ…」「……」「必要だったからだ…、一人になるコト…、風を聞くコト…、ぜんぶ前世から決められてた…。…だからあたしは一人でいいんだ…」

       「そんな!」「私達は?」「…」「仲間と別れるって意味じゃないよ…。うまく言えないけど、あたしの一人っていう意味は、もっと違うんだ」。ここでジュピターはヴィーナスの顔を見て、「そうだろ?…私達の今は、前世に理由がある…」

       しかし、ヴィーナスはただ黙ってジュピターを見つめてるだけです…「……」「…前世に…理由がある…」。その一方で、ジュピターだけが、晴れ晴れとした笑顔を浮かべております…。

       このジュピターの説明は、Act.6でセーラー戦士に覚醒した直後のジュピターの説明とそっくりなんですね⇒(「そうか……あたし、そうだったんだ…。ずっと行かなきゃいけない気がしてた…。その理由がわかったよ…。失恋したせいじゃない…。仲間に会うためだったんだ…」。この当時も、まこちゃんは最初、自分が『どうして転校したのか?』その理由を履き違えていたんですね。でもそれは、おそらく、いつも『風の声』に導かれて、その声に従って流れ流れて来ただけだから、たとえ本人の解釈は間違っていたとしても、結果的には、いつも必ず正しい場所にたどり着いてはいるんです。Act.6でも、まこちゃんは、十番中の校庭に生えてる一本の木を見上げながら、この『風の声』を聞いていましたし、Act.21でも、亜美ちゃんが病院から失踪したのを探してる時、この『風の声』に導かれてました。

       で、今回もやはり、いつものように『風の声』に従って集中力を高め、そして「戦士の力」に目覚めただけなので、ここでも、いつものように、自分がなぜ「戦士の力」に目覚めたのか? その本当の理由は全く分かってなくて、ただ、その結果だけを見て、一人で勝手に納得しちゃってるんですね。Act.6の時は「仲間に会うためだった」のが、今回は『プリンセス覚醒』を受けて、それを、「ぜんぶ前世から決められてた」と、ただ目の前に起きてる事を、そのまま素直に受け入れて解釈してるだけなんです。で、その本当の理由に気付くのは、いつもあとになってからなんです。

       ※ で、そのジュピターの説明を受けての、このシーンでの最後のヴィーナスの『無言の意味』は、もちろん、初見時には全くでした。と言うのも、ヴィーナスの立場であれば、ジュピターの言葉に対してうなずいてもいいはずなのに、なぜ逆に黙り込んでしまったのか?その意味が全く分からなかったからです。しかしこれは、先ほどの、「確かに遅いけど…、でもきっと目覚める。そのために前世を持って生まれてきたんだから……あたしも…」に呼応していていた『無言』だったんですね。

     つまり、ここでヴィーナスは、目の前でジュピターが覚醒するのを見て、さらにそのジュピターの説明を聞いて、こう思っていたんです⇒「……『それが本当なら、このあたしが戦士の力に目覚めないのは何故なの…?』…これはそう言う意味の『無言』だったんですな。つまり、このヴィーナスの『無言』は、「…あたしも…」「きっと目覚める。そのために前世を持って生まれてきたんだから…」に対する、ヴィーナスの『どうして?』だったんですな。

       ところで、ヴィーナスは、セーラームーン、マーズ、ジュピターの覚醒の場面には、全てそれぞれ立ち会ってるんですけど、またしても、マーキュリーの時だけ覚醒の場面に立ち会ってないんですよねぇ…(←ナニげに徹底してますなぁ…)。

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       さて、今回めでたく(?)、ようやく『ジュピター覚醒』となった訳ですが、それではなぜ、ジュピターは「戦士の力」に目覚めたのでしょうか? このジュピターの説明を聞いて、意味が分かった人っているんでしょうか? ちなみにワシは全く分かりませんでした…て言うか、いまだによく分かりません…て言うか、本人ですら「あたし、分かったよ」と言いながら実は分かってなかったのに、どうして他人に分かるはずがありましょうか?(←ジュピターの説明を聞かされたセーラー戦士のみなさんも、たいへん困惑なさっておられます…)。

       ※ なので、ここから先は、最終回まで見終わった結果を踏まえて検証していかざるを得ないのですが、しかしそうすると、この先のエピソードを、何話にも渡ってかなり深く掘り下げなければならなくなりますから、それだと、量が膨大になるばかりでなく、あとでやるコトもなくなってしまいます(←とほほ…)。なので、その詳細については、またのちほど、「―古幡元基〜その愛の全軌跡・後編―」でお届けする事にして、ここでは、現時点で言えるコトを中心にして、取り敢えずの『ジュピター覚醒』を、総括しておきたいと思います。

1.         まず、なぜジュピターが覚醒したのか?について考える時、この先の展開を知らない状況で誰もが考えたであろうコトは、Act.8におけるレイちゃんとの口論でしょう⇒(「助け合って強くなるんだよっ!」「一人ひとりが強くなるべきよっ!」)…つまり、この両者の対立する考え方を、それぞれが逆の立場になって理解し、そこで自分に欠けていたものを補って覚醒した…と言う考え方です。これなら非常にシンプルで、とても分かりやすいですね。

2.         でも、本稿のAct.23等でも、この考え方は、どちらも根本的に間違っていると言う話はしました。実写版のセーラー戦士が「戦士の力」に目覚めるためには、そう言った上っ面な問題以前に、まず、全員に共通の絶対必要条件を満たす必要があるからなんです。そして、その絶対必要条件が、それぞれ各人の抱える問題とどう関わって解決されていくか、すなわちこれが、「戦士の力」に目覚めると言うコトの本当の意味なんですな。

3.         で、その絶対必要条件と言うのが、本稿で再三に渡って主張してきた、「友達」「家族」「恋人」、等のキーワードで密接に結ばれているもの、すなわち『現世意識』の強さです。これによって、自分にとっての『守るべき者』を見つけ、『現世』との強い絆が築かれない限り、絶対に「戦士の力」には目覚めません(↓)。

1.         【うさぎちゃん】⇒両親がいて、弟もいて、極めて円満な仲良し家族。恋する人もいて、セーラー戦士以外のなるちゃんも含めて、みんな友達(←完全無欠=『現世度100%』※当社調べ)。

2.         【亜美ちゃん】⇒お父さんは(離婚して)いないが、お母さんを尊敬し、愛している。うさぎちゃんが友達。他のみんなは仲間だが、本当は友達と思いたい(=『現世度99%』)。

3.         【レイちゃん】⇒お母さんとは死別し、そのコトでお父さんを恨んでいる。男には興味なし。うさぎちゃんが心の友達。他のみんなは、たぶん、敢えて仲間と割り切るようにしてる(=『現世度50%』)。

4.         【まこちゃん】「両親が小さい頃に死んじゃってるから」「一人暮らし」。つまり天涯孤独。セーラー戦士はみんな仲間(←しかも体育会系の上下関係にハマリつつある=『現世度0%』)。

5.         【美奈子】⇒家族について、劇中ではただの一言も言及されない(←ただし、Act.15で幽霊家族がいる事だけは確認されている)。プリンセスとセーラー戦士とは、みんな主従関係(←完全に封建時代の人=『現世度マイナス100%』)。

4.         ジュピターの持ってる『仲間意識』と言うのは、それが強くなればなるほど自分を『前世』へと導いて行きますから、これでは、ヴィーナス同様「戦士の力」に目覚めるはずなんかないんです(←仕事に没頭して家庭を顧みない夫みたいなモンです)。

5.         そして、この各人の『現世意識』の強さの度合いが、そのまま「戦士の力」に目覚める順番とぴったり符合しており(←亜美ちゃんとレイちゃんの順番が入れ替わってるコトについては、『ダーキュリー事件』の際に説明した通りです)、つまりこれをまこちゃんの「心の問題」に当てはめると、こう言うコトです⇒今回のまこちゃんは、まるでどっちが失恋したのか分からないような形で失恋してしまいました。しかし、それによって、皮肉な形ではありますが、まこちゃんは生まれて初めて見つけたんですね、自分が『現世』において『守るべき者』、つまり、将来の伴侶となるべき理想の男性を…。あとは、本人がいつそれを受け入れられるようになるか?だけです。この先のまこちゃんの物語は、そこに至るまでの、またしても長い旅となる訳なんですな(←ってコレ…、実は「スペシャル・アクト」まで続くんだよなぁ…)。だからまこちゃんは、ここに至って、ようやく絶対必要条件を満たして「みんなと同じになり」、その結果、「戦士の力」に目覚めるコトができたんです。

6.         ところが、その本当の意味を、当の本人は完全に逆に受け取って理解してるんですね。まるで、心の傷を癒すために自分の失恋を正当化しようとするかのごとく、「ぜんぶ前世から決められてた…。…だからあたしは一人でいいんだ」…。で、そのジュピターの説明を聞いて、今度は、一人取り残されたヴィーナスが、それに対して、『それなら、アナタ以上に前世を受け入れて、ずっと一人で戦って来たこのあたしが、どうして戦士の力に目覚めないの?』と言う疑問を抱くんです(←だからヴィーナスは、最初はリーダーとして、「ジュピターの力が…目覚めるわ…」と満足そうに見てたのに、その説明を聞いた途端、笑みが消えてしまうんです。なのでこれは、他の三人の困惑とは全く意味の違うものです)。

7.         恋愛や結婚には、人それぞれの形や成立過程があり、それこそ千差万別です。必ずしも恋愛と結婚がイコールではないように、また、恋愛結婚だけが理想的だとは限らないのもそのせいです。まこちゃんと元基の関係と言うのは、まるでクラウンを通して理想的なお見合い結婚に至ったような、そんな、『優しくて、極めて現実的な恋愛物語』なんですね。まこちゃんは今まで、結婚願望が強いくせに、ちっとも現実的ではない上っ面だけでミーハー的に男を選んで来て、本当の恋をして来ませんでしたし、だから、そんな恋愛が成就するはずもなくて、自分にとって本当に理想的な男性がどう言う人かなんて考えた事もなかったんです。ところが、今回、それを初めて考えさせてくれたのが元基だった訳です。そんな、まこちゃんの本当の恋愛と、それに直接結びつく結婚が、一つのものものとして、じっくり時間をかけて育まれ、むしろ、あとになればなるほどその大切さに気付くような、そんな『空気』『自然』のようなものだとすれば、それは、とても『まこちゃんらしい』恋愛の形なのではないでしょうか? 今、まこちゃんは、やっとそのスタート地点に立ち、そして、ただ『風の声』『木々の声』の命じるままに、「戦士の力」に目覚めたんです。

8.         今回のまこちゃんの恋愛エピソードが、元基が「一人暮らし」を始めた事も含めて、なぜ、常に「家庭」や「家族」や「結婚」の問題を匂わせながら、それと抱き合わせで語られていたのか? その意図は、つまりそう言うことなんじゃないでしょうかね。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはダーク・キングダム…。

       さて、ゾイサイトがネフライトのためにピアノを弾いている訳なのですが…おおっ!?…ナニげにワシは、ゾイサイトが弾いてるこのグランドピアノはどこのメーカーだろうとずっと気にしてたのですが、これはダーク・キングダム製だったんですなっ! ピアノのメーカーのロゴが入る位置に、『ダーク・マーク』が入ってるのがハッキリと確認されました。

       で、そのゾイサイトのピアノにずっと聞き入っていたネフライトでしたが、いきなり掌で鍵盤をガーン!とぶっ叩いて、「何も見えんっ! 何も思い出せないぞっ! オレの前世はどうした!」「落ち着け! オマエのそういう性格が、心を自由にしないのだ!」(←ネフライトって基本的にバカだから、元々記憶力が悪い上に、この人、Act.12でゾイサイトがヴィーナスに秒殺された時、それをベリル様にご報告した際「エンディミオン」の名を口にして、ベリル様から『忘れよ光線』を浴びせられちゃってるんですよね。これじゃもう、思い出すのは絶対に無理だろうなぁ…)。「フンッ、全部お前の作り事ではないのか?」「ならば会ってみろ、我らがあるじに…!」。そう言うと、ゾイサイトは「月光の曲」を弾き始め、目を閉じて意識を集中します…

       …すると、ゾイサイトのピアノ部屋の片隅が、ロンドンの地場衛の下宿先とシンクロし、ぼよよよよ〜ん…そこに地場衛の姿が現れます…「……『えっと、ぼちぼち朝飯でも食いに行こうかなぁ…と思ったらまたゾイサイトかぁ…ってココどこだよオイ?!』(←みたいな…)。ネフライト:「!…」。地場衛:「……」。ネフライト:「お前が…、マスター…、エンディミオン…」(←ってキミ、その名前はいつ思い出したんだよ?! あ、さっきゾイサイトが言ってたか…)。地場衛:「……」。ネフライト:「……」

       するとそこへ、クンツァイトがやって来て、「これはなんの集会だ?」。さらに、クンツァイトをスパイ活動中のジェダイトくんまで、部屋の入り口の陰から覗き見しております…「…『またベリル様にチクってやる…』。久しぶりにセーラー戦士が五人揃ったと思ったら、こちらダーク・キングダムでも、マスター・エンディミオンと四天王が初の揃い踏みです。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、とにかく、「ロンドン、ロンドン…」だそうですっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

 [2009年5月15日(金)初稿 トモロー]


Act.32:エンディミオン覚醒編

 

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     今回レビューしたAct.31は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第8巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第8巻 作品本編(4話収録)

 

Act.29 Act.30 Act.31 Act.32 

毎回映像特典(11分)

 

「セーラームーン」におしおきよ 沢井美優小松彩夏A

Act.31 ゲストキャスト

 

 

セーラー戦士アクション:

鳴海美翔

高井麻衣

隅田佐知子

宮内敦子

 

G-Rocketsの公式サイト▼
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妖魔アクション:

永瀬尚希

藤榮史哉

中島俊介
佐野弥生

橋口美和

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