―実写版セーラームーンを検証する―


Act.37:さ迷えるプリンセス編――

 

       本稿は、2004年6月26日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第37話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

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       セーラー解説は、人型ルナ…。

       「クイン・ベリルが、地場衛、エンディミオンを自分のモノにするために(←ってコレ、子供が言うセリフじゃないよなぁ…)(←って、子供じゃないんだけど…)、四天王を人質にして迫ってきたの」(←『カモ〜〜ン…』つってね♪)。「四天王はエンディミオンにとって、大切な存在だから…」(←そうかなぁ…)。「でも、その時、セーラームーンに変化が!」

       ここで、「プリンセス・セーラームーン」誕生のシーンが、ダイジェストでどっかんどっかん再現され…、

       「プリンセスと王子の恋は、星を滅ぼすって言われているけど、こんな別れ方って…」(←その格好でしんみりされても…)。

       そう言えば、今更な話なのですが、ワシは一番最初に実写版を見た時からずっと疑問に思ってたコトがあって、それは、「ナンで実写版のルナは、『黒ネコ』じゃないんだろう?」ってコトなんですな。

1.       実際、実写版の劇中で、『ぬいぐるみルナ』『黒ネコ』と表現されたコトはただの一度もないし、実際、誰がどう見たって『黒』じゃありませんからな。

2.       で、今、ふとこの人型ルナを見てて思ったのですが、もしも実写版の『ぬいぐるみルナ』『黒ネコ』だと、人型ルナやセーラールナの髪の色も当然『黒髪』になってしまう訳ですから、それだとマーズの黒髪とかぶるし、変身前のうさぎちゃんのヘア・スタイルともかぶるんですな。だいいち、人型ルナやセーラールナの頭が『黒』だと、普通すぎちゃって、地味なコトこの上ないですからな。

3.       あと、『黒』はダーク・キングダムのイメージ・カラーとかぶるってのもありそうですし…。それに、『実写』における『ぬいぐるみルナ』『黒い色』だと、やはり色々な点で不都合が生じるのかもしれませんな。たとえば、暗いシーンなどでは背景の色に溶け込んで見えなくなってしまうとか、十番中の学生カバンの『黒』と同化して見えなくなっちゃうとか、うさぎちゃんなどが黒系の服を着てる時に抱えると、やっぱり同化して見えなくなっちゃうとか…。これがマンガやアニメなら、そんな問題はどうにでも処理できますが、実写となると、そうもいきませんからな…。

       でも、何よりも、『青いネコ』なんて現実には存在しない訳ですから(←厳密には紺色か?)、敢えてそうする事で、どこから見ても一目で『ぬいぐるみ』と分かる感じにしたかったんでしょうな。

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       ルナカラにて…。

       原っぱでの5対5の壮絶バトルの後、気を失ったうさぎちゃんを、みんなでクラウンに担ぎ込んだようです…(←たぶん、まこちゃんがおんぶして来たんだろうなぁ…)。うさぎちゃんをソファに寝かせて、まこちゃんがタオルケットだか毛布だかを掛けてあげます。

       それを見て、亜美ちゃんは、「うさぎちゃん…別人みたいだった…」。それを聞いて、まこちゃんと人型ルナがうなずきます。「前世のプリンセス・セレニティが、そのまま目覚めたみたいね…。ただ…、姿は違うけど…」(←実写版オリジナルですなっ!)(←これは要するに、前回も書いたように、「姿は違うけど」、性格的には『あんな感じの人』だと、ルナもそう認識してると言うコトですな)。人型ルナが、考え歩きしながらそう言うと、亜美ちゃんとまこちゃんがそれを目で追って体の向きを変えます。しかし、レイちゃんだけは、じっとうさぎちゃんを見つめたまま、原っぱでの最後のシーンを思い出してます…「……」

1.       気を失ったうさぎちゃんが、ジュピターのひざにもたれ、マーキュリーが、「うさぎちゃん…」と言いながら、うさぎちゃんの涙を指で拭います。

2.       それを見てマーズが、「これも…、こんなコトも…、前世から背負ってきたコトなのっ!?」と、涙目でヴィーナスに訴えますが、ヴィーナスは何も答えません…。

       「……」

       すると、しばらくしてうさぎちゃんが「ん…んん…」と目を覚まします。

       亜美ちゃんとまこちゃんは振り返り、「うさぎちゃんっ」「大丈夫?」とソファに駆け寄ります。「……」。うさぎちゃんは、みんなの顔を見回し、ここがクラウンであることを確認すると、「うん…」と言って起き上がり、ソファに座り直します。その時、首に掛けてた懐中時計がカチャカチャ音がして、うさぎちゃんは、それを手に取って眺めます…(←って、あのぉ…ナニげにソレ、1時50分を指してますけど?…)(←前回の原っぱでは1時51分を指してて、ちゃんと秒針も動いておりましたが…)(←ひょっとすると、ここはツッコんではいけない所なのか?…)。

       で、うさぎちゃんは、地場衛が連れ去られたシーンを思い出します…「……」

1.       うさぎちゃんが「まもる!」と呼びかける。

2.       しかし、ベリル様が地場衛と四天王を連れ去ってしまう。

       「…………そっか…。いなくなっちゃったんだ…」(←て言うか、懐中時計の秒針が動いておりませんなコレ…なぜか時計が止まっちゃってます)。「…うさぎ…」「……」

       亜美ちゃんが、うさぎちゃんの肩にそっと手を置いて、うなずきます…「……」

       すると、いきなりレイちゃんがうさぎちゃんの隣に腰掛け、「うさぎっ、元気出しなさい! あんな前世のお化けみたいなのに、大事な人取られちゃダメよっ!」(←「前世のお化け」…うまいコト言うなぁ…)。「!……」

       「…」「!…」「!…」。亜美ちゃんとまこちゃんも、レイちゃんがいきなりそんなコト言い出したので、ちょっとびっくりしちゃってます。

       うさぎちゃんはレイちゃんの顔を見つめ、じきに笑顔を取り戻すと、「…うんっ、そうだよね」(←ソファから立ち上がる)「ゼッタイ戻って来るって言ってたんだもん、メソメソしてたら、バカって怒られちゃう…。…大丈夫…」「うん…」

       まこちゃんはレイちゃんに、「いいコト言うじゃん」と言いますが、レイちゃんは「別にっ!…」と言ってソファから立ち上がり、みんなに背を向けます。それを、亜美ちゃんとまこちゃんが笑顔で見てます。

       レイちゃんは、やはり、「前世」と言うモノに対して、かなり過剰反応ぎみになってると言うか、苛立っていると言うか、そんな様子がありありと伺えますな。前回レイちゃんは、美奈子に病院に呼び出された時、美奈子の口からその言葉を三回も聞かされ、そのあと、原っぱでベリル様が、「エンディミオン、…前世の昔から、お前を思っていた…お前だけを…」と言った時も、「前世…」と、その言葉を反芻してましたからね。

       なので、このシーンで、まこちゃんが「いいコト言うじゃん」と言ったのに対して、つっかかるように「別にっ!…」と言い返したのも、ちょっと、まこちゃんに対する当て付けっぽいニュアンスも、感じられなくもないですねぇ…。

       ※ 後半戦における前世の物語と言うのは、その語り部は、もちろん前世の記憶のある美奈子やダーク・キングダム・サイドの面々なのですが、我々視聴者は、このレイちゃんと目線を共有する事によって、その物語を理解していくと言う仕組みになってるようですな。

       「…だいじょぶ…だよね…」。うさぎちゃんは、「ムーンフェイズ」の懐中時計にそっと話しかけるように、そうつぶやきます。

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       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

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       オープニング開けはダーク・キングダム…(←お城の外に、久々にカラスが飛んでますな…)。

       おおっ! このたび初めて、ダーク・キングダムの食事風景が公開されました!(←ナニげにこの人達も、一応モノ食って生きてたんですね)。しかし、ナンでしょうか? この不気味な料理の数々は?!

       どうやら黒木ミオは、地場衛の『監視役』『料理番』にでも任命されたのでしょうか? 「食べなよ〜、おいしいよ?」。地場衛:「……『うげぇ…マジかよコレ…』「毒なんか入ってないし…」『て言うか、そういう問題じゃねーだろ…』「終わったらクイン・メタリアの部屋に連れてってあげるっ」

       そう言うと黒木ミオは、『小型恐竜の足』みたいなモンを取って、食べ始めました…。地場くん:「…『げっ…コイツ食ってるよ…』…その前にゾイサイト達に会わせろ。無事なんだろうな…」「うんっ、一人いなくなっちゃったけどね…。…どっかに落っことして来ちゃった」「…『そいつのコトは聞いてない』「いいじゃない! 四天王なんかただの家来でしょ?」「!……『て言うか…、ぶっちゃけまだよく知らないんだけどね…』

       すると地場衛は、よっぽどお腹が空いてたのか、ヤケになって、ナンか手に取ってかぶりつきました…。ナンか、『始祖鳥の丸焼き』みたいですな…。「…『あ、意外とイケルわコレ…』「うふっ…」。やっと食べてもらえて、黒木ミオも嬉しそうです。

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       こちらはベリル様…。

       いつものように、「メタリアの部屋」で、一人でメタリアを見つめながら、「クイン・メタリアの力は大きくなるばかり…。やはりそう言うコトか…」。メタリアから、ピンク色のエネルギーみたいなモノが放出されております…。それはそうと、ベリル様は、せっかく苦労して手に入れたエンディミオンを、黒木ミオなんかに相手させちゃってていいんでしょうか?(←意外とこの人、いざとなるとシャイで奥手だったりして…)。

       う〜む…それはそうと、ナニげにワシは、後半戦に入ってからチョット気になってたコトがあったのですが、やはりコレは間違いありませんな…、後半戦においては、『ダーク・キングダムの城にカラスが飛ぶ時、ナニげにベリル様がご機嫌斜めだっ!』の法則が、完全に逆転しているっ!

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       こちらは月野邸…。

       夜ベッドで寝てるうさぎちゃん…(←相変わらず『ぬいぐるみルナ』の寝息はデカイですが、実はワシんちの愛猫もそうです…おや? うさぎちゃんの体が光り始めて、目を覚ましてむっくり起き上がり、「エンディミオン…」と言って立ち上がりました…(←どうやらこれは、うさぎちゃんではなく、『前世のプリンセス』みたいですね…)。

       その後ルナが「う!…うぅ?…」と目を覚ますと、そこにうさぎちゃんの姿はなく、「あっ、…うさぎちゃん!?」。見るとベランダのドアが開いてます…ナンと、二階のベランダから飛び降りて、どっか行っちゃったみたいです。ずいぶん思い切ったコトしますが…別に自分ちなんだから玄関から出てったってナンの問題もないと思われますが…どうやらプリンセスさんは、月野家の間取りを把握してらっしゃらないご様子です…。

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       と言う訳で、ルナは、せっかくネコであるという利点を無視して、なぜかいきなり人型ルナになって「うさぎちゃんっ、うさぎちゃんっ!」と探し回ります。「…どっちだろう?…はっ、…この音…?」。ナンか、ハープの音(?)が聞こえてたみたいですねぇ…(←最初、ナニげにBGMなのか劇中の実音なのか、全然わかりませんでした…)。「うさぎちゃんっ、どこぉ〜っ!」(←声デカっ)(←ナニげに近所迷惑なんじゃ…)

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       こちらダーク・キングダム、ゾイサイトのピアノ部屋…。

       ジェダイトくんが、こぶしで自分の手のひらを叩きながらウロウロと考え事をしております…。ゾイサイトは、ピアノの前に坐って腕組みしながら、天を仰いでおります…。クンツァイトは、暖炉の角に寄りかかって、こちらも腕組みしております…。

       ジェダイトくん:「…ベリル様が……オレまで…!」。ここでジェダイトくんは、前回の原っぱでの一件を回想します(↓)

       「四天王はわらわが蘇らせた者たち…。言葉一つで自らを貫く…」。そして、四天王が自らの剣を自分の喉に突き付け、ネフライトが自害させられる。

       「……なぜだ! 忠誠を誓ってきたのにっ!」。ジェダイトくんは、悔しそうにしゃがみ込んで床をぼかっ!と叩きます。ゾイサイト:「仕えるべきはベリルではない(←ピアノの椅子から立ち上がり、ジェダイトくんに歩み寄りながら)マスター・エンディミオンだと言ったはず…。思い出せ…」「…!…『オレ、ネフライトの次にバカだから分かんないよぉ…』(←頭を抱えるジェダイトくん…

       クンツァイトは、腕組みをしたまま、ただ黙ってその様子を見てましたが、ふと、誰かが部屋に入って来たらしく、そちらに視線を向けます…「……」。入って来たのは、地場衛です。それを見て、思わずジェダイトくんも立ち上がります。

       クンツァイト:「……『ナニしに来た…』。ゾイサイト:「…マスター!」。ジェダイトくん:「……」

       地場衛:「……『どうやら、みんな無事のようだな…』

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       一夜明けて、月野家の朝…。

       おや? ベッドにうさぎちゃんが寝てますね…ぬいぐるみルナも、一緒に添い寝して枕に頭を乗せてます。そこへ、うさママの呼ぶ声が聞こえてきます…「うさぎぃ、いつまで寝てるのぉ?」。うさママはガチャリとドアを開け、「うさぎってば返事くらいしなさいよぉ〜っ!」(←腰振りダンスをひゅいっ、ひゅいっ、ひゅいっ

       すると、うさぎちゃんは、「ん、わかったっ、すぐ行く…」と、うつ伏せで枕に顔を埋めたまま、右手だけ上げて返事をします…(←ナニげに、横に同じ体勢で寝てる『ぬいぐるみルナ』がめちゃめちゃ可愛いです「もう〜、冷めちゃうわよ? ゴーヤ・オムレツ、アボガド・ソースっ!」。そう言うとうさママは、ドアを閉めて行ってしまいました。

       その直後、『ぬいぐるみルナ』ぱちっ!と目を開け、うさぎちゃんも顔を上げます。前回の次回予告でも映ってたので、もしやと思ってたら、やっぱりそのうさぎちゃんは亜美ちゃんでしたっ♪(←かわいい〜っ! この状態を、便宜上『亜美ちゃんうさぎちゃん』と名付けよう)。「亜美ちゃん、ありがとう〜、ママに大騒ぎされちゃうところだったわ〜」「うぅんっ、それよりうさぎちゃん、早く探さないと…」

       で、『亜美ちゃんうさぎちゃん』はベッドの上に坐って、パジャマのボタンを外し始めます…(←ええっ!? マジっスか!?)。「あ、うん、あとでまこちゃんも、こっちに来てくれるって。レイちゃんは、ヴィーナスのところに行ってみるって…」「うさぎちゃんのママはどうする? こんな誤魔化し、これ以上ムリだよ…」(←ナンだ…パジャマの下は、普通に私服を着ておりました…

       するとそこへ、いきなりうさママが「ちょっとうさぎぃ〜!」と入って来ちゃって、「!」「あらぁっ!」「…『あっちゃぁ…バレちゃった…』「…『やば…』(←ノーマルバージョン)「……起きたのぉ?」「うっ!?」(←びっくりバージョン)「…??」「早くご飯食べちゃって? お洗濯も、お掃除もしなきゃいけないし、あっ! 荷物来るから、お留守番お願いねっ、ママ、コンタクトなくしちゃって、買いに行かなきゃいけないのよ…」(←めちゃめちゃピンボケ状態のようですが…)。うさママは、うさぎちゃんのテーブルの上から洗濯物を取りながらそう言うと、部屋を出て行きました。

       「……」「…はぁ……イケルわっ!」(←目がきらりんっ!)「え゛っ…」(←引きつってます)

       どうやら、コトは、『うさぎちゃん失踪事件』となってしまってるようで、そこでルナと亜美ちゃんは、月野家内部における『事件の揉み消し』を謀ろうと、懸命になってる模様であります。

       ※ ちなみに、今回から、うさぎちゃんの部屋の美奈子のポスターの横に、「ウォールポケット」が飾られてますね。これについては、本稿のAct.33でも言及したのですが、今回のこのシーンを見て、この「ウォールポケット」は、押入れの戸に飾ってあったモノが移動したのではなく、新たにここに追加で飾られたモノだったんですな。で、押入れの戸に飾られてる方には、具体的にどんな写真が貼られてるのか全てハッキリとは確認できないのですが、DVDの画面上で分かる範囲では、クラスメイトAとBの顔が確認できますね(←レイちゃんの制服姿のソロ写真らしきモノも一枚あるようだが…)。こっちの「ウォールポケット」は、劇中ではAct.10で初めて画面に映されたのですが、これ自体はAct.1当初から飾られてるモノのはずですから、セーラー戦士達よりも、むしろそれ以前のうさぎちゃんの交友関係を示すモノになってるんじゃないでしょうか。

       一方、この美奈子のポスターの横に追加された方は、「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)で、その内容を確認する事ができます(←ただし、一枚だけ写真が見切れてしまってますが)、で、こちらも、よく見ると、意外と興味深いんですな…そこには(↓)、

1.       CDが2枚(←※いずれも美奈子のCDではないが、うち1枚は、「Damestry の「Nyan×Nyan」」である)、

2.       愛野美奈子のブロマイドが1枚(←おそらく、「肩金」のプロモーション・ビデオの時に撮ったと思われるブロマイド)、

3.       うさぎちゃんのソロ写真が一枚(←制服)、

4.       三人時代の写真が2枚(←制服)、

5.       四人時代の写真が1枚(←制服)、

6.       うさぎちゃんとなるちゃんのツーショット写真が1枚(←制服。二人がマイクを持って歌ってるようなので、おそらくクラウンで撮ったものと思われる)、

7.       で、残るもう一枚は、「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)では見切れてしまってるのですが、今回Act.37のDVDの画面上で見る限り、この写真は、おそらく、Act.34で、亜美ちゃんの部屋の写真立ての中に追加されていた、『うさぎちゃんと亜美ちゃんの私服のツーショット写真』と同じモノですね(←二人で並んで『ウッキーポーズ』を取ってるヤツ)。

       やはり、Act.34の時にも書いた通り、あの『うさぎちゃんと亜美ちゃんの私服のツーショット写真』は、他のセーラー戦士達とは無関係なところで、うさぎちゃんと亜美ちゃんがプライベートを一緒に過ごしていたコトを示すモノだったんですなそしてもう一つ、この新しい方の「ウォールポケット」に、『なるちゃんとのツーショット写真』が、セーラー戦士達のモノと同列に飾られていると言う点が、ナニげにポイントでしょうね。よくよく考えれば、この部屋にはなるちゃんもよく遊びに来てる訳ですから、そこに自分の写真がなかったら、ちょっと面白くないでしょうし、これは、うさぎちゃんにとって、なるちゃんの存在が決して軽いモノではないのだと言う証しでもあるんですな。

 

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       月野家の食卓にて…。

       一人、テーブルに着き、「ゴーヤ・オムレツ、アボガド・ソース」を観察している、『亜美ちゃんうさぎちゃん』なのでありました…「……『人間に食べられないような食材は、一応混ざってないみたい…だけど…』

       ちなみに、居間の壁に掛けてある時計が、『8時10分ぐらい』を指してますな。それで、「荷物来るから、お留守番お願いね」ってコトは、今日は土日ですな。

       『亜美ちゃんうさぎちゃん』が、スプーンを口に運びながらも、やっぱり躊躇してると、そこへいきなり、進悟がガチャリとドアを開けて入って来ます。「!…」(←思わず振り向き、進悟と目が合ってしまいます)。

       進悟:「……?」(←怪訝そうな顔で見ております…)。するとその後ろから、洗濯物を運んでるうさママが、「うさぎっ、早く食べちゃってよぉ!?」と声をかけます。進悟:「……『うさぎ…?』。その時、ぴんぽ〜ん…ぴんぽ〜ん…と玄関のベルが鳴り、うさママが「はぁ〜いっ!」と応対に行きます。

       「……」。進悟:「はぁ〜、ナニやってんだか…『類は友を呼ぶか…』(←あきれ顔で退散…)(←それはそうと、進悟は、居間でテレビでも見ようと思って来たんですかね?)。「……」

       実写版の進悟は、亜美ちゃんのコトあんまりよく知らないみたいですね。ちなみにアニメ版では、進悟が亜美ちゃんに『ホの字』だったみたいな話がありましたけど、ソレってずっと後の第4シーズンに当たる『スーパーズ編』ですし、原作にそういう話はありませんからね。

       玄関ではうさママが、「あ、まこちゃんっ、久しぶりっ!(←Act.21以来ってコトか?)朝ご飯食べちゃったの? ナンだ残念、アボガド・ソース・オムレツなのにっ!」(←あん時ゃ「塩辛入り」だったなぁ…)。うさママは、まこちゃんを居間に案内して来て、「うさぎっ、まこちゃん…」

       「……」「…『なぁんだ、うさぎいるんじゃん…』…!…『ってん゛ん゛!?』(←思わず凍り付く笑顔…)。

       うさママは、まこちゃんに、「ごめんなさいね、ナンか、バタバタしてて、ゆっくりしてってねっ♪」と軽く肩を叩いて行ってしまいます。「……」「……うさぎ…?」「…ふふ(笑)…。…えへへ(笑)…」(←かわいい〜っ!)。

        ★  ★  ★  ★  

       一方こちらは…。

       次の瞬間、大都会の高層ビル街に、突如、巨大怪獣『美奈ゴン』『レイゴン』が…。

       って、特撮の怪獣映画かナンかの撮影現場のセットの中を歩いていたのでした…(←二人が手に持ってるのは、映画の台本のようですな)。

       ちなみに、このシーンでの美奈子は、このあいだの「緊急ライブ」の時のステージ衣裳を着てますな。要するにコレは、「MINAKO AINO RAIMBOW TOUR 2004 SUMMER」のツアー用のステージ衣裳なんでしょうな。レイちゃんは普通に私服ですから、今日はやはり土日ですな

       「プリンセスは今、アルテミスにも探してもらってる…。あたしの所にはまだ来てないわ…」「そう…」

       レイちゃんは、ルナから『うさぎちゃん失踪事件』の連絡を受け、「ヴィーナスのところに行ってみるって…」コトで、こうして美奈子の仕事先までやって来た訳ですな。前回のラストで、マーズはヴィーナスに、「これも…、こんなコトも…、前世から背負ってきたコトなのっ!?」と涙目で訴えてましたが、それ自体は、運命に対するいきどおりを思ったままぶつけただけで、別にヴィーナスを非難した訳じゃないし、ヴィーナスだって、そのコト自体は自分が非難される言われのないコトですからね。

       一方美奈子は、前回レイちゃんに自分の病気のコトを告白し、『サポート要請』をした訳ですから、以前だったら、Act.20の「私を追うなんて、無駄なコトはやめて!」とか、Act.23の「あたしのコトは追わない約束でしょ?」みたいに言う場面ですが、もちろん、もうそんな調子にはならず、むしろ歓迎すらしてるんじゃないでしょうかね?

       ここで美奈子は、「お疲れさまですっ」とカメファイターにご挨拶します…。カメファイター:「お疲れっす…」

       「…でもぉ、どうして急にプリンセスはあんな風に…。ルナは前世の姿とは違うって言ってたけど…」(←レイちゃんは、プリンセスとうさぎちゃんをハッキリ別モンと認識してるようですね)。「…確かに違うわね…。たぶん、エンディミオンがあんなコトになったせいだと思うわ…」…ここで美奈子は、ふと立ち止まり、「ただ…あの力…」と、前回の原っぱでの一件を回想します(↓)

1.       ベリル様が「無礼者!」と言って『ベリル様ビーム・スペシャル』を放つ。

2.       「プリンセス・セーラームーン」『五芒星ビーム』でお返しをする。ちゅどーんっ!

       美奈子は、撮影所の外へ出て、シャッター脇の、ビーチパラソルを差した折りたたみ椅子に腰を下ろし、「アルテミスは強すぎるって…」「強すぎる?」「……あのプリンセスは一体…」(←美奈子の場合は、『前世のプリンセス』『現世のうさぎちゃん』も同じ「プリンセス」なので、その辺をどう分けて考えてるのかが、ちょっと読めませんな…。ただ、ここでは、『前世のプリンセス』「プリンセス・セーラームーン」の違いにしか思いが至ってないようです)。

       ※ さて、この「プリンセス・セーラームーン」なのですが、この「プリンセス・セーラームーン」と言うのは、原作にもアニメ版にも出て来ない、実写版オリジナルのキャラクターです(←もちろんスーパーセーラームーンでもなければ、エターナルセーラームーンでもありません)。これは、「セーラームーン」とは違うが、かと言って、「プリンセス・セレニティ」とも違う…もちろん、うさぎちゃんとは「別人みたい」である…「プリンセス・セーラームーン」は、前回、地場衛のコトを「エンディミオン」と呼び(←うさぎちゃんなら絶対に呼ばない)、逆に、地場衛が「うさぎ」と呼びかけても、それには全く反応しませんでしたから、これは、明らかにうさぎちゃんとは「別人」な訳です。そこでワシは、このコトについて考察するために、例によって、いつものように、ナニげに原作を紐解くコトにいたしました…(←「実写版の解釈に困った時は原作を読めっ!」が座右の銘です)。

      ところで、「実写版」は、とにかく細かい設定がやたら説明不足なんですな。しかしこれは、最初からそのように(←ビジネス的、かつ芸術的に…)意図されてたコトで、要するに、ありていに言えば、『分からないところは原作の新装版コミックスを買って読んでね♪』と言うコトなんですな。だからこそ、最初から「原作・新装版コミックス」が、それを前提に加筆修正まで施され、「実写版」のテレビ放映スタートの12日前に先行する形で、同時期にしっかりと刊行されていた訳です(↓)

原作・新装版の発売日:

【第1巻、第2巻】

2003年9月22日(月)

【第3巻】(←ダーク・キングダム編・完結)

2003年10月23日(木)

【第12巻】(←最終巻)

2004年7月23日(金)

実写版の本放送日:

【Act.1】

2003年10月4日(土)

【Act.4】

2003年10月25日(土)

【Act.41】

2004年7月24日(土)

      要するに、「実写版」をリアルタイムで見るよいこのみんなは、「アニメ版」は知らないけれど、「原作・新装版コミックス」は知ってる(もしくは、あとで読んで欲しい)と言う前提で、「実写版」「原作・新装版コミックス」とが、持ちつ持たれつで並行に世に送り出されていた訳です。だから、「実写版」を解釈する上で、「アニメ版」との比較はそれほど重要ではないにせよ、少なくとも「原作」との比較は許容されてると言うか、予め推奨されてるコトなんですな(←実際、番組内でも、思いっきり視聴者プレゼントしてましたし、一方の「原作・新装版コミックス」内でも、「実写版」の視聴をお勧めする原作者コメントが記載されてましたからね)。んな訳で、しっかりと「原作・新装版コミックス」の新品を正規の値段で購入したワシには、堂々と「実写版」「原作」との比較・検証をする資格が大いにあるのだ(←ちなみに旧版は古本でしか手に入りませんでした…)。

       で、ナニげに原作を紐解いておりましたところ、ワシは、今更ながら、ある驚くべき事実に気付かされたのだった…(←たぶん、コレも、知らなかったのはワシだけなんでしょうが…)。そうなんですな…実は…ナニげにセーラームーンって、前世には存在してない戦士だったんですなっ!(←し…、知らなかったぁ〜っ!)(←て言うか…、気付かなかったぁ〜っ!)。だから、原作にもアニメ版にも実写版にも、前世のシーンには「プリンセス・セレニティ」しかいなくて、「セーラームーン」と言う戦士は全く出て来ないんですね。そうなのだ…実はワシは、実写版を見たあとに初めて原作を読んだので、そもそも『前世には、セーラームーンと言う戦士は存在していなかった』と言う事実を、全く知りませんでした(←だって、アニメ版でも、それについては、特に説明はされてませんでしたからね)。で、なぜアニメ版でそれが説明されなかったかと言うと、おそらくアニメ版では、『ヴィーナスがプリンセスの影武者』と言う設定を採用しなかったからでしょうな。原作を知ってた人にはもちろん常識なんでしょうが、ワシは知らなかったし、アニメ版を見てた時もちっとも気付かなかったので、ここでちょっと、個人的に整理させていただきたいと思います。と言うのも、「「プリンセス・セーラームーン」とは一体ナンぞや?」と言う問題について考えるためには、まず、「そもそも「セーラームーン」とは一体ナンぞや?」と言う基本的な問題を片付けておかないと、それこそお話になりませんからな…。

       で、その原作の説明なんですが、原作における「Act 8 美奈子―SAILOR Vで、セーラーVがプリンセスのダミーとして登場したその翌日、アルテミスがルナのところにやって来て、こう言います(↓)

―旧版―

―新装版―

「ルナ きみの使命は セーラームーンたちを見つけ そだてあげること

「ルナ きみの最初の使命は セーラームーンたちを見つけ そだてあげること

 

だけど それだけじゃない

きみの負担をかるくするために それ以上の記憶をリバースさせなかったけど

きみの負担をかるくするために それ以上の記憶を無理に操作しなかったけど

      実写版では、コレに該当する表現は、Act.26における、「今までは、ボクの方で加減してたから…すまなかった」

きみは もともと セーラームーンの側近だった すべてを 知っても いいころだな ルナ」「……アルテミス?」

      ここでアルテミスは、セーラームーンの側近と言う言い方をしましたが、この時点ではまだ、セーラームーンが本当のプリンセスだと言うコトを読者も知らない訳ですから、便宜上このような言い方をしたんですね。だからこれは、『前世にセーラームーンと言う戦士がいた』コトを示すものではありません(←そもそも戦士に「側近」などつく訳ありませんからな)。

きみは もともと 「あのお方」のお守り役だった すべてを 知っても いいころだな ルナ」「……アルテミス?」

      したがって、新装版では、『前世にセーラームーンと言う戦士がいた』かのように誤解されるのを避けるため、「セーラームーン」「あのお方」に修正してます。

      以上、「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より

       で、このシーンは、次回への含みを持たせたままここで途切れ、このアルテミスの話の内容は、続く「Act 9 セレニティ―PRINCESS」で、本当のプリンセスが覚醒し、全員の記憶が甦ったあとに、ルナ自身によって語られます(↓)

―旧版―

―新装版―

「あたしは プリンセス・セレニティの側近――ルナ」

      ここで、前回は便宜上「セーラームーンの側近」と表現された言葉が「プリンセス・セレニティの側近」と正しく表現され、それに続いて、前回のアルテミスの話の内容が明かされます。

「あたしは プリンセス・セレニティのお守り役――ルナ」

      新装版では、「側近」と言うのをやめてしまいましたね。おそらく、「側近」だと、一人だとも限らず、ハッキリ主従関係になってしまうし、また、たとえばルナが「プリンセス・セレニティの側近なら、じゃアルテミスは『戦士のリーダー、セーラーヴィーナスのナンだ?』ってコトにもなり、2匹の間に身分の差が生じてしまうからでしょうな。これがお守り役なら、生まれた時から一緒にいて、単なる主従関係以上の間柄になるし、2匹の間にも身分の差が生じない、と言うコトでしょうな。

…中略…

…中略…

あたし ルナの使命

あたしの最初の使命

月野うさぎを 目ざめさせ

セーラームーンを 目ざめさせ

育てあげること

育てあげ

いかなるときも そばにいること

見守ること

あたしの記憶を封印してたのも

あたしの記憶を封印したことも

セーラーヴィーナスを プリンセスのダミーにしたてあげ

セーラーヴィーナスを プリンセスのダミーにしたてあげ

そして

(←削除)

うさぎちゃんを

うさぎちゃんを

戦士

(←削除)

セーラームーンとして 育てたことも

セーラームーンとして 育てたことも

……

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すべて プリンセスと そして プリンセスのからだにねむる 「幻の銀水晶」をまもるため ……もうすこし 敵をあざむく予定だった でも

すべて プリンセスと そして プリンセスのからだにねむる 「幻の銀水晶」をまもるため ……もうすこし 敵をあざむく予定だった でも

うさぎちゃんは

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思わぬところで 覚醒をして……」

思わぬところで 覚醒をして……」

      以上、「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より

 

       つまり、そもそも「セーラームーン」と言う戦士は、現世において、「敵をあざむく」ために、『戦士のリーダーであるセーラーヴィーナスをプリンセスのダミーにしたてあげ』、それと入れ替える形で、逆に『プリンセスの方を戦士のリーダーにしたてあげ』ようとして、月野うさぎを「戦士セーラームーン」として育てあげてたんですね。つまり、『お姫様』『その守護戦士のリーダー』の二人の立場を、そうやって入れ替えてた結果だった訳です。だから、原作においては、ルナはセーラームーンを戦士のリーダーに指名してるんですね(↓)

「Act 4

Masqueade―仮面舞踏会」:

――とくに うさぎちゃん 最初に戦士になったあなた みんなのリーダーにならなきゃいけないのに いちばんたよりないんだから☆」

「Act 5

まこと―SAILORJUPITER」:

ジュピターが登場して、ネフライトを倒したあと、ルナはスティックを出すと、「セーラームーン ――戦士は四人そろったわ あなたがリーダーとなって 「幻の銀水晶」と 月のプリンセスを――守るのよ!」

     以上、「美少女戦士セーラームーン (1) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より。

 

     この『リーダー指名(=スティックの登場)』の件に関しては、アニメ版でも同じです(↓)

第25話

「恋する怪力少女、ジュピターちゃん」:

最強妖魔七人衆の最初の一人「妖魔ゲーセーン」を、元の人間「クレーンのジョー」に戻すため、ルナはスティックを出してセーラームーンに渡し、「ムーン・スティックよ、ムーン・ヒーリング・エスカレーションって叫んで!」

…で、戦いが終わったあと、「あなたが、四人目の戦士、セーラージュピターよ!」「えっ?! セーラー、ジュピター…」「セーラームーン、戦士は四人そろったわ。あなたがリーダーとなって、プリンセスを守るのよ!」「えっ!? あたしがリーダー?!」「そう! ムーン・スティックは、リーダーの証しなのよ!」「え……」

 

       これは、よくよく考えれば当然でしょうね。なぜなら、『プリンセス一人に対してセーラー戦士が四人いる』と言うのは敵も知ってる訳ですから、戦士のリーダーである「セーラーヴィーナスを プリンセスのダミーにしたてあげ」るのであれば、その代わりに、プリンセスの方を「みんなのリーダー」として「戦士」にしたてあげなければ、戦士の人数と役職が揃わなくなってしまいますからね。

     ここで面白いのは、原作では『プリンセスと戦士のリーダーをきっちり入れ替えていた』のですが、アニメ版では、その設定から、「セーラーヴィーナスを プリンセスのダミーにしたてあげ」ると言う設定を不採用にし、一方、実写版では、『セーラームーンを「みんなのリーダーに」する』と言う設定を不採用にしてるんですな(←実写版では、『ジュピター登場編』のAct.6では『リーダー指名イベント』は発生せず、しかも、のちに「みんなのリーダーに」に指名されるのはセーラームーンではなく、マーズでしたからね)。

            これは、アニメ版では、ヴィーナス一人が突出してしまうのを避け、プリンセス以外のセーラー戦士4人を均等に描きたかったのに対して、一方の実写版では、セーラームーン一人が突出してしまうのを避け、5人を全員均等に描きたかったからなんですね(←※原作では、プリンセスが絶対的なのはアニメ版と同じですが、ヴィーナスも、リーダーとして4戦士の中でも特に重要な役割を担ってますからね)。

     おそらく、その辺を考慮して、実写版においては、「ムーン・スティックは、リーダーの証し」と言う設定にはせず(←正式名称も「ムーンライトスティック」と改め)、Act.1の最初から標準装備で持たせて、いきなりそれを使った浄化技「ムーン・ヒーリング・エスカレーション」も出させ、その上さらに、「ムーントワイライト・フラッシュ」『スティックで放つ技』と言う設定に変更したんでしょうな(←元々原作では、「ムーントワイライト・フラッシュ」『ティアラの宝石から放つ技』として描かれてましたからね)(←「美少女戦士セーラームーン (1) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 1 新装版 (KCデラックス)より)。

 

     また、実写版では、スティックは「幻の銀水晶」を装着するためのモノとしては使われません。

       そんな訳ですから、前世の「プリンセス・セレニティ」と言うのは、まったくもって無力な存在だったんですな。原作・アニメにおいては、前世で「幻の銀水晶」を持っていたのは「クイーン・セレニティ」であり、それを扱う能力を持っていたのも「クイーン・セレニティ」だけです。なので、当然『前世のプリンセス』「幻の銀水晶」を持ってはいなかったし、だから当然、まだそれを扱う能力すらなかったんです。それができたのは、「クイーン・セレニティ」ただ一人だけです。だから、『前世のプリンセス』は、原作でもアニメ版でも、地球国の兵士が月の王国に攻め込んで来て、他のセーラー戦士達が戦ってても、自分も変身して一緒に戦うなどと言うコトは一切してませんし、たとえばアニメ版では、自分の目の前でエンディミオンが殺されそうになっても、ただ追いかけて手を差し伸べるだけで、そのまま自分も一緒に殺されちゃってましたからね(←アニメ版・第44話「うさぎの覚醒! 超過去のメッセージ」より)。

  

       つまり、セーラームーンに変身するとかしないとか以前に、前世の「プリンセス・セレニティ」と言うのは、ナンの戦闘能力も、その戦意すらも全く持ち合わせてないんです(←だからこそ、四戦士に守護されていた訳です)。

     しかも、前世の四戦士はそもそも変身なんてしません。最初からアレが『素』の姿なんです。ウルトラマンがM78星雲では変身せず、アレが『素』の姿なのと同じコトです。だからこそ、前世の「クイーン・セレニティ」も、メタリアを封印する際、「ムーン・ヒーリング・エスカレーション」を発動させるのに、いちいち、たとえば『クイーン・セーラームーン』などと言う戦士になんぞ変身してませんでした

       おそらく、この前世での教訓を生かすと言う意味もあって、現世においては、「プリンセス(←つまり自分自身)と そして プリンセスのからだにねむる 「幻の銀水晶」をまもるため」「うさぎちゃんを 戦士セーラームーンとして 育てた」んでしょうな。これは、「クイーン・セレニティ」とルナとアルテミスの首脳会議によって決議された計画で、アルテミス・サイドでは『プリンセスの影武者』一人を担当すればよかったのに対して、ルナ・サイドでは、『新戦士セーラームーン』を含む四人を担当せねばならなかったコトから、「きみの負担をかるくするために それ以上の記憶をリバースさせなかったけど」、これは最初から打ち合わせ通りのコトだった訳です(←「セーラームーン」と言う新しい戦士名も、その際に決定してたんですな)。

     ※ なので、未来においては、「プリンセス・セレニティ」「ネオ・クイーン・セレニティ」に即位したのちも、自分の娘「スモール・レディ(=ちびうさ)」を、かつての自分と同じように、『セーラー戦士見習い』として戦士の修行に出すようになるんですね。

     ※ さらに、決定的な証拠として、原作の『ダーク・キングダム編』のクライマックスに、次のようなセリフがあります(↓)

―旧版―

―新装版―

「いいえ!!クイン・メタリア おまえこそ 暗黒の塵となるのよ!! このあたし セーラームーンと プリンセス・セレニティが 月の力で いま おまえを 封印するわ!」

「いいえ!!クイン・メタリア おまえこそ 暗黒の塵となるのよ!! 愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンと プリンセス・セレニティが 月の力で いま おまえを 封印するわ!」

      以上、「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)より

      以上、「美少女戦士セーラームーン 3 新装版 (KCデラックス)より

 

     これ、完全に、今現在の自分の存在を、『現世の戦士セーラームーン』と、『前世のプリンセス・セレニティ』の融合体であると、自らそう宣言してる訳です。つまり、両者は元々違うモノとして別々の役割を担わされ、そのように過去と現在で存在していたのだと…。

       さて、このように、『前世にはセーラームーンと言う戦士は存在しなかった』と言う事実を踏まえた上で改めて見直してみると、現世において突如として登場した、『セーラームーンと名乗る新たなセーラー戦士』に対するダーク・キングダム・サイドのリアクションも、非常に納得のいくモノに映ってくる訳です。たとえば、実写版のAct.2で、ベリル様がジェダイトくんに、「ジェダイト…、セーラー戦士の一人が目覚めたというのはまことか?」と聞き、ジェダイトくんが「はい、セーラームーンと名乗りました」と答えた時、ベリル様は、「!…あの小娘が再びあたしの前に現れるとは…。おそらくはあやつの狙いは…」と、すべて『複数形』で答えてるんですね。つまりこれは、ここでのベリル様は、「セーラームーン」と言う固有名詞に対してではなく、「セーラー戦士」と言う役職名に対してコメントしていたんです。で、Act.10で、初めてセーラー戦士達の目の前に降臨したベリル様が、「お前がセーラームーンか!」と聞いたのは、単に、現世における今までの経緯を見て、おそらく、『セーラームーンとやらが、現世におけるセーラー戦士のリーダーだろう』と思ったからなんじゃないでしょうかね。なぜなら、ここでベリル様は、「覚えておらぬか…そうだな、わらわも昔とは違う……お前達セーラー戦士も…」と言ってますから、つまり、この両者には、昔と今ではお互いの立場や状況が違ってると言う認識があり、だから、一人だけ見覚えのない「セーラームーン」に対し、「お前がセーラームーンか!」と聞いたに違いありません。前世には、セーラームーンと言う戦士は存在していないのですからね。

     実写版においては、セーラームーンはリーダーには指名されませんが、マーズがリーダーに指名されるのはAct.20になってからですし、しかもそれは、当面マーズ本人とヴィーナスしか知らないコトです。つまり、Act.10でベリル様が「お前がセーラームーンか!」と聞いた頃は、実質的にセーラームーンがリーダー格だったと言っても差し支えない状況ではありましたからね。実際、一番最初に登場したのはセーラームーンでしたし、実写版で戦士集めをしたのはセーラームーンで、彼女の魅力が仲間を惹きつけなければ、みんなは戦士には覚醒しておらず、そしてそれが、実写版ならではの設定にもなっていた訳ですからね。

       で、今にして思えば、Act.13で、シンから覚醒したクンツァイトが、初対面でいきなり「お前がセーラームーンか…」と言ったのは、おそらく、『それで私をあざむいたつもりか?』と言う感じの意味だったんでしょうな。前世には、「セーラームーン」と言う戦士は存在していないのですからね。

       【結論】 さて、こうして「セーラームーン」そのものの定義がハッキリと分かれば、おのずと、実写版における「プリンセス・セーラームーン」の定義もハッキリとしてくる訳ですな…つまり、平たく言えば『その名の通りっ!』って訳ですが…。おそらく、こう言うコトなんじゃないでしょうか?(↓)

1.       本来であれば、うさぎちゃんも美奈子と同じように、うさぎちゃんに『前世の記憶』が甦るコトで、『前世のプリンセス』『現世の月野うさぎ』が同一人物として覚醒するのが自然な形だったはずなのですが、

2.       どう言う訳か、おそらく、『現世の月野うさぎ』の中に、無意識のうちに、それを拒むナニかがずっと働いていて(←すなわちそれが、うさぎちゃんの持っている、絶対的な『現世意識』の強さであるっ!)、

3.       そうやって『前世の記憶』が戻るコトを頑なに拒否し続けた結果、徐々に『前世のプリンセス』がその状態に耐え切れなくなり、その結果、美奈子も「たぶん、エンディミオンがあんなコトになったせいだと思うわ…」と言っていたように、前回の原っぱの一件でついに爆発して、『現世の月野うさぎ』『封印された記憶』の中から『前世のプリンセス』が幽体離脱してしまい、

4.       あたかも憑依するかのごとく、『現世の月野うさぎ(=セーラームーン)』の意識と体を乗っ取って支配しようとした…

5.       だから、「ただ…あの力…、アルテミスは強すぎるって…。…あのプリンセスは一体…」と言うのも、全く言葉通りで、前世においては、そもそも「プリンセス」は戦士ではなかったからなのである。つまり、『前世のベリル』『権力』を求めて「クイン・ベリル」となり、それでエンディミオンを奪い取ろうとしたように、『前世のプリンセス』は、『武力』を求めて「プリンセス・セーラームーン」となり、それでエンディミオンを取り返そうとしたんです。この両者は、前世において自分に欠けていたモノを補うコトで、過去の復讐を現世で遂げようとし合ったんですな。

       つまりそれが、「プリンセス・セーラームーン」だったのだっ!…ですから、「プリンセス・セーラームーン」の変身バンクは、まさにそれを、そのまんま映像化したものなんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       では、レイちゃんと美奈子の会話に戻ります…。

       レイちゃん:「前世での戦いの時は?」。美奈子:「…あの戦いは……」

       するとそこへ、大道具さんらしきスタッフが、スペースシャトルの模型を抱えながらやって来て、「あれ? 美奈子ちゃん、お友達?」。美奈子は、すかさず爽やかな笑顔で、「新人のマーズれい子ですっ♪」「!…『げっ、またソレかよ…』「どうもぉ…」「…」(←苦笑いで軽く会釈)。「台本の読み合わせしようと思ってっ」「…『まさか…?』

       どうやら美奈子は、「カメファイターvsイカキック 恋のナコナコ大作戦」(←「恋」の字だけハッキリ読めないけど、たぶん「恋」だと思う)と言う特撮映画(?)に出演してるようです。ナニげにレイちゃんも、すでにその台本を持たされてました。

     ※ あとで「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)を見たら、「恋」でよかったコトが確認されました。

 

       「なぜ? なぜ答えてくれないの? お願い、答えて!」(←いきなり台本を読み出す美奈子)。「……『マジっスか?』「お願い、答えて!」「……」(←なぜか躊躇するレイちゃん)。大道具さん:「……『え?…え?』(←二人の様子を不安そうに見守る)。「!…『ちょっと、恥かかせないでよっ』(←肘でレイちゃんを小突く美奈子)。「……ク…、クピ…「ヘタね」「!…『アンだとコラァ!台本通りだろがっ!』

       その台本とは…(↓)

 

 

美奈子

 

美奈子

 ナコナコ

美奈子

美奈子を見つめて

携帯には義幸から

「なぜ?なぜ答えてく

美奈子を見つめた

「お願い答えて!」

「クピ」(←確かに…) 

「何で何も言ってくれ

いよー。ねえナコナ

相変わらず何も答

美奈子。

静かな部屋の中で

以下、画面見切れ

       「気持ちが入ってないわ。まずはカタチから…」…そう言って美奈子は、レイちゃんにナコナコ・ハットを被せます(←ちなみにこの帽子は、Act.8の「なりきりコンテスト」の出場者の中には、見当たりませんでしたな…)。「……ふんっ…『アホくさ』(←実は、ナニげにこれが、三度目のナコナコ化なのでありました…)。

       ちなみに、この台本の中に書き込まれてるセリフの名前が「美奈子」になってますから、どうやら美奈子は、この映画には実名で出演してるようですな。だから、そのまんま現実世界のツアー中のライブの衣裳を着てるんでしょうね。きっと、この「RAIMBOW TOUR」の真っ最中に、ナンか事件にでも巻き込まれるってストーリーなんでしょうなぁ…。

       ちなみに、「カメファイター」と言えば、元基がまこちゃんをデートに誘った時の映画なんですが、あんなに客ガラガラだったのに続編ができたんでしょうか?…(←ワシが思うに、これはおそらく、イカキックとナコナコ人気の方が先行してる映画かと思われます)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、月野家の『偽装工作斑』…。

       まこちゃんは、うさぎちゃんの勉強机の椅子に腰掛け、「…そっかぁ…。じゃあ、いなくなった時は、プリンセスだったんだ…」。人型ルナは、ベッドに腰掛け、「ええ…、間違いないわ」。亜美ちゃんは、クッションの上に腰掛け、「じゃあ、ルナが聴いたハープの音っていうのは…」「プリンセスが、弾いてるのかも…」「ハープか…。ホントにうさぎとは別って感じだな…『ンな洒落たモン、うさぎが弾ける訳ないし…』「とにかくもう一度、ハープが聞こえた辺りを捜してみなきゃ」「でも…ココの留守番は?」

       亜美ちゃんのその一言で、急遽、『うさぎちゃん決めジャンケン』を始めた三人なのですが…。

 

亜美ちゃん

人型ルナ

まこちゃん

! 

チョキ

パー

グー

パー

チョキ☆

パー

       「やったぁっ♪」「ルナはダメっ!」「えぇ〜…」(←戦線離脱…)。

 

亜美ちゃん

まこちゃん

! 

グー

グー

チョキ

チョキ

パー

パー

グー

グー

チョキ

チョキ

       グー、チョキ、パー、グー、チョキ…と来たら、『次は「パー」よっ!』と読んだ亜美ちゃんが、「チョキ」を出して勝利を収めたんでしょうな…。う〜む…しかし、悪いコトは言わん…そのまま亜美ちゃんにしとけ…。もしこのままうさぎちゃんが帰らぬ人となっても、その代わりが『亜美ちゃんうさぎちゃん』なら、月野家側でも、特に異存はないはずだ…。

        ★  ★  ★  ★  

       ガチャンとドアが開き、うさママが入って来ます…「うさぎぃ? じゃ、お留守番たのむわよ? ママ夜になるから…」。すると、おおっ! ナンと今度は、月野家宅に、突如、巨大怪獣『うさゴン』が……「はぁ〜〜い…」(←鼻声…)。「あら?…ナニその声?」「!…『やば…!』…ちょっとぉ…風邪ひいちゃって…」(←鼻つまんでます…)「おほっ、おほっ…」(←チラッと斜め下に視線を向ける)。すると、まこちゃん、まこちゃん……枕の陰に隠れてる『ぬいぐるみルナ監督』から、「もっとうさぎちゃんぽく!」 と書かれた演技指導のカンペが…これ、これ、これ…

       ちなみに、他のカンペには、「もっと ハジけて」「まこちゃん 自分を捨てて」「がんばれ〜(←?) まこちゃん ファイト!」(?) 月野うさぎ (?)

       それを見て『うさゴン』は、「かっ、風邪ひいちゃったぁ〜っ」(←声のキーを1オクターブほどアップ…)。「!?」「わ〜い! わ〜い!」(←飛び跳ねる…)(←おおっ! 見違えるような上達ぶりですっ!)(←でも、その後ろ姿はメチャメチャ八頭身ですっ!)。

       うさママ:「わ〜いって…?…ちゃんと寝てなさいよぉ?もう…」。うさママは、『うさゴン』を捕まえてベッドに寝かせ、布団を掛けます…そして去り際に、「悪くなってるわっ、うさぎが大きく見える!」「!」「乱視ぃ?!」。そうして、無事、うさママは行ってしまいました…。

       「…はぁ〜…」「はぁ…」(←ナニげに実写版では、まこちゃんって、けっこうギャグ担当なんだよなぁ…)。

         ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       亜美ちゃんは、まこちゃんとのジャンケンに勝利し、『うさぎちゃん捜索班』に回って、街中を走っております。「うさぎちゃんっ、うさぎちゃんっ…」。亜美ちゃんはレイちゃんとは違い、うさぎちゃんのコトとなると、沈着冷静ではいられないようですな…。なので、本当なら、ここは、街なかでも白昼堂々『プリンセスっ』と呼ばなければ相手に通じないはずなのですが、どんな時でも、あくまでも「うさぎちゃん」なのでした…。

       ※ ところで、ワシは本稿のAct.28の時に、うさぎちゃんと亜美ちゃんの友情が、実写版においては特別な関係にあると言うようなコトを書きましたが、実は、この事は、ちょっと興味深い事実によっても裏付けられるんですな。たとえば、原作における「Act 10 MOON―月」には、次のようなシーンがあります(↓)

1.       「月へ いきましょう あたしたちの王国のあったところへ ――すべての秘密を とくために」てな訳で、みんなで変身して、「そのパワーで転位をおこなうのよ」っつって、月へ飛んでくシーンがあるんですな(←ちなみにアニメ版では、第44話「うさぎの覚醒! 超過去のメッセージ」において、クンツァイトに「ええい、小生意気なっ! 多次元混乱世界に吹き飛ばしてくれるわっ!」っつって飛ばされた先が、運よく前世の月の王国になってました…)。

2.       で、その際、宇宙空間を飛んでる最中に後ろを振り返りながら、「……すごい…これが地球…」「……まこちゃん 見て 稲妻が見えるわ」「うそみたいだな これが 一瞬まえまでいた星……か」「見て 月よ ……ホントにクレーターだらけだわ ……水星ににてる どこに おりるの? ルナ」「「マーレ・セレニタティス」――「晴れの海」へ」(←「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       そうなんですね…ここでマーキュリーも言ってるように、月と言うのは「水星ににてる」んです。これは天体に詳しい人には常識で、似てるのは外見だけではないんですな。ワシが昔買った「Newton」と言う科学雑誌にその事が書いてあるので、参考までにそこから引用してみましょう(↓)

1.         「月とよく似た水星の素顔 水星の表面は、月とよく似た無数のクレーターにおおわれた荒涼とした世界である。これは水星が月と同じように、形成後の早い時期に地殻が形成され、その後にはげしい隕石の衝突があったことを示している。」

2.         「水星の表面には、月の海とよく似たクレーターの比較的少ない地域がみつかっている。月の海は火山活動による玄武岩質の溶岩でおおわれた地域であり、水星にも形成後に火山活動があったことを示している。」(←「太陽系大図鑑―最新データが明かす惑星の素顔 (ニュートンムック Newton別冊)より)。

 

       つまり、両者は、その形成過程が非常に似通ってるんですね。また、「水星」は、太陽系の地球型惑星の中では、赤道半径も質量も最も小さいので、その意味でも最も月に近いと言え、つまり、両者は小さいがために力が弱く、攻撃には不向きなので、その結果、守備的な役割が強くなったとも言えるんですな。

       さらに、ルナが言った「マーレ・セレニタティス」――「晴れの海」です。つまり、ここにかつて「月の王国」のドームがあった訳なんですが、この「マーレ・セレニタティス」(=Mare Serenitatis)と言うのはラテン語名で、英語名では『シー・オブ・セレニティ(=Sea of Serenity)』となり、つまりこれが「クイーン・セレニティ」の名前の由来なんですな。ちなみに『セレニティ(=Serenity)』と言うのは、プログレッシブ英和中辞典によると、

1.         静けさ、平穏;(心・生活の)安らかさ、落ち着き。

2.         (空・天候などの)晴朗,、清澄、うららかさ。

3.         ((通例 his your, her, etc. S-))殿下。 ▼ヨーロッパ大陸の王侯の敬称。

       と言う意味があるんですな(←2の意味以外は、うさぎちゃんとはまるで無縁の言葉ばかりですが、「クイーン・セレニティ」の方は、まさにその名の通りのお方ですな)。要するに、「月の王国」「晴れの海」(←本当に「海」な訳じゃありませんが…)にあったと言うコトは、マーキュリーの属性である「水」との関わりが全くないとも言えない訳です。

     ※ ちなみに原作の劇中では、このあと「クイーン・セレニティ」ご本人が出て来て、「わたしは 地球でよぶところの 月の女神セレーネの化身 シルバー・ミレニアムの前女王 クイーン・セレニティ」っつってましたね。この「月の女神セレーネ」と言うのは、ギリシャ神話の月の女神『セレーネー(=Selene)』のコトだそうで、『月が形を変えるように三つの顔を持つ』だとか、『美少年エンデュミオーン(=Endymion)を愛した』だとか、『彼に不老不死の永遠の眠りを与えた』だとか、セーラームーン世界の設定はほとんどここから取られてるんですな(←ちなみに、同じくギリシャ神話の『アルテミス』、ローマ神話の『ルーナ』も、のちに『月の女神セレーネー』と同一視されるようになったんだそうな…)。

     ※ ちなみに、原作には「セレニティ」についてのアルファベット表記が出て来ないため、既成の英単語である『セレニティ(=Serenity)』なのか、それとも、『セレーネー(=Selene)』由来の造語としての『セレニティ(=Selenity)』なのか、どちらか分かりませんな…(←ちなみにアニメ版のアメリカ版の英訳には『セレニティ(=Serenity)』があてがわれていはいましたが…アレに関しては、きちんと原作者さんから確認を取ってないはずです。月野うさぎの名前すら勝手に『セリーナ(=Seria)』に変えちゃってますからね)。

       ついでに言っておきますと、たとえば、セーラー太陽系では、『内部太陽系』(←月、水星、火星、木星、金星)『外部太陽系』(←天王星、海王星、冥王星、土星)などと言う風に分類されておりますが、現実世界では、太陽と地球を基準にして、『内惑星』(←水星、金星)、『外惑星』(←その他)と分類されており、『内惑星』である「水星」「金星」には、「月」と同じように『満ち欠け』があるんです(←つまり、いくつもの顔を持っているのだ)。そういう意味でもこの三つの星は、非常に似通った星なんですね。言うまでもなく、実写版においては、この三人は、現世において、前世にはなかった別の顔(=変身)をしてますからね(←ヴィーナスは「セーラーV「プリンセス・セーラーヴィーナス」、マーキュリーは「ダーキュリー」、プリンセスは「セーラームーン」「プリンセス・セーラームーン」、という具合に…)。また、「水星」「金星」は、たった二つしかない『内惑星』ですから、両者はお互いにライバル関係にあるとも言う見方もできなくはない訳です。「月」「水星ににてる」なら、一方の「金星」は、実は「地球」に似ているんです。これに関しても、原作の「コードネームはセーラーV」に、次のような記述があります(↓)

       「Vol.1 セーラーV誕生!」において、アルテミスが美奈子を戦士に勧誘するに当たって、自分の話を信じさせるために、彼女に『三日月コンパクト』を渡して覗かせます。「……ここは……?」「見えるかい? いま きみは宇宙空間まで とんできたんだ あれは きみの守るべき星 地球」「地球!?」――そして あれが ――灼熱の星「女神ヴィーナス」 きみの母星 大きさ 重さが地球と ほぼ同じ 内部組成も 地球と ウリ二つ 地球とふたご惑星とまでいわれる 金星だよ」(←「コードネームはセーラーV (1) (講談社コミックスるんるん)、及び「コードネームはセーラーV (1新装版 (KCデラックス) より)。

 

       これも、先の科学雑誌Newton」に同じ事が書いてあります(↓)

1.         「金星 サイズや組成、太陽からの距離などの点で、金星は地球に近い条件下で生まれた惑星と考えられる。」

2.         「金星はその大きさや太陽からの距離などの点で地球とよく似ており、同じような進化の筋道をたどったものと考えられる。」(←「太陽系大図鑑―最新データが明かす惑星の素顔 (ニュートンムック Newton別冊)より)。

 

       つまり、「水星」「金星」は、「月」「地球」をめぐって、ナニかと因縁のある星なんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、ダーク・キングダムのゾイサイトの部屋では…。

       ゾイサイト:「マスター、我らのためにここにいる必要はない。すぐに脱出を!」。地場衛:「見捨てるつもりなら、最初からベリルに従わない」

       クンツァイト:「…」。ジェダイトくん:「…」。ゾイサイト:「マスター…

       クンツァイトは、いかにも皮肉っぽく、「……ありがたきご温情と言ったところか?」。ゾイサイト:「クンツァイト!」。ジェダイトくん「!」

       クンツァイト:「私は恩に着るつもりはない」。地場衛:「オレもそんなつもりじゃない…!」「…」。地場衛は、クンツァイトの目の前を横切りながら、「復讐するんだったな?」「…」「お前たちを裏切り、星が滅んだと言うのはどういうコトだ?」「知ってどうする?」「さあな…。…黙って斬られるか…。それとも逆になるか…」「…なるほど?…以前とは違うな…」…そう言うとクンツァイトは剣を抜き、「…ならば…、黙って斬られろ!」と、地場衛に剣を突きつけます。ゾイサイト:「よせっ!」。地場衛は、そんなクンツァイトに対しても、少しも臆するコトなく、精悍な目つきで見つめ返しております…「……」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはレイちゃんと美奈子…。

       「前世での戦いは地球に反乱が起きたのが始まり…。地球に災いが起き始めたのはプリンセスとエンディミオンのせいだって…」「禁じられてた恋をしたから?」(←いつの間にか、頭にナコナコの着ぐるみを装着してるレイちゃん…)。

       ナニげにこの着ぐるみって、Act.8の「なりきりコンテスト」で、まこちゃんが被ってたヤツですな…そうなのだ…やはりこの着ぐるみは、ワシが睨んだ通り、まこちゃんが個人参加のキモオタ野郎を亡き者にして変身ケータイで写し盗ったモノだったんですな。仮にコレが、まこちゃんがあの場で急遽制作した実物なら、その現物がここにある訳ありませんからな。

       美奈子はうなずくと、「その時、災いを起こした力がクイン・メタリア…。その力で地球の人達を扇動したのがクイン・ベリルよ」(←あれ?なぜかここでは、「クイン・ベリル」って言っちゃってますが…?)。「!…」

       前回も書いたように、前世におけるベリルは断じて「クイン」ではあり得ないのですから、前回ヴィーナスは、ベリル様本人に向かって「ベリル! 一体ナンの真似!?」と言ってたのに、ここで美奈子が、前世の話の中で「クイン・ベリル」という名称を使うのは、どうなんでしょうかねぇ?…コレは単に、こう解釈すべきセリフなんでしょうな⇒「その時、災いを起こした力がクイン・メタリア…。その力で地球の人達を扇動したのが『今で言うところの』クイン・ベリルよ」

       ※ それはさて置き、この、「その力で地球の人達を扇動したのがクイン・ベリル」と言うコトに関しては、原作に以下のような描写があります(↓)

       原作における『真のプリンセス覚醒編』にあたる「Act 9 セレニティ―PRINCESS」で、セーラームーンがプリンセスに覚醒して前世の記憶が甦った時の回想シーンの中に、地球国側が月へ攻め込んできた時、まさに、当時のベリルが「地球の人達を扇動した」場面が描かれてます(↓)

1.       ベリルは、自らも剣を振りかざしながら、「月の王国を われらのものとするのだ! 「幻の銀水晶」を この手に!」

2.       さらにエンディミオンに向かって、「王子! 地球をうらぎるのか!? すべては地球の繁栄のためだぞ!」

3.       しかしエンディミオンは、プリンセスを守りながら、「やめろ! やめるんだ! むだな争いは!」と叫んでるんですな。前回も書いたように、四天王はこれに簡単に踊らされたのですが、エンディミオンはそうではなかった訳です(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       この時のベリルは、現世におけるダーク・キングダムの女王「クイン・ベリル」の姿はしておらず、かと言って、卑しい身分と言うような服装でもありません。つまり、前回ワシが説明した、ベリルの四つの時代(=顔)の第三の時代【前世の「クイン・メタリア」出現後の時代】に当たるベリルがコレで、実写版においては、その映像化が封印されているベリルです。

       ちなみに、これがアニメ版だと、この時のベリルは、現世の「クイン・ベリル」と全く同じ格好をしてます(↓)

1.         ただし、アニメ版の「前世での戦い」のシーンにおけるベリルは、エンディミオンによって次のように説明されてます⇒「ベリルは魔導師だ。メタリアのパワーを利用して、月と地球を征服しようと考えている」。で、この時エンディミオンは、ベリルのコトを終始「ベリル」としか言わず、決して「クイン・ベリル」とは言わないんですな。当然です。前世のベリルは単なる「魔導師」なのだから、格好は同じでも、その身分自体は当然「クイン」ではあり得ない訳です。

2.         で、その「ベリル」は、メタリアの力を借りて月の王国を攻め滅ぼし、四人のセーラー戦士を倒し、その勝利の凱歌として、「今日からは私が地球と月を支配するのだ。私に逆らう者は許さぬ! 我らが愛するメタリア様っ、今こそ我らが、ダーク・キングダムの誕生です!」っつって、そこで、その配下の四天王が登場し、クンツァイトが「はっはっはっ…!」っつって高笑いするんですな。

3.         なので、原作・実写版とは違って、アニメ版には前世に「ダーク・キングダム」が存在してたんですな(←前世では、月の王国の跡地に建設予定だったらしい…)。ただし、「誕生です!」っつった直後に、クイーン・セレニティの「ムーン・ヒーリング・エスカレーション」一発でメタリアもろとも全滅させられちゃってましたけど…(←とほほ…)(←アニメ版・第44話「うさぎの覚醒! 超過去のメッセージ」より)。

  

        ★  ★  ★  ★  

       ゾイサイトの部屋…。

       クンツァイトが、地場衛の喉元に剣を突き付けます…。ゾイサイト:「クンツァイト! マスターは我らのためにベリルの許へ下ったのだぞ!…マスターは昔のままだ…」。地場衛:「……」。クンツァイト:「……」。するとここで、両者の記憶が、前世へフラッシュバックします…(↓)

1.       それは、エンディミオンとクンツァイトが、原っぱで剣を交えてる姿です…(←どうやらこれは、剣の稽古のようですな)。

2.       「フッ!」かきんっ!「やっ!」かきんっ!「えいっ!」ひゅんっ!マスターの剣がことごとく防がれたり空を斬ったりして、クンツァイトが、「さぁ、マスター!…『どうしました?まだまだですよ…!』と促すと、今度はエンディミオンは、2度の突きもかわされ、上から思いっきり剣を振り下ろすも、それもあっさり受け止められて弾き返され、後ろに尻餅をついてしまいます。

3.       すると、クンツァイトは、微笑みながら「マスターっ…」と言って歩み寄り、エンディミオンの腕を掴んで起こしてあげます…「何度言ったら分かるんです?」(←めっちゃ爽やかじゃないか…)。クンツァイトは、エンディミオンの腰の葉っぱを払いながら、「そういう乱暴な剣は、王家にふさわしくありません。それでは、敵と刺し違えるコトさえもありうる」「どこが悪い? 敵は倒せるだろう…!」「いえっ、マスターの剣はまず、生き延びる剣でなければ…」(←おおっ! その通りっ、王子たるもの、世継ぎも残さずに死ぬなどもってのほか!)(←封建時代の世襲制の下では、カッコなんか付けていられないのだ)(←ナニげにこの人、一人っ子みたいだし…)。

4.       「はぁ、またお前の講釈か…。で? お前のはオレを守るための剣か?」。するとクンツァイトは微笑み、我らの剣は、あるじのために死する剣です」(←おおっ! その通りっ、王子の代わりはいないが、四天王の代わりはいくらでもいる!…これはカッコ付けでもナンでもなく、世襲制の厳しき宿命なのだ)。そして、「お前」と問われて「我ら」で答えるところに、前世の四天王が、心から一致団結していた様子が伺える訳なんですな…。

5.       エンディミオン:「…ふっ(笑)…」。クンツァイト:「…ふっ(笑)…」。エンディミオンはクンツァイトの肩をポンと叩き、「もう一回だ…」

       ふ〜む…なるほど…。クンツァイトは、前世ではマスター・エンディミオンの剣術指南役でもあったんですな…(←強い訳だ…)。

       で、場面は戻って、睨み合う地場衛とクンツァイト…。

       ジェダイトくんは、ナニやら混乱してアタマを抱えております…「…マスター…」

       クンツァイト:『そんな』過去は…、…あの滅びの日にすべて消えた…!」。するとここで、クンツァイトの記憶が、その「滅びの日」にフラッシュバックします…例の、いつものアレです…(↓)

     城の瓦礫の下敷きになって死んでる、ゾイサイト、ジェダイトくん、ネフライトの横で、「う゛わ゛あ゛ああああああああああ〜〜〜っっっ!!!」と雄叫びを上げるクンツァイト爺…。

       Act.32でも説明しましたが、ワシは再三にわたってこのシーンは奇妙だと言ってきましたが、ここでクンツァイトは、ハッキリとこれを「滅びの日」と言ってますね。これは重要です。そしてその意味は、次回に全て解明されます。

       クンツァイト:「私はそれに関わった者すべてを消す…」「……」「当然…、私自身もだ…」「!…」。クンツァイトは斬り掛かり、地場衛がかわして避けます。しかしクンツァイトは、地場衛の胸座を掴んで、剣を突き刺そうとします。

       するとその時、「ナニしてるの!」と、ナンと黒木ミオが入って来て、思わずみんなの動きが止まります。クンツァイト:「!」。地場衛:「!」。そして、なぜかピッチング・モーションのまま固まってるゾイサイト:「……『握りがカーブなのがバレる…』。黒木ミオは、「クンツァイト! まもるくんに手を出したらどうなっても知らないからね…」と言いながら近付いて来て、あの美奈子をも硬直させた豪腕握力で、クンツァイトの手を地場衛から引き剥がします。クンツァイトは、地場衛を見据えたまま、剣だけを降ろします。それを見て黒木ミオは、「まもるくん?メタリアの部屋に行こ♪」と手を引きますが、地場衛は、その手をばっ!と跳ね除けます。黒木ミオと地場衛は一瞬睨み合い、それから地場衛は、まだ何か言いたげにクンツァイトの顔をじっと見やってから、部屋を後にします。

       クンツァイトは、憎々しげにその後ろ姿を見送ったあと、剣をすぱんっ!と鞘に収めます。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       亜美ちゃんは、依然として「うさぎちゃんっ、うさぎちゃんっ…」と呼びながら、プリンセスを捜して街の中を走り回っております…「うさぎちゃんっ…」。すると……ん?…んん?…んんん〜〜〜っっっ???…こ、これは?!

       ナンと、亜美ちゃんが走り過ぎて行った大きな建物の下に、一人の男が、柱にもたれるように座り込んでいるのですが、それがアップで映し出されると…

       ね…、ネ、…ネフライトぉ??!!(←生きとったんかぁ〜っ!?)。

       ナンとそれは、普通に一般人の服装をして、普通に黒い髪をして、普通に瞳の色も黒い、見たところ普通の人間の姿をしたネフライトではありませんか!

       しかしこれは、一体どう言うコトなんでしょうか?たとえば、ネフライトが初登場したAct.4では、彼はAct.1のジェダイトくん同様、人間に成りすましてダーク業務を遂行してましたが、その時でさえ髪の色と瞳の色は、赤と青のまんまでしたから、これはひょっとして、クンツァイトが一時期普通の人間「シン」として生きていたように、ネフライトにもそう言う時期があって、彼はそれに戻ったと言うコトなんでしょうか?

       さっき、ダーク・キングダムの食卓シーンの時に、地場衛が黒木ミオに、「その前にゾイサイト達に会わせろ。無事なんだろうな…」と聞いた時、黒木ミオは、「うんっ、一人いなくなっちゃったけどね…。…どっかに落っことして来ちゃった」と言ってましたが、つまりそれは、少なくともネフライトが、前回も書いた通り、ダーク陣営が誰かを『ダーク・キングダムのお城』へ連れ去るための条件(↓)

1.       連れ去られる本人に、自ら『お城』へ行く意思があり、また、それなりの能力を有しているコト。

2.       さもなければ、「術」をかけて、相手を完全に操った状態にするコト。

       この条件を、いずれも満たさない状態になった、と言うコトなんでしょうな。だから、Act.28の『ダーキュリー姿の亜美ちゃん』とうさぎちゃんのように、空間移動の最中に「落っこ」ちちゃったんです(←落ちたのが『ダーク・キングダムの森』じゃなくてヨカッタね♪)(←取り敢えず、コイツは人型ネフライトと名付けよう)。

       で、その人型ネフライトは、目を開けて顔を上げると、前回での原っぱでの一件を思い出しております(↓)

1.       在りし日のネフライトが、ベリル様の邪悪な笑みに見守られながら、虚空に右手を差し出し、「……ベリル様っ……うっ…」

2.       しかしベリル様は、「フッ…」と鼻で笑い、

3.       ばたぁ〜ん!…と倒れ、「……『む、無念…』(←がくっ…)。

       すると、人型ネフライトは、天を仰いでいたかと思うと、急に「ハッ!」となって、右手で自分の心臓の部分を押さえます。それから、その手をゆっくりと離して、その手のひらを見つめます…今度は左手も出して、その手のひらを見つめます…。すると、ナニやら、「ンッフッフッフッフッフ……」と笑い始めたかと思うと、おもむろに立ち上がり、右の手のひらを見ながら「ッハッハッハッハ…」…左の手のひらを見ながら「ッハッハッハッハ…」。ついに天を仰ぎながら「ハッハッハッハッ…!」そして、急に真顔になったかと思うと、いきなり憎々しげな表情で、「……クイン・ベリルっ!…」と吐き捨てるように言い放ちました(←おおおっ! 思いっきり呼び捨てだっ!)(←「クイン」付きだけど…)。これは、さすがのネフライトも、自分だけ自害させられて、いい加減トサカに来たようです。ナンたって、久々にベリル様からお声がかかって、「…やはり四天王は宝…大切にせねばな…」なんて言われた結果が、アレですからねぇ…。それで、どうやらネフライトは、人間化したコトと引き換えに、洗脳も解かれたみたいで、もはや「ベリル様」ではなくなっております。

       しかし、どーでもいいけどこの男は、何度殺しても死なないねぇ…(←『覚醒マーズ』に燃やされた時も死んだと思ったのに生きとったし…)、そんで、どう言う訳か石にもならないんだよなぁ…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらダーク・キングダム…。

       その「クイン・ベリル」ことベリル様は、いつものように「メタリアの部屋」でメタリアを眺めてましたが、ふと振り向くと、かすかな微笑みを浮かべます…。お待ちかねのエンディミオンがやって来たようです。どうやら本日のエンディミオン様ご一行は、一日も早くココでの生活に慣れるよう、ダーク・キングダム巡りで時間を過ごされていたご様子です…それはそれは物珍しそうに、園内、いや城内を見渡しながら、歩いて来ました…。

       地場衛は、さっき黒木ミオに、「まもるくん?メタリアの部屋に行こ♪」と案内されてここに来た訳ですが、そこにはすでに黒木ミオの姿はありません。つまり黒木ミオは、自分がなぜ彼をここに案内して来たのかが、ちゃんと分かってる訳ですな。

       さて、そこでです。もしも黒木ミオが「クイン・ベリルの影」だと言うのであれば、黒木ミオもベリル様同様にエンディミオンを愛しているのでしょうか?それで、下手したら仲間割れして奪い合うようなコトにでもなり得るのでしょうか?もしも黒木ミオが「クイン・ベリルの影」だと言うのであれば、ひょっとすると、その可能性もないとは言えないはずです。しかし、クローンであれば、その心配は「影」よりは遥かに少ない訳です。なぜなら、クローンと言うのは、言わば年齢ギャップのある双子みたいなものですから、双子の姉妹が必ずしも同じ男を好きになるとは限らないのと同じように、したがって黒木ミオには、ベリル様のような、エンディミオンに対する恋愛感情などありません。それに、黒木ミオはクローンとして現世に生まれてきたのですから、当然、最初から前世の記憶など持ってるはずありません。だから、そもそも『地球国の王子エンディミオン』なんてモノは知らないんです。だからこそ黒木ミオは、自意識下においては地場衛の事を決して「エンディミオン」とは呼ばず、あくまでも「まもるくん」と呼ぶんですな。黒木ミオにとって地場衛は、彼女が憧れるに足るような、ナンの地位も過去も持たない、単に普通の人間の「まもるくん」でしかないんです。だから、ベリル様と意識が一体化してる瞬間だけ、「エンディミオン」と呼ぶんですな。

       なので、さっき「まもるくんに手を出したらどうなっても知らないからね」と言ってたのも、言うまでもなく、『ベリル様に怒られちゃうよ』と言う意味ですから、そこには、『あたしが怒る訳じゃないけど…』みたいなニュアンスがある訳です。

       ベリル様:「よくぞ来た…。…エンディミオン…」「……」。地場衛は、ベリル様を睨み付けております。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       ベリル様:「……」。地場衛:「……」。無言で向かい合う二人…。

        ★  ★  ★  ★  

       こちら、レイちゃんと美奈子…。

       「クイン・ベリルは、最後には月の宮殿にまで攻め込んで来た…」…ここで美奈子は立ち上がり、「その日、何かが地球を滅ぼして…、月も滅亡したのよ」。するとレイちゃんも立ち上がり、「何かって、クイン・メタリアじゃないの?」(←全身すっぽりナコナコ化しちゃってます…たぶん、会話の節々にさっきの大道具さんが現われて、その度に追加されていった模様です)。「それは分からない…。たぶん、プリンセスとエンディミオンにしか…」

       すると、またさっきの大道具さんがいきなり出て来て、「エンディミオンなんか出てたっけ?! ナニ?改訂稿?…ナンか作んのぉ?」。二人は慌てて台本をめくり、「愛してると一言っ!」「クピピっ!」(←もはや、「あ・うん」の域です…)。大道具さん:「!…『ぱちぱちぱち…』(←拍手…)。「……」「……」(←二人寄り添って、遠くを見つめるの図…)。

       ちょっと話が飛び飛びになってしまったので、もう一度、美奈子の説明をまとめますと…(↓)

―Act.37の再現VTR―

       「前世での戦いの時は?」「…あの戦いは……」

       「前世での戦いは地球に反乱が起きたのが始まり…。地球に災いが起き始めたのはプリンセスとエンディミオンのせいだって…」「禁じられてた恋をしたから?」

       美奈子はうなずくと、「その時、災いを起こした力がクイン・メタリア…。その力で地球の人達を扇動したのがクイン・ベリルよ」「!…」

       「クイン・ベリルは、最後には月の宮殿にまで攻め込んで来た…。その日、何かが地球を滅ぼして…、月も滅亡したのよ」「何かって、クイン・メタリアじゃないの?」「それは分からない…。たぶん、プリンセスとエンディミオンにしか…」

       さて、ここでの美奈子の説明は、結局、Act.26でルナがみんなにした説明と、基本的にはほとんど一緒です(↓)

―Act.26の再現VTR―

       ルナのナレーション:「地球の王子と、月のプリンセス…、二人はとても深く愛し合っていましたが…」

1.       前世で、「プリンセス」「エンディミオン」が、緑の草原を、「あはは、うふふ…」と手をつないで走っております…。…それから、芝生の上に腰を下ろして、笑顔で見つめ合っております…「……」「あはは…」

       「実はそれは、禁じられた恋だったために、災いが災いを呼び、月の王国と地球は戦いを始め…」

2.       城の周りを劫火が取り囲み、天変地異のような地割れが起こり、そこからマグマと言うか炎が吹き上げております…。

       「ついには、大いなる悪によって、地球は滅亡し…」

3.       地球全体を青い炎のようなものが包み込んでおります…。

       「月の王国も、滅んでしまいました…」

4.       それから、月の王国で、手をつないだまま仰向けに倒れて死んでいる「プリンセス」「エンディミオン」の姿が…。

       「ヴィーナスが、タキシード仮面に近づくなって言ったのは、正しかったわ。プリンセスと、王子の恋は、不吉なのよ。前世で地球と月が滅んだのは、そのせいだって言われてるし…」

     また、手をつないだまま仰向けに倒れて死んでいる二人の姿が映されます…。

       「それが分からないな…ナンでそんなコトで星が滅ぶわけ?」「それは、うさぎちゃんか、タキシード仮面の記憶が戻らないと…」

       この時ルナは、「大いなる悪(←メタリア)によって、地球は滅亡し…」と説明してますから、それでレイちゃんは、ここで美奈子に、「何かって、クイン・メタリアじゃないの?」と聞いた訳ですが、美奈子はそれについては「分からない」と答えてますね。

       一方、美奈子の説明では、ルナの説明よりも具体的な点が二つあります。

1.         まず、「前世での戦いは地球に反乱が起きたのが始まり」と言ったコトです。これは非常に重要です。

2.         もう一つは、「地球の人達を扇動したのがクイン・ベリル」「クイン・ベリルは、最後には月の宮殿にまで攻め込んで来た」と言った点です。これはつまり、その時ヴィーナスは、まさに最前線で『月の王国軍』を指揮し、ベリル率いる『地球の反乱軍』と戦っていたコトを意味してます。

       つまり、こう言うコトになります(↓)

1.         「地球に反乱が起き」『地球の反乱軍』が月に攻めて来た際、『エンディミオンが月の王国にいてプリンセスを守った』と言う点については、原作、アニメ版、実写版、共に同じ舞台設定になる訳です。

2.         だから、ヴィーナスとセーラー戦士達は、本来であればプリンセスを守護する役割であるはずなのに、プリンセスの護衛はエンディミオンに任せ、彼女達は、『前線に出て地球の反乱軍と戦っていた』訳です(←この点については、アニメ版のみと同じになります)。

3.         その結果、誰もプリンセスの近くにはいなかったため、最終的に「プリンセスとエンディミオンにしか」「分からない」かたちで「滅亡」が訪れた…と言う認識なんですね(←この点が、すなわち実写版のオリジナル設定になりますが、それについては、次回に解明されます)。ルナも、「それは、うさぎちゃんか、タキシード仮面の記憶が戻らないと…」と言ってますから、ルナとアルテミィ〜スもその場にいなかった事が分かります。

       と言う訳ですから、Act.26で、ルナの説明にかぶせられていた前世の回想シーンは、ルナの記憶にある回想シーンではなく、単に客観映像(←もしくはルナの想像)として映し出されたものだった訳です(←※これについては、次回においてハッキリとそう説明されます)。

       そう言えば、この美奈子の前世の説明は、ダーク・キングダム・サイドの回想が生々しく映像化されるのとは違って、全く映像化されずに、ひたすら二人の語りだけで表現されていきますねぇ…。これはおそらく…、

1.         美奈子とレイちゃんが、ケンカもせずに語り合ってるコトそのものに焦点を当てたかった。

2.         四天王が、あくまでも『蘇生された前世の人間』であるのに対して、セーラー戦士達は、あくまでも『転生された現世の人間』だと言う対比から、両者の記憶の表現方法を変え、『その本体が前世にあるか現世にあるか』を分けて表現したかった。

       …のでしょうな…。

       ※ ところで、実写版では、なぜ、前世におけるセーラー戦士達の姿が映像化されないんでしょうか?今まで、『前世の回想シーン』で映像化されたのは、プリンセス、エンディミオン、四天王、それから、メタリアに魂を売り渡す前のベリル、これだけです。そしてこれは、最終回を終えても、最後の最後まで変わりません。

       たとえば、エンディミオンと四天王は、『前世の回想シーン』の中でも、現在と全く同じ格好で出てきますから、前世におけるセーラー戦士達も、現在と全く同じ格好で存在していたはずです(←これについては、原作でもアニメ版でもそのようになってます)。それなのに、実写版では、なぜ、前世のセーラー戦士達だけが、徹底して『前世の回想シーン』に出て来ないんでしょうか?出さないと言うコトは、それを視聴者に見せたくない明確な意図があるからです。では、その意図とはナニか?

1.         つまり、問題は、セーラー戦士達のその格好にあるのではなく、その中身にこそあるからなんですね。

2.         実写版のセーラー戦士達の設定で、原作ともアニメ版とも違う点、つまり完全に変更されている点とはナニか?それは、本稿でも再三にわたって指摘してきた通り、『前世の記憶が甦るか甦らないか』です。原作もアニメ版も、前世の記憶は、全員、完全に甦ります。しかし、実写版では、美奈子以外は、プリンセスであるうさぎちゃんはもちろん、亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんのセーラー戦士達も、結局、前世の記憶は甦りません。

3.         それでは、『前世の記憶が甦るか甦らないか』によって、一体ナニが変わってくるのか?原作・アニメを見れば明らかなように、『前世の記憶』が甦れば、それによって、『前世における主従関係』も完全に甦る訳です。しかし、『前世の記憶』が甦らなければ、当人達の意識レベルでは、『前世における主従関係』も決して甦らない訳です。実は、実写版ではこれこそが重要なんです。

4.         前回、『前世のプリンセス』『現世のうさぎちゃん』は、完全に別人格として分離してしまいましたから、これで、うさぎちゃんが前世の記憶を取り戻すコトは完全になくなりました。亜美ちゃんはもちろん、レイちゃんもまこちゃんも、前世の記憶は依然として「なんとなく」のままで、ほとんど『ない』に等しい状態です。

5.         つまり、うさぎちゃん、亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃん、この四人は、美奈子のように前世の記憶は戻りませんから、あくまでも『本体は現世の人間』のままなんです。そしてそれは、最終回を終えても、その後においても、一生変わるコトはありません。

6.         つまり、『なぜ、前世のセーラー戦士の姿を映像化しないのか?』。その理由は以下のようなコトです。「プリンセス・セーラームーン」を見れば、『前世のプリンセス』が実際どう言う人だったか、誰にでも容易に想像がつくでしょう?それこそ、まさにうさぎちゃんとは「別人みたい」で、このプリンセスが、前世において、マーキュリー、マーズ、ジュピターと友達だったなんてコトは考えられないし、また、あり得ません(←※これについては、追々、劇中においてもそのように明かされていきます)。つまり前世の彼女達は、完全にプリンセスとは主従関係にあり、それ以上でもそれ以下でもないく、むしろ原作やアニメ版以上に、絶対的な封建社会の人達なんですな。

7.         つまり、前世のセーラー戦士を映像化すると言うコトは、その主従関係を映像化するコトに他ならない訳です。ヴィーナス一人であればそれは差し支えないのかもしれませんが、ヴィーナス一人しか前世のセーラー戦士が映像化されないのでは不自然です。だから、わざと全員を映像化しないんです。つまり、マーキュリー、マーズ、ジュピターが、『あのプリンセス』と完全な主従関係にあるような、そんな事務的で冷たい姿を、我々視聴者には見せたくないんですよ。なぜなら、実写版は、彼女達の現世における友情物語を描きたいからです。そのイメージを、前世の映像が台無しにして、余計な先入観を植え付けてしまうのを避けたいからです。

8.         そして何よりも、『我々視聴者が前世のセーラー戦士を見られないコト』そのものが、『亜美ちゃん達の記憶が戻らない状態』そのものとイコールになり、その彼女達の感情世界を、我々も一緒に共有できると言うコトなんです。

       つまり、『彼女達が前世の記憶を思い出さない限り、我々視聴者が彼女達の前世の姿を目にするコトはあり得ない』と言うコトなんですな。我々視聴者は、常に、現世の亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんの目線を通して、みんなとの友情を共有体験できるように、実写版では最初からそう言う視点でエピソードが描かれているんです。『現世の友情』にとって、『前世の主従関係』など全く無意味で、むしろ邪魔なだけです。だからこそ、我々視聴者は、この三人に最も感情移入しやすく、逆にうさぎちゃんと美奈子には、若干感情移入しにくくなってるんですね。

        ★  ★  ★  ★  

       ベリル様:「ようやくだな。お前をここへ向かえる日を、どれだけ待ったことか…」「……こんなコトで満足なのか?」「お前には分かるまい…。…前世からお前を、どれほど自分のモノにしたかったか…。あの頃お前はすべての象徴だった…。権力も、富も、幸せ、美しさ…、欲望を満たす全てがそこにあった…」(←まあ、地球に国が一個しかなきゃ…そうなるわな…)。「…勝手な妄想だな…。オレはただの人間だ…」「だがあのプリンセスが…!」

     ちゅどーんっ! 「無礼なのは、お前よっ!」(←この痛烈な一言は、実は全く言葉通りで、前世における『両者の身分の違い』そのものなんですな。月のプリンセスである『前世のプリンセス』は、『前世のエンディミオン』と結婚すれば『地球国のプリンセス』にもなりうる身分だったのに対して、『前世のベリル』は、単なる『地球国の庶民階級』でしかなかった訳ですからね。どんなに虚勢を張って見せたところで、所詮『現世のクイン・ベリル』なんて、何の正統性も持たないただの『自称クイーン』でしかないんですから、それこそ「無礼なのはお前」です)。

       「見よエンディミオン!…あれが前世からわらわに力を与え続ける、クイン・メタリアだ!…あの力が完全に目覚めた時、この星はわらわの自由になる!」「……クイン・メタリア…」「しかし!」「!……『しかし…?』

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは亜美ちゃん…。

       どうやらついに、それらしきハープの音を聞きつけたようです。ケータイを取り出して、「みんなっ!」と連絡します。

        ★  ★  ★  ★  

       人型ルナ:「わかったわっ」。ぴるんっ。ルナは、まこちゃん(←『うさゴン』)とうなずき合います。

        ★  ★  ★  ★  

       すぐに、まこちゃん(←元の格好)と人型ルナが亜美ちゃんの待つ現場に駆けつけます。「…聞こえる…どこだ?」

       そこへ、やや遅れてレイちゃんと美奈子も合流します…二人とも普通の私服姿です(←あのままじゃ、二人とも目立ってしょうがないモンね)。「プリンセスは?!」「まだ…」。みんなは、ハープの音に耳を済ませて辺りを見回しますが、どこから音が聞こえてくるのか、分からないようです。

        ★  ★  ★  ★  

       再び「メタリアの部屋」…。

       ベリル様:「ずっと不思議に思っていた…。なぜメタリアの力が、エナジーもなく強くなっていくのか…」「……」「この星が妖魔を生み出すほどに…」

        ★  ★  ★  ★  

       その時、レイちゃんが何かを察知し、地面に手をついて「気を付けてっ!」と叫びます。すると地面から、『泥妖魔』どもが4匹、うようよと湧き出て来ました。みんなは一斉にセーラー・ファイティング・ポーズを取ります(←カッコいい〜っ!)。「いつかの妖魔と同じ!…『Act.31の時の!』「変身よ!…『Act.31って言うなっ!』。リーダーの言葉に、みんなうなずきます。

       「ヴィーナス…パワー!」「マーズパワ〜!」「じゅぴたーぱわー!」「マーキュリーパワ〜!」(←4人の変身シーンが4分割で…)。

       すると、その直後に、ナンと人型ルナが一人で画面を独占し、「ルーナ・プリズムパワー〜(←ケータイをぴこっ(6)♪、ぴこっ(7)♪、ぴこっ(2)♪)、メイカっ!」と変身します(←おおっ! コレはきっと、「キラリ☆スーパーライブ」でのちびっ子からの大人気ぶりを見ての英断に違いない…)。

       で、ナニげにちょっと気になるのが、この戦闘シーンです…(↓)

まず、リーダーのヴィーナスが一人でバク転で切れ込んで行き、『泥妖魔達』を分散させる。

←これは当然の順序だから問題はない。

それを見届けたあと、マーキュリーが倒立前転で切れ込んで行く。

←これがちょっと引っかかる…。

      本来ならコレは、サブ・リーダーであるマーズがヴィーナスのあとにすぐに続くはずである。なぜならマーズは、ヴィーナスから『サポート要請』を受けているからだ。

      つまり、今回のこのシーンは、『一刻も早くうさぎちゃんを捜したい』と言うマーキュリー(=亜美ちゃん)の目線に重点が置かれているのだ。

マーズとジュピターが二人並んでそのあとに続く。

←したがって、今回の戦闘シーンでは、マーズがヴィーナスを気遣う様子は全く見られない。

セーラールナが一番最後に続く。

←て言うか、『泥妖魔』は4匹なので、この時点ですでに人数的に余計である。

ヴィーナスは振り返り、取り敢えず戦況を見守る。

←おいしい所だけ持ってく性格なので…。

マーキュリーが、ナンと、奥の『泥妖魔』2匹に同時に飛び蹴りを食らわす。

←まるで、マーキュリーがヴィーナスをサポートしてるかのような戦いっぷりである。

マーズとジュピターが、手前の2匹をそれぞれ一匹ずつ相手する。

 

そのあとは、普通にみんな1対1での戦いになる。

←その間、セーラールナがナニもせず、ただ、『ぴゅ〜っ!』と戦場を横切って行く…つまり、人数が余っている…。

その流れから、4人が背中合わせでひとつにまとまる。

←セーラールナは戦線離脱…。

10

マーキュリーがヴィーナスとうなずき合う。

←この時、マーキュリーはハッキリとヴィーナスの顔を見るが、ヴィーナスの方はマーキュリーと視線を合わさない。

11

マーズとジュピターが、背中越しに後ろの二人に向かってうなずく。

 

12

4人が一気に分散して逃げ、向かって来た『泥妖魔達』が味方同士で頭をぶつけ合う。

←オマヌケ…。

13

それを見てセーラールナが「やったっ♪」と飛び跳ねて喜ぶ。

←無意味に『ハリセン』だけは持っている。

14

ヴィーナスがタンバリンをかまえる…「…」

『ぱんっ、ぱんぱんぱん…』

15

マーズがタンバリンをかまえる…「フッ!」

『じゃりじゃりじゃり…』

16

マーキュリーがタンバリンをかまえる…「フッ!」

『ぱん、ぱん…』

17

ジュピターがタンバリンを構える…「フッ!」

『しゃん、しゃん、しゃん…』

18

『泥妖魔達』を取り囲んで一斉にビームを放つ…

←ここだけセーラールナも参加…。

19

見事なチームワークで勝利を収める。

←ぱちぱちぱち…。

20

マーキュリーのホッとした顔がアップで抜かれる。

「……『さあ、早くうさぎちゃんを捜さなきゃ…』

       ところが、「…はっ…!」。マーキュリーがナニかの気配に振り向くと、そこに、また新たな『泥妖魔達』が地面から湧き出て来てしまいました…と思ったら、連中はナニやら、すぐに背を向けて、また地中に戻ってしまいます…。

       みんながマーキュリーの許に駆け寄ると、マーキュリーは、「妖魔が全部一つの方向に集中してる…。ハープの聞こえる方じゃないかな?!」「えっ?!…『ナンでわかんの?!』「行ってみましょう!」(←リーダー即決)。みんなはうなずき、一斉に駆け出します。

        ★  ★  ★  ★  

       再び「メタリアの部屋」…。

       ベリル様:「プリンセス…」「!…『え?』。ベリル様はバッ!と地場衛の方に振り向くと、「メタリアに影響を与えていたのは、プリンセスだっ!」と言って指をさします。「!!…」

       本稿のAct.33の時に説明した通り、「メタリアに影響を与えていたのは、プリンセス」だったんですね。では、その流れをここでもう一度整理しておきましょう(↓)

 

―メタリア―

―プリンセス―

Act.16

       ダーク・キングダムにて…。

       その稲妻が、基地のお城に直撃してます。で、御前会議中のベリル様が、ナニげにうろたえております…「これは…!」。クンツァイト:「お分かりにならないか?…復活の兆しですよ。…大いなる悪…クイン・メタリアの!」。すると、突然大地震のように基地が揺れ始めます。ベリル様がヨロめいております…「はっ…は…!」(←なんか普通のか弱い女性みたい…)。ネフライト:「ベリル様っ!」(←そんなベリル様を庇おうと前に出ます)。

       すると、壁の一部が崩れ、そこから、怪しげな赤い光りと共に、「アァ〜〜…」という怪しげな呻き声が聞こえてきます。ベリル様はそれを見て、やっと威厳を取り戻し、「…クイン・メタリア…!」と言います。

       この時うさぎちゃんは、その前回のAct.15の『窃盗団事件』(←生身の二人が共闘して恋に落ちた事件)を受けて、その「ただのお礼」と言い訳しながら、家庭科の授業中に、クッキーを地場衛に渡そうと思って、カードに「地場 衛さま」と書き込んでいた

 

      これは、クンツァイトが「エナジー・ファーム」でエナジーを集めた結果だとばかり思っていたが、実は違っていたのである(←その根拠については、本稿Act.33を参照してください)。

Act.31

       最初の『地中発生魔』出現(←中ボスは『鉄クズ妖魔』)。

       まこちゃんと元基のデート現場で、まこちゃんが元基をフッた直後に現れる。

       で、それを受けて、ダーク・キングダムにおいて、ジェダイトくんが、ナニやら慌てた様子で、「ベリル様っ」とやって来て、「妖魔が勝手に現れて、街で暴れております。ベリル様の方でナニか?」

       「いや。…もしかすると、クイン・メタリアの力が、この星に影響を与えているのかもしれぬ…」

       この時うさぎちゃんはクラウンにいて、まこちゃんが出て行ったあと、うさぎちゃんが、ルナカラの写真ボードに貼ってある、自分とまこちゃんとのツーショット写真を眺めながら、「まこちゃんと、元基くんかぁ…」と言ったあと、みんなの方に振り向いて、「けっこうお似合いだよねっ♪元基くんなら、いい人そうだしっ」「男なんてみんな同じよ…」「うわぁ〜〜レイちゃんってホントこっち方面興味ないんだね?」「別にっ、普通よ」

       「あ〜あ…、デートか……いいなぁ…」。うさぎちゃんはソファに腰掛け、急にしんみりしてしまいます。

       そしてこの直後に、最初の『地中発生妖魔』出現となります。

 

      この、うさぎちゃんの「あ〜あ…、デートか……いいなぁ…」と言うセリフは、今までずっと、うさぎちゃんが心の中でじっと我慢し続けていた地場衛への感情が、『まこちゃんと元基のデート』をきっかけに噴出してしまったコトでもあった(←だからこそ、続くAct.32では、『地場衛・行方不明事件』における、うさぎちゃんの「会いたい!」と言う気持ちに、歯止めが利かなくなってしまったのである)。

      なお、残念ながらこのシーン、本放送ではカットされ、DVDの「映像特典」「未使用シーン」として収録された。

Act.33

       2番目の『地中発生妖魔』出現(←『花妖魔』のソロ出演)。

       この時も、ベリル様はメタリアを眺めながら、「…やはり、何故かは分からぬが、クイン・メタリアの力が動いている…」と言っている。

       この時うさぎちゃんは、地場衛との『正式な初デート』を明日に控え、ルナの出動要請にも気付かぬほど、『いい夢』を見ながら眠っていた。

Act.37

       ベリル様はいつものように、『メタリアの部屋』で、一人でメタリアを見つめながら、「クイン・メタリアの力は大きくなるばかり…。やはりそう言うコトか…」

 

      この「やはり」は、前回の「プリンセス・セーラームーン」出現を受けて、ベリル様がナニかを確信したコトを意味してます。

      おそらく、前世でもこれと同じような現象が起きていたはずなんです。しかし、当時はそれについて、まだ誰にもハッキリしたコトが分からず、だからこそ、それが「プリンセスとの絆は、不吉」と言う噂として広まり、ただ漠然と、誰もがそう思っていたんですね。

       この時うさぎちゃんは、Act.33の時と同様に、夜ベッドで眠っていたのですが、突然全身が光り始め、「…エンディミオン…」と言って夢遊病者のように出て行ってしまってます。意識は完全に『前世のプリンセス』に乗っ取られた状態だった訳です。

       そして、今回が3度目の『地中発生妖魔』となる『泥妖魔』を出現させます。

 

      今回は『中ボス・クラス』は出て来ませんでしたが、倒してもまた新たに次々と出て来てますから、『泥妖魔』の数自体が増えてます。

       ワシはAct.33の時、「人の心にとって、恋愛感情ほど、その状況によって大きくプラスにもマイナスにも働きかけるモノはない訳ですから、プリンセスの感情の動きに大きく左右される「幻の銀水晶」が、「メタリア」と表裏一体であると言うコトの理由が、まさにそこにある」、と書いたのですが、この「プリンセス・セーラームーン」と言う存在は、まさに、その恋愛感情がマイナスの方向に働いた『権化』だと言える訳です(←まあ、その点に関しちゃ、ベリル様も人のコト言えないんですけどねぇ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはセーラー戦士達…。

       いつしか夜もふけ(←テレビではいつもカットされてますが、ナニげにセーラー・バトルは、実は意外と長期戦なんですよね…)、逃げるように移動して行く『泥妖魔達』を背後から攻撃しつつ(←って、倒しちゃったらハープの場所が分かんなくなっちゃうんじゃ?!)などと思うが早いか、そこにいきなりハープの音が大きく響き渡ります…。

       ここでも、やはりマーキュリーが真っ先に気付いて振り向き、走り出します。それから、みんながマーキュリーに続きます…。プリンセスだろうが何だろうが、『うさぎちゃんはうさぎちゃん』、マーキュリーの行動には、一切の迷いがありません。一方その他のみんなは、それぞれに思うところがあるのか、ナニげに半信半疑なのでしょうか?

       そして、ついに見つけましたが、そこにいたのは、うさぎちゃんでもセーラームーンでもなく、「プリンセス・セーラームーン」でした…(←あれ?ここはAct.33で、マーズが『花妖魔』と2度目に戦ってた「横浜ビジネスパーク」と言う場所ですな)…ナンかよく分からんけど、『市民のいこいの広場』みたいな所の、噴水の池(?)を囲む壁の、丸い窓みたいな穴に、「プリンセス・セーラームーン」が、後光を射しながら神々しく腰掛けております…。で、携帯用の小さい『プリンセスのハープ』(←勝手に命名…と思ったら、正式名称は「プリンセスハープ」だそうです…)をご愛奏中です…。

       それを見て、マーキュリーがほっとしたように、「うさぎちゃん…」と歩み寄ろうとします。

       すると、マーズがそれを制止して、「…違うわ…。…プリンセスよ…」と言います。

       「……」(←うなずくヴィーナス)。

       「……」(←あんまよく分かってないジュピター)。

       すると「プリンセス・セーラームーン」は、ふと手を止め、夜空を見上げながら、「…エンディミオン…」とつぶやきます。

        ★  ★  ★  ★  

       再び「メタリアの部屋」…。

       その「エンディミオン」こと地場衛に、ベリル様が言います。「エンディミオンっ、プリンセスを消せ!」「!!…」「お前の手で!…プリンセスこそこの星に、災いを呼ぶ存在だ」「!!……」

       どうやらベリル様は、『本当の悪が誰か?』と言う大義名分を掲げる事で、自分達が地球人同士だという立場を利用して、エンディミオンに地球の王子としての自覚を促し、その責任のもと、月のプリンセスを『地球の敵』として認識させようとしてるようです(←さすがベリル様…ちゃんと理屈も筋も通ってるのだ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはセーラー戦士達…。

       で、その「プリンセス」こと「プリンセス・セーラームーン」は、頬に一滴の涙を流しながら、いきなり、もの凄いコトをのたまってご覧に入れます…

       「私が…、星を…、滅ぼした…!」

     「え!?」「え!?」「え!?」「え!?」「え!?」。え!?…。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、予告を見る限り、ナンかよく分かりませんが、ついに前世の謎が解けるか!?

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2009年6月26日(金)初稿 トモロー]


Act.38:前世の秘密編

 

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     今回レビューしたAct.37は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第10巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第10巻 作品本編(4話収録)

 

Act.37 Act.38 Act.39 Act.40 

毎回映像特典(13分)

 

「セーラームーン」におしおきよ

スペシャル座談会

@高丸雅隆監督インタビュー
Aセーラー戦士座談会〜1年間を振り返って〜その2

Act.37 ゲストキャスト

 

 

三浦義徳

 

 

アクション:

古浜愛梨

関根あすか

金森規郎

山口喜男

岩倉啓太

金田進一

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