―実写版セーラームーンを検証する―


Act.13:クンツァイト登場編――

 

       本稿は、2003年12月27日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第13話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       今回は、セーラー解説は無しです…。

       前回の「セーラーヴィーナス様」登場のシーンが、掻い摘んでさらっと流されます…

       「月の王国、シルバーミレニアムのプリンセスにして、幻の銀水晶の継承者、セーラーヴィーナス様だぞっ!」「プリンセスぅ! やっと姿を見せてくれたのねっ!」「…プリンセス…」。そして、優しく微笑みかけてくださる「セーラーヴィーナス様」…。

       で、すぐにオープニングです…。

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       オープニング開けは、クラウンでのセーラー・ミーティング…。

       「はぁ〜…セーラーヴィーナスかぁ…。本当にプリンセス!って感じだったよね…」(←えぇ〜?! ホントにそう思ってたぁ?!)「うん…そうだよね…」(←アナタもぉ?!)「あたしも会いたかったなぁ…(←だまされるなっ! みんなでキミを羨ましがらせようとしてるだけだと思うぞ…)。でもぉ、もういつでも会えるか?」「それがぁ…そうでもないのよ…『プリンセスになるのと仲間になるのはぜんぜん別よ!』(←この人だけは、単に「プリンセス」と言うだけでは、おいそれと簡単にひれ伏したりはしないハズだ…ワシはそう信じとるぞ〜っ!)「ええっ?」「プリンセスに、これからは私達が守るって言ったんだけどぉ…」(←ノーマル・バージョン)…で、どうやら前回、あのあとで、こんなやり取りがあったそうな…(↓)

       (回想シーン⇒)「それはダメだっ」(←力強く首を横に振るCGアルテミィ〜ス「どうしてぇ?」(←アルテミィ〜スがCGの時は、やっぱりルナもCGなんだろうなぁ…「私には、プリンセスとしてどうしてもやらなきゃいけない事があるの…。私は大丈夫だから、みんなは敵から地球を守って」(←おおっ! やっぱりセーラー戦士って、一応「正義の味方」ってコトでいいんですよね?!…時々自信がなくなる時があるものですから…)

       (クラウンのシーンに戻る⇒)「プリンセスとしてやる事ってなんだろう?」(←亜美ちゃんは前回も、「私達にも知られたくない何かがある…とか…」って言ってましたから、なんか気になるんでしょうね)「う〜ん、わからないけど…プリンセスの指示なんだから、その通りにするしかないわ…。私達は私達で、敵から地球を守りましょっ」(←きっとルナは、クラウンでは絶対にCGにはならないだろうなぁ…)(←四人はルナに向かってうなずきます)

       …と、ここで、「プリンセス」のために用意してあるイスにカメラがズームインし、クローズアップで映し出されるのですが、ナニげにこのイスって、色が「白」なんですよねぇ…(←まさかアルテミィ〜ス用じゃないとは思いますが…)。さて、ちょうど「いいモノ」がクローズアップされたので、ここでちょっと、もう一度話を整理してみたいと思います(↓)

       ちなみにこの「5色のイス」は、すでにAct.2の時点で、まだうさぎちゃんとルナしかいなかった段階での『ルナカラの初お披露目』の時に、最初から5つ、こうして揃えてあったんですよね。つまりルナは、最初から「四人のセーラー戦士」の姿、つまり、そのそれぞれのイメージカラー(←正式には、ユニフォームと背番号のようなものか?)を知ってて、その上で、プリンセスの色は「白」…と見なしてたコトになります。ところが、前回ついに登場してくださった「セーラーヴィーナス様」は、『胸のリボンが青い』だけで、それ以外はどのパーツを見ても『オレンジ一色っ!』。と言うコトは、ルナは、セーラームーン、マーキュリー、マーズ、ジュピターの「四人」の事は最初から知ってたのに、ヴィーナスの事だけ知らなかったコトになります。では、この「白」が一体どこから来たのかと言えば、それは言うまでもなく、地場衛の夢の中に出て来る「プリンセス」のドレスの色を暗示してたんですね。

     ところで、そう言えばルナは、セーラームーンとマーキュリーの変身アイテムだけは持ってて、それぞれ二人に転送してるんですが、マーズとジュピターは二人とも、自分でも知らずに自分の中に持ってたみたいなんですよね。この違いは一体ナニを意味するのでしょうか? 攻撃型と守備型の戦士の違いですかね? それによって、戦う事への積極性や戦士になる事への積極性が、それぞれ違ってくるからなんでしょうか? なぜなら、うさぎちゃんと亜美ちゃんは、戦士になる事に対してそれぞれ最初は拒否しましたし、一方のレイちゃんとまこちゃんは、何の躊躇もありませんでしたしからね(←しかもこの二人は、予め自分の正体を予感していたようなフシもありましたね⇒「やっとわかった。私に力があった理由……。不吉な力なんかじゃなかった…!」「そうか…あたし、そうだったんだ…。ずっと行かなきゃいけない気がしてた…。その理由がわかったよ…。失恋したせいじゃない…。仲間に会うためだったんだ…」これ、『個人』「仲間」の違いはありますが、言ってる意味は全く一緒ですね。おそらく、自分の中に変身アイテムが内包されてたからでしょうな)。そう考えると、似た者同士と言うか、ポジションが同じと言う必然から、攻撃陣が最初に反発し合ってたり、守備陣がやけに惹かれ合ってたりしてたのも、なんだか妙にうなずけてきますな。

       そして、前回のラストシーンにおける奇妙奇天烈な絵ヅラ…つまり、せっかく待ちに待った「プリンセス」を目の前にしながら、イマイチ感慨の薄い三戦士(←逆に、それとコントラストを描くように、ルナのリアクションだけが感慨深く表現されてました)と、一人あさっての方を向いちゃって呆然としてたタキシード仮面の図…。これは、前回検証した通り、タキシード仮面が、いつも自分の夢の中に出て来る「白」のドレスの「プリンセス」と、今目の前にいる『オレンジ色』「セーラーヴィーナス様」は、『明らかに同一人物ではない』と、暗黙のうちに語っていたコトを示しています。それから、今回の冒頭における「セーラーヴィーナス様」のお言葉、「プリンセスとしてどうしてもやらなきゃいけない事」という「ほのめかし」…。これは、前々回から美奈子自身によって少しずつ語られ続けて来たのですが、ここに至ってようやく、「プリンセス」「使命」は、「四人のセーラー戦士の使命」とは違うのだと、ハッキリと宣言された訳です。ただし、その具体的な内容については、いまだに伏せられたままですが…。

     ※ あと、これは余談なのですが、前回の「セーラーヴィーナス様」登場の場面に、なぜかジュピターだけが立ち会いませんでしたが、これは、実写版の劇中における流れの解釈では、まこちゃんがうさぎちゃんの様子を見に病院に行って、行き違いになったからだと考えるのが極めて自然です。で、もう一つの仮説として、あとで原作を読んだところ、原作でヴィーナスがプリンセスのダミーとして登場した時、原作ではジュピターもその場にいたのですが、その時なぜかジュピターだけが、プリンセスであるヴィーナスの説明を聞いた後、「プリンセス…… そうだったかしら…… まだ あたまに モヤが かかっているよう…… ……彼女は もっと あたしたちに 近いような……」(←原作「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)と、心の中で懐疑的なコトをつぶやくんですね。このセリフは、実写版的には、「ほのめかし」と言うにはちょっと「言い過ぎ」(←もしくは「思い出し過ぎ」)で、これでは余りにもネタがバレバレです。それで実写版では、こんな危険なコトを平気で口走っちゃうタイプの『安座間さん』を強制退場させ、他の三人だけにして、極めて「薄いリアクション」で留めさせた…ってな解釈も成り立つ訳です(←って、それはゼッタイない…でも、ある意味半分は当たってるかも…)。

 

       とにかく、実写版における「セーラーヴィーナス様」登場のシーンは、要するに、ジュピターの不在も含めて、あらゆる点で、あらゆる歯車が噛み合ってないコトを、これでもかと言うくらいに暗示していたんですな。

       ちなみに、どうでもいいけど、今回のこのクラウンのシーンですが…みんなナニ飲んでんでしょうね? それぞれのセーラーカラーのソーダ水みたいの飲んでますけど…。でも、こんなの市販品にあるとも思えないので、たぶん、美術さんか小道具担当さんが、炭酸水にテキトーに色付けただけなんじゃないでしょうか? だってコレ、なんだかんだ、さっきから誰一人飲んじゃいませんよね? 冒頭のうさぎちゃんも、いかにも飲んだような振りしただけで、明らかにジュースが喉を通過してませんからねぇ…(←きっと、インクかなんか垂らしただけなんで、『ぜったい飲むなよっ!』って言われてるんだろうなぁ…)。それに、飲む振りをしたうさぎちゃんだけ、なぜかグラスにストローが刺さってません。きっと、ストローで飲むと、ジュースがストローを通過するところが見えなくてはならず、間違って飲んでしまう危険性が高くなるからですな…。

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       一方こちらはダーク・キングダム…。

       ベリル様が、石になってしまったゾイサイトを、手のひらに乗せて眺めながら、「ゾイサイトが倒れるとは、さすがプリンセスと言うべきか…(←ジェダイトくんが石になった時とは、さすがに評価のされ方が違いますな)。ネフライト:「ベリル様、ゾイサイトが間際に、妙なコトを…」「妙なコト?」「はい、エンディミオンと…」「!!」(←ベリル様の顔色が豹変…)。「あのタキシード仮面とか名乗る男に何か…」「忘れよ! 二度とその名を口にしてはならんっ!!」。ベリル様はそう言うと、ネフライトにナニやら術をかけてしまいます…すると、ネフライトは、どうやらその記憶を消されてしまったようです…「はっ…」(←キミって、いつもそうやって、一つずつバカになっていったんだね?)。なるほど…ベリル様は、いつもこうやって一般の人々の記憶も消し去り、その都度、事件の揉み消しを図ってらしたんですな…。「ネフライト…、幻の銀水晶がプリンセスの許にあると分かったのだ。お前は今まで通り、銀水晶を追えっ!」「はい!」

       ネフライトが去って行ったあと、ベリル様は、ナニやらぶつぶつと独り言をおっしゃいます…「エンディミオン…まさか…、…だとしても、全ては大いなる悪を目覚めさせてからのこと…」。ベリル様はここで、手品でもするように、ひょいっと白い花を取り出します…「…四天王最後の一人…。気は進まぬが…使う他あるまい…」(←なんですかね? その「気は進まぬ」ってのは?…じゃ、今までのあの使えねー連中は、多少なりとも『気が進んでた』んですかね?)。

       ところで、先ほどのクラウン・ミーティングと、今のこのダーク・キングダム御前会議の会話の内容からして、これらのシーンは、いずれも前回Act.12の翌日である事が分かります。と言う事は、前回が「19日(金)〆切日」の日付で終わってましたから、今回のここまでの劇中におけるカレンダーは、ちょうど前回Act.12の放送日である「12月20日(土)」という事になりますな。つまり、一週遅れではありますが、やっと前回のAct.12も放送日とリンクしてくれた訳です…。

       ※ ところで、ワシが再三、このようにして実写版の劇中カレンダーにこだわってるのには、二つの理由があります。その一つは、実写版の特徴として、他のドラマではちょっと考えられない、「ファンタジーとリアリティという両極端な世界観の融合」、という創意工夫が図られてる点が上げられるからです。我々がこの作品を見て、どういう訳かどっぷりと感情移入させられてしまう理由の一つに、セーラームーン作品の本筋である「ありえないファンタジー」要素とは別に、「極めて日常的な女の子達の青春ドラマ」という要素が加味されているからなんですね。そしてその「青春ドラマ」に感情移入できるかどうかは、ひとえに「リアリティ」のさじ加減なんですな。もちろんその中でも、彼女達の心理描写にそれが求められるのは言うまでもありませんが、実写版では、その設定背景となる日常生活にも、非常に細かい配慮がなされてる事が分かります。そのように、劇中のカレンダーが我々の現実世界のカレンダーとシンクロする事によって、見てる我々自身も、まるで劇中の出来事を共有体験してるかのような錯覚に陥り、知らず知らずのうちに感情移入させられてるんですね。分かりやすく言うと、つまり、たとえば、我々の現実世界では、実写版の記念すべきAct.1本放送の放送日は「2003年10月4日(土)」でしたが、劇中におけるうさぎちゃんもまた、その同じ「2003年10月4日(土)」にセーラームーンとして覚醒していた、と言うコトなのです。ひょっとするこれは、スポーツを生中継で見るのに近い感覚で、ドラマを見ているようなものなのかもしれません。なので、実写版をリアルタイムで見る事ができた人は、非常に好運というか、羨ましい限りなんですな。それは、劇中のカレンダーをいちいちチェックしていようがしていまいが、感覚的に心に残るものだと思います(←それに実際問題として、DVDの画像や書籍資料などでチェックしない限り、劇中カレンダーを完全に追うのは不可能ですしね…)。そしてもう一つの理由ですが、それはAct.29以降の物語の後半戦で、しかるべき時にまた改めてご説明したいと思います。

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       その日の夜かどうかは不明ですが…こちらは地場邸…。

       地場衛は、ゾイサイトとの一件を回想しながら、「…(心の声→)プリンセスと、エンディミオン…。何かがありそうなのに、思い出せない…。あの記憶は、一体なんなんだ…?」。…あのぉ…地場さん…、どうでもいいですけど、それって「記憶」なんですか?? だって、あの夢の中に出て来るアタナの姿って、ほとんど今現在の年齢に見えるんですが?…だとすると、単に、『どういう訳か、何度も同じ夢を見てしまうなぁ…』とか、『ひょっとして、未来の予知夢かなぁ?』とか、そういう可能性については、一切なしなんですか?…『うっせぇなっ! 本人がそう言ってんだからそうなんだよっ!』

       ここでもやはり、地場衛は「セーラーヴィーナス様」のコトなど全く眼中になく、もっぱらゾイサイトの方だけが気になってますね。

       するとそこへ、電話が、ぷるるるる…ぷるるるる…とかかってきます…「もしもし…」。電話の向こうは、今にも泣きそうな元基の声です…「衛…、オレ、もうどうしたらいいのか…『お客さんから苦情が来て、勤務態度が悪いって時給下げられちゃって…』「元基?…おいっ、どうした元基!?」

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       その翌日のクラウンにて…。

       うさぎちゃんが、元気よく入り口から入って来ます。ところが、自動ドアが開いて中を見た瞬間…「はっ…!」どーんっ!(←カウンターの前の床に物が散乱してます…ビールケースだの、ダンボールだの、小型冷蔵庫、傘立て、トレーだの…その他、もうメチャクチャです…)かーんっ!(←さらにカラオケ盛り上げグッズが箱から投げ出され…)きーんっ!(←カウンターの上には、マイクだの、マラカスだの、「亀吉」と書かれたバケツだのが散乱し…)…とにかく、もう足の踏み場もないほどです。「!!…ナニこれぇ?…『どろぼう?!』…うさぎちゃんは、恐る恐る、荒らされた店内を見回します…「……『ひょっとして、お店潰れちゃったとか?…そう言えば、私達以外お客さん入ってんの見たコトないもんなぁ…しかもその私達がおカネ一銭も払ってないし…』(←真面目におカネを払ってるのは、たまにしか来ないなるちゃん達だけです…)。ところで、カメキチの正しい表記は「亀吉」だったんですか…(←ものすごくどーでもいいけど…

       うさぎちゃんが、「……『記念にナニか持って帰れそうなモノないかなぁ』と物色していると、カウンターの上からちゃりんっ!とタンバリンが落ちて、カウンターの下からナニかゴトゴト音がしてます…「……『ナニ?! きっと私と同じコト考えてる人ね…』…うさぎちゃんがこわばった表情でカウンターを凝視してると、いきなり、ジャ〜ンっ!と元基が生ける屍のような顔でのっそりと立ち上がり、「ひぃ!『やっぱコイツかっ!』「…もう、ダメだぁ……」(←カウンターに突っ伏す元基)「…えぇ?…どうしたの?『クビ?』(←心配そうに覗き込むうさぎちゃん)「…カメキチが…カメキチがいなくなったぁ!」(←空っぽの水槽をつかんで嘆く元基)…すると、哀愁ただようヴァイオリンの曲をBGMに、元基の許をのそのそと去って行く「亀吉」の後ろ姿のイメージ映像が…。「…えっ?!…『ちっ、ナンだ…クビじゃないのか…』

       「水槽の掃除をやってやろうと思って、カメキチをバケツの中に入れておいたら…、ぐすんっ…いつの間にか、バケツが倒れてて!…。…もうダメだぁ…。…オレはおしまいだぁ!」(←アタマを抱えて嘆く元基)。「ン、ちょっとぉ! あ、一緒に探してあげるから! ね? ね、ね?」

       するとそこへ、「元基!」と、地場衛が駆け込むように入って来ました。「…あっ…」うさぎちゃんは、思わず気まずそうに目をそらします…。ナニげに、変身してない状態のこの両者の対面は、Act.10で地場衛が元基の留守番をして以来ですかな…。では、ここでちょっと、変身してない状態のこの両者の『邂逅の歴史』を振り返ってみましょう(↓)

1.       Act.1⇒「MAYUMI OSAKA 新作ジュエリーコレクション 〜2003 秋〜 会場:ルネサンスホール」にて…。「えっ?  あっ、あっ、私違いますっ、モデルじゃないですっ」「誰もそう思わないから安心しろよ」

2.       Act.2⇒「よいこの なかよし学習教室」前にて…。「こっちなの?!…ン、ママってば基礎すぎるよ…」「ぴったりだな!」

3.       Act.4⇒大型街頭ヴィジョン前にて…。「とにかく、人ごみでバカみたいにはしゃぐなよな!」「バカみたいってナニよぉ!」

4.       Act.5⇒「PGS文化スクール 第八回 陶芸展」にて…。「はぁ拾ってくれてドウモ?……つきのこぶた…」「うさぎですぅ! うさぎうさぎうさぎっ!…うぅ〜ちばまもる? 嫌なヤツの名前覚えちゃった…」(←この日、初めてお互いの名前を知る)。

5.       Act.7⇒「ANGEL PARK」「鏡の館 MIRROR WORLD」にて…。「…これ以上はぐれたらたまんないからな…。行くぞっ…」「…うん…(心の声→)やだ、なんでコイツにドキドキしてんのよ…」(←そしてこの日、地場衛は、うさぎちゃんがセーラームーンに変身するところを見てしまい、うさぎちゃんが元基に気があるコトから、密かにセーラームーンへの横恋慕(?)を断ち切る)。

6.       Act.10⇒クラウンの受付にて…。地場衛:「…何時間ですかっ?」元基:「あっ、いいのいいのっ、うさぎちゃんは年間パスだから! ねっ?」「…うぅんっ、やっぱやめとく…じゃあ…。(心の声→)なんだろう…。なんかダメ…」(←その理由は、うさぎちゃんが、Act.9でタキシード仮面への思いをハッキリ自覚し、それと同一人物とは思ってない地場衛への「ドキドキ」を認めたくなかったからである)。

       そしてこの二人は、今日のこの日を迎えたのであります。

       で、一方の地場衛は、そんなうさぎちゃんをちらっと見ただけで表情も変えず、「元基…、カメキチらしいカメを見たって言う人がいたぞ」「えっ!? どこでっ!?」。…う〜む…カメキチらしいカメ」…ですか?…参考までにワシも、その『カメキチらしさ』というモノがどういうモノなのか、是非とも知りたいもんですな…。で、その違いが分かるって事は、地場くん、キミもやっぱり、「カメ愛好仲間」だったんだね…?

       ところで、前々からナニげに気になってたクラウンの「アルバイト大募集!!」のポスターですが、このたびようやく、その全文がめでたく判読されました(↓)

アルバイト大募集!!

●勤務時間

(A)

11:00〜18:00

(B)

17:00〜22:00

(C)

21:00〜6:00

*週3日以上務まる方   

●年齢

18〜30歳位まで(←ワシ、ダメじゃん…)

●時給

(A)

870円〜

(B)

950円〜

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       実写版では、いまだに地場衛と元基の年齢設定が明らかにされてませんが、これによって、ようやくそのヒントが確認されました(↓)

     このポスターにある「アルバイト」の条件によりますと、元基は「18」歳以上、つまり少なくとも「高三」以上という事になり、当然、彼と「同級生」の地場衛もそれと同じという事になります。ちなみに、たとえばアニメ版では、この二人は同じ大学で友人という設定でしたが、原作では、地場衛が「高二」で、元基が大学生で、両者に交友関係はありませんでした。実写版は、原作の設定に則ってるケースが多いのですが、どうやらこれに関しては違うようですな。実写版では、この二人が学生服を着てるところを一度も見た事がないので、普通に考えれば、まあ大学生なんでしょうけどねぇ…。

       もう一つ、この受付のシーンから重要なヒントが確認されました。それによって、この時点での劇中カレンダーが、今回Act.13の放送日である「12月27日(土)」に近いコトが判明いたしました。と言うのも、前回は、「19日(金)〆切日」の時点でクリスマス・ネタが扱われてましたが、実は、すでに前々回のクラウンで、受付の後ろの「アルバイト大募集!!」のポスターの横にクリスマス飾りがあったんですね。それが、今回のこのシーンでは取り外されてるんです。これはつまり、劇中においても、現実世界同様、もうクリスマスが過ぎ去った『12月26日(金)』以降である事を示しています。もっと言えば、先ほどの地場衛宅の窓の外に映ってた夜景に、クリスマス的なイルミネーションが見えなかった事から、昨晩の時点ですでに『12月26日(金)』以降である事が分かり、つまり今日が、ちょうど放送日とリンクしてる「12月27日(土)」であると考えて間違いないものと思われます。

       ところで、元基は、そんなに大事なペットのカメを、いつもクラウンに置きっぱなしで飼ってるんですかね? ンな訳ないですよね? でも、『水槽をクラウンで洗う』という事は、普段から水槽がクラウンに置きっぱなしであるという証拠です。となると、水槽自体はクラウンに置きっぱなしだが、カメだけはバイトのたびに持ち運んでて、自分が帰る時に空の水槽をカウンターからどけてるのかもしれませんな…。それとも元基は、ひょっとすると住み込みのバイトなのか?!(←しかし、「アルバイト大募集!!」のポスターには、『住み込み可』みたいな条件提示はありませんな…)。おそらく…これはきっと、たぶん、ものすごくどーでもいいコトには違いありませんが、取り敢えず謎です…。

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       で、そのカメキチらしいカメを見たって言う人」の家…。

       三人がやって来たのは、大きなお屋敷みたいなところです…門が木でできてて、ものすごく古ぼけております。元基:「…ホントにここ…?」「……」。二人が地場衛の顔を見やると、地場衛は黙ってうなずきます…。門の外から中を覗くと、敷地内はかなり広く、生い茂った木々の陰から、三角屋根の洋館が見え隠れしております…。

       門を超えて中に入ると、うさぎちゃんは思わず息を飲んで、「…なんか…嫌な感じ…」(←あとあとのコトを思えば、ナニげにこれは『戦士のカン』だったのかも…)。元基:「……だね…」(←こちらは、あとあとのコトを思わなくても、単なるへっぴり腰かも…)。それから二人は、中腰になって、「…おい…、カメキチ…」「カメキチく〜ん」(←ってカメの名前呼んでどうする?)。「…カメキチ…」カメキチくん…」(←周りの不気味さに押されて、だんだん小声に…)。「……」(←こちら地場くんは、呼びもしなけりゃ中腰にもならず…。ナニげに、この二人を好きにさせてるんでしょうか?)。

       すると突然、かちゃりっ!という音が聞こえ、二人が恐る恐るその方向を見ると、そこには、洋館の窓からじーっとこちらを睨みつけてる男の姿が…(←不法侵入者かと思ったのか?)。それを見て二人は思わず、幽霊でも見たかのように、「きゃあ〜〜っ!」「うわぁ〜〜っ!」と一目散に逃げ出し、門をよじり登ろうとします(←ナンですか? ここは空き家だと思ってたんですかね?)。そんな二人に向かって、地場衛が呆れた口調で「よく見ろ!」と言います。

       二人が振り返ると、さっきは思いっきり睨んでたはずの男が、一転してものすごくさわやかな笑顔で(←めっちゃ好青年じゃないか…)、手に持ってるカメを、『ほら、これ…』みたいな感じで見せます。それを見た元基は、門から降りて「カメキチっ!」と叫びます(←って、そんな遠くからよく見分けがつくな…)(←て言うか、カメキチらしいカメを見た」って言うより、もう拾ってんじゃねーかよ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       玄関で、その好青年からカメを受け取る元基…。

       「良かったなぁカメキチ…いい人に見つけてもらって…」(←その「いい人」の顔を見て、悲鳴を上げてた人)「ホンットにありがとうっ!」。好青年:「飼い主が見つかって良かった。早くエサあげた方がいいよ」(←って、ちょっと待てっ! なんで『腹空かしてる』って分かんだ?!…てコトは、カメキチは昨晩失踪してから、一体いつからこの家にいるんだよ?! これはつまり、彼がカメを拾ってから結構な時間が経過してて、そしてその間、この好青年は何もエサをやってないって事じゃないかっ! そうでない限り、このセリフは絶対に出て来ないはずだ…まあ、もっとも、カメがナニ食うのかワシも知らんけど…。でも、そう言えばうさぎちゃんはAct.7で、「これ、カメさんのエサに」つってパンの耳をプレゼントしてたっけ…てコトは、たいがいのモンは食うんじゃないのか?)。

       おや? 元基が持ってる入れ物は、ふたの裏側にカメのイラストのアップリケが貼り付けてあり、その周りには赤いハートマークがたくさんありますね。これ、入れ物のサイズからしても、完全に『カメキチ持ち運び用』の入れ物ですな(←元基は、普段もこれでカメを持ち運んでバイトしに来てるんでしょうか?)。

       元基は、「それじゃっ(←好青年に向かって)お先っ(←うさぎちゃんと地場衛に向かって)と言うと、さっさと帰って行きます。「…『ええ?!』「…『おいおい…』(←みたいな二人)。するとうさぎちゃんは、「あ、私達(←たち?)もこれでっ」と言って、元基に続いてそそくさと出て行こうとします、がっ、すかさず好青年は、「ちょっと待って!」とうさぎちゃんを呼び止めます。「?」「?」(←あれ? 地場くんも?)。すると、ナンと好青年は、「…名前…聞いてもいいかな?…なんか…会ったコトある気がして…」と、よくある手口で、いきなりうさぎちゃんをナンパし始めたではありませんか(←だから、「早くエサあげた方がいい」とか言って元基を追っ払ったのか?!)。「?」「?」(←あのぉ…地場くんは別にいいんじゃない?)。

        ★  ★  ★  ★  

       で、居間に通されて、お茶するコトに相成りました…(←ナニげに、シャンデリアにクモの巣が張ってますな…

       「う〜〜ん…、会ったコト、あるかなぁ…(←真に受けるなよ)…えっと名前はっ?」(←これって、うさぎちゃんと地場衛はもう名乗ったあとなんですな?)。「…一応、シンってコトにしてるんだけど…『あの、オトコの方は帰ってくんない?』「一応…って…」「あ、いや、…実は…覚えてないんだ…」「えっ?」「記憶がなくなってるって言うか…。…自分が、何者なのかも分からないんだ…」だそうです。それを聞いてうさぎちゃんは、ふと、Act.9でタキシード仮面が言った言葉を思い出してます(↓)

       (回想シーン→)「どうしても幻の銀水晶を手に入れたかった…。オレが…何者であるかを知るために…」

       うさぎちゃんは、その言葉を思い出しながら、「…(心の声→)そっか…タキシード仮面と同じ…」とか思っちゃってます…。思っちゃってますけど、でも、あの時のうさぎちゃんは、タキシード仮面に「どういうこと?」と聞き返してたくらいですから、その言葉の意味を全く理解しておらず(←たぶん、今流行の『自分探し』的な意味にしか受け取れてないはず…)、まして『記憶喪失』などと解釈できたはずがないと思うんですけどねぇ…。それとも、単純なうさぎちゃんの事だから、シンが言った「自分が、何者なのかも分からない」という言葉を、タキシード仮面の「オレが…何者であるかを知るために」と勝手に結びつけちゃって、今初めてそう思い当たっただけなのかもしれませんが…(←そうだっ! きっとそうに違いないっ!)。

       ところでこのシンって人は、一体いつから記憶がないんでしょうかね? たとえば地場衛の場合は、アニメ版では、6歳の時に交通事故に遭い、その時に両親を亡くし、自分は助かったものの、記憶喪失になってしまいます…(※原作も同じ)。シンも、いくら自分の名前を知らないからって、『生まれた時から記憶喪失だった』なんてコトはあり得ない訳ですから、当然彼も、何歳かの時点から記憶を失くしてるはずなんですけどねぇ…。それとも、このドラマの世界の住人にとっちゃ、もはや『輪廻転生』は前提事項で、要するに『記憶がない』って言うのはもう無条件で『前世を知らない』って意味になるんでしょうか?…それ以外にワシ、この人達の会話の辻褄を合わせる事が出来ません…。

       そこでうさぎちゃんは、急にナニかひらめいてしまったみたいで、「ね? ちょっとでも覚えてるコトとかない?…場所とかぁ…そうだな…、なにか好きなものとか!」「…好きなもの?」…シンはそう言って、ちょっと考えてから窓の外を見やり、かすかに微笑を浮かべながら、「花…。…白い花とか…緑…。それに、海とか…」。その言葉を聞いてうさぎちゃんは、初めてシンの人柄に触れたように、嬉しそうな笑顔を見せ、「自然が好きなんだ…。それ手がかりにして…」。しかしシンはすぐに首を横に振り、「いや、いんだ。オレはこのままで…」「え?…『じゃナンでさっきは引き止めたのよ?!』(←やっぱナンパじゃねーかよっ!)。

       ※ ちなみに、これは今後の展開に絡んだ話なのですが、このシンのセリフ、「…好きなもの?…花…。…白い花とか…緑…。それに、海とか…」と言うのは、よくよく考えると意味深ですな…。単純に考えると、「白い花」はプリンセスで、「緑」はジュピター、「海」はマーキュリー…主にクンツァイトが絡むセーラー戦士は、ナニげにこの三人なんですよね…。でも、おそらく本当のところは、後々の展開から考えても、「緑」「海」というのは、まさに太古の地球そのものを象徴するものであり、それはすなわち地場衛を意味し、つまり、このシンのセリフは、『かつてのプリンセスとエンディミオンへの忠誠心』を暗喩してる言葉だったんですね。そして今、その二人が目の前にいる訳です。

       するとここでシンは、急に申し訳なさそうにそわそわとして、「引き止めて、ごめんねっ」(←全くだ…)と言って席を立ちます。「そんな…」…うさぎちゃんも席を立ち、「あきらめちゃダメだって! 私、協力するよっ。相談できる人知ってるから、そこ行こっ?」と言ってシンの手を引いて行こうとします。ところが、やはりシンは首を横に振って立ち止まり、「…オレは…、ここから出ちゃいけない気がする…」「えっ?」「……」。するとうさぎちゃんはシンの手を離し、「…そっかっ、じゃあ、ちょっと待って!」と言ってケータイを取り出してどこかへ電話します。

        ★  ★  ★  ★  

       電話に出たのは火川神社のレイちゃんです…「うさぎ?! アナタ今、どこにいるの?」(←なぜか声を殺して応対してると思ったら…)「!(怒)」(←ギロッと振り向く『巫女さん亜美ちゃん』と…)「!(怒)」(←同じく『巫女さんまこちゃん』…)。レイちゃんは、二人の怒りのオーラを背中でびんびんに感じながら、「…うさぎ、アナタが来ないから、みんな怒ってるのよ…」(←ひそひそ声…)「え?…」

       「うさぎから?」(←殺気のこもった低い声…)「!…『あっちゃぁ…』…レイちゃんはびくっとして、黙ってケータイをまこちゃんの方に向けます…「……」(←こういう時、普通ならレイちゃんが怒りそうなのですが、おそらくレイちゃんにとっては、いつも一人でやってる年中行事のお決まり仕事なので、誰がいなかろうが別に気にもしてないようですな。それに、レイちゃんは立場的にも『手伝ってもらう方』ですしね)。

       「うさぎっ! 今日は正月準備手伝うって話だったろ! アンタが来ないから一人で何本締めてると思ってんだよっ!」と、まこちゃんがリキんだ瞬間、締めてる最中だった注連縄(しめなわ)が留め金からすっぽ抜け、その拍子に「う゛わ゛っ!!」と台の上の物が散乱し、床に落ちた縄を亜美ちゃんが踏んづけて「アァッ!!」とスベり、運んでたお守り袋を入れ物ごとおっぽり投げてしまい、それがレイちゃんの頭の上に降り注いじゃってもう大パニックで御座います…「……」(←それを、まばたき一つせず、心頭を滅却して受け流してみせる火野レイ嬢…)

       「もしもし?!…あの、ごめんレイちゃん…もしもし?!」「いいわ。来なくて…。もう十分っ」(←心頭滅却しながら怒ってる…この人ならではの絶妙な表情だ…)。ぷつっ!(←いきなり電話を切られる)。「!!…『あっちゃぁ〜…』…ぷー、ぷー、ぷー、ぷー、…ちなみに、今日はやけに出番の少ないこの三人…で、まこちゃんはナニげにこれが初の巫女さん姿ですが、ねじりハチマキに黒のタスキがけまでしちゃってるので、なんか巫女さんというより、合気道かなんかの師範代か、お祭りの太鼓打ちにしか見えませんでした…ぐすん…。

       ところで、この火川神社における「正月準備」のシーンですが、まこちゃんは注連縄(しめなわ)作りをしてましたが、これは、もちろん神社などでは一年中飾ってありますが、レイちゃん達がここで準備してるのは一般家庭用の正月飾りとして使うものですね。これはだいたい、12月26日頃から30日までの間に飾るのがいいとされてるようです(←ただし、「29日」は『二重苦』とか言われ、「31日」だと元旦まで一日しかないため『一夜飾り』とか言われて、どちらも縁起が悪いので避けられるそうです)。つまり、これらの品々は、その期間中に神社の店頭に並べるために作ってる訳ですから、ここからも、先ほど検証したように、やはり今日は、今回Act.13の放送日である「12月27日(土)」であると考えて間違いないだろうという事になります。

        ★  ★  ★  ★  

       で、うさぎちゃんは「…『あっちゃぁ〜』…」と、かな〜り気まずそうにケータイを切ると、苦笑いしながらシンに向かって、「うふ、…えぇっと…、こっちはダメだったけど、大丈夫、私、なにか考えるね!」と言ってさっさと出てってしまいました。地場衛がそれを見て、いきなり席を立って「おいっ!」と声をかけますが、聞いちゃいません。

       シンは「はぁ…」タメ息をつき、「ホントにいんだけどな…。思い出さなくても…『て言うか、ナンでオトコの方が残ってんだよ…』と言ってイスに腰掛けます。そんなシンを見て地場衛は、「…(心の声→)コイツも、オレと同じ…」(←元基の恩人をつかまえて、いきなり「コイツ」呼ばわりかよ…しかもどう見てもシンの方が年上に見えるが…。あっ、そうか! 地場衛は、シンがうさぎちゃんをナンパしようとしてたの、ナニげに気付いてたんだな…)。実は、この地場衛のセリフによって、地場衛が『記憶喪失』だったという事実が、今回初めて明かされた訳なんですね。

       ところで地場衛は、こんなシンみたい人から、どうやってカメキチらしいカメを見た」なんて情報を入手したんですかね???…おそらくワシが思うに、きっと地場衛は昨晩、元基から電話をもらってからすぐに、得意のインターネットで(←DVD第3巻の特典映像を見てないと分からない話で恐縮ですが…)、一晩かけて『迷いペット関連』のサイトで情報収集してたんでしょうな…。で、そこにシンが情報を載せてたんですな…シンみたいな引きこもりなヤツが、インターネットやってない訳がありませんからな…(←あの『引きこもりの見本』みたいなゾイサイトだって、「星のまつり」のインチキサイトを立ち上げちゃってたくらいなんですからねぇ…)。それに、シンはさっき玄関で、うさぎちゃんを呼び止めて「名前」を聞いたのに、なぜか地場衛も同席したって事は、シンはうさぎちゃんだけでなく地場衛も呼び止めて、二人の「名前」を聞いてた事になります。すると、明らかにシンと地場衛も、これが初対面だった事になる訳です。となると、この二人は、それ以前はネットでコンタクトを取るしか情報交換する手立てはないはずで、そしてその際は、もちろんハンドルネームでやり取りしてたはずなんです。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       さて、うさぎちゃんですが…。

       「なにか考えるね!」と言って出ては来たものの、一体どうしようってんでしょうかね?…と思ってたら、地場くんもナニげにそれが気になるのか、うさぎちゃんの後ろから付いて来ちゃってます…。で、うさぎちゃんは、さっきからその気配を思いっきり背中に感じてて、いきなり立ち止まって振り返り、「ちょっとナンでついて来んのよ? 帰ればぁ?!」「…心配なんだよ…」「!……え?」(←どっきん…)。「オマエがアイツを困らせるんじゃないかと思ってな」(←やっぱり「アイツ」呼ばわりだ…)。「そんなコトする訳ないでしょぉ!…『妙な間を空けないでよっ、紛らわしいわね!…』

       「じゃあ、ナニをするのか言ってみろよ」「だから…」…うさぎちゃんはここで辺りを見回し、ナンと、すぐ真横に花屋さんがあるのを発見します(←それって、さっき、あのまま地場衛に気を取られて歩き続けてたら、完全に素通りしてたんじゃ…)…うさぎちゃんはその花屋さんを見て、シンの言葉を思い出します…「花…。…白い花とか…緑…。それに、海とか…」…で、うさぎちゃんは、地場衛には返事も返さず、とっとと黙って花屋さんに入って行きます(←完全に今思いついてんじゃねーかっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       うさぎちゃんは、白い花を一輪だけ買って店から出てくると、「シンくんはね、花とか自然が好きなのっ♪」自慢げに言います。すると地場衛は、「それを見せるだけか?」(←小バカにしてますな)。「ほか、にも、森とか(←厳密には「緑」っつってましたけどね)、海とか…」「アイツは外に出たがらない」(←小バカにしてますな)。「…『ちっ、いちいちうるさいわねっ!』…」…うさぎちゃんは振り返り、「分かってるモン! いい考えがあるのっ!…『ぷいっ』とまた歩き出します。

       ところで、この花はナンでしょうかね? ワシ、いい歳こいて生まれてこの方、一度も花など買ったコトがなく、ぜんぜん花の種類が分からんとです…一瞬チューリップのようにも見えましたが、ナニげに葉っぱの形が違うような気もするしなぁ…ま、いっか…。

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       うさぎちゃんが次に覗いたお店は、画廊(←アートギャラリー)です…。

       で、うさぎちゃんが嬉しそうに見つけた一枚の絵は、写実的な緑の森の風景画です。…で、その絵のタイトル「静寂の大地(Silent the Earth)」と言うプレートに書かれてる値段を見ると、「ええ?!……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん…『に、に、に、にじゅうまんえん〜〜っっ!!』…うさぎちゃんは何も見なかったかのように、「♪ふ、ふふ、ふふ〜ん♪」と鼻歌交じりに、とっととその場を離れます。そのあとから、地場衛がその絵を覗き込んでます…「……『ナンだ? オレがいつも盗んでる宝石よりずっと安いじゃないか…』

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       うさぎちゃんが次に向かったのは本屋さん…。

       絵画じゃ高すぎると思って、じゃあ本にしようと思ったらしく、うさぎちゃんが手にしたのは、けっこうデカくて分厚い風景写真集で、a collections of John Daniels photographs nature - という題名ですが、実在する本ではないようです。で、その本をぱっ!とひっくり返して裏側を見ると、「ななせんはっぴゃくえん?!」…うさぎちゃんは慌てて財布の中身を確かめると…「…(心の声→)あっちゃぁ…」。で、その後方では、地場衛がエロ本を立ち読みしながら(←うそ)、うさぎちゃんの様子を窺っております。

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       次に向かったのはCD屋さん…。

       DVDのコーナーに、「日本の自然6 富士山麓 川巡り 水紀行」というDVDが山積みにされております…(←まるで、Act.5の「J・Pトンプソン著『本当の友達になれる本』」並みの扱いですな…。壁には販促用のポスターまで貼ってあり、「待望のDVD化第6弾 ついに発売!」とあります…)…うさぎちゃんはそれを手に取ると、恐る恐る…そして思い切って裏返して値段を見ると…かんっ…!(←残念賞の音)…いくらだったのかは分かりませんが、タメ息をついてそれを元に戻し、ガッカリしながら行ってしまいました(←ちなみに、この手のDVDがいくらぐらいするのか? ざっと調べたところ、一番安いのでも三千円弱でした…となると、うさぎちゃんの財布の中には、3千円も入ってないってコトになりますかな…)。で、その向こうの方では、地場衛がヘッドホンして、大好きな演歌のCDを試聴しながら(←うそ)、うさぎちゃんの様子を窺っております。

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       で、結局うさぎちゃんは、文房具屋さんだかナンだか分かりませんが、「これっ、くださいっ!」と、絵葉書を二枚(←なんか知らんけどピンクの花と、海辺に貝殻が写ってるヤツ)、それをレジのカウンターにばんっ!と差し出します。その後ろでは地場衛が、今度は何もせずに、うさぎちゃんの様子を窺っております(←要するに、完全にストーカーです)。

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       で、どこだかの公園にて…。

       うさぎちゃんは手すりに腰掛けて、やっと買い集めた一輪の花と絵葉書二枚を眺めながら、「はぁ…」とタメ息をついております…。すると地場衛が横からその花を取り上げてまじまじと見つめます…。うさぎちゃんは、どうせまた嫌味を言われると思ったらしく、「ン、ナニよっ、これだって何かヒントに…!」と先手を打ちますが、「確かに、花の匂いとか、感覚に訴えるのはいいかもな?…」「え?」(←意外な答えに驚いちゃってます)。すると地場衛は、その花を持ったまま、さっさと歩き出してしまいます。「…ちょっとぉ…!」(←ブツを持ってかれちゃ、追っかけるしかありませんわな…)。

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       で、場所を移動して、いきなりバイクにまたがった地場衛が、うさぎちゃんに赤いヘルメット(←女性用?)を差し出してます…「海なんだろ? アイツが好きなの…」「あ…、うん…」「…早く乗れよ」(←相変わらず、けっこう強引ですな…で、うさぎちゃんも、やっぱりこの手のタイプに弱そうですな…)。うさぎちゃんは、そんな地場衛のペースに調子狂わされたみたいに、借りてきたネコみたいな感じになっちゃって、もじもじしながらヘルメットを受け取ります。

       ところでワシ、最初、このバイクは一体いつどこで調達してきたんだ?とか思ってたんですが、ナニげに今日地場衛が着てる上着は、いわゆる「ライダース・ジャケット」というシロモノのようで、要するに、バイクに乗る人が冬場に着る革ジャンみたいなモンだったんですな。つまり彼は、実は最初からこのバイクに乗ってクラウンに来てたという訳です。で、シンの屋敷というは、所詮カメが一晩かかって歩けるような範囲内にあるのですから、クラウンからそう離れてはいないはずで、つまり、この二人はさっきからずっと十番町内をうろうろしてたに過ぎず、当然バイクもその辺に止めてあったというコトのようですな。

       ちなみに、あとになって気付いたのですが、地場衛が最初にクラウンに入って来た時、彼、ナニげにキーホルダーを手に持ってましたね。

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       で、がちゃっ! ぶろろろろろぉぉぉ〜っ!と走り出す地場バイク…。

       …がっ!…ここでナニやら耳慣れないBGMが…♪じゃんじゃか、じゃんじゃか、じゃんじゃか、じゃんじゃか……ひゅるひゅるひゅるひゅる……「♪やぁっぱうーんーめいーねぇ、あーなたーとーでーすーてぃにーいーっ♪あーやまーらーなくーてぇ、いーよぉー、やさーしーくぅ、はぐしてぇっ♪やぁっぱあーつーあつーねぇ、あーなたーとーばーけーいいしょんーっ♪さーんぐーらーすしーてぇ、おーしゃあんらぶーつぅあーっあーっ、つーれてえってえーーっっ!!♪」…と言う訳で、バイクの二人乗りで海岸沿いの道路をかっ飛ばす二人なのでした…どうでもいいけど、まるで『夏休みのようにブッ飛んだ冬休みソング』ですな…要するに、これがうさぎちゃんの脳みその中身という訳ですか…。

 

        ★  ★  ★  ★  

       砂浜にて…。

       たぶん、そこら辺に落ちてたと思われるビンを拾って、その中に海水と貝殻を入れてるうさぎちゃん…。その横で、ナニやら沖を見つめちゃって、今にも『海のバカヤローっ!』と叫び出しそうな地場衛の図…。「…これで思い出してくれるといいなぁ…」。すると地場くんがぼそっと、「過去を思い出すのは、簡単な問題じゃぁない…」「?…」「…自分が何者か知るのは、怖い部分もあるしな…」と、ここまでは海を見ながらデカイ独り言のようにしゃべってましたが、今度はうさぎちゃんの方を向き、「オマエが宿題忘れるのとは訳が違うんだ」(←ここで嫌味かよっ!)。「ン、ナニよ?! それ?!…『て言うか、ナンで宿題のコト知ってんのよっ!』「…だからっ…、ダメでも…、…あんまりガッカリするなよ?」「え?!……う、うん…『ってナンなのよ? 今日のコイツは?! 人のコト上げたり下げたり…、て言うか、要するにツンデレ?!…』。二人は並んで…(←って言うか、かなり離れた位置に立ってますが)…一緒に海を見つめてます

        ★  ★  ★  ★  

       地場衛は、海岸道路の堤防(?)だか石垣のガードレール(?)だかの上を歩くうさぎちゃんに、「今から帰ったら遅くなるな…。シンにはあした渡せばいい」「うんっ」。するとうさぎちゃんは、ナニやらお店を見つけたらしく、「あっ、アレも買って行こうかなっ!」「あんなの海に関係ないだろ?」「いいのっ!」と言って堤防を飛び下りて行きます。

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       で、地場衛は先に一人で、バイクを止めておいたところの堤防に腰掛けて待ってて、そこにうさぎちゃんが戻って来ると、地場衛は、ナニやらうさぎちゃんをしげしげと見てますが?…ナニを買って来たのかと思えば、ナンと、肉まんだかあんまんだかを一個でした…(←って言うかそれ、「海に関係」あるとかないとかっつー次元のシロモンじゃねーだろがっ!)てコトは、さっきの会話の流れから、今の地場くんの表情にセリフをつけるとなると⇒「……『おいおい、それも明日シンに渡すのか? だったら蒸してない方のがよくね?』ってコトになりますわな…。…で、うさぎちゃんがそれを半分に割って片方を地場衛に差し出し、「…ちょっとはぁ、ありがとって言うか…」と言います…で、それを聞いた瞬間の地場くんの表情にセリフをつけるとなると⇒「……『なんだよ、今食うのかよ…ホントはそれ、全部一人で食いたいんだろ?』ってコトになりますわな…。

       それにしてもこの、「ちょっとはぁ、ありがとって言うか…」と言うセリフは、ナンとも含みのある言い回しですな。これはまるで、Act.7の「やだ、ナンでコイツにドキドキしてんのよ…」と、Act.10の「なんだろう…。なんかダメ…」を、ちょうど足して2で割ったようなニュアンスがありますな。この二つはどちらもうさぎちゃんが心の中でつぶやいたセリフですが、それを地場衛本人に向かって言うと、単に『礼を言う』のでさえ、こんなにも『素直じゃない』妙ちくりんな言い方になってしまう…みたいな…。そしてそれは、一方の地場衛が、今まではうさぎちゃんのやる事なす事をいちいち否定してきたのに、今日に限って妙に肯定するようなコトを言ってみせたりしてるのと、ナニげに呼応してるんですな。

       うさぎちゃんは手を差し出しながら、なんかもじもじした感じで、まともに地場衛の顔が見られない感じです…。やっと地場衛がそれを受け取ると(←おおっ! その瞬間、これが肉まんであるコトが、ちらっと見えた具の色から判別できましたっ!、うさぎちゃんもひょいっと堤防の上に腰掛けて、さっそく肉まんにパクつきます。それを見てから、地場くんも食べ始めました…「……『て言うか、なんで2個買って来ねーんだよ? これじゃ却って腹減るよ…』(←て言うか、結局この人、自分じゃビタ一文カネ出さないつもりみたいですな…)。

       ちなみにうさぎちゃんは、最終的に絵葉書を二枚買う前までは、写真集だのDVDだのを買うつもりでいたんですから、少なくとも千円単位のお金は持っていたはず…。ならば、そこから絵葉書代(←普通のなら高くても一枚150円くらい?)を差し引いたとしても、残りは少なくとも700円以上はあるはずですから、肉まん2個分(←これも普通なら一個110〜160円くらい?)のお金ぐらいは、余裕で残ってるはずなんですけどね?(←要するに、いわゆる小腹が空いたってヤツですかね? 今から家に帰れば、そろそろちょうど夕飯の時間だろうし…)。

       ※ ちなみに、肉まん絡みのエピソードと言うのは、アニメ版・第4話「うさぎが教えます! スリムになる法」に出て来てますね。そこでは、うさぎがダイエットをやめて肉まんを頬張りながら、「あぁおししい、やっぱり肉まんよねぇ…そうよ、若いんだもん、ちょっとぐらい太ってたって当たり前よ…」と歩いてると、道で出っくわした地場衛に、「よく食うなぁ、あぁ、共食いか、オダンゴ頭が、肉まん食って」「余計なお世話よっ、アンタに関係ないでしょ!」「そんなに食うと、ホントに肉まんになっちゃうぞぉ」。うさぎが「うるさいっ!」と言って肉まんを投げつけと、「おぉっとナイス・キャッチ! ご馳走様。一個でも減ればさ、その分太らないで済むってもんだぜ?」「もうっ、嫌味なヤツ!」。どうやら、うさぎちゃんが肉まんが好物だと言うのは、ここから来てるようですな。

 

       カメラが二人の背後から二人を映し出すと、さっきまでは誰もいなかった海に、いつの間にやらサーファー連中がうようよ出没して波乗りをしております(←て言うか、画面に映ってる限りじゃ、誰もボードに乗れてないんでいすけど…真冬にサーフィンするような人は、かなりのツワモノだとは聞いておるのだが…)。うさぎちゃんと地場衛は並んで腰掛けてますが、二人の間には、うさぎちゃんが肉まんを半分に割る時に置いた、シンのために集めた海グッズのビンが置いてあります…(←これが二人の仲を取り持って(←シンとして)、それでいて、尚且つ二人を密着させもしない(←クンツァイトとして)…ってコトですかね?)。

        ★  ★  ★  ★  

       さて、場面は変わってその晩…。

       その月の光に照らされて、シンが片ひざを抱えてイスに腰掛け、ナニやら様子がヘンです…。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃ダーク・キングダムでは、ベリル様が例の白い花に、青い息を吹きかけております…。ベリル様が持ってる花は、まだ開ききってない白バラみたいな花ですが、いずれにしろこちらの花は明らかに造花ですねぇ…。花の色が、とうとう青く変色してしまいました…。

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       そして、再びシンの部屋が映し出されると、そこにはもう彼の姿がありません…。そして奇妙なコトに、窓は閉まったままなのに、なぜかカーテンだけがかすかに揺れております…

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       夜道を、一人の女子学生(中学? 高校? 何しろ制服姿です)が、ケータイで話しながら歩いております…。

       「うん、今やっと練習終わった…。次の演奏会サトミ来れんの?…」(←彼女がもう片方の手に持ってるのはヴァイオリン・ケースですな)。どうやら部活の帰りみたいですが、彼女の学校には、ナンとオーケストラ部があるようですな。

       たとえば、ラッパ系や笛系などの管楽器と打楽器を使ったブラスバンド部(=吹奏楽部)ならどの学校にもありますが、ヴァイオリンなどの弦楽器も交えたオーケストラ部があるなんてのは、それ相応の学校なんじゃないでしょうかね?…で、彼女はその練習帰りのようです。しかし、この冬休みの時期にこんな夜遅くまで学校に行ってて、「演奏会」がどうたらこうたらと言ってると言うコトは、これは間違いなく、年の暮れに恒例の「第九」(←ベート−ヴェン作曲 交響曲 第九番 ニ短調 作品125 「合唱」)でしょうな。

       すると、突然彼女の行く手に、ナニやら怪しげな人影が立ちはだかり、じっと彼女を見つめております。「?…」。その男は、おもむろに自分の髪の毛を抜き取ると(←けっこう抜きましたな…)、白い手袋(←四天王仕様のヤツですな…手首に留めボタンのついてるヤツ…その合わせ目の隙間が時々穴に見えたりもするのですが、別に手袋に穴が開いちゃった訳じゃありません)をはめた手のひらの上に乗せると、それがスッと消え、次の瞬間、それが女子学生の首に巻きついて首を絞めたかと思うと、ナンと、そのまま彼女の首の中に溶け込んで消えてしまい、彼女は苦しそうにその場に倒れ込みます…彼女の落としたケータイの話し相手が、「もしもし?…アユミ?…。もしもし?」(←この2番目の「もしもし?」が別の女の子の声に聞こえるんですが…向こうは二人いたんでしょうか?)と言ってますが、もちろん返事はありません…。

       苦しそうに呻いていた彼女が、いきなりばっ!と顔を上げると、その目が紫色の光を放ちました。これは、ナンかされちゃったみたいです…。

       ところでさっきからずっと気になってたんですけど、この人、なんかどっかで見たコトあるような気がしてたんですが、なんかAct.3でレイちゃんに因縁つけてた凸凹コンビの片割れじゃないですかね? でも制服が違うので、これ、たぶんレイちゃんにガン飛ばされてから怖くなっちゃって、きっとあのあと転校しちゃったんですな…。てコトは、当初ワシが、あの凸凹コンビを「T・A女学院の文化部代表」と勝手に決め付けてたのが、偶然にも当たってたコトになりますなっ♪(←言ってみるモンだ…)。

       そうかっ! 分かったぞ…シンは一昨日の晩も、こうして夜の街を徘徊し、その頃はまだ「悪」になりきってなかったので、たまたま道で見かけたカメキチを拾って、家に持って帰ったんだな…つまり、実写版クンツァイトの初仕事は、『今日、私は迷子のカメを拾いました。早く飼い主が見つかるようにと、さっそく「迷いペット」のサイトに情報を載せてあげました』(←「クンクン日記」、12月27日付より)…だったのだっ!

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       その翌日…。

       おや?…シンくんが、門の方から屋敷に向かって歩いて来ますな…ナニやらボーっとうつむき加減で、トボトボと…。これ、昨日着てた服と一緒ですな…と言う事は、あのあと、そのまま今頃になるまでずっと帰って来なかったんですな…一晩中、一体どこでナニしてたんでしょうか?

       すると、ナニげに地場衛が先に来てて、ずっとシンの帰りを待っていたようです。地場衛はそんなシンを見て、「……『おかしいな? アイツは外に出たがらないはずなのに…』と思ってるはずなのですが、特にその事について詮索はしないみたいですね…。二人はシンの部屋の窓の下で顔を合わせます。昨夜シンのいたその部屋の窓辺のランプが、彼が失踪した時のまま点きっ放しになってます…。フッ、…そしてワシは学習したぞ…ナニげに今日の地場衛はバイクじゃないな(←ライダース・ジャケットを着とらん)。つまり昨日の地場衛は、元基の一大事で緊急事態だったからバイクでかっ飛んで来たんだな…(←口じゃ言わないし態度にも出さないが、なかなか友達思いのいいヤツじゃないか…)。

        ★  ★  ★  ★  

       部屋に入ると、地場衛はテーブルの上に、二枚の絵葉書と、あれ? 砂浜で石ころも拾ってたんですな…それが三つと、ビンに貝殻と海水を入れたヤツと、そして「白い花」を一輪、そっと置きます…「昨日一緒にいた子が集めたんだ…。オマエが、ナニか思い出すかもって…」「……『お、オマエだぁ?!…て言うか、それで…ナンでオトコの方が持って来るわけ?』…シンはその「白い花」を手に取ります。「オマエが自分を思い出すのが怖い気持ちは分かる…。…オレも最初はそうだった…」「…キミも?…」(←なのにこっちは「キミ」だ…『テメェも?』ぐらい言ってやれ好青年っ!)。「けど…自分から逃げるコトはできない…。たとえ記憶はなくても…。だから…」…ここでシンの方を見て、「オレは自分を追うことにしてる」(←言ってるコトはカッコイイですけど、その結果が「泥棒」じゃなぁ…まこちゃんじゃないけど…)。

       それに対してシンは、かすかに微笑みながら、「…そうだね…」と言います…しかしすぐに沈んだ表情になり、「…でも…、オレ(←一人称は「オレ」なのか好青年っ?!)がホントに怖いのは…、こういうものが好きな自分じゃ…、なくなるような気がするからだよ…」

       ちなみに、昨日までのシーンでは角度的に映ってませんでしたが、この部屋の窓の内側には、これ、ドライフラワーでも作ってるんでしょうかね? 英字新聞に包んだ花束が、いくつも逆さにして吊るしてありますな。

       地場衛はそれを聞いて一瞬「?」という表情をします。するとシンが、「オレ、…昨日夢で人を襲ってた…。…夢じゃないかも。……オレが、人間じゃないって言ったら…、…信じる?」…そう言うと、持ってた花が床に落ちて、その拍子に白い花びらが一つ二つ散ります。そのあと、急にシンが「うぅっ!…あぁ…うぅぅ…あぁぁぁ…!」と苦しみ始めます。「おい?!…『下痢か?』

       すると突然、窓も開いてない部屋の中に、ものすごいつむじ風が巻き起こり、どこからともなく黒紫の花びらが舞い上がります…その勢いで地場衛は吹っ飛ばされ、床に左肩から落ちて倒れます(←肩を打ったようだ)。シンは頭を抑えて苦しみながら、「来るなーっ!…オレに近付くなぁ〜っ!」と叫びます。「シンっ!『もらしたのかっ!』。ちなみに、この時シンが言った「来るなーっ!…オレに近付くなぁ〜っ!」と言うのは、目の前にいる地場衛に向かって言ったのではなく、実際は、自分を苦しめている相手、つまりクイン・ベリル(←シンがそう認識してるかどうかはともかく…)に向かって言ったんですね(←地場衛に向かって言うのなら、わざわざあそこまで絶叫する必要はないからです)。

       ところで、このシーンを見て初めて気付いたんですが、実はこの部屋には、アンティークっぽい木製の家具がいくつか置いてあったんですな…。でも、それらには全て、白い布がすっぽりと被せられてて、壁も白一色だったから、昨日は気付かなかったんです。で、それが今、風に吹かれて布がめくれ上がったので、そこに家具が置いてあった事が分かったんですが、と言うコトは、要するに、この家は普段、人が住んでないってコトなんですね? 最初にシャンデリアが映された時、クモの巣が張ってたのは、実はその事を意味してたんですな(←だからこの家には、紅茶だのコーヒーだのくらいは置いてありますが、食べ物は一切置いてないし、当然シンは自炊もしてません。だからカメを拾ってもエサもやれず、彼もそれを気にしてたからこそ、真っ先に「早くエサあげた方がいいよ」と言うセリフが出て来た訳です…まあ、そのお陰で元基も体良く追っ払えた訳ですが)。つまり、この家はそもそもシンの家などではなく、誰かの別荘か何かで、おそらく、ほとんど使われてなくて放置されてて、ダーク・キングダムが今年の秋から活動を開始した際に、どういう訳かクンツァイトだけが取り残されてしまい、勝手にここに住み着いて暮らしてたんですな。だからシンは、地場衛とは違って、6歳どころか、つい半年前の自分がどこで何をしていたのかすら知るはずがないんです。気が付いた時には、彼はもうここにいて、それも、つい最近のコトだったんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       場面変わって…「第35回 城南地区 学生定期演奏会」の会場…(←って、あれぇ? 「第九」じゃないのかなぁ?)。

       ちなみに「城南地区」と言うのは、東京都23区の南部(大田区、品川区、渋谷区、世田谷区、目黒区、港区)の通称なのだそうだ。

       昨晩の女の子「アユミ」ちゃんが、客席に座って聴いてます(←自分が出るんじゃないのか? それとも出番待ちか?)…その両隣に、同じ学校の子が座ってます(←この二人が昨日の電話の相手だな…やはりT・A女学院時代の相方じゃなかったか…彼女は転校しなかったんだな…。ちなみにこの子達が着てる制服は、Act.6で、ストリートバスケのタケルのファンの子も着てました。やはりあの子達は、近隣の学校の子達だったんですな)。…で、突然、「アユミ」ちゃんが苦しみ始めます。左隣の子が「だいじょうぶ?」と声をかけ、右隣の子(←声の感じからして、たぶんこっちが「サトミ」ちゃんだな…)が「アユミ? どうしたの?」と声をかけます。が、かなり苦しそうです(←ちなみに、この演奏会のパンフレットを「アユミ」ちゃんが持ってるんですけど、残念ながら曲目までは読み取れませんなぁ…。今演奏中の曲は「第九」ではないみたいですしねぇ…ま、いっか…)。

        ★  ★  ★  ★  

       次の瞬間、他のお客さん達が、「うわぁ〜っ!」だの「きゃぁ〜っ!」だのと、大パニックで出入り口から飛び出して来ました…。

       で、どんなすごいコトになってるのかと思ったら、ナンとあとから出てきた「アユミ」ちゃんは、ただ単に爪が金色になって長く伸びてるだけ…。ちょっとネイル・アートを自慢しただけかもしれないのに、みんなのこの慌てようは??…一体、中では何があったんだ?!…と思って、ちょっとワシ、出入り口から飛び出して来た人の数を数えてみたら、両隣に座ってた「サトミ」ちゃん達を含め、ナンとたったの15人でした…これがお客さんの全てな訳がないと思うので、他の人々は、きっと中で「アユミ」ちゃんの爪にやられちゃったに違いありません…おそらく中は血の海で、とてもテレビの前のよい子のみんなには見せられないような地獄絵図となってしまってるものと思われます…こわいですねぇ、こわいですねぇ…。

       すると、ちょうど偶然にも、たまたまこの「学生定期演奏会」を聴きに来ていたルナが(←って、ンな訳あるかっ!)、別の出入り口から出て来て、「たいへんだわっ!」と叫びます。

        ★  ★  ★  ★  

       一方、こちらダーク・キングダムのベリル様…。

       黒紫に染まった花が、一気に開花したようです…「…ようやくか…」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはシンの屋敷…。

       うさぎちゃんが、門を開けて敷地内に入って来ます(←どんな時でも遅刻して来るんだな…)。

       すると、どういう訳か、いつの間にやら地場衛が外に出て来てて、うさぎちゃんを出迎えます。「あぁ…遅れて…ごめん…。…シンくんはっ?」。地場衛は若干間をおいたあと、極めて淡々と、「…記憶が戻って出てった」(←え? そうなの?)。「えっ? ホントにっ?!」「オマエに感謝してた」(←って、それはウソだろ?)。「あぁ〜よかったぁ」(←単純…)。

       するとその時、うさぎちゃんのケータイが鳴ります。うさぎちゃんはケータイを取り出して地場衛に背を向け、2、3歩離れて電話に出ます…「もしもし…」「うさぎちゃんっ、たいへんよっ! すぐ来て!」「えっ?…わかった…」ぴるんっ!(←ケータイを切る音)…うさぎちゃんは地場衛の方を向き、極めて平静を装って笑顔を作り、「じゃあ、私、急ぐから」「ぁ、あぁ…」。うさぎちゃんは一度うなずいてから、門の方へと歩いて行きます。

       その場に残った地場衛の後ろに、シンのいる部屋の窓が見えるのですが、中のカーテンが相変わらず激しく揺れておりますな…これ、うさぎちゃんの位置からだと真正面で丸見えなはずのに、まったく異変に気付かなかったんでしょうか?(←って、気付いてないんだよなぁ…)…すると地場衛は、急に、さっき床に倒れた時に打った左肩を痛そうに押さえます。

        ★  ★  ★  ★  

       で、部屋の中では、やっぱりまだ、黒紫の花びらが渦を巻くように飛びかってて、シンが呻き声を上げながら床に這いつくばってるんですけど?…要するに地場衛は、この光景をうさぎちゃんに見せないようにするために、彼女に門前払いを食らわすつもりで外で待ってたようなんですが…。しかし、ナンとも奇妙な一連のやり取りだったと言うか…、まあ、うさぎちゃんを騙すための地場衛の演技が完璧だっただけなのかもしれませんが、あまりの緊張感のなさに、ワシ、てっきり、ホントに「記憶が戻って出てった」のかと思っちゃいましたよ。

       シンは床に倒れてもがきながら、まるで何かに救いを求めようとするかのように、うさぎちゃんから届けられた「白い花」をつかもうとしますが、手が届かぬうちに、うずくまってしまい、次の瞬間、「う゛わ゛ぁ〜〜〜〜っ!!」雄叫びを上げながら体を起こします。

        ★  ★  ★  ★  

       そのシンの雄叫びとシンクロするように、「学生定期演奏会」の会場ロビーの「アユミ」ちゃんも、「うあぁぁぁぁ〜〜っ!」と雄叫びを上げます。すると、その周りにいた人々が「キャ〜っ!」とクモの子を散らしたように逃げて行きます…ってアレ? 友達の「サトミ」ちゃん達もいますね?って言うか、これ全員、さっき会場から飛び出て来た人達ですね(←まだこの辺でウロウロしてたんですか?)。

       とそこへ、すでに変身済みのセーラームーンが駆けつけます(←おそらくこれは、人がたくさんいる会場に乗り込むので、事前に人目につかないところで変身して来たんですかね? 普段そんなコト気にもしてないのに…)。セーラームーンは、背中を向けて苦しそうにしてる「アユミ」ちゃんを見るなり、「この人…『Act.3でレイちゃんに因縁つけてた子…?』と言います。すると「アユミ」ちゃんは、セーラームーンの方を振り向き、涙を流しながら「助けて…」と訴えかけます…。「!……」「アユミ」ちゃんは「うぅっ…」とその場にうずくまり、長く爪の伸びた手だけが、白い獣の手に変貌します。

       そこでルナが、セーラームーンに状況を説明します…「セーラームーンっ、妖魔が乗り移ってるんじゃないわ。人間が妖魔に変わってしまったのよ」「人間が?! じゃあ、倒しちゃったら、彼女も?」「あなたの力なら、人間を傷つけずに、妖魔の力だけを封じられるはずよ。やってみて!」。そう言われて、セーラームーンが彼女の方を見ると、その子はもう、完全に『銀ギツネ妖魔』(←久々に命名しやすいぜ…)に変わってしまっておりました…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはシンの屋敷…。

       地場衛がシンの部屋に戻って来ると、いつの間にか中はもう風が止んでて、さっきまで床にうずくまって呻いていたシンの姿もなく、そこには、静かにじっと立ち尽くして、窓の外を見てる見知らぬ男が…。これは、昨夜「アユミ」ちゃんを襲ってた男と同じ服です。その男は、うさぎちゃんがシンのために買ってあげた「白い花」を、手の中で粉々に散らしてしまいながら、花びらを床に落としてます…まさに、「こういうものが好きな自分じゃ…、なくなるような気がするからだよ…」と言ってた通りの男になってしまったようです。

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       ダーク・キングダムでは、ベリル様が黒紫の花を見ながら、「目覚めたか…。四天王最後の一人…、クンツァイト!」

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       そのクンツァイトが、部屋に入って来た地場衛の方へ振り向きます。その顔を見て地場衛は、「…シン…」と言いますが、その男はニヤリと笑うと、「汚らわしい名で呼ぶな…」と言い捨てます。「!…」。するとクンツァイトは、いきなり持ってた剣を鞘から抜き、その剣波の勢いだけで地場衛を壁まで吹っ飛ばしてしまいました。「うあっ!」。壁に背中を打ち付けられ、苦痛に顔を歪めた地場衛がその顔を上げた時、そこにはもう、クンツァイトの姿はありませんでした。カーテンが揺れてるので、地場衛はとっさに窓へ駆け寄りますが、窓は開けられた気配すらなく閉じられたままです(←昨夜もこうやって出て行ったんで、カーテンが揺れてたんですな)。

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       こちらはセーラームーン…。

       ひたすら襲い掛かってくる『銀ギツネ妖魔』の攻撃(←ぜんぶ殴る蹴るばかりで、なんかワザ的な飛び道具はないのか?)を、これまたひたすらかわしまくるだけのセーラームーン…(←なんだかこの感じ、戦ってる場所の感じとかも含めて、Act.1の初陣の時みたいだな…)。「ルナっ、ホントに攻撃しちゃって大丈夫なのっ?!」「セーラームーンっ、力を信じて、やるしかないのよっ!」「わかったっ、ごめんねっ!」。セーラームーンはそう言って、初めて妖魔に対して戦う構えを見せます。

       セーラームーンは妖魔に向かって走り出し、「ふっ!」とジャンプして妖魔の頭上を越え、「ハァッ!『レイちゃんの仇っ!』と去り際に後頭部にカカトでケリを食らわします(←それって、わざと威力が半減するようにしてあげたのか? だとしたらものすごい高等技術だ…)。

       そしてすかさずスティックを構え、「ムーン・ヒーリ〜〜ング・エスカレーショ〜〜ン!」これって、やってるコトは結局、Act.1でなるママに取り憑いた妖魔を倒した時と、全く一緒のような気が…)。

       妖魔化した「アユミ」ちゃんを元に戻したセーラームーンは、すかさず駆け寄って無事を確認します…「うん、大丈夫みたい…」「よかったわー。でも、一体どうやってこんなヒドイことを…」。そう言われてセーラームーンがもう一度その子をよく見ると…、首にナニかが巻き付いてるのに気付き、首から取り外して見ます…「なに?…髪の毛?」「たぶん…それがその子を妖魔に…」

       すると、セーラームーンの手からその髪の毛がスッと消滅し、それと同時に、コツ…、コツ…、と靴音がしてその方を見ると、そこに、その術をかけた張本人が現れ、ゆっくりと階段を下りて来ます…「お前がセーラームーンか…」「…だれぇ?!」「ダーク・キングダム、四天王の一人………クンツァイト

       ナニげにこのシーン…。ワシは最初これを見た時、このセーラームーンの「…だれぇ?!」というセリフと表情が、妙に印象に残ってて、「なぜなんだろう?」とずっと考えておったのですが、実はこれ、Act.10でベリル様がセーラー戦士達の前に姿を現した時と、まったく同じリアクションだったんですよね。で、全く同じだったのはセーラームーンのリアクションだけじゃなくて、今回のこのクンツァイトの登場の仕方と名乗り方、これが、実はベリル様の時と全く一緒なんです。それではちょっとここで、Act.10のクイン・ベリル降臨のシーンを振り返ってみましょう(↓)

     「…ンフフフフハハハハ…お前がセーラームーンか!「!…だれぇ!?」「覚えておらぬか…そうだな、わらわも昔とは違う…お前達セーラー戦士も…」「なんのこと?!」「お前は…、まさか…」「フッ…我が名はクイン・ベリル…。闇の王国、ダーク・キングダムの女王!

       コレを見ても分かる通り、クンツァイトもベリル様も、まず、セーラームーンに向かって「お前がセーラームーンか」と言い、セーラームーンが「だれぇ!?」と聞いてます。すると、二人ともあくまでも勤務先「ダーク・キングダムと言うコトで、それぞれの役職と名を名乗ります…つまり、全く一緒なんです。それでは、一見ごく当たり前のように聞こえる、自分の勤務先「ダーク・キングダムと明かすコト自体に、一体どう言う意味があるのか? たとえば、ジェダイトくんがAct.7で名乗った時、彼は勤務先は告げず、自分の上司と役職、つまりクイン・ベリル様配下、四天王の一人としか言ってないんです(←ネフライトとゾイサイトに至っては、未だに自分の名をセーラー戦士サイドに名乗ってません。この二人は、それぞれセーラー戦士との初対面の時に「誰?」とも聞かれなければ、自らも名乗ろうともしてません)。ジェダイトくんなんかは、ジュピターに「妖魔」扱いされたから名乗ったようなもので、別に「誰?」と聞かれた訳でもありませんでした。そしてジェダイトくんにとっては、自分は「ダーク・キングダム」という悪の組織に所属してるのではなく、あくまでも「ベリル様」個人のものなのだと言う意思表示が、この言い方からもよく分かる訳です(←ただし、いきなりボスの名を暴露してしまうのは、悪の組織の幹部としては史上最悪ですが…)。そもそもジェダイトくんは、ひたすらベリル様のご寵愛を得んがために、ネフライトに対してライバル意識むき出しに働いてたのですから、それも当然でしょう。しかし、ゾイサイトはこの『色ボケコンビ』とは違ってました。何しろベリル様も、そんなゾイサイトに対し、「わらわの愛を得ようとせぬのは…気になるな…」と言ってましたからね。ですから、おそらくクンツァイトも、ジェダイト・ネフライトとは違うんじゃないでしょうか? つまり、クンツァイトがベリル様同様に「ダーク・キングダム」所属と名乗った意味は、ジェダイトくんとは逆に、自分にとっては「ベリル様」ではないと言う意思表示にも取れるんですな。そう考えた時、初めて、ジェダイトくんのあの『本来であれば最悪な名乗り方』が、何がしかの意味を持ってくると言う訳です。

       しかし、「名乗り」に関してのこのような傾向は、原作になるともっと顕著で、原作の四天王などは、誰一人セーラー戦士から名前を聞かれる事もなく、結局全員、お互いに一度も名乗る事なく倒されちゃってました。

       逆にアニメ版では、必ず初対面の時に名乗り合ってます。アニメ版は徹底的にセーラームーンが主役なので、四天王は全員、必ずセーラームーンと初めて会った時に、きちんとお互いに名乗り合い、最初のジェダイトが自分の名前しか言わなかった以外は(←実写版とは真逆の常識人です)、みんな勤務先と役職を名乗り、もちろん四人とも上司(=ベリル)の存在だけは伏せてます。しかしこれは、普通、どんなヒーローモノでも常識的な光景です(←ちなみに最近の連中はどうか知りませんが…)。ワシは、このアニメ版を先に見てたので、そのすぐあとに実写版を見た時、Act.4で、セーラー戦士が初めて敵の幹部であるネフライトと接触した時の、あのお互いの無関心さをずっと不思議に思ってたのですが、どうも実写版は、この、敵味方の「名乗り」に関する項目に関して、原作とアニメのテイストが、各キャラクターによってまちまちに振り分けられてたみたいなんですな。

       ちなみに、ここで特筆すべきは実写版のネフライトで、コイツはAct.9で、マーキュリーとジュピターがご丁寧にもきちんと名乗ってくれたにも関わらず、「ナニをわけの分からんコトを!」とかヌカシて、自分は名乗り返そうともしませんでした。このバカはきっと、日常会話においてすら、『はじめまして』とか『こんにちは』みたいな基本的な挨拶すら、一般常識として脳みそにインプットされてないに違いありません。

       で、クンツァイトはそう名乗ると、マントの下に隠れてた剣の鞘を、かちゃっ!と見せ、それをゆっくり引き抜いたかと思うと(←て言うか、お侍さんみたいに腰に下げてはおらず、鞘ごと手に持ち歩いてるんですな? コレだと普段、邪魔じゃない?)、いきなり素早くしゃっ!と構え、ぴきーんっ!と、またしても剣を振った勢いの剣波だけでセーラームーンを床に倒してしまいます…「あっ!…うっ…」

       するとクンツァイトは、例の髪の毛を取り出して手のひらに乗せ、セーラームーンに吹きかけようとします。そこへタキシード仮面がノコノコとやって来て、「はっ…!とその現場を見つけると、待てっ!」と駆けて来ますが、一足遅く、クンツァイトは「ふぅっ」と息を吹きかけてそれを飛ばし、セーラームーンの首に巻き付けてしまいます。「うっ!……」「これはっ! さっきのっ!」「…取れない…!」セーラームーンは懸命にそれを外そうとしますが、とうとう首の中に溶け込んで消えてしまいました。「セーラームーン!」…タキシード仮面が駆け寄ります。

       するとクンツァイトは、不敵な笑みを浮かべながら、「私からの挨拶代わりだ…」と言って、余裕かまして去って行きました…って言うか、今、彼、消えたよね? ゾイサイトが「心を飛ばす」よりも、極めてすんなりと消えて行きましたよ?(←ジェダイトくんやネフライトは、いつも徒歩でお帰りだったのに…

       ところで、ナニげに今回、初めてタキシード仮面はセーラームーンを助け損ないましたな…。しかし、ついさっきまでクンツァイトに襲われてて肩を痛め、そのクンツァイトは空間移動で、片やタキシード仮面は『タキちゃん走り』ですから、遅れて来るのも当然です。

        ★  ★  ★  ★  

       タキシード仮面は「セーラームーン、セーラームーン!」と肩をゆすって起こそうとします。すると、セーラームーンは目を閉じたままスクッと立ち上がり、閉じてたその目が開いた時、さっきまで妖魔化されてた「アユミ」ちゃんと同じように、目が青く光ります…で、セーラームーンの目つきがいつもと違ってます(←こ、これはっ! Act.11で、マーズがゾイサイトに操れらてた時の「操られ顔」だっ!)「……『私もコレやりたかったのっ(←ちなみに、あの時のマーズに次ぐくらい、いい表情です)。「セーラームーン…!」「たいへんだわ! セーラームーンが、妖魔になってしまうぅっ!」

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、お正月?って言うか、この続きだっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ルナ(声・潘 恵子さん):「」『』

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2008年12月27日(土)初稿 トモロー]


Act.14:セーラームーンが妖魔に!?編

 

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     今回レビューしたAct.13は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第4巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第4巻 作品本編(4話収録)

 

Act.13 Act.14 Act.15 Act.16 

毎回映像特典(10分)

 

「セーラームーン」におしおきよ 沢井美優北川景子A

Act.13 ゲストキャスト

 

アユミ:

国光レイナ

所属事務所 SRプロモーションの公式プロフィール▼

 

セーラー戦士アクション:
妖魔アクション:

三宅綾子

永瀬尚希
中島俊介
伊藤由紀子

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