―実写版セーラームーンを検証する―


Act.27:謎のセーラー戦士登場編――

 

       本稿は、2004年4月17日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第27話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

       ちなみに、テレビの本放送では、前回の次回予告に「来週のこの時間は、「2004マスターズゴルフ」をお送りします」と言うテロップが出てて、『2004年4月10日(土)』の放送はお休みでした。なので、ワシもそれに倣って、原稿はとっくに上がってたのですが、『4月10日』はお休みして更新しませんでした

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       久々のセーラー解説はうさぎちゃん…。

       「私、月野うさぎと、亜美ちゃんとレイちゃん、それからまこちゃんが戦士として戦うようになってから、びっくりするコトがたくさんありましたっ」(←ホンマやねっ♪)…

1.       四人の変身後の名乗りのシーンが、同一画面上に次々と出てきます

2.       Act.4で、タキシード仮面と空中遊泳して降り立ったシーン

3.       Act.10で、初めて『ヒーリング光線』を放って『レクイエム妖魔』を倒したシーン

4.       Act.24で、「科学館」で、『覚醒バージョン』「ムーントワイラト・フラッシュ」を放ってクンツァイトを追っ払い、タキシード仮面を助けたシーン

       「でも、一番驚いたのが、私たちが守るプリンセスは、セーラーヴィーナスだとばっかり思ってたのに」

1.       Act.12で、「セーラーヴィーナス様」が登場したシーン

       「実は違ってて、ホントのプリンセスは…、私だったんですっ!(←みんな知ってたけどねっ♪)…

1.       Act.25で、セーラームーンから「プリンセス」が幽体離脱して「エンディミオンっ!」と叫ぶシーン

2.       Act.26で、「プリンセス」の前にヴィーナス、ジュピター、マーズがひざまずくシーン

       「…遠い昔…私ってばプリンセスだったんだって…」(←ヒトゴトやねっ♪)…

       「そして、王子エンディミオンは、タキシード仮面こと、地場、衛…」(←うさぎちゃんにとって、あくまで「地場衛」が本体だと言うコトですな)…

1.       Act.26で、ルナのナレーションで説明された前世のお城のバルコニーに、「プリンセス」『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』が出て来て、見つめ合って微笑み合うシーン

       「…私の気持ちは、一方通行のまま、日本からいなくなっちゃいました…」(←ある意味、厄介払いやねっ♪)…

1.       Act.26で、空港を遠くに見つめながら「セラビー」を口ずさみ終わったシーン…

2.       同じく、飛行機の中で物思いに沈む地場衛のシーン…

       「でも、何よりも一番大事なのは、敵にさらわれて、悪い心に変えられてしまった亜美ちゃんを取り戻すコト…」(←ナンだカンだ放ったらかしだモンねっ♪)。

1.       Act.20で、マーキュリーがクンツァイトに黒紫のガスを食らわされ、立ったまま気を失うシーン…

       地場衛は、結局自分の気持ちをうさぎちゃんには告白しないまま旅立ってしまいましたから、うさぎちゃん目線では、彼が陽菜さんと別れたコトも知らないし、あくまでも「私の気持ちは、一方通行のまま」なんですな。実際、「オレは…、お前の気持ちに、応えることはできないっ」ってフラレちゃってる訳ですしね。しかしそれによって、うさぎちゃんの中での優先順位も、いよいよ「何よりも一番大事なのは、敵にさらわれて、悪い心に変えられてしまった亜美ちゃんを取り戻すコト」となり、この一点に集中するコトができるようになった訳でもあるんですな。すなわち、うがった見方をすれば、「私は邪魔をされるのは嫌いよっ」と言う亜美ちゃんにとっての『最大の邪魔者』が、いなくなった訳ですかな?

       ちなみに、正月に実写版の放送がお休みした時も、休み明けのセーラー解説は、それまでのストーリーを総括するような感じがありましたね(←その上、エピソード自体の内容も劇中カレンダーも、一週間休みがある事を前提に描かれてました)。これは、製作段階で、予め休みがある事が織り込み済みだったからですな(←実写版は、ナニげにそういう細かい配慮が行き届いてるのだ)。

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       で、その亜美ちゃんことダーキュリーが、『シッポの生えたちびムーン』(←仮称)と対峙しております…「誰?!」「セーラーマーキュリー、私を、倒せる?」(←敢えて暫定色にて表示)。

       ちなみに、やはり手に持ってるのはムーンライト・スティック(←正式名称)ですな…しかもオモチャ屋さんで売ってるヤツじゃありません…セーラームーンが持ってるヤツと同じホンモノです(←バンダイの市販品は、微妙に形が違うのだ)(←でも、ちょっとちょっと、そこのお嬢ちゃん、ソレ、どっからかっぱらって来たの? 小道具さんに叱られちゃうよ〜)。

       で、ダーキュリー答えて曰く、「…『ぷっ、ナンだこのガキは?』…何者か知らないけど…、お望みなら」(←出たっ! ダーキュリー節っ!)。ダーキュリーは剣を構えますが、急に何かにハッとして、剣を降ろしてしまいます。それを見た『シッポの生えたちびムーン』は、ニヤリとしてスティックを降ろし、「やっぱりねっ」「なんのことっ?!」

       「セーラームーンがプリンセスとして目覚めた時、幻の銀水晶の光を浴びたでしょ?」「……」「あの時、あなたにかけられた術が、弱くなったのよ」「…」

       すると『シッポの生えたちびムーン』は、スティックをかざして光を放ちます。ダーキュリーは眩しがって、手で光をさえぎります。しかしその光が消えると、そこにはもう、『シッポの生えたちびムーン』の姿はありませんでした…「はっ!?」…ダーキュリーが辺りをキョロキョロ見回してると、どこからともなく、さっきの『シッポの生えたちびムーン』の声が聞こえてきて、「マーキュリー、あなたはきっと戻って来る…」「……」

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       その謎のセーラー戦士が、うさぎちゃんの通学路のあの歩道橋に現れ、自分の耳とシッポを見て、「うそみたいっ!」とスキップし始めると、次第に変身が解けて「ふふふふっ!」と、ナンと、ルナになりましたとさっ♪…。

       …と言う訳で、たぶん、どうせもうみんな分かってるだろうから、そう長く引っ張る必要もないだろうってコトで、早くもオープニング前にネタバラシをしてしまいました(←変に引っ張って、「もしやちびムーンか?!」などと勘違いされ、あとで違ってたなんてコトになると、危険極まりないアニメ版信者さん達が暴動を起こしかねませんからな…。ところで、そう言えばアニメの劇場版美少女戦士セーラームーンSかぐや姫の恋人でも、ルナが一時的に人間体になるって話がありましたっけね? それを考えたら、別にこの設定は、さほど実写版オリジナルってコトでもない訳ですよね?

   

       ※ ちなみに、キャラクター・デザインとかも、ちゃんと原作者さんがなさってるそうです(←つまり、お墨付きってコトですね♪)

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       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

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       オープニング開けはダーク・キングダム

       ベリル様:「幻の銀水晶がプリンセスの体にあるとして、どうしてそれを手に入れるかだな…」。ジェダイトくん:「それを調べるには、プリンセスに近付く必要があります。この件、全てお任せ下さい」(←おおっ! ナンか、いつになく頼もしそうなコト言っちゃってるじゃないかっ!)(←それはそうと、もはや御前会議には、コイツしか出席してませんな…)。

       前回も書きましたが、「幻の銀水晶がプリンセスの体にある」という事実が判明したコトによって、ダーク・キングダム陣営の状況がガラッと変わり、今度は、「どうしてそれを手に入れるか」が問題となってる訳です。要するに、今までのように、安易に『プリンセス抹殺』を考えてればいいような状況ではなくなった訳です。なぜなら、「プリンセスの涙が幻の銀水晶のカケラになる」のですから、単純に腹を掻っさばいて中から取り出しゃいいってシロモンじゃないコトくらい、ジェダイトくんにだって分かる訳です。もし下手に殺してしまって、万が一プリンセスの体内にある」銀水晶まで一緒に消えてしまっては、それこそ元も子もない訳ですから、だからこそ、クンツァイトは前回、いち早く、「少々つついてみる」つもりで、ああやってネフライトをけしかけてた訳です。

       ベリル様は、そんなジェダイトくんの顔も見ずにうなずくと、依然として背を向けたまま、「……ネフライトはどうしておる?」「さあ?…勝手にプリンセスを狙って失敗したせいか、目に付く所におりません」(←おおっ、やっぱ「勝手に」仕事しちゃいけないんだ? 悪の組織でも、上司への事前報告と事後報告は部下の義務なんですな。クンツァイトがまだ駆け出しの頃、ネフライトの担当業務に下手に首を突っ込めなかった理由がコレだった訳ですなっ!)。

       「愚かな…。いずれ相応しい死に場所でも探してやらねばなるまい…」(←おおっ! 今まであんなにお優しかったベリル様が、初めてこげな恐ろしかコトを…!)(←って、そもそもそれが本来のクイン・ベリルなんだけど…)(←たぶん、実写版で「死」という言葉が使われたのって、ココだけなんじゃないでしょうかね?)。ジェダイトくん:「……」(←恋のライバルが消えて、ほくそ笑んでおりますな…(←って、たぶんそのつもりの演技のはず…)クンツァイトも言ってたように、「素直」なんですねぇ…)。

       ちなみに、アニメ版のクイン・ベリルなんて、失敗続きのジェダイトを「永遠の眠りの刑」で葬り去り、命令に背いたゾイサイトも自らの手でトドメを刺した挙句、「ゴミ」扱いしてましたからねぇ…(←恐ろしかお人じゃ…)。

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       で、そのネフライトですが…。

       洞窟の天井から、ぽたっ…、ぽたっ…と…、通路に『水』が滴り落ちるのをじっと見つめて、ダーキュリーのコトでも考えてるんでしょうか?…いきなりどアップで映し出されるネフライトのいじけ顔…「……『あ〜あ…、ダーキュリーちゃん、また慰めに来てくんないかなぁ…』(←暗っ! もう笑っちゃうほど…!)。

       するとそこへ、ナンと、珍しくゾイサイトがやって来て、ネフライトに声をかけます…「ネフライト…」「…『ちっ、ナンだお前か…』「荒れてるな…」「かまうな…、なんの得にもならんぞ…」(←いつもよりさびれた、新しい『ネフライト用・超いじけスペース』で、ひざを抱えて体育座りしちゃっております…。で、ダーキュリーからもらったマントも脱いでしまってて、それが、『てやんでぇ! もうヤケクソだぁっ!』みたいに、肩にかけられてます)。ゾイサイト:「…お前も昔を思い出せ。ホントの自分を知れば」…するとネフライトは、いきなり肩にかけてたマントをばっ!と掴み取って下ろしながら、ゾイサイトの言葉をさえぎるように、「これがホントのオレだっ!」(←おおっ! 分かってるじゃないかっ!)。「…」「ベリル様にも見捨てられ…、こんな無様なっ…」

       そんなネフライトを見て、ゾイサイトは、一度去りかけて立ち止まると、「…………気が向いたらいつでも来い…」(←おおっ! ナンか、めちゃめちゃいいヤツじゃないかっ!)。ゾイサイトが去ったあと、ネフライトは、手に握り締めてるダーキュリーからもらったマントを見つめながら…「…『コレのおかげで、せっかく空間移動できるようになったのに…』…で、それをもらった時のシーンを回想しております…(↓)

     ダーキュリーは、手に持ってた真新しい赤マントを広げ、ネフライトの肩にバサッと無造作に投げて乗せます…「そんな風に一人でいられるの…、なんだか好きじゃないの…」「!…」「……」。ダーキュリーは、まるで怒ったような顔をしながらそう言うと、さっさとその場を立ち去って行きました…

       ネフライトは、そのマントを握り締めたまま、「…『くそっ! こんなモノォ〜っ!』みたいに、それをコブシごとがんっ!と洞窟の壁に叩きつけると、その手をゆっくりと戻しながら、「…『でも…』みたいに、またマントを見つめ、それから、マントを頭からばさっ!とひっかぶってうずくまってしまいました…「…『ダーキュリーちゃんっ、ボク、一生懸命がんばったけどダメだったよぉ〜〜っ!…』(←みたいな…?)…ネ、ネフライト〜っ、今のキミはとっても輝いてるぞ〜っ!(←違う意味で…)。

       ネフライトは、Act.23でマーズに黒コゲにされ、失地回復を目指して臨んだ前回も、セーラームーンとジュピターに、ナンと『覚醒パワー』なしで返り討ちにされちゃいましたからねぇ…。これはさすがにこたえたでしょうなぁ…すっかり自信も失くしちゃったんじゃないでしょうかね? あんな体たらくじゃ、さすがのクンツァイトも、「少々つついてみる」つもりでネフライトをけしかけておきながら、ナンの収穫も得られなかったんじゃないでしょうかね?(←と思ったら、実はちゃんと収穫はあったんですね。クンツァイトがこのあとに取った言動によって、それがナンだったのかが明らかになります)。で、『捨てる神あれば拾う神あり』じゃないけど、今後の身の振り方でも考えなきゃならんところへ、ナンと、ゾイサイトから救いの手が差し伸べられようとは…。

       これ、ナニげにアニメ版のゾイサイトとは真逆ですな。アニメ版のゾイサイトは、同じように失敗続きでクイン・ベリルの逆鱗に触れたネフライトに、刺客を送って抹殺しちゃってましたからね(←「幻の銀水晶」の探知機である「黒水晶」を奪うため)。それで思い出したけど、その時ネフライトは、なるちゃんと恋に落ちてたんですよね…。で、四天王が人間を助けたってコトで『裏切り者扱い』もされる訳ですが、ひょっとすると、密かに実写版のネフライトにも、人間と心を通わせるような、そういう心の持ち主という設定でも施されてるんでしょうか?(※原作にはそのようなキャラクター設定はありませんでしたが…)。よくよく考えると、アニメ版の四天王って、最後のクンツァイトがセーラームーンに倒された以外は、結局、全員身内に抹殺されてるんですな…(←こわいですねぇ、こわいですねぇ…)。

     ※ ちなみに、原作の四天王は、全員しっかりとセーラー戦士に倒されてました⇒ジェダイトがAct.3でマーズに。ネフライトがAct.5でジュピターに。ゾイサイトがAct.7でプリンセス・ヴィーナスに。クンツァイトがAct.10でマーキュリー、マーズ、ジュピター、ヴィーナスの四人に…。つまり、アニメ版とは完全に逆で、セーラームーンだけ四天王を直接は倒していないんですな(←やはり、エンディミオンの家臣だったという設定があるからか?)。ちなみに、原作のダーク・キングダム編はAct.13で完結するので、やたら展開が早いようにも見えますが、これは原作が月刊誌掲載だったからで、しかもそれがテレビ・アニメと並行で進んでたからなんですな。つまり、原作の1話はアニメの一ヶ月分(=4〜5話)に相当する訳です。

       さて、実写版ではどうなるのでしょうか? 今のところ、完全に原作ともアニメ版とも違って、依然として全員生き続けておりますが…(←死ぬ代わりに石になって充電して復活するというのも、実写版のオリジナル設定です)。

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       場面変わって、ルナカラにて…。

       制服姿のレイちゃんが、例のタンバリンを手に取って、「これがぁ…アルテミスのプレゼント、ってわけ?」(←て言うか、アルテミィ〜スよ、ただ送り付けて来ただけで、ナンの説明もナシかよ?! そのまま何も知らずにカラオケ・グッズに使って、歌ってる最中にいきなりビームとか乱射しちゃったらどーすんだよっ!)。「使ったけど、すごい強力だった…」(←この時、レイちゃんが素早く反応し、まこちゃんの顔を見ます)…「あたしはまだ、戦士の力モノにしてないのに、パワーが上がったみたいでさっ」(←て言うか、相手が弱かっただけかもよ?)。

       「前世の記憶が戻ったことも、影響してるかもしれないわ…。それにうさぎ、うぅんっ、プリンセスが一緒だったってことも…」(←おおっ! 『サブ・リーダー』として、『目覚めの遅い後輩』をそれとなく気遣ってるぞっ!)。「あたし達で、うさぎを守ってかなきゃいけないんだもんな…」(←おおっ! Act.24の『対サスマタ妖魔戦』では、マーズのそういう気遣いに対して素直になれなかったのに、ここではしっかり励まされちゃってるぞっ! さすが上下関係に敏感な体育会系だっ!)。「…ええ…」「……」。ここで二人は、心を新たにして、「セーラー戦士の使命」について確認し合っております。

       ちなみに「セーラー戦士の使命」とは、Act.3の「第1回、セーラー戦士クイズ〜!」で説明されたように、(↓)

―Act.3の再現VTR―

       「さて、次の問題…。四人のセーラー戦士の使命はあ?」

       「はい、はいっ(ぴんぽーん)やったあ! 人間のエナジーを奪う妖魔と戦うこと!」「ぶーっ!!」「それだけじゃダメェ…はい、亜美ちゃん?」

       「プリンセスと幻の銀水晶を探し出して守ること」「正解〜!!」

       「え? 幻の銀水晶って…なんだったっけ?」「も〜う…、うさぎちゃんってばあたしの話ぜんぜん聞いてないんだからぁ…」

       …てな訳ですな…。で、この時も、このように、「セーラー戦士の使命」が説明されるのと同時に、その対比として、それに対する『うさぎちゃんの自覚のなさ』が描かれていた訳ですが、今回もここで、これと全く同じコトが起こります(↓)

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       とそこへ、その「プリンセス」こと「うさぎ」が、大慌てで駆け込んで来ました…(←うさぎちゃんも制服です)。

       「はぁ、はぁ、はぁ…」「どうしたのっ?!」「やっぱりここにもいないっ…はぁ、はぁ…」「誰が?!」「ルナっ、なんかすごい発表があるんだって!」「すごい発表っ!?」「……」

       うさぎちゃんは、いきなりステージに駆け上がってマイクを持つと、「ルナですっ、今まで、隠してましたが…」「…」「…」(←思わず固唾を呑んで見守る二人…)。「実は、私……、ネコじゃなくて、イヌだったんですっ!」「…うっ、じゃあさ、じゃあさ、実は、結婚してましたっ!『アルテミス以外のネコと』とか…」「ああ、じゃあさ、じゃあさ、じゃあさ、ね、ねぇねぇねぇねぇ…」「…『もっとセーラー業務に関係あるコトかと…』「…『だな…』(←もはや取り付く島もナシ…)。

       ちなみに、今まであまり深く考えたコトなかったけど、ルナやアルテミスが「ネコ」だっていうのは、ナニげに絶妙な設定だったんですな…。よくよく考えると、彼らに課せられてるお役目は、実は「イヌ」じゃちょっと務まらないんですな(←ちなみにワシは、今現在はネコを飼っているが、以前実家でイヌも飼ってた事があるので、両者の違いが経験的に分かるのだ)

1.       ルナ達は、基本的にご主人様(飼い主)のお付きの者なのですが、それと同時に戦士の教育係でもある訳ですから、これには、主従関係のハッキリしてるイヌよりも、自己主張もあって対等以上の立場を取れるネコの方が、都合がいい訳です。

2.       それにネコなら、寝ても覚めても、家の中でも外でも、常に行動を共にできますからね。しかしそれだけなら、実はやろうと思えばイヌにだってできないコトはない。ところがルナ達は、それ以外にも、敵の動きを探ったり、初期においては仲間探しやプリンセス探しや銀水晶探しなどの多忙な隠密活動が課せられてました。これは、身軽で夜行性で単独行動のできるネコでないと無理です。イヌが単独でそこら辺ウロウロしてたら目立ってしょうがないし、下手したら捕まって保健所送りにされてしまいます。

3.       そう考えると、実写版のルナとアルテミィ〜スが「ぬいぐるみ」なのは、さらに絶妙な設定なんですな。なぜなら、「ぬいぐるみ」なら、公共の場やペット持ち込み禁止の場所でも平気で行動を共にできるからです。いくらネコでも、昼間に人の大勢いるコンサート・ホールやイベント会場の中までウロウロするコトはできませんからね。だから、決して撮影上の都合や、制作費の節約が理由なんかじゃないんだっ! ぬいぐるみバンザ〜〜イっ!!

       ここで、うさぎちゃんは、テーブルの上の星型のタンバリンに気付くと、「…あっ、いいなぁ…私だけないなんて不公平だよね?」「プリンセスは別よ」「…」(←レイちゃんにそう言われても、『ちぇっ、つまんないの!』みたいに口をとんがらがせてるうさぎちゃん…)。

       ナニげに「不公平」って言い方は面白いですな。うさぎちゃんはやはり、「プリンセス」として特別扱いされるのが嫌なんですね。前回、自分の前にかしずく二人に向かって、「ちょっとやめて、まこちゃん、レイちゃんも…。プリンセスって言われても、私、ぜんぜんピンと来なくて…」と言ってましたが、これは、実は『前世の記憶』のあるなしに関わらず、「やめて」欲しいんですね(←ちなみに、ヴィーナスがかしずくコトに関しては、特に気にしてないらしい…)。

       うさぎちゃんは、三つのタンバリンのうち、水色の『マーキュリー・マーク』の入ってるやつを手に取ると、それをしげしげと眺めながら、「これ、早く亜美ちゃんに渡したいな…」「…そうね…『でも、間違ってもダーキュリーには渡さないでよ?』「取り戻そうよ…。ここで四人そろうコト、亜美ちゃんが一番望んでたんだし」「うん、…いつまでも、あんな亜美ちゃんでいていい訳ないもんね」『いやっ! いつまでも、あんな悪美ちゃんでいていいっ!』(by クンツァイト&ネフライト・悪美ちゃんLOVE)。「……」「……」「……」

       このシーンでの、三人のそれぞれのセリフが終わったあとに見せた、三人のそれぞれの無言の表情…特に、レイちゃんとまこちゃんの表情の違いは、まさしく、の違いを表してるんですね。レイちゃんの「そうね…」が、ほとんど涙混じりなくらい震えがちだったのに対して、一方のまこちゃんは、極めて楽観的です。これは、『友情担当』のレイちゃんが、誰よりもうさぎちゃんと亜美ちゃんの辛さを理解できる立場にあるからなんですね。そしてこれは同時に、『ダーキュリー事件』の本質、つまり、セーラーチームがバラバラになっていたコトを、この二人がそれぞれどう捉えているかの違いでもあるんですね。レイちゃんが『友達目線』なのに対して、まこちゃんはやっぱり『仲間目線』なんですね。『友達』と言うのは、一度その関係がこじれると修復するのはなかなか難しいですが、『仲間』であれば、目的さえ一致してれば元の鞘に収まるは比較的たやすいものです。だからまこちゃんは、レイちゃんとは違い、このように楽天的でいられる訳です(←でも、『仲間』内では、むしろそういう大らかな人がいるコトの方が救いだったりもする訳で、そこがまこちゃんの魅力な訳ですね)。

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       で、「あんな亜美ちゃん」ことダーキュリーは、まだ、さっきの屋上で街を眺めております…。

       しかも、そろそろ陽も沈もうかと言う時間帯に差し掛かっております…(←ねぇ? だからそこで一体ナニしてんのかだけでも教えてっ!)。そのダーキュリーは、急に「うっ、うぅっ…」と片頭痛に襲われたかと思うと、突然、『クラウンで編み物をしていた自分』の姿がフラッシュバックします…「!…(心の声→)私は…、いったい…」…ダーキュリーは、ビルの陰に隠れようとしている太陽を見つめ、「……誰なの?…」

       さっき、セーラールナがダーキュリーに、「セーラームーンがプリンセスとして目覚めた時、幻の銀水晶の光を浴びたでしょ? あの時、あなたにかけられた術が、弱くなったのよ」と言ってた、その通りのようですね…。

1.       前回、セーラームーン史上最も重要なビッグ・イベントの一つである『真のプリンセス覚醒』の場に、よりによってマーキュリーただ一人だけが立ち会えなかった訳ですが、その代わり、ダーキュリーとしては、その場に立ち会ってはいた訳です。

2.       で、あの時、「幻の銀水晶の光を浴びた」コトによって、ルナは完全に『前世の記憶』を取り戻し、マーズとジュピターは「なんとなく」思い出し、当の「プリンセス」本人は「ぜんぜん…」でした。

3.       そしてダーキュリーとして立ち会った亜美ちゃんも、もちろん『ぜんぜん…』だった訳です…が…ただし、その代わり、「幻の銀水晶の光を浴びた」コトによって亜美ちゃんが思い出そうとしてるもの…、それはすなわち、『現世の記憶(=元の自分)』な訳なんですね。つまり、亜美ちゃんただ一人だけが、思い出すべきは『前世の記憶』ではなく、あくまでも『現世の記憶』になってるんです。このすれ違いは、『ダークマーキュリー』という存在が生み出した、文字通り『運命のいたずら』でもある訳なんですな。

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       うさぎちゃんが、これはクラウンからの帰りでしょうかね? いつもの歩道橋を歩いております…。

       うさぎちゃんは、ふと立ち止まると、ダーキュリーが見つめているのと同じ太陽に目をやり、亜美ちゃんのコトを思い出してます(←Act.14の「うさぎちゃんを返してっ!」のあと帰路に着く四人と、亜美ちゃんの笑顔です)…「……(心の声→)亜美ちゃんも、思い出してくれないかなぁ…」

       ここでうさぎちゃんが言ってる『思い出す』と言うのは、もちろん『前世の記憶』のコトを指してるのではありません。なぜなら、それはうさぎちゃん自身も思い出してないのですから。ここでうさぎちゃんが「思い出して」欲しいと言ってるのは、もちろん『元の亜美ちゃんを…』と言うコトです。このように、わざと『目的語』をハッキリ言わずに含みを持たせるコトで、守備陣と攻撃陣の「記憶」に対する意識のズレをほのめかしてるんですね。

       すると、またトボトボと歩き出したうさぎちゃんの後頭部に、丸めた紙くずがぽんっ!と投げつけられます…「はっ!?…」。うさぎちゃんが辺りを見回すと、いつの間にか歩道橋の手すりの上に腰掛けていた、例の『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)が「ダメねぇ…、今のが敵の攻撃なら、やられてるわよ?」と言います。「ええ?!」

       『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)は、ぴょんっ!と手すりから飛び降りると、「あのね? 亜美ちゃん、幻の銀水晶のおかげで、元に戻ろうとしてるわよ!」「!」「あと、もうちょっとだと思う」ホントにぃ!?……って、ナンでそんなコト知ってるの?…」「びっくりしたでしょ?」「…『うん』。ここで『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)は両手をばっ!と腰に当て、「想像もつかないとおもうけど、実は、私は…」。するとその時っ! いきなり「わんっ!…わんっ、う゛ぅぅぅ…わんっ、わんっ!」と犬の吠える声がして、「!!……きゃあ〜〜〜〜っっ!!」と叫ぶなり、「いぃやぁ〜〜〜〜っっ!!(←ぴゅ〜っ!)と逃げ出してしまいました…。「?」

       うさぎちゃんが振り向くと、そこには、チワワを抱きかかえたオッサンがいて、「ラブちゃん、吠えちゃダメよぉ〜、しっ、しぃ〜」。ラブちゃん:「くぅ〜ん…」。オッサン:「しっ…ダメ、吠えちゃダメ、ねぇ…」。ラブちゃん:「くぅ〜ん…」「?……(心の声→)ン、ナニ?…今の?…『あと、このオッサンも…』

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       おもちゃ屋さんにて…。

       オープニングの「撮影協力」によると、ここは「トイザらスみなとみらい21店」 とのコトです。

       レイちゃんが、困ったような顔をしながら、やたら広い店内を呆然と見渡しております…「あたし、ぜんぜん分かんないからぁ、エリカ選んで来てくれる?」(←おおっ! この子は、Act.10の『かぐや姫レイちゃん』の時に紙芝居を手伝った女の子ですなっ!)…「子ども会で、みんなでやれそうなゲーム」「うんっ、じゃ、あっち見てくる!」…そう言ってエリカちゃんが嬉しそうに走り出すと、「気をつけて、走っちゃダメよ〜っ!」(←いつも思うのですが、レイちゃんは普段が怖いだけに、小さい子と接してる時の自然で柔らかな笑顔は、これがまたナンとも言えませんな…)。

       するとその時っ! 「!…」いきなりナニやら気配がして、レイちゃんが辺りを見回します…「…(心の声→)なに!? この気配は…!」

       見ると、猫のぬいぐるみの山に埋まって、そこからコレ見よがしに顔だけ出している、例の『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)が…。「???」「さすがはセーラーマーズね」「!」「私の気配が分かるなんて…」「…だれぇ?…」「たずねられたら答えるしかないわね」(←って、その状況は『聞け』っつってるようなモンだろがっ!)。彼女はぬいぐるみの山から抜け出すと、「実はね? 信じられないと思うんだけど、私の正体は…」

       するとその時っ! 突然マリがぽーんっ! ぽーんっ!と跳ねて来て、「……」(←思わず目で追ってしまう…)。「??…『え゛?!』(←みたいな…)。「……わ、私の正体は…」

       すると今度は、「おすすめ!各種ボール」と書かれた籠の中のボールを、ガキが誤って床にぶちまけてしまい、「ああっ!」「私…わた、わた、わた、わた、わた…にゃあ〜〜〜〜っっ!!」(←条件反射でボールを追いかける…)。「!…ナンなの?!」

       ※ さて、話はちょっと変わりますが、ちょうど「エリカ」ちゃんが出てきたので、ついでに、この場をお借りしてご報告したいコトがございます…。実は、ワシはついに買ってしまったのだっ! 「新・講談社の絵本 かぐや姫」(←税込み¥1,575)をっ!(↓)

 

       結論から先に言おう…「めちゃめちゃ、買って良かったぁ〜っ!」

1.       この絵本は、Act.10でレイちゃんの子供時代の回想シーンに登場し、その際、ワシが調べたAmazon.co.jpの書籍データに「発売日:2001/4」となっていたコトから、レイちゃんのお母さんがお亡くなりになられたのは、それ以降、つまりレイちゃんが12歳当時であると推測した訳だったのですが…。

2.       その後、Act.17でレイちゃんが教会にお墓参りに行った際、墓石に「RISA HINO 1963〜1995」と彫ってあったコトから、レイちゃんのお母さんがお亡くなりになられたのは、実はレイちゃんが5歳当時であったコトが判明し、ここに、時系列上の混乱が生じた訳です。

3.       そこでワシは、密かにこの「新・講談社の絵本 かぐや姫」の発売日が「重版なのでは?」と睨み、けっこう悩んだ挙句、やっぱりそれを確認するために、ついにこの絵本の購入に踏み切った次第なのでございます。

       そしてっ! その謎が、このたび、めでたく解明されたのでございますっ!(↓)

1.       この発売日はやはり「重版」ではなく、れっきとした「初版」でした。がしかしっ! 実は、そもそもこの絵本は、Amazon.co.jp「商品の説明」にもあったように、「「講談社の絵本」を現代仮名遣いで再出版」「1939年刊「竹取物語かぐや姫」を現代仮名遣いにして再刊」された、要するに『新装版』だったんですな(←再販に当たって、あの「ちばてつや」さんが序文をお書きになってます。同じ「1939年」生まれだからでしょうか?)。

2.       そこでワシは、今度は、古本サイトで『旧版』の方を探してみましたところ、2冊見つけたうち、1冊は2,000円で、もう1冊はナンと9,000円っ!(←で、迷わず2,000円の方を購入…)。それで確認しましたところ、ナンと、表紙の絵もデザインも『新装版』とほぼ一緒でした(※下図参照)。ただし、さすがに「1939年」(昭和14年)発行なので、題名も旧漢字と旧仮名遣いで、横書き文字の並びが左右逆になってて、「本繪の社談講」(←「ンホ ヱ ヤシ ンダ ウカ」とカナが振ってあり、この文字の方が題名の「姫やぐか 語物取竹」「メヒ リタガ ノモ リト ケタ」)よりデカイ)。発行は「行發 社談講會辯雄本日大」となっている。裏表紙には、こちらは縦書きで「定價五十錢(送料三錢)」とある(←ってソレいくらだよっ!? 数字上は1円の半分だが…当時の物価では?)(←ちなみに『旧版』の序文は、あの西條八十さんで、本文の文章も担当なさってます)。

※ 新旧版の表紙・比較図

本繪社談講

新・講談社の絵本

かぐや姫ひめ

姫やぐか 語物取竹

この表紙絵は、

『新装版』の方が

ソフト・フォーカスがかってるので、

むしろこちらの『旧版』の方が

鮮明です。

どうやら『新装版』は、原画を元にして、

CG処理か何かで

修正が加えられてるようです。

 

行發 社談講會辯雄本日大

発行:講談社

3.       つまり、Act.10でレイちゃんの回想シーンに使われていたモノは『新装版』の方ではあった訳なのですが、実際にレイちゃんのお母さんがレイちゃんに読んでくれてたのは、同じ絵と内容の『旧版』がきちんと存在していた訳ですから、つまり内容的な矛盾は一切なかったっ!って訳なんですな(←実は、『旧版』の方は、中の扉絵を含めて絵が8枚も多く、文章自体もかなり違うのだが、内容そのものはほぼ同じで、あくまでも古典原文を『簡略化』したものである)。たとえば、昔テレビでやってたまんが日本昔ばなしなどは、独自に『設定変更』が施されてる箇所がけっこうある(←『設定変更』の意図は、もちろん『子供に分かりやすく』だが、ちょっと疑問に思うのは、その際、古典原文の真意を無視して『登場人物の美化』が図られてしまってる点である)のだが、「講談社の絵本」では、新旧どちらもそのような事は一切しておらず、あくまで古典原文の『簡略化』である。

       しかもっ! ンなコトよりもむしろ収穫だったのは、この「新・講談社の絵本 かぐや姫」の中には、実写版に纏わる謎を解くための、非常に興味深いヒントが、実にごろごろと転がってたコトなのでございますっ!(↓)

1.       まず、何十年振りかにこの物語にあらためて触れてみて、「ああ、そう言えばこんな話だったっけなぁ…」と思うと同時に、ワシがこの話の中で完全に忘れていた部分、それは、「かぐや姫が、お婿さん候補達に無理難題を申し付けて、結局、彼らに結婚をあきらめさせる…」というくだりがあるのですが、これを読んだ時、そうかっ! レイちゃんの『オトコ嫌い』は、ここにも原因があったんだなっ!とぴん!ときましたねぇ…。

     つまり、レイちゃんの『オトコ嫌い』には、実は二つの原因があったんですな。

1.         一つは、現世的な理由で、父親を恨むが故の『潜在的なファザコン』があるコト。

2.         そしてもう一つが、前世的な理由で、レイちゃんは霊感が強いがために、「ママがこの話好きで、よく読んでくれたから…」「あたしも、小さい頃は、信じてたのよ?…月の国…」と言う少女時代の記憶と、自分の『前世の記憶』が当時からすでにオーバーラップしていたコト。

     つまり、かぐや姫が、「自分は月の国の天人で、月に帰らなければならないから、地球の人間とは結婚できない…」のと同じように、そのかぐや姫と自分を重ねていたレイちゃんもまた、それと同じ空想の世界にいて、『現世の地球のオトコども』に興味が持てなくなっていた(←おおっ! めちゃめちゃ筋が通ってるじゃないかっ!)。

2.       そして、もう一つ、ワシがこの話の中で完全に覚えのなかった部分、それは、「月から天人達が迎えに来た時、かぐや姫は自分の着ていた着物をおじいさんとおばあさんへ形見として残して行き、そして天の羽衣を着せられた瞬間、天人となって、地上にいた時の記憶を全て失くしてしまう…」というくだりです。これはまさに、『コスチュームと記憶との相関関係』…つまり実写版の考え方そのものではないかっ!(←実は、『旧版』の方には、このくだりはなく、省略されている)。

3.       さらに衝撃的だったコトがあります。この絵本はあくまで子供用なので、古典原文に書いてある細かい話が所々かなり省略されてるのですが、それに関して、巻末の「解説」で若干補足してあったのですが、それによると、「月の都で犯した罪をつぐなうために地上にくだされたかぐや姫が、ある期間を経て許されて月に帰っていってしまう」云々とある…。……って…そうだったの????…し…、知らなかったぁ〜っ!!(←実は、一般に出回ってる絵本の類や、テレビのまんが日本昔ばなしなどでも、この手の細かい設定はかなり端折られてるので、先日実家に帰った折に、ナニげに母に尋ねてみたところ、還暦を越えたワシの母ですら、そのコトは知りませんでした)。

4.       …てコトは、今の段階ではあまり大きな声では言えませんが、「月の都で犯した罪をつぐなうために地上にくだされた」って…これって…、ナンと…、まさしくっ!…実写版の「プリンセス」そのものじゃないかっ!(←って声がデカイっ!)。

     ちなみに、このような「解説」『旧版』には掲載されてませんでした。つまり、実写版が、時系列上の混乱を犯してまで、わざわざこの『新装版』の方を劇中に登場させた本当の意味は、こういうコトだったんじゃないでしょうかね?…つまり、おそらくこれは、よいこのみんなが実写版をより深く理解するためにも、この「新・講談社の絵本 かぐや姫」を、是非とも参考文献としてご覧くださいと…。そして同時に、実写版が、この日本最古の小説でもある「竹取物語」に、特別の敬意を表していた証でもあったのではないでしょうか…。

       ちなみに、先ほども触れた原作・アニメの劇場版美少女戦士セーラームーンS〜かぐや姫の恋人(←「美少女戦士セーラームーン (11) (講談社コミックスなかよし)「美少女戦士セーラームーンショートストーリーズ 2 新装版 (KCデラックス)、及び「美少女戦士セーラームーン―かぐや姫の恋人 (KCデラックス)に収録)にも、ルナが「日本古典アルバム 竹取物語」と言う本を読んでるシーンがあるのですが、しかしそのエピソードにしても、あるいは原作・アニメ全般にしても、「セーラームーン」「かぐや姫」の間には、単に『月から地上にやって来たお姫様』と言う程度の、極めて表面的な共通点しかないんですな。

   

       ところがだっ! ワシは、この「新・講談社の絵本 かぐや姫」を読んだ事によって、何か胸騒ぎのようなものがするほど、無性に「竹取物語」の古典原文と言うものの全文の内容が知りたくなり、そんな訳で、早速買って来て、初めてそれを読んでみたのですが(←もちろん現代語訳付で⇒「竹取物語(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス))、これが驚くほど、めちゃめちゃ奥が深いっ!(←この本は、たまたま近所の本屋さんにあったのを買って来たのですが、この本の解説がまた素晴らしく、ワシが実写版を検証する上で参考になる事ばかりです)。そしてワシは、今まで自分が「竹取物語」について全く何も知らなかったに等しかったコトに気付かされ、愕然といたしましたっ!(←さすが、あの紫式部さんも絶賛しただけのコトはあるっ!)。

 

       そして、ワシは、一つの結論に達しました…それは、「竹取物語」を読まずして実写版は語れないっ!…と言うコトです(←もしくは、最低限、「新・講談社の絵本 かぐや姫」の本文と「解説」に書かれてるくらいのコトは知っておいて損はないかと…)。ちなみにこの古典原文は、実写版云々を抜きにしても、誰もが一度は読んでおくべきなのでは?と思えるほどに、ものすごくよくできた物語です。そして、実写版の最終回で明かされた本作の根本テーマについて、ワシが考えてた事が間違ってなかった事が、この「竹取物語」の古典原文を読んだ事によって、確信に変わりましたねぇ…。まあ、その詳細につきましては、またのちほど折を見て…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは木野邸…。

       まこちゃんは、晩御飯の支度をしてる最中です。中華なべを器用に振って、野菜炒めを作ってるようですな(←緑と赤と黄色のピーマンと、白いのはコレ、竹の子の細切りかナンかですかね?)。で、「仕上げにコショーを…♪」と言いながら、カウンターの調味料入れを手探りしてると、「はいっ」とコショーを取ってくれる人物が…。「サンキュー♪……………………えっ!?」(←いきなり振り向く)。

       すると、「料理も戦士のたしなみねっ♪かんしん、かんしん!」と、いつからそこにいたのか、例の『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)が、カウンターから顔を覗かせてます…。「!…ざ、座敷わらしっ!?」「違うわよぉ! 私はぁ…」「!…」。まこちゃんは、思わずコショーのビンを床に落とし、「あっ!」、コショーをぶちまけてしまいます…「わあっ!」ぼわぁっ!(←コショーが宙に舞う)。「あ、…ダメ、…ダメダメっ、……くしゅんっ!」

       まこちゃんがエプロンのコショーを払ってると、「あれ?!……」…見ると、座敷わらしの姿が消えてます…。「……ナンだ?…………はくしゅんっ! しゅんっ! しゅんっ!(←エコー)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは月野邸…。

       うさぎちゃんがセーラーケータイで電話してます…「レイちゃんトコにも?」

       「そうなのよ。敵ではないみたいだけど…」

     「とにかく、あした朝一番にクラウンに集合しよう!」(←おおっ! 未来を先取りしたグループ・トーク機能ですなっ!)。ちなみに、「あした朝一番に」ってコトは、もう春休みも終わってて、今日みんなはクラウンで制服を着てましたから、つまり「あした」は土曜ってコトですな。

       「うんっ、ルナにも言っとく…」

       「…『うん』(←って…電話なんだから、うなずくだけじゃ、相手に伝わらない気がするぞ…)。

     「……くしゅんっ! しゅんっ! しゅんっ!(←エコー)。

       「!」

      「!」

       「お大事にっ♪」ぴるんっ!(←ケータイを切る音)、ぱたんっ!(←ケータイを閉じる音)。うさぎちゃんは立ち上がり、「…って…、ルナ…、ホントにどこ行っちゃったんだろ?」と言いながら部屋の中を見回します…。それから、窓辺に行き、窓から夜空の月を見上げます…。

        ★  ★  ★  ★  

       すると、その月が、湖の水面に映し出されます…。

       今度はダーキュリーが、夜、湖のほとりに立って、今、うさぎちゃんが見ているのと同じ月を眺めております…(←夕方の太陽のシーンと逆ですね)。

       すると、再び急に片頭痛が起こり、それと共に、『元の亜美ちゃんの記憶』がフラッシュバックします…。

     クラウンでのうさぎちゃんの笑顔…

       「うっ…」…、

     同じくレイちゃんの笑顔…

       「うっ…」…、

     同じくまこちゃんの笑顔…(←これらはみんな、Act.14の「うさぎちゃんを返してっ!」のエピソードの時の、クラウンでの新年会で着ていた服ですね。つまり、『みんながバラバラになる前の、あの正月パーティーの頃が一番楽しかった』と言う意味の、『記憶のフラッシュバック』ですな)

       「うっ…」…、ダーキュリーは、目を開けると、「…私は…」…、

     そして、クラウンで、そんなみんなのコトを思いながら、みんなのために手袋を編んでいる自分…

       すると突然、まるで絵に描いたように、『水』に映る『月』に、『石』ぱしゃんっ!と投げ込まれます。「はっ!」「見るなっ」…クンツァイトがダーキュリーの背後に現れて、歩み寄ります…「…お前はすでに闇の者だ…!」「…………」…すると突然、ダーキュリーは「!!」と何かを決意したかのように顔を上げます…。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       日付変わって、クラウンにて…。

       「いぃ〜っ!?」「うぅっ?!」「えぇ〜っ!?」(←1オクターブ高く)。ナンと、テーブルの上には、食い散らかされたデザートの山が…そして、「遅かったわねぇ? ぽりっ」『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)が…。

       するとうさぎちゃんが、「あたしのポップコーンっっ!!」(←おおっ! このポップコーン樽は、Act.5でうさぎちゃんが火川神社に持参してたやつですな。ナニげにコレって、ルナカラのポップコーンを、うさぎちゃんが自分用に詰めてたモノだったんですか?)。その後ろで、レイちゃんとまこちゃんが、そんなうさぎちゃんを見て、? みたいな…。ちなみにみんな私服ですから、やはり今日は、昨日が制服でしたから、土曜ですね。

        ★  ★  ★  ★  

       お菓子をすっかり平らげて、テーブルの上も片付け、デカイ湯飲みでお茶を飲む『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)…「ふう、ふう…………あぁ…!」(←さっきは樽一杯に入ってたポップコーンが、ほとんど食い尽くされてるっ!)。その後ろで、うさぎちゃんが腕組みしながら行ったり来たりして尋問します…「まずはどこの誰なのか言ってもらおうか!」。同じくまこちゃんも、「どうしてあたしたちのコトを知ってるのか!」(←おおっ! 今日は『Gジャン刑事』だっ!)。「亜美ちゃんが元に戻りそうって本当なの?!」「怒らないから正直に言ってごらんっ!」。二人はばんっ!とテーブルを叩き、「さあ! さあ! さあ! さあっ!

       『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)は、湯飲みをテーブルに置くと、「まあ、落ち着いてっ!」、そしてイスから立ち上がり、「まだ気付かないの? ココにいつもいるじゃないっ!」「ダメね〜、でも、これからは、アルテミスに言われた通り、私が、びしびし鍛えるから、大丈夫よっ」(←この時レイちゃんはソファに座ってて、目の前を通り過ぎるこの子の『しっぽ』を見て「…『ナンじゃこりゃ?』みたいな顔してたのが、秘かに笑えました)。

       「アルテミスに言われた?」「ココにいつもいる?」「…!…『もしやこのガキは…』「じゃあ、教えてあげる…、私の、正体は…」

       とその時っ! いきなりケータイのベルが鳴り、「あ、ちょっと待って!」「!…『って、またかよっ!』(←みたいな…)。「もしもしっ♪……………………!…亜美ちゃん!?」

       「!!」

       「!!」

       「!!」(←って、あれ?!…今一瞬、ナニかがヘンだったぞ?…(と思って、DVDを巻き戻し、コマ送りするワシ…)…………ってちょっと待てぇ〜っ!!ナンで今、このワン・ショットだけ、ルナが白と黒のジャージみたいな上着を着てるんだよっ!?)。

       「今どこに……え?…………うん…」(←突然みんなに背を向ける…)。「…」「うん…」「…」「うん…」「…」(←もう着てねぇ…???まさか幽霊ジャージ?!ってンなバカなっ!)。「うぅん…わかった……」。ぴるんっ、ぱたんっ。

       「亜美ちゃん、ナンだって?!」「木馬遊園地の、メリーゴーランドの前にいるから、来いって…。…ただ…」「?」「?」「レイちゃんとまこちゃんだけだって…。…でも、罠かも…!」「可能性はあるけど、無視する訳にはいかないわっ」「大丈夫っ、うさぎはここで待ってて、亜美ちゃん連れて戻って来るからっ、行こうっ」。二人は、急いで階段を駆け上がります。

       「……」…うさぎちゃんは、『ウソついてごめんね…』みたいな表情で二人を見送り、その二人がばたんっ!とドアを閉めたあと、キッと表情が変わって顔を上げ、『よ〜しっ!…』と言うように、何かを決意したような顔つきになります。そんなうさぎちゃんを、『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)が、ナニやらじっと見つめております…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、ダーク・キングダム…。

       ダーキュリーが、電話し終わってケータイをカタンっ!と閉じます(←って、あれ?!…今一瞬、またナニかがヘンだったぞ?…(と思って、DVDを巻き戻し、再びコマ送りするワシ…)……………おおっ! やっぱりかっ! 一瞬ナニか黒いモノが見えたような気がしたと思ったら、ナンと、ダーキュリーのケータイには、『黒いダーク模様』が入ってるではありませんかっ!)(←これはかなりのレアものです)(←おそらく、この『ダーク・ケータイ』じゃないと、基地の中まで電波が届かないんですなっ!)(←この調子だと、きっとクラウンの年間パスも『ダーク・パスポート』に…)(←で、そこには、ルナのイラストの代わりにクンツァイト・パパの似顔絵が…)(←超見てぇ〜っ!)。

       「そうだ…!」「!…『ってまたアンタかよっ!』。洞窟の壁にもたれてその様子を見ていたクンツァイトが、ダーキュリーに歩み寄ります…「戦えっ、…今のお前であり続けるために…」「……」「…」

       最初ダーキュリーは、そんなクンツァイトの言葉を、まるで何かを恐れるような面持ちで、背中で聞いていたのですが、急に何か「!…『この男に隙は見せたくない!』と思うかのように毅然とした態度を装うと、いつものダーク口調に戻り、「言われなくてもそのつもりだったわ…『指図されるのは嫌いって言ったでしょ!』。そしてダーキュリーはクンツァイトの方に振り向き、「手を出したら、あなたも怪我するわよっ」と相手を見据えます。

       するとクンツァイトはニヤリとし、「お前は面白い…。当分…手放したくはないな…」。クンツァイトが、ダーキュリーの肩に触ろうと手を伸ばすと(←最初は『頬』に触れようとしてたようにも見えたのですが、最終的には『肩』だったようですな)、「……」…ダーキュリーは一瞬、妖しくニヤリとしますが、次の瞬間、急に真顔になって、クンツァイトの手をバシっ!と跳ね除け、そのままひと睨みしてから、背を向けて去って行きます。クンツァイトは、そんなダーキュリーの背中を見送りながらも、意味ありげにほくそ笑んでおります…「……『ちっ、フラレちゃったか…』。ネフライト:『フッ、ざまー見ろっ、マントもらってる分、私の方が一歩リードだ…』

       「当分…手放したくはないな…」と言うのは、いかにもクンツァイトらしい言い回しですね。

1.       要するに、「当分」ってコトは、『いずれ手放すつもり』でいると言うコトですから、それはもちろん、『用が済んだらお前も始末する』って意味です。

2.       なぜならクンツァイトは、あくまでも「全てに対して復讐する」つもりでいるんですから、もちろんその中には、セーラー戦士達も全員入ってて、そこには敵味方の概念など始めからないからです。

3.       で、クンツァイトは、Act.24で『本当のプリンセスはセーラームーンだ』と突き止めた時点で、実はダーキュリーの本来の利用目的は達成され、もはや『用済み』になってた訳です。だからクンツァイトは、続くAct.25ではダーキュリーを邪魔者扱いして、セーラームーンを自分の手で倒そうとし、その結果、ダーキュリーとをして『内輪もめ』までやらかした訳です。

4.       ところが、セーラームーンが「プリンセス」に覚醒してしまい、「幻の銀水晶は、プリンセスの体内にある」コトが判明したために、事情がガラッと変わってしまったんですな。こうなると、「プリンセス」を殺すにせよ、「幻の銀水晶」を奪うにせよ、そう簡単には手が出せなくなってしまった訳です。

5.       そこでクンツァイトは、それを思案するために、「少々つついてみる」目的でネフライトを焚き付けて、彼に「プリンセス」を襲わせたのですが、このネフライトが全くの役立たずで、「幻の銀水晶」どころか、『覚醒パワー』すら引き出せずにおめおめと退散してしまった訳です。しかしそれを見て、逆にクンツァイトは、『単に妖魔で戦いを挑んだだけでは、「幻の銀水晶」は出現しない』というコトが分かったんですね。

6.       つまり、あの時「マスター・エンディミオン」を斬ったコトによって「プリンセスの涙が幻の銀水晶のカケラに」なったのだから、これはもっと精神的な揺さぶりが必要なのだと気付いた訳です。

7.       ところが、そもそもその「幻の銀水晶」を出現させる原動力となったその「マスター・エンディミオン」は、もはや日本にいなくなってしまった訳です。

8.       つまりここで、再びダーキュリーに『利用価値』が出て来た訳なんですね。

9.       なぜならクンツァイトは、「プリンセス」にとって、マーキュリーは「マスター・エンディミオン」に次いで最も近しい存在だと知ってるからです(←そもそも、それが理由でマーキュリーを『プリンセス探しのコマ』に選んだ訳ですからね。彼は元々、最初は『プリンセスはセーラームーンだ』と思ってたんですから、再びそのセーラームーンに的を絞って『プリンセス探し』をすれば、当然、味方に引き込むターゲットはマーキュリーになる訳です)。

10.    結局その思惑通り、Act.22でダーキュリーとセーラームーンを戦わせて『覚醒パワー』を引き出し、それが『プリンセスはセーラームーンだ』と突き止める結果につながったのですから、だからこそ、今一度その再現を狙うためにも、このエロオヤジは、Act.25でダーキュリーを邪魔者扱いしたコトを不問に伏させようとして、ここで、こんな『イヤらしいコト』をヌカシてご機嫌取りなんかしちゃってる訳です。

11.    ところがダーキュリーは、当然、あの時のコトをしっかり根に持ってるので、『ふざけないで! その手には乗らないわよっ!』てな訳です(←最初、妖しく微笑んで見せてからいきなり跳ね除けたのは、自身が『期待させられて裏切られた』コトへのしっぺ返しを食らわしてやりたいと思ったからです

12.    しかし、クンツァイトにしてみれば、「気まぐれ」なダーキュリーに本気で戦う気さえ起こさせればそれでいい訳ですから、このシーンでの最後の『ニヤリ』は、『しめしめ…』な訳です(←そのために、しつこく湖まであとをつけ回してた訳ですからね)

13.    このようにして、クンツァイトは、ベリル様が、「幻の銀水晶がプリンセスの体にあるとして、どうしてそれを手に入れるかだな…」などと、のんびり構えてジェダイトくんと協議してる間にも、常に先手先手を打って、どんどん核心に近付いて行ってる訳です。クンツァイトは、『エナジー集め』に関しても、『プリンセス探し』に関しても、常にそうやって着実に成果を上げてきたのですから、今回の「幻の銀水晶」に関しても、やはり打つ手が早い訳なんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       こちら「木馬遊園地」…。

       おおっ! ここはAct.21、22の「横浜・八景島シーパラダイス」じゃないかっ! ここの劇中名称は「木馬遊園地」だったんですな(←もしかして、また『メリーゴーランド上の変身シーン』が見られるのか?!)。

       ところが…、

1.       ジェットコースター(←「サーフコースター」公式サイトによると⇒海に突き出したループを駆けめぐる海上走行コースター」)も…、

2.       飛行機(←「レッドバロン」公式サイトによると⇒飛行機を自由に動かして、めざせパイロット!」)も…、

3.       そして指定場所のメリーゴーランド(←「メリーゴーラウンド」公式サイトによると⇒20世紀初頭の木馬彫刻家デンツェルのコレクションを参考に描かれたもので、より幻想的な雰囲気を演出してくれているよ」)も…、

       ぜんぶ動いてはいますが、お客さんが一人も乗ってません…もちろん悪美ちゃんもいません…て言うか、遊園地自体に、お客さんが一人もいません…おそらく、早朝でまだ開園前なのを、クンツァイト・パパがダーク・パワーで動かしてるのでしょうか?

       で、レイちゃんとまこちゃんがそこに駆けつけます…。「気を付けて。…気配はないけど、油断しない方がいいわ」「うんっ」。二人は二手に分かれます。

        ★  ★  ★  ★  

       一方こちらはうさぎちゃん…。

       まこちゃんに「待ってて」と言われたのに、クラウンを飛び出し、どこだかの建物に駆け込んで行きます…(←おや? ここはアレですね? Act.19でセーラームーンが妖魔と戦ってた場所で、その時タキシード仮面に助けられて、バレンタイン・チョコを渡してた場所ですな)。「亜美ちゃんっ! 言われた通りにしたよっ! 一人で来たよっ! 亜美ちゃんっ!…」

       するとそこへ、コツ、コツ、コツ…と悪美ちゃんが現れます。「…亜美ちゃん…」「今日は『クンツァイトとタキシード仮面とヴィーナスと大阪さんの』邪魔も入らないわ…。ここまで来て、戦うつもりはないなんて、言わないわよね?」

       ちなみに、亜美ちゃんが一番最初にダーキュリーに変身した時、ダーキュリーは三人に向かって、「あなた達を倒して、私はもっと強くなるっ!」と言ってたんですよね? ところが、Act.22の「横浜・八景島シーパラダイス」で2度目の対戦となった時には、もうダーキュリーは、セーラームーンしか眼中になくなってるんですね。で、今回はこうして、最初からうさぎちゃんだけを呼び出してます。つまり、もはやレイちゃんとまこちゃんすら「邪魔」な存在なんです。この流れは、ダーキュリー(=悪美ちゃん)が、セーラームーンのコトを呼ぶ際、「セーラームーン」「月野さん」「う・さ・ぎ・ちゃん…」と、その呼び方が徐々に本来の「うさぎちゃん」に近づいて行った事実とぴったり符合してますね。

       「……私…」…うさぎちゃんは一瞬考え込むようにしますが、すぐにキッと精悍な顔つきになり、「今日はゼッタイ亜美ちゃんを連れて帰るっ、お尻叩いてだって連れて帰るつもりだからっ!」

       「どうぞっ、…できるなら!」(←おおっ! これはナニげに、Act.22の『対・セーラーヴィーナス様戦』で言ったのと全く同じセリフだっ!)。

       悪美ちゃん目線では、この「う・さ・ぎ・ちゃん」「プリンセス」だと言うコトは、ダーキュリーとしてその現場に立ち会ってるのですから、もちろん知ってる訳です。と言うコトは、これは、それが「プリンセス」であれ「プリンセス」であれ、例の、「誰かの部下になったつもりはないわ」と言う、潜在意識上の言葉になるのでしょうか?

       ここで悪美ちゃんは、ダーキュリーに変身します…「ダーク・パワ〜〜、メイカっ!」(←この変身シーンも、いよいよ見納めか?!)。

       ナニげに今日の悪美ちゃんは、「月野さん」とも「う・さ・ぎ・ちゃん…」とも呼びませんねぇ…つまり、彼女の中にある『うさぎちゃん指数』が読めません…これはちと不気味ではありますな…。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       いきなり、「ああっ!」とドアから転がり出て来るセーラームーン…そして、剣を片手に歩み寄るダーキュリー…(←って、これは、Act.22の時と全く同じ入り方ですな…うさぎちゃんがダーキュリーに向かって変身するシーンは見せないんですね)。それはさて置き、セーラームーンとダーキュリーの一騎打ちです。しかし、やっぱり防戦一方のセーラームーン…。ダーキュリーは、「もう少し抵抗したら?」と、剣を構えて一気に振り下ろそうとします。

       するとその時、「待ちなさいっ!」という声が!…(←ワシも、死ぬまでに一度でいいから、「待ちなさいっ!」って言ってみたいなぁ…)。見ると、そこには例の『青髪の少女』(←て言うか人型ルナ)が…。「来ちゃダメっ! どうしてこんな所まで…!」「私の耳は、特別なの。電話の話、ぜんぶ聞こえていたわ」「…」「お前は…『あの時の妙ちくりんなガキ…!』。すると、ここでワシは、驚くべき事実を目の当たりにするコトになる…と言うのも、実はこの人、まだ変身してなかったのだっ! なので、ここで「ルーナ・プリズムパワー〜(←ケータイをぴこっ(6)♪、ぴこっ(7)♪、ぴこっ(2)♪)、メイカっ!」(←め、め…、めいか?!)と変身します。

       ワシは今までずっと、この子は、最初にダーキュリーの前に現れたセーラールナのまんまだとばっかり思って見てたのだっ! そういや、こうして変身シーンを見せられると、「ああ、確かに違うわ…」と分かるのだが、実はワシはこの後も、この人の変身前と変身後の区別がずっとつかないまま、その後の人生を過ごすコトになるのである…(←て言うか、ぶっちゃけ、どっちでも一緒じゃねーか?!)。だって、ダーキュリーも今、変身前の姿を見て「お前は…」って言ってるってコトは、最初に見た変身後の姿と区別がついてないってコトだもんなぁ…。

       「にゃあっ!…愛と小さき者達のセーラー服美少女戦士セーラールナ、月にかわって、おしおきよっ!」(←ナンか、この人、いちいち笑えるんですけど…)「セーラー戦士……」「……『ちっ、また邪魔が入ったか』(←みたいな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       『青髪の少女』(←って言うか人型ルナ)あらためセーラールナは、猫拳を思わせるような仕草をしたかと思うと、「にゃ〜〜んっ!」と階下に飛び降りて構え、「マーキュリー、セーラームーンから離れなさいっ!」と言います。するとダーキュリーは、「…『フッ、それならあなたから先に相手をしてあげましょう』みたいに、笑みを浮かべて歩み寄り、剣を構えます。

       すると、セーラールナの前にクンツァイトが現れます。「はっ!」。クンツァイトは、「マーキュリー、お前の相手はセーラームーンだ」と言って、ダーキュリーに目配せします。するとダーキュリーは、満足げに笑みを浮かべ、再びセーラームーンの方に向き直ります。「!…」

       クンツァイトは、自らセーラールナと対峙します(←おおっ! セーラールナは、クンツァイト相手にも、少しも臆するコトがありませんっ! て言うか、この絵ヅラ自体がナンか笑えます…むしろクンツァイトの方が、セーラールナ相手に、少しも恥じるコトがありませんっ!)。クンツァイトは剣を抜き、その刃先に目をやってから構えると、「!?」、一瞬目を放した隙に、セーラールナの姿が消えてます…「……」

       すると、背後から「にゃんっ!」と言う声がしたので振り向くと、そこにセーラールナがいて、『招き猫』のポーズで挑発します。クンツァイトが斬りかかろうと構えると、また姿が消え、「!…」、また背後から「にゃんっ!」と言う声がしたので振り向くと、そこにセーラールナがいて、笑顔で両手を振ってます。

       セーラールナは、ネコ特有のすばしっこさで、「にゃん、にゃんっ!」とクンツァイトをおちょくりながら撹乱し、挙句の果てに「ン〜〜〜〜まっ!」と投げキッスまでしちゃってます。「目障りな…!」

       すると、背後から「スキありっ!」と声がしたので振り向くと、いきなり頭にハリセン(←ってハリセンかよっ!)を食らわされます。

       そのハリセンは、どうやらムーンライト・スティックが変身したモノだったようで(←って、スティックの方が武器として強力じゃねーのか?!)、当然クンツァイトにはナンのダメージもなく、「キ・サ・マァ…」

       「あれ?」(←あれ? じゃないっ!)。その隙に、今度は自分がクンツァイトの剣波をまともに食らって「に゛ゃあ゛っ!」と吹っ飛ばされ、ころころ転げてるうちに、ナンと、ぬいぐるみルナに戻ってしまいました(←こ、こりゃ初期のちびムーンより役立たずじゃないかぁ?!…キミの存在意義って一体…?!)(←巷で言われてるような「大人の事情」など、ツベコベ詮索する気は毛頭ありませんが、でもワシは、取り敢えず、CGルナよりは期待しとるよ〜っ!)。

       ちなみに、セーラールナのセーラーにはラインが入ってせんな。『一本線』「リーダー」の軍服だとすると、『ライン無し』はその上の上官と言うコトですかな?(←強い弱いは置いといて…)。

        ★  ★  ★  ★  

       それを見たセーラームーンは、ダーキュリーと格闘しながら、「ルナぁ?! うそぉ〜!」(←あのぉ…、ちなみにさっき、しっかり「セーラールナ」っつってましたけど…)。

       「…うっ、…セーラームーン…がんばって…もう少しよ…マーキュリーは、あなたの力で…!」「ルナ…」「…あっ」「フッ!」「はっ…」「よそ見しないでっ!」

       ナンか、ダーキュリーは前にもAct.22でこんなコト言ってましたねぇ…「どこ見てるの? 月野さんの相手は、私でしょ?」とか…この二つのセリフが、ナニげにダーキュリーの存在を象徴してるように思えますねぇ…。そしてこれはきっと、亜美ちゃんがうさぎちゃんに、一番言いたくて言えなかったコトでもあるのでしょうねぇ…。

       そして、この二人の体当たりの立ち回りシーンは、ナニげに迫力ありますな…。たとえば、通常セーラー戦士が妖魔や四天王と戦う時というのは、攻撃技のCG合成や、スタントのお姉さんお兄さんなどを駆使してエンターテイメントな映像を作りますが(←見た人がそれをどう思うかは置いといて…)、しかしここにあるのは、あくまでもセーラームーンとダーキュリーという、生身の主役二人だけ…。つまり、あくまでも心理と心理の格闘劇なので、もちろん替え玉もごまかしも効かない世界なんですね。この二人の心と心が真っ向からぶつかり合う事、それそのものが鬼気迫るのであり、そこに余計な小細工など一切必要ないのですな…。

       ダーキュリーがセーラームーンを壁際に追いつめ、剣を振り下ろします…それをセーラームーンが手首を掴んで受け止めます…二人はそのまま組み合って、ダーキュリーがセーラームーンを壁に押し付けます…ダーキュリーは間近に顔を見合わせて不敵な笑みを浮かべ、この戦いを楽しんでるようにさえ見えます…。

       すると、そこでセーラームーンが発した「亜美ちゃん…!」の一言が、ダーキュリーの心の中で「亜美ちゃん…亜美ちゃん…!」とこだまします…ダーキュリーの表情が一瞬にして変わり、うさぎちゃんとの思い出がフラッシュバックします…(以下、無音で)。

1.       クラウンで「タキシード仮面に近づくな」とみんなから責められ、塞ぎ込んでたうさぎちゃんの肩に手を置き、「亜美ちゃ〜んっ!」としがみ付くように抱き付かれたあの時…

2.       初めてセーラーマーキュリーに変身した直後に、「亜美ちゃんっ!」と手を取り合ったあの時…

       ダーキュリーはよろけるように後ずさりし始めます…横で見てるタキシード・クンツァイトも「…『私の出番か?!』と様子を伺っております…。

       しかしダーキュリーは再び剣を構え、一気にセーラームーンに振り下ろします…今度はダーキュリーに笑みはなく、その表情には悲壮感さえ漂ってます…セーラームーンはスティックで受け止めると、ホールからロビーに弾き出されます…。

       なおも歩み寄って剣を振り下ろすダーキュリー、そしてスティックで受け止めるセーラームーン…。今度はセーラームーンがダーキュリーを弾き返します…ダーキュリーは背を向けたまま片手で頭を押さえ、苦しそうにしてます…。それを見てセーラームーンは、「…(心の声→)やっぱり元に戻りかけてる…」

       しかしダーキュリーは、「ハッ」と再び振り向いて尚も剣を振りかざします…。ところが、もう、ただ闇雲に振り回すだけで、なかなかセーラームーンを捕らえることができません…まるで、ダーキュリーという自分の幻影に向かって剣を振っているかのようです…「…(心の声→)亜美ちゃん…苦しいんだ…亜美ちゃんが一番…」。それでも、セーラームーンに向かって行くダーキュリー…。

       「亜美ちゃんっ!」。するとその時、セーラームーンのブローチが輝き出し、金色の光を放射します(←これはAct.22と同じ、『覚醒バージョンのヒーリング光線』ですね…ブローチから放射された金色の光が、波紋を描きながら、ゆっくりと流れていくアレです)。

       で、この『ヒーリング光線』なのですが、今回はさらに『プリンセス覚醒』後になる訳ですから、段階的には最上級にあるはずなので、おそらくコレが決定打となったんじゃないでしょうか? ただし、一つ見落としてはならないのは、これはあくまでも『覚醒バージョンのヒーリング光線』であって、あくまでも「幻の銀水晶」の発動ではないと言うコトです。ややもすると混同してしまいがちですが、ここでは、Act.25の時のように「プリンセス」にもなってないし「幻の銀水晶」も出現してませんから、それとこれとはハッキリ区別されてます。つまりこれ自体は、直接的には「幻の銀水晶」そのものの光ではありません(←コレを混同してしまうと、これ以降の展開が全く意味不明になってしまいます)。

       ダーキュリーはまぶしそうに後ずさりします。すると、Act.22の時と同じように、ダーキュリーの体から元の亜美ちゃんが幽体離脱し始めます…「うっ、…う…」

       するとそこへ、クンツァイトが慌ててロビーへ飛び出してきます…「!…」。クンツァイトはマントで光をさえぎりながら、マント越しに状況を見てます。

1.       このシーンのクンツァイトなのですが、今クンツァイトは、Act.22の時と同じように、セーラームーンの『覚醒パワー』が発動してから飛び出して来てました。

2.       そもそもクンツァイトは、「プリンセス」に復讐を遂げるのは、あくまでも自分の手でやるつもりでいるはずですから、今は、こうしてダーキュリーとセーラームーンを戦わせるコトで、「幻の銀水晶」を出現させようとしてるはずです。

3.       ところが、彼はこの瞬間、なぜかセーラームーンではなく、ダーキュリーしか見てないんですね。

4.       つまり、クンツァイトは、今セーラームーンが発してる光が、「幻の銀水晶」の光ではなく、Act.22でダーキュリーを元に戻しかけた『覚醒バージョンのヒーリング光線』だと分かってる訳です。で、そのAct.22の時は、慌てて「マーキュリー! 来いっ!」と連れ去ってしまいましたが、しかし今回は、これをもう一山超えなければ「幻の銀水晶」が出現しないのも分かってるので、ここで、ダーキュリーに元に戻られる訳にはいかないけれども、同時に、それを防ぐために前の時みたいに連れ去る訳にもいかない訳です。

5.       だから、ここでは、セーラームーンではなく、ダーキュリーの方だけに目と注意が行ってるんですね。

       そして、幽体離脱した亜美ちゃんの方が、「うさぎ…ちゃん…」と呼びかけます…。

       セーラームーンが「亜美ちゃん…」と手を差し伸べたその時、ここぞとばかりに、タキシード・クンツァイトが、「マーキュリーっ! まどうなっ!」と黒紫の花びらを浴びせます。するとダーキュリーは元のダーキュリーに返り、セーラームーンのブローチも輝きを失います。そしてついに、ダーキュリーが振り下ろした剣が、ぱきーんっ!と、ナンとセーラームーンのスティックを砕いてしまいました…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはレイちゃんとまこちゃん…。

       二人はクラウンに駆け戻って来ました。「うさぎっ!」。ルナカラに駆け込むと、中はもぬけの殻で、テーブルの上に置手紙があります。レイちゃんは、それをがっ!と掴み取ります…。「!……」

       しかしそこには、ただ、「まこちゃんレイちゃんウソついてごめん。亜美ちゃん ゼッタイ取り戻してくるから。うさぎ」と書いてあるだけです。

       「……『ちっ、相変わらず字ヘタだな…、しかもまことが先かよ…』「……『それよかさ、「ゼッタイ」って漢字、どう書いたっけ?』

       これ、どうして「まこちゃん」の名前が先に書いてあったんでしょうか? 先に書くというコトは、要するに『まこちゃんに気を使ってる』からであり、『まこちゃんに気を使ってる』というコトは、すなわち、『レイちゃんならきっと分かってくれる』と、そう思ってるからなのではないでしょうか?

       ※ 実は、二人がクラウンに戻って来る前、この二人は、「木馬遊園地」でこんなやり取りを交わしてるんですね(↓)

     DVD第7巻収録の「未使用シーン」⇒【二人は手分けして亜美ちゃんを探しますが、まこちゃんが「レイっ!」とレイちゃんの所へ駆けてきて、「誰もいない…。ただのいたずらだったのかな?…」「今の亜美ちゃんが理由もなくそんなコトするはずは…」。二人は肩で息をし、しばし呼吸を整えます。するとレイちゃんが、「まさか! あたし達をうさぎから引き離すために…!」「!」。】。

       レイちゃんがこれに気付くのは、今まで再三書いてきたように、レイちゃんが『友情担当』で、Act.5の『友達ごっこ事件』やAct.16の『アリジゴク事件』を通して、亜美ちゃんがうさぎちゃんに対してどのような感情を抱いてるかをよく知ってるからです。ですから、その二つの事件を全く知らず、完全に不在だった『恋愛担当』のまこちゃんでは、当然、このようなコトには絶対に気付けず、せいぜい「いたずらだったのかな?」くらいの発想しか出てこない訳です。

        ★  ★  ★  ★  

       スティックを砕かれ、目を閉じて、その場に倒れるセーラームーン…。

       それに目をやり、勝利の笑みを浮かべるダーキュリー…「……『フッ、ついに獲物を仕留めたわ…』(←みたいな…)

       ところが、次第に、その笑みがゆっくりと、少しずつ、徐々に消えて行きます…「…………」(←このシーンは、思わず息を呑みますな)

       これ、普通なら、姿かたちが元に戻っていくコトで表現されるべきところなんですが、敢えてそうはしませんでしたね。それには、二つの意味が込められてるんですね。

1.       一つは、依然として姿かたちをダーキュリーのままにとどめておくコトで、実はまだまだ、『亜美ちゃんの本当の戦いはこれからなのだ』という含みを持たせてるんですな。

2.       ※ そしてもう一つは(←これは次回にハッキリと分かるコトですが)、ここでも『記憶』がテーマに取り扱われてるんですね。したがって、『ダーキュリーの記憶』が徐々に消えていって、それと入れ替わるようにして、『亜美ちゃんの記憶』が徐々に甦っていくさまを、見せたかったんですね。と言うのも、『ダーキュリーの記憶』は、決して亜美ちゃんの中に残してはならないからです。そして、それが見てる人にハッキリ分かるようにするためには、変身を解いたりコスチュームを入れ替えたりして外見上の変化で表現してしまったのでは、ダメな訳です。あくまでも問題の本質は心の中にあるのですから、つまり、それが脳の中で、『記憶』の中身が徐々に入れ替わっていくさまを、あたかもグラデーションで色が『黒』から『水色』に変わっていくかのように、その顔の表情だけで表現したかったんですね(←それにしても…さすがは天下無敵の無言女優…ものの見事に表現されております…。これ、マンガやアニメでは絶対に表現できない、これこそ実写ならではの「生身の人間」のなせる技であり、実写版セーラームーンの真骨頂は、こういう所にある訳なんですね)。

       そのあとで、今、亜美ちゃんの表情だけで表現された、その亜美ちゃんの頭の中に流れる『記憶』の映像が、矢継ぎ早に、どんどん過去にさかのぼって映し出されて行きます…最初はダーキュリーの記憶がモノクロで始まり、少しずつセピア・カラーに、そして、最終的に色がハッキリと鮮明になるにつれて、記憶が完全に戻っていく様子を表現して行きます…(↓)

1.       Act.22で、セーラームーンが変身を解いて、「私…亜美ちゃんとは戦わない…」と言った時のこと…(←コレだけ亜美ちゃんの記憶ではなく、ダーキュリーの記憶です)…

2.       (以下、全て無音で)…Act.14で、「うさぎちゃんを返してっ!」の戦いのあと、みんなで並んで家路に着いた時のこと…

3.       Act.9で、みんなから「タキシード仮面は敵だろっ」と責められるうさぎちゃんに、亜美ちゃん一人が見方をして、うさぎちゃんが「亜美ちゃ〜んっ!」と腰にしがみ付いて来た時のこと…

4.       Act.5で、下駄箱の前でうさぎちゃんを待って、「うさぎっ!…おはようっ!」と言って、「えぇ? どうしちゃったの?! でもなんか嬉し〜いっ!」と抱きつかれた時のこと

5.       Act.5で、ポヨン妖魔を倒したあと、初めて「うさぎちゃん…レイちゃん…」と呼んで、セーラームーンから「亜〜美ちゃんっ」と抱きつかれて、ホッペにホッペを合わた時のこと…

6.       Act.5で、パジャマーパーティーで「セラビー」を歌って、うさぎちゃんに「亜美ちゃんかわいい〜〜っ!」と喜ばれた時のこと…

7.       Act.4で、レイちゃんが仲間として一緒に戦ってくれてサボテン妖魔を倒したあとの帰り道で、うさぎちゃんと二人で「セラビー」を歌った時のこと…

8.       そのあと、うさぎちゃんが、(「レイちゃんっ、今度カラオケ・パーティーしようっ!」「冗談でしょ? あたし、カラオケ嫌いって言ったじゃない」「ええ〜っ…!」「カラオケ、抜きならいいけど…」と言うやり取りのあと、「ホントっ! やったっ!」と言った時のこと…(←なぜかコレだけ、亜美ちゃんではなく、うさぎちゃんがレイちゃんに向って言ったシーンの記憶である)…

9.       Act.2で、セーラーム−ンに「ファイト一発」してもらった時のこと…

10.    Act.2で、初めてマーキュリーとなって、セーラームーンと一緒に、「亜美ちゃんっ、二人でやろう!」「うんっ!」と、妖魔と戦った時のこと…

11.    Act.2で、初めて妖魔を倒したあと、「あっ、それ私も同じっ!…戦士だからとかじゃなくて、亜美ちゃんだから仲良くなりたいって思ったんだよね!」「……ありがとう…」…に対する、セーラームーンの笑顔…

12.    Act.2で、CD屋さんの前で、「じゃあ、これ! セカンド入ってるから貸してあげるっ、はいっ」とMDを渡された時のこと…

13.    Act.2で、校門の前で、「も〜、早く言いたくて走って来ちゃったっ、ね、ちょっと来てっ、ちょっと!」と呼び止められた時のこと…

14.    Act.2で、「パア〜っと変身して…」

15.    Act.2で、「だからこれから一緒に戦おっ!」

16.    Act.2で、歩道橋の上で、「あのさぁっ、水野さんて…ぬいぐるみに、敬語つかうんだ?」と、初めて話しかけられた時のこと…

17.    Act.2で、「うふはっ、水野さんって面白いねっ?!」

       目的を達成し、その喜びをかみ締め、その意味について思いを巡らせた瞬間、ここで初めて、一体そこに何の意味があったのか? そもそも戦うコト自体に何の意味があったのか? まるで最初の問いに立ち返るかのように、我に返ったみたいです…。クンツァイトは、「そうだ、戦えっ、…今のお前であり続けるために…」と言いましたが、それでは、戦い終わったあとには、一体何が残ったと言うのでしょうか?

       要するに、ここでダーキュリーが倒したのは、「セーラームーン」でもなければ、「う・さ・ぎ・ちゃん」でもなく、つまり、「プリンセス」なんですな。つまりそれが、ダーキュリーが亜美ちゃんに戻るための絶対必要条件として、潜在意識に働きかけたんです。一番最初は三人に向かって、「あなた達を倒して、私はもっと強くなるっ!」と言ってたのに、今やうさぎちゃんしか眼中になくなっているのは、彼女が「プリンセス」だったと知ったからです。つまり、ダーキュリーの葛藤とは、『現世の友情』を生きる亜美ちゃんと、『前世の主従関係』を生きていた、かつてのセーラーマーキュリーとの戦いでもあったんですな。そして、皮肉で残酷ではあるけれども、「プリンセス」を倒す事によって、亜美ちゃんは、かつての『前世のセーラーマーキュリー』を潜在意識の中へと完全に葬り去ったんです。その意味で、ダーキュリーの真の目的が達成された訳で、Act.22でもう一人の「プリンセス」を倒したのと同じように、ダーキュリーは、『前世を引きずる者』には容赦なく剣を振る事ができるんです。そしてそれは、そのまま、ダーキュリーの生みの親である、クンツァイトの「マスター・エンディミオン」への愛憎劇と、生き写しだった訳ですな。クンツァイトは、自分の「マスター・エンディミオン」への憎悪と同じ感情をマーキュリーにも植え付け、「プリンセス」を憎悪するように仕向ける事で、『真のプリンセス』をあぶり出そうとしてたんです。Act.14の『妖魔化』『ダーク化』の根本的な違いも、実はそこにあるんですね。「そうだ、戦えっ、…今のお前であり続けるために…」と言うのは、実はクンツァイトが、普段から自分自身に言い聞かせてる言葉だったんですな。

       そして、ここから先は、元の『現世』に戻った、亜美ちゃんの戦いのみが残される訳です。

       ダーキュリーは、恐る恐るセーラームーンの前にひざまずき、セーラームーンの顔を覗き込むように、そっと肩に手を触れながら、「…うさぎちゃん…?」と呼びかけます(←この口調は、完全に元の亜美ちゃんのものです)。

     この時点では、姿かたちは依然としてダーキュリーのままですが、精神的には完全に元の亜美ちゃんに戻ってます。しかしそれによって、ついさっきまでのダーキュリーの記憶が消えてるため、なぜセーラームーンがそこに倒れてるのか、全く分かってない訳です。

       倒れているセーラームーンは、全く返事もしなければ、動く気配すらありません…「!…」。…次の瞬間、ダーキュリーは、「うさぎちゃんっ!」と体を揺すります…。

     ここで亜美ちゃんは、セーラームーンの身に、何か恐ろしい事態が生じているコトに気付きます。

       …次に、ダーキュリーは、自分の手に握られている『剣』に気付きます。そして、「ハッ!…『どうしてこんなモノが…!』みたいにそれを見つめると、嫌悪感もあらわに、それを手から離そうとしますが、あまりにも強く握り締めていたために指が硬直してしまってて離れません。自分のコブシを自分のひざに打ち付けて、ようやくそれを床に放り投げます…ちゃりーんっ!

       「うさぎちゃんっ!」…セーラームーンの体を揺すり、懸命に抱き起こそうとします…。すると、セーラームーンの額からティアラが落ち、床の上で真っ二つに割れてしまいます…。「ハッ!…」

     指が硬直するほど強く握り締めていた『剣』と、『割れたティアラ』…、この二つの事実(状況証拠)によって、亜美ちゃんは、自分が何か大変なコトをしでかしてしまったらしいコトに気付き、心臓の鼓動が激しくなります…。

       「きゃあぁぁぁっ!」…そして、とどろき渡る亜美ちゃんの悲鳴…。

       この、セーラームーンの『割れたティアラ』は、Act.25におけるタキシード仮面の『割れたマスク』と対になってるんですね。セーラームーンがそれに伴って『プリンセスに覚醒』したように、ダーキュリーもまた、これによって『元の亜美ちゃんに戻った』訳です(←この二つの出来事は、このように、意図的に同じ絵ヅラを用いるコトによって対比されてます。この対比の絵ヅラは、次回にも出てきます)

       ナニげにダーキュリーだけなんですな…タキシード仮面のマスクが割れる瞬間と、そしてセーラームーンがプリンセスに覚醒した瞬間(←つまり、セーラームーンから「プリンセス」が幽体離脱して、「エンディミオンっ!」と叫んだ瞬間)を見ていたのは…他の三人は、その二つの瞬間は、凍ってて見てない訳ですから…。つまり、ダーキュリー時代に見たこの「プリンセス」『記憶』が、元の亜美ちゃんに戻るコトによって、亜美ちゃんの潜在意識の中に、完全に『封印』される訳です。他の三人は、あの時、だてに凍ってた訳じゃありません。このようにして、亜美ちゃんの辿る『記憶』の道筋と、あそこですれ違っていたんです。

        ★  ★  ★  ★  

       ※ それはそうと、今回は、美奈子…一瞬たりとも出て来なかったなぁ…。やっぱり、亜美ちゃんが主役の回って、必ずそうなるんだよなぁ…(←Act.2、5、14、16、27、33、34等々…)。ナニげにこれはなぜなのか?…その理由は、次回、ハッキリと判明するのであった…。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、もちろんこの続きだっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2009年4月17日(金)初稿 トモロー]


Act.28:亜美ちゃん帰還編

 

Act.26:衛のロンドン留学編▲】 【トップページ▲】 【筆者紹介へ▼】


     今回レビューしたAct.27は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第7巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第7巻 作品本編(4話収録)

 

Act.25 Act.26 Act.27 Act.28 

毎回映像特典(10分)

 

「セーラームーン」におしおきよ 沢井美優小松彩夏@

Act.27 ゲストキャスト

 

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