―実写版セーラームーンを検証する―


Act.36:プリンセス・セーラームーン登場編――

 

       本稿は、2004年6月19日(土)にTBS系列各局で朝7:30〜8:00に放送された、「美少女戦士セーラームーン」(実写版)第36話の感想記(DVD鑑賞レビュー)です。

        ★  ★  ★  ★  

       前回のラスト・シーンから…。

       うさぎちゃんと地場衛が、美奈子のライブ会場内に駆け込んで来たところから再現されるのですが、途中のカット割が前回とちょっと違ってますね(↓)

ライブの進行状況

―前回―

―今回―

♪あ、にーじゅー、べいべ、べいべ、ライト消して

うさぎちゃんと地場衛がドアを開けて駆け込んでくる。

同じ。

♪べいべ、べいべ

ステージを遠目から。

同じ。

♪キスをして

美奈子のアップ。

同じ。

♪べいべ、べいべ、ロマンス

うさぎちゃんのアップ:「美奈子ちゃんだぁ〜!」

同じ。

♪気づいて、べいべ、べいべ

ステージの寄り(←あっ! バックダンサーの短パンのおねえさんが「べいべ、べいべ」の振り付けを間違えたっ!)(←そして慌ててすぐ直したっ!)。

ステージ後方からのアングル(←あっ! バックダンサーの短パンのおねえさんが「べいべ、べいべ」の振り付けを間違えたのが映ってないっ!

♪頬を寄せて

うさぎちゃんのアップから、地場衛のアップへ移動。地場衛が横目でうさぎちゃんを見る。

ステージ正面からのアングル。

べいべ、べいべ、きまぐれね

(ここですでに美奈子の様子がおかしくなっていた)。

♪それでも

美奈子のアップ。ここから様子がおかしくなる。

同じ。

♪楽しい

客席がぐるぐる回りだす…。歌声がか細くなる…。

同じ。

♪ホラ、希望が見える…

美奈子のアップ。ほとんど歌にならなくなる…。

同じ。

♪…

客席がぼやけ、美奈子の歌も途絶える…。

同じ。

「うっ…」

美奈子のアップ。美奈子が気を失う。

同じ。

(←ばたっ…!

ステージ後方からのアングル。美奈子が倒れる。

同じ。

美奈子のアップ。

同じ。

ステージの引きから寄りへ。バックダンサーの動きも止まる(←って、キミら見てるだけかよっ!)。

同じ。

うさぎちゃんのアップ:「えっ!?」

同じ。

ステージ後方からのアングル。スタッフが一人駆け寄り、緊急事態を告げるように合図する。

カット。

うさぎちゃんと地場衛:「!……」「!……」

騒然とする客席の正面アングル。

騒然とする客席の右横アングル。

騒然とする客席の左横アングル。

ステージ正面。うずくまり、頭を抑える美奈子。他のスタッフが駆け寄る。

ステージ後方から。次々とスタッフが群がって来る。

映像は同じだが、「美奈子っ、美奈子っ!」の声がかぶせられている。

上からの映像。「マツオちゃん」らしき人が「美奈子っ、美奈子っ!」と体をゆする。

ステージ上の美奈子がズーム・アップされる。「美奈子っ、美奈子っ!」「美奈子ちゃんっ!」(←この声がカットされてる)。

うさぎちゃんのアップ:「どういうコト?…美奈子ちゃん?! 美奈子ちゃんっ!」

同じ。

ステージ上の美奈子がズーム・アップされる。「美奈子っ、美奈子っ!」「美奈子ちゃんっ!」(←声だけ)。

ここでオープニング。

       う〜む…苦労して表にしてみたわりに、「だからナンだ?」みたいな結果に終わりそうな…。要するに、バック・ダンサーの短パンのおねえさんの間違いをフォローしてあげただけなのか?(←ああゆうのって、笑いを取るためには二度使えないしなぁ…)。

 

        ★  ★  ★  ★  

       「♪じゃ〜ん…ひとみは〜いつ〜も〜ジュ〜エル〜(ジュ〜エル〜)…♪」(←ここでオープニングです)

 

        ★  ★  ★  ★  

       オープニング開けは「麻布厚生病院」

       「ええ?! 美奈子ちゃんとの面会、ダメなんですかぁ?!」「そんなに悪いんですか?!」(←おおっ! まこちゃんが髪を完全に下ろしているっ!)

       マネージャーさん(←「マツオちゃん」「いやっ、疲れからくる貧血で、心配ないんだけど、今は、誰とも会いたくないみたいなんだ。ごめんね?」(←みんな私服姿ですが、うさぎちゃんの着てる服がライブの時と同じですから、これは美奈子が倒れた直後ですな)

       「マツオちゃん」は、Act.11でうさぎちゃんとまこちゃんとは会ってますし(←あの時は単なるファンでしたが)、前回、美奈子がうさぎちゃんを車に乗せた時に運転してたのも「マツオちゃん」だったはずです(←この車は、Act.29で「マツオちゃん」が、黒木ミオのコトを美奈子に話しながら運転してたのと同じ車です)。なので、「マツオちゃん」は、この四人が美奈子と個人的な付き合いのあるコトを知ってるはずですから、決してファンを門前払いしてる訳ではないはずです。

       みんなは、お見舞いできなかったコトが残念そうで、レイちゃんは亜美ちゃんと、うさぎちゃんはまこちゃんと顔を見合わせます。

       美奈子は、なぜみんなに「会いたくない」のか?

1.       まず、美奈子にしてみれば、前回、「プリンセス…今日のお詫びに、これを…」と言ってチケットを渡し、まさに、『プリンセスのために捧げるライブだった』と言っても過言ではなかったそのライブで倒れてしまった訳ですから、その悔しさは想像するに余りあるモノがあるんじゃないでしょうか。

2.       それに、やはり、Act.18でアルテミィ〜スが言ってたように、「キミが親しい人間を作らないのは、使命のためじゃない…」「…」「誰も…悲しませたく…ないから…」ですね。実際は病気の「状態はよくない」のですから、それを知られたくない訳ですしね。ただ、ワシがちょっと気になるのは、事務所の関係者がきちんと美奈子の病状を把握してるのかどうか、その辺が謎なんですけどね…(←たぶん、知らないみたいな感じにも見えるんですけどね…)。

        ★  ★  ★  ★  

       四人は病院をあとにします

       「あ〜あ、お見舞いして励ましたかったなぁ…。せっかく美奈子ちゃんが仲間だってわかったのに、何もできないなんてさぁ」「前から私たちとは、距離を置いてたから…」

       亜美ちゃんは、この件についてこのように淡々と話してますけど、『美奈子がみんなと距離を置く理由』に関しては、どうも、さほど関心を示してないような感じが見受けられるんですけどもねぇ…。

       「私も大ファンなのに、ぜんぜん気付かなかったもんなぁ〜。…みんなひどいよっ、教えてくれないなんて! どうせ私がミーハーなコトすると思ったんでしょっ!」「…ごめんね…」「……たぶんしたと思うけどさ…!」(←ふてくされた振りして先に行っちゃいました)。「うふ…」(←本気で怒ってるとは受け取ってないようです)。「あは…」「……」(←レイちゃんも、軽く笑みを浮かべます)。

       クラウン・サイドでは、まこちゃんがAct.29で、「うさぎはあんな風だから、まだ教えてないんだ」と言ってたように、「どうせ私がミーハーなコトすると思った」から黙ってたってコトになってたようですが…。でも、それはたぶん、レイちゃんが表向きそう言うコトにしようとして、そう言う風に言ってみんなに口止めさせてただけだったんじゃないでしょうかねぇ…。レイちゃんは、Act.28では「今は手段を選んでられないわ!」とまこちゃんに教え、まこちゃんに教えた以上、Act.29では「亜美ちゃんにも言っておくわ」と教えてた訳ですから、すでにまこちゃんに教えた段階で、まこちゃんとの間では、「うさぎはあんな風だから、まだ」と言う話になってたコトが分かります。

       レイちゃんは、そのあと、一人立ち止まって、病院の方を振り返り、心の中で「ヴィーナス…」とつぶやきます…(←まだ、『美奈子』と呼ぶ気はないんですな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらダーク・キングダムでは…(←お城にカラスは飛んでおりません…)。

       前回、謀反を起こしたクンツァイトとゾイサイトが、二人で仲良く、ベリル様からキッツ〜イお仕置きタイムです。ベリル様は、「ハッ!」と両手から『ベリル様ビーム』を二人に浴びせます。

       その様子を、ジェダイトくんと黒木ミオが、二人並んで見ております(←黒木ミオがついにダーク・キングダムに初見参ですな)。ジェダイトくんは眉をしかめてますが、黒木ミオの方は、「…『フン、いい気味だわ…』みたいな冷たい視線を送っております…(←やっぱアンタがチクったんだね…)。

       前回も説明しましたが、これを見てハッキリと分かるように、黒木ミオは、ゾイサイトが言うような「クイン・ベリルの影」ではない訳です。あれはあくまでも、ゾイサイトがあの状況だけを見てそう解釈して使った言葉に過ぎません。

       ※ そもそも「影」と言うのは、たとえば忍者が使う『分身の術』などのように、あくまでも本体としての『実体』があって、それに対して分身としての『影』があるコトを意味します。たとえば、原作のネフライトは「Act 4 Masqueade仮面舞踏会」で自分の影を操って仕事をし、「このオレの影を消すとは セーラームーンめ……!」っつってましたが、さらに彼は、「Act 5 まこと―SAILORJUPITERでは、「くくく それは なんの実体もない ワタシのカゲ ほんものはココだ!」っつって、わざわざ自分の居場所を教えてジュピターにやられちゃってました…(←オマヌケ…)(←「美少女戦士セーラームーン (1) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 1 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       ですから、このように、黒木ミオみたいに、完全にベリル様とは別の人格と実体を有してる状態は、厳密には「影」ではない訳です(←いわゆる『影武者』でもない訳ですし)。したがって、黒木ミオは間違いなく、メタリアに魂を売り渡す前の『14歳当時の前世のベリルを複製したクローン』で、そこに「わらわの力」『あと付けで加え』、それを部下として使ってる「者」です。ですから、このように、ダーク・キングダムの御前会議における黒木ミオの立ち位置が、ベリル様の横ではなく、ジェダイトくんの横になる訳なんですな。

       ※ 実は、ワシは今頃になってちょっと、セーラームーン関連の資料を整理するためにあれこれとリストを作成する必要から、原作の「コードネームはセーラーV」を購入して初めて読んでみたのですが(←これがけっこう面白いっ!)(←もっと早く読んでおくべきだったっ!)、ナンとその中に、『黒木ミオ・クローン説』をそのまま裏付けるようなエピソードがあるじゃありませんかっ!(↓)

       それは、第1巻収録の「Vol.5 ダーク・エージェンシーの陰謀編」と言うエピソードで、ダーク・キングダムの下部組織にあたる「ダーク・エージェンシー」と言う芸能プロダクションの女幹部が、「こんどは このわたしの クローン・コピーを アイドルとして 世に送りこみ 洗脳を おこない エナジーを大量にすいとり 人間を滅亡させてみせますわ!」と言う作戦を立て、ターゲットとして狙うファンの「全年齢層をカバー」するために、まず、若い女の子向けに「ダーク・ガイズ」なる三つ子の男兄弟のアイドルと、次に若い男の子向けにその妹の「ツイン・ダーク」なる双子の姉妹のアイドルと、さらに上の「サラリーマン」世代向けに「ダーク静姫(しずかひめ)」なるアイドルと、三通りの年齢ギャップと性別まで操作して、クローンを作り分けてるんですな(←「コードネームはセーラーV (1) (講談社コミックスるんるん)、及び「コードネームはセーラーV (1新装版 (KCデラックス) より)。

       

       ベリル様:「そろそろわらわに盾突こうとも、ムダと気付かぬか!」。ベリル様はクルリと背を向けると、「命を奪われぬこと、ありがたく思えっ!」と言って、二人とも、どっかへすっ飛ばされてしまいました…。やっぱベリル様にかかっちゃ、この二人でも赤子も同然なんですねぇ…。これじゃあ、ゾイサイトがヴィーナスに頼ろうとしたのも無理からぬ話ですな…。ベリル様:「さて、エンディミオンのことだが…」。ジェダイトくんは「!」とビビってすかさず前に出て、「申し訳ありませんっ! クンツァイトの邪魔さえなければ…!」「よい。エンディミオンの記憶が戻っておるとすれば、他にも手がある。この方がよいかもしれん」(←この瞬間、黒木ミオが一歩前に出て、ニヤリとします…ベリル様の考えそうなコトぐらい、簡単に察しがつくんでしょうな)。

       ここでベリル様は振り返り、「ネフライト、そこにおるのであろう…。出てまいれ…」。おおっ! なんとネフライトにお呼びがかかりました。すると、ジェダイトくんと黒木ミオが思わず後ろを振り向きます。ジェダイトくん:「…『マジ!?』。黒木ミオ:「…『て言うか、誰ソレ?』。すると、すぐに、ネフライトが靴音を響かせながら入ってきます…「……」

       ベリル様:「久しぶりだなぁ」(←ホントにねっ)。ネフライトが御前会議に出るのは、かれこれ、覚醒マーズに燃やされたあとのAct.24以来ですからねぇ…。「少しやつれたか?」(←別にそうは見えませんが…)。「…ベリル様…!」「さぞわらわを怨んでいるであろうなぁ…」「いえっ、もしまた、お側に置いて頂けるのであれば、これまで以上の忠節をっ!」「…やはり四天王は宝…大切にせねばな…」。ここで、ネフライトとジェダイトくんが、二人揃ってばっ!とひざまずき、深く頭を下げます(←この時、黒木ミオは画面には映りませんが、気配からして、間違いなく立ったままで、お辞儀などしてませんな)。ベリル様:「フフフフフ…フフフフフフ…」…いつになく不気味な、いつになく抑えた笑いです(←何を企んでらっしゃるのでしょうか…)。

       ところで、クンツァイトとゾイサイトは、前回ベリル様に対して謀反を起こしましたが、実は、ネフライトも謀反と受け取られても仕方のないコトをやってるんですな。Act.28でクンツァイトが「幻の銀水晶」を手に入れるのを邪魔したのもありますが、さらにAct.32では、ゾイサイトの所へ行って前世の記憶を思い出そうとしてましたからね。この時の「集会」はジェダイトくんがベリル様にチクってゾイサイトが折檻されてましたから、その原因を作ったネフライトのコトも、間違いなくチクってるはずです。

        ★  ★  ★  ★  

       場面は変わって、月野家の夜…。

       うさぎちゃんが、ケータイ片手に電話しながら居間に入って来て、夕飯の食卓につきます…「あした、買い物付き合ってくれる? うんっ、わかった! じゃあ、11時ねっ、うん…じゃあね…」。ぴるんっ。すると、うさママが、焼いていたハンバーグをフライパンからお皿に移しながら、それに聞き耳を立て、「うさぎぃ〜、カレでしょ? 知ってんのよ最近デキたのぉ〜♪」(←って、誰から聞いたんだ? なるちゃんか?)。「え?」。進悟:「ブッ!」(←食事中に思わず吹き出す)。

       「ママに隠すコトな〜いじゃな〜いっ、ねぇ? どんな子? 名前は?!」「どんなって…、名前は……ちば、まもる…」「まもる? えっ、じゃ、マモマモ〜とか呼んでんでしょ? あっ、マモリン?」。進悟:「げぇっ!」「呼んでないよぉ〜!」「じゃ、うさぎは、うさうさ〜? やっ、アツイわねぇ〜あははっ!」「呼んでないってばぁ〜!」。進悟:「わっ、気持ちワリィ〜!」「違うって言ってるでしょぉっ!」「うぅわ、気持ちワリィ、う〜わ、気持ちワリっ!…うぅわ…」

       うさぎちゃんは、そんな進悟に『ぷいっ』と顔を背けて、テーブルの上にあったオレンジ・ジュースを飲みながら、「……(心の声→)名前、まだちゃんと呼んでないんだよなぁ…。顔見ちゃうと、ナンか…」

       ※ 原作・アニメでは、「まもちゃん」「うさこ」がお約束と言うか、有名と言うか、定番と言うか、そんな感じなんですが、実写版では、ここで、わざとその二つの愛称を避けましたね。実はこれにはハッキリとした意図があって、それは、たとえば、このうさママのセリフの中にその二つを入れてしまうと、原作・アニメを知ってる人は、間違いなく「まもちゃん」「うさこ」になると分かってしまうと言うか、期待してしまうからです。実写版がここでその先入観を退けたかったのは、別に原作・アニメを否定したかったからではありません。実写版では、「まもちゃん」「うさこ」どころか、主要な登場人物には、一切『ニックネームを使わせない』コトが前提にあったからです(←※唯一の例外は「まこちゃん」とネフライトのみ。「まこちゃん」の場合は、諸々の事情で今更「まことちゃん」とは呼びにくいからだろうなぁ…と思われる)。たとえば、原作・アニメでは、「まもちゃん」「うさこ」以外にも、亜美ちゃんを「あーみちゃん」と呼んだり、アルテミスを「アル」、美奈子を「美奈」、「Vちゃん」と呼んだり、古幡元基を「元基おにーさん」、「ふるちゃんお兄さん」と呼んだり、いくつかニックネームが出てきますが、実写版では、それらもすべて、一切使われません。

       実写版が、お互いの名前をどう呼び合うかに重要な意味を持たせてるコトは再三に渡って指摘してきましたが、実写版で使われるのは、「フルネーム」、「名字のさん付け、くん付け」、「下の名前の呼び捨て」、「下の名前のちゃん付け、さん付け、くん付け」、それから、セーラー戦士と地場衛の場合は「変身後の名前(前世名)」、これだけです。そこにさらにニックネームまで入れてしまうと、実写版的には非常に困った問題が起きてしまうんですな。一つには、『名前の呼び方の変遷』を通してお互いの関係性を描写するのが複雑化してしまうと言う点が挙げられますし、何よりも、たとえば、実写版でうさぎちゃんと地場衛が、仮にお互いを「マモマモ」「うさうさ」などと呼び合ってしまうと、原作・アニメがまさにそうだったように、この二人の関係だけが突出してしまって、他のメンバーとの友情との間に、大きな開きが生じてしまうんですな。だから、実写版では、あくまでも恋愛と友情を均等に描きたい必要からも、過度な馴れ合いをイメージさせるニックネームを最初からすべて排除してるんです。だから実写版では、最初に、「まもちゃん」「うさこ」などの愛称はありませんよ、と、ここで意図的に断りを入れた訳です(←進悟に「わっ、気持ちワリィ〜!」と念を押させて)。

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       その翌日

       これ、待ち合わせは「11時」ですから、今日は土日と言うコトになる訳ですな。

       うさぎちゃんは、「買い物」デートの待ち合わせ場所へ向かいながら、「お見舞いナニにしようっかなぁ〜。美奈子ちゃん疲れてるんだったら、やっぱ栄養あるものがいいかなっ♪」(←人目も気にせず、歩きながら、めっちゃデカイ独り言を言ってます…どうやら、美奈子のお見舞いの品を選ぶのが目的だったようですな)。すると、前方に、木にもたれて待っている地場衛を見つけます(←やっぱ、いつも先に来て待ってるのは地場衛の方なんだよな)…「!…あっ♪」

       すると、うさぎちゃんは、「ま…」(←と言いかけて、さっきのうさママの冷やかしを思い出します⇒「マモマモとか呼んでるんでしょ〜?」)。

       うさぎちゃんは、もう一度、「まも…」(←と言いかけて、さっきのうさママの冷やかしを思い出します⇒「マモリン?」)。

       それで、却って言いづらくなってしまったのか、「…はぁ〜…『ホントは、マモキチくんって呼びたいのに…』とタメ息をつき、結局、「お〜いっ!」と声をかけます。「!…『フッ、どうでもいいけどまた遅刻かよ…』

        ★  ★  ★  ★  

       その後は、うさぎちゃんの「Here we go!―信じるチカラ―」をBGMに、二人仲良く手をつないで楽しい買い物デートです(←ホントに楽しそうですなっ♪)。

       さすがに、もう「オーバーレインボーツアー」の季節じゃありませんからね(←アレはああ見えて冬の歌ですからな)。それに、「Here we go!―信じるチカラ―」の、「♪新しいふたりなら 前よりうまくいくね」とか、「♪「だいすき!」って言えなくて 心にしまいこんだ 遠く離れて見てた 夕日の数だけ あなたにあげたい I love you」と言う歌詞が、今のうさぎちゃんの心境にぴったりと言うところなんでしょうな。

 

        ★  ★  ★  ★  

       「麻布厚生病院」にて…。

       美奈子は病室で、ベッドの上で体を起こし、パソコンいじってます…(←別に普通そうですねぇ…。横には、アルテミィ〜スも控えております。

       美奈子が倒れたのが6/13の日曜で、今日が土日ですから、あれから美奈子は、少なくとも1週間近く入院してるコトになる訳です。ちなみに、このシーンで美奈子が着てるTシャツは、「☆NEXT STORY☆」と言うブランドで、オープニングの「衣裳協力」に名を連ねてるブランドの一つなのですが、これ、うさぎちゃんがよく着てるブランドなんですよね。ひょっとすると、うさぎちゃんは、美奈子がこのブランドの服を着てるのをどこかで見て、自分も着るようになったんですかね? で、ちょっと過去にさかのぼって調べて見たところ、このブランドが一番最初にオープニングの「衣裳協力」に出て来たのはAct.9なのですが、この回は、この「NEXT STORY」と言うブランド・ロゴを確認できる服は、誰も着ておりませんでした。で、次に「衣裳協力」に出て来たのはAct.11ですが、この回にうさぎちゃんが着ていた服が、このブランド・ロゴが確認された最初です。で、その後は、

       Act.17(←うさぎちゃんの服)。

       Act.19(←うさぎちゃんの服)。

       Act.23(←うさぎちゃんのバッグ)。

       Act.26(←うさぎちゃんの服)。

       Act.27、28(←うさぎちゃんとまこちゃんの服)。

       Act.32(←うさぎちゃんの服)。

       Act.35(←うさぎちゃんの服)。

       ちなみに美奈子が好んで着ているのは、「PENTY´S」のブランド・ロゴかマークの入った服で、これも「衣裳協力」の常連の一つで、前回Act.35の病院のシーンの入退院の両方で着ていた他は、Act.25などでも着ておりました(←全部調べんのめんどくせぇ…)(←※ちなみに、ちょっと調べてみましたところ、現在では、残念な事に、どちらのブランドも、もうなくなってしまっておりますな…)。

       すると、トン、トンとドアを叩く音がして、美奈子が「どうぞ…」と言います(←これが社長さんならノックせずに入って来るのだ…)。ドアが開くと、それはレイちゃんで、おそるおそるドア越しに覗き込んでます…「……」

       レイちゃんは、美奈子が倒れた6/13に、みんなと一緒に見舞いに行って面会を拒否され、その時マネージャーさんから、「疲れからくる貧血で、心配ないんだけど」と言われてるんですよね。それにも関わらず、美奈子はもう1週間近くも入院してる訳ですから、さすがに『これは普通じゃないんじゃ…』くらい思っていたはずです。

       そんなレイちゃんに、美奈子は微笑みながら、「どうしたの? 入って…」と声をかけます。「……大丈夫なの? 疲れって聞いたけど…」「大丈夫って言いたいところだけど、あなたには本当のコトを話しておこうと思って来てもらったの…。サポートしてもらわなきゃいけなくなってきたから…」

       どうやら、美奈子がレイちゃんを呼んだみたいですね。ちなみに、ルナがアルテミィ〜スのケータイ番号を知ってるコトはAct.31で確認されてますから、この二匹はお互いの番号を知ってるはずです。しかし美奈子は、クラウン・サイドのセーラー戦士とは一切ケータイの番号やメール・アドレスなどを交換してません(←ちなみに、Act.12直後の「DJムーン」では、うさぎちゃんが「実はぁ、美奈子に急接近したチャンスに、なんとっ、美奈子の電話番号をゲットしちゃったんだよねぇ!」と言ってましたが、あれはあくまでも、中の人の岩手の実家の電話番号です)。なので、美奈子がこうして個別にレイちゃんを呼ぶためには、どう考えても、いつものようにアルテミィ〜スを「パシリ」で遣わさない限り、連絡がつかないはずです。しかも、1週間前には「今は、誰とも会いたくないみたいなんだ」とまで言われてたのに、今頃になって自分一人が呼ばれたとなると、ただでさえ勘の鋭いレイちゃんですから、余計に『これは普通じゃないんじゃ…』と思ったはずです。

       「ホントのコトって?」「あたしの病気のコト」「…!」。この時、花瓶に挿してあった白い花の花びらが、一枚落ちます…。

       「あたしはたぶん、あと2、3ヶ月しか生きられない」(←おおっ! 寿命があれから半分以下に減っちゃってるっ!)。「あ、ぁ…」「!……え?」。レイちゃんは、思わずアルテミィ〜スを見て、『ホントなの?』みたいな顔をします。

       「セーラー戦士になる前から分かってたコトよ。問題はそのコトじゃなくて、敵を倒す前に、戦士が一人欠ける可能性があるってコト…。リーダーのあたしがね」…ここまでは、美奈子はずっと淡々と話し続けてます…そしてレイちゃんの顔をじっと見たまま、ほとんど全く目を逸らしません。「…ちょっと待ってよ、そんな急にっ、治る可能性だってあるんでしょ?!」「手術しても、成功する可能性はゼロに近いかな…。お約束通りで笑っちゃうよね(笑)」…ここで初めて表情を作り、その間だけレイちゃんから目を逸らしました。「…笑いごとじゃないわよっ!」「だからムダに時間を使うのはやめたの」…ここからまた、レイちゃんの顔をじっと見たまま淡々と話し始めます。「…」前世を思い出した時から…」

       【美奈子の回想シーン】⇒美奈子が、夜、どこだかのビルの屋上に立っていると、突然、空からアルテミィ〜スが降って来て、美奈子がそれをキャッチします…「!」。これが出会いのシーンだったようです…(←めっちゃ可愛いです)。

       「あたしのやるべきコトはこれなんだって、分かったから…。あたしは前世の使命を果たすために、残りの命を使うわ…」「……」「ただ、これからも時々こんな風になると思う…。だからあなたにサポートして欲しいの」

       ナニげに、この花瓶に挿してあるこの白い花は、Act.13でうさぎちゃんがシンに買ってあげたのと同じ花じゃないですかね?

       「待ってよっ、そこまでして戦士でいる必要あるの? ちょっとでも可能性あるなら」「命をムダにしたくないの!」「!……」

       ここでレイちゃんは、前回クラウンで話した疑問を、直接本人にぶつけてみましたね(↓)

       「あたし、ずっと気になってたんだけど、ヴィーナスとアルテミスが、地場衛とうさぎちゃんを認めるわけないと思うの」「…そうかなぁ…」「ヴィーナスは厳しいから…」「そうね…。でも、どうしてヴィーナスはあんなに戦士でいようとするのかしら?「たぶん、一番前世の記憶を持ってるから…」「…………そうなんだけど…」

       それに対する美奈子の答えは、「命をムダにしたくない」でしたが、これは、たとえば、仮に手術した場合、それで治らなければ当然それまでだし、仮に治ったとしても、退院するまで長期の戦線離脱は避けられず、だからこそ、その時間が惜しい訳で、もしもその間に地球の運命が取り返しのつかない事態にでもなったら、それこそ『治る意味がない』、と言うコトなんでしょうね。

       「マーズ、あたし達がどうして前世を背負って生まれて来たか分かる?」「…」「悲劇を繰り返さないためじゃない。プリンセスとエンディミオンはその使命に逆らってるわ。あなたに気を付けて欲しいの。敵も強くなってるから…」「……」

       ここで美奈子が言った、「あなたに気を付けて欲しい」と言うのが、つまり、前回、美奈子が「オルゴール」を壊した理由なんですね。

1.       美奈子は、「プリンセスとエンディミオンはその使命に逆らってる」から、決して二人のコトを認めた訳ではないけど、でももう自分には二人を引き裂くコトはできない、だから、「あなたに気を付けて欲しい」と言ってる訳です。なので、決して『二人を引き裂いて欲しい』とは言ってない訳です。

2.       これはまさしく、Act.33でレイちゃんがみんなに言った言葉⇒(「前世とか言うよりも、今っ、オトコなんかと一緒にいてもいいのか?!ってコト…。裏切るかもしれないし?」「…だから、私たちで一緒に気を付けましょ?「大事なプリンセスに何も起きないよーにっ」)と、そっくりそのままなんですね。

3.       そして、レイちゃんがコレを言ったAct.33の時点では、うさぎちゃんの「よ〜し、がんばるぞ〜、おーっ!」に対して、まだ心から賛同できてはいなかった訳です。つまり、今現在の美奈子は、『エンディミオン問題』に関しては、まさにその時のレイちゃんと同じ境地にまで到達した、と言うコトなんですね。

       なので、レイちゃんは、もしもここで美奈子が、前回ルナが言ったように、「ヴィーナスとアルテミスが、地場衛とうさぎちゃんを認めるわけない」と言う方面のコトを言い出したら、いくらでも言い返すコトができたはずですが、自分が以前に言ったのと全く同じコトを言われてしまったので、それもできなくなってしまったんですね。

       「情けない顔(笑)」「……」「だいじょぶよ。…あたしだってまだ戦えるんだから。まだあなたに全部任せるほど、信用してないわ」…美奈子は、最後は、いつもならレイちゃんを挑発して怒らせるはずの憎まれ口を、冗談めかして言いながら、また目を逸らしました。「……」。レイちゃんも、もうそんなコトでいちいち腹を立てるような心境ではありません。

       どうも美奈子は、自分が予め用意してた言葉(用件)を話す時は、一切の感情を排除してレイちゃんの顔をじっと見てますが、レイちゃんの質問に答える時や、レイちゃんの表情に対して自分がリアクションした時、つまり用意してない言葉を話す時は、逆に自分の感情を見透かされないようにしてるのか、目を逸らすみたいですねぇ…。

       美奈子はこの会話の中で、前世という言葉を三回使いましたね。レイちゃんは、おそらくAct.31の『ジュピター覚醒』以来、どうもこの言葉が引っかかり始めてるみたいですから(←前回は「前世占い」と言う本を読んでいた)、ここでさらに、この言葉が強く心に残ったはずです。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       こちらは、「買い物」デート組…。

       うさぎちゃんは、「SCENERY 奥村博 写真集」と言う風景写真の本を買ったようですな(←ちなみに、コレも実在する本ではないようです)。「写真集なんていい思い付きだったよね。病院の景色つまんないし。美奈子ちゃん元気になってくれるといいなぁ…」「…『フッ、オレはどーでもいいなぁ…』

1.       ちなみに風景写真集と言えば、うさぎちゃんがAct.13で、当時まだクンツァイトが「シン」と言う人間だった時、彼の記憶喪失を何とかしてあげようとして買おうとしたモノの中に、a collections of John Daniels photographs nature - と言う風景写真集がありましたね。アレが「定価 本体7,800円+税」で、「あっちゃぁ…」つって買えませんでしたが、そもそもあの日うさぎちゃんは、「今日は正月準備手伝うって話」で、みんなとクラウンで待ち合わせてから火川神社に行く予定だったんですね。それを、元基の『カメキチ失踪事件』に巻き込まれて忘れ、そのままシンの家へ行き、その場の思いつきで買い物に出た訳ですから、最初からお金も用意してなかった訳です。

2.       で、あの時の写真集はかなり分厚い本でしたが、今回の「SCENERY 奥村博 写真集」は、版サイズはほぼ一緒ですが、厚さはだいたいあの半分くらいしかありません。なので、おそらく値段も「7,800円」なんて高価なモノではないはずで、それに今日は、うさぎちゃんが「買い物付き合ってくれる?」と言って、最初から自分の「買い物」目的で地場衛を誘ったのですから、それなりのお金も用意して来たはずですしね。

3.       それに、Act.13の頃は、この二人は別に付き合ってた訳じゃないので地場衛は一銭もカネ出しませんでしたが、今回はそうじゃありませんからね。

       ここでうさぎちゃんは、ふと、時計屋さんの前で足を止めます…。ウィンドウに「ムーンフェイズ」という懐中時計(?)だかナンだかが展示されてます(←1時37分を指してますから、もう待ち合わせの「11時」から2時間半が経過したんですな)。「へぇ〜…、ナンかコレいいなぁ…」。ところが、地場衛はそんなうさぎちゃんに気付かず、一人で先に行ってしまってます。「ちょっとぉ、これ見てっ、ねぇってばぁっ、こらぁ〜っ!」

       「!…」。道行く人々までもが、みんな振り向きます。「ハァ、ナンだよっ、恥ずかしいなぁ…」「…ちょっと…、この時計…、いいかなって…『て言うか、ぶっちゃけ買ってって言うか…』

       「お前さあ、…ナンで名前で呼ばないわけ?」「えっ?……別に…」「まさか…忘れたとかじゃないだろうなぁ?」「そんなコトある訳ないじゃん!」「オレの名前読めなかったぐらいだし」「そんなのずっと前の話でしょう!?…『Act.5の頃の!』「お前ならありそうだからさ…『Act.5って言うなっ!』…地場衛は、そう言いながらショーウィンドウの時計を覗き込みます…「…『で?…ちなみにいくらすんのコレ?』

       「ナニよっ、いつもバカにしてっ、人の気持ちなんかぜんぜん分かってないんだからっ『ずっと言いたくて言えなくて、その月日があまりにも長すぎて、だからうまく言えないのにっ!』。そう言って、うさぎちゃんは『ぷいっ』と、さっさと歩き出してしまいました。「…ナンだぁ?!…『ちっ、しゃーねーな…』

        ★  ★  ★  ★  

       うさぎちゃんは、ふてくされてベンチにどすんっ!と腰を下ろします…。

       するとその目の前に、突然、さっきの懐中時計がじゃりん…と差し出されます。「え?…」。地場衛がそれをうさぎちゃんに手渡します…。「…どうしたの?…コレ…」「マフラーのお返し…まだだったからさ…『久々にタキシード仮面になって盗んできたよ』「うそ…『だから裸なんだ…』。うさぎちゃんは、うっとりと地場衛の横顔を見つめます…。「……『フッ…、まだ腕は鈍ってないぜ…』。うさぎちゃんは、時計を両手で握り締めながら、嬉しそうに、「…ありがとぅ…『じゃあ、次はナニを盗んでもうおうかなぁ…♪』(←1時52分を指してますから、あれから15分が経過したんですな)。それから、うさぎちゃんは、地場衛の肩に頭をそっと乗せて、甘えちゃっております…(←とっても幸せそうですな…)。

       ※ ちなみにこの「ムーンフェイズ」の時計は、原作にも同じモノが出てきてるんですね(←デザインは微妙に違いますが)。

1.       原作では、これは原作における「Act 6 タキシード仮面―TUXED MASK」で出てくるんですが、このエピソードは、その前の回の「Act 5」でジュピターが登場して戦士が四人揃ったあと、うさぎと衛が急接近するお話で(←実写版におけるAct.9の『タキシード仮面・声明文事件』に該当するエピソードになります)、そこで、セーラームーンが初めてスティックを使い、『ヒーリング能力』を発揮して力尽き、それをタキシード仮面が自宅に運んでベッドに寝かせ、セーラームーンが朝一人で目を覚まして毛布をめくった時に、その時計が、なぜか彼女の『太ももの上』に置いてあったんですな(←って、どーゆーコトなんだよソレ?!)。で、その時すでに、「……ムーンフェイズの懐中時計……こわれてる…… ……だれの? ――もしかして ドキン(←心臓の音) タキシード仮面の……?」(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 1 新装版 (KCデラックス)より)

 

2.       で、原作だと、それに続く「Act 7 地場衛―TUXED MASK」において『タキシード仮面の正体バレ・イベント』が発生するんですね。で、そのあと、うさぎが衛の部屋から帰る時に、いきなり衛が「うさこ」って呼んで肩をつかみ、「ド…キン」ってなって、「うさこの カバンだよ」と学生カバンを渡され(←新装版には「だよ」はない)、……(心の声→)あたしのこと うさこ ……だって ……まもる だったら …ドキ ドキ… まもちゃん ……かな(←って、ナンでだよ?!)。で、どう言う訳か、うさぎは、スカートのポケットにその懐中時計を入れてて、「……もってきちゃった ……こわれてる 懐中時計」てなコトになっておりました(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

       

       要するに、原作では、まだ二人は交際前で、うさぎが勝手に『衛の懐中時計』を盗んで来ちゃってて、一方実写版では、二人が交際後に、『売り物の懐中時計』を地場衛が盗んで来てうさぎちゃんにプレゼントした、と言う設定の違いはありますが、それぞれ、この懐中時計が『名前呼びイベント』に絡められて登場したコトだけは、一致してる訳ですな。ちなみにアニメ版では、こちらもジュピター登場直後の、第26話「なるちゃんに笑顔を! うさぎの友情」において、タキシード仮面が「妖魔ボクシー」と戦ってる最中に落としたモノを、セーラームーンが「はっ、コレは…?」と拾うんですが、ただしアニメ版では、ここでは『タキシード仮面の正体バレ・イベント』は発生せず、地場衛が自分で、「そうか…、わかったぞ…、オレの正体が…。オレがタキシード仮面だったんだ」と、ナンと『タキシード仮面の自分の正体バレ・イベント』が発生します。しかもアニメ版では、コレは「懐中時計」ではなく、壊れてもいなくて、コンパクトのようなオルゴールなんですな(←曲は、アニメ版のオープニング・テーマ「ムーンライト伝説」の哀愁バージョン)。

    

        ★  ★  ★  ★  

       その頃、ダーク・キングダムでは…。

       ベリル様が、この二人のデート現場を見てるのかどうかは分かりませんが、ナニやら独り言を言ってます…「エンディミオン…、かつてどんなに望んでも、手に入らなかった…」。それからベリル様は、前世でエンディミオンとプリンセスがイチャついてる姿を回想します(↓)

1.       これは、例によって、プリンセスがエンディミオンに会うために、こっそり月の王国を抜け出して、地球に降り立ってデートしてる現場ですな。

2.       『めちゃめちゃ肩幅の広いカッコいいエンディミオン』が、そんなプリンセスをお城の外で出迎えて、彼女を見つけて微笑みかけると…「あっはっは…」

3.       プリンセスが、「あははっ」と笑いながら駆けて来て…、

4.       で、二人は、「あははっ…『やっぱこのシーン、笑っちゃうよな?』「あははっ…『そうよね?』と、手をつないでぐるぐると回っちゃっております…。

5.       それから二人は、向かい合って真顔になり、そんで、チューなんかしちゃったりなんかしちゃってるのでございました…(←きゃぁ〜っっっ)

6.       するとその様子を、ナニやら、物陰から覗き見してる赤い髪の女性が一人…。

7.       その女性は、そんな二人を見て、さも口惜しそうに『キィ〜っ!』となって背を向けます。

8.       すると、その女性のピンボケのバストアップが(←しかも顔の下半分しか映されず)、現在のベリル様とシンクロし、現在進行形のシーンに切り替わります。

       で、ベリル様曰く…「今度こそ手に入れる!…プリンセス、お前の目の前で!」

1.       これ、この赤い髪の女性が、『前世のベリル』ってコトなんですな。

2.       で、この『前世のベリル』なんですが、これ、フォーカスがかかってて顔がハッキリ見えないんですが、おそらく、この外見のカンジからして、どう見ても、地位のある身分ではなかったんじゃないでしょうかね? 服はどことなく粗末っぽいし、髪には髪飾りもなく、ナンかボサボサっぽいですし、バストアップの時の映像を今現在のベリル様と比較しても、ネックレスもしてなきゃ、イヤリングもしてないし、口紅すら塗ってませんからねぇ…。

3.       つまり、Act.10の『クイン・ベリル降臨』の時に、セーラー戦士達に向かって、「覚えておらぬか…そうだな、わらわも昔とは違う…」と言ってたのは、こう言うコトだったんですね。つまり、今回ここでベリル様が「エンディミオン…、かつてどんなに望んでも、手に入らなかった…」言ってるのは、『愛されてなかったから』とかそう言う問題ではなく、それ以前に、そもそも『身分が違ってたから』だったんですな。で、Act.10の時ベリル様は、「我が名はクイン・ベリル…。闇の王国、ダーク・キングダムの女王!」と名乗ってらしたんですが…

       ※ ところで、ワシは以前Act.7で、「ワシは昔から、「クイン・ベリル」「クイン」って、『クイーン(QUEEN)=女王』の意味でいいのか?と言う素朴な疑問を抱いてる」と書いたのですが、実はこのたび、ついにその疑問が解消されました(←たぶん、知らなかったのはワシだけだったのでしょうが…)。そうです、「クイン・ベリル」「クイン」は、『クイーン(QUEEN)=女王』の意味でよかったんですね。

1.       実は、ワシは最近、実写版が後半戦に入って、検証事項が徐々に複雑化するのを整理しやすくするため、手持ちの資料のリストを作成する必要から、可能な限り基本的な書籍資料は買い揃えておこうと思い、新たに原作の新装版コミックスやら「コードネームはセーラーV」やらを集めていたところ、ナンと、新装版コミックスの目次の中に、「Act 12 敵 QUEEN(クイン) METARIA(メタリア)」と言う表記を発見したのだっ!(←「美少女戦士セーラームーン 3 新装版 (KCデラックス)より)。

 

2.       「クイン・メタリア」「クイン」『クイーン(QUEEN)=女王』なら、「クイン・ベリル」「クイン」『クイーン(QUEEN)=女王』でいいコトになるはずである。

3.       実は、原作の旧版コミックスには、この英語表記は一切出て来ないのだ。で、「クイーン・セレニティ」の方は普通に「クイーン」と表記されていたため、それでワシは、「それじゃ「クイン」ってナンだ?!」と言う疑問を抱いてしまったのだ。

4.       つまり、セーラームーン世界における「クイン」とは、『正統性を持たない自称・悪の女王』を意味し、一方「クイーン」の方は、本来の意味通り、『正統性を持つ公称の女王』を意味する、と言う具合に、その表記を区別していたようなのである(←みなさん知ってました?)(←そうですか…やっぱワシだけですか…)。

5.       でも、よくよく考えると、その発想は実に理に適ってるんですな。なぜなら、たとえば、月の王国に『正統性を持つ公称の女王』である「クイーン・セレニティ」がいるように、一方の地球国にだって、エンディミオンの母親が『正統性を持つ公称の女王』として『クイーン・なんちゃら』を名乗って存在しているはずだからです(←これも幽霊家族で出て来ませんが…)。そこへ持って来て、クイーン・メタリア』だナンだっていたら、国は一つしかないのに、一体何人『クイーン』がいるんだ?!って話になっちゃいますからね。

       となると、それでは、「なぜ『悪の女王』が、ベリルとメタリアと二人もいるのだ?」と言う疑問が当然浮上してくる。しかし、その疑問も簡単に解ける。つまり、この事実を踏まえると、実は、「前世には「クイン・ベリル」と言う存在は、存在していなかった」コトが分かるからなのである。

1.       元々前世においては、自らを「クイン」と称する『悪の女王』「クイン・メタリア」がその元祖であり、そして唯一の存在だったのである。だからその時代においては、ベリルは当然「クイン」ではあり得ない。なぜなら前世のベリルは、「クイン・メタリア」に魂を売り渡すコトで初めて魔導師としての地位を築き、その世界に台頭して来ただけの存在だからである。だから当然、前世には「ダーク・キングダム」なんて悪の組織もないのだ。

2.       つまり、「クイン・ベリル」と言うのは、あくまでも、現世に転生して来た『かつてのベリル』が、現世に「ダーク・キングダム」と言う悪の組織を作り、そこで初めて、「我が名はクイン・ベリル…。闇の王国、ダーク・キングダムの女王!」と自ら名乗っただけだったのである。つまり、やはりここでも、あくまでも『正統性を持たない自称・悪の女王』だから「クイン・ベリル」なのである。

       では、なぜ現世のベリルは、「メタリア」を差し置いて自らを「クイン・ベリル」と名乗ったのか?

1.       それは、現世において、両者の順番が逆転したからである。前世においては、「クイン・メタリア」が地球にやって来てベリルを利用しただけだったが、現世ではその順番が逆になり、現世においては、ベリルが先に地上に転生して来て「ダーク・キングダム」を作り、その上で、「メタリア」を利用するためにその復活を目論んだからである。

2.       「クイン・ベリル」と言うのは、あくまでも「ダーク・キングダム」と言う組織内での「クイン」であり、地上に君臨する「クイン」はあくまでも「クイン・メタリア」だと崇めて、そうやって自分に都合よく利用するつもりだったからである。これについては、原作に以下のような記述があります(←新装版では、所々微妙に細かい言い回しが修正され、大意は一緒ですが、そちらの方が実写版の解釈に役立つと思われるので、新装版から引用します)(↓)

1.         クイン・ベリルが『メタリアの部屋』に行き、「わが おおいなる支配者――クイン・メタリアよ 目覚めよ 至福のエナジー いまここに ひとときの復活を」と、エナジーを捧げ、メタリアから「あの 忌(いまわし)い 月の王国を継ぐものを 目覚めさせるな! ねじりつぶしてしまえ! 「幻の銀水晶」を 奪い取るのだ――!」等々と命令を受けたあと、ベリルは、部屋から出て来てこう言います…

2.         「見るたびに どす黒く 巨大になってくる あの お方…… ――クイン・メタリアを 真に目覚めさせたなら――この星を くらいつくしてしまうかもしれぬ」「でも もう あともどりはできぬ あの封印を 解いてしまった あのときから……」。ここで、現世に転生して来てから自分に起きた事を回想します(↓)

@        この時のベリルは、普通に一般人のように帽子やらコートやらを着てますから、現世に転生して来て、これまで普通に人間として生活していた事が分かります。――あの日 北極圏Dポイントで まるで 呼ばれるように見つけた――呪われ 隠された遺跡 それが この ダーク・キングダム」

@        この部分は、旧版「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)では、「ぐうぜん発見した――のろわれた伝説の遺跡」となってました。それを新装版では、「ぐうぜん」ではなく、「呼ばれるように」と、ベリルの運命に必然性を持たせ、「ダーク・キングダム」も既知の遺跡ではなかったと変更されてます。おそらく、旧版の書き方だと、現世のベリルが考古学者だった事にでもならない限り、たった一人で「伝説の遺跡」「ぐうぜん発見した」などと言う設定に、無理が生じるからでしょう。

A        これによって、現世のベリルがこれを「見つけた」事で、初めて「ダーク・キングダム」と言う悪の組織が作られたのだと言う事も分かり、したがって前世には、「ダーク・キングダム」も、そしてそれを支配する「闇の女王」「クイン・ベリル」も、存在しなかったのだと言う事実が分かる訳です。

A        「ひきよせられるまま 封印を ひらき わたしは また この手で あいつ(クイン・メタリア)を解き放った」

3.         「これは宿命だったのだ 「幻の銀水晶」 わたしの悲願 それさえあれば この星が手に入る!!」「なんとしても ほしい クイン・メタリアより先に 「幻の銀水晶」が!!この星を わがものとするために!!」(←「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

     このように、かつてメタリアに利用されただけだったベリルが、その教訓から、現世ではメタリアを利用する立場に成り代わろうとしてた訳です。

       で、実写版に話を戻すと、もう一つ、このベリル様の『前世の回想シーン』で注目されるのは、この『前世のベリルの中の人』が、『黒木ミオの中の人』でもなければ、『ベリル様の中の人』でもないと言う点です。コレ、映像にフォーカスがかかってるし、顔もちゃんと映ってないのでハッキリとは分かりませんが、しかし、明らかに役者さんが、ベリル様の役者さんでも黒木ミオの役者さんでもありません。それだけは確かです。

       つまり、これはこう言うコトです。「ベリル」と言う人物には、四つの時代(=顔)があるんですな(↓)

1.       【前世の14歳当時の時代】

1.         おそらく、この頃に初めてエンディミオンを知り、彼に思いを寄せるようになった。

2.         まだ「月のプリンセス」にも「クイン・メタリア」にも出会う前の、前世のベリルが最も純粋だった時代である。

3.         この時代のベリルが、現世において、黒木ミオとしてクローン化された。

2.       【前世の「月のプリンセス」出現後の時代】

1.         これによって、嫉妬に狂い、自分の身分や無力さを呪うようになる。

2.         すなわちこの時代のベリルが、先の『回想シーン』の中のベリルであり、前世のヴィーナスがこの『不審な女』を目撃したコトによって、ベリルの14歳当時のクローンである「黒木ミオ」の中に、その面影を見たのである。

3.       【前世の「クイン・メタリア」出現後の時代】

1.         その嫉妬に狂った権力への欲望を「クイン・メタリア」につけ込まれ、魂を売り渡す事で、魔導師として地球国に台頭するようになる(←前世のこの地球国において、ナンの地位も力もなかったベリルが、全てを手に入れるコトのできる唯一の方法が、それだったからである)。

2.         つまり、前世のエンディミオンや四天王、並びに、月の王国サイドの者達の全てが、等しく知っている『前世のベリル』とは、すなわちこの時代のベリルなのである。つまり、彼らの記憶が戻った場合、彼らが思い出す『前世のベリル』が、これになる訳だ。だからこそ実写版では、ヴィーナス以外のセーラー戦士の記憶があいまいなこの時代のベリルのみが映像化されず、ベールに包まれているのである。

4.       【現世の「ダーク・キングダムの女王」の時代】

1.         これが今現在の「闇の女王」「クイン・ベリル」であり、「覚えておらぬか…そうだな、わらわも昔とは違う…」とおっしゃるようになる「ベリル様」である『わらわも、偉くなったなぁ…(涙)』

       つまり、『人に歴史あり』と言うように、『ベリル様にも歴史あり』と言う訳ですなぁ…(←しみじみ…)。

        ★  ★  ★  ★  

       こちら、地場衛…。

       いきなり一人でどこだかお散歩中です。さっきのデートと着てる服が違うので、いきなり日付が変わってるようですが…。で、その地場衛が、ナニかに気付いて立ち止まります…。見ると、遠くから、橋の上を小刻みに『テレポート歩き』してやって来る黒木ミオの姿が…(←黒木ミオの着てる服は、ダーク・キングダムで着てたのと同じですな…昨日はお城にお泊りだったようです)。地場衛:「…お前…!」「一緒に来て。まもるくんの大事な、四天王が待ってるよ…『ニタァ〜…』(←最後の一言が、ベリル様の声と混ざったような声になります。こういう時、ゾイサイトの言う「クイン・ベリルの影」のように、遠隔操作されるみたいにベリル様の意識と一体化してるんですな)。「!……」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらダーク・キングダム…。

       ベリル様:「来るのだエンディミオン…。そしてプリンセス…!」

        ★  ★  ★  ★  

       こちらクラウン

       そのベリル様のテレパシーがうさぎちゃんに届いたらしく、うさぎちゃんがいきなり「!」と、イスから立ち上がります(←制服を着てますが、「ムーンフェイズ」の懐中時計をさっそく首に下げてますな)。「?」「うさぎちゃんどうしたの?」「……誰かが呼んでる…。行かなきゃ!」と言って、いきなり駆け出し、訳も分からずクラウンを飛び出して行きます。

       「うさぎっ!」「うさぎちゃんっ!」。亜美ちゃんとまこちゃんは顔を見合わせてうなずき、亜美ちゃんはルナを掴んで、二人はうさぎちゃんのあとを追います。

       みんな制服姿ですから、おそらく今日が月曜で、昨日のデートが日曜だったんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらはレイちゃん…。

       レイちゃんは火川神社の自宅の部屋で、私服姿です。ケータイで「うん、分かったわ!」と連絡を受けます。

       おそらくレイちゃんは、昨日、美奈子にあんな告白をされてしまったので、みんなと顔が合わせづらくて、今日はクラウンに行かなかったんでしょうな。自宅で私服を着てると言うコトは、巫女さん業務にも就けずに、一人で考え事でもしてたんじゃないでしょうかねぇ…。

        ★  ★  ★  ★  

       とにかく走るうさぎちゃん…それに追走するまこちゃんと、半馬身遅れて付いてく亜美ちゃんと、亜美ちゃんに抱えられたぬいぐるみルナ…。

        ★  ★  ★  ★  

       レイちゃんも走っております。

        ★  ★  ★  ★  

       こちらは、原っぱで向かい合う地場衛と黒木ミオ…。

       地場衛:「…こんな所で…いったい…」。すると、黒木ミオが両手を広げてヒラヒラさせながら、「ようやく…、数十万の時を超えて…」(←えっ?! ナンですって?!)。ちょっと今、黒木さんだかベリルさんだか知りませんけど、ナニげに聞き捨てならないコトおっしゃいませんでした? すうじゅうまん?! それって、ひょっとして『数十万年』って意味ですか?…だとするとコレは、大変な新事実が明らかにされたコトになりますよぉ…(↓)

       ちなみに、現在、人類の歴史は、『猿』が直立歩行を始めて『猿人』となってから、早500万年とも600万年とも言われておりますが、「数十万」単位って話になりますと、北京原人やらジャワ原人やらの『原人』が現れたのが約『50万年前』で、さらにネアンデルタール人やらが現れたのが約『20万年前』だそうですから…つまりこの人達の『前世』って、ちょうどそのあたりの時代ってコトになりますわなぁ…(※下図参照)。

―人類の進化の歴史―

500〜600万年前:

猿人(アウストラロピテクス等)

50万年前:

北京原人、ジャワ原人

「数十万の時」を超えたあたり:

前世の「地球国」「月の王国」の人々

20万年前:

ネアンデルタール人

1〜4万年前:

クロマニョン人

500〜1500年前:

ホントの中世の人々

現代:

ワシら

      注:非常にテキトーなネタ図なので、学術的に正しいかどうかなんてツッコまないでください…。

       …と言うコトなので、ナニげにエンディミオンとか四天王のみなさんとか、見た目は一見中世のヨーロッパ風だったり、建物もギリシャ風だったり古代ローマ風だったりしてますが、実はコレ、ナンと旧石器時代のお話だったんですねっ! どうりでよく石を使ってる訳だ。きっと当時の四天王やセーラー戦士達って、実際はギャートルズみたいなカッコして石斧かなんか振り回しながら戦ってたんでしょうなぁ…(←でも、そんなうさぎちゃん達も見てみたい気がします…)。

      ※ 冗談はさて置き、実際はコレ、Act.26でルナが「はるか昔、地球は一つの国で」言ってた事からも、これは、地球上の大陸が現在のように分裂する前の、「パンゲア」と呼ばれる一つの大陸だった時代の話なんじゃないでしょうかね?(←約3億年前と言われており、もちろん、猿人はおろか、まだ哺乳類すら登場してない時代ではありますが…)(←しかし、ちなみに「超力戦隊オーレンジャー」でも、実は「パンゲア」の時代に人類が存在していたとされ、「この文明を築いた人類は、我々今の人類がまだ見た事もない超力を持っていた」って言ってましたな…)(←ちなみに「超力戦隊オーレンジャー」では「約6億年前」って言ってましたが…)(←てな訳で、実写版のセーラー戦士達も、「オーレンジャー」のオーピンク(=さとう珠緒さん)に続けっ!)(←ちなみに「オーレンジャー」の第5話には、アニメ版レイちゃんの富沢美智恵さんが火野先生役として出演なさってます)。

         

       その後「パンゲア」は地殻変動によって大陸移動を起こし、現在の世界地図のような形に分裂する訳ですが、現在のように大陸が分断した状態では、とうてい「地球は一つの国」なんてのは、物理的に不可能ですからね。

       で、話は戻りますが、黒木ミオの足元から、黒紫の花びらが舞い上がり始め、黒木ミオは、「エンディミオン…!」と言うと、花びらに包まれるようにして消えてしまいました。地場衛がその跡へ駆け寄ると、そこには、ただ花びらが落ちているだけです。そして、その花びらもすっと消えてしまいました。「はっ!…」

       すると、その地場衛の背後に、いつの間にか、黒木ミオと入れ替わるように、ベリル様の姿が…! 「……エンディミオン!」。ベリル様が呼びかけると、「!…」、地場衛が振り向きます。「お前と再び会えるこの時を、どれほど待ったことか…」「お前はっ!…………確か…」「少しは覚えがあるか…。そう、お前をずっと見ていたのだからな…」「えっ?…ナニ!?」

       前回も書いたように、地場衛は、『14歳当時の前世のベリルのクローン』である黒木ミオは見覚えがなくても、『メタリアに魂を売り渡して魔導師として台頭してきたベリル』のコトは、忘れたくても忘れようがないはずです。つまり、現世のベリル様は、おそらく、『メタリアに魂を売り渡して魔導師として台頭してきたベリル』の面影を有しているんでしょうな。だから、「少しは覚えがある」訳なんですな。

        ★  ★  ★  ★  

       するとそこへ、セーラームーン、ジュピター、ルナを小脇に抱えたマーキュリー、マーズが駆けつけます…。「あっ…!」。ベリル様:「…来たか…」。地場衛:「…うさぎ…!」「ナニ? どういうコト?…」「…」「…」「…」

       するとそこへ、やや遅れて、ヴィーナスがアルテミィ〜スを小脇に抱えて走って来ます。マーズだけが、その気配に気付いて振り向き、ヴィーナスを見て「はっ!」と言います。ヴィーナスがマーズの横に並び立つと、そこで初めて、マーズ以外の三人がヴィーナスを見ます。

1.       これはアレですな。さっき、うさぎちゃんと亜美ちゃんとまこちゃんが走ってる最中に、ルナがレイちゃんに連絡し、それからアルテミィ〜スにも連絡した訳ですから、それで、こうやってヴィーナスが駆けつけて来た訳ですから、つまり、マーズ以外の三人は、ここにヴィーナスも来るコトは、当然、最初からすでに知ってるんですな。だから、ヴィーナスが来たのを、さも当たり前みたいにしか見てない訳です。

2.       ところが、その三人とは別に一人で走って来たレイちゃんだけが、その業務連絡の過程を知らないので、ヴィーナスがここに来るコトを知らなかった訳です。だからマーズだけが、昨日の『サポート要請の告白』もあって、ヴィーナスがあとから走って来たコトが気になってたんですね。

       「ベリル! 一体ナンの真似!?」

       そうなのだ…。前世の『ベリル』が現世に転生してきて、こうして「クイン・ベリル」となってから、その姿をセーラー戦士の前に現すのは、これが3回目になるんですな(↓)

1.       最初は、Act.10の『レクイエム事件』の直後で、この時は、その場にはクラウン・サイドの四人しかいませんでした。

2.       で、次が前回で、この時は、セーラームーンとヴィーナスとエンディミオンだけでした。で、この時、ベリル様に連れ去られたジェダイトくんが「ベリル様っ!」と言ってますから、つまりヴィーナスは、ここで初めて、現世の「クイン・ベリル」のその姿を見て、その存在を確認した訳です。

3.       そして、今日…。

       先述したように、前世にはこの「クイン・ベリル」は存在してませんから、ヴィーナスは前回まで、「クイン・メタリア」に魂を売ったあとの魔導師としての『前世のベリル』しか知りませんでした。で、前世でエンディミオンを物陰から見つめていた『不審な女』に関しては、実はそれがベリルだったと言う確信までは持ててないんです。Act.29の「未使用カット」でも、黒木ミオに関しては、アルテミィ〜スから確信がある訳じゃないんだろ」と聞かれて、「うん…、でも…、十番中学に転校するなんて…」と答えてましたからね。なのでヴィーナスは、前回のバトルでの『ベリル様再降臨』があったからこそ、今日この場で、「ベリル! 一体ナンの真似!?」と言うコトができた訳なんですな。じゃなきゃ、『アンタ誰?!』になってしまってたはずです。で、ヴィーナスは、前回のゾイサイトとの一件を通して、「クイン・ベリルが、マスター・エンディミオンを捕らえようとしている」と言うコトは分かってた訳ですが、ところが、その理由や目的までは、前世においてすら知らなかったはずです。だからヴィーナスは、『クイン・ベリルのマスターへの執念』までは読みきれなかったんですな。だから、「クイン・ベリルが、マスター・エンディミオンを捕らえようとしている」と言う件は、前回で落着したものと思っていて、だから、「ベリル! 一体ナンの真似!?」と言ったんです。

       「フンッ…、プリンセスっ!」「えっ…!」「別れを言え!…今日からお前のエンディミオンは、わらわのモノとなるっ!」「え?」。地場衛:「えっ?」「わらわと共にクイン・メタリアの力を手に入れ、ともに地上に君臨するのだ!」。地場衛:「勝手なコト言うなっ! どうしてオレがっ!」「……フフフフフフフ…」

       ベリル様が不敵な笑みを浮かべて両手を広げると、その手の先から、四天王が召喚され、ベリル様の前に横並びに配置されます。

       「あっ」「あっ」「あっ」「あっ」「あっ」。あっ。

       クンツァイト:「……ん?」

       地場衛:「はっ!…」

       ゾイサイト:「マスター…」

       ネフライト:「フッ!」(←セーラー戦士を見て、すかさず剣をかまえる)。

       ジェダイトくん:「フッ!」(←同じく剣をかまえる)。

       それを見て、セーラー戦士側も、一斉にセーラー・ファイティング・ポーズを取ります(←おおっっ!! ついに5対5の大決戦の時が来たか〜っ!)。

       と思ったら、ベリル様がパチン!と指を鳴らすと、ナンとっ! 四天王が自分の剣を自らの首に突き付けて、そのまま硬直させられてしまいました。

       「え?」「え?」「え?」「は?」「え?」。え?

       ジェダイトくん:「ベリル様…うっ!」。ネフライト:「…これは…!?」

       「四天王はわらわが蘇らせた者たち…。言葉一つで自らを貫く…」

       ゾイサイト:「あっ…うっ…」。クンツァイト:「ナニィ!?」

       ※ 実写版の四天王は、ベリル様が「蘇らせた者たち」だったんですな。そしてその際、記憶を操作して『恋愛洗脳』を施していたんですな。ちなみに、この件に関して、原作では以下のように描かれておりました(↓)

       原作における『真のプリンセス覚醒編』にあたる「Act 9 セレニティ―PRINCESS」で、幻の銀水晶の出現によって、クンツァイトの前世の記憶がよみがえった時、彼はこう言います…――この記憶は!? われわれの 前世の記憶……?」「……そうだ オレたちは オレたちのマスター 王子 エンディミオンさまを さがして 転生してきた」「……だが その記憶も とりもどさぬ うちに またしても あいつ(←メタリアを背にしたベリル)の 手のうちにはまり この身を 売った」(←って、何度も売ってんなよ…)。「そして この身を 変えられた」(←この意味がよく分かりませんが、おそらく、人間ではない体に作り変えられ、逆らえないようにされたと言うコトでしょうな)(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       続く「Act 10 MOON―月でも、クンツァイトは、――こうして 生きることを 選んだのを 後悔しても もう おそいと いうこと なのか」(←新装版では、下線部は、「魔の手の内で 生きることを 選んでしまったことを」)。それに対してベリルは、――忘れるな わが おおいなる 支配者に 忠誠を誓ったことを」「そのからだ わたしに ゆずりわたしたことを おまえは何度 生まれかわっても わたしの配下 四天王(←新装版では、最後の「だ」は削除)(←「美少女戦士セーラームーン (3) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       …コレ…、こう言っちゃナンですが、原作の四天王って…、誰がどう考えても、ぶっちゃけマスターへの忠誠心がイマイチとしか言いようがないですなぁ…。で、彼らがベリルの「手のうちに」はまった理由って言うのが、やはり「Act 9 セレニティ―PRINCESS」で説明されてるのですが(↓)

     マスター:「なぜ 争いなど するんだ」。クンツァイト:「王子! われわれは いいなりは もう たくさんだ! 月の王国のやりかたには がまんできない! 一方的に われわれを監視するなど!」マスター:「いつ いいなりに なったというんだ! 監視だと!? だれに ふきこまれた? あのいまわしい 生きものか!? わからないのか!? われわれは 利用されてるんだぞ! ()()()に!」(←「美少女戦士セーラームーン (2) (講談社コミックスなかよし)、及び「美少女戦士セーラームーン 2 新装版 (KCデラックス)より)。

 

       …てな訳で、簡単にベリルの口車に乗せられちゃって、マスターの意見なんか聞いちゃいなかったってコトですからねぇ…。つまり、原作は実写版とは真逆で、前世においても、現世においても、四天王の方が、自らの意思でマスターを裏切ってたんですな(←「記憶」があろうがなかろうが…)(←ちょっと意志薄弱すぎじゃねーか?)。で、そんな四天王とは反対に、原作における「エンディミオン」と言うのは、最初から最後まで、とにかく、絶対的に人格者であって、何一つ欠点がなく、それこそ女性にとって理想的な男性像を具現化したような、文字通りの『星の王子さま』として描かれてるんですね(←だって、そもそも少女マンガですからな…)。しかしそのようなデキすぎた人物設定の下では、実写版におけるクンツァイトの『マスターへの愛憎劇』など、とうてい生まれ得ないコトになります…。要するに、原作の四天王がベリルに支配されてるのは『自業自得』だが、実写版の場合は、ゾイサイトがAct.33で言ってたように、最初から「望まぬ形で」勝手に蘇らされてたんですな。

       「エンディミオン、四天王を死なせたくなくば…、わらわの許へまいれっ!」。地場衛:「えぇ…!?」

       「そんな…、ひどい…、どうしてそんなっ!」

       「エンディミオン、…前世の昔から、お前を思っていた…お前だけを…」。地場衛:「……『ごめんなさいっ!って言いたいなぁ…』

       マーズ:「前世…『敵側も、その言葉を…』。ヴィーナス:「……『だから言ってんのよっ』

       「来るのだっ、お前が見捨てられるはずはない…。かつて忠誠を誓った家臣どもを!」

       前回も書いた通り、ダーク陣営が誰かを『ダーク・キングダムのお城』へ連れ去るためには、条件があり(↓)、

1.       連れ去られる本人に、自ら『お城』へ行く意思があり、また、それなりの能力を有しているコト。

2.       さもなければ、「術」をかけて、相手を完全に操った状態にするコト。

       つまり前回は、「術」をかけて連れ去る方法を選択したものの、それが失敗に終わったので、今度は、四天王を人質にして『自らの意思で』来させる方法を選択したんですな。これなら、前回のようにプリンセスにも邪魔ができず、「今度こそ手に入れる!…プリンセス、お前の目の前で!」と言う悲願を果たすのにも打って付けな訳ですからね。

       ※ そして、ベリル様がこの方法を選んだコトや、このシーンでの地場衛の行動に説得力を持たせる意味でも、原作のような『忠誠心のイマイチな四天王』であってはならない訳です。原作の四天王は、完全に死んだのちになって、ベリルの呪縛から開放されて初めてエンディミオンに罪滅ぼしをしてましたが、実写版のゾイサイトのように、『呪縛の下にあってもなお忠誠を尽くし、何度折檻されてもクイン・ベリルに反旗を翻す』などと言う心意気は見せてくれませんでしたからねぇ…(涙)。

       クンツァイト:「バカなっ!…私はもはや…うっ!」。おっと、クンツァイトがやばそうです…すると地場衛は堪らず、「よせっ!」。クンツァイト:「……」

       「まいれ、エンディミオン!…」

       「ちょっと待って! こんなコト意味ない! 脅したって人の気持ちは変えられないよっ!」「黙らせよっ!」。ここで四天王が、自害の構えから、無理やり攻撃の構えに転じさせられます。四天王は全員上段の構えになり、その剣にばりばり…!とエネルギーが満ちてきます。

       それを見たヴィーナスは、すかさず「プリンセスを守って!」と指示を出し、三人はとうなずき、四人がさっと前に出て、セーラームーンの盾になります…(←今度こそ5対5の大決戦の時が来たか〜っ!)…実に壮観です(←ナニげに、今回人型ルナが封印されてるのも、この絵ヅラを台無しにしないためでしょうか?)。

       すると四天王が、のっけから同時攻撃を仕掛けてきます…『四天王〜アトラクティ〜ブ・アタ〜ック!』(←勝手に命名)。

       するとセーラー戦士側は(←ん? 今のはバリアか?)、一瞬バリアを張ったかにも見えましたが、早すぎてよく分かりません…とにかく、セーラー戦士達は、そのバリアごと吹っ飛ばされてしまいます…どかーんっ!「きゃっ!」「うっ!」「うっ!」「うっ!」(←さすがに四天王の合体技は強力ですな)。

 

 ★  ★  ★  ★   CMタイム― ★  ★  ★  ★  

 

       「あぁっ」(←ばたっ)「あっ」(←ばたっ)「うわっ」(←ばたっ)「うっ……」(←ばたっ)。しかし、四人が体を張って盾になってくれたお陰で、セーラームーンだけは無事です…「みんなっ!」。地場衛:「あぁっ!」

       「みんなっ! しっかりしてぇ!」(←倒れたマーキュリーのお尻を駆け上って顔を出すルナっ!)。

       「ダイジョブか!?」(←倒れたヴィーナスの真後ろからスカートを覗き込むアルテミィ〜スっ!)。

       四人は、その場に倒れたまま、起き上がれません…………その光景を、ただ呆然と見回すセーラームーン…「……ひどい…」

       「エンディミオンっ、いつまで待たせるっ!」。そう言ってベリル様が再びパチン!と指を鳴らすと、四天王は、また一斉に自害の構えを取らされます。

       すると地場衛が「待てっ!……」と叫びます。地場衛は、じっと下を見つめてしばし考え込んだ挙句、苦渋の選択を強いられ、ついに「……わかった…」と言います。

       これには、セーラー戦士側も驚きの表情を隠せません(←そもそもヴィーナス以外は、誰も地場衛と四天王の関係については知らなかった訳ですからねぇ…)(←最初、原作を読んでなかったワシも知りませんでしたが…)。

       「そうだ…、まいれっ!」。地場衛は、ゆっくりと歩き始めます。「!……」

       ベリル様は、それはそれはウハウハなお喜びようです。「……」

       一歩一歩歩み寄って来る地場衛に向かって、

       ネフライト:「なぜだ?」(←一番バカな人の感想)。

       ジェダイトくん:「オレたちを、助けるのか?」(←二番目にバカな人の感想)。

       ゾイサイト:「マスター…」(←いつもコレばっかりな人の感想)。

       するとクンツァイトだけは、いきなり根性で金縛り状態から脱して、「や゛ぁっ!」と地場衛に斬り掛かります…が、あっさりベリル様に一時停止させられてしまいました。

       ゾイサイト:「ダメだっ、マスターっ、戻って!」(←この人は、マスターをプリンセスからは引き離したいけど、だからと言って、ベリル様とくっ付かせるのもイヤなんだな…)(←きっと、マスターには一生独身でいて欲しいんだろうなぁ…)。

       しかし地場衛は歩みを止めません…。

       ベリル様:「…『ウフっ、カモ〜〜ン…』

       セーラームーンはヨロヨロと一、二歩前に出て、「…そんな……」

       そしてついに、地場衛がベリル様の前に立ち、ベリル様が、そりゃもうゴキゲンに両手を広げてハグハグしようとしたその時っ!

       突然、セーラームーンのティアラの宝石がキラリン!と光ったかと思うと、それまでほとんどオロオロ状態だった顔が、一瞬にしてキリリと引き締まり、眼光も鋭く豹変し…いきなり凄みのある低く太い声で、

       「さわるなっ!」(←おおおっっ! ナンか知らんけどシビレた〜っ!!)

       ベリル様:「!…『なにヤツっ!』。地場衛:「ええっ!?」(←思わず振り向く)。

       「…」(←ヴィーナスは顔を背けていたらしく、思わず振り向いて見ます)。「え?」「え?」「え?」。え?

       すると、セーラームーンが、一瞬プリンセスの姿になり、次の瞬間、体から銀水晶の光が放射されます。四天王は、その眩しさのせいで身動きが取れず、さすがのベリル様も「ナニィッ!?」とうろたえてます。地場衛:「うさぎっ!」

       …と、ここまでなら、もう何度か目にしたシーンですが、今回はまだその先がありました。

1.       美しいハープの音色をBGMに、突然、月の王国のお城が映し出されます(←その夜空の背景に、大きな地球が映ってます)。

2.       王宮内のガラスの階段に、セーラームーンが立っております。

3.       すると、その後ろから、白いドレス姿のプリンセスが、セーラームーンに向かって真っ直ぐ降りて来ます。

4.       プリンセスがセーラームーンの体に重なって、すっとその体を通り抜けた時、その姿は、今まで見たコトのない、新しい姿のセーラームーンに変っておりました。

       ※ この新しい変身形態のセーラームーンのコトを、現場のスタッフさんの間では「プリンセス・セーラームーン」と呼んでたそうなので、本稿でもその慣例に従うコトにいたしました(←て言うか、「美少女戦士セーラームーン完全版メモリアルブック (小学館のカラーワイド)でもそう書いてあったし)。

 

       おおっ! それにしても、ナニげにコスチュームの各パーツが、やんごとなき雰囲気を湛えておりますな…明らかに下々の者とは違います(←ここへ来て、ついに主役に返り咲きか!?)。

       「え…」「はっ!?」「はっ!?」「はっ!?」「うさぎちゃん…!」「おお〜っ!」(←やはり、前世の記憶のあるヴィーナス・サイドは、一々リアクションが違いますな…)。

        ★  ★  ★  ★  

       ベリル様:「ナンだ!?…」(←かなり動揺しております)。「……」(←一方こちらは、まったく敵の存在に動じてません)。「ナンだと言うのだっ!」。ベリル様は、ついに自ら『ベリル様ビーム』を放ちます。セーラー戦士側は、再び大爆発! どっかーんっ! 「あっははははは…あ〜っはははははは…!」(←「プリンセス・セーラームーン」を見たあとだと、ナニげにキャバレーのショータイムに見えてしまう、こちら『闇の女王様』…久々の高笑いです)。

       ところが、爆破の炎が消え去ると、そこには、かすり傷一つ負ってない「プリンセス・セーラームーン」が、そのまま微動だにせず立っておりました。

       ベリル様:「はっ!」

       すると、「プリンセス・セーラームーン」は、一歩一歩、ゆっくりと前に歩き始めます。

       するとベリル様は、「ナニをしておるっ! アレを消せっ!」と四天王をけしかけます。四天王は再び『四天王〜アトラクティ〜ブ・アタ〜ック!』を放ちます。しかし「プリンセス・セーラームーン」は、突然右手に『プリンセスの剣』(←勝手に命名…と思ったら、どうやら正式名称もコレらしい…)を出します(←かっこいい〜っ!)、そして、それで四天王の攻撃を受け止めると、それを自分の左斜め後ろに受け流してどっかーんっ! 右に受け流してどっかーんっ!と大爆発! それでいて、まるで無人の広野を行くがごとく、瞬き一つせず、高貴なまでの余裕ですっ!(←ち、ち、超カッコえぇ〜〜〜っっ!! もうシビレルの一言っ!!)。後ろの四戦士もぶったまげっ! 『て言うか、どーでもいいけど後ろに人いんのよっ!』

       「プリンセス・セーラームーン」のあまりの強さに安心したか、ようやくヨロヨロと立ち上がったセーラー戦士たち…「…違うよっ、うさぎじゃない…」「じゃあ、あれは…」「…プリンセスよ…。プリンセス・セレニティ…」「!……」

       Act.25でセーラームーンがプリンセスに覚醒した時は、最初の一瞬だけ、白いドレス姿のプリンセスが幽体離脱して「エンディミオンっ!」と叫びましたが、それはすぐに消え去り、そのあと、その場に残ったセーラームーンが白いドレス姿のプリンセスに変りましたが、それは、姿が変っただけで、中身は依然として、『前世の記憶のないうさぎちゃん』でしかありませんでした。で、その時もヴィーナスは、「…プリンセス・セレニティ…」と声をかけたのですが、そのあと、「プリンセスって言われても、私、ぜんぜんピンと来なくて…」なんて言われちゃって、「思い出したんじゃないの?」って拍子抜けさせられちゃってたんですよね。しかし、今回は、おそらく、前世における「プリンセス・セレニティ」と言うのは、見た目の問題ではなく、性格的な問題として、まさにこんな感じの人だったんじゃないでしょうかね? だからヴィーナスは、この前は見掛け倒しだったけど、今度こそ「…プリンセスよ…。プリンセス・セレニティ…」と感じたんでしょうな。

       「プリンセス・セーラームーン」は、終始無言で歩き続け、ベリル様に向けて剣を突き出します。それを見て地場衛も、「うさぎっ!…『て言うか、プリンセスってこんな超人ハルクみたいな人だっけかなぁ…ナンか尻に敷かれそうで嫌だなぁ…』

       「プリンセス! いい気になるでないっ、今はわらわもお前と同じ…いやっ、それ以上の存在!」…この脅し文句(←ハッタリ)を聞くと、やはり前世での二人には実力差があり、さすがのベリル様も、銀水晶の力を秘めたプリンセスを恐れてたことがわかります。「聞こえぬかっ、まずは下がれっ、剣をおろせっ!」。ベリル様は、闇雲に『ベリル様ビーム』を乱射しますが、「プリンセス・セーラームーン」は、またしても、それを自分の左斜め後ろに受け流してどっかーんっ! 右に受け流してどっかーんっ! さらに左に右に真後ろにと連発でどっかん!どっかん!どっかーんっ!と、ことごとく受け流してしまいます(←カッケぇ〜〜っ!!)。

       「無礼者っ!」。ついにベリル様は、必殺『ベリル様ビーム・スペシャル』を放ちますが、「プリンセス・セーラームーン」は、剣を真上にかざして円状のバリアを張り、それをすべて吸収してしまい、そのバリアの上に、剣で、しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!しゅばっ!と五芒星を切って(←カッコえぇ〜〜〜〜!!)、ベリル様目掛けて『五芒星ビーム』(←勝手に命名。コレは『バリア&返し技』みたいなモンか?)をお見舞いします…(←ってアンタ、ソレ、地場衛に当たったらどーすんだよ?!)。しかし『五芒星ビーム』は、ちょうど四天王の手前に着弾し、ちゅどーんっ!

       「無礼なのは、お前よっ!」(←おおっっ!! ベリル様を「お前」呼ばわりだぁ〜っ! これまためちゃめちゃカッコえぇ〜〜〜〜!!)

       「ああっ!」「プリンセスっ!」

       「おのれぇ〜っ! やめさせよエンディミオン! この小娘を消してしまえっ!」(←万策尽きて、ついにエンディミオン頼みだっ!)。「……」「お前はもう、わらわのモノ! 拒むと言うならっ!」。そう言って、今度はベリル様が目から光線を発射すると、…ん?…あれ??…ええ〜っ?! ね、ね、…ネフライトがぁ〜〜っ!! 「えっ!?」…びっくりマナコで自らの腹に剣を突き付け、ナンとそのまま剣を「う゛っ!」 グサッ!!「あ゛ぅっ!」。地場衛:「あっ!」

       これにはセーラー戦士も、とびっくり。

       ネフライトは、虚空に右手を差し出しながら、「……ベリル様っ……うっ…」。それを見てベリル様は、「フッ…」(←鼻で笑っております)。

       一方の「プリンセス・セーラームーン」は、「……」(←こちらは全く眼中になし…眉ひとつ動かさず…)。

       ネフライトは、ばたぁ〜ん!…と倒れ、「……『む、無念…』(←がくっ…)。

       ジェダイトくん:「ネフライト!…『やっべぇ〜次はオレか…!?』(←おめめパチクリ)。クンツァイト:「……『あ〜あ、でもまあ、コイツじゃしゃーねーか…』。ゾイサイト:「……『なんというコトを…』

       地場衛:「……『て言うか、コイツは別にこれでもいいんだけど、あとの三人は……あ、ジェダイトまでなら別にいっか…』

       すると地場衛は、「プリンセス・セーラームーン」に向かって歩き始めます。ベリル様:「エンディミオンっ!『分かっておろうな!』

       「プリンセス・セーラームーン」は、地場衛が目の前に来ると、剣を下に降ろし、「エンディミオン…」と呼びかけます。

       地場衛は、自分のコトを「エンディミオン」と呼びかける「プリンセス・セーラームーン」を、しばらく複雑な表情で見つめていましたが、地場衛は、「プリンセス・セーラームーン」をひしと抱き寄せ、あくまでも「うさぎっ」と呼びかけます…「オレの声が聞こえるな?」。しかし、「プリンセス・セーラームーン」には、その地場衛の『うさぎちゃんへの心の呼びかけ』が聞こえてないかのようで、ただ黙って、うっとりとした表情を浮かべております。

       「もういい、戻れっ、…うさぎ…」。まだ反応がありません…。「うさぎっ!」「あっ…!」…すると、途端に全身が光り始めて「プリンセス・セーラームーン」の変身が解け、元の制服姿のうさぎちゃんに戻ります…「え?……私……」。どうやら「プリンセス・セーラームーン」になってる間は、うさぎちゃんの意識が別人格、つまり『前世のプリンセス』に支配されていて、まったくその間の記憶がないみたいです…。

       「うさぎちゃんっ!」。四人が駆け寄ります。地場衛も、ひとまずほっとした様子です。どうやら彼だけは、うさぎちゃんと『前世のプリンセス』が、別人格として別々に存在してるらしいコトを、本能的に感じ取ってるようですな(←おそらく、彼自身が、『前世の自分』『現世の自分』の記憶がつながらずに苦しんだ時期を経験しているからでしょうな)。

       ベリル様:「エンディミオンまいれっ!」「!……」「……」。地場衛は黙って両手をうさぎちゃんの肩に乗せると、ベリル様の方へと歩き出してしまいます(←その間、ナニげにジェダイトくんが、ずっとネフライトの亡骸を呆然と眺めてたのが笑えました…)。

       すると、うさぎちゃんは去って行く地場衛に、初めて「まもるっ!」と名前で呼びかけます。それを聞いて、地場衛は振り返り、「大丈夫だ。…絶対戻ってくる」と答えます。

       すると、ベリル様が嬉しそうに「…『ウフっ、今度こそカモ〜〜ン…』と言って、全員を引き連れて、消え去って行ってしまいました(←この間ずっと、四天王は全員、ネフライトの亡骸をじっと見つめてたようですな…)。

       実を言うと、うさぎちゃんが地場衛のコトを「まもる」と名前で呼ぶのは、これが初めてではありません。細かい事を言えば、Act.25でタキシード仮面がクンツァイトに斬られた時に「…ま…もる…、まもるっ!」と呼んでます。しかし、これはうさぎちゃんではなく、あくまでもセーラームーンと『タキシード地場衛』であり、まだ彼女がタキシード仮面の正体を知った直後の回で、それにまだお互いの恋愛感情も一方通行のままで、しかも相手は瀕死の重傷か虫の息か御臨終かと言う、いずれにしろ緊急事態で意識もありません…しかも、呼んだ方の当人すら無意識下で叫んでました。つまり、今回のように、この二人が正式に交際を始めてから、うさぎちゃんが意識的に「まもる」と呼ぶのとは、根本的に意味が違うのです。なので、Act.25の「まもる」と今回の「まもる」とでは、「まもる」の意味がまったく違うので、そういう意味で、実質的に今回が『初めてちゃんと名前を呼んだ』と言っていい訳です。そして、『やっと言えた』と思ったら、こうして離れ離れにならなきゃならないなんて…。

       「…まもる…」。うさぎちゃんは、昨日地場衛がくれたムーンフェイズの時計を手に取って、それを見つめます(←1時51分を指してますな…昨日コレをもらった時とほぼ同時刻ですが、今日は平日ですから、てコトは、今日は学校は午前中しかなかったようですなぁ…)(←麻布地区的に…)。

       うさぎちゃんは、そのまま気を失って、後ろに倒れてしまいます。それを、ジュピターが「あぁっ! うさぎっ!」「うさぎちゃんっ!」と、すんでのところで抱きとめて事無きを得ます。しかし、うさぎちゃんの閉じられた目からは、一滴の涙が流れ、頬を伝っております(←地場衛が帰国して恋愛が成就して以降、ナニげに涙もろくなってるのが気になりますな)。その涙を、マーキュリーが、「うさぎちゃん…」と言いながら指で拭います。

       するとマーズが、「これも…、こんなコトも…、前世から背負ってきたコトなのっ!?」と、涙目でヴィーナスに訴えますが、ヴィーナスは言葉もなく、ただ、うさぎちゃんのコトをじっと見つめています。マーキュリーとジュピターも、ヴィーナスの方に目をやりますが、ヴィーナスは何も答えません…。

       このマーズの言葉は、昨日、病院で美奈子から言われた言葉を受けてのものですが、

       「マーズ、あたし達がどうして前世を背負って生まれて来たか分かる?」「…」「悲劇を繰り返さないためじゃない。プリンセスとエンディミオンはその使命に逆らってるわ。あなたに気を付けて欲しいの。敵も強くなってるから…」「……」

       マーズは、Act.33〜34の『親子問題』を通して、自分の父親の立場とその気持ちを理解するコトができるようになったコトによって、『男と言う生き物に対する理解』も芽生え、それによって、うさぎちゃんと地場衛の関係も前向きに考えられるようになった訳です。それなのに、その矢先に、その二人がこのような形で引き裂かれるのを見せられたのですから、「前世」と言うものに対するいきどおりが、このように激しくなるんでしょうな。

       一方のヴィーナスは、前回、一応ゾイサイトとの「交換条件」(←マスターを助ける代わりに『プリンセスの思い』を忘れさせる)を約束通り果たしたのですが、しかしながら、「オルゴール」は途中で自分で壊してしまいましたから、結果的には「交換条件」ではなく、一方的に『無償で義理を果たした』ような格好になってましたね。で、ヴィーナスにしてみたら、『せっかくオルゴールを壊してプリンセスの思いを守ったのに、それがこんな悲しい思いをさせてしまうコトになるなんて…』と、皮肉な運命のいたずらに、やりきれない思いなんでしょうな…。

        ★  ★  ★  ★  

       ちなみにワシは、初代・仮面ライダーや初代・ウルトラマンをリアル・タイムで見て育った人間ですが、今まで、マンガでもドラマでも、ヒーロー(ヒロイン)を見てこんなにカッコいいと思ったコトはありません…もうハリウッド映画のあらゆるアクション・ヒーローすら目じゃないですな。それほど今回の「プリンセス・セーラームーン」は衝撃的でした。そしておそらくその衝撃というのは、覚醒以前のセーラームーン(=うさぎちゃん)とのギャップが大きければこそのモノなんでしょうね。ワシが思うに、実は、この実写版セーラームーンほど、『変身という概念』の本質的な意味を、色んな角度から掘り下げた作品はないのではないか?と考えております。今までの変身ヒーローの『変身という概念』は、『正体を隠す』と共に『武力が向上する』と言うぐらいの意味しか与えられていなかったように思います(←最近の連中はどうなんだか全く知りませんが…)。「プリンセス・セーラームーン」のように、その上さらに、変身前と変身後で、完全に別の人間の人格に支配されるヒーローと言うのは、ワシの知る限りではちょっと見たコトありませんねぇ…(←しかもそれが、前世と現世で隔てられているなんて…)(←あ、そう言えば「十兵衛ちゃん」(1999年作品)がちょっとそれっぽいかも…)(←「十兵衛ちゃん」とは、普通の中学二年生の女の子が、二代目柳生十兵衛に変身(と言うか初代柳生十兵衛に憑依されちゃう?)して、300年の時を経た刺客達と戦うと言う、笑いと涙ありのドタバタ学園コメディーアニメ)…。

   

       ※ で、この「プリンセス・セーラームーン」とは一体ナンぞや?と言う問題については、次回にそのヒントが出てきますので、その時に改めて掘り下げてみたいと思っております…。

        ★  ★  ★  ★  

       次回は、ナンか、うさぎちゃんがいっぱいいるっ!

        ★  ★  ★  ★  

       セーラームーン:うさぎちゃん(沢井美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(沢井美優さん編)▼】

       マーキュリー:亜美ちゃん(浜千咲(現・泉里香)さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(浜千咲(現・泉里香)さん編)▼】

       マーズ:レイちゃん(北川景子さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(北川景子さん編)▼】

       ジュピター:まこちゃん(安座間美優さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(安座間美優さん編)▼】

       ヴィーナス:美奈子(小松彩夏さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小松彩夏さん編)▼】

       ぬいぐるみルナ(声・潘 恵子さん):人型ルナ(小池里奈さん):「」『』【キャスト関連商品リスト(小池里奈さん編)▼】

       アルテミィ〜ス(声・山口勝平さん):「」。『』。

       その他:「」『』

[2009年6月19日(金)初稿 トモロー]


Act.37:さ迷えるプリンセス編

 

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     今回レビューしたAct.36は、「美少女戦士セーラームーン DVD 第9巻」(バンダイビジュアル)に収録されております(↓)

 

DVD第9巻 作品本編(4話収録)

 

Act.33 Act.34 Act.35 Act.36 

毎回映像特典(13分)

 

「セーラームーン」におしおきよ

スペシャル座談会

@舞原賢三監督インタビュー
Aセーラー戦士座談会〜1年間を振り返って〜その1

Act.36 ゲストキャスト

 

黒木ミオ:

松尾:

有紗

細川智三

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アクション:

伊藤由紀子

小野友紀

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