―実写版セーラームーンを検証する―


Act.24:タキシード仮面の正体編――

 

       本稿は、2004年3月20日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第24話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       セーラー解説は無しで、前回の続きから…。

       マーズに丸コゲにされたネフライトが、ダーキュリーから「フッ、…ミジメね」と蔑まれ、プライドを傷つけられて逆上したのか、いきなり回転ノコギリを持ち出して来て、「う゛わ゛ぁ〜っ!!」とダーキュリーの背後から襲い掛かります。しかしダーキュリーは、振り向きざまにネフライトの動きを見切りってこれをかわし、余裕の笑みを浮かべて、「そんな状態で私に触れられると思う?」(←おおっ! 「触れ」るとか言っちゃってますよ?!)

       ネフライトは、再度、「う゛お゛ぁっ!『さわらせろ〜っ!』と襲い掛かりますが、これもしゃがんであっさり避けられ、ばきんっ!と洞窟の壁を叩きます。ダーキュリーは笑みを湛えたままです。

       それでも尚、ネフライトが執拗に回転ノコを振りかざすと、今度は、いきなり横から、ダーキュリーのピンチには必ず現れるクンツァイトが出て来て、それを掴んで制止します(←って、アンタはタキシード仮面かっ! 今度からキミのコトをタキシード・クンツァイトと呼ぼう)。タキシード・クンツァイト:「血迷ったか…」「!…『なぜセーラー戦士など助けようとするのだ?!』(←みたいな…)「バカがっ!」「…『バカってナニよっ!』「…『フッ、…バカはバカよ…』

       ここで、背景のBGMに、現在ゾイサイトが弾いてる「月光の曲」が被さります…

       …ちなみに、ゾイサイトはここで、前回とは違って、本来弱く弾くべきこの曲の左手の低音パートを、わざと強く弾いてます…ナニげにそれが、あたかも『過去と現在が交錯する』かのような、劇的な雰囲気を盛り上げております…。

       ちなみにクンツァイトは、自分が何の目的でセーラー戦士を仲間に引き入れたのかを、ネフライトが全く理解していない事に対して「バカがっ!」と言ったのであって、別にダーキュリーが可愛くて言った訳じゃありません。

       「クンツァイトォ〜!!」。ネフライトは、今度はクンツァイトに向かって回転ノコを振りかざしますが、ことごとく避けられ、クンツァイトは、ついに剣を抜きます。かしゃんっ!…ダーキュリーは、薄ら笑いを浮かべながら、その様子を見ております…まるで、自分をめぐって二人の男が争ってるのを、楽しんでいるかのようです…(←ちょっと意味は違いますけど…)。

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       場面は変わって、ゾイサイトの音楽室…。

       ゾイサイトは、そんな一悶着など何処吹く風で、「月光の曲」を弾いております。で、ここで回想シーンが流れるのですが、これは前回の冒頭のシーンと同じです(←地場衛の着てる服も一緒です)。しかし、同じ映像素材を使いながら、その回想シーンが、『現在のゾイサイト目線と地場衛目線が交錯する』かのような工夫が凝らされております(↓)

―シチュエーション―

―前回―

―今回―

セリフの順番が入れ替わってる

ゾイサイト:思い出して欲しい。かつてエンディミオンと呼ばれていた頃を…」

地場衛:「お前は誰なんだ? オレのことを知ってるのか?!」

地場衛:「お前は誰なんだ? オレのことを知ってるのか?!」

ゾイサイト:思い出して欲しい。かつてエンディミオンと呼ばれていた頃を…」

流れてる曲が違う

「革命のエチュード」

現在弾いてる「月光の曲」

      映像の手の動きは「革命のエチュード」のままです。

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       そして、BGMはそのままで、今度は、地場衛の回想シーンに切り替わります…。

     「…エンディミオンが…オレのかつての名前…」(←前回、地場衛が一人で帰宅した時のシーンです)。

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       で、再びダーク・キングダム…。

       突然ゾイサイトが、今度は「革命のエチュード」を弾き始めました…

       …その曲をBGMに、洞窟の通路では、依然としてネフライトとクンツァイトが戦っております…。かきーんっ!クンツァイトは、ネフライトの回転ノコを剣でかわし、その直後、たった一振りで、ネフライトのマントをしゅぱっ!と切り裂いてしまいます。「!…」(←ネフライトはそれを見て呆然…)

       ダーキュリーはそれを見ると、「…『フッ、…勝負あったようね…』みたいな感じで、ニヤリと笑って背を向け、その場から立ち去って行きました。

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       一方ゾイサイトは、「革命のエチュード」を弾きながら、「…マスターに目覚めてもらわなくては……。この星に…再び悲劇が訪れないように…」…で、彼がそう言ったあとに映されたゾイサイトの回想シーンなのですが…(↓)

       コレはナンでしょうか?! タキシード姿の地場衛(←マスクは着けてません)が、炎と溶岩に飲み込まれて、頭を抱えながら倒れる映像が映し出されましたが???…ナンか、前世で天変地異でも起きたんでしょうか?】。…そう言えばこの地場衛の姿は、Act.11の「星のまつり」会場で、タキシード仮面とゾイサイトがバロムクロスした時の映像の中に登場した、「記憶」の中の地場衛』と同じですな…つまり『マスクとハットなしのタキシード姿』で、すなわちコレが、前世の「エンディミオン」と言うコトなんですな…。

       …そうなのだ…ワシはここで一つ気付いたコトがある…。それは、なぜゾイサイトが、そのAct.11の時に、タキシード仮面と「エンディミオン」が同一人物だとすぐに分かったのか?と言う疑問についてだ…。そしてそれは、同時に、Act.14の『クンクン・キングダム』で、クンツァイトが、なぜタキシード仮面を見てそれが地場衛(=「エンディミオン」)だとすぐ分かったのか?を説明するものでもある。要するに、地場衛が着てるこの「タキシード」と言うのが、実は、この世に一着しかない『超特別仕様』のモノで、つまりソレを見ただけで、マスクをしてようがしていまいが、ハッキリとその人物を特定できるくらいの『超レアモノ』だったからなのだっ!(←そうだっ! きっとそうに違いないっ!)。ナンたって、うさぎちゃんでさえ、Act.7で、元基がその「タキシード」を持ってるところを見ただけで、彼をタキシード仮面だと決め付けてしまったくらいなのだからっ!(←まあ、もっともあの時は、『肩の破れ』が決め手となってた訳ですが…)。

       つまり地場衛は、例の『過去の記憶』を頼りに、この『超特別仕様』「タキシード」をオーダーメイドしてたんですな…『アレを着てみれば、感覚に訴えて、何か思い出すかもしれない』と考えて…。で、いざそれを着てみたら、ナンと! すんばらしくパワーが倍増されるパワースーツだったので、『これはっ!』てな訳で、タキシード仮面になってドロボーをやるコトを思い付いちゃったんでしょうな…(←おおっ! 我ながら、めちゃめちゃ妄想の筋が通ってるじゃないかっ!)

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       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

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       オープニング開けは、ダーク・キングダムの御前会議です…。

       …ん?…ちょっと待てよ?…その前に、唐突では御座いますが、ワシはナンだか…、いきなり一つ気になっちゃったコトがあるんですが…。と言うのは、ナニげにこの『ダーク・キングダムの城の外観』が映し出される時、カラスが飛んでる時と飛んでない時があるんですよね?(←ちなみに今日は飛んでました…)。これって、ナニか意味があるんでしょうか??……と思って、ここでちょっと、今までの『ダーク・キングダムの城の外観』が映し出されるシーンを全部調べてみましたところ、ナンとそこに、ある一つの法則が存在するコトを発見いたしました…。それは、『ダーク・キングダムの城にカラスが飛ぶ時、ナニげにベリル様がご機嫌斜めだっ!』の法則です…(↓)

Act.1:

飛んでる

「誰だっ!? 我が行く手を邪魔だてする者は!……許さぬっ!」

Act.2:

飛んでない

「ジェダイト…、セーラー戦士の一人が目覚めたというのはまことか?」

Act.4:

飛んでる

ジェダイトくん:「クイン・ベリル様、オレが幻の銀水晶を!」「黙れっ! エナジーも集められずに大きな口を叩くなっ!!」

Act.9:

飛んでない

「ジェダイト…愚かな失敗ばかり……だがここまでわらわに尽くそうとする、お前の心は買おう…。しばらく力を蓄えよ、わらわのために…」

Act.10:

飛んでる

ネフライト:「クイン・ベリル様、申し訳ありませんっ…」。ベリル様:「…」「いまだ幻の銀水晶が見つからず…」「言ったであろう? ネフライト…。…わらわのために動いているならば、それだけで愛おしいと…」「!……ベリル様っ、…必ず、必ず幻の銀水晶を見つけてご覧に入れます!」

Act.12:

飛んでる

「ゾイサイトの様子はまだ変わらぬか?!」。ネフライト:「はい。……何か思い出そうとしているような…」「思い出す?…何をだ?」「…わかりません…」「ネフライト…、オマエはゾイサイトには近寄るな。たわ言を聞いてはならんっ!」「は?」「よいから行けっ!」

Act.15:

飛んでない

「クンツァイト、セーラー戦士のエナジーを集めるのではなかったのかぁ…?」。クンツァイト:「…そう…、なかなか元気のある小娘たちでした。いずれまた狙ってみましょう」

Act.16:

飛んでる

「クンツァイト。オマエの作戦は買おう。だがネフライトはオマエの部下ではない。わらわにかしずく者だ。それはオマエも同じ。身の程をわきまえよっ!」

Act.16:

飛んでない

稲妻が、基地のお城に直撃してます。で、御前会議中のベリル様が、ナニげにうろたえております…「これは…!」。クンツァイト:「お分かりにならないか?…復活の兆しですよ。…大いなる悪…クイン・メタリアの!」。すると、突然大地震のように基地が揺れ始めます。ベリル様がヨロめいております…「はっ…は…!」(←なんか普通のか弱い女性みたい…)。

Act.17:

飛んでない

「…クイン…メタリア……。クンツァイト。さらにエナジーを集めよ。クイン・メタリアを完全に目覚めさせるのだ!」クンツァイト:「ご命令いただかなくとも、私はクイン・メタリアのためだけに、動いておりますれば…」「!…」。ネフライト:「キサマ! ベリル様のためではないと言うのか!」「ベリル様にはオマエがいるだろう?…少しは役に立って差し上げたらどうだ?」。ベリル様は、そんな二人のやり取りを、何か様子を窺うように黙って見てます…。

Act.18:

飛んでない

クンツァイト:「ジェダイト、エナジーを集めるはずが、何もしないうちにセーラー戦士どもに追い払われたらしいなぁ…」。ジェダイトくん:「まだ終わったわけではない。これからゆっくりとエナジーを頂くつもりだ」。ネフライト:「それにプリンセスも見つかった。幻の銀水晶も合わせて、ベリル様に…」。ベリル様:「期待しておるぞぉ。二人が力を合わせれば、叶うはず…」。クンツァイト:「弱い者ほど、節操なく群れる…」。ベリル様:「クンツァイト! 少しは口を閉じておれっ!」

Act.18:

飛んでる

いつになく、ナニやらただならぬ雰囲気ですが…。ベリル様:「……」。ジェダイト:「……」。ネフライト:「……」。クンツァイト:「……」。ベリル様:「…感じる…クイン・メタリアの力を…」。すると、ベリル様の背後で何か凄い音がし、ベリル様が振り向くと、どこからともなくドス黒い風が吹き込んできます。クンツァイト:「…闇の扉…!」。ベリル様:「…これこそ、クイン・メタリアのもとへ続く扉!…」

Act.21:

飛んでない

「クンツァイト、お前の言っていた面白いコトというのは、進んでおるのか?」「間もなくお披露目できるかと…。…しかしベリル様にご心配頂いていたとは、ありがたき幸せ…」「フン、心にもないコトを…。クンツァイト、お前はいったい何を考えておる。わらわではなく、何を見ておるのだ!」「ベリル様と同じく…クイン・メタリアの復活を…」「その後は…?」「…お望みのままに…」。クンツァイトは一礼しながらそう言うと、その場を去って行きました。ネフライト:「信用できるか! ベリル様に取って代わろうという魂胆に違いありません!」「そのような単純な男ならよいがな…」

Act.23:

飛んでない

ついにゾイサイトがダーク・キングダムに復帰です…。ネフライト:「あのピアノは!」。ベリル様:「ゾイサイトが復活したか!…」。クンツァイト:「ゾイサイトが?!…」。ネフライト:「…」。ジェダイトくん:「…」。ベリル様:「クイン・メタリアの力が大きくなったせいであろう。また一歩復活が近付いたのだ…」ベリル様は、そのジェダイトくんを見て、「…ジェダイト…よくエナジーを集めたな」

       微妙に解釈の分かれる回もないコトもないですが、おおむね、カラスが飛んでる時は、ベリル様は心中穏やかでないご様子ですなぁ…(←要するにこのカラスは、地震を予知するナマズみたいなモンですかな…)。で、ここしばらくは、ずっとエナジー集めが好調だったお陰で、「メタリア」出現の際にカラスが反応した以外は、ほとんどカラスも飛んでおりませんでした。…以上、ワシ著:女王様列伝『クイン・ベリル その妖艶なる魔性の生涯〜すべてはわらわのものより(←ちなみに類似本ならたくさんあります⇒)【実写版セーラームーン・キャスト関連商品リスト・杉本彩さん編▼】(←よいこのみんなにはナイショだよっっ)。

       なのでっ! もちろん、久々にカラスが飛んじゃってる今回のベリル様は、それはそれは、たいそうご立腹で御座います…「ネフライト!」「!!」(←クンツァイトに切られたマントを手に持ってひざまずいてます)「愚か者がっ!」「申し訳ありません…。ベリル様! しかし私はっ!」「そのような見苦しい姿見たくもない! しばらくわらわの前に出るコトはならんっ! 下がれっ!」「ベリル様っ!」(←その横で、クンツァイトが白い目で見てます)「下がれと言っておるっ!」。ネフライト、がっくし…。ジェダイトくん:「ネフライト、…ベリル様のご命令だぞ…『良かったぁ…コイツと縁切っといて…』。ネフライト:「…『くそ〜っ! ナンで同じ「愚か」なのに、ジェダイトのは「愛おしい」で、私のは「見苦しい」のだ?! 納得いかんっ!』。ベリル様は、いかにも汚いモノを見るような目でネフライトを見たあと、背を向けてしまいました。

       結局、ネフライトだけが、単独では一つも「手柄」をあげてませんからねぇ…。クンツァイトとジェダイトくんはエナジーを集めましたし、ゾイサイトは『セーラーVがプリンセス』と言う重要機密を探り当て、Act.10では『クイン・ベリル降臨』を演出し、ベリル様からも「腕は立つ」と認められてましたからね。で、ネフライトはそのくせ口ばっかで、Act.5の時点ですでに、ベリル様からその辺のコトをたしなめられてましたからね⇒(「ベリル様。また幻の銀水晶らしきモノの情報が…」「ネフライト…、わらわの欲しいものはらしきモノではない。幻の銀水晶、それそのもの!!「わかっておりますっ、急ぎ確かめ、ホンモノであれば必ずお手元に!」…なんて具合に…。

       ところで、どうしてネフライトは石にならなかったんでしょうか? こんな生き恥さらすくらいなら、いっそ石になって、ジェダイトくんみたいに充電してまた復活して来れば、少しくらいは、前よりいいコトもありそうなモンなんですけどねぇ…。そう言えばネフライトは、Act.18の教会の体育館で、セーラー戦士の三人同時攻撃をまともに食らっても致命傷に至らなかったくらいですから、めちゃめちゃ体が頑丈に出来てるんでしょうな(←体格にも恵まれてますし、ひょっとすると、防御力だけは四天王一なのかもしれません)。要するに、逆にそれがアダとなって、なまじ下手に死に損なっちゃったんでしょうな…(←まあ、石になっちゃうと、寂しくなりますからねぇ…)。何はともあれ、これからも、キミの「存在価値」を期待しとるよ〜っ!

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       地場衛のマンションにて…。

       地場衛と陽菜さんが、お引越しの準備をしております…。陽菜さんは、鼻歌まじりに本を箱に詰めております…(←【松下萌子オフィシャルウェブサイト】のプロフィールによりますと、クセは「鼻歌」だそうです)。すると地場衛が、「ちょっと、元基んトコ行って来る」と声をかけます。「うん」「適当でいいぞ、まだ2週間あるんだし」「うん…」「おまえも、自分の荷物整理あるんじゃないのか?」「平気、いってらっしゃい♪」「うん」(←普通に笑顔ですな)。地場衛は出掛けて行きました。

       ほう…出発は「2週間」後ですか…。仮にそれを放送日に換算すると、『4月3日(土)のAct.26』と言うコトになりますな…。日本式にいけば、ちょうど入学式を目前に控えた最後の土曜という訳ですが、イギリスなど欧米では入学式は秋なので、あまり関係ありませんけどね…。

       ※ 実は、地場衛の出発は「3月30日(火)」なんですね。次回Act.25の「未使用シーン」(←DVD第7巻収録)に、地場衛の部屋の卓上カレンダーが映されるシーンがあって、そのカレンダーの「3月30日」のところに「出発」と印が書き込んであるんです。てコトは、「A型」の地場くんがキッパリ「2週間」と言ってるんですから、今日はそのちょうど「2週間」前にあたる訳ですから、すなわち今日は『3月16日(火)』と言うコトになる…訳ですかねぇ…(←なぜかイマイチ自信なし…実はコレ、次回詳しく説明いたしますが、違うんですよねぇ…)

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       ダーク・キングダムにて…。

       ベリル様は、一人でクイン・メタリアの塔を眺めながら、「エンディミオン…近いうちに必ず会える…」…どうやらベリル様は、やはりエンディミオンに対して、『ただならぬ感情』をお持ちのようですな…。

       ※ ところで、これは後々分かっていくコトなのですが、この『クイン・ベリルのエンディミオンへの感情』というのは、原作・アニメではそれほど掘り下げて描かれてはいないんですよね。どちらも、ほとんどクライマックスに差し掛かる頃にそれが明らかにされ、あくまでも権力欲と愛欲が混同されたような描かれ方しかしてませんでした。実写版も、意味合いとしては基本的にそれと似たようなモノなのですが、ただし、実写版のベリル様は、Act.11でゾイサイトとタキシード仮面が関わりだしたあたりから、早くもその『感情』がほのめかされております…(↓)

―Act.12の再現VTR―

       ベリル様:「ゾイサイトの様子はまだ変わらぬか?!」。ネフライト:「はい。……何か思い出そうとしているような…」「思い出す?…何をだ?」「…わかりません…」「ネフライト…、オマエはゾイサイトには近寄るな。たわ言を聞いてはならんっ!」「は?」「よいから行けっ!」「はっ!」「…ゾイサイトが…!?」

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       ゾイサイト:「…そうだ…。…遠い昔…、あれは…」。するとその時、ベリル様の声がゾイサイトの脳裏に響き渡ります…「ゾイサイト!…過去を見るな!…わらわを見よ!…わらわへの愛と忠誠だけを示せ!」。ゾイサイトは両手で頭を抱えながら苦しみ始め、ばたんと手を下ろしてしまいます。

       そしてAct.13で「エンディミオン」の名を聞いた瞬間から、ハッキリと動揺を見せ始めます…(↓)

―Act.13の再現VTR―

       ベリル様:「ゾイサイトが倒れるとは、さすがプリンセスと言うべきか…。ネフライト:「ベリル様、ゾイサイトが間際に、妙なコトを…」「妙なコト?」「はい、エンディミオンと…」「!!」(←ベリル様の顔色が豹変…)。「あのタキシード仮面とか名乗る男に何か…」「忘れよ! 二度とその名を口にしてはならんっ!!」。ベリル様はそう言うと、ネフライトにナニやら術をかけてしまいます…すると、ネフライトは、どうやらその記憶を消されてしまったようです…「はっ…」「ネフライト…、幻の銀水晶がプリンセスの許にあると分かったのだ。お前は今まで通り、銀水晶を追えっ!」「はい!」

       ベリル様:「エンディミオン…まさか…、…だとしても、全ては大いなる悪を目覚めさせてからのこと…。…四天王最後の一人…。気は進まぬが…使う他あるまい…」

       つまり、ベリル様はこの頃は、まだエンディミオンが現世に転生しているコトを知らなかったので、四天王を『恋愛洗脳』で操る上で、自分の『エンディミオンへの感情』を隠す必要があり、だから、ゾイサイトを『再洗脳』したりネフライトを『記憶操作』したりしたんですな。その後は、クンツァイトの功績によって「クイン・メタリア」が姿を現した事により、すっかりソッチにばかり気を取られてるかのようにも見えましたが、実は、内心ではずっと、今回のこのシーンのように、『メタリアの部屋』に入り浸っては、それを眺めながら「エンディミオン」のコトを想っていたんですな…(←こんな調子なので、余計に、『役立たずなネフライト』なんかどうでもよくなってるんでしょうなぁ…)。

       ※ つまり、この『クイン・ベリルのエンディミオンへの感情』というのは、実写版においては、ストーリーの根幹をなす『重要な要素の一つ』として取り上げられてるんですな。もちろん、それに関しては言うまでもなく、後半戦でじっくりと掘り下げられていく訳ですが…。

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       その「エンディミオン」こと地場衛は…。

       マンションの1階の出口の通路を歩いてる時、ふと、ピアノの音(←「木枯らしのエチュード」)が聴こえてきて、後ろを振り向いております…

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       …ゾイサイトが、そんな地場衛に語りかけるように、ピアノを弾き続けてます。するとそこへ、いきなりクンツァイトがズカズカと入って来て、掌で鍵盤をバ〜ンっ!とぶっ叩いてゾイサイトを制止し(←って、みんな必ず一度はコレやんな…)、そして言います…「…何をしている?」「…クンツァイト! お前も目覚めていたんだったな…」「マスター・エンディミオンまで、目覚めさせる必要はない…」「マスターのコト覚えててそう言っているのか!? かつて我らの主(あるじ)だったと言うのに…」「…そう……、かつてだ…」「……」「いいか…。余計なコトをするな!」「……」

       ※ そうなのだ…。今まで再三書いてきたように、ワシが原作を読んだのは実写版を見たあとなので、ワシは、『四天王は、実はエンディミオンの家来だったのだっ!』という原作の設定を全く知らなかったのだ…(←アニメ版では、その設定は一切取り上げられてませんでしたからね)。なのでワシは、最初にこれを見た時、かなり意外だったと共に、非常に新鮮な感じがしましたねぇ…。で、この事実が明るみになった今回あたりから、ワシの中で、実写版の「セーラームーン作品としての本筋」そのものが、完全にアニメ版のイメージから乖離していったように記憶しております。そして、今のこの二人のやり取りを見ると、どうやらこの二人は、おバカなジェダイト、ネフライトの『色ボケコンビ』とは違って、お互いがそう簡単にベリルに『完全洗脳』されるようなタマではないコトを知ってるみたいですな。だからクンツァイトは、前回ゾイサイトがダーク・キングダムに復帰した際、「ゾイサイトが?!…」と、訝しげな表情を浮かべ、一方のゾイサイトは、「クンツァイト! お前も目覚めていたんだったな…」と、すでにクンツァイトが前世の記憶を持ってる事に勘付いてた訳です。

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       で、こちらは、その「マスター・エンディミオン」こと地場衛…。

       歩道を歩いておりますが、さっき陽菜さんに言った「元基んトコ行って来る」と言うのは、まあ、おそらくクラウンのコトで、これは、そこへ向かってるところなんでしょうな…。

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       次に映し出されたのは、横断歩道の信号で、それが「赤」になっております…。

       そこへ、私服姿のうさぎちゃんがやって来ます。で、信号待ちしてる最中にふと横を見ると、若いカップルがケータイ見ながら頭を突き合わせてイチャついております…「…『いいなぁ…』(←みたいな?)。すると、そのカップルの向こうに、突然地場衛がやって来て止まります。

       うさぎちゃんは、カップルを見ていたがためにその地場衛が目に入ってしまい、「!…」…思わず顔を背けて気付かない振りをし、正面を向いてしまいます…。でも…、やっぱり気になっちゃって…、また横を向いて地場衛を見ます…。すると、地場衛がうさぎちゃんの視線に気付いて振り向きます。「!…」「!…」

       うさぎちゃんは、地場衛と目が合ってしまうと、いかにも他人行儀に、ボソッと「…どうも…」と言います。すると地場衛も「…ああ…」と返して、お互いによそよそしく顔をそむけてしまいます。「…『やべぇ…こんなトコあの凶暴女に見られたら、また殴られちまうじゃねーか…』

       うさぎちゃんは、「…(心の声→)ナンで?…せっかく忘れようとしてるのに…」などと考えてたら、あろう事か、まだ信号が変わってもいないのに、トボトボと歩き出してしまいました。

       それを見て地場衛は、一瞬「…?…」と思いますが、すぐに車が突っ込んで来たのに気付くと、「ハッ!」ききぃ〜っ!(←車が急ブレーキをかけた音)…とっさに駆け出して、うさぎちゃんを押し倒すようにして歩道に戻します。「バカっ! 赤だろうっ!」「…バカってナニよっ!」「!…」「!…」。…とっさの出来事に、お互い、忘れようとしてた感情が無意識のうちに表出してしまったのか、ハッとして我に返ります…。「……」

       ※ 実は、これはこのあとのシーンで分かるコトなのですが、この時この二人は、初めてAct.1で、タキシード仮面とセーラームーンとして、相手を助け、相手に助けられた瞬間の「デジャブ」(←そしてそれは、前世におけるデジャブでもある)を、無意識のうちに感じていたんですね。

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       クラウンの受付にて…。

       元基が、おしぼりでカメの甲羅を拭きながら、「カメキチぃ?…マリリンとのデート用にキレイにしてやるからな。オマエも床屋さん行くか?!ってどこ行くんだよ?」などと、一人漫才してるところへ、自動ドアがうぃ〜ん…と開いて、ご来客です…元基は振り返りながら、「はい、いらっしゃい」

       見ると、うさぎちゃんと地場衛が、二人で一緒に入って来ました。「あれ? 珍しい組み合わせ…」。地場衛:「外で一緒になっただけだっ」「ふ〜ん…あっ、でもちょうど良かった! 衛オマエの送別会さあ、うさぎちゃん達にも来てもらおうと思って…」「?!…送別会…?」「あ゛れ゛っ!? 言ってなかったっけ?! 衛イギリスの大学に留学するんだよ」「!…へえ〜、そうなんだ?」(←めっちゃ動揺を隠してます…)「スッゲェよなぁ〜」「……」

       すると、また自動ドアがうぃ〜ん…と開いて、「あっ! まこちゃんいらっしゃいっ♪」…元基は、ちょうどそこへやって来たまこちゃんの目の前をウロチョロしながら、自分の髪を指差して、「どう?! イメチェン! ねぇねぇねぇねぇ! 変わった?! どか〜〜んっ!」(←完全シカトの図…)。しかしまこちゃんは、そんなハエのような元基など全く眼中になく、いきなり地場衛に思いっきりガン飛ばしたまま、微動だにしません…「…『このヤロォ〜! 二度と近付くなって言ったのにっ!…もう一発ぶん殴ってやりたい! もう一発ぶん殴ってやりたい!…ハエ元基もろともぶん殴ってやりたいっ!…』「…『偶然会っちゃったんだからしゃーねーだろがっ! ここで殴れるモンなら殴ってみやがれっ!…』(←ガン飛ばし合っちゃってます)

       うさぎちゃんは、そんなまこちゃんにさえ目もくれず、黙ってルナカラの方へ歩き出します…それに気付いた元基が、「うさぎちゃん、送別会っ、送別会!…」と声をかけますが、聞いちゃいません…。

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       うさぎちゃんは、ルナカラに入ってソファに腰掛けると、ボソッとつぶやくように、「……留学、か…」「うさぎちゃん…」(←とほほバージョン)「……」

       そこへ、まこちゃんが、地場衛と元基をマットに沈め終わって、もとい、元基から『送別会ってナニ?』みたいに事情を聞いてたらしく、少し遅れて入って来ます…「うさぎ…!」

       すると、うさぎちゃんは、突然笑顔で立ち上がり、「聞いたっ?! スゴイよねえ留学なんてっ、世界が違う感じ!」。そんなうさぎちゃんに、まこちゃんは表情も変えず、「あのさぁ…」「?」「あたし前に、好きになったら諦めるな、って言ったけど…」「…」「でも…」「うふっ、大丈夫! 私、もう忘れるって、決めたんだ!」「…」「あはっ、本当だって! 今大切なのは、亜美ちゃん取り戻すコトなんだから!」「……」「でしょっ?」「……うん…」(←ムリしてるのが分かるんでしょうなぁ…)

       うさぎちゃんはそう言うと、カラオケのステージに駆け上がってマイクを取ります。まこちゃんは、Act.21でタキシード仮面をぶん殴った時のコト(←ばきっ! 「アンタ! 最低だよっ! 二度とあの子に近付くなっ!!」)を回想しながら、「…(心の声→)あんなヤツ…早くいなくなった方がいいんだ…!」と、心の中でつぶやきます。その視線の先では、うさぎちゃんが無邪気に、「あ、あ…」とマイク・チェックをしているのでした…。

       ところで、まこちゃんは、「でも…」のあと、うさぎちゃんにナンて言おうとしたんですかね? まこちゃんは、Act.21でタキシード仮面をぶん殴った時、「うさぎには黙っとくけど」って言ってましたから、うさぎちゃんには、『タキシード仮面の正体と、そして彼が月野うさぎを利用しようとしたコト』(←これはあくまでも『まこちゃん解釈』ではありますが、本人が否定しなかった以上『事実』ではある訳です)については「黙っとく」つもりだった訳です。しかしその結果、逆に「うさぎにナンて言ったらいいんだ…」と思い悩んでしまうコトとなり、だから今まで、その件については、うさぎちゃんにはずっと何も話せずに来た訳なんですね(←間髪入れずに『ダーキュリー事件』も起きてしまいましたし…)。ところが、「二度とあの子に近付くなっ!!」と釘を刺したにも関わらず、地場衛は、こうしてうさぎちゃんの前に現れた訳です。なので、おそらくまこちゃんは、地場衛があの時の『取引』「うさぎには黙っとくけど、二度とあの子に近付くなっ!!」を無視したコトに腹を立て、それならいっそのコト、『そっちがその気なら』と、『タキシード仮面の正体と、そして彼が月野うさぎを利用しようとしたコト』について、全部うさぎちゃんに洗いざらい話してしまって、ここで、うさぎちゃんにキッパリと諦めさせようとしたんでしょうな…。しかし、うさぎちゃんが自分から「忘れる」と言いだしたので、まこちゃんは話すのを思いとどまった訳です(←それに、思いがけず「留学」という形で『厄介払い』できるコトよって、『時間が解決してくれるかも…』と思ったのかもしれません…)。

       さて、まこちゃんは以前、地場衛の「婚約してるようなモン」という情報に関しては、Act.20の「川口市立グリーンセンター」で、「こんなんなら、あたしから教えてあげればよかった…」と後悔する羽目になった訳ですが(←大地くんのせいで…)、今回の『タキシード仮面の正体』については、ここで話すのを思いとどまったコトが、果たして『吉』と出るのでしょうか?(←まあ、もっとも…、もちろん番組的には、ここでまこちゃんに『タキシード仮面の正体』をバラされちゃっても困る訳なのですが…)。

       ※ ところで…、前回ワシは、『マーズれい子のミニ・ライブ』において、『まこちゃんの不在』にはちゃんとした『理由とその必然性』があると書きました。つまり、『たまたまいなかった』のではなく、『いなければ不自然な状況なのにいない』…だからそこには「裏の意味」があるはずだと…。それでは、今回の場合はどうでしょうか? 今回は逆に『レイちゃんが不在』で、最後の方でマーズがちょっと出てくるだけです。

     実は、今回は話は簡単で、うさぎちゃんとまこちゃんは、今日は単に、カラオケをしにクラウンに集まっただけだったんですな。なぜなら、二人はほぼ同じ時間に別々に受付に来てますから、明らかにここで待ち合わせをしてたコトが分かります。なのにレイちゃんだけ来なくて、うさぎちゃんは早速カラオケの準備を始めましたから、つまり、最初から目的はそれだった訳です。レイちゃんは前回のラストシーンで⇒(「カラオケは嫌い!」「え?! 歌ってたじゃん!」「あれは特別、二度とやらないわ!」)と言ってますから、カラオケが目的でクラウンに集まるのなら、レイちゃんは当然、最初からクラウンには来ない訳です。つまり、それが今回の『レイちゃんの不在』『理由』です。

     ※ 実は、今回Act.24の「未使用シーン」には、このあと、うさぎちゃんが歌ってる最中に、まこちゃんがレイちゃんに電話して、レイちゃんも呼ぼうとしてたらしいシーンがあったんですね。うさぎちゃんが一曲歌い終わって、「ルナカラ」のメニュー本を見ながら「え〜っと! 次はナニ歌おっかなぁ〜♪」と言ってテーブルにもたれかかった時、まこちゃんがケータイを手に、「レイ、今日は来れないって…。神社が忙しいみたい」「そっか…」って言ってるんです。その直後にまこちゃんは、うさぎちゃんがムリしてる風なのを察したのか、気分転換でもさせようと思ったらしく、「…うさぎっ、ケーキでも食べ行こうか?」と誘うんですね。要するに、やはり今日は、別にセーラー業務のために集合してたんじゃなかった訳です(←レイちゃんは、電話越しにうさぎちゃんのカラオケが聞こえてたはずですから、「神社が忙しい」ナンてのも、実際はホントかどうか怪しいモンです…)。

     では、わざわざそうまでしてレイちゃんを『不在にしなければならなかったコトの必然性』とは、一体ナンだったのでしょうか?…それはのちほど分かります。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらダーク・キングダム…。

       ダーキュリーが、コツ、コツ…と洞窟の通路を歩いております…その先には、片ヒザついてしゃがみ込み、じっとうつむいてる、落ちこぼれネフライトが…。で、ダーキュリーは、そのネフライトの前に回り込んで立ち止まります。「!」「……」「……フンッ…見物か…」「……」

       ダーキュリーは、手に持ってた真新しい赤マントを広げ、ネフライトの肩にバサッと無造作に投げて乗せます…「そんな風に一人でいられるの…、なんだか好きじゃないの…」「!…」「……」。ダーキュリーは、まるで怒ったような顔をしながらそう言うと、さっさとその場を立ち去って行きました…。

       しかし、これはどう言う意味でしょうか? 単なる同情でしょうか? それとも、このネフライトの姿が、『セーラー戦士になる前の、かつての孤独な自分』とだぶり、『亜美ちゃんの記憶』とシンクロしたのでしょうか? ナンたって当時の亜美ちゃんと言えば、道に落ちてるぬいぐるみ(←ルナ)を拾って、「持ち主とはぐれちゃったんですか?」と言って埃をはらってあげ、「…困りましたね…」と歩道橋の手すりの上にそっと置き、「はいっ、ここで待ってれば、きっとお迎えに来てくれると思いますよ…『ニコッ』なんてやっちゃうような人でしたからねぇ…。

       それはそうと、ナニげにワシがずっと不思議に思ってるのは、このマントです。どうもこのマントは、ネフライトにとって相当大事なモノのようなんですよね? 確かに、Act.20では、コレ一枚でマーズの「悪霊退散」を防御してたほどのシロモノですから、大そうなモノだというのは分かります。それにしても、コレを切り裂かれた瞬間の驚いた顔と、どうやらそれによって戦意喪失したらしいコト、その上、それでもずっとそれを手に持ったままじっと見つめて放そうとしない姿、などは、ナニか妙に気になりますな…(←まあ、もっとも、ダーキュリーもそう思ったからこそ、こんなコトしたんでしょうけど…)。ちなみにネフライトは、クンツァイトに切られた自分のマントをずっと手に持ってましたから、今ダーキュリーがネフライトに渡したマントは、それとは別の真新しいヤツってコトになります(←それがハッキリと分かるように、ダーキュリーは一度それを広げて見せてから、ネフライトに投げ渡した訳ですな)。でも、ダーキュリーは、コレ、一体どっから調達して来たんでしょうか?(←まさか手縫い?!)。ひょっとして、セーラーケータイで複製でもしたんでしょうか? それとも、クンツァイト・パパにおねだりでもしてあげたんでしょうか?

       ※ 実は、今回Act.24の「未使用シーン」には、コレに絡んだ「未使用シーン」があったんですね。その「未使用シーン」と言うのは、おそらく、オープニング開けの御前会議のシーンの直後で間違いないと思いますが、ネフライトが『あの御前会議』のあと、洞窟の通路を去って行くシーンがあったんです(↓)

1.         ネフライトは、クンツァイトに切られたマントを片手に持ち、足を引きずりながら、うつろな目をして通路を歩き去って行きます…

2.         そしてそれを、通路の途中に立ってたダーキュリーが、腕組みをしたまま、ただ黙って見送ってます…

3.         でもネフライトの方は、ベリル様に言われたコトがあまりにもショックだったようで、そこにダーキュリーがいるコトすら気付いてません…

4.         で、その時のダーキュリーは、もう、御前会議の前にネフライトに向かって、「フッ、…ミジメね」と蔑んだ時のような表情は、していないんです

5.         そしてダーキュリーは、ネフライトが去って行ったあと、正面を向いて、じっと何かを考えています

       つまり、ダーキュリーのネフライトに対する心境の変化と言うのは、実は、『あの御前会議』での連中のやり取りを、ダーキュリーが外で聞いていたコトによってもたらされたものだったコトになります。となると、そこでネフライトの身に起きたコトと言うのは、つまり、『仲間全員から総スカンを食らった』と言うコトですから、それはすなわち、亜美ちゃんがクンツァイトに連れ去られる前の、「みんながバラバラになってきて」『一人ぽつんと取り残されたようになってた自分の姿』と、おそらくこのネフライトが重なったんでしょうな。だから、「そんな風に一人でいられるの…、なんだか好きじゃないの…」なんでしょうな…。

       …てコトは、ネフライトが後生大事に持ってた『クンツァイトに切り裂かれたマント』は、もしかすると、ダーキュリーが、『自らの剣で切り裂いたピンクの手袋』を連想させるモノだったのかもしれませんな…。それが、あの時の、「セーラームーンが力を放った時、マーキュリーが元の姿に戻りかけた」コトと、ナニか関係があるのかもしれません。あの時ダーキュリーは、「マーキュリー! 来いっ!」とクンツァイトに連れ去られてしまい、その際、『自らの剣で切り裂いたピンクの手袋』が元に戻ってたコトは知らないはずです(←その間ダーキュリーは、ずっとセーラームーンの顔しか見てませんでしたから)。つまり、「元の姿に戻りかけた」ダーキュリーの心に、その時『自らの剣で切り裂いたピンクの手袋』が痛みとして残ってて、それがネフライトの『切り裂かれたマント』と重なり、そして、それを元に戻したいと言う感情に、無意識のうちにつながっていたのかもしれません(←ネフライトとクンツァイトの『仲間同士』が武器を持って戦うさまは、あたかもダーキュリーとヴィーナスの決闘を思わせますから、普段武器を持たないネフライトにわざわざ回転ノコを持たせた理由も、案外その辺にあるのかもしれません…)。

       まあ、分かりやすく言うなら、ここでのダーキュリーは、表向きは、『アナタを見てると、昔の自分を思い出してムシャクシャしてくるのよっ!』みたいな感じなんじゃないでしょうかね?

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは地場衛…。

       地場衛は、自宅のマンションの前まで来ると、ふと、ナニか思いついたように立ち止まり、入り口に入るのをやめ、建物の脇にそれます。向かった先は、このマンションのゴミ集積所です。そこで地場衛は、バッグの中から、ナンとっ! 『タキシード仮面グッズ一式』を取り出しました(←それって、いつもそうやって持ち歩いてたんだ?!)。

       クラウンでまこちゃんに睨まれて、肝を冷やしたせいでしょうか? 「…(心の声→)もう…これも必要ない…」(←って、ちょっとちょっと!…棄てんのは勝手だけど、それって、『怪盗タキシード仮面の七つ道具』として、思いっきり世間に知れ渡ってるシロモンなんじゃないのか?! そんなモノをそんなムキ出しのまま自宅マンションのゴミ集積所に置いてったら、警察に『捕まえに来てくれ』って言ってるようなモンだよ…)。

       ところでこの人、この『タキシード仮面グッズ』を棄てるコトを、たった今、この場で思いついたんですよね?…なぜなら(↓)

     最初から棄てるつもりで外に持ち出したのなら、それはゴミとして持ち出したのだから、何か袋かなんかに入れて、マンションを出たその時に、まず最初にゴミ集積所に棄てに行き、それからクラウンへ向かうはずだからである。

       てコトは、彼がたった今、この場でコレを棄てるコトを思いついたのだとなると、要するに彼は、いつなんどきコレが必要になってもいいように、常にこうやって持ち歩いてるコトになりますよね?…てコトは、彼は、Act.21でまこちゃんにぶん殴られて、「二度とあの子に近付くなっ!!」って言われたにも関わらず、もしも『セーラームーン探知機』が作動すれば、まだまだセーラームーンを助けに行くつもりだった…ってコトになりますよね?

     だって、ドロボーするために使うのであれば、それはあくまでも自分の都合だけで済みますが、『セーラームーン探知機』の作動に関しては、時と場所を選んではくれない訳ですから、そうすると、いつなんどき作動してもいいように、こうして肌身離さず持ち歩いてなきゃいけない訳ですからな。

     ※ それに、DVD第6巻収録の「未使用シーン」によると、地場衛が「元基んトコ行って来る」と言ってクラウンへ出掛けて行ったのは、元基に「バイク引き取ってもいいってヤツ」を探してもらう用件で行ってたんです。たったそれだけ言うために出掛けるのでさえ、こうして持ち歩いてる訳ですからね(←て言うか、その用件って、電話で済みそうな話にも思えないコトもないが…別にバイクを運んでた訳でもないし…。あれ?! そうなると、「元基んトコ行って来る」と言うのはやはり口実で、やっぱり『タキシード仮面グッズ』を棄てるのが目的だったのか? 荷物整理の最中に陽菜さんに見つかっちゃうとマズイ訳だしなぁ……。…まいっか…

       で、地場衛がそれを棄てようとした瞬間、どこからともなく「マスター!」と呼ぶゾイサイトの声が…「!」「こちらへ…こちらへ…こちらへ…(←エコー)

        ★  ★  ★  ★  

       地場衛が気付いて目を開けると、いつの間にかそこは、プラネタリウムの中でした…。

       「月光の曲」(←どうやら、この曲がエンディミオンのテーマとして定着したようですな…)が流れる中…

       「…なんで…こんなところに…?」…ふと見ると、そこには、ゾイサイトの姿が…「!」。ゾイサイトは、芝居がかった仕草で、ぱっ!と天井を指して見上げると(←いい味出してます…)「…これは遥か昔、…我々が見ていた…夜空…。そしてあなたが愛してやまなかった……月…」「……」。そう言われて地場衛が天井を見上げて月を見ます…。そのあと、例の、ゾイサイトが「悲劇」と呼んでいた『天変地異』の映像が映し出されます…そこでは、炎に包まれたタキシード姿の地場衛(=エンディミオン)が、おそらく、地場衛の夢の中に出て来るのと同じ女性(←一応謎の女性)の手を取って、逃げ惑い、地面に倒れ、身を挺して彼女をかばっています。

       「あなたはマスター・エンディミオン…。かつてこの星を守るために……戦った…」「……」…そう言われて地場衛が目を閉じると、なぜか彼の脳裏に、Act.1で初めてセーラームーンを助けた時のコトが回想されます…その映像は、先ほどゾイサイトが回想してた『天変地異』の中の二人が取っていた行動と、全く一緒です…。そしてそれは、ついさっき、地場衛がクラウンへ向かう途中で、突然横断歩道を飛び出した「月野うさぎ」に対して取った行動と、全く一緒な訳です…。どれも、同じように身を挺して彼女をかばい、助け、守っているのです…(←彼が身を伏せさせた直後に振り向く様子まで同じです)。この三つは、それぞれが、過去、現在、未来をつなぐ「デジャブ」として、地場衛の記憶の片隅でつながろうとしているんですね。

       「思い出せるはず……あなたは」「やめろっ!」(←いきなり立ち上がり)…「オレは!……オレは…地場衛だ。…もうそれ以外の過去は必要ない」「マスター!」「そんな名前で呼ぶなっ!!」←えっ?! 「マスター」って名前だったの?! じゃ、「エンディミオン」が名字?…てコトは、仮に「マスター・エンディミオン」が日本に帰化した場合、彼の日本名は、『円出意味恩 増太亜』か?)。

        ★  ★  ★  ★  

       地場衛は、プラネタリウムを飛び出して、建物の外に出てしまいます…。

       すると、彼のケータイのベルが鳴り、上着のポケットからそれを取り出して電話に出ます…「もしもし……ああ、陽菜か…」

     陽菜さん:「衛? どこにいるの?…………え?! 科学館? ナンでそんな所にいるの?」(←陽菜さんは地場衛の部屋です)

       「いやっ…ちょっとぉ…行きたい店があって…」←って、ちょっとキミキミ、言うにコト欠いて、『科学館の行きたい店』って、ナンじゃそりゃ?!)…「……ああ…もう帰る…うん…」←どうやら、それでもすんなり会話が成立してしまうカップルなのでした…)。すると、地場衛の背後に、ナンと、いつの間にかクンツァイトが立っておるではありませんか…。

       クンツァイトが地場衛に向かって行くと、その気配を感じた地場衛が振り返ります…「!」

     陽菜さん:「!」←電話の向こうから、ナニか物凄い音が…)。

        ★  ★  ★  ★  

       陽菜さんは、どうやら地場衛の身に何かあったと思ったらしく、急いでクラウンに駆け込みます…。

       「元基くんっ!…衛! 衛来てないっ!?」(←て言うか、ナンで「科学館」へ行かないんだ?!)。元基:「ん?」

      この時、ちょうどまこちゃんとうさぎちゃんがルナカラから出て来てます(←さっきの「未使用シーン」「ケーキでも食べ行こうか?」のあとでしょうね)。まこちゃんは、そんな陽菜さんなど無視してさっさとドアから出て行きますが、うさぎちゃんはドアの前で立ち止まります(←バッグから、ルナの上半身が出てます)

       元基:「だいぶ前に、帰ったけど…」陽菜さん:「そっか…」。元基:「どうかしたの?」

      この時、一旦出て行ったまこちゃんが、うさぎちゃんが来ないので戻って来て、一緒に陽菜さん達を見ます。

       陽菜さん:「さっきっ、科学館から電話はいってっ(←って、電話したの自分じゃん?)、途中で切れちゃったんだけどっ、そのあと、全然つながらないのっ!」。元基:「あ、地下にでもいるんじゃないの?…『あいつトイレ長いし…』「かもしれないけど…」「…『うんうん』「ナンか、ヘンな切れ方だったから…」「?」「…クンツァイトだとか…」

      「!」「!」。二人は思わず顔を見合わせます。

       陽菜さん:「…クンサイトだとか…、『クサイヒトだとか…、クボデライトだとか…』。元基:「ナニそれ?……もう少ししたら、またかけてみれば?」陽菜さん:「…そうだね…」

       ここでうさぎちゃんが、思わず陽菜さんに話しかけます…「あのぉ…」「あ、うさぎちゃん…」「科学館て…?」「プラネタ…リウムのある…」←って、場所知ってんじゃんっ!)「!…」。うさぎちゃんは、一瞬考えたあと、すぐにクラウンを飛び出します。「うさぎ!」。まこちゃんも慌てて追い駆けます←うさぎちゃんと陽菜さんは、かたやセーラー戦士で、かたや一般人ですから、もちろん仕方ないのですが、うさぎちゃんと陽菜さんの、この両者の危機管理能力の差が、お互いの明暗を分けるコトになるんでしょうかねぇ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       「待てって!……うさぎっ」。まこちゃんがうさぎちゃんを捕まえて止めます。しかしうさぎちゃんは、「早く行かなきゃ! 敵に襲われちゃったのかもっ!」「あたしが行くから、うさぎは行くな!」「どうして!?」「忘れるって決めたんだろ?!」「…でも!」「うさぎっ!」「……それとこれとは別だよっ!」。うさぎちゃんは、まこちゃんの手を振りほどいて駆け出します。「うさぎっ!『ああ〜また走んのかぁ…今日はなげぇぞ〜…』

       やはりまこちゃんは、できるコトなら、『タキシード仮面の正体』と、そして特に、『彼が月野うさぎを利用しようとしたコト』について、うさぎちゃんには話したくないんでしょうなぁ…←ヒドイ話ですからねぇ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       「キラリ☆セーラードリームマーチ」(←「美少女戦士セーラームーンオリジナルアルバムDJムーン(2) 収録)をBGMに、走るうさぎちゃん…。そして追い駆けるまこちゃん…。

 

        ★  ★  ★  ★  

       走るうさぎちゃん…。そして追い駆けるまこちゃん…「……『げぇ〜マジかよぉ…』

        ★  ★  ★  ★  

       ひたすら走るうさぎちゃん…。そしてひたすら追い駆けるまこちゃん…「……『どうせほとんどカットされんのになぁ…』

        ★  ★  ★  ★  

       そして…、とにかく走るうさぎちゃん…「……『私は走るわ。一応主役だし…』

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       クンツァイトが剣を構えます…「……『閑(しずか)さや ビルにしみ入(いる) ヘリの音…』

        ★  ★  ★  ★  

       懸命に走るうさぎちゃん…。そして懸命に追い駆けるまこちゃん…「……『てな訳で、あとの走りっぷりは、DVDの「未使用シーン」を見てね♪』

        ★  ★  ★  ★  

       クンツァイトは、丸腰の地場衛に斬りかかり、地場衛は、ナンとかそれをかわします。

       地場衛は、科学館の建物に逃げ込みます…(←ちなみにここは、オープニングの「撮影協力」によると、「多摩六都科学館」と言うコトです)。しかし地場衛は、ロビーでクンツァイトに追い詰められてしまいます…「ゾイサイトが変な気を起こさなければ、破滅の日までそのままにしておくつもりだったが…」「……『誤解するなっ! ゾイ子とはもう別れたっ!…今はクン子、お前だけだっ!』

       この「破滅の日」と言うのは、Act.2でベリル様がジェダイトくんに言ってた、「エナジーを集め続ければ、やがてこの地球に滅びの日が訪れる…。最良の破滅だ!」のコトですな。ベリル様はAct.10でも、セーラー戦士に向かって、「お前達のプリンセスに、大いなる闇の祝福を与えよう…。…破滅だ!」と言ってましたからな。

       で、クンツァイトは、Act.21でそのベリル様とこんなやり取りをしてました…(↓)

     「クンツァイト、お前はいったい何を考えておる。わらわではなく、何を見ておるのだ!」「ベリル様と同じく…クイン・メタリアの復活を…」「その後は…?」「…お望みのままに…」

       つまりクンツァイトは、ベリル様同様、「クイン・メタリアの復活」によって地球に滅びの日をもたらそうとしてるコトだけは間違いないようです。ただし、ベリル様はそれによって「地上に君臨」しようとしてる訳ですが、一方のクンツァイトの方は、どうもその先の目的が見えませんな…ひょっとすると、その「破滅の日」そのものが目的なのかもしれません…だから、「その後は…?」「…お望みのままに…」…なのかもしれませんな…。

       ※ ちなみに、ゾイサイトがオープニング前に回想してた、「この星に…再び悲劇が訪れないように…」と言う、例のあの『天変地異』みたいなヤツは、あくまでも前世で起きた「悲劇」ですから、クンツァイトがここで言ってる未来の「破滅」とは別のモノです。したがって、今後も繰り返し使われる事になる、この「悲劇」「破滅」と言う二つの『キーワード』は、混同しないように気を付けなくてはいけないのですが、ただし、この二つはどこかで関連性を持ってるようで、どうやらその辺が、今後の話の展開のカギになってくるようです…。

       クンツァイトは再び斬りかかり、地場衛はとっさに吸殻入れを手に取って応戦します…。地場衛は階段を駆け上って建物の中に逃げ、クンツァイトは余裕の表情で歩いて跡を追います…。ちなみに、その廊下の壁に、以下の案内表示がデカデカとありますな…(↓)

プラネタリウム 

Planetarium

サイエンスホール

Science Hall     

Aスタジオ

A studio

Bスタジオ

B studio

       するといきなり、タキシード仮面がトイレ(?)から飛び出して来て(←って着替えてたんかっ!、クンツァイトにステッキを振り下ろします(←やっぱワシが睨んだ通り、パワースーツだったんですなっ! さっき棄てなくてヨカッタね♪)。クンツァイトはステッキをかわし、両者はしばし剣を交えるも、タキシード仮面はクンツァイトに弾き飛ばされてしまい、腰をついて倒れながら後ずさりします…。「悲しいなぁ…! かつてのマスター・エンディミオンが、ここまで非力なのは…」(←昔は強かったらしい…)「……」

       タキシード仮面はやっと立ち上がりますが、クンツァイトが剣波攻撃を食らわすと、「うわぁっ!」と階下に突き落とされてしまいます。タキシード仮面は床に倒れ、しこたま腰を打ったのか、全く起き上がれません。

       すると、クンツァイトがナニやら目で合図すると、突然そこに、妖魔が「アッハッハッハッハ…!」と出て来ます(←この妖魔は刺又さすまた)を持って振り回しております…なので、『サスマタ妖魔』と名付けよう)…あれ?! ところでここはナンでしょうか? どうやらココは、「Aスタジオ」だか「Bスタジオ」だかみたいですな。で、ナニやら、テレビの科学番組かなんかを収録してたみたいです。なので、そのスタッフさんと出演者さん達が、一斉に「うわぁ〜っ!」と逃げて行きます(←て言うか、その前に、タキシード仮面が上から落ちて来た時、驚くとかナンとかリアクションはねーのかよっ!)。…タキシード仮面:「…『俺シカトかよ…』

       で、『サスマタ妖魔』がスタッフさん達を追い払ってる隙に、クンツァイトが階下に飛び降ります。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、うさぎちゃんとまこちゃん…。

       ようやく科学館に辿り着き、ロビーに駆け込みます…。「誰もいない…」「……」。うさぎちゃんは、さっき地場衛が盾に使った吸殻入れが、変形して床に倒れてるのを見つけます…。「気をつけて…敵の気配はあるわ…」

       二人は、しばらくロビーの中をうろうろキョロキョロと探します…。するとルナが、「あっ、うさぎちゃんっ! 上よっ!」「!」。さっきの『サスマタ妖魔』「ンッフッフッフ…!」2階に現れ、「ハァッ!」と階下に飛び降りて来ます(←クンツァイトは、この妖魔にテレビ・スタッフを襲わせたあと、セーラー戦士の邪魔が入らないようにと、こうしてロビーを見張らせていたんですな)

       ここで、うさぎちゃんとまこちゃんは、「ムーンプリズムパワ〜!」「じゅぴたーぱわ〜!」と変身します。

       セーラームーンとジュピターは、妖魔を挟み撃ちにする形から、2度ほど、お互いに体を入れ替えながら妖魔を牽制し、セーラームーンがジュピターにウィンクで合図すると、二人は同時に妖魔に足払いを食らわして床に倒します。それから二人は並び立ちます。

       しかし、ここで、ナニげにセーラームーンが、「……『こんなヤツにかまってる場合じゃないのにっ!』みたいな『しかめっ面』をします。すると、それを見て察したジュピターが、いきなり「う゛わ゛ぁ〜っ!」と妖魔に突進して行ってサスマタを掴み、妖魔を柱に押さえつけます…「うさぎっ! 今のうちにっ!」「えっ!?」「それで気が済むなら、助けに行きなよっ!」「まこちゃん…!」「早くっ!」

       セーラームーンはうなずいて、階段を駆け上って行きます。すると、ジュピターが「うっ!」と妖魔に弾き飛ばされてしまいます。すると、セーラームーンは途中で振り返り、「まこちゃんっ!」。しかしジュピターは、床に腰をついて組み敷かれそうになりながらも、懸命に妖魔のサスマタを掴み、「いいからっ!…いいから早くっ!」(←か…かっけぇ〜っ…! これぞジュピター浪花節って感じですなっ!)。

       ナニげにジュピターは、Act.12の時も、地場衛と陽菜さんが妖魔に襲われて体育館の壇上で倒れた時、セーラームーンがそれを見て動揺したのに気付くと、すかさずその視界をさえぎるように前に出て攻撃を仕掛けてましたね。これは再三書いてきたコトですが、恋愛が絡んだ時のジュピター(=まこちゃん)は、とにかく人が変わるんですよねぇ…。言い方を変えると、うさぎちゃんとまこちゃんの接点は、要するになんですね。まこちゃんは、『アイドル愛野美奈子』に関しては『隠れファン』で通してますから、それ以外でこの二人が絡むのは、常に『恋愛絡み』のエピソードなんです。つまり、が絡むと必ずまこちゃんの出番となり、他のメンバーは、それに関しては全くお呼びではなくなる訳です(←なので、まこちゃんだけが唯一タキシード仮面の正体を知り、彼をぶん殴るに至ったのも、全てその流れからきてる訳です)。回が進むにつれて、その傾向は顕著になっていってます。

       セーラームーンは、断腸の思いで、その場から駆け去ります(←前回のレイちゃんが、『仲間を信じて』うさぎちゃんに妖魔を任せ、自分はライブを続けたように、今回のセーラームーンも、『仲間を信じて』ジュピターに妖魔を任せ、自分は地場衛を助けに行ったんですな)。

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーンが2階の廊下に出ると、「!」そこに、さっき妖魔に襲われていたスタッフさん達が、エナジーを吸い取られてしまったらしくて、みんな倒れています。その中に地場衛の姿を探しますが、「…いない…」

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       こちらはタキシード仮面…。

       床に倒れたまま、ステッキだけを構えて、クンツァイトと対峙しております。クンツァイトはゆっくりと歩み寄りながら、「…いつか…、お前は、自分を追っていると言ったな…」「……」「知るのは怖くないと…」「お前は、怖れていた通りの自分になったな…!」「……お前のせいだよ。…お前は我らを裏切り…、…そしてこの星は滅んだ…『それでも知るのは怖くないと言えるか?!』「!!……」「私は全てに対して復讐する…。…最初はマスター……お前だ…!」

       おおっ! ついにクンツァイトが本心を明かしましたなっ! そしてゾイサイトの言ってた「悲劇」(←例の天変地異)と言うのは、前世において、「この星は滅んだ」と言うコトだったんですなっ!(←アニメ版じゃ、滅んだのは月の王国だけだったのに…)。そして、それに対してゾイサイトが、「再び悲劇が訪れないように」「マスターに目覚めてもらわなくては…」と考えているのに対して、一方のクンツァイトは、「お前のせいだ」「復讐」しようとしている…という事だったんですな(←その詳しい事情についてはまだまだ分かりませんが、だいぶ見えてきましたな…)。要するにクンツァイトは、当初の目的では、「クイン・メタリアの復活」によって地球に滅びの日をもたらすという形で、その「復讐」を遂げようとしてた訳です。ところが、ゾイサイトが、クンツァイトが「余計なコトをするな!」と忠告したにも関わらず、それを無視して地場衛を「科学館」に呼び出したので、ついに、こうして強硬手段に打って出た訳なんですな。つまり、ゾイサイトの言う前世の「悲劇」と、クンツァイトの目指す未来の「破滅」を関連付けているキー・パーソンが、「マスター・エンディミオン」その人だったようですな。一体、前世でナニをやらかしちゃったんでしょうか?(←根はそんな悪い人じゃないと思うんですけどねぇ…)。ひょっとすると地場衛は、さっきプラネタリウムでゾイサイトにその記憶を呼び戻されそうになった瞬間、急に『知るのが怖くなった』のかもしれませんな…。

       クンツァイトは剣を立て、刃先を指でなぞると、いきなりそれを振りかざして剣波攻撃を繰り出します。ぴきんっ!ぴきんっ!「うわっ!」。まるで、なぶりモノにするかのようにそれを繰り返して、タキシード仮面を追い詰めます(←相当憎しみがこもってますな…)。「うっ…!」

       するとそこに、「待ってっ!」(←えっ?! 「待ちなさいっ!」じゃないの?! 『地場衛』に意識がいっちゃってるせいで、姿はセーラームーンでも、心理状態は完全に『うさぎちゃんのまま』という意味でしょうか?)と、セーラームーンが2階から現れます。タキシード仮面:「!!」。クンツァイト:「!!」。セーラームーンは、「はぁっ!」と飛び降り、「ふっ!」と着地すると、タキシード仮面と目を合わせ、それからクンツァイトをキッと見据えます(←こういう時のセーラームーンの精悍な面構えは、いつ見てもカッコイイなぁ…)。

       ところがクンツァイトは、セーラームーンを相手にしようとはせず、すぐにタキシード仮面の方に振り向いて剣を振りかざそうとします。すると今度はそこに、「クンツァイトっ!」と、ゾイサイトが現れます。

       ゾイサイトは、両手を広げて放電現象を起し、磁気バリアのようなモノを作って、クンツァイトの剣をそこに引き付け、動きを封じます。その隙に、セーラームーンが、倒れているタキシード仮面をかばうように、彼の前に回り込んで立ちはだかります。

       クンツァイトは、懸命にゾイサイトの磁気バリア(←って知らんけど…)から剣を引き抜くと、「ヤァっ!」と、ゾイサイトに剣波を食らわして床に倒します。そして、セーラームーンとタキシード仮面の方に向き直ります。しかし、ゾイサイトが立ち上がったのを見ると、すかさず、もう一度剣波を食らわし、そのまま後ろにぶっ倒れたゾイサイトは、今度は「クンツァイト…!」と言いながら消えて行ってしまいました…(←って頼りになんねーな…例のごとく、心を飛ばして来てるせいなのか知らんが…、めちゃめちゃ弱いじゃん…)

       クンツァイトは邪魔者がいなくなると、再びセーラームーン達の方を向き、今度は、剣をビリヤードみたいに構え、剣先からビームを放ちます。しゅわわわわわわわっ…! セーラームーンは、両手をクロスさせてそれを受け止め、タキシード仮面を守ります(←なんか、Act.7のお返しみたいな絵ヅラになっておりますな)…「うっ!…うっ!…」(←どうでもいいけど、タキシード仮面は、さっき落下した際、シコタマ腰を打ったみたいですな…ぜんぜん起き上がれないじゃん…)。

       しゅわわわわわわわっ…! セーラームーンは、懸命にこらえておりますが、かなりキビシそうで、ついに床に片ヒザをついてしまいます…「うっ!…うっ!…」。しかし、必死に持ち直してナンとか立ち上がると、すると…、ナニやら、セーラームーンのブローチから金色の光が放射され始めます…どうやら、Act.22で目覚めた「戦士の力」が発動したようです。

       クンツァイトが、慌ててそれをマントで防御した隙に、セーラームーンはスティックを取り出して、「ムーントワイラ〜ト、フラッシュ!」を放ちます。クンツァイトは、それを剣で受け止めますが、そうしながらセーラームーンを見据えると、「!!……そうか…、セーラームーン……お前が…!」…そう言って、クンツァイトは、一回転するくらいの勢いで、マントばさぁっ!と空間移動で消え去ってしまいました(←ナニげに、今の消え方…カッコよかったな…)。

       「……」。セーラームーンは、力を使い果たしたかのようにその場にへたり込んでしまい、肩で息をします…「はぁ、はぁ…」

       クンツァイトは、Act.14のクンクン・キングダムで、初めてセーラー戦士達と戦った時も、今と同じように、最後に「ムーントワイラト・フラッシュ」を剣で防御した直後に退散してるんですよね(←やはり、属性的に相性が悪いんでしょうか? 『闇(やみ)』『光』の対比という意味かなんかで?…ナニげに四天王で「闇」って言葉を使ってんのって、クンツァイトだけだしなぁ…)。で、今クンツァイトは、セーラームーンの放った金色の光とその異様なパワーを浴びて、おそらく『セーラームーンが本当のプリンセスだ』と分かったようですな。

       しかし、よくよく考えると、前々回のAct.22でセーラームーンの「戦士の力」が目覚めた時も、今と同じような現象が起きてダーキュリーが元に戻りかけてたんですから、それを間近で見てたはずのクンツァイトが、その時には何も気付かなかったとしたら、それもちょっと奇妙な話です。…そこでワシは、もう一度あらためてAct.22のそのシーンと今回とを見比べてみましたところ……………………、やはり今回の方が、光の強さがケタ違いに強いですねぇ…(←今回のを見たあとでAct.22のを見直すと、なんか『ほのぼのした光』にすら見えますな…)。つまり、なぜ今回、クンツァイトが『セーラームーンが本当のプリンセスだ』と分かったのかと言うと、やはり、その異様なパワーを引き出したのが、「マスター・エンディミオン」を助けるためだったからなんですね。たとえセーラームーン自身にその意識はなくとも、クンツァイト目線では、正に目の前で起きてるコトの事実が、それを物語っていた訳です。そしてクンツァイトは、『ここまでのパワーを発するものは、「幻の銀水晶」をおいて他にない』と悟った訳なんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       一方、こちらはジュピター…。

       いつの間にか、なぜか場所を『倉庫』みたいなところに移動して、依然として『サスマタ妖魔』と戦っております…(↓)

     ジュピターは、妖魔が振り下ろしたサスマタを、相手の腕を掴んで防ぎ、取っ組み合いの形になります…

     それから、妖魔に振り回されるようにして振り切られ、続くサスマタ攻撃を側転でかわして体を入れ替えます…

     妖魔は執拗にサスマタを振り回し、ジュピターが身をかがめてそれをかわします…

     で、ナニげに倉庫の搬入口のシャッターが、ジュピターの腰の高さまで開いていて、そこから外の駐車場が見えてるのですが、ジュピターはそれに目をやります…

     すると、どう言う訳か、妖魔が「フンッ!」と術(←念力?)を使って、そのシャッターをガーッ!と下ろしてしまいます…

     すると、どう言う訳か、ジュピターが「はっ!」として、『しまった…!』みたいな焦った表情で、閉じてくシャッターを見ます…

     シャッターが完全に閉じると、ジュピターは妖魔の方に振り返って、『ちくしょう…!』みたいに妖魔を見ます…

     すると妖魔が、そんなジュピターに向かって、「フフフッ…!」と笑います…

       …こ、これはっ!?…、ナニげにジュピターは、かなり劣勢を強いられてるみたいじゃないですかっっ…。それで、妖魔の攻撃をかわしかわし、建物の中を流れ流れてここまで場所を移動して来たんですな。だからこそ、最終的に行き着く先がこの建物の『倉庫』になる訳で、そしてその『搬入口』が最後の逃げ場所だった訳です。そしてそのシャッターが腰の高さまで開いていたのは、ジュピターに『逃げるか戦うか』の選択を迫る最後のメッセージだったんですな。だから妖魔は、『もうこれ以上は逃がさんっ!』とそのシャッターを閉めてしまい、『ここがお前の死に場所だ』みたいに余裕ぶっこいて笑ったんです。つまりジュピターは、さっき妖魔に組み敷かれながら、セーラームーンに「いいからっ!…いいから早くっ!」と言ってた時点で、『コイツは強い! これじゃ余計に、うさぎには一人で先に行かせなきゃ…!と思っていたんですな。だから、そのあともずっと、『倒せないなら、せめてこのまま妖魔を引き付けて、ナンとかうさぎ達から引き離さなきゃ…』と、騙し騙し戦いながら、少しずつ逃げるようにして、場所を移動していたんです。

       で、妖魔がサスマタを振りかざしてジュピターに襲い掛かります。退路を断たれたジュピターは、それをかわすのが精一杯です。その流れの中から、やっとジュピターのケリが妖魔の腹をとらえますが、全く効かず、逆にそれで体勢を崩したところを妖魔に捕まれ、投げを食らって床に倒されてしまいます。

       「…う、…うっ…!」ジュピターは肩で息をし、立ち上がれません…。「フッハッハッハ…」。妖魔はサスマタを向けながらジュピターに歩み寄り、それを頭上で「うわぁっ!」と振り回して、ジュピターにトドメを刺しにかかります。ジュピター、ピ〜ンチっ!

       するとその時っ! 突然妖魔が「!」と動きを止めて振り返ったかと思うと、真横からモノ凄い火炎放射がぼわっ!と妖魔のサスマタを捕らえます。セーラーマーズ参上ですっ! さすがマーズは、前回「戦士の力」に目覚めただけあって、立て続けに牽制の火炎放射をぼわん! ぼわん!と食らわしただけで、ナンとっ! あれほどジュピターが苦戦していた妖魔を、あっという間に地面に這いつくばらせてしまいました。すげえ〜っ!

       「!」…ジュピターが驚いて見上げると、マーズはジュピターに、「…『お待たせ♪』みたいに軽く微笑みます。そのあとの、それに対するジュピターの表情が…まるで、「!!『すごいっ! これが戦士の力に目覚めたレイのパワーか!』みたいな…(←「マーズれい子」「ライブ」のコトは内緒でも、マーズが「戦士の力」に目覚めたコト自体は内緒にしてるはずありませんからね)

       するとマーズは、「ハッ!」とジャンプして空中回転し、妖魔の頭上を越えて、腰に手を当ててシャッターの前に立ちます。まるで、「…『逃げられないのはお前の方よ』と言わんばかりに…。

       それを見て、ジュピターがようやく立ち上がると、マーズは「今よっ!」と合図します。ジュピターはうなずくと、マーズの許へ駆けて行って並び立ち、二人は互いにうなずき合ってきらりんっ!を交わし、「しゅーぷりーむ…さんだーっ!」「妖魔〜退散っ!」(←この『覚醒バージョン』は前回と同様ですが、ただ今回のは、ポーズが若干省略形です…)。二人は、見事に『サスマタ妖魔』を倒してしまいました…。

       ところで、マーズは今、自分一人でもこの妖魔にトドメを刺せたはずなのに、そうはしませんでしたね。妖魔が這いつくばってる間、余裕で戦況を見守りながら、ジュピターが立ち上がるのを待っていた『間(ま)』が、それを物語ってます。つまりこれが、前回美奈子に言われた、「リーダーとして何か欠けてるんじゃないの?」に対する答えなんですな。「あたしに、…欠けていたもの…」「仲間を…信じる…!」…だからこそ、苦戦を強いられてたジュピターを助けただけではなく、自分一人でも倒せたのに、敢えてジュピターと一緒にトドメを刺したんです。これは、ジュピターのプライドを傷つけないように、そして、まだ「戦士の力」に目覚めていないジュピターに自信を持たせるための、いかにも『リーダー然とした』配慮でもあるんですね。

       「……」「……」。そして…、この…、妖魔を倒し終わった直後の…、二人のこの無言の表情が、なんとも言えませんな…。二人で協力して妖魔を倒したと言うのに、どちらにも笑顔はなく、お互いにお互いの顔を見ようともしません…。なぜなら、二人で妖魔を倒した形にはなっていますが、現実には、それを素直には喜べないが、暗黙のうちに、この両者の間に漂っているからです。

       ちなみに、ここに興味深いデータがあります。実は、この二人がコンビで戦ったのは、過去に三回あるんです(↓)

1.       【Act.8】「ナコナコなりきりコンテスト」会場での『対・ジェダイト戦』(←二人の同時攻撃を、ジェダイトくんに両手で受け止められ、返し技を食らいそうになった)。

2.       【Act.14】『クンクン・キングダム』での『対・クンツァイト戦』(←二人の同時攻撃を剣で吸収され、返し技を食らった)。

3.       【Act.22】「横浜・八景島シーパラダイス」での、『対・ジョーカー妖魔戦』(←二人して、妖魔一匹に電撃(?)羽交い絞めされて動きを封じられ、何もできなかった)。

       見てお分かりのように、このコンビは、本来攻撃型でなはずなのに、このいずれにおいても、一度として敵を倒せてないんです。つまり、この二人がコンビで敵を倒したのは、今回が初めてなんですな。しかも前々回のAct.22では、二人して妖魔一匹に力負けして、ほとんど腕力だけでねじ伏せられてしまってました(←おそらく、「メタリア」の影響で妖魔も強くなってるんでしょうな)。そして、この時二人は、その『ジョーカー妖魔』が、「戦士の力」に目覚めたセーラームーンによって木っ端微塵に吹っ飛ばされるのを、目の当たりにしてる訳です。これをジュピター目線で見ると、つまりジュピターは、その時と今回とで、「仲間」「戦士の力」を、2度に渡って見せ付けられ、自分の危機も救われてる訳です。ですからジュピターにしてみれば、当然その胸中は複雑なはずです。つまりそれが、このシーンにおけるジュピターの表情に表れてるんですね(←さっきだって、最初にセーラームーンと二人で『サスマタ妖魔』と戦ってた時点では、こっちの方が優勢だった訳ですし…)。

       そして、最初に横を向いてパートナーの顔を見たのは、ジュピターの方でした…「……」…ジュピターはこの時、何を思い、何をマーズに言おうとしたのでしょうか? 普通であれば、『助かったよ』の一言くらいあっても良さそうな場面です。しかし、それを言いづらいであろうジュピターの心理を見透かすかのように、マーズが先に口を開きます…「うさぎは?」「…………うん…」。…ナニげにここでのジュピターの『無言の演技』は、亜美ちゃんに匹敵するほどのものだったんじゃないでしょうかねぇ…(↓)

       ここでマーズは、真っ先に「うさぎは?」と聞いてますから、この場にうさぎちゃんもいるコトを最初から知ってる訳です。つまりマーズは、ルナから緊急の呼び出しを受け、その際、『二人が戦ってるの!』と言う状況を把握した上でここに駆け付けて来たのだと言うコトが分かります。それなのに、そのマーズが真っ先に、この建物の最果てに位置するはずの『倉庫』で戦うジュピターのところへ来たと言う事は、すなわち『敵の気配』がここにしかなかったからであり、つまりそれは、マーズが「科学館」にたどり着いた時には、すでにセーラームーン・サイドの危機は去っていたコトを意味してます。だからジュピターは、「うん…」とうなずいただけで、「…『きっと今頃は…』みたいな感じで、セーラームーンの援護には走ろうとしなかった訳です…『レイもいるコトだし…』…(←なぜなら…⇒「うさぎちゃんが、地場くんのコトはレイちゃんには内緒にしてって…」「そうだな…。オトコ絡むとキビシイからな…」…なので…)。このように、この二人はお互いに、どちらも、うさぎちゃん絡みのコトでを持ってる相手同士でもある訳ですな。

       で、ワシは今回、最初にこのAct.24を見てた時、なんとなく、「今回はジュピターが「戦士の力」に目覚めるんだろうなぁ…」なんて考えながら見ておった訳です(←前回はマーズが、そして前々回はセーラームーンが「戦士の力」に目覚めたのですから、単純に、そう思ってた人がほとんどなんじゃないかと思いますが…)。ところが、違いましたねぇ…。目覚めるどころか、逆に妖魔に大苦戦し、挙句の果てに、あわやと言うところで『覚醒マーズ』に助けられる…と言う形になりましたねぇ…ジュピターが単独のピンチを他の「仲間」に助けられるなんてコト自体、コレが初めてのコトですからねぇ…。

       で、「まこちゃん」と言えば、原作ではAct.5で登場だったのに、実写版ではAct.6まで待たされ、Act.12の『プリンセス・セーラーヴィーナス』登場の場面では一人だけ不在で、Act.18まで『プリンセス』に会わせてもらえずと、今までやたら不遇な扱いを受けてきた訳ですが、今回またしても、「戦士の力」の目覚めに関しても、一人先送りされてしまいましたねぇ…(涙)。しかしそれには、実はちゃんとした理由があって、それは、一度犯した過ちは二度と繰り返さず、それを教訓にして一歩一歩着実に成長していく『スマートなレイちゃん』と、同じ過ちを何度でも繰り返すがために成長の遅い『不器用なまこちゃん』…という対比が、その根底にあるからなんですね。

       そこで、この二人の対比と言うコトで思い出すのは、やはりAct.8でのこのやり取りです(↓)

―Act.8の再現VTR―

       「うさぎだって分かってるよっ! でも困ってるんだから、助けてやるのが仲間だろっ!」

       「面倒見すぎるのはお互いにマイナスよっ! 強くなれないものっ!」

       つまり、『今のまこちゃんの姿』と言うのは、この、「面倒見すぎるのはお互いにマイナス」とレイちゃんに言われた、正にそのまんまなんですね。それは、Act.18以降の、『うさぎちゃんと地場衛のコトで世話を焼いて奔走するまこちゃん』だったり、Act.21で『亜美ちゃんの世話を焼いて奔走するまこちゃん』だったり、そして今回の、『自分の劣勢をも省みずにうさぎちゃんのために戦ったジュピター』だったりする訳です。これほどまでに「仲間」を大切にしてるというのに、なぜそれが報われないのか? なぜ自分だけ「戦士の力」に目覚めないのか?まこちゃんは、あの時レイちゃんに向かって「助け合って強くなるんだよっ!」と啖呵を切ったのに、これだけ「助け合って」も、ちっとも「強く」ならない自分がいる…。

       前回のレイちゃんがそうだったように、それでは、そんなまこちゃんが「戦士の力」に目覚めるためには、『一体ナニが欠けているのか?』…その答えを見つけるための長い旅が、正にここから始まった訳なんですな。そう言ったコトが全て、このシーンのジュピターの表情に凝縮されていた訳です(←でも、それも、この直後に『タキシード仮面の正体バレ』というビッグ・イベントが控えていたために、ほとんど忘れられてしまいましたが…)(←二重の意味で涙…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはセーラームーン…。

       タキシード仮面が、セーラームーンの肩を抱き起こしてます…「オレをかばったせいで…。…すまない!」「…うぅん…。それより…、あのぉ…男の人、見てない?!」「男の人?」「背はちょうどあなたぐらいで…『て言うか1ミリの狂いもなく…』…地場、衛って言うんだけど…」「……『どっかで聞いた名前だな…ってオレかっ!』「敵に襲われたかもしれないの!…見てない?!」「…………いや。…『見てはない…。だって自分だもん』「早く、助けないと…!」。セーラームーンはそう言うと立ち上がり、足を引きずりながら歩き出します。タキシード仮面も立ち上がり、やはり足を引きずるようにあとを追いつつ、「ムリだっ!…もう敵もいなくなったんだし、放っとけばいいっ!」(←って、自分だからいいけど、他人だったらメチャメチャ性格悪コト言っちゃってるぞっ!)。「そんなっ! 倒れてるかもしれないんだよっ!…『アンタ、サイテーねっ!』

       しかしセーラームーンは、ここで、床に手をついて倒れてしまいます。「待てっ!…どうしてそんなにっ!」(←って聞いちゃってるよっ!)。ここで、どちらの心臓が鳴ってるのか分かりませんが(←たぶんタキシード仮面ではないかと思われますが…)、どっきん…、どっきん…と言う鼓動が鳴り響き始めます…。セーラームーンは懸命に立ち上がりながら、「…前に…、マフラー渡したい人がいるって言ったでしょ?……その人なの…!」「!…」「だからっ、…助けなきゃ…!」「……(心の声→)まさかっ!」

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーンは、さっきのクンツァイトとの戦いで力を使い果たしてしまったのか、立っているのさえやっとと言う感じで、最初に来た道を戻って行きます。タキシード仮面も、そのあとを追います(←なぜか、右の二の腕を痛そうに押さえておりますが…。いつやられたんだろう?と思って、ナニげに巻き戻して確認しましたところ、どうやら、階下に落下した時に右腕あたりから床についたらしいですな…)。

       セーラームーンは、階段の手摺りに捕まりながら、やっと最初のロビーまで降りて来ましたが、そこでばたっ!と転ぶようにして倒れてしまいます。すると、タキシード仮面が思わず駆け寄り、肩をつかんで助け起しながら、「バカかっ!」「バカってナニ(ょ)…、!…」(←この瞬間、横断歩道のシーンがフラッシュバックします…⇒「バカっ! 赤だろうっ!」「…バカってナニよっ!」「!…」「!…」…。

       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」

 

       「……」「……」

       「……(心の声→)どうして…今まで気付かなかったんだろう…」(←ホンマやね)。

       セーラームーンは、ゆっくりとタキシード仮面のマスクに手を伸ばし、そしてそれを、そっと外します…「……『イテテっ、両面テープでくっ付けてんだから、引っ張るなよっ!』(←うそです)。ついに、セーラームーン(=うさぎちゃん)は、タキシード仮面の正体を知るコトとなったのでありました…。

        ★  ★  ★  ★  

       ※ それはそうと、今回は、美奈子…一瞬たりとも出て来なかったなぁ…。別に、亜美ちゃんが主役の回でもなかったのに…。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、この続き…て言うか、ナンか色々だっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ルナ(声・潘 恵子さん):「」『』

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2009年3月20日(金)初稿 トモロー]


Act.25:真のプリンセス登場編

 

Act.23:マーズれい子登場編▲】 【トップページ▲】 【筆者紹介へ▼】


     今回レビューしたAct.24は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第6巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第6巻 作品本編(4話収録)

 

Act.21 Act.22 Act.23 Act.24 

毎回映像特典(12分)

 

「セーラームーン」におしおきよ 沢井美優安座間美優A

Act.24 ゲストキャスト

 

日下陽菜:

松下萌子

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妖魔アクション:

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佐藤賢一

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