―実写版セーラームーンを検証する―
Act.26:衛のロンドン留学編――
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本稿は、2004年4月3日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第26話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。
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今回もセーラー解説は無しで、前回のラストシーンが再現されます…(↓)
1.
ついに『本当のプリンセス』が覚醒し、その銀水晶の力で、死んだ(?)と思われた『タキシード地場衛』が目を覚まします…彼の視線の先に、泣きながら自分を見つめている「プリンセス」の顔が浮かび上がります…「……プリンセス…?」…すると『タキシード地場衛』は、いつも見ていた例の夢⇒(「幻の、銀水晶を、お願い…」)を回想します…「夢と…同じだ…」…。
2.
タキシード地場衛が目を覚ますと、幻の銀水晶も消え、「プリンセス」も「…よかった…」と笑顔になります。
3.
するとそこへ、ヴィーナスがうやうやしく片ひざをついて、「…プリンセス・セレニティ…」と声をかけます。「…え?」。するとジュピターとマーズも、それに続いて「プリンセス」の前へ出て片ひざを付きます。「……」。「……」。
4.
すると「プリンセス」はおもむろに立ち上がり、「…私が…プリンセス…」。
★ ここで、ルナのナレーションで、かつてのシルバーミレニアムの映像が紹介されます…。
★ 「はるか昔、地球は一つの国で、月には王国がありました。二つの国は、光と緑にあふれた、美しい国でした…。そんな中で、地球の王子と、月のプリンセスは、恋に落ちました…」(←おおっ! これが前世のマスター・エンディミオンですか? めちゃめちゃ肩幅が広くてカッコイイじゃないですかっ!)(←しかしそうなると、今まで地場衛の夢の中とかゾイサイトの回想シーンに出て来た『タキシード姿のエンディミオン』はいったい…?)(←やはり前世でも、夜な夜なタキシード仮面となって「ドロボー」を…?)(←それはそうと、「地球の王子」ってのがナニげにスゴイですな。アメリカ大統領なんか目じゃないですな)。
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「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←今回はあっさりとここでオープニングです)。
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★ オープニング開けは…、ってアレ? ココはいったいドコですか??いきなり前回の「つくば国際会議場」とは場所が違ってますね?(←ナンか、社交ダンスでもするような場所?)…。
★ オープニングの「撮影協力」によると、「BankART1929」という所の「1929ホール」だそうです(←普段は「カフェ」としても使われてるそうです)。
★ で、いつの間にやら、『タキシード地場衛』もどっかへ消え失せちゃっております…(←まあ、最初から誰の眼中にもなかったようなので、さしたる問題はありませんが…)。『て言うかさぁ、オレ、プリンセスの命の恩人のはずなのに、コイツら「ありがとう」の一言もねーんだよ…』(by 『タキシード地場衛』)。
★ で、さっそくお姫様ごっこの始まりでございます…。ヴィーナスが一歩前に出て、片ひざを付きます…「…プリンセス・セレニティ…。ようやく、目覚めてくれましたね…」。「…えぇ?…」。「あなたや戦士が目覚めるためには、戦うことも必要だったので、厳しい状況に置いたことを、お許しください」。
★ 「影武者として、あなたの名をかたったコトも…(←え? 「プリンセス」って名前だったんですか? てっきり役職名だと思ってました…てコトは「セレニティ」が名字?…てコトは、仮に「プリンセス・セレニティ」が日本に帰化した場合、彼女の日本名は『瀬零荷亭 風鈴瀬洲』か?)(←って落語家かよっ!)…今日から、元の戦士に戻ります」。「ヴィーナス…」。
★ すると、マーズとジュピターは互いに顔を見合わせ、「…そっかぁ、プリンセスなんだし、礼儀正しくしないと…」(←さすが体育会系…上下関係に敏感だ)。「…そうね、確か昔はもう少し丁寧にしゃべってた気がするわ…」(←さすが霊感系…「かぐや姫」との関連といい、記憶の断片だけはおぼろげにあるようだ…)。そう言って二人も片ひざを付きます。「プリンセス…」。「……」。
★ すると「プリンセス」は慌てて駆け寄り、「ちょっとやめて、まこちゃん、レイちゃんも…。プリンセスって言われても、私、ぜんぜんピンと来なくて…」(←さすが天然系…まるで記憶なしだ…)(←それはそうと、プリンセスって言うわりに、ちょっと地味じゃないっスか? 元「セーラーヴィーナス様」や地場衛の夢の中の「プリンセス」みたいに、どうして頭に王冠を載っけてないんでしょうか? その方が威厳もあって分かりやすいと思うんですが…)。
★ ※ 地味と言えば、そもそも原作やアニメ版でも、王冠は載っけてませんでしたっけね…で、それで気付きましたが、ナニげに実写版の「プリンセス」は、やっぱり髪型を『お団子』にはしなかったんですな…(←ナンかよく分かりませんが、後ろが複雑な形に結ってありますな。単に『お団子』を解いただけじゃありません)。
1. 原作もアニメ版も、月野うさぎ、セーラームーン、プリンセス・セレニティ、この三形体は全て、髪の色も形も完全に一緒です(←髪飾りは別にして)。しかし実写版は、この三つを完全に分けましたね。実写版のうさぎちゃんは、変身前と変身後では、その『お団子』の形も色も明らかに違いますし、これは他の四戦士も同様で、全員、変身前と変身後では、髪の色も形も全て違います(←ジュピターだけ色が一緒に見えないコトもないが、微妙に違うようだ…)。つまり、変身後のセーラー戦士の形体のみ原作に準拠してる以外は、全て変えてあるんですね。
2. ワシはAct.1の時、この設定変更は、実写ならではリアリティーと、生身の人間の「メイク・アップ」にギャップを与えてそれぞれの魅力を引き出すため、みたいなコトを書いたと思いますが、これを見ると、実はそういう外面的なコトだけが理由じゃなかったんですな。
3. この「プリンセス」まで変えてきたというコトは、これは完全に、それぞれの形体に固有の内面性を設定し、それぞれが別人格であるコトが外面からも察せられるように考慮してたんですな。平たく言えば、女性が髪形を変えるコトには、深い深い意味があるのだっ!と言うコトでしょうかね?(←って意味が違っちゃってるぞ…)。たとえば、実写版のセーラー戦士は、変身前は『現世』を生きる普通の女の子で、変身後は「前世」を生きていた戦う戦士、という具合に…。そして「プリンセス」は…………。
★ で、その言葉を聞いたヴィーナスは、思わず眉間にしわを寄せて、「…思い出したんじゃないの?」(←って、こらっ! いきなりタメ口に戻るなっ!)。「ぜんぜん…」。「そんなぁ…、あんなにハッキリ覚醒したのに…」(←とほほバージョン)。「そう言われても…」。
★ 「マーズ、ジュピター、アナタ達は?」。「ハッキリとはしないけどぉ…ナンとなく…」。「私もよ…」。「…『え゛っ?…ナンじゃそりゃ?!』」(←みたいな…)。
★ しかし、それにしても、当の「プリンセス」本人は「ぜんぜん…」と言ってるのに対して、ジュピターとマーズの二人は「ナンとなく…」と言ってて、マーズなんかは、おぼろげながら「確か昔は」なんて言っちゃってますね。再三に渡って書いてますが、こういった所にも、セーラームーン&マーキュリーの守備陣と、マーズ&ジュピターの攻撃陣との間に、一つの「線引き」が存在してるコトが分かりますね。
★ セーラームーン&マーキュリーの守備陣が初めてセーラー戦士に覚醒した時、二人とも変身アイテムを持ってなくて、一度はそれを拒否したのに対して、マーズ&ジュピターの攻撃陣は、変身アイテムを内包してて、戦士になるのを拒否しなかったどころか、「やっとわかった。私に力があった理由…」。「そうか…あたし、そうだったんだ…。ずっと行かなきゃいけない気がしてた…。その理由がわかったよ…」と言う具合に、自分が戦士であるコトを予感すらしてましたからね。
★ ※ ちなみに、原作では、この『プリンセス覚醒』のエピソードにおいて、本当のプリンセスが目覚めたのと同時に、地場衛も含めた全員の『前世の記憶』が完全に甦ってるんですな。ところが、アニメ版ではそうはならないんです(←アニメ版・第35話)。つまり実写版は、その点においてはアニメ版の設定を採用してるんですね。そして、そのアニメ版では、ダーク・キングダム編全46話中の第44話に至って『前世の記憶』が甦るのですが、一方の実写版では…………。
★ ※ 実は、この『前世の記憶』が甦るか甦らないかという問題は、実写版の根本テーマに関わる重要な項目として、極めて慎重に扱われており、その点が原作ともアニメ版とも、どちらとも違っていたコトには、もちろん重要な意味があるんですな。そしてそれは、もちろん最終回の全結果を待つまで、見てる我々には決して分からなかった訳なのですが……。
★ 「ルナ、これからはキミの出番だ。プリンセスとして、しっかり教育してくれ。記憶も戻るように…」。「私が?」。「キミの得意分野のはずだよ。記憶もハッキリしてきたろ? 今までは、ボクの方で加減してたから…すまなかった」。「そうだったの…『って勝手に加減するな〜っ!』」。
★ ヴィーナスは立ち上がると、マーズとジュピターに向かって、「じゃあ、しっかりねっ」と言い、「プリンセス」にうやうやしくお辞儀をしてから去って行きます。するとマーズが立ち上がって、ヴィーナスに「待って!」と声をかけます。「…」。「もう影武者やる必要ないんだし…、私たちと一緒に行動すれば?」(←ナンか、優しく誘うような感じですな。ヴィーナスの不可解な言動の謎が解けた今となっては、もはや他意はないと言うコトでしょうな。逆にむしろ、仲間として一目置いたくらいなんじゃないでしょうかね?)。
★ ところが、そんなマーズに対してヴィーナスは、「私には、私のやり方があるの、リーダーとして…」。「!…『はあ?!』…リーダーは私って言ったじゃないっ」。「あたしが戻った以上…、アナタはサブよっ!」。「!…『さ、さ、さぶだぁ〜あ?! そりゃ補欠ってコトかオラァ〜っ!』」。「ちょっとぉ、いつからそんなに仲悪いわけ?」。「別にっ!…『ヒラはすっこんでろっ!』」。おおっ! 「セーラーヴィーナス様」じゃなくなっても、「リーダー」の地位を使って『高飛車キャラ』は健在だっ!(←いいぞ〜っ♪)。
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ちなみに、この二人の一人称は普段は「あたし」のはずなんですが、「プリンセス」の御前であるためか、どうも「私」と「あたし」がごっちゃになってるようですな…(←それを意図的にやってるとすると、そうとう芸が細かいですな)(←ちなみに、攻撃陣の三人が「あたし」なのに対して、守備陣のうさぎちゃん&亜美ちゃんの一人称は「私」です。「あたし」と「私」のニュアンスの違いを、それぞれの性格に反映させてグループ分けしてるんですな)。
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…それはそうと、あれぇ? ナニげに今、セーラー戦士達のコスチュームを見てて、今更ながら、初めて気が付いたんですが、ヴィーナスだけ、セーラーのラインが一本線じゃないですかっ!?(←他のみんなは三本線なのにっ!)。これってそうだったっけ??……と思って、ナニげにアニメ版で確認してみましたところ、確かにヴィーナスは一本線でした。しかしアニメ版ではマーズも一本線で、他の三人はみんな二本線になってます(←要するにアニメ版は、それぞれの通ってる学校の制服がベースになってるんですな)。
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※ ちなみにこれを原作で確認してみますと、原作の方は実写版と同じでした。つまり実写版は原作のコスチュームを踏襲してたんですな(←それぞれの通う学校の制服のデザインも同様で、実写版は原作の制服をベースにして、さらにそれを普通っぽくしてるんですね)。で、原作と実写版の学校の制服は、うさぎちゃんと亜美ちゃんの十番中のが三本線、まこちゃんの前の学校のが二本線、レイちゃんのT・A女学院と美奈子の『どこだか知らん中』(←調べるのめんどくさい)のが一本線なので、必ずしも学校の制服が戦闘コスチュームのベースにはなってません。しかしヴィーナスだけ一本線って、これじゃまるで、ヨハン・クライフじゃないかっ!(←ヨハン・クライフとは、オランダが生んだヨーロッパ史上最高のサッカー選手で、チーム・カラーから「オレンジ軍団」とあだ名されるオランダ代表のユニフォームは当時アディダス製(三本線)だったが、彼はライバル会社のプーマ(一本線)とスポンサー契約してたためそれを着るのを拒否し、妥協案として一人だけ二本線にさせたという逸話を持つ。まるでヴィーナスそっくりの性格の持ち主の「リーダー」なのである)。要するに、ヴィーナスのコスチュームだけが一本線なのは、おそらく「リーダー」の印なんじゃないでしょうかね? そもそも、セーラー服ってモンはイギリス海軍の軍服がルーツで、軍服と言うモノは、階級ごとにデザインが違う訳ですからな…⇒『目指せ一本線っ!』。
★ 「あと、問題はマーキュリーね。早く取り戻さないと…」。「…『フッ、倒すとかほざいて負けてたくせに…』」。「……」。
★ ヴィーナスは、Act.22でセーラームーンの「戦士の力」が目覚めた時、ダーキュリーが元に戻りかけたのを目の前で見てた訳ですから、それで、考えが「戦いなさいっ!」から「取り戻さないと」に変わったんでしょうな。
★ で、その言葉を聞いた直後に、マーズが後ろを振り向いて、ちらっと「プリンセス」の顔を見るんですよね。これは、今それを一番気にかけてるのはうさぎちゃんだと知ってるからなんですな…(←で、一方のジュピターが、やっぱりそっち方面には無頓着なのも、ナニげに見逃せませんな。これは、レイちゃんがうさぎちゃんの『友情担当』で、まこちゃんがうさぎちゃんの『恋愛担当』という風に、ハッキリと役割り分担されてるからなんですな。レイちゃんがうさぎちゃんと亜美ちゃんの問題にやたら鋭くて、まこちゃんがうさぎちゃんと地場衛の問題にやたら鋭いのは、つまりそう言うコトなんです。で、この二人は、逆に、相手の「担当分野」に関してはやたら鈍感で、だから、それ絡みのエピソードでは、それぞれお互いが不在となる訳です)。
★ 「ボクからキミたちにプレゼントを届けるつもりだ。使ってくれ。ルナ、しっかりなっ」。「うんっ」。すると、ヴィーナスは、カツン、カツン…と去って行き、アルテミィ〜スもそれに続きます…。その後ろ姿を、黙って見送るマーズとジュピターなのでありました…「……『アルテミスこけろ…!』」。「……『アルテミスこけろ…!』」(←このシーンを見るたび、DVD収録の「NGシーン」を思い出して笑ってしまうワシ…)。
★ 「ねぇ…?」。「?」。「?」。「どうやって着替えるのかなぁ…?」(←ナニげに変身を解くのって、セーラームーンからうさぎちゃんに戻るところはAct.22で見せてくれましたが、「プリンセス」となると、どうも勝手が違うようですな…)。すると、突然全身が金色に輝いたかと思うと、「あ!…戻った…!」(←これはおそらく、「セーラームーン」の変身に関しては全てが自分のコントロール下にあるが、「プリンセス」に関してはそうではないと言うコトをほのめかしてるんですな)。
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★ こちらはダーク・キングダム…。
★ ベリル様:「見よ、幻の銀水晶のカケラでさえ、あのようにメタリアがエネルギーに満ち溢れておる…」。ジェダイトくん:「はっ、しかしプリンセスの涙が幻の銀水晶のカケラになるとは一体…?」。「幻の銀水晶は、プリンセスの体内にあるのかもしれぬ。今までよくも我らを欺いてくれたものだな。もうそうはいかぬ。ジェダイト、そのほうだけが頼り…頼むぞっ」。「はっ! お任せをっ」。「…………『頼りねぇ…』」。
★ ベリル様は、「そのほうだけが頼り」とか言っちゃってますけど、もちろん本気でそう思ってる訳じゃありません。これは単に、ジェダイトくんを『その気』にさせるために言ってるだけで、要するにいつも使ってる『手管』に過ぎないんですな。
★ ※ ちなみに、原作とアニメ版では、どちらも、『プリンセス覚醒』のエピソードにおいて、タキシード仮面がクンツァイトによってダーク・キングダムに連れ去られ、クイン・ベリルの洗脳を受けてセーラー戦士の敵になるんですな。しかし実写版では、その設定はここでは採用されませんでしたね。なぜなら、これは前にも書きましたが、実写版のベリル様は、あくまでも、『四天王を恋愛洗脳によって操っている』と言う前提があり、その設定が原作・アニメとは違っているからです。そのため、自身の『エンディミオンへの感情』は、極力四天王には隠しておかねばならないという事情があるんですな。もちろん、ゾイサイトとクンツァイトにはその『恋愛洗脳』は効いてはおらず、別の「呪縛」という形で拘束されているのですが、彼らは、それぞれの個人的な目的を隠すため、あたかも『恋愛洗脳』されてるかのように装ってはいます。もちろんベリル様も、それは勘付いてはいるのですが、それに関しては、なぜか、特に深追いしようとはしてないんですよね。おそらく、Act.12のゾイサイトがきっかけで、『大本命のエンディミオン』が現世に転生してる事が分かったためでしょうな。では、「なぜ実写版のベリル様は、四天王を『恋愛洗脳』していたのか?」と言う謎が浮上してくる訳ですが、それに関しては、実は最終回を待つまでハッキリとは解明できないため、敢えてここでの言明は避けますが、これは、ナニげに実写版のストーリーの根幹に関わる問題でもあった訳なんですな。
★ で、このシーンで説明された、実写版におけるもう一つのオリジナル要素として出て来たのが、「幻の銀水晶」の解釈と設定です。前回、『プリンセス覚醒』に伴ってようやく出現した「幻の銀水晶」なのですが、これは、実写版においては『完全体』ではなく、あくまでも「カケラ」として現われたに過ぎず、その「カケラ」は、その場で消費された時点で、あたかも『涙が乾くのと同じように』消えてしまい、『完全体』はあくまでも「プリンセスの体内にある」と言う点ですね。
★ これは、アニメ版では、もちろん『完全体』として現われ、その時点でスティックに装着され、あとはそれを『いかにして使いこなせるようになるか?』がその後のポイントとして描かれてました。要するに、アニメ版の「幻の銀水晶」には、ほとんど『最終兵器』という解釈しか与えられてないんですね(←非常に分かりやすいですな)。
★ なので、アニメ版では、その後も、そのまま「幻の銀水晶」の奪い合いが継続されるコトには変わりない訳ですが、ところが実写版では、「プリンセスの体内にある」以上、話はそう簡単にはいかない訳です。ですから、つまりこの事実が判明したコトによって、両陣営(←特にダーク陣営)の状況がガラッと変わってくる訳なんですな。
★ ※ ちなみに、原作では、一応『完全体』として現われはしたのですが、その際、「「幻の銀水晶」から カケラのようなものが (エンディミオンの)体にすいこまれた!」(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)」より)ために、クイン・ベリルがクンツァイトに命じてエンディミオンを連れ去らせてます。そして、「プリンセス」の手元に残った銀水晶の方は輝きを失い、その二つが一つにならない限り、「完全体」として力が発しないという設定になってました(←「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)」より)(←こちらはこちらで、また魅力的な設定ではありますが、ナニげに複雑でもありますなぁ…)(←って、実写版はもっと複雑怪奇ですがね…)(←ちなみに「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)」では、「「幻の銀水晶」から 光が飛びだし (エンディミオンの)体にすいこまれた!」と修正されてましたが、設定自体は同じです)。
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★ こちらはクンツァイト…。
★ 御前会議にも出席せず、クンツァイトがネフライトのところへ来て話しかけます…「居心地はどうだ?」。「…お前がいなければ、最高だ!」(←相変わらず、『ネフライト用いじけスペース』で、片ヒザ付いてイジケてます)。「…面白い話を教えてやろう」。「?」。「…本当のプリンセスは、セーラームーンだったぞ」。「!…ナニ!?」(←思わず立ち上がるネフライト)。「…お前はニセモノを追いかけていたというわけだ。…幻の銀水晶も、プリンセスが隠し持っている。少々つついてみる価値は、あるかもしれん」。「!」。「まぁ、お前程度に幻の銀水晶を奪われるほど、プリンセスもマヌケではないだろうがなぁ」。「キサマっ!」。「フン、…フッハハハ…ハッハハハハ…」(←高笑いしながら去っていくクンツァイト)。「…クソォッ! なぜこの私があんな侮辱をっ!」(←がんっ!と洞窟の壁を叩き)、「…幻の銀水晶…この私がっ!」。
★ クンツァイトは洞窟の通路を歩きながら、「ヤツはからかうと飽きんな…」。
★ これ、クンツァイトは、Act.15の時も、同じように『プリンセスの最新情報』をネフライトに耳打ちしてるんですよね?(↓)
―Act.15の再現VTR― |
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クンツァイト:「知ってるか? プリンセスが大切な宝石を盗まれたとか…」。ネフライト:「ナニ?…まさか、幻の銀水晶?」。「可能性はあり…だな…。コソドロに先を越されるとは…お前もよくよくツイていない…(ニヤリ)…」。 |
★ この当時は、まだクンツァイトが覚醒して間もなく、一介の『エナジー担当』でしかなかったため、ふがいない『プリンセス担当』のネフライトに情報提供して、外から様子を見ようとしていた訳です。だからネフライトのプライドの高さを逆手にとって、わざと皮肉たっぷりに言って彼を焚き付け、その結果、『『プリンセス・セーラーヴィーナス』が本当に「幻の銀水晶」を持ってるのかどうか、怪しいモノだ』と言う考えを持つきっかけを得た訳です。なので、今回も、クンツァイトがただ単にネフライトを「からかう」ためだけにこんなコトを言ってるはずない訳で、やはりそこには、ナニか『意図するもの』があるはずです。要するに、先ほどベリル様も言ってたように、「幻の銀水晶は、プリンセスの体内にある」と言うコトが分かった以上、クンツァイトにしても、今までとは状況がガラッと変わった訳なんですな。今までは『プリンセスに対して復讐を遂げるコト』だけを考えてれば良かったのですが、その相手が『覚醒』してしまい、その上、「幻の銀水晶は、プリンセスの体内にある」とあっては、そう簡単に「プリンセス」に手が出せなくなってしまった訳です。だから、「プリンセス」を殺すにせよ「幻の銀水晶」を奪うにせよ、おそらくその辺をどうするか思案するために、こうやってネフライトをけしかけて「少々つついてみる」と言う訳ですな。だから、ここでネフライトに、「幻の銀水晶も、プリンセスが隠し持っている」と教えておきながら、わざと、「幻の銀水晶は、プリンセスの体内にある」と言う『肝心なコト』までは教えてない訳です(←しかも、『今度の「プリンセス」はハンパなくつえーぞー』みたいなコトも…)。それを教えてしまうと、いくら「おバカ」なネフライトでも、そう簡単にプリンセスを襲おうなどとは、考えにくくなってしまうからです。
★ するとそこに、ゾイサイトのピアノ(←久々の「幻想即興曲」)が聞こえてきます…
★ …「またゾイサイト…」。するとクンツァイトは、急に頭を押さえ、「ウッ、……ヤツの音はいらぬ記憶を呼び覚ます……」…すると、「!!」…クンツァイトの脳裏に、前世の記憶がフラッシュバックします(↓)
1. 城が崩れ去り、その瓦礫の下敷きになって、ゾイサイトが目を見開いたままうつ伏せになって死んでます。同様に、ジェダイトくんが目を見開いたまま仰向けになって死んでて、ネフライトも目を見開いたままうつ伏せになって死んでます…。
2. そしてその横で、剣を杖のようにして、ガクンとヒザを落とし、「!…」…クンツァイトが呆然として…そのあと…「う゛わ゛あ゛ああああああああああ〜〜〜っっっ!!!」と雄叫びを上げております…(←モノスゴイ絵ヅラです…夢に出てきそうです…)。
★ ※ ちなみに、この回想シーンは、今後も何度か繰り返し出てくるのですが、コレ、どう考えても奇妙なんですよねぇ…。でも現時点では、今回のこのシーンを見ただけでは当然ナニも分からないので、「ナニが奇妙なのか?」については、また折を見てきちんと説明したいと思いますけど…。
★ クンツァイトは、憎々しげにピアノの音のする方を睨むと、そのまま足早に立ち去ります…。
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★ ゾイサイトは、そのピアノを弾きながら、「…マスターが危うく命を…。やはり…プリンセスに関わるのは、危険だ…!」(←これ、ゾイサイトも、おそらく心を飛ばして、『プリンセス覚醒』の現場を覗き見してたんですなぁ…)。
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★ こちらは地場衛…。
★ 病院のベッドに横たわって天井を見つめ、考え事をしております…。
★ 地場衛の回想シーン⇒【幻の銀水晶が出現し、「プリンセス」が「…よかった…」と泣き笑いしております。】。
★ そして地場衛は、独り言を言います…「…あれが、オレの捜し求めていた幻の銀水晶とプリンセス…。しかも、…あのうさぎが…」。すると、ナニやらぼよよよよ〜ん…と物音がしたので、横を向くと…「?…」。
★ そこへいきなり、ゾイサイトがピアノの音もなしに、心を飛ばしてやって来ます…「そう、プリンセスとマスター、前世から結ばれている」。「ゾイサイト…『って、コレじゃおちおち独り言も言えねぇよっ!』」(←もうすっかり慣れっこになっちゃったみたいで、さほど驚きませんな…)。「しかし、プリンセスとの絆は、不吉…。…断ち切らねば、再び悲劇が…」。「……」。
★ ところで、地場衛は、あのあと、一体どういう経緯で病院に運ばれたんでしょうか? 彼はクンツァイトに斬られたあと、「幻の銀水晶」の力で生き返りはしたものの、やはり「カケラ」の力では生き返らせるのが精一杯で、どうやら完全に体力を回復するまでには至ってなかったみたいですね。そうすると、彼をここへ運んだのは、当然うさぎちゃん達というコトになるのですが、しかし彼女達は、オープニング開けの「BankART1929」のシーンでは、まだみんな変身したままでしたし、そしてその時には、もう『タキシード地場衛』はそこにいませんでしたから、そうなると、考えられるのは…(↓)
1. 電話で救急車を呼び、『タキシード地場衛』をその場に置き去りにして、自分達は「BankART1929」に移動した。
2. 電話で元基を呼び、『タキシード地場衛』をその場に置き去りにして、自分達は「BankART1929」に移動し、元基に車で運ばせた。その際、元基が陽菜さんに連絡した。
3. しょうがないから、まこちゃんが一旦変身を解いておぶって運び、その間にみんなは、ムードを出すため場所を「BankART1929」に移動し、そこでまた落ち合った。
★ するとここで、トントンとドアをノックする音がして、ゾイサイトは、マントばさぁっ!と消えていきます…「…『ちっ、またあの女か、だが私としては、むしろ彼女にもっと頑張ってもらいたいのだが…』」。
★ 地場衛が「はいっ」と返事をすると、陽菜さんが花束を持って見舞いに来ました。おおっ!今、ドアを開けた陽菜さんの背後の廊下の壁に、ワシがAct.21で書き写したのと同じ院内標識が!(↓)
診察室 1−4 リネン室 採血採尿受付 歯科・口腔外科 |
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循環器外来 整形外来 |
★ つまりココは、かの有名な、あの、愛野美奈子も亜美ちゃんもお世話になった、「港区立 十番病院」ではないかっ! つまりこの病室は、Act.21で亜美ちゃんが運び込まれたのと同じ2階にあると言うコトですなっ!(←病室自体は完全に違う部屋です。ドアの位置も開く方向も違います。もちろん美奈子が入院してた病室とも違います。美奈子は外来ではないので、8階より上の階でしたからね)。あの時、亜美ちゃんは元基の車でここに運ばれてましたから、ひょっとすると今回も、元基が電話で呼び出されて地場衛を運んだという可能性が、まんざらでもなくなってきましたなっ!
★ 「陽菜……」。陽菜さんは、前回エナジーを奪われて倒れた時と同じ服ですから、まだ日付が変わってません。つまり、これはあの一件の直後になる訳です。陽菜さんは、最初は何かこわばった表情でしたが、地場衛の前まで来ると、彼の具合を見て安心したのか、すぐに微笑んでみせます。しかし、一方の地場衛に笑顔はなく、ナニか、そんな陽菜さんの普通そうな態度に対して、意外そうと言うか、戸惑っていると言うか…そんな感じです…。
★ ところで、地場衛は前回(←と言っても劇中ではついさっきの話ですが)、陽菜さんに「戻って来る…」と言って彼女をベンチに置き去りにした訳ですが、そのあと、結局彼は戻って来なかった訳ですよね? で、陽菜さんの方は、街中で倒れた人々と共に、『プリンセス覚醒』に伴う「幻の銀水晶」の発動によって、妖魔に奪われたエナジーを回復したはずですから、あのあと、何事もなかったかのように一人でベンチから起き上がれた訳です。そこで気になるのは、今までのパターンでは、その場合、ダーク・キングダムの記憶操作によって、人々の心から事件そのものの記憶が消されてるはずなんですな。そうなると、たとえば、Act.16で、なるちゃんが亜美ちゃんにアリジゴクの巣に落とされたのを覚えていないように(←え? 落としてない? そうだっけ?)、陽菜さんも、地場衛にベンチに置き去りにされたコトを覚えていない可能性がある訳なのですが、その辺はどうなんでしょうね?(←それによって、陽菜さんの今現在の心理状態に、雲泥の差が出てくる訳ですからね?)。でもまあ、今回に限っては、それはないでしょうね? 事件の記憶とともにあの時のやり取りまで全部忘れちゃたら、このあとの展開がつながらなくなっちゃいますからね。
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★ ルナのナレーション:「地球の王子と、月のプリンセス…、二人はとても深く愛し合っていましたが…」…
1. 前世で、「プリンセス」と「エンディミオン」(←めっちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン)が、緑の草原を、「あはは、うふふ…」と手をつないで走っております…(←愛し合う恋人達と言えば、とにかくこの絵ヅラがお約束ですね♡)(←実際こんなコトしてるヤツ見たコトねーけど…)…それから、芝生の上に腰を下ろして、笑顔で見つめ合っております…「……『ぷっ、このシーン笑っちゃうよな?』」。「あはは…『ホントよね?』」。
★ 「実はそれは、禁じられた恋だったために、災いが災いを呼び、月の王国と地球は戦いを始め…」…
2. 城の周りを劫火が取り囲み、天変地異のような地割れが起こり、そこからマグマと言うか炎が吹き上げております…。
★ 「ついには、大いなる悪によって、地球は滅亡し…」…
3. 地球全体を青い炎のようなものが包み込んでおります…。
★ 「月の王国も、滅んでしまいました…」。
4. それから、月の王国で、手をつないだまま仰向けに倒れて死んでいる「プリンセス」と「エンディミオン」の姿が…。
★ 先ほど、ダーク・キングダム・サイドで説明された「地球」目線での内容、つまりクンツァイトの前世の映像と、ゾイサイトが病院で地場衛に話したコトが、そのままクラウン・サイドでも、ルナによって「月の王国」目線で説明されましたね。
★ ※ ちなみに、この二人が死んでるシーンも、今後も何度か繰り返し出てくるのですが、コレ、先ほどの四天王が死んでたシーン同様に、奇妙なんですよねぇ…。でも現時点では、今回のこのシーンを見ただけでは当然ナニも分からないので、「ナニが奇妙なのか?」については、現場検証の材料が出揃った頃に、また折を見てきちんと説明したいと思いますけど…。
★ ところで、アニメ版では、その辺の事情に関しては、以下の説明のように至って単純明快でした(↓)
―アニメ版・第35話「よみがえる記憶! うさぎと衛の過去」― |
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「遥か昔…、月には、シルバー・ミレニアムという王国があったんだ」。「とても平和な楽園だったわ」。「その頃だった…。地球が、邪悪な意思に乗っ取られてしまったんだ」。「ヤツらは、シルバー・ミレニアムにある、銀水晶の絶大なパワーを手に入れようと、攻め込んできたわ」。「激しい戦いで王国は滅んでしまった。だけど、銀水晶の力で、邪悪な意思を封印したんだ」。 |
★ …つまりここには、「禁じられた恋」が原因だったという設定は全くなくて、あくまでも「銀水晶」の奪い合いが原因だったという、極めてオーソドックスな「勧善懲悪」の概念しかないんですね…(←非常に分かりやすいですな)。
★ ※ ちなみに原作の方も、この点に関しては基本的にアニメ版と同じで、こちらは一応「禁じられた恋」ではありましたが、それが原因だったという設定はありません。なので、どうも実写版は、その辺の事情がかなり複雑そうですなぁ…。
★ 「そのプリンセスが私、なの?」(←みんなの着てる服が前回と一緒ですから、まだ日付は変わっておらず、『プリンセス覚醒』のあと、その足でクラウンに来たんですな)。「そうよ、お母さんから生まれる前のうさぎちゃんの姿、ものすご〜い昔だけど…」(←ノーマルバージョン)。「そういうの、前世、って言うのよ」(←専門分野ですな)。「…ぜん、せ…」(←意味分かってる?)。「…なんか不思議だけどね。行ったこともないのに、月の世界知ってるなんてさ」(←相変わらず他人事な人)。「あたし達みんな、同じ記憶を持ってるのよ。出会ったのも、偶然じゃないんだわ…きっと…」(←超常現象にまったく動じない人)。「亜美ちゃんはどうかな? 思い出したのかなぁ?」。「そうだといいけどぉ…」(←困ったバージョン)。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ その亜美ちゃんですが…。
★ ナンかよく分かりませんが、ダーキュリーに変身した状態で、ビルの屋上から街を見下ろしております…。どうでもいいけど、この人、一体ここでナニしてんでしょうか? ナニか考え事をしてるようですが、謎です…(←ちょうど今春休み中で学校がないんで、手持ち無沙汰なんでしょうか?…)(←ちなみにこのダーキュリー・ポーズは、ペンギン・ポーズの裏返しバージョンなのでしょうか?)。
★ 原作・アニメとは違って、実写版では、『プリンセス覚醒』の場にマーキュリーだけが立ち会えず、それによって、前世の秘密に関する説明もここでは聞くコトができなかった訳ですが、仮に立ち会っていたとしても結果は同じで、マーズ&ジュピターの攻撃陣とは違い、「プリンセス」同様、マーキュリーも何も思い出せなかったはずです。と言うより、逆に思い出させないために、これらの場にマーキュリーや亜美ちゃんを立ち合わせなかったのだとも言えるんですな。前回も書きましたが、『前世の主従関係』のみで自らの行動原理を決定する美奈子と、『現世の友情』のみで自らの行動原理を決定する亜美ちゃんという対立軸が存在し、『主従関係』が『真の友情』ではありえない以上、マーキュリーをあの場に立ち合わせ、「プリンセス」の前にかしずかせる訳にはいかないからです。そう言う意味でも、『ダークマーキュリー』という実写版オリジナルのキャラクター設定は、実に巧妙にできてるんですな。この、最も重要なビッグ・イベントの一つである『プリンセス覚醒』の場に、よりによってマーキュリーを不在にさせるためには、これ以上の大義名分はない訳ですからね。ですから、『ダークマーキュリー』という存在は、たとえば、「単に『ブラック・ムーン編』の「ブラック・レディ」のアイディアを流用したもの」…なんて程度の解釈だけでは、とうてい説明しきれないんですな。なぜなら、「ブラック・レディ」という存在は、あくまでも「ちびうさ」個人の物語にしか関与してはいないからです。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ で、そんな亜美ちゃんの話が出て、うさぎちゃんがどんよりしちゃったのを見て、レイちゃんが気を回して軽口を叩きます…「でも、うさぎがプリンセスっていうのは、ちょっとした驚きね。ヴィーナスの方が、らしい、かも(笑)」(←みんながバラバラになる前の、仲間の心の機微にすぐ気が付く、以前のレイちゃんに戻ってますね)。「レイちゃんっ!(怒)」。「でも、うさぎのお陰で彼も助かったんだし…」(←まこちゃんもうさぎちゃんをフォローして盛り立てようとしますが、これは思いっきり逆効果です…)。「……」(←ほら…)。タキシード地場衛:『ってオマエら、その前にオレが先に助けてるコト、完全に忘れてるだろ?』。『ごめん、ちょうどその時、あたしたち凍ってたんで…』。『だな』。まこちゃんは、うさぎちゃんが完全にフラレちゃったコトを知らないから、これがフォローになると思っちゃってる訳なんですな。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ 再び病院の地場衛…。
★ 陽菜さんは、花瓶に花を生けながら、「すぐに退院できるって…、良かったね」と言います。すると地場衛は、「ああ…」と答えます…(←言い方はそっけないですが、基本的にいつもこんな感じですからな…)。
★ それから、陽菜さんは、「はい」と言って、地場衛に航空券の入った封筒を渡します…。「荷物の方、ぜんぶ用意できてるから…」。「ありがとう」…地場衛はそう言うと、封筒から航空券を取り出します。で、その瞬間、その地場衛の様子をじっと見つめる陽菜さんが、意味ありげにアップで映されるんですな。
★ なぜ、この瞬間、陽菜さんがアップで抜かれたんでしょうか?
★ 地場衛は、封筒から取り出した航空券を、ただ黙って…、無表情で…、じっと眺めてます…「……」(←「CHIBA/MAMORU」って名前が入ってます。出発の日付は「30MAR」と読めるのがそれでしょうか?)。そして陽菜さんは、そんな地場衛を…、じっと見つめてます…「……」。
★ なぜなんでしょうか?
1. まず第一の問題として、陽菜さんが、ここで、今、この時、地場衛に航空券を渡す意味はナンなんでしょうか? そもそも、今ここで航空券を渡す必要があるんでしょうか?
2. なぜなら、この二人は、明日、一緒に同じ飛行機に乗り、一緒に旅立つ訳です。航空券の予約や購入を手配したのが陽菜さんなら、こんなもの、明日の当日に、搭乗の際に彼女が出せばいい訳で、わざわざここで、個別に地場衛に手渡さなければならない必要など、どこにもない訳です。それなのに、なぜそれを、今、ここで渡さなければならないのか?
3. 陽菜さんは、それを地場衛が気付いてくれて、自分にその理由を聞いてくれるかどうかを、試してるのでしょうか?
4. あるいは、陽菜さんは、ただ単に、航空券を受け取った地場衛が、それを見て嬉しそうにするかどうかを、見届けようとしてるのでしょうか?
5. いずれにせよ、そう言うようなコトでもない限り、陽菜さんが、この瞬間アップで抜かれたコトの意味が説明できないんですな。彼女は明らかに、この航空券を渡すコトで、それに対して地場衛がどういう反応を示すかを見てました。その事だけは、間違いないのですから…。
★ ※ 一つだけハッキリと言えるのは、こういうコトではないでしょうか…。
1. 普通に考えれば、この二人は、明日、地場衛宅からであれ、日下家宅からであれ、一緒に家を出て空港に向かうはずです。少なくとも、タクシーで空港に向かうにせよ、電車で空港に向かうにせよ、別々に空港に向かって空港で待ち合わせるなんて、どう考えても不自然です。ところが、このあとのシーンを見ても分かる通り、この二人は、なぜか別々に空港へ向かい、空港のロビーで落ち合ってるんです。
2. つまり、陽菜さんは、この時すでに、この場で別れを切り出すコトを考えていたんじゃないでしょうか? それで、自分は明日飛行機には乗らず、空港にも行かないかもしれないと、そう考えていたんじゃないでしょうか? だから、それを見越して、今、ここで航空券を渡しておかなければならなかったんじゃないでしょうか?
3. いずれにせよ、少なくとも、陽菜さんがこの時すでに別れを決めていたか、あるいは、今この場でそれを決意したか、そのどちらかであるコトだけは、間違いありません。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ 再びクラウンにて…。
★ 「ヴィーナスが、タキシード仮面に近づくなって言ったのは、正しかったわ。プリンセスと、王子の恋は、不吉なのよ。前世で地球と月が滅んだのは、そのせいだって言われてるし…」(←真顔バージョン)。
★ また、手をつないだまま仰向けに倒れて死んでいる二人の姿が映されます…。
★ ちなみに、さっきゾイサイトも「不吉」と言う言葉を使ってましたな…。ナニげにこの言葉も、実写版的キーワードの一つのようですな…。
★ 「それが分からないな…ナンでそんなコトで星が滅ぶわけ?」(←おおっ! まるで我々視聴者の気持ちを代弁するかのような素朴な疑問だっ!)。
★ まこちゃんがこの質問をしたのは、やはり彼女が『恋愛担当』だからですな。だから、「恋」と「不吉」が結びつくコトに、過敏に反応するんです。
★ 「それは、うさぎちゃんか、タキシード仮面の記憶が戻らないと…。とにかく、うさぎちゃんとタキシード仮面は、近づいちゃダメっ」。「うん…そうだね…」…しかしこの時のうさぎちゃんの頭には、前回地場衛が陽菜さんに言った言葉が回想されてます…⇒(「小さい頃からずっと側にいたお前を、大切だと思ってる…。お前が嫌だと言うまで、オレは一緒にいる…」)…うさぎちゃんにとっては、「前世」がどうこうと言うコトではなく、今の問題として、地場衛に近付いてはいけないのだと、そう考えてるようです…「……」。
★ ★ ★ ★ ★ ―CMタイム― ★ ★ ★ ★ ★
★ 「じゃあ、急ぐから」。「うん」。「じゃあね」。…んん??ナンだろう…? ワシの記憶が間違ってなければ、レイちゃんがクラウンの受付や出入り口を通りすぎる姿を、初めて見たような気がするのだが…(←ところで、レイちゃんはルナカラの年間パスって持ってるんですかね? そもそもカラオケ歌わないんだから、最初から必要ないっちゃ必要ないですよね? ただし、歌わない人でも入室料金だけは取られるってんなら話は別ですけど…)。
★ しかし、そんな貴重なシーンを見逃して、生ける屍のようにうなだれている男が一人…「…まいどどおも…」。「…ん、なんかあったの?…『て言うか、いつもと大して変わらないけど…』」。「元基くん、どしたの?…『一応台本に書いてあるから聞くけど…』」。「……! まこちゃ〜んっ、オレってヤツは、ひどい人間なんだよ〜っ!」(←がつん!がつん!パソコン・モニターに頭をぶつける元基…)。「え?…『て言うか、ナンで私を無視すんのよ…』」。
★ 「陽菜ちゃんにひどいコト言っちゃって…」。「陽菜さんに…?」。「ああ〜…陽菜ちゃんはオレとのみにくい思い出を抱いたまま…、ぐす、…あさって、ロンドンに行っちゃうんだぁ〜」。「あさって?!」。「…」。「じゃあ、地場くんも?」。「うん」。「……」。「……」(←まこちゃんは、ナニげにうさぎちゃんの横顔を見つめ、その心中を推し量るようにして見てます)。「……」(←うさぎちゃんは、またしてもどんよりムードに…)。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ その地場くんは…。
★ 病院のベッドに横たわったまま、陽菜さんに「どうかしたのか?」と声をかけます。じっと黙ったまま、伏し目がちに椅子に腰掛けてた陽菜さんは、「うぅんっ」と首を横に振ると、すっと立ち上がって「帰るね」と言い、うつむきながら帰って行きます。地場衛は少し不審そうに、首だけ起こして見送るだけで、声すらかけようともしません。そして、陽菜さんが病室を出ると、頭を枕に戻し、もう別の事を考えてます…。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ うさぎちゃんが月野邸に帰宅します…。
★ うさぎちゃんはトボトボと歩きつつ、自分ちの前に来ると、玄関の前でふと立ち止まり、「あさってか…」とため息交じりにつぶやきます…。しかし、ふいに気持ちを入れ替えるように元気に歩き出し、玄関を開けた瞬間にはもう、「ただいま〜っ♪」といつもの笑顔に戻ってます。
★ 居間に入ると、うさママが料理しながら、「おかえり〜、手、洗いなさいよっ、手っ!」。「子供扱いしないでっ、プリンセスなんだからっ」。「は〜い、失礼いたしましたっ、うさぎ姫っ」と、うやうやしくお辞儀しながら、揚げたてのポテトフライを一つ、さえばしでつまんで差し出します。うさぎちゃんはそれを口に入れるなり、「熱いっ、あつ〜い…」。
★ 進悟:「ま、うさぎがプリンセスやれる国なんて、地球上にないね」。「そうだよっ、月だもんっ」。「お前がモチなんだろ?」。「ナニよ〜っ!」と言って、進悟からゲーム機を取り上げます。「あっ、やめろよっ、失敗するだろっ!」。「へぇっ!」。「返せよっ! おい、こら、うさぎっ!」。
★ このシーンなんですが、これ、今更言うのもアレなんですが、そもそもセーラー戦士と言うのは、自分の正体を家族にすら秘密にしてる訳ですから、うさぎちゃんは、たとえば『自分がセーラームーンだ』なんてコトは、もちろん口が裂けても言わない訳です。ところが、今ここで、家族の前で冗談めかしながら「プリンセスなんだからっ」って言っちゃってますね? もちろん、どうせ意味が分かるはずないからこんなコト言えちゃう訳なんですが、要するにコレ、いかにうさぎちゃんが「プリンセス」の自覚がないかってコトを、言外に表してるんですな。
★ ※ 実は、原作にも似たようなシーンがあって、それは、セーラーVがプリンセスのダミーとして登場した翌日の朝、月野うさぎが、うさパパに向かって、「うふふふっ 正義の戦士ッ! セーラームーンよっっ! このアタシがっっ!!」って言っちゃって、「ほーほー♪♪それではやおきを そーかそーか」って信じてもらえない、と言うシーンがあるんですね。で、そのあと、「……あたしって うさぎとセーラームーンと……どっちがほんとのあたしなのかしら」って考え込むんです(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)」より)。
★ ※ ちなみに「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)」では、この「正義の戦士ッ!」が「愛と正義の戦士ッ!」に修正されてました。
★ つまり、うさパパにこんなコトが言えちゃうのも、このように、自分が「セーラームーン」だと言う自覚もなく、その確信も持ててないからなんですな。原作はアニメ版と同様、セーラームーンもセーラーVと同じように世間で認知されてるヒーローなので、だからこういう風に冗談めかして言えるのですが、そうでない実写版では、そもそも「セーラームーン」という存在そのものが知られてない訳ですから、原作と同じ冗談は通じない訳です。でも、「プリンセス」なら通じる訳ですから、実写版ではこのシーンを、「プリンセス」に置き換えて採用したんですね。つまり、実写版のうさぎちゃんは、自分が「セーラームーン」であるコトよりも、「プリンセス」であると言うコトの方が、よっぽど自覚がないっ!てコトなんですな。それと同時に、「うさぎ姫」が生きるべき最も幸福な場所は、ここにあるのだと言うコトを、『現世』を月野家に象徴させて、あらためて描いて見せてる訳なんですな。
★ ちなみに、この時、居間の壁時計が「5時40分」くらいを指してますな。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ クラウンでは…。
★ その頃、誰もいないルナカラのお菓子カウンターに、ナニやら星型したモノが三つ転送されてきました…が…ナンでしょうコレは?…どうやらコレが、アルテミィ〜スの言ってた「プレゼント」みたいですが…?
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ 一方こちらは、ダーク・キングダム…。
★ ネフライトが、洞窟の通路の『ネフライト用いじけスペース』に妖魔石を置いて、妖魔を出現させております…(←これまた命名に困るヤツが出てきましたな…今回はもう、名前はナシでいこう…)(←どうせ弱いし…)。「プリンセスは、このオレがっ!」…(←普段ネフライトの一人称は「私」なのですが、それを「オレ」と言ってしまうほどに、そうとう気合が入ってるってコトなんでしょうねぇ…今回も、ナニかやってくれるんでしょうかねぇ…)。
★ ところで、前回ジェダイトくんは、手をかざしただけで『ただの妖魔』を出現させてたのに、ネフライトは未だに『妖魔石』を使ってるんですな。これってやっぱり、ジェダイトくんの方が、復活に伴ってスキルが上になったってコトなんでしょうか?
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ 翌日…クラウンの受付にて…。
★ クラウンにやって来たまこちゃんが、入り口の前まで来て、ふと足を止めます…「?…」。「マリリン、いいねぇ〜、マリリン、笑って!…いい目してるよぉ〜♪」(←おおっ?! カメの水槽に向かってデジカメ撮影をしているこの人物は、まさしくっ!!)。
★ 「あれ? 高井くん、元基くんは?」。「ヒック!(←いきなりシャックリが…!)、あ、なんか留学する友達見送りに、ヒック!…空港行ってます」(←カメリュックとカメトレーナーがAct.7の時と一緒だっ!)。「えっ!?」。「ヒック!」。「あしたじゃなかったっけ?!」。「ヒック!…元基くん、間違えてたみたいで、ヒック!…さっき慌てて、ヒック!」。「!」。まこちゃんは無言で年間パスを見せ、ルナカラに走ります。
★ 高井くんは急いで、すでにカウンターに用意してあった黄色いカメタッパから、レモンスライスを取り出してそれをかじります…。で、どうやら、ひとかじりでシャックリが収まったようです…「あぁ…!」。
★ ところで、どーでもいいコトですが、ナニげにこの「留学する友達」って言い方は、一体どういうコトなんだ?…だって高井くんは、Act.7のトリプルデートの時に地場衛とは会ってるんだし、その時まこちゃんもそこにいた訳なんだから、この二人の間では、そのまま「地場くん」で通じるはずなのに…。…てコトは高井くんは、地場衛とは、『あれっきりの間柄』でしかなかったってコトか?
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ ルナカラでは…。
★ 一足先に来てたうさぎちゃんが、例のアルテミィ〜スからの「プレゼント」を眺めております。「?……いつからあったんだろう?」。うさぎちゃんはそれをぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!と叩いてみます(←これはナニげにタンバリンですか?)。
★ そこへ、まこちゃんが急いで駆け込んできます。「あっ、まこちゃん、ほら、これ見てっ、カラオケに使えそうじゃない?!」(←じゃらじゃら振ってます)。まこちゃんは、そのタンバリンをつかみ、「いいからチョット早くっ!」とうさぎちゃんを引っ張って、そのままルナカラを出ます。「え〜!?」。
★ ふ〜む…なるほど…。ワシは一つ分かってしまったぞ…。と言うのも…(↓)
1. これを見ると、うさぎちゃんは、ほとんど今さっき来たばかりである。
2. で、うさぎちゃんが受付を通り過ぎた時も、やはり高井くんはシャックリをしたはずである。
3. しかし、まこちゃんが受付に入って来た時には、すでに高井くんのシャックリは止まっていた。
4. てコトは、高井くんは、うさぎちゃんによるシャックリも、まこちゃんの時と同じように、レモンひとかじりで止まっていたのだ(←まこちゃんが来た時には、すでにカメタッパはカウンターの上にあったからだ)。
5. つまり、高井くんは、うさぎちゃんとまこちゃんによるシャックリは、レモンひとかじりで止まってしまうのだ。
6. てコトはだっ! Act.7で、高井くんが何をやってもシャックリが止まらなかったのは、実は、「女性と一緒に、ヒック!…いると、…シャックリが…ヒック!」と言う彼にとって、レイちゃんはまさに『女性の中の女性』(←つまりめちゃめちゃ好みのタイプ)だったからっ!…だったのだなっ!
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ まこちゃんは、外でタクシーを捕まえます…(←例のタンバリンをじゃらじゃら振ってます)。
★ そして、タクシーに乗り込むなり、「成田空港お願いします」。「え? ナンでぇ?」。「出発…今日だったんだってさ」。「え?…いいよっ、運転手さん止めて下さいっ!」。「いいから行って下さいっ!」。「まこちゃん…」。
★ これ…うさぎちゃんは、出発が今日だったってコト、すでに知ってましたね? 今、まこちゃんから「出発…今日だったんだってさ」と聞かされた直後の、「え?」のリアクションに、ほとんど動揺の色がないコトがそれを物語ってますし、そのあとの「いいよっ、運転手さん止めて下さいっ!」までの意思決定がスムーズすぎます…。つまり、うさぎちゃんは、さっき受付で、まこちゃんと同じように高井くんからそれを聞かされていて、その時すでに、『私は見送らない』と、心に決めていたコトが伺われますな。
★ 「もう会えないかもしれないじゃん。声かけなくてもさ、見送ろうよ」。「…」。「なんか、言いたいコトあれば言ったっていいし…『殴りたければ殴ったっていいし…』」。「…そんなの…『じゃ殴ろうかな?…まこちゃんも一発どう?』」。『当然っ!』。
★ で、一方のまこちゃんですが、まこちゃんは、Act.24では、うさぎちゃんが地場衛を助けるために「科学館」へ駆け出した時、(「あたしが行くから、うさぎは行くな!」。「どうして!?」。「忘れるって決めたんだろ?!」。)てな具合に、二人が会うコトを避けさせようとしてました。もちろんあの時は、タキシード仮面の正体をまこちゃんしか知らなかったからで、まこちゃんはただでさえ「ドロボー」のタキシード仮面を嫌ってた上、地場衛が「うさぎを利用しようとした」コトが許せなかったからですね。ところが、「科学館」に着いてからは、うさぎちゃんの想いの強さにほだされて、むしろ逆に、(「うさぎっ! 今のうちにっ!」。「えっ!?」。「それで気が済むなら、助けに行きなよっ!」。)てな具合に、二人を会わせてあげようとしてました。
★ そして今回は、うさぎちゃんが頼みもしないのに、気を利かせて、進んで二人を会わせてあげようとしてます。しかも、うさぎちゃんが「いいよっ」って言ってるのに、『うさぎは内心、ホントは見送りたいはずだ』って思って、強引に引っ張って来ちゃってますね。
★ これ、要するに、Act.24の時とは状況が全く違うからなんですね。今回まこちゃんは、もはや『プリンセス覚醒』に伴って、「なんとなく」記憶の断片が戻ってる訳です。つまりそれが、まこちゃんをこのような行動に駆り立ててるんですな。つまり、『体育会系キャラ』のまこちゃんと言うのは、誰よりも『仲間意識』が強い訳ですから、それはすなわち、当然『前世の上下関係』にも敏感であると言うコトでもある訳です。だから、かつては「ドロボー」でしかなかった地場衛が「地球の王子」に昇格した今、地場衛に対する個人的な嫌悪感や誤解も払拭されてきてるはずですから、「プリンセス」の「禁じられた恋」を応援しないではいられない立場に変わりつつあるコトを意味してるんですね。そしてこれは、同時に、まこちゃん自身が『恋愛体質』で、なおかつうさぎちゃんの『恋愛担当』であるコトとも、完全にイコールな訳です。一方の『友情担当』のレイちゃんが、『プリンセス覚醒』に伴って美奈子への個人的な嫌悪感や誤解が払拭されたのと、これは対を成してる訳です(←したがって、必然的に今回は、『友情担当』のレイちゃんが不在となる訳ですな)。
★ ★ ★ ★ ★ ―CMタイム― ★ ★ ★ ★ ★
★ 空港のロビーにて…。
★ 地場衛が、あとからやって来た陽菜さんを見て驚きます…「!…お前、スーツケースは?」。すると陽菜さんは、手に持ってた自分の航空券を、いきなり無言でびりっ!と破ります。地場衛:「おいっ!?」。
★ 「…衛、昔からずぅっと一緒にいるのに、私がけっこうプライド高いって、知らないんだ?」。「え?!」。「好きでもないのに、大事にされるだけなんて、自分がみじめだって、気付いたの…」。「…」。「留学も辞めたっ、…でも、衛の入学は心配しないで…。パパは、衛個人を見込んでるんだから…。あたしと、結婚するかどうかは別…」。「ちょっと待てっ、だったら、オレも行くわけにいかない!」。陽菜さんは、首を横に振り、「行って欲しいの。…日本にいないで…」。「陽菜…」。「…あたしがぁ、イヤになるまで一緒にいるって言ったでしょ?」…陽菜さんは、一瞬地場衛の顔を見てまた目を伏せ、「…イヤになったの」。「……」。
★ 「じゃあねっ。…またいつか、一緒に育った家族として、会えるといいな…」(←これは、『衛が留学から帰ってくる頃までには、気持ちの整理をつけておくから…』って意味でしょうなぁ…)。「……」。陽菜さんは背を向けて歩いて行きます。
★ 地場衛は、その陽菜さんの背中に向かって、「…陽菜っ…オレは、ホントにお前を大切だと思ってるっ」。「……わかってるっ!」。…そう、それはよく分かってる…なぜなら、それが一番つらいコトだからなのだ…。振り向かずに手を振って、そのまま歩き去る陽菜さんの頬には、ひとしずくの涙が…「…………」。「…………」。
★ 空港で、ついに自分の方から、地場衛に別れを切り出した陽菜さん…。実はこのシーン…、何度見ても泣けてしまったりしてるワシなのでした…(←ワシは、こういうのにメッチャ弱いのだ…)。今にして思うと、やはり、昨日病院へ見舞いに行った時の地場衛の態度を見て、その時に、こうするコトを決めたのかもしれませんね。おそらくあの時に、「好きでもないのに、大事にされるだけなんて、自分がみじめだって、気付いた」んでしょうな。で、こうして、ぎりぎりまでそれを黙っていたのは、彼に余計な事を考える時間を与えず、彼一人だけを飛行機に乗せたかったからでしょうな。
★ ※ さて、このシーンを最後に、陽菜さんは、実写版の物語からも完全に身を引いてしまう訳なのですが、ところで、なぜ実写版は、原作にもアニメ版にも存在しなかった「日下陽菜」という女性を、地場衛の「婚約者」(←のようなもん)として登場させたのでしょうか? もちろん、それには、ちゃんとした理由があるんですね。
1. それは、要するにこういうコトです⇒『実写版の月野うさぎと地場衛は、あくまでも現世で恋に落ち、あくまでも現世で愛を育み、あくまでも現世で結ばれ、あくまでも現世でのみ生きていく二人』…だからです。
2. このコトは、この二人が、一体どのような過程を踏んで恋に落ち、結ばれていったのかを、原作・アニメと実写版とで比較すれば容易に分かります。
3. 原作もアニメ版も、この二人はあくまでも「前世から結ばれている」運命でのみ惹きつけられ、その結果、ほぼ、その『記憶が甦る事』と『恋に落ちる事』がイコールなんですね。ところが実写版は違うんです。実写版は最後の最後まで「前世」の記憶は甦らない(←地場衛は多少甦るが…)。だから『記憶』と『恋』はイコールでは結びつかない。『記憶』が甦らない以上、「前世から結ばれている」などと言われたところで、そんなモンには何の意味もない訳ですよ。もちろん出会ったきっかけそのものは「前世」に起因してはいますが、恋に落ちたのも、その愛を育んだのも、あくまで『現世』にこそその理由がなければ、この二人にとっては何の意味もないんです。
4. だから実写版では、たとえば、原作・アニメにあったエピソードをそのまま実写化するに当たっても、セーラームーンとタキシード仮面のふれあいによって『記憶(=恋)の覚醒』が促されるシーンを、ことごとく削除してるんです。その代わり、Act.13や15などのように、『変身してない状態の二人が互いに協力し合って一つのコトをする』と言う、原作・アニメには決してなかったタイプのエピソードを挿入し、それによって、この二人が、あくまでも『現世』で恋に落ちていったのだという過程を描いていたんですね。だからこそ、実写版のセーラームーン(=うさぎちゃん)は、途中からタキシード仮面への恋愛感情すら薄れてしまい、その思いが全て地場衛にのみ向いていく訳です。
5. さらに原作・アニメでは、この二人の間に生じる『恋の障害』は、全て「前世」を原因とするもので、つまり敵側からもたらされるものでした。それに対して、実写版における『恋の障害』は、あくまでも『現世』におけるものでなければならない訳です。つまりそれが「日下陽菜」という存在になる訳です。彼女と織り成す三角関係こそが、この二人がそれぞれ、お互いに対する愛情を確かめるためのきっかけを作り、その障害を乗り越えて強い絆を意識するためのものとして(←また、人として成長するという意味においても)、必要不可欠だった訳です。
6. 先ほども書きましたが、原作とアニメ版では、どちらも、『プリンセス覚醒』のエピソードにおいてタキシード仮面がクンツァイトに連れ去られ、クイン・ベリルの洗脳を受けてセーラー戦士の敵になるんです。しかし実写版のベリル様は、『恋愛洗脳』してる四天王に対して『まだエンディミオンへの感情を隠す必要がある』ため、それをするのは時期尚早な訳です(←Act.13でもこう言ってました⇒「エンディミオン…まさか…、…だとしても、全ては大いなる悪を目覚めさせてからのこと…」=その時点で四天王も用済みになる)。そこで実写版では、うさぎちゃんから地場衛を物理的に引き離すために、ここではベリル様ではなく、地場衛が日下家との絡みで留学するという形で、その役割を陽菜さんに振らせた訳です。
★ すなわちそう言ったコトが、陽菜さんが実写版にとって『必要不可欠なオリジナル・キャラ』であるというコトの意味なんです。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ その頃、空港に向かってるうさぎちゃん達のタクシーは、渋滞に巻き込まれておりました…。
★ 「あ〜ん、もう、間に合わないよっ」。「……」。すると突然、ナンか知らんけど、どーんっ!と言う物凄い音がします。「!」。「!」。「妖魔…!」(←なの?! ナンで?! 戦士のカン?)。「うさぎ、あたしが行くからアンタは」。「そんなコトできないよっ、降りますっ!」。
★ うさぎちゃんはタクシーを飛び出します。まこちゃんもそれに続こうとしますが、はっと気付いてポケットの財布をごそごそしながら、「領収書っ!…『セーラージュピターで…!』」(←運良く妖魔が絡んでくれたので、あとでルナがセーラー経費で落としてくれます…ただし、その際、名前が『木野まこと』になってると、「リーダー」のヴィーナスが経費として認めてくれません)。
★ やはり、うさぎちゃんはここでも「降りますっ!」と言う意思決定が早かったですね。おそらく、うさぎちゃんは『妖魔の出現』を歓迎すらしたんじゃないでしょうかね? 今まで黙ってまこちゃんに従ってたのは、『どうして自分が見送るつもりがないのか?』を、まこちゃんにどう説明すればいいか、思いあぐねていたんじゃないでしょうかね?
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ 空港では、元基が見送りにやって来て、地場衛を探しております…。
★ 元基:「いたいた、よかったっ、間に合って…」。「元基っ! わざわざいいって言ったろ?」。「お前じゃなくて、陽菜ちゃんっ」(←おおっ! あれだけのコト言っといて、誠意あるんだか無神経なんだか…)。
★ 「……陽菜なら…帰った。…留学…辞めたんだ…」。「えっ?!…あ、ナンでっ?」。「……オレと行くのがぁ…イヤになったってさ」。「やっぱ…、オレのせい?」。「……いやっ、…オレのせいだ……」(←そーだ、そーだ…)…そう言って航空券を見つめる地場衛に、元基は、「お前は…どうすんだよ?」(←おおっ! いい質問だ…)。「オレは……」。
★ ★ ★ ★ ★ ★
★ その頃、どこだか知りませんけど、例のネフライトの妖魔が暴れて、人々を襲っております…。
★
ちなみにこの場所は、オープニングの「撮影協力」によりますと、「パストラルかぞ」という所だそうです。ホームページの紹介文によると、「パストラルかぞ(加須市文化・学習センター)」は、1005席の大ホールと300席の小ホールをはじめ、展示、会議、研修、練習等が行える総合的な文化施設です。この施設が市民の芸術文化活動の拠点として、生涯学習活動における創造・発表の場としてご利用されるよう願っております。」とのコトです。同じ埼玉県民として、ワシからもぜひ、「ご利用されるよう願っております」。
★ そこへうさぎちゃんとまこちゃんが、「待てっ!」と駆けつけます。ここで、二人は、「ムーンプリズムパワ〜!」、「じゅぴたーぱわ〜!」、「めーいク・アっプ!」と変身します。
★
「愛と正義の、セーラー服美少女戦士、セーラームーン!」。
★
「いかずちと、ゆうきのせんし、せーらーじゅぴたーっ、もくせいにかわって」。
★ 「月にかわってぇ」、「おしおきよ(だ)っ!」。
★ ※ ちなみに、原作では、セーラームーンが『真のプリンセス』に覚醒して以降は、うさぎがセーラームーンに変身しても、額にはもうティアラは装着されず、セーラームーンの額には、プリンセスの印である三日月マークが付いた状態になります。
★ なので、このように、『真のプリンセス』に覚醒して以降も、以前と全く変わらずティアラを装着したセーラームーンに変身すると言うのは、実はアニメ版の設定から採用されてる事なんです。この違いは、原作が『真のプリンセス覚醒』と同時に前世の記憶が完全に甦るのに対して、アニメ版と実写版では前世の記憶が甦らないからです。だから、セーラームーンとプリンセスが同一人物化しないため、原作のような『三日月マークのセーラームーン』にはならないんです。
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★ 空港にて…。
★ 地場衛:「オレは…」。元基:「オレは?…『オレ和菓子食いたい?』」。「オレは……」。「…『オレわんこそば?』」。「オレは…」(←ここで地場衛は、前回の「プリンセス」の泣き顔と笑顔を回想しつつ、そこに、先ほどのゾイサイトの言葉がかぶさります…「プリンセスとマスター、前世から結ばれている…」。)…「行く。…結局、これも何もかも、最初から決められていただけのコトなのか、見極めて、もう一度自分が誰なのか、探してみる…」。元基:「……『ムズカシすぎてよく分かんねぇ…』」。
★ これはちょっと抽象的すぎて分かりにくいセリフですけど、要するに「行く」と言うコトは、陽菜さんのお父さんとの約束通り「留学」すると言うコトですから、陽菜さんとの個人的問題はさて置き、家族としての『日下家との縁』は継続すると言うコトで、つまり『日下氏の後継者』と言う進路からは外れないと言うコトです。それを、わざわざこのように抽象的な言い回しで言ってるからには、もちろんそこには『裏の意味』が含まれてるからで、そもそも、その『日下家の後継者』と言う進路自体が、彼が孤児として日下家に引き取られ、育てられた以上、「最初から決められていただけのコト」な訳です。つまりそれは、ゾイサイトの言う「プリンセスとマスター、前世から結ばれている…」にしても、それと全く同じコトで、要するに地場衛は、今まで「何もかも」ただ運命に流されるまま、何一つ自分の意思で物事を決めて生きてはきてないんですな。つまり、その二つの意味において、「もう一度自分が誰なのか、探してみる」と言ってる訳ですな。
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★ こちらは「パストラルかぞ」…。
★ 妖魔と戦ってるセーラームーンとジュピター(←どうでもいいけど、ネフライトの妖魔…めちゃめちゃ弱いです。目下セーラー戦士中最弱のジュピターが、余裕で善戦しております)。
★ ジュピターが妖魔に体当たりして優勢になると、「うさぎ行けって! まだ間に合うっ!」。「……」(←しかし、顔をしかめて返事しようとはしません)。ジュピターは、更に妖魔の腹にパンチを食らわし(←効いてます)、「うさぎっ!」。
★ するとそこに、「セーラームーン!」と言うネフライトの声が…おおっ! 久々の現場復帰です!(←って勝手に復帰してるんだけど…)。「あっ」。「いやっ、プリンセスだったな…(←受け売り)。お前は私がこの手でっ!」。ネフライトとセーラームーンが一騎打ちになり、ネフライトの怒りのこぶしが、「フンッ!」とセーラームーンを捕らえて、首を締めにかかります。「あっ!……うっ、…うっ!…」。
★ 「うさぎっ!」…とその時、そう言えばジュピターがクラウンからずっと手に持ったままだったアルテミィ〜スの「プレゼント」が、急に光り出します(←しかし、そんな訳の分からんモン、邪魔くさいだけなのによく捨てずに持ったまま戦ってたね…。よい子のみんなも、モノは大切にしましょうねっ!)。その光を見て、思わず妖魔も後ずさりします。「?…これって…」(←もしや?! ジュピターが「戦士の力」に目覚めるのか?!)。
★ ジュピターは、アルテミィ〜スの言葉⇒(「ボクからキミたちにプレゼントを届けるつもりだ。使ってくれ」。)を思い出し、「そうか…!」と、いきなり使いこなしてビームを放ちます(←おおっ、目覚めるのか?! どうなんだ?!)。
★ で、それが見事ネフライトに命中し、「うわっ!」…ネフライトが腕を押さえながら床に倒れます…「ウッ…」(←ナンとネフライトは、新兵器の最初の犠牲者になるという栄誉に浴しております…ちょうど『マーズの覚醒エピソード』に当たって黒コゲにされたコトと言い、つくづく巡り合わせも悪い男です…ジェダイトくんと違って、普段から地道な努力を怠ってるからこうなるのです)。
★ 「うさぎっ、今だ、早くっ!」。「…行かないっ、私…プリンセスだし…!」。「うさぎ…」。「……」。
★ この、「私…プリンセスだし」と言うのは、もちろん本心なんかではなく、単にジュピターを納得させるための方便ですね…。本心は、地場衛と陽菜さんの邪魔はもうしたくなくて、自分を含めて、もう誰も傷つけたくはないからです(↓)
★ 「…(心の声→)バカだな…ちょっとでも期待するなんて…。また、自分のコトばっかりで、陽菜さんが辛い思いするの、忘れてた…」。
★ それにうさぎちゃんは、前回(←前回と言っても、劇中においてはつい昨日の話ですが)、クンツァイトに斬られた『タキシード地場衛』から、きっぱりとフラレちゃってるんですからね(↓)
★ 「オレは…、お前の気持ちに、応えることはできないっ」(←この時、ジュピターは凍っていた…)。
★ で、この二つの出来事を、ジュピターは知らない訳です。うさぎちゃんにとっては、覚えてもいない『前世の禁じられた恋』なんかより、こっちの『現世の恋の現実』の方がはるかに重い訳です。でも、それをどうやってジュピターに説明できると言うのでしょうか? うさぎちゃん個人の心の中も、もうAct.24の「科学館」の時とは全く状況が違う訳です。それなのにまこちゃんは、ナニも知らないから、うさぎちゃんの地場衛への気持ちが、あの時のままなのだと思ってるんですね。ナニげにこんなところにも、同じ事を繰り返してしまうがために『成長の遅いまこちゃん』の姿が、垣間見られる訳なんですな…(←でも、そんなまこちゃんが魅力的な訳なんですけどね)。
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★ 地場衛:「じゃあな…」。元基:「元気でナ…」。地場衛:「あ、…うさぎに…『陽菜とはもう別れたよ〜ん♪って…』」。元基:「…え?…う、うさぎちゃん?!…『って、それサイテーじゃね?』」。地場衛:「……あ、…いや、…いい…『だよな…』」。
★ しかし冗談抜きに、地場衛はここで、元基にナンて伝言を頼むつもりだったんでしょうか? 仮にそれがどんな内容であれ、単に『よろしく伝えておいてくれ』みたいな軽いモノであれ、実質的に陽菜さんを裏切る形で傷つけ、挙句の果てに向こうに別れ話をさせておきながら、その舌の根も乾かぬうちに「うさぎに…」はちょっとナンですよね? まあ、それに気付いたからこそ、彼も言うのを思いとどまったんでしょうけど…。で、それについては、誰もが思うように、今や陽菜さんという「恋の障害」が取り除かれ、晴れて自由の身となったのだから、Act.25で言いかけた「オレも…」の続きを、ここで告白しちゃったって、別にかまわない訳です。もちろん、地場衛もそんな気持ちがあったからこそ、ここで思わず「うさぎに…」と言いかけたのですが、彼はまたしても、結局その先の言葉を飲み込んでしまいましたね。
★ なぜでしょう? 彼は、一昨日の「科学館」で、セーラームーンに自分の正体がバレた時、一瞬「オレも…」と告白しかけて思いとどまった訳ですが、その時点では、その時の自分の気持ちは、あくまでも『現世の地場衛』のものだとしか考えてなかった訳です。ところが、昨日の『プリンセス覚醒』に伴って、状況がガラッと変わってしまった訳です。彼は、「あれが、オレの捜し求めていた幻の銀水晶とプリンセス…。しかも、…あのうさぎが…」と言う事実を知ってしまったがために、それによって、一昨日「オレも…」と言いかけてやめた「あのうさぎ」への気持ちが、果たして『現世の地場衛』の感情なのか、それとも『前世のエンディミオン』の感情にすぎないのか、分からなくなってしまったんですな。
★ 実は、この区別をハッキリつけるコトこそが、地場衛にとっての大問題な訳です。なぜなら、彼は今まで、日下家の跡継ぎとして、「最初から決められていただけの」人生を生きて来て、その結果、『ホントに大切だと思ってる陽菜さん』を裏切る形で傷つけ、失ってしまったばかりなんですよ? それなのに、ここでまた、「あのうさぎ」までもが、単に「前世から結ばれている」だけの関係なら、結局、自分はまた運命に流されるだけの人生を生き、陽菜さんに対してしてしまったコトを、また「あのうさぎ」に対しても繰り返すだけなのでは?と言う疑念が沸いてきてしまったんです。だから彼は、『自分のうさぎへの気持ち』が、あくまでも『現世の地場衛』のモノだと確信できるまでは、「オレも…」の続きは告白できないと思ったんですな。「もう一度自分が誰なのか、探してみる」…この言葉の中には、『もう一度自分のうさぎへの気持ちを、見極めたい』という意味も含まれてるんです。さっき、元基に向かって『日下家の後継者問題』(←「結局、これも何もかも、最初から決められていただけのコト」)について話していながら、同時に心の中では『ゾイサイトの言葉』(←「プリンセスとマスター、前世から結ばれている…」)を回想していたのは、つまりそういうコトなんです。つまりこれが、今まで「何もかも」運命に翻弄されるだけだった地場衛にとっての、『自分探し』の本当の意味です。
★ あと、ついでに、「ナンで留学先がロンドンなのか?」って言うと、きっと、先ほども書きましたが、セーラー服の母国がイギリスだからでしょうなぁ…。…地場く〜んっ! 達者で暮らせよぉ〜っ!
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★ ネフライトは、「ん゛ん〜〜ハッ!」と『ネフライト・ビーム』を放ちますが、セーラームーンはそれを「はっ!」とあっさりよけます。
★ 「キサマを倒し、私の力をベリル様に…!」。
★ ジュピターは妖魔にケリを食らわすと、ジャンプ&空中回転で、セーラームーンの横に並び立ちます。「まこちゃんっ、一緒にやるよっ!」。「…『うんっ!』」。
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「ムーントワイラ〜ト…」。「じゅぴたーーーさんだーぼるとっ!」(←おおっ! ナニげに新技じゃないかっ! これはもしや、「戦士の力」に目覚めたのか?!)。「フラッシュ!」。二人は、同時攻撃で取り敢えず妖魔の方だけをあっさり片付けてしまいます(←アレ?! こりゃあまりにも地味すぎるって言うか、普通すぎるな…)。
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するとネフライトは、「!…うぬ〜っ!」…おおっ! ナンとっ! ネフライトがマントばさぁっ!と空間移動で消えて行ったぞっ!(←ってキミ、いつの間にソレできるようになったの?! もしやこれって、ダーキュリーからもらったマントの『愛のパワー』か?!)。
★ 「…………」。
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★ ちょうどその頃、地場衛の乗った飛行機が、空港の滑走路を走り出しました…。
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★ 「……『これでいいんだ…』」(←みたいな…)。「…うさぎ…」。セーラームーンは、ジュピターに微笑みかけ、「……うふ、帰ろっか?」。そう言うと、セーラームーンはさっさと歩き出してしまいます。「…………『で、結局あたしってば、今回も「戦士の力」には目覚めてないわけ?』」。「…………『そうなんじゃん?』」(←かたやセーラームーンの方は、『覚醒パワー』を使うまでもなし…ネフライトぉ〜っ! アンタめちゃめちゃ弱すぎるぞ〜っ!)。
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★ そして、地場衛の乗った飛行機が、空港の滑走路を離陸して行きます…。
★ 地場衛が窓の外を眺めております…(←彼の隣の席は、陽菜さんが座るはずだった席が、空席になっております)…「…………」。
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★ うさぎちゃんは、あのあとまこちゃんと別れたのか、一人で川沿いの道を、「セラビー」を口ずさみながら、とぼとぼと歩いております…。遠くには、空港の滑走路から飛び立つ飛行機が見えます…。
★ 「♪あつい気持ちはセーラービ、わーたしがわーたーしーでいーるかぎり…♪」。
★ 「♪セーラービ、あーなたをあーいーしーつづーけーたい…♪」。
★ 「♪目―のーまーえーにーあーる、こーのーしゅーんーかーんーが、いーきーるーばーしょー、か、け、ぬ、け、て♪」。
★ うさぎちゃんがここで「セラビー」を歌ったのは、言うまでもなく、この歌の歌詞を使って、今の彼女の気持ちを代弁させてるからなんですな。
1. ちなみにこの『C'est la vie』というフランス語は、『それが人生、人生なんてそんなもの』などと訳されるように、たいていの場合、物事がうまくいかない時(←うまくいってる時でも使うそうですが)に自分を慰める、つまり『運命を悟る』ようなニュアンスで使う言葉なんですね。「セラビー」は曲調が明るいため、あたかも人生をそのまま肯定して謳歌するような雰囲気の歌に聞こえてしまいますが、もちろんそういう単純な歌詞ではない訳です。
2. で、うさぎちゃんは、結局空港へ見送りには行きませんでしたから、当然、地場衛と陽菜さんがそこで破局を迎えたコトを知りません。知ってしまったら、せっかく気持ちを抑えて頑張ったコトが全て無になってしまいますからね。おそらく元基だって、今後もずっと、そんな親友のプライベートな話などは、うさぎちゃん達には決してしないはずです(←元基は、聞かれない限り、地場衛にカノジョがいるコトすら話さないような男だった訳ですからね)。
3. うさぎちゃんは、地場衛から「オレは…、お前の気持ちに、応えることはできないっ」ってフラレちゃって、そして、その彼はもう、カノジョと一緒に日本から旅立ってしまって、だから、結局はそういう運命だったのかもしれないけど、だけど、やっぱり「あなたを愛し続けたい」って思ってるんですな。
4. そしてもう一つの歌詞、「目の前にあるこの瞬間が生きる場所」…これはつまり、実写版においては紛れもなく『現世』のコトを意味してる訳です。うさぎちゃんには、地場衛のような、かすかな前世の記憶すらありませんから、地場衛がロンドンへ探しに行ったもの、つまり、『オレのうさぎへの気持ちは、あくまでも「現世の地場衛」のものなのか?』と言う問いに対して、うさぎちゃんの方では、「目の前にあるこの瞬間が生きる場所」(『現世』)で「あなたを愛し続けたい」と言う答えが、初めから確固としてある訳です。つまり、地場衛の方は、『うさぎ、待っててくれ…』であり、それに対してうさぎちゃんは、『衛、待ってるわ…』と、それぞれの未来を予感させる気持ちを、ここでこの歌に代弁させてるんですね。この二人のシーンが語ってるのは、つまりそう言う事なんです。
5. 思えばこの歌は、Act.4でセーラームーンがタキシード仮面と空中遊泳して、初めて両者が心を通わせた瞬間にも、歌われてましたね。あの時は、2番のサビの歌詞が歌われてました。今にして思えば、あのシーンでわざわざ2番の歌詞を歌ったのも、目の前にタキシード仮面がいたからであり、その意味で非常に示唆的だった訳です(↓)
★ 「♪セーラービ、わーたしがわーたーしーであーる理由…♪」。
★ 「♪セーラービ、あーなたがあーなーたーであーる理由…♪」。
★ 「♪目―のーまーえーにーあーる、こーのーしゅーんーかーんーが、いーきーるーばーしょー、か、け、ぬ、け、て♪」。
6. この曲が、「キラリ☆セーラードリーム!」のカップリングとして、実写版におけるもっとも重要な劇中挿入歌として使われてるコトの意味が、正にそこにあるんですね。
7. ※ したがって、劇中において、この曲をカラオケその他で歌ったのが誰だったかを思い出してみてください。うさぎちゃんの他には、なるちゃん、クラスメイトAB、そして亜美ちゃん、つまりみんな、現世だけを見て生きてる人たちばかりで、そういう人が、この歌を好んで歌ってるんです。レイちゃんは、Act.4で一度だけ、サボテン妖魔を倒す作戦上仕方なく歌わされましたが、まこちゃんは、愛野美奈子の隠れファンでありながら、「セラビー」は一度も歌ってないんです(←※訂正とお詫び:これは前半戦においては事実ですが、実は、後半戦においては、Act.29でまこちゃんも一度だけ歌ってました。歌ってたうちに入るかどうかは微妙ですが、うさぎちゃんと亜美ちゃんがカラオケで歌ってるのに合わせて、口だけ動かしてました…)。そして、この歌の本家本元である美奈子自身が、この歌の本当の意味に気付かされるのは、まだまだ先の物語な訳です。ワシは以前、「戦士の力」に目覚める順番は『友達意識』の強い順だという仮説を紹介しましたが、このように、「セラビー」との相関関係(←つまり、「現世意識」の強い順)も、その順番とぴったり一致してますね。
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★ こちらはダーキュリー…。
★ ダーキュリーが、いきなり振り向いて剣を向け、「誰?!」と言います…。
★ で…、ナンか…妙なのが出てまいりました…。ナニげに「ちびムーン」を思わせる小学生のセーラー戦士みたいです。でもこのネコ耳といい、しっぽといい、コレを見る限り、「もしや…」という想像は容易につきますが…。おや? しかも手に構えてるのは、コレ、セーラームーンが持ってるのと同じムーンライト・スティックじゃないですか?…(←ナニげにワシも、コレ、欲しいなぁ…)。
★ ところでダーキュリーは、序盤でもここに立ってましたが、アレから少なくとも1日以上は経過しておりますが…。ずっと立ちっぱなしだったのか、それとも毎日ココに通ってるのか、その動向も気になるトコロです…で、一体ここでナニしてんでしょうか?(←謎です…)。
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次回は、この謎のセーラー戦士の正体がっ!(←って謎なのか?!)。
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★ セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】
★ マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】
★ マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】
★ ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】
★ ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】
★ ぬいぐるみルナ(声・潘
恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】
★ アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。
★ その他:「」。『』。
[2009年4月3日(金)初稿 トモロー]
【Act.26:衛のロンドン留学編▲】 【トップページ▲】 【筆者紹介へ▼】
★ 今回レビューしたAct.26は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第7巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)
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