―実写版セーラームーンを検証する―


Act.2:セーラーマーキュリー登場編――

 

       本稿は、2003年10月11日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第2話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       うさぎちゃんが前回のあらすじを紹介して始まります。「私は月野うさぎ。不思議なぬいぐるみネコ、ルナと出会って、ナンと、セーラー服美少女戦士(←これって月の王国での公式の役職名なのかしら?)、セーラームーンに変身しちゃいましたっ。妖魔っていう敵を倒して、なるちゃん達を守ったんだけどぉ、戦いはまだ始まったばっかりってカンジ。仲間の戦士も見つけなきゃいけないみたいだし、なんだか心臓バックバクですっ!」(←「みたいだし」ってアナタ…いかにもうさぎちゃんらしい、緊張感に欠けた、テキトーな解説なのでした…)。

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       オープニング開けはダーク・キングダムの基地…。

       ベリル様(←なぜか違和感なく「様」付けで呼んでしまう…)は開口一番、「ジェダイト(←やっぱりジェダイトでした)…、セーラー戦士の一人が目覚めたというのはまことか?」「はい、セーラームーンと名乗りました」「!…あの小娘らが再びあたしの前に現れるとは…。おそらくはあやつらの狙いは…」(←ベリル様はセーラー戦士について、かなり色々知ってるみたいですねぇ…当の本人が何も分かっちゃいない様子なのに…)。「よいかジェダイト! お前は今まで通り、人間どものエナジーを集め続けよ」「はい」。ベリル様は魔法で、なんか鉱石みたいな石を出し、それをジェダイトくん(←なぜか「くん」付けで呼びたくなってしまう…)に、放射転送して渡します。「エナジーを集め続ければ、やがてこの地球に滅びの日が訪れる…」

       …ここで、地球全体を、ナニか青い炎のようなものが包み込んでる映像が挿入されます…

       「…最良の破滅だ!(←言ってる意味がよく分かりませんが、取り敢えずジェダイトくんがエナジー集め担当という事だけは分かったので一安心です)。

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       場面変わって「カラオケ・クラウン」…。

       …んん?…このカメはいったい?…うさぎとカメだから?…で…、それを愛おしそうに眺めてるこの妙な野郎は?…、まさか元基お兄さん?!…じゃないよねぇ?…カメ飼ってニヤつくような人じゃねーもんな。するとそこへうさぎちゃんがやって来て、その受付の男に「はい」と会員証を見せます(←制服姿です。カバンからルナが上半身を出してます)。「いらっしゃい」(←やや無愛想なヤツ…)。うさぎちゃんは、その会員証をしつこく「こ〜れ!」と見せます。よく見るとその会員証(←PASSPORT)には、なぜかド真ん中にルナの顔のイラストが描いてあり、その両脇にセーラームーン・マークがあしらわれ、「入会1年間有効」となってます。「年間パスポート?…ふ〜ん、じゃあ、どうぞ」「ありがと」…うさぎちゃんが笑顔で受付を通り過ぎて行くと、その受付の男は、「年間パスポートなんてあったっけなぁ…?」首をひねってます(←こいつ、明らかにぺーぺーのバイトだな…で、うさぎちゃんと面識もなさそうなところを見ると、やっぱ元基お兄さんじゃなかったな…よかった、よかった…)。

       うさぎちゃんは一度振り返って、『しめしめ…』みたいな笑みを浮かべると(←やっぱインチキ・パスポートかよっ!)、ドアを開けて部屋に入ります。すると、ナンと、うさぎちゃんが入った部屋のドアがぴろんっ!と消えてしまいました。中に入ると、「すっご〜い!」そこは更に地下室になってて、白を基調にした、ちょっとしたオシャレなラウンジ風の部屋で、カラオケ用の小さな円形のステージもあり、カウンターにはポップコーンなどのお菓子類も用意されてます。

       「いいなぁ〜。ここって、ルナが作ったの?」「ちょっと、スペース借りたの!(←って人んちの地下を勝手に掘るなーっ!)うさぎちゃん達戦士だけしか入れないし、分からないようになってるから」「ふ〜ん…」。どうやら実写版では、この「カラオケ・クラウン」がセーラー戦士の秘密基地(兼たまり場)として使われるようです。

       このカラオケ・ボックス…前回は、クラウンの事業拡大かと思いましたが、どうも逆のようですな。ワシの勝手な想像では、ゲーセンとフルーツパーラーを潰して売りに出し、地下だけ残してカラオケBOXに鞍替えした模様です…やはり時代の流れと不況のせいでしょうか?…もはや質のいいバイトすら雇えないみたいですからねぇ…。ただ業種は何であれ、クラウンそのものがなくなってしまうとセーラー戦士達が非常に困るので、ナンとか持ち直して欲しいものです。

       うさぎちゃんは、「ルナカラ」と書かれたカラオケのメニュー本をめくり、「ああっ! 愛野美奈子の新曲も入ってる〜」「ここでなら、秘密の話も出来るでしょ?」『うんうん(笑)』「私達の使命は、目覚めようとしてる巨大な悪のカタマリを封じることよ。でもそのためには、プリンセスと、幻の銀水晶を探さないとぉ……あ、うさぎちゃんっ、ナニしてるの?!」。うさぎちゃんはルナの話も聞かず、勝手に変身ケータイで衣裳替えしてカラオケを歌おうとしてます「さっき道ですれ違った人カッコよかったからさ、これイイよぉ〜、なんにでも変身できるモンね!」「うさぎちゃ〜ん、これは遊びじゃないのよ」「分かってるけど…むずかしい話は、ちょっと苦手かな…」

       「も〜う…、とにかく、敵は人間のエナジーを集めて、悪のエネルギーにしてるわ(←「エナジー(=Energy)」と「エネルギー(=Energy)」の違いってなんなんだ?)。今は、街の人たちを守ることが、セーラー戦士として」「ああっ!!」「な、なななな、なんなの!?」「あしたテストあるの忘れてた!」…うさぎちゃんはいきなりカバンの中身をテーブルの上にぶちまけて大騒ぎ。「ああ!」「どうしよお! 覚えきれな〜い」「あぁ…はやく…仲間の戦士見つけなくっちゃあ…『トホホ…』ルナ、がっくし…。

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       日付変わって十番中学…。

       学校の廊下に、「第二学年 中間考査(←中間テストのコトだよね?)成績上位者」が貼り出されてます(←上位20名です)…って、まさかこれが「あしたテストあるの忘れてた!」って言ってたそのテストじゃないよね?! いくらうさぎちゃんでも…。で、もちろんトップは我らが亜美ちゃん!(イヤッホ〜イ!)「国語→100点、数学→100点、理科→100点、社会→100点、英語→100点、総合→500点」…つまり、全部100点満点っ!(←「どうせフィクションだから」って分かってるはずなのに、なぜか本気で「すげぇよなぁ〜」と感心してしまうワシ…)。

       そして、その表を見に来たうさぎちゃんとなるちゃん…。「すっご〜い、なるちゃん15位!」「たまたまだよ…」「たまたまでも載りたいよ…あたしなんてさ…(←ってナニ探してんだよアンタっ!)…ああ〜またママに怒られるんだろうなぁ…」…思わずその場にしゃがみ込むうさぎちゃん。「それよりまた一番だよっ、ウチのクラスの天才!」「ああ…水野さんねぇ…。すっごいよねぇ…」(←ナニげにこの会話は、この二人が、うさぎちゃんが表の順位を上から見て、なるちゃんが表の順位を下から見ていったコトを物語ってますな…それはすなわち、うさぎちゃんが単なる野次馬なのに対して、なるちゃんの方は、めっちゃ謙虚ではありますが、明らかに何かを期待してる証拠でもあります…つまり単なる野次馬で見に来たんじゃありません…つまり…「たまたま」じゃねぇ…)。

       で、ふと見ると、遠目に亜美ちゃんが見に来てます…って、模試じゃあるまいし、全部満点で当然トップと分かってるはずなのになぜ見に?(←答案はいつ返されてんだ?)…これってヘタしたら、ものすご〜く嫌味な光景になってしまいますが…まさか「メルクリウス」チェックか?!(←「メルクリウス」とは、「模試荒らし」の異名をとる亜美ちゃんのライバルが使ってるペンネーム)(↓)

1.       で、ちなみに、2位の「松田 海」(←まつだかい?)というヤツが、総合点では「478点」と22点も差が開いてますが、各教科ごとに見れば、社会が「100点」で、それ以外も「数学→97点、理科→98点、英語→98点」と、それぞれ「あわや」という点は取っている…しかしこいつは国語がネックらしくて「85点」、つまり典型的な「理数系野郎」で、おそらく文章読解問題が完全にパーなのに違いない。こればっかりは努力してもどーにもならんから、とうてい亜美ちゃんの敵じゃねぇ。

2.       続いて、その「松田 海」に3点差で3位につけてる「青木由以子」は、「国語→98点、社会→98点、英語→99点」ながら、「数学→87点、理科→93点」と、こちらは逆に理数系を苦手とする「文系少女」だ(←ワシも完全にこのタイプだが、もっと低得点で文理格差も天地だ…)、これも持って生まれた資質で努力じゃどーにもならん(←て言うか、ならんかった…)。4位以下の連中も、おおむね得意不得意にばらつきが見られますな…。

3.       ついでだから、なるちゃんのも見てみよっと…。ふむふむ…「国語→87点、数学→92点、理科→86点、社会→89点、英語→96点」か…英語が一番良かったみたいですが(←ちなみに原作では英語「85点」でした…つまり、「たまたま」ってのはこれのコトか?)、他はだいたい90点前後で、さほどばらつきは見られませんな…。ナニげに女子だけだと11位(←「渋谷 樹(いつき? たつる?)」が女なら12位)…て言うか20位中女子が15人?(←同16人)…十番中は男がだらしないですな。1組だけだと6位(←同7位)で、そのうち女子だけなら3位(←同4位)…亜美ちゃんを例外とすれば2位(←同3位)ですか…そう考えると、なるちゃんもすごいですな…。

       まあ、要するに、この十番中には、亜美ちゃんのライバルと目されるような生徒は一人もいないようだ…。

       ちなみに、どうでもいいんですけど、この「中間考査 成績上位者」の表…。ナニげに順位の数字が間違ってますな。「3位」の「青木由以子」が同点じゃないのに「2位」になっちゃってて、で、次の「4位」が「3位」になっちゃってて、その次が「5位」で、「4位」が抜けちゃってます。しかしコレを見る限り、やはり実写版には海野は出てこないみたいですね(←って別にいらねーけど…)。

       そんな亜美ちゃんを見てうさぎちゃんは、「でも、ぜんぜん嬉しそうじゃないけど…」。するとそこに、さらにクラスメイトが二人来て、「そりゃあそうだよ、一年の時からずっとだもん」と話し始めます…「勉強ばっかしてるし。あのアルトゼミナールにも通ってるんでしょ? 超〜有名な塾!」「他に興味ないんじゃないかな? 友達いないし…」

       そう噂してると、亜美ちゃんの周りに取り巻きが現れ、「水野さぁん、すごいねぇ、また一番だよぉ」「ねえ? どういう勉強してんのぉ? 今度一緒に勉強しようよ」「ね? いいでしょ?」「ねぇ? ヤマとか教えて?」(←ばっきゃろー! 亜美ちゃんに山掛けなんて必要ねーんだよっ!)だのなんだのと話しかけてます。それを見てうさぎちゃんは、「でもあの人たちは?」「あれはぁ…水野さんのお母さんが有名なお医者さんだから、そっち系狙ってる人が近付いてんの」(←ってどういう意味? お近付きになってコネでも作ろうってコト?)。

       亜美ちゃんは取り巻きに向かって「ごめんなさい」と言うと、いそいそとその場を去って行きます。「普通はちょっとねぇ…取っ付きにくいもん」「お嬢様なんじゃない?」(←これ言ったの、なるちゃん?…「いい子」なのはうさぎちゃんに対してだけで、あとは至って「普通の子」というコトか?)。「やめなよっ、聞こえるって!(←聞こえなきゃいいんかいっ!)…でもまあ、こんだけ頭いいと、別世界の人だけどね…」

       ちなみに原作やアニメ版の大阪なるも成績は優秀な方でしたが、性格はおっとりタイプの「お嬢様」だったんですよね。でも実写版では、家自体は「お嬢様」なのに本人にそういう感じは全くなく、言動もハキハキしてて活発な印象を受けます。これはもしかすると、ナンとなく、『実写版の亜美ちゃん』とキャラが被らないように配慮されてるのかもしれませんな…。アニメ版の水野亜美は、「取っ付きにくい」と言うよりは「近寄りがたい」という感じで、言動そのものは自信に満ちてる印象がありました。でも『実写版の亜美ちゃん』は、前回も思ったのですが、ちょっと暗い感じがしますねぇ…。実写版はクラスを一緒にしちゃったので、なるちゃんがアニメのままだと、同じクラスに「可愛くて成績優秀なお嬢様」が二人いるコトになっちゃいますしねぇ…。

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       お昼休み…。

       うさぎちゃんがフォーク片手に「ずんずんずんずん…♪」と言いながら、クラスメイトのお弁当のおかずを突っついて「いただきぃ〜っ!」と盗み食い…「ああ〜っ!」「ナーニやってんの全く〜」「好きなんだモ〜ン♪」(←うさぎちゃんはミートボールが好きという事実が判明…うさぎちゃんは右利きですな)。

       そんな感じで、みんながワイワイガヤガヤと思い思いに談笑しつつ昼食をとっている中、亜美ちゃんはコンビニ袋(?)と参考書を持って、「…『ふぅ…これじゃうるさくて予習復習ができやしないわ…』という感じで一人教室を出て行きます。おそらく、このクラスでは、このような光景が一学期から毎日のようにずっと繰り返されてきたはずですが、ナニげに今日は、さっきの一件があったせいか、うさぎちゃんはふと、そんな「水野さん」が気にかかった様子です…「……『うるさいって…要するに私のコト?…』

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       校舎の屋上にて…。

       一人寂しく昼食をとる亜美ちゃん…やっぱりサンドイッチ片手にお勉強しながらですね。読んでるのは数学の参考書(←文系120%のワシには全く意味不明で、見てるだけで頭痛がしてくる代物です…)。ちなみにこの本は実在する本で、「新数学勉強法―時代が数学を要求している (ブルーバックス 7)(講談社)という本です(←これでキミも亜美ちゃんになれるぞっ!)。亜美ちゃんファンなら、ぜひ押さえておきたい必須アイテムですねっ!(←ちなみにワシは、これだけは……でも…やっぱナニげに、『亜美ちゃんグッズ』としてなら欲しいかも…)。

 

       次に、横に置いてあるサンドイッチとカフェオレが映されますが、やはり登校途中のコンビニで買ってきたものですな。「お母さんが有名なお医者さん」なので、朝、お弁当を作ってられないほど忙しいんでしょうな。で、こうやって一人で屋上で食べるのは、静かに勉強ができるからというよりも、自分が一人ぼっちである事を意識させられずに済むからで…つまり、亜美ちゃんは寂しがり屋さんだというコトですな…。決して一人になりたいのではなく、心のどこかで、ホントは一人になりたくないと思ってて、でも自分ではそれをどうする事もできなくて、それでいたたまれなくなって屋上に避難してる…だからいつも表情が暗いんですな。

       すると、その様子を、ルナがピョコピョコとやって来て、なにやら遠巻きに観察しております…「うさぎちゃん以外の反応があると思ったら…、もしかして…!(←額の三日月が青く点滅しております…これが『セーラー戦士注意報』の合図のようですな…)。

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       下校時にて…。

       前回、うさぎちゃんがルナと出会った通学路の歩道橋を、亜美ちゃんが一人で歩いております。すると、途中で亜美ちゃんがふと立ち止まりました。ナニやら前方に不審なモノを発見した様子…けっこう遠目に様子を伺っております…「……『やだ、なにかしらアレ? 猫の死骸だったらどーしよう…』(←みたいな?…ンなバカな…)。どうやらルナが、ぬいぐるみの振りをして…(←って言うかぬいぐるみなんだけど)…亜美ちゃんを待ち伏せしてる模様です。

       ちょうどその頃、うさぎちゃんがなるちゃんとバイバイしてその歩道橋を渡り始めました。ふと見ると、亜美ちゃんが、道に落ちてるぬいぐるみの前にしゃがんで、覗き込むようにして観察してます…「……『まさか爆発物でも仕掛けてあるんじゃ…』(←みたいな?…ンなバカな…)「ルナぁ?…どうして…?」

       亜美ちゃんは、それがなんの変哲もないぬいぐるみだと確認すると、「持ち主とはぐれちゃったんですか?」と、ナニやらぬいぐるみに話しかけちゃってます…それから両手で拾い上げ、優しく埃をはらってあげながら「…困りましたね…」と言うと、歩道橋の手すりの上の埃をはらってそこにそっと置き、「はいっ、ここで待ってれば、きっとお迎えに来てくれると思いますよ…『ニコッ』って、もう完全に迷子の子猫扱いです。

       その様子を遠目から不思議そうに見ていたうさぎちゃんが、「水野さぁん、ありがとう、それ、私のなんだっ」と声をかけます。すると亜美ちゃんは、うさぎちゃんの顔も見ず、「あぁ…、そぅ…、落ちてたから…」とそそくさと行ってしまいます。うさぎちゃんはルナをつかんで亜美ちゃんの後を追います(←こちらはもう完全にぬいぐるみ扱い…片手でひっつかんでブンブン振り回してます。…ルナ、今度生まれて来る時は、もっといい人に拾ってもらうんだよ…)。

       「あのさぁっ、水野さんて…ぬいぐるみに、敬語つかうんだ?」「あ、…あれはぁ…、知らない子だったからっ…『厳密に言うと丁寧語よ…』「知らない……子?!」「…『な、ナニよ、悪い?』「うふはっ、水野さんって面白いねっ?!」「……『別にボケかました訳じゃないわよ…。ちょっと、からんでこないでよォ…』

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       その後、天真爛漫のうさぎちゃんに付きまとわれて、やや困惑気味の亜美ちゃん…。

       終始うつむき加減で、時々目だけでちらちらとうさぎちゃんの様子を伺ってます…「じゃあ…、私、塾があるから…」と別れ際もそんな感じ…一方のうさぎちゃんは笑顔で「うんっ」と手を振ります。

       その直後、歩き去ろうとする亜美ちゃんの耳に、ふと愛野美奈子の曲が聴こえてきて、「…『あ…』という感じでレコード店の前に立ち止まり、「待望のニューアルバム VENUS」と書かれたポスターを見上げます。03.09.24 IN STORE」とあり、これは前回のAct.1のちょうど10日前です…つまり、発売からもう2週間以上経ってますな…。「…『これね? いつも月野さんがみんなと大騒ぎしてる愛野美奈子の新譜って…』

       するとその後ろからうさぎちゃんが、「あれ!? もしかして愛野美奈子好きなの? へぇ〜意外」「…『な、ナニよ、まだいたの?』「私もすっごい好きっ、いいよねぇ〜」「…『別に月野さんほど「すっごい好き」って訳じゃ…』…亜美ちゃんはうなずくでもなく否定するでもなく、暗記する時に、この人の声がはまるから…『要するに、「ながら勉強」のBGMにうってつけってだけよ…』「あんき?!…ん、やることが違うな…あっ、このあいだ出たセカンドアルバムは? 買ったっ?」。ちょっと間をおいて、伏し目がちに首を横に振る亜美ちゃん…「…『だからCD買うほどファンって訳じゃ…』

       するとうさぎちゃんがカバンの中からMDを取り出し、「じゃあ、これ! セカンド入ってるから貸してあげるっ、はいっ」「…『いや、だから別に…』「うふふ、亜美ちゃんっ」「!……」。愛野美奈子をきっかけに急に親しみが沸いたのか、極めて自然に「亜美ちゃんっ」と呼びかけたうさぎちゃん。一方、今までそんな風に呼ばれたコトがないらしく、ちょっとびっくりしちゃってる亜美ちゃん。うさぎちゃんは、そんな亜美ちゃんの手を取り、「あ、私のことも、うさぎって呼んでよっ」と言いながら、強引にMDを持たせて渡してあげます。亜美ちゃんは、喜ぶでもなく礼を言うでもなく、なにやらドギマギしながら「それじゃあ…」と行ってしまいました。その背中に向かってうさぎちゃんは、「じゃあ、あしたねっ。あとさ、今度一緒に、お弁当食べよっ!」「……」。亜美ちゃんはいったん振り向きはしますが、やはり黙ったまま行ってしまいました。しかし、うさぎちゃんには見えなかったものの、最後にはちょっと嬉しそうな表情を浮かべます。

       亜美ちゃんが去った後、うさぎちゃんはルナに向かって、「なんか、水野さんて、ぜんぜんみんなが言ってるような子じゃないよ? 面白いしっ、ホントは普通の子なんじゃないかなぁ…」「普通じゃないわ」ルナはそう言うと、うさぎちゃんの腕からぴょこんと飛び降ります。「!…どうして?」「彼女、戦士だもの…亜美ちゃんの後ろ姿を見送った後、ルナはうさぎちゃんの方を振り向き、「見つけたわ! 二人目っ!」ルナの三日月ががんがんに光っております。「えっ!? ホントにっ?!」。…って、どうでもいいけど御二方…そこ、思いっきり商店街のど真ん中っスよ…。

       それにしても、「待望のニューアルバム VENUS」って…、そんな「いかにも」なタイトルつけちゃって大丈夫なんでしょうか…?

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       亜美ちゃんが通ってる塾は、名門「アルトゼミナール」…。

       やはり、アニメ版時代に通っていたクリスタル・ゼミナールも潰れたか…これは少子化の影響だな…まあ今時フロッピーディスク使ってるとこなんてないしな…(←ちなみにワシは使っとるがな…)。

       まるでオフィスビルのような感じですな…亜美ちゃんが正面の入り口から入って来ました…私服に着替えてるので、いったん家に帰ってから来たようです…他の生徒も制服着てる人はいないみたいです(←「ゼミナール」と言う位だから、塾と言うより、これは要するに受験予備校ですな…)。で、亜美ちゃんが入り口を抜けてロビーを歩いてると、塾の講師らしき女の人が「水野さん!」と声をかけます。亜美ちゃんが立ち止まって軽く会釈すると、その先生は近付きながら、「このあいだの模試また最高得点よぉ!」と言います。「……『って、先生、声デカすぎ…』「このレベルだったら高校どころか大学だって受験、できるわよっ」

       一方亜美ちゃんは小さい声で、「でも…医学部志望ですから、まだ…『ほら、みんなから後ろ指差されちゃってるじゃないのよォ…』「うふっ、大丈夫よぉ…。ね? でもどうしてそんなに医者になりたいの?」「母の、希望なんです…。私も、母に喜んで欲しくて…」「うふっ、親孝行なのね?」「私、勉強くらいしか、取り柄ないですから…」と言いながら、急に亜美ちゃんはごそごそと手提げの中をあさってMDを取り出し、まるで、自分の周りで日々繰り返されてきた、このような空虚な会話や現実から逃れるための「お守り」を見つけたみたいに、さっきのうさぎちゃんの言葉を思い出して微笑んでます…(「今度一緒に、お弁当食べよっ!」)…そう…、いつも耳にしてる、「今度一緒に勉強しようよ」…という、下心の言葉ではなく…。

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       その夜の月野邸…。

       「亜美ちゃんが戦士の一人なんてすっごいラッキーだよね!」…うさぎちゃんは、パジャマ姿で枕を抱えながら部屋の中を行ったり来たりして興奮気味です…「頭もいいし(←よすぎるけどね…)、愛野美奈子のファンだし(←そいつぁどうかな…)、可愛いし!(←それは異議なしっ!)「まっ、たしかに、頭脳面は、いま弱点だしね!。うさぎちゃんは、持ってた枕をルナに投げつけ、「あ゛い゛っ、イタッ…!」。ぱちんと部屋の電気を消し、「あ〜! 早く亜美ちゃんに言いたいっ! 今日はもう寝よっと!」と、ベッドに駆け込んで、ルナを下敷きにした枕の上に頭を乗せて、さっさと寝ちゃいます。「うっ、うぅっ、う〜ん、んんっ、えい!」ルナは枕の下から抜け出し、「ぶるぶるぶる!…んも〜、うさぎちゃんは緊張感がないんだからぁ〜」

       こういうコミカルなシーンは、いかにもセーラームーンらしくていいですな…。しかしワシが睨んだところでは、亜美ちゃんはどう見ても、別に愛野美奈子の「ファン」ってほど好きな訳じゃないと思うんだけどなぁ…。

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       一方、ちょうどその頃、亜美ちゃんは塾の講義が終わったらしく、アルトゼミナールから出てきます…。

       ヘッドホン・ステレオでMDを聴いてます。ナニげに表情が明るいです。

       この表情の明るさは、愛野美奈子の曲がもたらしてるのでしょうか? それとも、これを聴く事によって、自分も、うさぎちゃんと共通の話題で気軽に友達付き合いができると、その事に喜びを感じてるのでしょうか? ワシは後者の意味合いの方が大きいと思うのですよ。つまり、亜美ちゃんがうさぎちゃんと同じくらい愛野美奈子の「ファン」だってコトになっちゃうと、その意味合いが逆転してしまうんです。共通の趣味というのは、友達になる「きっかけ」としては最も日常的ですけど、実は、「じゃあ、それがなくても本当に仲良し?」という肝心な点を置き去りにしてしまいます…。うさぎちゃんサイドでは、亜美ちゃんの事を「愛野美奈子のファン」と思い込む事で「別世界の人」が一気に身近に感じられるのですが、亜美ちゃんサイドでは、そんなうさぎちゃんに自分を合わせるため、むしろこれから、もっと「愛野美奈子のファン」になろうとしてるんじゃないでしょうか?つまり亜美ちゃんにとってこのMDは、「愛野美奈子」と言うより、やっぱり「うさぎちゃん」そのものなのではないかと…。

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       その後、塾の建物から生徒達がみんないなくなった頃、そこにジェダイトくんが登場です。ロビーに飾ってある埴輪の横に、ベリル様から授かった石を置いてます。すると、その埴輪が消えてしまいました。その埴輪は、石の魔力(?)で妖魔に変えられてしまったようです……(←あのぉ…そういうコトなら…どうせならもっと強そうなモンの横に石置いたら?…ちなみにキミ、「は・に・わ」って何だか知ってる?)。

       で、その妖魔が、仕事を終えて一人帰ろうとしてる先生に襲い掛かります。今回の妖魔は着ぐるみです…実写版の妖魔は劇中に名前が出てこなくて全く分からないので、便宜上『埴輪妖魔』と命名させていただきます…連れの犬の方はCGです…こちらは『犬妖魔』とさせていただきます。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       翌日の登校時…。

       亜美ちゃんは、今日も登校途中でコンビニに寄ったらしく、カバンと一緒にコンビニ袋を提げ(←左腕を折り曲げて手首を肩の高さまで上げ、カバンを肘にかけるのが亜美ちゃんスタイル!)、右手にはケーキ(?)の箱を持ってます。校門の前で一度立ち止まり、それを大事そうに持ち直すと、ニコニコしながら校門を通り抜けます…「……『うふっ、月野さん、これ見たらびっくりするだろうなぁ…』…みたいな感じ?

       その後ろから、うさぎちゃんが「亜美ちゃ〜ん!」と走って来ます。亜美ちゃんが振り向いて、「あ、あぁ、これ…」と箱を見せようとしますが、うさぎちゃんは「も〜、早く言いたくて走って来ちゃったっ、ね、ちょっと来てっ、ちょっと!」「ええ!?」と、亜美ちゃんの腕を引っ張ってどっかへ連れてっちゃいました。ちなみに亜美ちゃんは「30分前」登校で、これはもちろん、『部活の朝練もないのに偉い!』という意味です…中学でも野球部の一年坊なんかになると、「30分前」どころの騒ぎじゃ済まされませんからねぇ…。うさぎちゃんがその亜美ちゃんに追いつくには、夜、早寝した上に、こうして走りを入れなければならない訳ですな…。

        ★  ★  ★  ★  

       ひと気のない場所で二人きりになると、うさぎちゃんはさっそく勧誘活動を開始した模様です…。

       「…えっ?! 私が??」「そう! 私も亜美ちゃんも、選ばれた戦士ってわけ、だからこれから一緒に戦おっ!」「…」「さっき言った、ルナっていうのが、変身アイテム持ってくるから、それでこう、パア〜っと変身して…」「……『やだ、この人、要するにゴレンジャーごっこに付き合えってコト?…私、アオかしら?』…」「…亜美ちゃん……だめ?」「そっか…、月野さん…、私が戦士だから友達になろうとしたんだ…」(←一瞬見せる、寂しげな作り笑いのアングルが詩的です…大切な箱を持つ手から力が抜けて、今にも落ちてしまいそうです…)。

       「え?…どういうコト?」「私……戦士なんかになりたくない…『モモレンジャーならまだしも…アオは…』「ええ!?…『モモは私って決まってるのよぉ…』「勉強が忙しいし…、塾もあるから…、じゃあ」…亜美ちゃんはそう言うと、さっさと階段を駆け上がって行ってしまいました。「ちょっと亜美ちゃん!…『じゃ、ミドはぁ?!』「…『もっといやぁ〜っ!!』…たったったったっ……。

       ……す、すごいぞ亜美ちゃんっ! 「戦士」とか「変身」とか、真っ先に疑問視すべきキテレツポイントは完全に素通りし、ちょっと「おかしな人」をそれとなく気遣う優しさ、やっぱIQ300ともなると我々凡人とはデキが違う! 前回うさぎちゃんがルナに勧誘された時は、「夢だ夢!」「ありえないから!」などと言って全く相手にしてませんでしたが、それとは大違いです…(←まあ、うさぎちゃんの場合は、ぬいぐるみにしゃべられてましたけどね)。

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       その日のお昼休み…。

       いつものように、仲良しグループ四人で机を囲んでお弁当を食べてるうさぎちゃん……ですが、結局、昨日(「今度一緒に、お弁当食べよっ!」)と誘った亜美ちゃんも、いつものように席を外してそこにはいません…。うさぎちゃんは、その亜美ちゃんの席をじっと見つめて、いつもの元気がありません…。

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       一方その亜美ちゃんは、やはり一人屋上で、今日はおにぎり片手にお勉強してます(←ドリンクは、たぶん…ミニペットボトルの緑茶にストローを挿してるな…遠くてよく見えんが…)。

       亜美ちゃんはふと参考書をひざの上に置きながら、一つ離れた場所に置いた箱の方に目をやります…。それから亜美ちゃんは、そっと箱を開けて中を見ます…中に入ってたのは、プリンが2個…(←これは「焼きプリン」ですな…ちなみにワシも好きです…)。食後のデザートに二人で食べようと思って持ってきたんですね…MDのお礼という意味も含めて…。亜美ちゃんはそれを見つめながら、ぽつりと…「慣れてるし…」(←最初なんつってんのか聞き取れんかった…)と言うと、それを下に置きます…。

       最初聞き取れなかった癖にこんなこと言ってもアレなんですけど、この「慣れてるし…」は意味が深いですなぁ…。しかも、箱のフタを開けたまま、閉じずにそのまま下に置くという動作が、言葉とは裏腹な未練を物語ってますな…(↓)

1.       と言うのも、わざわざこの箱を屋上に持って来たのは、『しょうがないから一人で食べよう』と思ったからです。決して、『ひょっとしたら、あとから月野さんが屋上へ来てくれるかも…』と期待して持って来たのではありません。もしそうなら箱は自分の手元に置き、あんな離れた場所へは置きません。

2.       箱をあそこへ置いたのは、『一人で食べよう』として持って来たのに、『やっぱり二人で食べたかったなぁ…』という気持ちが沸いてきて、それで一人で食べるのが辛くなり、見るのも辛くなってしまったからです。でも、またそれを手に取ってみては、箱のフタを開けてみて(←中に何が入ってるかは知ってるんですから、フタを開けたのは『やっぱり食べようかなぁ…』という動作です…)、で、「慣れてるし…」と言いながらも、やっぱり食べられずに下に置いてしまう…。

       ちなみに、ワシが睨んだところでは、この焼きプリンは、「某有名なお菓子屋さんの超人気プリン」で、つまり、コンビニで売ってるような代物じゃありませんな。しかし、これを亜美ちゃんがどういう経路で入手したのかは、ちょっと不明です…(↓)

1.       昨日はうさぎちゃんと別れたあと、亜美ちゃんは一度家に帰ってから塾に行ってます。

2.       亜美ちゃんがこれを自分で買いに行ったとすれば、この、うさぎちゃんと別れた直後の帰宅途中しかありません。

3.       家から塾へ行く途中じゃないことは確かです…塾ではこの箱を持ってませんでしたし、プリンの保存状態を考慮しても合理的な買物の仕方ではありません。

4.       また、塾は夜遅くまで(←うさぎちゃんがパジャマに着替えるような時間まで)やってたのだから、塾の帰りに買ったのでもありません。そんな時間にはもう「某有名なお菓子屋さん」はとっくに閉まってます(←たとえご本人が、インタビューでそう主張なさっていたとしてもだ…)。

5.       しかし、しかしだ…亜美ちゃんがうさぎちゃんと別れたあとにすぐこれを買いに行ったのでは、亜美ちゃんの心理描写としてはちょっと性急すぎるような気がするのですよ…やはり塾での先生とのやり取りを経過し、MDを聴き込んだあとの方が流れとしては自然です(←それで翌日の昼食時の話題の準備も整う訳ですから…その意味では、ご本人がそう主張なさってるように、「塾の帰り」と言うのは、流れとしては全くもって正しいのだっ! すごいぞっ、亜美ちゃんの中の人っ!)。

6.       となると、このプリンは、亜美ちゃんが自ら買ってきたモノではなく、たまたま昨日、亜美ちゃんのお母さんが亜美ちゃんのおやつのために買ってきてくれてたモノである可能性が浮上してきます…だからこそ、そのサプライズを一緒に分かち合おうと、朝一番にそれを話したくて校門の前で嬉しそうに笑っていた…と、そのように、ワシには思えるのです…それはちょうど、うさぎちゃんがルナから授かったサプライズを持って走って来たのと同じように…(←と勝手に妄想…)…それなのに…ああ、それなのに…。

        ★  ★  ★  ★  

       月野邸にて…。

       学校から帰宅したうさぎちゃんは、「あ〜あ…がっかり…。亜美ちゃんと一緒に戦えると思ったのになぁ…」と、ため息混じりに勉強机のイスに腰掛けます…(←うさぎちゃんが勉強机に向かうの図…このミスマッチは、最大級の「がっかり」を詩的に表現している…?)。「私が説得するわ」(←ワシもそれがいいと思うなぁ…)「やめなよぉ…いやだって言ってんだから、かわいそうだよ」(←って、そもそもアナタは、亜美ちゃんになんつって事情を説明したの? そのシーン自体はカットされてましたが、絶対に「コトの重大さ」は伝わってないと思うなぁ…)。「戦うのは、戦士である者の使命なのっ。代わりはいないんだから、亜美ちゃんには、戦士になってもらわなくちゃ」(←それにしても…うさぎちゃんが言うよりも、ぬいぐるみがしゃべった方が説得力があるとは…)「ムリにやらせるなんてヒドイって。私はぜったい、ぜったい反対っ!」。まあ、何はともあれ、前回のセーラームーン登場編でもそうでしたが、戦士になるならないに関しては、どうも実写版は「本人の意思ありき」のようですねぇ…なんか自衛隊募集してるみたいですねぇ…なんたって今の日本には徴兵制度もなく、自衛隊に入る入らないは本人の自由意思ですからねぇ…。

       で、うさぎちゃんがそう言いながら部屋を出て行こうとすると、ちょうどそこにうさママが入ってきて、なにやらうさぎちゃんにメモを差し出します…「こ・れ…!」「え?」「塾の地図〜〜♪。あんな成績とってたんじゃ心配だわ。申し込んどいたから、今日から行って基礎からやり直しなさいっ」「え〜〜っ!」「文句はいい成績とってから〜♪。行きなさいっ!」。…それはそうと、ナニげに十番中学って、部活は義務化されてないんですかね?…平和ですねぇ…ワシもそういう学校に行きたかったなぁ…。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、こちらアルトゼミナールでは、先生の講義を受けながら、生徒さん達が真剣にお勉強中…。

       ところが、一人亜美ちゃんは、やっぱり今朝の一件が気にかかるのか、どうも講義に集中できないようで、昨日うさぎちゃんから渡されたMDを持ってじっと見つめてます。そう言えばこのMDは借り物なので、そのうちうさぎちゃんに返さなきゃならない訳です。それなのにあんな気まずいコトになってしまっては、どうして返したモンかと、悩んじゃってるのかもしれませんな。

       亜美ちゃんは結局、「……『ええいっ! このままバックレて私物化しちゃえ〜っ! あんな妙ちくりんなコト言い出した月野さんがいけないのよ!』と、ディスクをプレーヤーにセットして、講義そっちのけで聴き始めちゃいました…。…今日の学校の昼休みに、結局一人でプリンを食べられなかったのもうさぎちゃんへの未練なら、今こうしてMDを聴いてしまってるのも、やはり未練なんでしょうかねぇ…。

       すると、昨夜先生に取り憑いた『埴輪妖魔』が、先生の講義の声に乗せて怪音波を発し始めます(←ワシの耳には、先生の講義の内容の方が怪音波だったがな…)。それを聞いた生徒達は、なにやら急に睡魔に襲われたようになって、目をこすったり、かっくんかっくんし始めます。でも、ヘッドホンして音楽を聴いてる亜美ちゃんだけはナンともないようです…「♪…『この曲、最初はピンと来なかったけど、何度も聴いてるとクセになるのよね…』(←ってそりゃワシのコトです)。亜美ちゃんは、ふとみんなの異変に気付いたのか、不思議そうにきょろきょろしてます。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、うさぎちゃんは地図を見ながら塾へ向かっております…。

       「…アルトゼミナール…」「亜美ちゃんと同じ塾ね。説得するチャンスじゃない!」「そんなコト絶対にしないからね!」「うさぎちゃ〜ん…」「しないのっ!」。ルナと言い争いながら歩いてたうさぎちゃんは、反対側から歩いてきた男の人に気付かず、どかっ!とぶつかってしまいます…「うわっ!」…見るとそいつは、前回ジュエリー・ショー会場で会ったあの「嫌なヤツ」「ああっ!」「モデルもどき…。よそ見して歩くな!」「そっちこそ!」…うさぎちゃんはムっとしてすぐその場を立ち去ります。

       ところが地場衛は、うさぎちゃんが落としてった地図を拾いながら、「おい!」と呼び止めます。「ン、ナニよぉ!?」「そっちじゃない、あっちだ!」…そう言って、地図に示された方角をあごで示します。「え?」…うさぎちゃんは駆け戻って地図を覗き込みます…よく見ると、地図は、「アルトゼミナール」を目印にして、その道路を挟んだ反対側に、矢印で「ココ」と示されており、実際にその場所を見てみると、そこには、「よいこの なかよし学習教室」という看板が…(←ピンクのクジラさんが潮吹いて笑っております…)。

       「こっちなの?!…ン、ママってば基礎すぎるよ…」。地場衛は皮肉たっぷりに、「ぴったりだな!」と言い放って行ってしまいました。「!……バカにされたぁ〜っ、ムカつく〜っ!」「うさぎちゃんが、亜美ちゃんと同じレベルな訳ないか…『トホホ…』「ナニよぉっ!」

       うさぎちゃんと地場衛のラブコメ・コントはどれも好きだけど、中でもワシは、これが一番好きかな…。

       すると、いきなりルナが「んんっ!?」と険しい目つきになって振り向きます。「ちょっと、ちょっと!」。どうやら、ルナの三日月は危険を察知すると赤く光るようですな…。ルナが「うさぎちゃん…!」と指し示したのは、亜美ちゃんのいるアルトゼミナールです…。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃アルトゼミナールでは、とうとう生徒達がばたばたと気絶し出してしまいました…。

       ところが、ヘッドホンでMDを聴いてた亜美ちゃんだけは難を逃れ、「どういうこと!?」と周りを見回してます。すると先生が、いきなり亜美ちゃんの耳からヘッドホンを外します。「はっ!」「講義中にこんなものを聴いていちゃいけないわ」「先生!……それは…『先生の授業がつまら…』『アンだとコラァア!』。怒った先生はMDプレーヤーを床にぶん投げ、「!…」「しょうがないわね…。まずアナタからエナジーをいただきましょうか…」と言って『埴輪妖魔』に変身します。「!!」びっくりまなこの亜美ちゃん! 思わず「ひやぁっ!」その場から逃げ出します。亜美ちゃんピ〜ンチ!

        ★  ★  ★  ★  

       教室の外でも、生徒達がみんな階段で倒れてます…。

       『埴輪妖魔』は亜美ちゃんに掴みかかろうとしますが、亜美ちゃんが「きゃあ!」しゃがんで避けたため、そのまま階段から落ちて倒れ、その時、妖魔の体から先生の体が離脱します。それを見た亜美ちゃんは、「ひどーい! 先生を利用してこんなこと…!」と、瞬時に事情を飲み込み、すぐにその場を離れて駆け出しますが、『埴輪妖魔』もすぐに追いかけてきます。

        ★  ★  ★  ★  

       しかし、どーでもいいけどアルトゼミナールはやたらデカイですな…。

       うさぎちゃんが必死で現場に駆けつけようとしてますが、なかなか見つかりません。ようやく前方に、妖魔に追われて「きゃっ!」と転んでる亜美ちゃんを発見します…「亜美ちゃんっ!」。ルナが「うさぎちゃんっ!」と変身を促すと、うさぎちゃんはうなずき、「ムーンプリズムパワ〜、メーイク・アップ!」と、セーラームーンに変身します。

       ところが、やたらと長いセーラームーンの変身シーンの間に、とうとう妖魔に追い詰められちゃってあとがない亜美ちゃん…。するとそこへ、「待ちなさいっ!」とセーラームーンが参上! すかさず『埴輪妖魔』「ムーン・ティアラ〜、ブーメランっ!」を食らわします。あれ?! でも死なないね? アニメじゃ最初の頃はこれが決め技だったのに…実写版ではどうも牽制攻撃のようです。『埴輪妖魔』はそれでかえって逆上し、一気に亜美ちゃんに掴みかかります「きゃあ!」「亜美ちゃん!」。ところが、勢い余って妖魔と亜美ちゃんは手すりを越えてしまい、そのまま階下へ転落! 「きゃ〜〜〜〜!」

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       妖魔と一緒に『あ〜〜れ〜〜』と背泳ぎ状態で落ちてく亜美ちゃんの手を、セーラームーンが「亜美ちゃん!」と間一髪で掴み、妖魔だけ下に落ちて、がっしゃ〜ん!!(←ほら見ろジェダイト! 簡単に割れちゃったじゃないかっ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       一方のセーラームーンと亜美ちゃんは、落下は逃れたものの、ナンとビルの3階からぶら下がって「ファイト一発」状態にっ!

       思わず下を見て「はっ」と息を飲む亜美ちゃん…。「亜美ちゃん…、だいじょぶ?」「…もしかして…、月野さん?!」(←って、ナンで分かるの?! 知ってるワシでも別人に見えるのにっ!)。そんで、「うん」って素直に返事しちゃってるセーラームーン…(←って、そんな簡単に正体ばらしちゃっていいの?!)…などと思ってたら、階下では、ナンと『犬妖魔』が、割れた『埴輪妖魔』を修復ビームで再生してます(←おおっ、やるじゃないかジェダイト!)。「!…」セーラームーン大ピ〜ンチ!!

       一瞬セーラームーンの手が滑りそうになり、「うわっ」となる亜美ちゃん。そんな危機的状況を見て、亜美ちゃんの明晰な頭脳がはじき出した打開策は…「…そうだ…月野さん…、…私を戦士にして…」「!…ええ?!」「…そうすれば…」「だめだよっ」「!?…」「嫌なのに…変身しちゃ…だめだよ」「…月野さん…」「大丈夫…ナンとか…するから…。こんのぉ〜〜っ!」セーラームーンは懸命に腕に力を込めて引き上げようとしますが、どうにもキビシそうです。「月野さんっ…」

       二人が、戦士になるならないでもめてる間に…(←え? もめてない?)…妖魔2匹がとうとう3階まで上って来てしまいました。それを見て亜美ちゃんは「はっ…」となり、セーラームーンは「もう少し…」と言いつつもかなり苦しそう…。

       すると突然、亜美ちゃんが、「嫌じゃないから…」と言い出します…「ええ?!」「私…、月野さんと一緒に戦いたいっ!」「亜美ちゃん…!」…しっかりとうなずく亜美ちゃん…。…最初は、単に危機的状況を打開するために言い出したコトだったのですが、懸命に戦ってるセーラームーンの姿を見て、『やっぱり月野さんは、下心で近付いてくるような人じゃなかった。私の気持ちをちゃんと考えてくれて、思いやってくれてる…』と分かったようです。

       それを見てルナが、「亜美ちゃぁん! 受け取って!」と変身アイテムを転送し、亜美ちゃんの手首にブレスレットが巻かれます!と思ったらセーラームーン、「ああっ!」って亜美ちゃんの手ぇ離しちゃったよ! 『ちょ、ちょっと手袋がすべっただけよっ!』

       また『あ〜〜れ〜〜』状態で落ちてく亜美ちゃん! ところがナンとっ、落下中にいきなり「マーキュリーパワ〜、メーイク・アップ!」と変身します(←お、教えてないぞ〜っ! でも亜美ちゃんなら分かっても当然かーっ! で、ナンか変身中すんごい笑顔だーっ!)ちょうど真下には噴水用の池(?)があり、セーラーマーキュリーはその上にそっと着地して華々しく水しぶきを上げ、ブレスレット、胸のリボン飾り、そしてお顔のアップ…閉じてたおメメをぱっちりあけて…ニコっ…め…めちゃめちゃかわいい〜〜っっっ!!!(←もう、笑っちゃうほど…)。

       「水と知性の戦士、セーラーマーキュリー。水星にかわって、おしおきよ!」決めゼリフもシンプルに改変!(←言い方に迫力がないのは棒読みだからじゃないっ! 優しいからだっ!)(※変身シーンと技シーンは、みんなで最初の頃に撮影されたんで、まだ演技力ゼロ状態だたアルヨ…)。

       それを見届けてセーラームーンも階下に着地し(←セーラームーン一人なら、この高さから飛び降りるのはナンでもないようだ…)、「亜美ちゃん!」(←って変身後もその名前で呼んじゃっていいの?)と言って駆け寄り、二人で手を握り合います…(←この絵ヅラもメチャかわいいっ! その輪にワシも入れてくれっ!)…などと思ってる間に、降りてきた妖魔2匹に挟み撃ちにされる二人…。するとセーラームーンは、「亜美ちゃんっ、二人でやろう!」「うんっ!」で、今日の動きもやっぱりバレエのプリマドンナだーっ、クルクル回ってる〜っっ!!(←でもワシ、ナニげにお気に入りだったりして…)。

        ★  ★  ★  ★  

       で、なんだかんだで、セーラームーンが「ムーン・トワイラ〜イト・フラッシュ!」『埴輪妖魔』を退治し、一方、『犬妖魔』の方はマーキュリーが「マーキュリー・アクア〜・ミ〜スト!」で退治します…。

       ところで、通常話でセーラームーン以外の戦士が妖魔を仕留めるのって、ナニげに初めて見たような気が…散々逃げ回った挙句、誰かに助けてもらった隙にトドメだけ刺すってのがセーラームーンの戦法だと思ってました…。ひょっとして実写版戦士は歴代最強なのか? それともジェダイトの妖魔が歴代最弱なのか?(※あとで調べたら、原作でも他の戦士は倒してましたね…)。

       初仕事を終えて満足げなマーキュリーに、セーラームーンが「やったねっ!」と声をかけます。「うん」「でもぉ…ホントによかったの?」「うん、戦士だからとか、そういうのじゃなくて…、なにか、分からないけど…、…ただ、一緒に戦いたいって、そう思ったから…」「あっ、それ私も同じっ!…戦士だからとかじゃなくて、亜美ちゃんだから仲良くなりたいって思ったんだよね!」(←じゃ最初からそう言え〜っ!)「……ありがとう…」

       …ありがとう…ですか…。普通ならここは、『うれしい』…とかナンとかだよなぁ…それが「ありがとう」って感謝の言葉で表現されちゃうことが、亜美ちゃんの今までの孤独に対する深層心理や、人間関係に対して受け身な性格とかが、行間に込められてる訳なのですね…。ところでうさぎちゃん…アナタやっぱり…「戦士探し」と「仲良しごっこ」の区別がついてないみたいですねぇ…(←やっぱり勧誘活動はルナに任せた方がいいんじゃ…)。

       …などという微笑ましい光景を、ナニげに遠目から見ていた人物が一人…。「セーラームーンに…、セーラーマーキュリーか…」(←って…あのぉ…、タキシード仮面さん、ちなみに今日のアナタは、ナニを盗みにここにいらしたんですか? 今度の模試の答案かナニか?)。

        ★  ★  ★  ★  

       「次こそ…最良のエナジーを!」とかナンとか言いながら、枯れ落ち葉の上に妖魔石を置いてるジェダイトくん…(←だからもっと強そうなもん選べって…せめて金属系とかの…)。

        ★  ★  ★  ★  

       一方こちらは、祈祷用の炎の前に正座して、燃え盛る火柱をじっと覗き込んでる巫女さんが一人…「…来る……『足のシビレが……もとい、』…何か不吉なものが…!」

       次回は、セーラーマーズ登場編だっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       セーラーV:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ルナ(声・潘 恵子さん):「」『』

       その他:「」『』

[2008年10月11日(土)初稿(←この日を実写版マーキュリー記念日と名付けよう…) トモロー]


Act.3:セーラーマーズ登場編

 

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       今回レビューしたAct.2は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第1巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第1巻 作品本編(4話収録)

 

Act.1 Act.2 Act.3 Act.4 

毎回映像特典(10分)

 

「セーラームーン」におしおきよ 沢井美優浜 千咲@

Act.2 ゲストキャスト

 

アルトゼミナール講師:
阿部香奈美:
木村桃子:
女生徒:

女生徒:

春木みさよ
平井愛子
清浦夏実

星野智美
金田莉奈

所属事務所 アルファエージェンシーの公式サイト▼
所属事務所 放映テレビプロダクションの公式サイト▼
公式ホームページ▼

 

セーラー戦士アクション:

妖魔アクション:

小牧祥子
半澤友美

藤榮史哉

小牧祥子の気ままな日記▼
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