―実写版セーラームーンを検証する―
Act.35:ヴィーナスvsゾイサイト、再び…編――
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本稿は、2004年6月12日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第35話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。
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★ 前回のラスト・シーンの再現から…。
★ バイクをかっ飛ばす地場衛の行く手に、突然、女性がふらふらと出て来て道路に倒れ込みます…。「!」。地場衛は、きききぃ〜〜っ!と急ブレーキをかけて止まってバイクから降り、「おいっ、大丈夫か!?」と声を掛けます。「おいっ、…おいっ、…しっかりしろっ、…おいっ!」。誰かと思えば、な、ナンと、黒木ミオではありませんかっ!
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それから、救急車のサイレンの音が鳴り響きます…ぴ〜ぽ〜ぴ〜ぽ〜(←地場くんが呼んだんでしょうね)…
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★ こちらは月野邸…。
★ うさぎちゃんが、テーブルの上に洋服を上下一式置いております。それをぬいぐるみルナが見て、「ん?…」。うさぎちゃんは、まだ西日が差し込む部屋の中で、パジャマを着ております。「うさぎちゃん、まだ夕方よ?」。「だって、あした美奈子ちゃんのライブチケット買いに行かなきゃいけないんだもん。窓口限定だから、早く行かないと売り切れちゃうっ」。うさぎちゃんは、明日のための身支度まで用意して、もう寝る気です。
★ 「それ、地場衛と行くんでしょう?」(←真顔バージョン)。「えへへ…」。「も〜う、プリンセスと王子は、前世から禁じられた関係なのに、ちっとも聞いてくれないし」。「もう、認めてくれたっていいじゃん、決めたんだからっ」。「う〜〜ん…」(←困ったバージョン…)。
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★ 「麻布厚生病院」にて…。
★ 病室のベッドに、黒木ミオが眠っております(←病院のパジャマ?に着替えさせられております)。その傍らに地場衛が座ってて、黒木ミオの寝顔を眺めております…「……『掘り深いよなぁ…』」。ベッドの上の名札に、「黒木ミオ 様」って書いてあるようですな…他の文字はちょっと読み取れませんが…(←一番下は担当医の名前か?)。
★ しばらくすると…、あっ、黒木ミオが目を開けました。地場衛:「!…『ナンだ…生きてたのか…』」。黒木ミオ:「…ここ…?」。「病院だ。道路で、急に倒れて…『て言うか、ナンでオレ、ここにいんだよ…』」。「あなたが助けてくれたの?」。「オレのバイクの前で倒れたから…『別にオレがひいた訳じゃないんだけどな…』」。「そう、ありがとう…」。黒木ミオはそう言うと、いきなり地場衛の手に触れます…。地場くんはちょっと驚いて戸惑ってる様子ですが、黒木ミオはニッコリと微笑んでおります。
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★ こちら、ダーク・キングダムのベリル様…。
★ ベリル様には、今現在の黒木ミオの状況映像が、そのまま転送されてるんでしょうかね…「エンディミオン…もうすぐ、この手が届く…。…プリンセスに邪魔はさせぬ…邪魔はさせぬ…(←エコー)」。
★ この黒木ミオの行動は、前回のベリル様の「プリンセスに付けている例の者、プリンセスよりも、まずある男を狙わせたい」と言う指令を受けてのものだった訳なんですけど、ところでベリル様は、黒木ミオに地場衛を誘惑でもさせようとしてるんでしょうか? でも、もしそうなら、それは完全に作戦ミスでしょうな。なぜなら、地場くんの好みは、『ツッコミどころ満載のガキンチョ』で、一方のベリル様は、言わばその対極にあるお方で、黒木ミオもどっちかと言うとそっち系ですからなぁ…。
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★ こちらは、その「プリンセス」…。
★ で、うさぎちゃんは、さっきは夕方に寝るとか言っておきながら、いつの間にかもう夜ですねぇ…窓の外を見ながら伸びを入れて、ベッドに入ります…「おやすみなさぁ〜い…♪」。ここで、うさぎちゃんが見ていた夜空の月が映しだされ、それがオープニング映像へとつながります。
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「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)。
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★ オープニング開けは、おネンネ中のうさぎちゃん…。
★ 突然ケータイが鳴り、うさぎちゃんは上体を起こして電話に出ます…「…もしもし……ああ、うん、どうしたの?…………えっ? 女の子が倒れたの? ん、ナンでぇ?」。
★ 地場衛:「今検査してる。まあ…バイクとぶつかった訳じゃないから、怪我はないと思う」(←病院の廊下の公衆電話からです)。
★ うさぎちゃんはアクビして目をこすり、「…ふ〜ん…………ナンでぇ?」(←って、寝ぼけちゃってます)。
★ ぼよよよよん…「?…………おまえ寝てたのか?」。
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「ん?……あは♪…そうだね、ライブの、チケットだよね…」(←完全に寝ぼけちゃってます)(←たとえば、これがアニメ版の月野うさぎなら、「女の子」と聞いただけでヤキモチ焼いて大騒ぎするところですが、実写版のうさぎちゃんには全くそう言うのはありませんね)(←アニメ版のうさぎなんかだと、当初は「元基おにいさん」と「タキシード仮面」をどっちも好きとか言ってたり、エンディミオンとの恋愛が成就したあとでも、ちょっとカッコイイ男の子がいると、『ソレとコレとは別』みたいに言いながらすぐに目をハート型にさせたりとか平気でしまくってましたが、実写版のうさぎちゃんは、ソッチ方面に関しては全然ミーハーではなく、とにかく一途です)。
★ 「ふぅ…、とにかく、家族とか、誰も来てないみたいだから、もう少し付き添って…」(←ところで、黒木ミオの「家族」って、やっぱジェダイトくんになるんですかね?)。
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あれ?…それはそうと、ナニげに今、廊下の向こうに院内案内の標識が見えましたが、これって、あの、愛野美奈子も亜美ちゃんも、そしてAct.26で地場衛自身もお世話になった、「港区立 十番病院」と同じではないかっ!(↓)
診察室 1−4 リネン室 採血採尿受付 歯科・口腔外科 |
→ |
← |
循環器外来 整形外来 |
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ここは「麻布厚生病院」なのに、これは一体どう言うコトだ?? もしかして、この院内案内は、実は本物ではなく、画面上で病院らしさを演出するために実写版のスタッフさん(←美術さん)が作ったモノだったのか?(←だから、実在する病院の本物の院内案内と微妙に食い違っていたのか?)。それとも、病室のロケ地だけは同じ病院を使い、それを別の病院に見せるために概観だけロケ地を変えてたのか?(←謎です)。
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おや? さらに、地場衛が背にしてる壁に貼られてる貼り紙ですが、この「本当に健康な内臓のために 内臓のリハビリをしましょう」ってヤツ、これは、Act.23で、レイちゃんが、マーズれい子の衣裳に着替えるために使ってた「南十番総合病院」の部屋の壁に貼られてたのと同じ貼り紙じゃないかっ! これは手書きの貼紙なので、仮にコピーだとしても、違う病院に貼られてるはずがないっ! てコトは、やはりこれらはみな、『病院演出』のためにスタッフさんが作ったモノだったんですなっ!(←だから、どこの病院でも使い回しされてたのか…迂闊だった…)(←しかし、これからはもうワシの目はごまかされんぞぉ〜)(←うそ。節穴もいいところです…)。
★ 地場衛は、うさぎちゃんが黙ってしまったので、「…?…うさぎ?…」と呼びかけますが、うさぎちゃんはもうすでに、ケータイも手から離してしまい、幸せそうな寝顔で、すっかり寝入っております…「…うさぎ?…うさぎ?…」。
★ 地場衛は、うさぎちゃんの寝息に向かって、『やれやれ…、ったくお前というヤツは…』みたいな感じで、「…フッ、じゃあな、おやすみ」と声をかけ、受話器を置いて廊下を歩きだします。
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ところで、どうやら地場衛は、この時点ですら、この「女の子」が芸能人だと言うコトを知らないみたいですな…知ってたらうさぎちゃんにそう言うはずですからねぇ…。もっとも、黒木ミオが彗星のごとく芸能界に「突然現れた」のは、ちょうど地場衛がロンドンに行ってる間ですから、知らなくても当然っちゃ当然でしょうな(←ベッドの名札に「黒木ミオ」って書いてあっても気付かないんですからね)。
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★ 地場衛が「506 特別室」の前を通り過ぎると、そのドアがアップで映し出されます…。
★ その中には、ベッドの明かりが一つだけ点けられた薄暗い部屋の中で、一人静かに点滴を受けている美奈子がいたのでありました。美奈子はじっと天井を見つめたまま、ナニか考え事をしている様子です。
★ そんな美奈子に、アルテミィ〜スが声をかけます…「美奈子」。「?」。「いつまでもこんな応急処置だけでは無理だ。先生も、状態はよくないって言ってたろ?」。
★ おや? アルテミィ〜スが乗ってる台の上に、美奈子が作詞作曲をしてるノートと五線譜が置いてありますな…。
★ ※ これ、ちょっと文字は読み取れませんが、普通に考えるなら、美奈子のサードアルバム「I'll Be Here」に収められる予定の新曲、「I’m here」、「Kiss!2
Bang!2」、「さよなら〜sweet days」の三曲のうちのどれかの原案ではないかと思われるのですが…(←たぶん、ワシの考えでは「Kiss!2 Bang!2」ではないかと思われます。その理由は、Act.47で改めて説明したいと思います)。
★ 美奈子はAct.11〜12の時も、入院中の病室に楽器を持ち込んで作詞作曲をしてましたから、これ、どうやら美奈子は、入院でもしてたみたいですな。今美奈子が着てる服は、上は普通のブランドもののシャツみたいですが、下はこれ、スウェットかなんか穿いてますから、明らかに部屋着です。なので、おそらく美奈子は、「応急処置」が必要な程度に体調を崩して、軽く入院でもしてたんでしょうな(←やっぱ、Act.32で、プリンセスとエンディミオンが会うのを阻止できなかったので、そのショックが大きかったんでしょうなぁ…)。
★ すると美奈子は上体を起こし、「最初に決めたじゃない、無駄な時間は使わないって…」。「ぁ…でも…」。美奈子は、アルテミィ〜スに優しく諭すように微笑みかけながら、「私たちには前世から受け継いだ使命があるでしょ?」。美奈子は、再びベッドに仰向けになって天井を見つめながら、「そのために生きてるんだから…。前世を繰り返さないために…」。
★ ここで美奈子は、Act.32で地場衛がうさぎちゃんに言ってた言葉を回想します…
★ 「オレは信じない、そう決めた。だから帰って来たんだ。…お前と一緒に証明するために…」、ここで地場衛はうさぎちゃんを抱きしめ、「絶対、星なんか滅びない…」。
★ …「間違ってる…。やっぱり二人を止めなきゃ…」。
★ これ…、今にして思うのですが、美奈子はAct.32で、この二人がこうして抱き合うのを見ながら、「…運命は……変えられないの…?」とつぶやいていたんですよねぇ…。この時、美奈子は、『どうやって二人を止めたらいいのか』、つまり、『どうやって引き裂くか』を考えあぐねていたんですな…。これは言わば、プリンセスに対する反逆行為と言うか、ものすごく残酷な行為なんですよね。たとえどんな理由があろうとも、深く愛し合う二人を引き裂かなければならないなんて、誰だってしたくはありませんからね。ひょっとすると美奈子は、そんな風に非情になるコトが、前世においては、戦士のリーダーであるセーラーヴィーナスとしてできなかったと言う、悔やんでも悔やみきれない思いがあるのかもしれませんな…。だから、現世においては、『非情になりきろう』と努めているのかもしれません…。
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★ 黒木ミオの病室にて…。
★ 看護婦さんが「面会時間、そろそろ終わりですよ…」と声をかけると、地場衛が「はいっ」と返事して立ち上がります。
★ ちなみに、ちょっと調べたところ、病院の「面会時間」が終わるのは、病院にもよりますけど、だいたい夜の8時みたいですな(←早い所だと7時、遅い所だと9時なんてのもあるようですが)…と言うコトは、さっき地場衛がうさぎちゃんに電話してたのは、だいたいその辺の時間で、つまりその頃には、もううさぎちゃんはとうに熟睡してたと言う訳ですな…(←それにしても、よく8時前とかに寝れるな…)。
★ すると黒木ミオが体を起こし、「ねえ? 今度会ってくれる? お礼したいから」。「礼なんかいいよ…『て言うか、めちゃめちゃピンピンしてんなアンタ?』」。「したいのっ、お願い…ダメ、かなぁ…」。「それほどのコトしてないから、じゃあ、お大事に」。そう言うと地場衛はヘルメットを持ってさっさと出て行ってしまいます(←相変わらずぶっきら棒ですな)。
★ ※ ちなみに、このシーンの前に入る予定だったものと思われる「未使用シーン」が、DVD第9巻に収録されておりましたね(↓)
★ 黒木ミオが病室のベッドで横になりながら、横で椅子に腰掛けてる地場衛に話しかけます…「ねぇ? 名前教えてくれる?」。「…ああ…、ちばまもる」。「まもるくんかぁ…。…あたしのコト…、知ってる?」。「……」。「……」。「…ああ…、そう言えばぁ、テレビで見たコトあるな」。「ええ〜っ、反応うすいっ!…プライド傷つくなぁ…」。「悪い、…あんまり、詳しくないから…」。「ふ〜ん…」…黒木ミオは、そう言って不服そうに顔を背けてしまいます。
★ 地場衛が出て行ってしまうと、黒木ミオが突然、いつものおっそろし〜形相に変わり、ダーク・キングダムのベリル様に切り替わります…。
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★ ベリル様:「そうだったな、エンディミオン…。いつもお前の目は、わらわを見てはいなかった…」(←て言うか、ソレ、黒木ミオなんですけど…)。ベリル様はニヤリと笑い…「これからは違う…」。
★ ふっふっふ…そうか…そうだったのか…。ワシは一つ分かってしまったぞ…。つまり黒木ミオと言うのは、ひょっとすると、若かりし日の(←つまり14歳当時の)前世におけるベリル様のクローンだったんじゃないのか?!つまり、この「未使用シーン」における黒木ミオのセリフ「あたしのコト…、知ってる?」は、ベリル様がエンディミオンに向かって、それこそモロに、『前世のわらわを覚えておるか?』と聞いてたんですな。そうでなきゃ、ここで「そうだったな、エンディミオン…。いつもお前の目は、わらわを見てはいなかった…」なんてセリフは絶対に出てきませんからな。ベリル様が、ゾイサイトの復活後、彼を自由にさせてエンディミオンの記憶が戻るのを心待ちにしていたのは、このためでもあったんですね。このように、ベリル様が黒木ミオを使って、(「あたしのコト…、知ってる?」=『前世のわらわを覚えておるか?』)と、エンディミオンに問いただせるようになるためには、そのエンディミオンの記憶が戻るのを待たなければならなかったからです。
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★ 場面はゾイサイトの部屋に変わります…。
★ どうやら、今のベリル様の独り言を盗み聞きしてたらしきクンツァイトが入って来て、ゾイサイトに話しかけます…「執念だな…。前世で叶わなかった思いを、現世にまで引きずるとは…」。ゾイサイト:「笑えんな…『お前も人のコト言えんだろう?』。前世を持つ者は、みな似たようなもの…」。「しかし使えるかもしれん…。マスターを手に入れれば、ベリルへの切り札になる」。「クンツァイトっ!」。「ようやく対抗できる手が見つかった」。そう言うと、クンツァイトは部屋を出て行きます。
★ クンツァイトは、Act.28以来ずっと鳴りを潜めてましたが、Act.33で、ベリル様の「やはり、何故かは分からぬが、クイン・メタリアの力が動いている…」と言う独り言を盗み聞きした際、「このままではメタリアの力はベリルのものに…」、「手を考えねばなっ」と言ってましたから、ついに、「ようやく対抗できる手が見つかった」と言う訳なのですが、しかし、それにしてもちょっとクンツァイトらしくないのは、なぜ彼はここで、自分の手の内をゾイサイトにさらすようなコトを言っちゃってるんでしょうか? 彼はこういう肝心な事に関しては口の堅い男だったはずなのですが…。
★ ゾイサイト:「…マスターを守らなくては…。…しかし私一人で…どこまで…」。
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美奈子が、病院の廊下を歩いて来ます…。
★ このシーンで美奈子が着てる服が、さっき点滴を受けてた時の服と違ってますね…。やはり美奈子は、単に検査のために来てたのではなく、「応急処置」が必要な程度に体調を崩して入院してたんですな。だからさっきは部屋着を着ていたんです(↓)
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上 |
下 |
さっき: |
「PENTY´S」の黒の長袖のシャツ |
白のスウェット |
今: |
半袖の白のシャツ |
「PENTY´S」の黒のスカート |
★ やはり先ほど着ていた服は、入院用の部屋着だったので、今、退院する際に着替えたんですな。それに、美奈子はスーツケースを持ってますから、単に検査のために病院を訪れたのなら、いちいち病院にスーツケースなど持って来るはずがありませんからな(←ちなみに、このスーツケースは、Act.15の『窃盗団事件』以来、ホテルを転々とし始めた時からずっと使ってたのと同じ物です)。もちろんトップ・アイドルですから、仕事の関係でホテル暮らしが多くなるのは当然なのですが、以前、美奈子が自宅にも戻らずホテルを転々としていたのは、『影武者』としての任務を果たす必要からですから、その任務から開放された今は、Act.31でもそうだったように、美奈子は自宅にも戻ってますからね。要するに、それほど「状態はよくない」と言うコトなんですな。
★ で、美奈子がアルテミィ〜スとスーツケースを持って廊下を歩いていると、前方に、ちょうど地場衛が出口に向かって歩いてるのを見かけます。「!…」。「エンディミオン!…ナンで、こんなところに?!」。美奈子はすぐに走り出して彼のあとを追いますが、地場衛はとっととバイクに乗って去ってしまい、美奈子が「待って!」と言うのも聞こえませんでした(←おそらく美奈子は、『前世の記憶のないプリンセス』では話にならないので、『多少前世の記憶のあるエンディミオン』の方を説得しようと思ったんでしょうな)。
★ するとそこに、ナンと、地場衛と入れ替わるようにゾイサイトが現われ、美奈子の前に立ちはだかります。「あっ!」。「お前はっ!…『あの時のめっちゃ弱いヤツっ!』」。「セーラー戦士までマスターを狙うのか…。…厄介だな…」(←さっきクンツァイトが、「マスターを手に入れれば、ベリルへの切り札になる」なんて言って出て行ったもんだから、早速マスターの護衛に駆けつけて来てたんですな。これが、クンツァイトに軽々しく自分の手の内をさらさせたコトの一つ目の理由ですな)。
★ 美奈子はすかさず変身します。「ヴィーナス・パワー、メーイク・アップ!」。「…」(←めっちゃ見てます)。「愛と美の戦士、セーラーヴィーナス、金星にかわって、おしおきよっ!」。「フンッ…」。「『あ、鼻で笑ったわねっ!』…ヴィーナス・ラブ・ミー・チェ〜ン!」。ところが、ゾイサイトはこれを、姿を消してかわしていまいます。「!?」。
★ 次の瞬間、ゾイサイトは音もなく、ヴィーナスの後方に現れます。ヴィーナスがそれに気付いて振り向くと、ゾイサイトはまた瞬間移動して、一気にヴィーナスの背後を取って羽交い絞めにし、短剣を首に突き付けます…「いつかのようにはいかない」(←おおっ! こんなカッコいいゾイサイトを初めて見ましたっ、キミもやればできるんじゃないかっ!)。「ヴィーナスっ!」。
★ 「我があるじに近づくなっ!」(←これ、忠告をしてると言うコトは、『お前の出方次第では、私には殺意はない』と言うコトですな)。
★ 「あるじ?」(←このリアクションは、四天王の過去と現在の事情を知ってると言うコトですな)。
★ 「お前も、前世を思い出しているのか?」(←つまり、前世はエンディミオンの家臣だったが、今はベリルの洗脳によってそうではないと言う事情を)。
★ 「だったら?」。「そのあるじに伝えて。プリンセスに近づかないでって…」(←だから、こちらも忠告をし、『こちらも、そちらの出方次第では殺意はない』と返答したんですな)。
★ 「なぜ?」。「知ってるでしょ?…星が滅ぶわ!」。「!……『お前も前世の記憶があるのか…!』」…ゾイサイトがそれを聞いて隙を見せたのを見て、ヴィーナスは彼を振りほどき、チェーンを構えます。
★ 両者はしばし睨み合う格好となりますが、ゾイサイトはさっと剣を降ろしてしまいます。「思いは同じと言うわけか…」。「……」。「…ヴィーナス…、同じ守護する者として、話がある…」。「!!……」。おおっ! 思わぬところで、ゾイサイトから意外な話を持ちかけられ、これにはさすがのヴィーナスもびっくりです(←ワシもびっくりですっ!)。「…『ヴィーナス…、病院の駐車場で立ち話もナンだから、もっとムード満点の場所へ行こうじゃないか…』」。「…『その前に、アナタ、あたしのベンツ弁償しなさいよ…』」。
★ ところで、ワシはどう言う訳か、この一連のやり取りでの二人が、無性にカッコよくて好きなんだよなぁ…。ナンか、うまく言えないのですが、忠義に殉ずる者同士のひたむきさが交錯する瞬間と言うか、ナンと言うか…たとえば、戦国武将を陰で支える名参謀チックなカッコよさと言うか…。
★ ★ ★ ★ ★ ―CMタイム― ★ ★ ★ ★ ★
★ こちらはクラウン…。
★ 亜美ちゃんがまこちゃんにお勉強を教えてあげてます…。レイちゃんは読書してます。
★ 人型ルナが、いつものようにお化粧しながら、ぶつくさと愚痴をこぼします…「まったくうさぎちゃんたら、何時だと思ってんのよ、早く寝ちゃって…」。「え? うさぎ、もう寝たの?」(←レイちゃんが読んでる本は、「前世占い」って書いてありますな。ちょっと調べてみましたが、実在する本ではないようですな)。
★ レイちゃんは、Act.31では、「99の霊術・霊法」なる本を読んでましたが、その回でジュピターが「戦士の力」に目覚めた時、「必要だったからだ…、一人になるコト…、風を聞くコト…、ぜんぶ前世から決められてた…。…だからあたしは一人でいいんだ…」とか、「私達の今は、前世に理由がある…」とか、妙なコトを言い出したので、急に「前世」に興味を持ち始め、こんな本を読み出したんでしょうな。
★ 「あした、愛野美奈子のライブチケット買いに行くのよ」。
★ 「あっ!」(←思わず反応する、隠れファンの人)。「えっ?」(←そんなまこちゃんを不思議そうに見る、実はファンじゃなかった人)。「ん?」(←すべてお見通しだけど、今それどこじゃない人)。
★ 「地場衛と、二人分…」。「……『あたしも早く帰って寝なきゃ!』」(←いきなり帰り支度を始める)。「あたし、ずっと気になってたんだけど、ヴィーナスとアルテミスが、地場衛とうさぎちゃんを認めるわけないと思うの」。まこちゃんはそれを聞くと、突然手を止め、「…そうかなぁ…」(←相変わらず楽天家と言うか、大雑把と言うか…)。「ヴィーナスは厳しいから…」。「そうね…。でも、どうしてヴィーナスはあんなに戦士でいようとするのかしら?」。レイちゃんが、亜美ちゃんに向かってそう言うと、亜美ちゃんはすかさず、「たぶん、一番前世の記憶を持ってるから…」(←美奈子に関する情報量が一番少ない人なのに、即座に核心を突くけれど…)。「…………そうなんだけど…」(←目を伏せてしまう)。「…………『レイちゃんは、ナニか他に引っかかるコトでもあるのかしら…』」(←みたいにレイちゃんを見つめ続ける)。「それじゃっ!」(←ぴゅ〜〜っ!という効果音と共に『風のように』去って行くも、全員シカトの図…)。
★ ここでレイちゃんは、「どうしてヴィーナスはあんなに戦士でいようとするのかしら?」と言いましたが、これは、Act.26で、『真のプリンセス覚醒』を受けてヴィーナスに「もう影武者やる必要ないんだし…、私たちと一緒に行動すれば?」と言ったのに対して、ヴィーナスが「私には、私のやり方があるの、リーダーとして…」と答えたコトを踏まえてるんですね。踏まえてはいるのですが、しかしながら、そもそもレイちゃんは、その時そのヴィーナスから『サブ・リーダー』に任命されるほど、クラウン・サイドの四人の中では、当初から最も戦士の自覚が強かった訳です。であれば、ヴィーナスが別行動を取るのは別として、「戦士でいようとする」コト自体はむしろ歓迎すべきコトのはずで、その点では、レイちゃんはヴィーナスに一目すら置いてたはずです。それなのに、どうして急にこんなコト言い出したんでしょうか? レイちゃんは、Act.26の時は、今までヴィーナスが正体も明かさず別行動を取って来たのが、『影武者』としての任務を遂行する上で必要だったからだと理解できたんですね。だからこそ、「もう影武者やる必要ないんだし…、私たちと一緒に行動すれば?」と、『仲間』として声をかけ、クラウンに合流するようさそったんですが、しかし、今回はそのニュアンスが若干違ってきてますね。
★ つまり、ここに、レイちゃんが前回、亜美ちゃんと『真の友情』で結ばれて『現世度』が上がったコトの意味が出て来た訳なんですな。つまり、「どうしてヴィーナスはあんなに戦士でいようとするのかしら?」と言うのは、『どうしてヴィーナスは、戦士以外の時間を、こうしてみんなと一緒に過ごそうとしないのかしら?』と、そう言う意味で言ってるんです。つまり、前回亜美ちゃんがレイちゃんに対して『友達として』求めてきたものを、今、レイちゃんは美奈子に対して問いかけ始めたんですね。それと同時に、レイちゃんがこれから先、美奈子に対して、以前なら単に感情的になって反発するだけだったのに、逆に根気強く温かい目で見られるようになるのも、前回の『親子問題』の一件を通して、ある種の心のゆとりが生まれたからなんですね。つまり、「前世の使命」を連呼する美奈子と言うのは、まさに、「仕事」を連呼するレイパパにそっくりだった訳です。で、そのレイちゃんの問いかけに対する美奈子の答えと言うのは、すでにAct.18で、アルテミィ〜スの口から間接的に語られていて、つまり(↓)
★ 「キミが親しい人間を作らないのは、使命のためじゃない…」。「…」。「誰も…悲しませたく…ないから…」。「…」。「美奈子…」。「…あと…半年…か…」。
★ …なんですね。つまり、ここでレイちゃんの言ってる「戦士でいようとする」と言う言葉の意味は、『友達になろうとしない』どころか、かつてのレイちゃん自身のように、『一緒に行動しない=仲間にさえなろうとしない』と言う意味なんです。亜美ちゃんは、レイちゃんと美奈子の間にあった個人的な付き合いについては何も知りませんし、何よりも、唯一、愛野美奈子と言う人間とは全く接触もない訳ですから、美奈子がどう言う人間かなんて全然知らない訳です。だから、レイちゃんの言葉をそのまま言葉通りに受け取れば、当然、「一番前世の記憶を持ってるから…『だから一番戦士の自覚も強いんじゃないの?』」としか言いようがない訳なんですな。もちろん、これはこれで核心を突いてはいますが、レイちゃんの求める答えとはちょっと違うんですね。これは、レイちゃんが美奈子に対して『友情、もしくは仲間意識』を求め始めているようには、亜美ちゃんは美奈子に対してそう言う感情を全く抱いてないコトを意味しており(←そもそも、『エラソーなリーダーのヴィーナス』としてしか会ったコトないんだから当たり前です…亜美ちゃんは『命令されるのも指図されるのも嫌い』なんですからな)、だからこそ、美奈子に対する二人の考えがここでずれるんです。
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★ その頃、こちらヴィーナスとゾイサイトは…。
★ …てな訳で、いきなり夜景の見える海岸沿いの道路へとやってまいりました(←こりゃムード満点ですな…)。でも、ヴィーナスは、一応罠かもしれない時のために備えてか、変身を解きません…先ほどとは違い、一転してナニげに妙な絵ヅラになっております…(←でも、なぜかそれがたまらんとです…)。で、ゾイサイトは、ナンか知らんけど、ムード満点に夜景を見つめちゃっております…。
★ で、ゾイサイトは語り始めます…「…かつて…我々もお前達も…マスターとプリンセスを…止める事ができなかった…」。「…そうよ…。だから悲劇が…」。「悲劇は…(ここでヴィーナスの方を振り返り)…止めなければならない…」。「…そうね…」(←って、な、ナンか…、妙に気が合っちゃってますけど…)。
★ …で、ナニげにじっと見つめ合っちゃってる二人…「……『ヴィーナス、きれいだよ…』」。「……『ゾイゾイ、よく見るとアナタもステキ…』」(←なんじゃこりゃ!?…妙にいい雰囲気だぞ…)。どさくさに紛れて今にも愛の告白でもしそうなゾイサイト…。で、ナンか期待しちゃって言葉を待ってるみたいなヴィーナス…。
★ そのヴィーナスに、ゾイサイトが歩み寄ります…「…『来るわ…、来るわ…』」…しかしゾイサイトは、すんでのところで思いとどまり、ヴィーナスの前を通り過ぎながら、本題に戻ってしまいます…「クイン・ベリルがマスターを狙っている…。もちろん守るつもりだが…私は完全にベリルの手を離れたとは、言えない…。だから、もしもの時…マスターを助けて欲しい…」。「…私が?…『ナニよこの根性なし! 告白する気がないんなら、ナンでわざわざこんなトコ連れて来たのよっ!』」。「その代わりに……これを…」。ゾイサイトが手を差し出すと、彼の手の上に、長四角のガラスの箱のようなモノが出てきます…『え? ナニ? 私にプレゼント!?』…って、アレ? いいトコで場面が切り替わっちゃったよ…二人の恋の行方は! 一体どうなるっ!?(←どうにもならんて…)。
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★ 翌日、チケット売り場にて…。
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「愛野美奈子 6/13 緊急ライブ 限定チケット」と言う貼り紙がしてあります…が、その下に、「ゴメンなさい 売り切れ」と言う貼り紙がしてあります。これ、この貼り紙がしてある看板には、「MINAKO AINO RAIMBOW TOUR 2004 SUMMER」と言う、めちゃめちゃカッコよく作り込まれたポスターが貼ってありますな。つまりこれ、「RAIMBOW TOUR 2004 SUMMER」と言うコトですから、要するに美奈子は、この6月から夏にかけて、全国各地をライブツアーで回って行くと言うハード・スケジュールのさ中にあった訳ですな。で、この「緊急ライブ」と言うのは、おそらくその皮切りで『東京公演』をおこなっていた際、あまりにもチケットの売れ行きがすごかったために急遽追加された『追加公演』だったんですね。おそらく、そのせいで体調を崩して、「応急処置」のために緊急入院してたんでしょうな。ツアーの真っ最中だったので、当然スーツケースも持ち歩いてる訳ですしね。で、この「6/13」と言う日付なのですが、これ、Act.29の時にも書きましたが、実写版の後半戦において、唯一『劇中カレンダー』が特定される日付なんですな。で、これが特定されるコトによって、そこから逆算して行くと、前回のAct.33〜34の日付もハッキリと特定される訳です(↓)
2004年6月―実写版・劇中カレンダー |
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日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土(放送日) |
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1 衣替え |
2 |
3 『花妖魔』出現 |
4 朝、交番から連絡 |
5(Act.34) 午前中、事件解決 |
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6 |
7 亜美ちゃん登校 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12(Act.35) チケット発売日 |
13 「緊急ライブ」 |
14 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
26 |
27 |
28 |
29 |
30 |
|
★ で、ここで問題となるのは、今現在の劇中の日付です。前回のAct.34で、『花妖魔』を倒して事件を解決したあと、週が明けて亜美ちゃんが登校時に亜美ママを見送るシーンが出てきますから、そうすると、今回のこの『チケット発売日』は、必然的に『12日(土)』しかない事になるんですな。しかしいくら「緊急ライブ」とは言え、そのチケット発売がライブの前日と言うのは、ちょっと「緊急」過ぎるような…。
★ で、その貴重な『歴史的チケット』を買いに来たうさぎちゃんなのですが…「え〜〜っ! ライブのチケット一枚もないんですか?!」(←やっぱり起きれなかったのね…て言うか、何時間寝てんだよアンタ…。こう言うのって、たいがい午前10時からだろ?)。
★ チケット売り場のお姉さん:「はい♪」。「ホントですか?!」。
★ チケット売り場のお姉さん:「はい♪」。「ホントにぃ?!」。
★ チケット売り場のお姉さん:「!…『しつけーな…』」。「…うふ、一枚ぐらいあるんじゃないですか?」。
★ チケット売り場のお姉さん:「…ありません…『ねーモンはねーんだよっ、おととい来やがれっ!』」。「うそぉ〜〜…はぁ…」(←がっくし…)。
★ ところで、今うさぎちゃんが着てる服なのですが、これ、昨日テーブルの上に用意しておいた服じゃありませんな(↓)
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上 |
下 |
昨日用意してた服: |
赤いTシャツ |
Gパン生地の黒いスカート |
今着てる服: |
白と水色のTシャツ |
クリーム色のスカート |
★ 要するに、これ、うさぎちゃんは、いつものように朝寝坊して、「ああ〜〜もうどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようど…」みたいにパニクってて、せっかく服を用意しておいたのも忘れて、慌てていつものようにタンスの中から服を選んじゃって、そのせいでさらに遅れちゃった…てコトなんだろうなぁ…(←そう言う人だ、キミって人は…)。
★ ん?…ちょっと待てよ…ナニげにこのチケット売り場に貼ってあるコンサートツアーのポスターのアーティストの方々って…「YUKI SHODA」、「MIO MURAOKA」、「谷本しのぶ」って…これって、実写版の衣裳さんとメイクさん達??(←めちゃめちゃライブ見てぇ〜〜っ!!)。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ うさぎちゃんが「はぁ…」とガッカリしながらトボトボと去って行くと、ちょうどそれと入れ替わるように、まこちゃんが更に遅れてやって来ました…。
★ 「あれぇ?…どこだろう…?」(←めちゃめちゃ方向音痴なんじゃ…)…「あっ、あった…!」。まこちゃんは、うさぎちゃんが応対したお姉さんの隣のお姉さんのところに行き、「すいませんっ」。「はい」。「愛野美奈子のライブのチケットありますか?」。「売り切れました」。「えっ!? 一枚もないんですか?!」(←この間、さっきのお姉さんが、『またバカがもう一人来やがったな…』みたいにずっと見てます)。「はい」。「え〜っ! やだやだやだ! や〜だぁっ!」(←ナンか、こっちの方がよっぽどうさぎちゃんみたいなリアクションですな…)。「すいませんっ! 静かにして頂けませんか?」(←めっちゃ迷惑そう)。「あ、…はい…」。
★ んん?! アレ??…それはそうと、こちらまこちゃんは、ナンと、昨日クラウンで着てたのと同じ服じゃありませんか?…。つまり、昨日まこちゃんは、クラウンから慌てて家に帰ったあと、着替える時間も惜しんで、そのまま速攻でこの格好で寝ちゃって、そのまま朝起きて出て来たにも関わらず、この体たらく…と言うコトなのでしょうか?(←って、大雑把すぎるにもほどがあるぞ〜っ!!)。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちらは、うさぎちゃん…。
★ 結局、チケットを買いそびれてガックリのうさぎちゃん…「あ〜あ…、せっかく二人でライブ見れると思ったのに…」(←でも、ワシが思うに、たぶん地場くんは、逆に喜ぶと思うな…『だぁ〜れがあのにっくき元セーラーVのライブなんかっ!』みたいな…)。
★ うさぎちゃんがトボトボと帰り道の歩道を歩いてると、その横に、一台の車が止まります。後部座席の窓ガラスが下りると、ナンと、そこから美奈子が顔を出して、「うさぎちゃんっ」と呼び止めます…。「!!…美奈子ちゃんっ!?」。「しーーっ!」。「…しー…」。「乗ってっ」(←ドアを開ける)。「え…?」。「早くっ」。「あ、はいっ」(←乗り込む)。
★ ここで美奈子は、またいつものように「うさぎちゃん」と「ちゃん」付けで呼びましたね。このコトからも分かるように、これによって、Act.32の『地場衛・ロンドン行方不明事件』の時に、美奈子が黒木ミオと地下駐車場で争いながら、思わず「うさぎっ、ダメっ!」と呼び捨てにしてしまったコトが、その時も説明したように、美奈子が一時的にかなり感情的になってたからであるコトが分かる訳です。
★
うさぎちゃんが乗り込むと、車は走り出します。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ 車中にて…。
★ 「うそみたいっ、美奈子ちゃんから声かけてもらえるなんてっ!…これで話すの四度目だし…!」(←四度目?…まあ…その辺の数え方なんて、解釈次第ですからねぇ…)。「引っ張り込んじゃってゴメンね? 気付かれそうだったから…」。「ぜんぜんぜんぜんっ!…美奈子ちゃんの車に乗れるなんて…!」(←やはりこれも美奈子の車なのか? マネージャーさんのじゃなくて?)。「あぁ!…ちょっと落ち着かないと…」。うさぎちゃんは窓ガラスに手を突いて「はぁ…はぁ…」と息を整え、ごつんっ!とガラスに頭をぶつけ、「いったぁ〜い…!」。
★ そんなうさぎちゃんを、横で微笑ましく見ていた美奈子ですが、次第に表情が曇り始め、美奈子はふと、自分の反対側の座席に置いてある、例のガラスの箱に目をやります…。で、その箱なのですが、どうやら、昨夜のゾイサイトの説明によりますと…(↓)
★ 「このオルゴールを聴かせれば、思う相手のコトすべて忘れる…。心を閉じていては効果はないが、お前なら警戒させずに使えるだろう…」(by 昨夜のゾイサイト)。
★ 「……『あ〜あ…、ゾイゾイったら…てっきりあたしにプレゼントくれるんだと思ったら…。…ナンかテンション下がるわ〜…』」。美奈子は、その『思う相手のコトすべて忘れるオルゴール』を手に取ると、それを、胸の前で両手で抱えるように持ち、じっと見つめてから、うさぎちゃんの方を見ます。
★ ワシが思うに、ひょっとすると美奈子は、この時、この場でこのオルゴールのフタを開けて、うさぎちゃんに聴かせようとしてたんじゃないのか?
★ ところが、うさぎちゃんが無邪気に浮かれて、シートを倒したりなんかしちゃってる姿を見て、ナンか思い切れずに、この場は躊躇して、レストランに移動してからにしようと考え直したんじゃないのか?
★ ここで美奈子は、「うさぎちゃん…、お昼、付き合ってもらえるかな?」。「えっ?! うそっ、いいの?!…でもどうしようこんなカッコだけど、ドレスとかじゃなくてダイジョブかなぁ?」。「普通のレストランだから…『だぁ〜れが高級ホテルのレストランのディナーなんぞに誘うかボケ…』」。「うれしぃ〜っ! ああ…『どうせテーブル・マナーとか知らないし…』」。「……『やらなきゃ…でも…』」。
★ あれ?…ワシ…、今更ながら気付いたんですけど、美奈子って、いつも左手に変身ブレスレットをしてて、コレって、亜美ちゃん達がしてるのと全く同じヤツなんですけど、うさぎちゃんは、コレには全く気付かないんでしょうかねぇ?(←Act.15の『窃盗団事件』の時は、美奈子がテレビで身に付けてたイヤリングすら見分けるほどだったのにね?)。で、ついでにちょっと調べてみましたが、過去にうさぎちゃんと美奈子が会った時、Act.11〜12はまだセーラーV時代なので変身ブレスレットはしてませんでしたが、Act.30の「プライベート・ライブ」で会った時もしてましたし、Act.32のテレビ局で会った時もちゃんとしてました(←まあ、これについては、ツッコんではいけないんでしょうねぇ…)。
★ って、ンなどーでもいい話は置いといて、ここで重要なのは、このゾイサイトの説明です⇒「心を閉じていては効果はないが、お前なら警戒させずに使えるだろう…」。…そうなのだ…これだ…これだったんですな…。つまり、このオルゴールは、誰にでも同じように扱えるようなシロモノではなく、相手に対して『心を閉じさせるコトも警戒させるコトもない人物』でなければ、その「効果」が引き出せないと言う点がポイントなんです。実は、ワシはずっと疑問に思っていたコトがあって、それは、「なぜヴィーナスは、自分の正体をうさぎちゃん一人にだけ隠し続ける必要があるのか?」ってコトなんです。敵も味方も、みんなとっくの昔に知ってるコトなのに、どうしてそれを、うさぎちゃんただ一人にだけ、ずっと隠し続けなければならなかったのか?
1. そもそも美奈子は、最初は、Act.18でアルテミィ〜スが言ってたように、「セーラー戦士達と友達にならないように正体をかくしてた」訳で、その理由は、病気のせいであと数ヶ月しか生きられず、「誰も…悲しませたく…ないから…」です。
2. ところが、Act.17でマーズに正体がバレ、Act.28でまこちゃんにバラされ、さらにAct.29で亜美ちゃんにもバラされてしまいました。ただし、亜美ちゃんにバラされた際、アルテミィ〜スはその場にいたので、クラウン・サイドでは、「うさぎはあんな風だから、まだ教えてないんだ」と言うコトになってるのを聞いてます。ですから、美奈子が自分でうさぎちゃんに教えない限り、うさぎちゃんが美奈子の正体を知るコトはないと言うのは、美奈子も分かってた訳です。
3. でも、たとえ正体がバレても、最初にマーズにバレてしまった際「仲良くなるわけじゃないし…むしろその反対!」と開き直ってましたから、もはや「友達にならないように」正体を隠すと言う段階は、とっくに過ぎていた訳です。しかも、うさぎちゃんはプリンセスですから、他の「セーラー戦士達」とは違い、正体がバレようがバレまいが、『前世の記憶』によって主従関係しか結べない以上、美奈子は最初からうさぎちゃんとは「友達」になどなり得ません。それにも関わらず、依然としてうさぎちゃんにだけ正体を隠し続けているとなると、そこにはもっと違う理由がなければならないはずです。
★ その疑問を最も強く感じたのは、Act.32の『地場衛・ロンドン行方不明事件』の時に、美奈子が黒木ミオに『してやられた』のを見た時です。でもあの時は、ワシもうまく考えがまとめられず、なので、敢えてその事には触れなかったのですが、今回のコレを見て、その理由がハッキリ分かりました。つまりそれは、要するに、すべてこの日のためだったんですな(↓)
1.
まず、ルナも言ってたように、「あたし、ずっと気になってたんだけど、ヴィーナスとアルテミスが、地場衛とうさぎちゃんを認めるわけないと思うの」と言うのは、誰もがそう思うコトであり、まこちゃんだけが「そうかなぁ…」なんて楽天的に構えてましたけど、実際、「ヴィーナスは厳しい」訳です。だからこそ、Act.32でも、クラウンに派遣されたアルテミィ〜スが、「ルナっ、あの二人を近づけてはダメだっ」と釘を刺していた訳です。ところが、陽菜さんと言う抑止力が取り除かれた今、『前世の記憶を持たない現世のプリンセス』を相手に、ヴィーナスがいくらそれを真摯に諫言してみたところで、まさに『のれんに腕押し』な訳です。それこそ、昨夜ゾイサイトが言ってたように、(「かつて…我々もお前達も…マスターとプリンセスを…止める事ができなかった…」。「…そうよ…。だから悲劇が…」)が繰り返されるだけな訳です。
2.
しかし、そうであるならば、逆に現世における『アイドル愛野美奈子』であれば、『ファン月野うさぎ』に対して、前世のプリンセスとヴィーナスの関係よりも、まだ影響力を行使するコトができ、『前世の記憶を持たない現世のプリンセス』に対して、ナンらかの説得や行動を起こしやすいと、そう考えたんですな(←Act.32では、まさにそれを、黒木ミオに逆手に取られて『してやられた』訳ですが…)。つまり、今回のこの『思う相手のコトすべて忘れるオルゴール』を使うに当たって、仮に『美奈子の正体がヴィーナスであるとうさぎちゃんに知られてる状態』では、うさぎちゃんは、「厳しい」「ヴィーナス」に対して、『警戒して心を閉じてしまい、オルゴールの効果が表れない』訳なんです。
3.
たとえば、今の亜美ちゃん、レイちゃん、まこちゃんの三人でも、この「オルゴール」を「警戒させずに使える」でしょうから、もちろんその「効果」は引き出せますが、しかし彼女達は前回、「みんなっ、頑張るぞっ」、「お〜〜っ!」で、地場衛も「一緒に戦う」コトに対して結束しましたから、この三人はもう、うさぎちゃんと地場衛を引き裂くための行動は起こしません。ルナは終始反対の立場を取ってますから、ルナでは警戒されて「オルゴール」の効果は引き出せません。もちろん、ヴィーナスでもアルテミィ〜スでもダメです。となれば、すなわち、残るはただ一人…、つまり、うさぎちゃんに正体のバレていない『アイドル愛野美奈子』以外に、この「オルゴール」を使える人間がいない訳なんです。
4.
ゾイサイトがこれをヴィーナスに託したのは、つまりそう言うコトだったんです。この「オルゴール」が誰にでも同じように使えるのなら、ゾイサイトが自分で心を飛ばして来て使えばいいだけの話ですからね。でも、それではこの「オルゴール」の効果は引き出せないんです。だからゾイサイト自身でも、マスターに対してコレを使えないんですな。なぜなら彼は、ヴィーナスがプリンセスにしてきたように、ずっとマスターとプリンセスを引き離す事ばかり諫言して来ましたから、今のゾイサイトでは、今のマスターに対して、『心を閉じさせるコトも警戒させるコトもなく』、この「オルゴール」の効果を引き出すコトができないからなんです。もちろん、ゾイサイトは、現世におけるヴィーナスとプリンセスがどう言う関係性を保ってるかなんて全く知らないでこれを託してる訳ですが、ヴィーナスにしてみれば、『セーラーヴィーナス』としてならダメだが、『愛野美奈子』としてなら勝算があると思って、これを引き受けたんですね。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ レストランにて…。
★ ナンだカンだ、さすがは美奈子…ワシら庶民の目には、あんま「普通のレストラン」には見えませんな…個室が用意されてるので、どうやらここは、美奈子御用達の『隠れ家的レストラン』みたいですな…。
★ ちなみに、このレストランは、オープニングの「撮影強力」によりますと、「シャンソニエ」と言うフランス料理屋さんだそうです。
★ でも、メイン・ディッシュを始め、スープからサラダからデザートに至るまで、全部一緒に出て来ちゃってるみたいなんですけど…(←今時、ファミレスでさえ順番に出て来るご時世ですが…)。
★ 「うわっ、なんか緊張しちゃって、お腹空いてるのかどうか、わかんなくなっちゃった…」。「ゆっくり食べて…」(←「ゆっくり」と言うコトは、別に時間がなくて急いでるから全部一緒に持って来させたと言う訳でもないようだ…)。美奈子は笑顔でそう言うと、またすぐに表情を曇らせ、自分の膝の上に例の「オルゴール」を乗せます(←また、ここでフタを開けようとしたんでしょうな)。ところが、その瞬間、うさぎちゃんが美奈子に話しかけます…「あの…、私…、ずっと美奈子ちゃんにお礼言いたかったんだよね」。「…えっ? お礼??」(←下を向いてた美奈子が顔を上げます)。「そのぉ…実は…好きな人がいて…全然うまくいかなくって、もうダメかな〜って思う時もあったんだけど…そういう時、美奈子ちゃんの歌で励まされたっていうか…。うふっ、美奈子ちゃんの歌うたってると、元気出たし、頑張れたんだよねっ!」。
★ これは、本稿のAct.26の時にも説明したように、あの回のラスト・シーンで、地場衛がロンドンへ旅立って行った際、遠くから空港を眺めながら、「セラビー」を歌ってた時のコトを言ってるんですな。
★ 「今、すごいうまくいってるのって、美奈子ちゃんのおかげだと思うっ! うふっ…」。
★ つまり、あの時歌ってた歌詞の通り、『人生なんてそんなものだけど』、「♪私が私でいる限り」、「♪あなたを愛しつづけたい」と自分に言い聞かせた思いが、ようやく実を結んだと言うコトなんですね。
★ 「……『ちっ、こちとらゾイゾイとの甘い夜を過ごし損ねたってのにっ!』」。
★ ここで美奈子は、Act.32で、地場衛が夕日の海を背景にうさぎちゃんを抱きしめてるシーンを思い出します…。あの時美奈子は、それを見ながら「…運命は……変えられないの…?」とつぶやいてたのですが、それは同時に、この二人の愛情と絆がどれほど強いものかを思い知らされる、と言うコトでもあった訳なんですね。
★ 「ホントに、歌ってくれてありがとう!」。「……『キィ〜〜ッ!』」。「あ〜、言えてよかったっ、いただきまぁ〜す!」。「……『絶対オルゴール聴かせちゃるっ!!』」。「うわぁ…このフォークと…、この…○×△□…かなっ♪」(←やっぱテーブル・マナーわかってねぇ…)。「……」(←急に落ち着きがなくなり、視線も定まらなくなります)。
★ その様子を、ナンとアルテミィ〜スが、観葉植物の植木鉢の陰から心配そうに見守っております…「…美奈子…『かまわん…やれっ…!』」(←この人は、美奈子が変身してない状況では、うさぎちゃんの前には出て来られないんだよな…)。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちらは地場衛…。
★ ここはアレですね、Act.15で地場衛とうさぎちゃんが窃盗団から宝石を奪取したあと、地場衛が妖魔に橋の上から突き落とされた、川沿いの公園みたいな所ですね。
★ で、そこでナニしてたのか知らんけど、とにかくバイクに乗ろうとしております(←ところでこの人、留学すっぽかして日下家とも縁切って、毎日バイク乗り回してナニやってんでしょうか?)(←謎です…)。するとその時、地場衛は、ナニか突然、急に悪寒でも走ったのか、ナニやら背後にただならぬ気配を感じたらしく、おもむろに振り向くと、ナンとそこには、黒木ミオが立っているではありませんかっ! 地場衛は彼女を見て、「!…どうして?…『こんな所に?』」。「まもるくん、お礼がしたいの。一緒に来て…」。「そんなのいいって言ったろ?」。黒木ミオがニヤつきながら地場衛に歩み寄り、彼に触れようと手を伸ばすと、地場衛はすんでのところで、とっさにその手をパシッとはねのけます(←ナンか、いきなり飛んで来たゴキブリをはたき落としたみたいな顔でした…)。
★ すると黒木ミオは、今度は、急に半泣きみたいな顔して、「お願いっ!」と一気に抱きつきます。「おいっ、ちょっと!」(←と言いつつ、実はまんざらでもないのか、なぜか地場衛はなすがまま)…すると地場衛の胸に顔を埋めた黒木ミオが、ナンと一瞬ベリル様の姿に…!
★ どうやらベリル様は、黒木ミオを使って、名付けて『ヴァーチャル・リアリティ・エンディミオンごっこ』をご堪能あそばしてるご様子…「ンフフフフフ…」。
★ すると、毎度お馴染みの黒紫の花びらが宙を舞い始め、黒木ミオが「ハハハ…ハハハハ…ウハハハ…ウワッハハハ…」と不気味に笑い声を上げ始めます…渦巻く花びらの中で、地場衛の意識も遠のいていきます…。
★ て言うか…、こんなコトができるんだったら、ナンだって前回、地場衛のバイクの前に倒れ込むなんて回りくどいコトしたんでしょうか?(↓)
1.
これはもう、間違いなく、黒木ミオが『前世の若き日のベリル様のクローン』だった以外に考えられませんな。つまり前世のベリル様と言うのは、『地球国の王子エンディミオン』が『月の王国のプリンセス』と知り合うずっと前から彼の近くにいて、その頃からずっとエンディミオンを慕い続けていたに違いありません。それなのに、突然『月の王国』からやって来た「小娘」が、エンディミオンの心をあっさりとかっさらってしまい、その結果、嫉妬に狂ってその後の人生を大きく変えるに至った…と言うコトなのでしょう…。なので、ベリル様は、現世に転生して来て、『14歳当時の自分』がいかに魅力的な女の子だったかを証明するために、『アイドル黒木ミオ』として、現世におけるスターダムにのし上がってみせ、地場衛(=エンディミオン)を自分の方に振り向かせようと考えたに違いありません(←すごいぞっ! プリンセス相手に真っ向勝負だっ!)(←だから、歌ってる歌詞の内容や音楽性が子供向けではなかったんですな)。単に「プリンセスに近づく必要」だけなら、別にアイドルじゃなくても、一般人として十番中に転校して来たっていい訳ですからね。それで、わざと地場衛のバイクの前で倒れ、『一般人とアイドルの運命的な出会い』を演出してみせたのですが、ところが、まんまと『空振り』に終わってしまったので(←とほほ…)、ついに、このように強硬手段に打って出た…と言う訳ですな。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちら、ゾイサイト…。
★ いきなりバァ〜ン!とピアノの鍵盤を叩き、「迂闊だった! あれはクイン・ベリルの影っ!」(←この「影」の意味がよく分かりませんが、とにかくゾイサイトは、マスターの危機を察知した模様です)。そうなんですな…このゾイサイトやあのクンツァイトまでもが、当初から黒木ミオの正体に気付かなかったのは、実は、ベリル様とジェダイトくんが、ゾイサイトとクンツァイトの邪魔が入らないように、予め秘密裏に作戦を遂行していたからだったんです。
★ さて、ここでゾイサイトが使った「クイン・ベリルの影」と言う言い方ですが、これ、この言い方を言葉通りそのまま受け取れば、『ベリル様の分身』みたいな意味になるとは思うのですが…(↓)
1. しかし、ところが黒木ミオは黒木ミオで、明らかに固有の人格を有してますから、決してベリル様本人ではありません。だから『分身』と言うのとは、ちょっと意味が違います。ただし、時々、あたかもベリル様本人であるかのように、ベリル様の意識と一体化する瞬間があるんですね。だからゾイサイトはここで、それを見て「クイン・ベリルの影」と言ったんだと思いますが、しかしAct.29で、ベリル様は「わらわの力が加わっている」と言っており、この「わらわの力」と言うのは、要するにベリル様の持っている『魔術』や『洗脳術』の能力を『あと付けした』と言う事ですから、このように、『分身のようでありながら、固有の人格も有している』と言うのをきれいに説明するとなると、黒木ミオは、『ベリル様のクローン』以外に考えられない訳です。クローンであれば、『同じ術を使い、あたかも同一人物であるかのように見えて、それでいて、遺伝子の複製に伴う年齢ギャップが生じ、まだ未熟な、固有の「別人格」を有している』と言うのも、全てきれいに説明できますからね。なので、黒木ミオは間違いなく、『14歳当時の前世のベリル様のクローン』であると断言してもいいんじゃないでしょうか。つまり、ゾイサイトやクンツァイトですら、黒木ミオの正体が分からなかったのは、彼らが、『14歳当時の前世のベリル』を知らなかったからです。彼らが知ってる『前世のベリル』と言うのは、おそらく、嫉妬に狂ってクイン・メタリアに魂を売り渡し、『魔導師として台頭し始めてからのベリル』であり、彼らはそれでしか『前世のベリル』を知らないはずです。
2. ※ それでは、そんな中、なぜ美奈子ただ一人だけが、当初から黒木ミオをあやしいと睨んでいたのでしょうか? これについては、原作にそのヒントがありました。原作では、前世のヴィーナスは、『戦士のリーダー』であると同時に、『プリンセスのお目付け役』でもあったようで、次のようなエピソードが描かれております(↓)
―原作「Act 12(←新装版「Act 13」) 決戦 REINCARNATION」― |
★
ある日、プリンセスが「そーっっっ」とお城を抜け出そうとしていると、「見つけた! プリンセス!」。「☆」。「――また 王子に会いにいくの? 興味本位で近づいたりしては……キケンです!」。「――興味本位なんかじゃないわ …ヴィーナスなんか 本気でヒトを好きになったコトないくせにっ びーっだ わかんないよ あたしの気持ちなんてっ」。「がん(←ショックの擬音) プリンセス!」。その隙に逃げ去るプリンセス。 ★
そんなコト言われちゃったヴィーナスでしたが、「んもーっ あたしだって……」と、ある日の出来事を回想します。 ★
それは、ある日、月の王国を抜け出して王子に会いに地球に降り立ったプリンセスを捕まえて、「プリンセス! また ココにいらしたの!? さっ 帰るのよ」と連れ戻そうとすると、そこに居合わせたクンツァイトから、「好奇心旺盛なお姫様をもつと たいへんだな …くすっ」とからかわれ、横にいた王子が自分に対する皮肉かと受け取って、「クンツァイト!」とたしなめ、ヴィーナスがそんなクンツァイトを見て頬を染めている。それを見て、マーキュリーが「ヴィーナス?」と言うと、ヴィーナスは慌てて「☆はっ」としながら手を「ぱっ ぱっ」と振ってごまかす(←原作では、前世のヴィーナスはクンツァイトに『ほの字』だったらしい…)(←実写版ではその設定は不採用でしたな…)。 ★
ヴィーナスはそれを回想したあと、こう言います…「……心配なの ――地球を見守り 「幻の銀水晶」を守り いずれクイーンとなる身で 恋をしても キズつくんじゃないかと……」。 |
※ 「美少女戦士セーラームーン
(3) (講談社コミックスなかよし)」、及び、「美少女戦士セーラームーン 3 新装版 (KCデラックス)」より |
1. つまり、実写版においても、前世のヴィーナスは、このように、『プリンセスのお目付け役』として何度も地球に降り立っていたので、その際、エンディミオンに思いを寄せて遠くから見ていた『まだメタリアに魂を売り渡す前のベリル』の姿を、きっとどこかで見かけていたはずなんです。四天王はその手のコトに疎いので気付きませんが、ヴィーナスは『女のカン』が働いて、その『不審な女』の視線がちょっと気になってたはずです。それがあったからこそ、現世において、黒木ミオと初めて「スタジオですれ違った」瞬間、それがデジャヴとなって、「ナニか…気になったのよね………黒木…ミオ……まさかと思うけど…」と思うに至ったはずです。なので、つまりその点が、美奈子が前世の記憶を持ってる以上に、他の四人や、ルナ、アルテミィ〜スが黒木ミオに簡単にだまされてしまったのとは、決定的に違った点なんじゃないでしょうか。つまり、たとえば黒木ミオが、仮に『メタリアに魂を売り渡した後のベリル』のクローンだったなら、その『悪のオーラ』が出まくって素人目にも正体がバレてしまいますが、しかし『まだメタリアに魂を売り渡す前のベリル』のクローンであれば、『悪のオーラ』が一般人並みにしか出ないので、その正体がセーラー戦士にもルナにもアルテミィ〜スにも、クンツァイトにもゾイサイトにもバレないと言う訳です。
2. ※ したがって、この四年後の「スペシャル・アクト」において、「なぜ、ベリル様は復活できなかったのに、黒木ミオの方が復活できたのか?」と言う謎も、これで簡単に解ける訳なんですな。つまり、この両者の明暗を分けたのが、『メタリアに魂を売り渡す前か後か』の違いだった訳です。要するに、黒木ミオ自体は、元来、『元々普通の人間だった時代のベリルのクローン』だったからこそ、ベリル様とは違って、メタリアと共に完全消滅するコトから免れ、「幻の銀水晶」の開放による地球再生の恩恵を受けて復活するコトができたんです。
★ ※ ちなみに、実は、このゾイサイトのシーンは、この直後に「未使用シーン」があって、それがDVD第9巻に収録されてるんですな(↓)
★ ゾイサイトが「迂闊だった! あれはクイン・ベリルの影っ!」と言ったあと、ゾイサイトがマスターの援護に駆けつけようとピアノから立ち上がった瞬間、ゾイサイトは急に金縛りにあったように硬直してしまい、そこにベリル様からの社内放送が流れます…「ゾイサイト、…これ以上の手出しは無用っ!」。「うっ!」…ゾイサイトはピアノの鍵盤の上にが〜んっ!と突っ伏して、「…マス、ター…、うっ…!」と、ピアノが弾けなくなってしまいます。
★ この「未使用シーン」があると、このあとのゾイサイトの不可解な現れ方と、その後、なぜ彼自身が、Act.24の「科学館」の時みたいにマスターの援護に駆けつけてクンツァイトと戦わなかったのか?と言う腑に落ちない謎も解ける訳なんですな…。つまり、ベリル様は、Act.32でゾイサイトを折檻した時、ゾイサイトに「なんのためにそなたの自由を許したと思っているっ!」と言ってましたが、続くAct.33で、「エンディミオン…やはりっ!…『記憶が戻ったゆえ、プリンセスのところへ行ったか!』」と確認したコトによって、もはやゾイサイトの役目は終わったんですな。だからもう「自由」を許してはくれない訳なんですな。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ 風雲急を告げる中、こちらはレストランのうさぎちゃんと美奈子…。
★ うさぎちゃんは、どうやら、まず最初にメイン・ディッシュのお肉を半分ほど平らげたあと、次に、サラダを「うんっ、おいしいっ!」と食べ始めたようですなぁ…(←さすが、我らが庶民代表…いいんだ、それでいいんだ月野うさぎ…ナンなら、一番最初にデザートから完食しちまえっ! そして最後の仕上げにスープを一気飲みするんだっ! そもそも、全部一緒に持ってくる方が悪いのだっ!)。
★ そうか…そうだったのか…。なぜフランス料理屋さんなのにも関わらず、コース・メニューの料理を全部いっぺんに持って来させたのか? その理由が分かったぞ。これは、美奈子が、テーブル・マナーを知らないプリンセスに恥をかかせないように配慮したと共に、いちいち一品ずつ持って来られると、そのたびに邪魔が入ってしまうので、円滑な任務遂行のためにも、わざと全品を一気に持って来させたんですなっ!(←すごいぞ美奈子っ!)。
★ で、一方の美奈子は、まったく料理には手付かずで、じっと下を向いたまま、「…(心の声→)やらなきゃ……あたしは使命を果たすためにいるんだから…」。美奈子はそっと「オルゴール」のフタを開け、「…『えっと…ちなみにコレって、どこまでフタ開ければ音が出るのかなぁ〜…』」。
★ するといきなり、うさぎちゃんが「美奈子ちゃんっ」、「!!」、「どうかしたの?!」と、席を立って美奈子の顔を覗き込みに来てしまい、その拍子に、美奈子はびっくりして「オルゴール」を床に落としてしまいます…「あっ…『チョット脅かさないでよっ!』」。すると、床に落ちた「オルゴール」のフタが完全に開いて、音が流れ出してしまいます。
★ うさぎちゃんは、「大丈夫?!」と、それを拾おうとしますが、しかし「オルゴール」から流れてきた曲を聴いた途端、「!…」。まるで催眠術にでもかかったように、動かなくなってしまいます。「…プリンセス…『知〜らないっ! あたしのせいじゃないからねっ、あたしはただチョット、どんなカンジかなぁ〜ってフタを…』」。
★ ここで美奈子は、うさぎちゃんに向かって「プリンセス」と言っちゃってるんですが、これって、どうなんでしょうか? おそらく美奈子は、うさぎちゃんが催眠状態にあるので、自分の声が聞こえてないと思ってるんでしょうな。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ 一方、こちらは地場衛…。
★ 地場衛の方も、すっかり催眠術にかけられたみたいな状態になり、黒木ミオに「こっちだよ…。来て…」と手を引かれて、どこかへ連れ去られて行きます。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちらはうさぎちゃん…。
★ 「思う相手のコトすべて忘れる」と言う「オルゴール」の音色によって、地場衛との思い出が燃えていきます…
★ Act.32で、地場衛がうさぎちゃんを抱きしめて、「絶対、星なんか滅びない…」と言った時の思い出が…ぼぅ〜〜っ!(←思い出が燃える音)…
★ …「……『アチっ、アチ、アチっ! 人の頭ん中勝手に燃やすなよっ!』」。「……」。するとその時、突然、「オルゴール」の音が一時停止され、「!?」、そこにゾイサイトが心を飛ばして来ました(←ベリル様に妨害電波でも張られてるのか、かなりピンボケ状態です)。
★ 「ゾイサイト!…」(←やはり美奈子は、自分の声がうさぎちゃんには聞こえてないと思ってますな)。
★ 「クイン・ベリルが、マスター・エンディミオンを捕らえようとしている」。「!」(←ところが、うさぎちゃんはゾイサイトの声に反応しました。つまり、美奈子の声も聞こえてたんです。ただし、この催眠状態にあるうさぎちゃんは、一度も美奈子を見てませんから、さっきいきなり聞こえてきた美奈子の「プリンセス」と言う声は、美奈子ではなく、完全にヴィーナスの声だと認識してるはずです)。
★ ゾイサイトの言葉に、美奈子が「えっ?」と言うと、「ヴィーナス、交換条件だ。マスターを!」。「でも…」(←美奈子は、ゾイサイトが現れてからずっとうさぎちゃんに背を向けてますから、うさぎちゃんがゾイサイトの言葉に反応したのを見てません)。
★ すると、ゾイサイトの言葉に反応したうさぎちゃんが、夢遊病者のように、突然出口の方に向かって歩き出します(←この時のうさぎちゃんは、今の二人の会話を、催眠状態の下で、『ヴィーナスとゾイサイトの会話』として認識してるんです)。
★ 「プリンセス、どこ行くのっ?」(←しかし美奈子は、うさぎちゃんがゾイサイトの言葉に反応して歩き出したのだとは思ってません。だから、うさぎちゃんが「どこ」へ行こうとしてるのか察しがつかないんです)。
★ 美奈子は、「オルゴール」のフタを閉めて拾い上げると、うさぎちゃんを追いかけます。「待って! プリンセスっ!」(←だから美奈子は、やはり自分の声がうさぎちゃんには聞こえてないと思ってるから、このように平気で「プリンセス」と言い続けてるんです)。
★ 美奈子は、うさぎちゃんに抱き付くようにして止めます。すると、うさぎちゃんが、「助けに…行かなきゃ…」。「えぇ!?…『まさか、あたし達の会話が聞こえてたの?!』」(←ここで美奈子は、初めて、自分の声がうさぎちゃんに聞こえていたコトに気付きます)(←つまり、自分の正体がバレてしまったと思ったんです)。
★ そこに再びピンボケ・ゾイサイトが現れ、「ヴィーナスっ、今はマスターを助けるのが先だっ、『プリンセスはマスターを助けに行こうとしてる、だから、そのまま』プリンセスを放せ!」。「……『でも、あたしの正体がプリンセスにバレてしまった以上、今ここでやり切ってしまわなければ、もうこのオルゴールを使えるチャンスはない…』」。「何をしているっ、急がなければマスターがっ!」。
★ しかし美奈子は、ゾイサイトを無視して再び「オルゴール」のフタを開け、うさぎちゃんに聴かせます…すると、うさぎちゃんの動きがまた止まります…。「ヴィーナスっ!…」。ゾイサイトは、おそらくベリル様の妨害を受けてるせいで、ここまでが限界だったらしく、ついに姿を消してしまいます。
★ なぜ、ゾイサイトは、ここに最初に現れた時、「オルゴール」の音を止めてしまったのでしょうか?
1. ヴィーナスに助けに来て欲しいだけなら、「オルゴール」もプリンセスもそのままにして放っておけば、それこそ一石二鳥なのだから、わざわざ「オルゴール」の音を消す必要などどこにもなかったはずです。それにも関わらず、音を消してしまったと言うコトは、つまり、ゾイサイト自身がベリル様の妨害にあって動けなくなってしまったため、とてもヴィーナス一人だけではキビシイ状況に置かれてしまったからなんですね。
2. このあとの展開を見ても分かるように、黒木ミオは、自分一人では地場衛をダーク・キングダムまで運べないため、ビルの屋上でジェダイトくんと落ち合い、そこで彼に地場衛を引き渡す手はずになってます。で、おそらくゾイサイトは、その引き渡し現場を狙って、クンツァイトもそこに現れる可能性があると睨んでたはずです(←つまり、それこそが、「ようやく対抗できる手が見つかった」と、わざわざクンツァイトに軽々しく自分の手の内をゾイサイトに話させたコトの二つ目の理由です)。なので、当然ゾイサイトは、これはヴィーナス一人の手には負えない緊急事態だから、ゾイサイトはあそこで「オルゴール」を止め、『今回だけはプリンセスと一緒にマスターを助けに来てくれ』と言ってる訳です。ところが、ここでゾイサイトにとって誤算だったのは、ゾイサイトが、まさかヴィーナスが自分の正体をプリンセスに隠してたなどとは、夢にも思っていないコトです。だから彼は、ヴィーナスとプリンセスの二人が、ここで一緒に変身してマスターを助けに行くのが、さも『当たり前であるコト』としか思ってません。
3. 一方、美奈子にしてみれば、彼女はこの時、もう自分の正体がプリンセスにバレてしまったと思い込んじゃってるんですね。そうすると、この機会を逃してしまったら、次からはもう、プリンセスには美奈子に対する警戒心が芽生えてしまい、もうこのオルゴールが使えない訳です。だからこそ美奈子は、もはや後戻りもできないし、やり直しもきかないので、今、この場で、このままプリンセスにエンディミオンのコトを忘れさせてしまわなければならなくなり、プリンセスにはエンディミオンを助けには行かせず、あくまでも自分一人だけでゾイサイトとの「交換条件」に臨もうと考えたんです。
★ 「プリンセス…お願い…、星のために彼のコトは忘れて…」(←美奈子はそのまま、あくまでもセーラーヴィーナスとして語りかけ続けます)。うさぎちゃんの中で、地場衛との思い出が次々と音を立てて燃えていきます…ぼぅ〜〜っ!…「……『アチっ、アチ、アチっ!…』」。
1. Act.1…、「ジュエリー・ショー」の廊下で、地場衛とぶつかって「ごめんなさいっ!」と、初めて彼と出会った時の思い出…ぼぅ〜〜っ!…
2. Act.7…、遊園地の「鏡の館」で、初めて手を握られた時の思い出…ぼぅ〜〜っ!…
3. Act.13…、海岸で、肉まんを半分個した時の思い出…ぼぅ〜〜っ!…
4. Act.24…、信号が赤なのに横断歩道を渡って、車にひかれそうになったのを助けられた時の思い出…ぼぅ〜〜っ!…
5. Act.33…、オープン・カフェで『マフラー』を渡した時の思い出…「!……やっぱりあげないっ、返してっ!」、「もう、返してってばぁ〜っ!」、「あはっ、苦しい…、よせっ(笑)」、「あははっ(笑)」…ぼぅ〜〜っ!…
★ うさぎちゃんには、どうやら、その映像が燃えながら音を立てて消えていくその様子が、脳裏に映し出されているらしく、うさぎちゃんは、まるでそれをやめさせようとするかのように、虚空に手を伸ばして、その幻影を追いかけ、一歩一歩、蝶々でも追いかけて飛び跳ねているかのように、歩を進めています…。
★ その姿を目で追っていた美奈子は、思わず目をそらしてうつむきながら、「…ごめんなさい…」…とつぶやきます…。
★ ちなみに、今回のオープニングの「撮影協力」に、「ホテルカデンツァ光が丘」って言うのがあったんですけど、ナニげに、どのシーンがそれなんだろうと色々調べておりましたところ、この廊下のシーンがそれだったんですね(←「ホテルカデンツァ光が丘」のホームページのイメージギャラリーの中に、これと同じ内装の廊下がありました)。なので、劇中の設定では、このレストランは高級ホテルの中のレストランと言うコトだったんですな。レストランの「シャンソニエ」が埼玉県さいたま市で、「ホテルカデンツァ光が丘」が東京都練馬区ですから、重要なシーンの背景の絵に対する、苦労とこだわりが感じられますなぁ…。
★ ★ ★ ★ ★ ―CMタイム― ★ ★ ★ ★ ★
★ こちらは地場衛…。
★ 黒木ミオに術をかけられた状態で手を引かれ、どこだかのビルの屋上に連れられて来ました。するとそこへ、いきなりクンツァイトが現れ、黒木ミオに向かって斬り掛かってきました! しかし黒木ミオは、それなりに心得があるのか、とっさに身をかわします…「クンツァイトっ!」。「マスターは…、渡さん…」。クンツァイトはそう言うと、ゆっくり黒木ミオに歩み寄り、二人を屋上の際まで追いつめます。そして、黒木ミオにトドメを刺さんと、クンツァイトが剣を振り下ろしたその時っ! かきんっ!…もうお馴染みのパターンですが、今回ここで助けに入ったのは、もちろん、ミオパパのジェダイトくんでした(←短剣の二刀流です)。「邪魔をするなっ!…『ボクのミオたんにナニをするっ!』」。「キッサマァ…『こんなモン作りおって! そんなに私のダーキュリーが羨ましかったかっ!』」。
★ 先述したように、この屋上で、黒木ミオは地場衛(=エンディミオン)をジェダイトくんに引き渡す手はずになっていたんですな。
★ それから二人は、一騎打ちになります…(←おおっ! クンツァイト相手に、ジェダイトくんがなかなか健闘しております)。すると、クンツァイトの振り下ろした剣が、ジェダイトくんが後ろに地場衛がいるのに避けてしまったため、そのせいで地場衛の腕を軽く斬りつけてしまい、なんと地場衛の腕から血がっ!(←ワシはてっきり、実写版では、どんなに剣でメッタ斬りにしようと『血は御法度』なのだと思ってたので、ナニげにこれは衝撃映像でした)(←よい子のみんながびっくりして泣き出さなければいいのですが…)。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちらは、美奈子とうさぎちゃん…。
★ 二人の間に、「オルゴール」の音だけが静かに流れる中、突然、うさぎちゃんの口から、つぶやくように、「…あつい気持ちは、せ…、ら…、び…」と歌う声が漏れてきます…。「!……」。「わ、たしがわ、た、し、で、いーるかぎり…」。「……」。「せ…、ら…、び…、あ、なたをあ、い、し、つ、づ、け、たい…」。
★ ここで美奈子は、うさぎちゃんの背中を見つめながら、さっきのうさぎちゃんの言葉を思い出します…(「美奈子ちゃんの歌うたってると、元気出たし、頑張れたんだよねっ…」)…
★ 「…!…」。美奈子は、思わずうさぎちゃんに駆け寄ると、「…わかるの?…『彼を』…忘れていくコトが……だから…『あたしの歌でつなぎ止めようと…』」。
1. 思えば、Act.4でセーラームーンがタキシード仮面と空中遊泳した時、「気持ちいい〜」と思わず口をついて出たのもこの歌でした…。
2. 地場衛がロンドンへ留学するのを空港へ見送りに行った時、結局は我慢して見送らなかったけど、遠くから飛行機を眺め、その帰り道で自分を励ましてくれたもこの歌でした…。
3. そして今、再び……。
★ 「め、の、ま、え、に、あ、る…、こ、の、しゅ、ん、か、ん、が…、い、き、る、ば、しょ、か、け、ぬ、け…、て…」。ここで、うさぎちゃんの目から一滴の涙が零れ落ちます…。「!…」。それを見た瞬間、美奈子は、「…そんなに…『彼のコトを…、そして、あたしの歌を…』」。
★ 「オルゴール」を持つ美奈子の左手から力が抜けていき、美奈子の手がゆっくり下がって、ついに手から「オルゴール」が落ち、床の上でかしゃんっ!と割れて壊れ、そして音が消えます…。
★ これは、ヴィーナスとプリンセスではなく、愛野美奈子が初めて月野うさぎの心の奥底に触れた瞬間であり、同時に、自分の歌にどれほどの力や意味があるのかに、美奈子自身が初めて触れた瞬間でもあるんですね。つまり、『プリンセスの心からからエンディミオンを消し去るコト』は、『うさぎちゃんの心から自分の歌を消し去るに等しい』と…ヴィーナス自身が、思わぬところで、愛野美奈子の存在の大きさを見せつけられたんですね。おそらくその戸惑いが、彼女に「オルゴール」を壊させたのでしょう。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちらは地場衛…。
★ それと時を同じくして、地場衛の脳裏にうさぎちゃんの笑顔が現れ、「ハッ…うさぎっ…」と我に返ります…。ジェダイトくん:「!」。クンツァイト:「!」。黒木ミオ:「!」。クンツァイト:「術が解けたのか?」。黒木ミオ:「まさか!」。
★ 地場衛の術は、なぜ解けたのか? ワシが思うに、おそらく、「オルゴール」が壊れてうさぎちゃんが我に返り、それで、うさぎちゃんが地場衛を助けるためにセーラームーンに変身したので、それで、地場衛の『セーラームーン探知機』が作動したからなんじゃないかと…。
★ 我に返った地場衛は、黒木ミオを見て「!」と離れます。すると、ジェダイトくんが地場衛に向かってつかつかと歩み寄ります。
★ するとそこへ、いきなり「ムーントワイラ〜ト、フラッシュ!」が、黒木ミオ、ジェダイトくん、クンツァイトの三人それぞれに分散されて飛んできます。
★ 黒木ミオは、ナンと、それを「ハッ!」とかわして消え去ってしまいます(←キミも空間移動できたんかっ!?)(←ナンか知らんけど、ちょっとカッコよかったぞ)。ジェダイトくんとクンツァイトは、それをマントで防いでその場に残ります。
★ セーラームーン参上っ!と思ったら、ナンと、その横には、『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』も立ってるではありませんかっ!(←早っ!)。
★ クンツァイトは、そこに現れたセーラームーンを見て、「プリンセス…」と言うと、二人の方に駆けて来て「う゛あ゛っ!」と斬りかかります。斬りかかりますが、クンツァイトは、ここではセーラームーンを斬りに行ってますな…なぜなら今日の彼の目的は、あくまでも『マスターを手に入れるコト』ですから、今までのようにエンディミオンを殺そうとはしないはずで、だから、まずは邪魔なセーラームーンから倒そうと考えて斬り込んで来たはずです。
★ で、エンディミオンがすかさずセーラームーンを庇って前に出て、クンツァイトの剣を受け止めます。かきんっ! 「クンツァイト! お前と戦う気はないっ!」。「今更ナニを…!」。
★ 一方ジェダイトくんは、クンツァイトとエンディミオンが戦い始めたのを見て、自分はセーラームーンを倒すために、「ハッ!…『ジェダイトくんジャ〜ンプっ!』」で二人の頭上を飛び越え、セーラームーンに斬りかかります。セーラームーンはジェダイトくんの突きを交わして腕を取り、腕投げで体制を崩してからどてっ腹にケリを食らわします(←おおっ! 流れるような連続技だっ!)。ジェダイトくんは体勢を立て直すと、「ハッァ!」と『ジェダイトくんビーム』を放ちますが、セーラームーンはこれを側転でかわします。
★ エンディミオンは、クンツァイトと互角に渡り合っておりましたが、つばぜり合いから弾き飛ばされ、その流れでセーラームーンと並び立ちます。その隙にクンツァイトは、得意の『剣波攻撃』の構えに入ります(←剣を指でなぞる例のヤツ)…「ん゛ん゛ん゛ん゛〜うやぁッ!」と剣波を放つと、そこに、いきなりセーラーヴィーナス参上ですっ!(←どーでもいいけど、その後ろで、エンディミオンがセーラームーンを庇おうともせず、一人で防御体勢に入っちゃってたのがナニげにカッコ悪かったぞ…)。
★ ヴィーナスはすかさず腰からチェーンを抜き、「ヴィーナス・ラブ・ミー・チェ〜ン!」ではね返します(←おおっ! チェーンをぐるぐるブン回して風を送り、それでクンツァイトの剣波を跳ね返し、そのまま『返し技』にしちゃったぞっ!)(←す…、すげぇっ!…)。やはりワシの睨んだ通り、クンツァイトはヴィーナスのような物理攻撃に弱いんじゃないのかっ!?
★ 「ヴィーナス!」。ヴィーナス、エンディミオン、セーラームーンの三人が、クンツァイトと睨み合う形になります。すると、ナンと、その背後からジェダイトくんが忍び寄り、セーラームーンに斬りかかります(←コラァッ! キサマはナンでいつもそうやってきたねーマネしやがるんだっ!)。しかし、それに気付いたエンディミオンが、今度はちゃんとセーラームーンを庇って剣を受け止めます。かきんっ!
★ その流れから、今度はエンディミオンがジェダイトくんと戦い、セーラームーンとヴィーナスがクンツァイトと戦います…(←おおっ! これだっ! この組み合わせならクンツァイトに勝てるっ! 勝負事は実力以上に相性(技属性)がモノを言う場合があるが、この組み合わせこそ正にそれだっ! この二人の同時攻撃なら、確実にクンツァイトを仕留められるぞっ! 行けぇ〜っ!)。
★ …と思った矢先…ナニやら突然、急に空の雲行きが怪しくなり、ものすごい勢いで雨雲が覆い始めます。「?」。「え?」。クンツァイト:「ん?」。みんな動きが止まり、思わず空を見上げます。やがて上空を真っ黒な雷雲が覆い始めます…。ジェダイトくん:「んっ!?」。クンツァイト:「…これは…!?」。もしや覚醒ジュピター登場か?と思いきや、ナンと、お空の彼方に巨大ベリル様が!…そんで、たいそうご立腹の様子で「もうよいっ!」とジェダイトくんとクンツァイトを無理やり呼び戻して消え去ってしまいました。ジェダイトくん:「ベリル様っ!」。クンツァイト:「かっ!」(←きっと黒木ミオが、この醜態をベリル様にチクったに違いありません…)(←しかし…、せっかくクンツァイトに勝てるチャンスだったのに…ぐすん…)。
★ それはそうと、この最後のベリル様のシーンなんですが、ベリル様はクンツァイトとジェダイトくんだけを連れ去って、他の三人はその場に残しましたね。
1. 要するに、いかにベリル様と言えども、簡単に誰かを空間移動でダーク・キングダムへ連れ去るコトはできないんですな。
2. たとえば、Act.3で『プロペラ妖魔』がやっていたように、単に人を『ダーク・キングダムの森』へ連れ去るのなら、その程度のコトなら妖魔レベルでも簡単にできるのですが、そこからさらに『お城』へ連れて行くには、もう一度空間移動させなければ、徒歩では絶対に『森』から『お城』までは行けないんですね(←あの『森』は時空が歪んでてループ迷路になってるので)(←だから、さらって来た人間を閉じ込めておくのに最適な訳です)。おそらくこれは、最低限四天王以上の能力を有してないと、『お城』までは人を空間移動させられないはずです。
3. たとえば、クンツァイトがマーキュリーを『ダーク化』するために連れ去った時は、最初に黒紫のガスを吹きかけて眠らせ、術をかけてました。その後、亜美ちゃんが『ダーキュリー』となってからは、クンツァイトが簡単に空間移動で送り迎えできるようになってます(←ダーキュリーは自分一人では空間移動できなかったはずです)。で、最後のAct.28では、『ダーキュリー姿の亜美ちゃん』をセーラームーンと一緒に空間移動で連れ去りましたが、この時は、この二人を『ダーク・キングダムの森』に落として来てしまい、「セーラームーンのせいで飛び損ねたか」と言ってるんですよね。つまり、ダーク陣営が誰かを『お城』まで連れ去るには、ちゃんとした条件があるんですな(↓)
1. 連れ去られる本人に、自ら『お城』へ行く意思があり、また、それなりの能力を有しているコト。
2. さもなければ、「術」をかけて、相手を完全に操った状態にするコト。
4. この条件を満たしてないと、たとえベリル様と言えども、誰かを簡単に『お城』にまでは連れ去れない訳です。だから、エンディミオンをさらうのに、これほど苦労してるんですね。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ と言う訳で、その場に残された三人は…。
★ ナニがナニやら分からんけれど、再びお空も晴れ渡り、キツネに摘ままれたようなセーラームーンとヴィーナスとエンディミオンなのでした…。で、どうやら危機は去ったらしいと判断したセーラームーンは、「あっ」と言ってエンディミオンの許へ駆けつけます。「ダイジョブだった?」。「ああ…」。お互いに見つめ合い、微笑み合っちゃってる二人なのでありました…。
★ その様子を見つめていたヴィーナスは、セーラームーンに向かって歩み寄ると、「プリンセス…」。「?」。「今日のお詫びに、これを…」と言ってセーラームーンの手を取り、その手に「チケットぷあ」と書かれた封筒を持たせます。セーラームーンが「?」と不思議そうな顔をしてそれを眺めてると、ヴィーナスは、「それじゃあ…」と言って去って行きます。
★ 先述した通り、この時ヴィーナスは、すでに自分の正体がプリンセスにバレてしまってると思い込んじゃってるんですね。だから「今日のお詫びに、これを…」なんです。
1. 今回、ゾイサイトが提供した『思う相手のコトすべて忘れるオルゴール』を使うに当たって、美奈子は結局、皮肉にも、それを『自分自身の歌』によって阻止される羽目になってしまいました。
2. もしも美奈子があのままやり遂げてしまっていれば、自分のやった行為そのものも『プリンセスの記憶』と共に闇に葬られますから、それですべてが済み、そのあとにはナンの懺悔も事後処理も残されず、わざわざこのように「お詫び」などする必要もなかったんです。しかし、美奈子はそれを途中でやめてしまいました。だから、自分のやった行為は闇に葬られず、そのまま原罪として残されるコトになってしまったんです。だからこそ、その懺悔と事後処理も残され、その結果として、「今日のお詫びに、これを…」と、『アイドル愛野美奈子でもあるセーラーヴィーナス』から、『ファン月野うさぎでもあるプリンセス』へ、今自分にできる最高の贈り物をしようと考えたんですね。
3. 前回、クラウン・サイドの四人が、「みんなっ、頑張るぞっ」、「お〜〜っ!」で結束し、地場衛も含めて「一緒に戦う」コトに対して、心から認めてくれたように、ここで美奈子も、『もう、二人を引き裂くために自分の正体を隠して画策するような真似はやめました』と、そうプリンセスに告白したんです。これからは、『二人を引き裂く』のではなく、正々堂々『セーラーヴィーナス=愛野美奈子』として、今までとは違うやり方で『前世の使命』を果たすのだと、そう心に決めたんですな。つまり、今回ルナが言っていた、「あたし、ずっと気になってたんだけど、ヴィーナスとアルテミスが、地場衛とうさぎちゃんを認めるわけないと思うの」と言う問題に対して、美奈子は、決して『認めた訳ではない』けれど、『ここまで強く愛し合ってるのを知ったら、もうあたしには引き裂けない』と、これに関してはあきらめたんですね(←※これに関しては、次回、美奈子の口からもそのように説明されます)。
★ さて、ヴィーナスの方は、自分の正体がプリンセスにバレてしまったと思い込んじゃっていたのですが、一方のセーラームーンの方はと言うと…「ナンだろう?コレ…?」。「ライブのチケットじゃないのか?…『オレ、行きたくねぇのに…』。「ライブのチケットって?」と、セーラームーンが中を見てみると、そこには、「愛野美奈子コンサート」と書かれたチケットが…「あっ…、あっ!…愛野美奈子のライブのチケットだぁ〜! うれしぃ〜ゼッタイ手に入らないと思ったのにぃ〜!」。「……でも、ナンでヴィーナスが?」。「…自分のライブだからだろ?…『ったく、余計なコトしやがって…』」」。「?……ん??」。「!」。「?」。「あはっ、まさか…」。「え?」。「知らなかったのか?セーラーVの頃から知ってたぞ?」。「……」(←しばし考え中…)。で、どのような思考行程を経たのかは皆目見当もつきませんが、「!…うそぉ〜〜っっ!!」と、ここで初めて、ヴィーナスの正体が愛野美奈子だと言うコトを悟ったご様子…。
★ ※ ちなみに、Act.9の『タキシード仮面・声明文事件』の時にも書きましたが、ワシは、一番最初にこの回を見た時、なぜ地場衛が「セーラーVの頃から知ってた」のか不思議だったんですが、その謎は、ナンと「アクト・ゼロ」で解けるんですよね。てコトは、このAct.35の頃には、すでに「アクト・ゼロ」制作の企画が秘密裏で進行していた可能性が考えられるんですな(↓)
1.
と言うのも、そもそも「アクト・ゼロ」と言うのは、完全に、セーラームーン本編以前のセーラーVが主役ですから、つまりこれは、原作で言うところの「コードネームはセーラーV」の実写版と言える訳です。で、この「コードネームはセーラーV」と言うのは、聞くところによると、原作に忠実な形でOVA化されるコトが発表されたにも関わらず、諸々の事情で制作中止の憂き目にあったそうなんですね。てコトは、実写版で「アクト・ゼロ」が実現すれば、図らずも、アニメ版で果たせなかった「コードネームはセーラーV」の夢を、原作に忠実とは言えないまでも、ある意味リベンジで実現するコトにもなる訳なんですな。
2.
実写版は、本放送当時、視聴率的には苦戦したそうなのですが(←ナンでだ?!)、それにも関わらず、ビデオやDVDの売り上げはなかなかだったそうなんですね(←ナンでだ?!)。なので、そう言う市場的な背景があればこそ、そのお陰で、「アクト・ゼロ」のスペシャル版化も当初から現実味を帯びていたんじゃないでしょうかね?
★
★ ★ ★ ★ ★
★ で、ライブの当日…。
★ 会場は満員で、お客さんが「みーなーこっ! みーなーこっ!」と、手拍子しながら美奈子コールを送っております(←おおおっっ!! すごいじゃないかっ! 本当にお客さんがいっぱい入ってるぞっ!)。
★ 思えば、美奈子のライブと言えば、Act.23の『南十番総合病院チャリティー・ミニ・ライブ』の27人を皮切りに、Act.30の「愛野美奈子 プライベート ミニ ライブ」が43人と、いまいち観客動員に不安を残すものでしたが、このたび、ついに真の実力を見せ付けてくれましたね…(涙)。
★ ※ ちなみにワシは、一番最初にこのシーンを見た時、もちろんこのライブ・シーンの裏事情などは一切ナニも知らなかったので、「ナンでこんなにガキばっかなんだ?!」と不思議に思って見ておりました…。
★ すると、いきなり、「♪ぴこぴこぴこぴこ…♪」と、新曲「Romance」のイントロが始まります(←おおっ! でもオープニング・ナンバーでいきなり「Romance」って、ちょっと飛ばしすぎじゃねーか?!)。お客さんも興奮して立ち上がります。すると、バック・ダンサーを従えて、美奈子が登場します…「♪あぃらーびゅー、べいべ、べいべ、ライートー消して、べいべ、べいべ、キスーをーしーてー、べいべ、べいべ、ロマーーンスー、きーづーいーてー、ほーら、かくれてないーで、ほーら、はじーまるーわ…♪」(←よく歌詞を見ると、なるほどオープニング・ナンバーにふさわしいかも…)。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ こちら、うさぎちゃんと地場衛…。
★ うさぎちゃんが地場衛の手を引いて、会場の階段を駆け上がって来ました。「も、始まっちゃうよぉ〜」(←ナニげに歌の歌詞とオーバーラップしてるし…)。「わかったから…『て言うか、寝坊したのお前だろがっ!』」。「急がないと!」。「落ち着けって…『どうせ立ち見なんだから…』」。「も、早くぅ〜!」。
★ 二人は、受付にたどり着くと、うさぎちゃんが地場衛からチケットを取り、「はいっ」と会場スタッフのお兄さんに渡します。お兄さんがのんびりチケットを切ってると、「早く早くっ!」とジタバタと催促し、「どうもっ!」と、地場衛の手を引いて「早くっ!」と、入り口へ駆け出します。
★
★ ★ ★ ★ ★
★ で、ドタバタと会場に駆け込んだ二人…。
★ 「美奈子ちゃんだぁ〜!」。「……」。地場衛は、そんなうさぎちゃんを見てる方が嬉しそうです…。
★ ところが、美奈子は、まだ一曲目の一番を歌い終わったばかりだと言うのに、ナニやら様子がヘンです…「♪べいべ、べいべ、それーーでもー、たーのーしーいー、ほーら、希望が見える…♪」のところで、急に歌声がか細くなって途切れてしまい、徐々に意識ももうろうとしてきて、ついに美奈子は、「うっ…」とその場に倒れてしまいます…。
★ 会場が騒然として異様な空気に包まれ、「えっ!?」、駆け寄ったスタッフが緊急事態を告げるように手を振って合図します。「!……」。「!……」。すると、他のスタッフも大勢出て来てステージ上の美奈子を取り囲み、肩を揺すって「美奈子っ、美奈子っ!」と呼びかけますが、美奈子はぴくりともしません…。
★ 「どういうコト?…美奈子ちゃん?! 美奈子ちゃんっ!」。徐々にズームアップされる、美奈子の閉じた目に、うっすらと浮かんで見える涙は、一体何を意味してるのでしょうか…「美奈子っ、美奈子っ!」。「美奈子ちゃんっ!」。
★ ところで、どーでもいい話ではありますが、今回のオープニングのキャスト表示には、「松尾」って美奈子の二代目マネージャーさんの名前が出てたんですけど、今回、この人って出てましたっけ? 今のライブ・シーンでは、スタッフさんがたくさん出てきましたが、その中にスーツ姿の人が一人いて、それが「マツオちゃん」のような気もするのですが、その彼は「美奈子っ、美奈子っ!」と呼びかけるんですね(←「マツオちゃん」は美奈子のコトを「ちゃん」付けで呼ぶはずなんですけどね)。てコトは、あとのシーンは、美奈子がうさぎちゃんを車に乗せた時、その車を運転してた運転手が「マツオちゃん」だったってコトでしょうかね?(←肩しか映らず、セリフもなかったけど…)(←これがホントの「肩越しに金星」か?)。
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★ 次回は、ナンか…、めっちゃ爆発してますけど…?!
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セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】
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マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】
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マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】
★
ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】
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ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】
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ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」。『』。【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】
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アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。
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その他:「」。『』。
[2009年6月12日(金)初稿/2010年8月29日(日)改訂 トモロー]
【Act.34:亜美とレイの親子物語・後編▲】 【トップページ▲】 【筆者紹介へ▼】
★ 今回レビューしたAct.35は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第9巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)
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